JP3917894B2 - 牽引部材操作装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、先端側に一端部が固設され、基端側に位置する操作指示レバーに他端部が固設されている牽引部材を、操作指示レバーを傾倒操作して進退移動させる牽引部材操作装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、体腔内や構造物の管内或いは隙間等を観察検査する装置として、内視鏡が広く利用されている。この内視鏡は、体腔内や構造物内等に挿入される挿入部と、この挿入部の基端部に設けられた操作部とで主に構成されている。そして、前記挿入部に例えば上下/左右方向に湾曲自在な湾曲部を設けたものがある。
【0003】
前記湾曲部は前記挿入部の内部を挿通する牽引部材である図示しない操作ワイヤを進退操作することによって湾曲操作されるようになっている。そのため、操作ワイヤの先端部を前記湾曲部に固定し、基端部を前記操作部に設けた操作指示レバーである1本の湾曲操作レバーに一体な操作ワイヤ取付け機構部に固定している。したがって、前記湾曲操作レバーを傾倒操作することによって、対応する操作ワイヤが進退移動させて、前記湾曲部を所望の方向に湾曲動作させられる。
【0004】
しかし、前述のように湾曲操作レバーを傾倒操作して湾曲部を湾曲させる構成の内視鏡では、1本の湾曲操作レバーで例えば4方向の湾曲操作を行えるという利点がある一方で、この湾曲操作レバーを傾倒操作して対応する操作ワイヤを直接牽引操作するので湾曲操作レバーが重くなる。また、前記湾曲部の湾曲状態を保持するためにも相当量の力が必要であった。
【0005】
このため、湾曲操作レバーの操作量を少なくして、湾曲部の湾曲量を大きくする牽引部材操作装置を有する内視鏡が数多く提案されており、例えば実公昭56−48241号公報の頭部曲折装置では、長溝を有した半円形に曲折した二枚の半円形板を長溝が直角に交わるように組み立て、その交わった長溝中に操作杆を通し、さらに両半円形板の両端を固定軸に可動可能に軸支させ、この固定軸の延長上に半円形の回動が伝わるように回転軸を設け、この回転軸をワイヤ操作機構に連結し、1つの操作杆で4方向の湾曲操作を可能にしている。
【0006】
また、前記実公昭63−5684号公報の頭部曲折装置では、長溝を有する半円形に曲折した二枚の半円形板を、その互いの長溝が交わるように組み立て、その交わった長溝中に操作杆を通した曲折装置において、半円形板の一端部を軸受に軸支し、他端部をアングル操作ワイヤを巻回したアングルドラムの内側に形成した内歯に噛み合う複数の遊星歯車に連結して、ワイヤの移動量を増やすようにしていた。
【0007】
さらに、前記実公平2−42246号公報の内視鏡では、操作本体に流体圧シリンダを設け、この流体圧シリンダのピストンロッドが前記操作本体に支持された回動体であるプーリーに連繁され、このプーリーに連繁された操作ワイヤを介して湾曲部を湾曲させて、操作力量の軽減を図っていた。
【0008】
又、前記特開昭58−65132号公報の内視鏡では、先端湾曲機構を駆動するモータと、操作部に設けられ手動により操作力を受ける湾曲操作部材と、この湾曲操作部材の受ける操作力量を検出する検出手段と、この検出手段によって得られた信号を処理し、前記モータに対する駆動電力を制御する制御手段とを有して、操作力量を検出してモータを駆動するようにしていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記実公昭56−48241号公報、実公昭63−5684号公報及び実公平2−42246号公報に示されている湾曲部の湾曲方法では、構造が複雑であるとともに、形状が大きくなってしまう。また、湾曲部を湾曲させるワイヤの移動量が増加するに従って操作量も増加するので実用的でなかった。
【0010】
また、前記特開昭58−65132号公報に示されている湾曲部の湾曲方法では、操作量を検出し、その検出操作量に応じて、モータを駆動させるため、制御回路が必要になって複雑な構成になっていた。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、操作指示レバーを僅かな操作力量で傾倒操作して、所望の牽引部材を所望の量移動させて湾曲部の湾曲操作を行え、操作性に優れた牽引部材操作装置を提供することを目的にしている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の牽引部材操作装置は、細長な挿入部の先端部に一端部を固設して延出する牽引部材と、この牽引部材の中途部がそれぞれ同方向に巻回配置される複数の周方向溝を形成したプーリーと、前記牽引部材が巻回配置された前記プーリーを牽引方向に回転させる駆動手段と、前記プーリーの周方向溝に巻回配置されて延出された牽引部材の基端部がそれぞれ固設される複数のアーム部を有するアーム部材と、このアーム部材が一体に固定され、直立状態においては前記周方向溝から延出されてアーム部に固設された全ての牽引部材を弛緩状態にして、傾倒方向または傾倒量を変化させたときには前記複数の牽引部材の中から前記傾倒方向に対応する牽引部材を弛緩状態から引っ張られた状態に変化させる操作指示レバーとを具備している。
【0013】
そして、前記操作指示レバーの傾倒方向又は傾倒量を変化させたときに、前記牽引部材が弛緩状態から引っ張られた状態に変化されることによって生じる前記プーリーに対する抗力および前記駆動手段によって回転されている前記プーリーの回転力により、前記牽引部材の引張り力を増大させる
【0014】
また、前記プーリーに対して回動自在で、前記プーリーと前記牽引部材との間に設けられ、前記牽引部材に摩擦力発生のための緩衝部材を有している。
【0015】
これらの構成によれば、操作指示レバーを傾倒操作して、プーリーから延出してアーム部材に向かう牽引部材の牽引状態を変化させることにより、プーリーから延出して先端部に向かう牽引部材がプーリーの回転方向に牽引される。
【0017】
また、緩衝部材を設けることによって、プーリーの表面状態が変化して操作ワイヤに対する力量が変化する不具合及び操作ワイヤが摩耗して切断する不具合が防止される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1ないし図8は本発明の第1実施形態に係り、図1は本発明の牽引部材操作装置を備えた内視鏡を説明する図、図2は内視鏡に設けられた牽引部材操作装置を説明する長手方向断面図、図3は牽引部材操作装置の要部を説明する図、図4は図2のA矢視図、図5は軸受の構成を説明する展開図、図6は湾曲装置の作用を説明する図、図7は操作部の他の構成を説明する図、図8は操作部の別の構成を説明する図である。
【0019】
なお、図6(a)は牽引部材が所定の弛緩状態で巻回されている状態を示す図、図6(b)は牽引部材がプーリーの回転によって移動している状態を示す図である。
【0020】
図1に示すように本実施形態の内視鏡1は、体腔内や構造物に挿入される可撓性で細長な挿入部2と、この挿入部2の基端側に設けられた操作部3とで主に構成されている。
【0021】
前記挿入部2は、先端側から順に先端部21と、後述する湾曲駒を連設して例えば上下/左右方向に湾曲するように構成した湾曲部22と、柔軟性を有する可撓管部23とで構成されている。前記先端部21の先端面には図示は省略するが、観察窓、照明窓、鉗子導出口、送水や送気用の噴射ノズル等が設けられている。
【0022】
前記操作部3は把持部31を設けて略h字形状に構成されており、この把持部31には前記湾曲部22を湾曲動作させる牽引部材操作装置の1つである湾曲装置30を構成する湾曲操作指示レバー(以下、湾曲レバーと略記する)32が開口部3aから突設している。
【0023】
前記湾曲レバー32は、傾倒方向及び傾倒角度を変化させる傾倒操作を行うことによって、後述する牽引部材を移動させて前記湾曲部22を所望の方向に所望の湾曲角度だけ湾曲させる。そして、図に示すように前記湾曲レバー32を直立させたとき前記湾曲部22は直線状態になる構成になっている。
【0024】
なお、前記操作部3の例えば基端部からは照明光を供給するライトガイドファイバー(不図示)や、図示しない撮像素子の駆動制御信号或いはこの撮像素子で光電変換した観察部位の画像信号の授受を行う信号ケーブル(不図示)等を内挿したユニバーサルコード4が延出している。
【0025】
図2及び図3に示すように前記湾曲部22は複数の湾曲駒22a,…,22nを連設して構成されており、前記先端部21を構成する先端硬質部材21aに連結されるこの湾曲部22の最先端の湾曲駒22aには前記湾曲装置30を構成する上下/左右の操作方向にそれぞれ対応する4本の操作ワイヤ33の先端部がそれぞれ所定位置に固定されている。
【0026】
図2ないし図4に示すように本実施形態の牽引部材操作装置である湾曲装置30は、前記操作ワイヤ33と、これらワイヤ33の中途部がそれぞれ巻回配置される周方向溝34aを有するプーリー34と、このプーリー34を湾曲操作時所定方向に所定トルクで回転させる駆動手段であるモータ35と、前記ワイヤ33の基端部が固定される前記湾曲レバー32に設けられた略十字形状のアーム部材36とで主に構成されている。
【0027】
前記4本の操作ワイヤ33は、挿入部2内に挿通配置されているワイヤ挿通管路33A内を挿通して操作部3内まで延出されて、前記プーリー34に巻回されている。そして、巻回された前記操作ワイヤ33の基端部を前記アーム部材36の所定の湾曲形状のアーム部36aにそれぞれワイヤ止め33bによって一体的に固定している。
【0028】
前記操作ワイヤ33の中途部は、前記周方向溝34aに対して所定の弛緩状態で巻回配置されている。また、前記プーリー34は、前記モータ35の駆動力を伝達する第1歯車37a、第2歯車37bによって回転されるようになっている。さらに、前記湾曲レバー32と前記アーム部材36とは、フレーム38に回動自在に配設される後述する軸受40の対向する所定位置に同軸に取付け固定されている。
なお、符号39は前記プーリー34を回動自在に支持するベアリングである。
【0029】
図5に示すように前記軸受40は、円形軸41と一対の球軸受42,43とで主に構成されている。前記円形軸41は略円柱形状に形成されており、この円形軸41の側周面の一部にアーム部材固定部41aが突設している。このアーム部材固定部41aには前記湾曲レバー32が挿通する貫通孔41bが形成されており、この貫通孔41bに前記湾曲レバー32を挿通配置し、この湾曲レバー32の先端部に前記アーム部材36の湾曲したアーム部36aの中心部分に設けられている透孔36bを挿通させて、固定ナット44をネジ部32aに螺合することによって、前記アーム部材36と前記湾曲レバー32とを前記円形軸41に同軸に固定している。
【0030】
前記第1球軸受42と第2球軸受43とは球部材を二分割した半球形状で形成されている。そして、二分割したそれぞれの半球形状の内部に、前記円形軸41が嵌合配置される円形軸受部42a、43aを形成している。また、前記第1球軸受42及び第2球軸受43には前記円形軸41に設けられているアーム部材固定部41aが配置される溝部40Bを構成する第1切り欠き部42b、43b及び、前記円形軸41に固定される湾曲レバー32が配置される溝部40Cを構成する第2切欠部42c,43cがそれぞれ設けられている。さらに、前記第1球軸受42と第2球軸受43とには一体化されたとき軸部40Dを構成する一対の半円柱部42d、43dが同軸に設けられている。なお、符号36cは前記操作ワイヤ33が挿通されるワイヤ固定孔である。
【0031】
前記軸受40は、アーム部材36と湾曲レバー32とを同軸に取付け固定した円形軸41を、第1球軸受42と第2球軸受43とで挟持して構成される。このため、この円形軸41は、溝部40B、40Cの範囲で矢印X1方向及び矢印X2方向に対して揺動自在な構成になる。
【0032】
また、前記円形軸41を前記第1球軸受42及び第2球軸受43で挟持したとき、半円柱部42d、43dが一体になって構成された軸部40Dを前記フレーム38の所定位置に回動自在に配置することによって、軸受40は、矢印Y1方向及び矢印Y2方向に対して揺動自在な構成になる。
【0033】
そして、前記プーリー34の周方向溝34aに所定の状態で巻回されて延出する4本の操作ワイヤ33の基端部をワイヤ固定孔36cにそれぞれ固定し、前記湾曲レバー32を図3に示すように直立状態にしたとき、前記操作ワイヤ33の前記プーリー34から延出して前記アーム部材36に向かうプーリー後方側部は全て所定の弛緩状態になる。
【0034】
そして、前記湾曲レバー32を図中の矢印X1方向又は矢印X2方向、或いは矢印Y1方向又は矢印Y2方向に操作することによって、前記湾曲レバー32の傾倒操作とともに前記アーム部材36が揺動されて、湾曲レバー32の傾き方向に対応するアーム部36aに形成されているワイヤ固定孔36cに取り付けられているプーリー後方側部の操作ワイヤ33の張力が弛んでいた状態から引っ張られた状態になって、この操作ワイヤ33からプーリー34に対する抗力が増大して、操作ワイヤ33とプーリー34との間の抵抗力が増す。一方、他の操作ワイヤ33はさらに弛んだ状態になる。
【0035】
上述のように構成した内視鏡1の作用を説明する。
内視鏡1による観察を行う際、まず、モータ35を駆動状態にしてプーリー34を回転させておく。このとき、湾曲レバー32は直立状態であるので、プーリー34に巻回されている操作ワイヤ33は図6(a)に示すうように全て所定の弛緩状態になっている。このため、全ての操作ワイヤ33はプーリー34に対して滑り状態なって、前記湾曲部22の湾曲状態は直線状態で保持される。
【0036】
次に、前記湾曲部22を例えば上方向に湾曲動作させるために前記湾曲レバー32を矢印Y2方向(図3参照)に傾倒操作したとする。すると、この湾曲レバー32の傾倒操作に伴って、軸受40が半円柱部42d、43dを一体にして構成した軸部40Dを中心にして回動して前記アーム部材36が傾いていく。このことによって、前記湾曲レバー32の傾倒方向に対応するアーム部36aのワイヤ固定孔36cに固定されているプーリー34より基端側に位置する上方向用の操作ワイヤ33が弛んだ状態から徐々に引っ張られた状態に変化していく。このとき、その他の下方向及び左右方向に対応する操作ワイヤ33はさらに弛んだ状態になる。
【0037】
したがって、前記プーリー34の周方向溝34aに弛緩状態で巻回されていた操作ワイヤ33のうち、上方向用の操作ワイヤ33のプーリー34に対する抗力だけが増大する。つまり、上方向用の操作ワイヤ33とプーリー34との間の抵抗が増大する。
【0038】
すると、図6(b)に示すように前記上方向用の操作ワイヤ33とプーリー34との間の抵抗が増加したことによって、前記モータ35で回転されていたプーリー34の回転力が前記操作ワイヤ33に伝達されて、この操作ワイヤ33が回転方向に対して移動される。このことによって、本実施形態では、プーリー34より先端側に配置されている上方向用の操作ワイヤ33がアーム部36a側に牽引移動されていき、湾曲部22が上方向に湾曲する動作が開始する。この状態で、前記上方向用の操作ワイヤ33のプーリー34に対する抗力を増大させるように、引き続き湾曲レバー32を同方向に傾倒操作し続けることによって、このプーリー34より先端側に配置されている操作ワイヤ33がさらに牽引移動されて湾曲部22がさらに上方向に湾曲していく。
【0039】
次いで、前記湾曲レバー32の傾倒位置を保持し続けると、プーリー34より先端側に配置されている操作ワイヤ33の移動に伴って、前記操作ワイヤ33のプーリー34に対する抗力が徐々に減少して、プーリー34より先端側に配置されていた操作ワイヤ33に引張力が生じた状態で移動が停止する。このとき、湾曲方向に対応する操作ワイヤ33以外の操作ワイヤ33は弛緩状態になる。そして、前記湾曲レバー32をこの状態に保持し続けることによって、前記操作ワイヤ33の状態がその状態に保持されて湾曲部22の湾曲状態が保持される。
【0040】
なお、前記湾曲部22をさらに同方向に湾曲させたり、他の方向に湾曲させたり、元の状態に戻す場合には前記湾曲レバー32を所望の方向に傾倒操作する。このことによって、傾倒操作に対応する操作ワイヤ33のプーリー34に対する抗力を変化させて、対応する操作ワイヤ33を移動させて湾曲部22を湾曲レバー32の傾倒操作に対応する湾曲状態に変化させられる。
【0041】
このように、湾曲部を上下/左右方向に湾曲させる指示を行う湾曲レバーの傾倒操作に対応して揺動するように構成したアーム部材のアーム部に、モータによって所定の方向に回転するプーリーに所定の弛緩状態で巻回させて延出した上下左右方向に対応する操作ワイヤを固定したことによって、湾曲レバーを傾倒操作してアーム部材に固定されている傾倒操作に対応する操作ワイヤの張り状態を変化させることによって、対応する操作ワイヤのプーリーに対する抗力を変化させて、プーリーの回転方向に操作ワイヤを移動させて湾曲部を湾曲動作させることができる。
【0042】
また、湾曲レバーを傾倒操作していた状態から、その保持力量を減少させていくことによって、牽引されていた操作ワイヤが先端側に戻り、前記湾曲レバーが元の位置に戻ることによって牽引状態の操作ワイヤがすべて弛緩状態になって湾曲状態が直線状態に戻すことができる。
【0043】
これらのことによって、操作ワイヤのプーリーに対する抗力を僅かに増加させるだけ湾曲レバーを連続的に傾倒操作して、湾曲部を所望する方向に所望の量だけ容易に湾曲させられる。また、湾曲部の湾曲状態を保持する際には、プーリーから湾曲方向に対応する操作ワイヤに対して引張力が生じているので、操作ワイヤにかかる力の一部のみが湾曲レバーにかかるので、湾曲レバーを保持する使用者にかかる負担が大幅に軽減される。
【0044】
なお、本実施形態においては前記湾曲レバー32を矢印Y2方向に傾倒操作してアーム部材36のアーム部36aに固定されている上方向の操作ワイヤ33を牽引移動させて湾曲部22を湾曲させる操作例を説明したが、湾曲レバー32を矢印Y1方向或いは矢印X1方向、矢印X2方向に傾倒操作することによって
上述と同様に湾曲レバーの傾倒操作に対応する操作ワイヤを牽引移動あるいは弛緩移動させて湾曲部を所望の方向に湾曲させる操作を行える。加えて、前記湾曲レバー32を例えば矢印Y2方向と矢印X2方向との中間方向等に傾倒操作することによって、上述と同様に傾倒操作に対応する複数の操作ワイヤを移動させて湾曲部を所望の方向に湾曲させる操作を行える。
【0045】
また、操作部3の形態は上述した略h字形状に限定されるものではなく、言い換えれば前記操作部3に設ける把持部31の位置は上述した実施形態の位置に限定されるものではなく、湾曲レバー32を初期状態である中立状態に配置しているとき、及び湾曲レバー32の傾倒操作に対して操作ワイヤ33の牽引状態が一致しているとき、全ての操作ワイヤ33がモータ35によって回転されているプーリー34に対して滑り状態になる構成をとる配置が可能であれば、図7に示すように把持部31Aの位置を設けたり、図8に示すように把持部31Bを配置するようにしてもよい。
【0046】
図9は本発明の第2実施形態にかかる牽引部材とプーリーとの関係を説明する図であり、図9(a)は操作ワイヤとプーリーとの一構成例を説明する図、図9(b)は操作ワイヤとプーリーとの他の構成例を説明する図、図9(c)は操作ワイヤとプーリーとの別の構成例を説明する図、図9(d)は摩擦部材の操作ワイヤへの配置例を説明する図、図9(e)は牽引部材の他の構成例を説明する図である。
【0047】
前記第1実施形態においては操作ワイヤ33をプーリー34に形成されている周方向溝34aに直接的に配置させる構成であったが、本実施形態においては図9(a)に示すように操作ワイヤ33をプーリー34に対して回動自在に配置した所定の硬度の緩衝部材であるCリング34bに対して配置する構成にしている。
【0048】
このように、所定の硬度のCリング34bを操作ワイヤ33とプーリー34との間に配置することによって、操作ワイヤ33とプーリー34とが直接的に接触することを防止して、常時回転するプーリー34が操作ワイヤ33によって削られて表面状態が変化して力量が変化することや、逆に操作ワイヤ33が常時回転するプーリー34によって磨耗して素線切れが発生すること等が防止することができる。
【0049】
なお、図9(b)に示すように前記Cリング34bとプーリー34との間に所定の摩擦係数の摩擦板34cを配置して、Cリング34bから前記操作ワイヤ33に回転力を伝達させる構成にしても上述と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0050】
また、図9(c)に示すように摩擦部材34dを操作ワイヤ33に対して一体的に被覆する構成にしたり、図9(d)に示すように摩擦部材34eを操作ワイヤ33に一体的に配置固定する構成にして、前記摩擦部材34d、34eをプーリー34に設けた周方向溝34aに配置する構成にしても上述と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0051】
さらに、図9(e)に示すように、牽引部材を2本の操作ワイヤ33a、33bと連結部材33cとで構成して、この連結部材33cを前記プーリー34に設けた周方向溝34aに配置したCリング34bに対して配置する構成にしても上述と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0052】
図10は本発明の第3実施形態にかかる湾曲レバーの最大傾倒操作範囲を調整する傾倒状態調整部を説明する図であり、図10(a)は傾倒状態調整部の構成を説明する図、図10(b)は傾倒状態調整部を構成する各部材の作用を説明する図、図10(c)は湾曲レバーの最大傾倒操作状態を説明する図である。
【0053】
図10(a)に示すように前記湾曲レバー32の突出する開口部3aには前記湾曲レバー32の最大傾倒操作範囲を調整する一対の第1傾倒状態調整部材51及び第2傾倒状態調整部材52が設けられている。この第1傾倒状態調整部材51は、平板部材で形成されている。これに対して、前記第2傾倒状態調整部材52は、平板部材で形成された第1傾倒状態調整部材51に対する逃げ部52aを設けた段付部材で形成されている。
【0054】
前記第1傾倒状態調整部材51及び第2傾倒状態調整部材52は、前記フレーム38に一体に固定された角孔付きプレート53にネジ54によって螺合固定される構成である。そして、前記プレート53の所定位置に雌ネジ部(不図示)を形成する一方で、前記第1傾倒状態調整部材51及び第2傾倒状態調整部材52に前記ネジ54に対応する長孔51b、52bを設けている。
【0055】
したがって、図10(b)に示すように前記第1傾倒状態調整部材51及び第2傾倒状態調整部材52は矢印に示すように前記プレート53に形成されている角孔の大きさを小さく変化させるように移動可能になっている。
【0056】
そして、図10(b)に示すように例えば第1傾倒状態調整部材51を矢印に示すように移動させることによって、図10(c)に示すように前記湾曲レバー32が移動された第1傾倒状態調整部材51に当接する。このことによって、湾曲レバー32の最大傾倒操作範囲が前記プレート53に形成されている角孔に当接するより小さくなる。したがって、湾曲部の最大湾曲角度を小さくなる。
【0057】
このように、プレートに対して移動可能な一対の第1傾倒状態調整部材及び第2傾倒状態調整部材を配置することによって、予め、プレートに形成されている角孔の大きさを小さくなる方向に変化させて、湾曲レバーの傾倒操作範囲を適宜調整することができる。
【0058】
なお、上述した実施形態においては牽引部材操作装置を湾曲部を湾曲動作させる湾曲装置として説明したが、牽引部材操作装置は湾曲装置に限定されるものではなく、例えば内視鏡を介して、体腔内に挿入して例えば砕石を採取する砕石バスケット等に設けられる牽引部材操作装置に利用するようにしてもよい。また、前記内視鏡においては、4方向湾曲操作を例に説明したが、2方向湾曲操作においても同構造の実現が可能であり、また、1つのモーターと1つのプーリーで4本の操作ワイヤに摩擦力を生じさせているが、2つのモータとプーリーとを用いて、上下と左右毎に動作させる構成も可能である。さらに、モーターは、湾曲操作レバーに術者が触れるとモーターが回転駆動するように、タッチセンサ回路を加えてモーターの電源を入/切したりすることも可能である。
【0059】
なお、本発明は、以上述べた実施形態のみに限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施可能である。
【0060】
【発明の効果】
本発明の牽引部材操作装置は、操作指示レバーを僅かな操作力量で傾倒操作して、所望の牽引部材を所望の量移動させて湾曲部の湾曲操作を行え、操作性に優れた牽引部材操作装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1ないし図7は本発明の第1実施形態に係り、図1は本発明の牽引部材操作装置を備えた内視鏡を説明する図
【図2】内視鏡に設けられた牽引部材操作装置を説明する長手方向断面図
【図3】牽引部材操作装置の要部を説明する図
【図4】図2のA矢視図
【図5】軸受の構成を説明する展開図
【図6】湾曲装置の作用を説明する図
【図7】操作部の他の構成を説明する図
【図8】操作部の別の構成を説明する図
【図9】本発明の第2実施形態にかかる牽引部材とプーリーとの関係を説明する図
【図10】本発明の第3実施形態にかかる湾曲レバーの最大傾倒操作範囲を調整する傾倒状態調整部を説明する図
【符号の説明】
1…内視鏡
30…湾曲装置
32…湾曲レバー
33…操作ワイヤ
34…プーリー
34a…周方向溝
35…モータ
36…アーム部材
36a…アーム部
40…軸受

Claims (5)

  1. 細長な挿入部の先端部に一端部を固設して延出する牽引部材と、
    この牽引部材の中途部がそれぞれ同方向に巻回配置される複数の周方向溝を形成したプーリーと、
    前記牽引部材が巻回配置された前記プーリーを牽引方向に回転させる駆動手段と、
    前記プーリーの周方向溝に巻回配置されて延出された牽引部材の基端部がそれぞれ固設される複数のアーム部を有するアーム部材と、
    このアーム部材が一体に固定され、直立状態においては前記周方向溝から延出されてアーム部に固設された全ての牽引部材を弛緩状態にして、傾倒方向または傾倒量を変化させたときには前記複数の牽引部材の中から前記傾倒方向に対応する牽引部材を弛緩状態から引っ張られた状態に変化させる操作指示レバーと、
    を具備することを特徴とする牽引部材操作装置。
  2. 前記操作指示レバーの傾倒方向又は傾倒量を変化させたときに、前記牽引部材が弛緩状態から引っ張られた状態に変化されることによって生じる前記プーリーに対する抗力および前記駆動手段によって回転されている前記プーリーの回転力により、前記牽引部材の引張り力を増大させることを特徴とする請求項1に記載の牽引部材操作装置。
  3. 前記プーリーに対して回動自在で、前記プーリーと前記牽引部材との間に設けられ、前記牽引部材に摩擦力発生のための緩衝部材を有することを特徴とする請求項1に記載の牽引部材操作装置。
  4. 前記緩衝部材は、Cリングであることを特徴とする請求項3に記載の牽引部材操作装置。
  5. 前記操作指示レバーを初期状態である直立状態に配置しているとき、もしくは、前記操作指示レバーの傾倒操作に対して前記牽引部材の牽引状態が一致しているとき、全ての前記牽引部材が前記駆動手段によって回転されている前記プーリーに対して滑り状態になる構成をとる位置に把持部を配置したことを特徴とする請求項1に記載の牽引部材操作装置。
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