JP3916763B2 - バケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、高齢者、身障者等の乗降の容易化をはかるための乗降補助具を備えたバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、乗用車等の車両用シートのシートクッションにおいては、座面の尻部位置をその前方位置より低く設定した、いわゆる座面後傾型で、その左右の側部を座面より上方に隆起、突出させた、いわゆるバケット形状等のものが、近年一般的となっている。
【0003】
このような形状のシートクッションを備えたシートにおいては、尻部の沈んだ後傾姿勢での着座となるため、着座姿勢の安定化が容易にはかられる。そして、シートに対する着座者の動き、特に左右方向への尻部、下肢部の動きが、隆起した側部、いわゆるバケット部での抱持のもとで抑制されるため、着座者の快適性、ひいては安全性の確保が、優れたホールド性(保持性)、安定性のもとで容易に確保可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
乗用車等のシートにおいては、通常、ボディ側面のドアスペースを介して乗降するため、乗用車等の横幅方向におけるアウトサイド(外方サイド)が、そのシートの乗降側となる。そして、下肢部をドアスペースから車外に移動させた後に、シートに対する横向き、かつ前傾姿勢から立ち上がる動作が、乗用車等における一般的な降車動作となっている。
【0005】
ところで、尻部の沈んだ着座姿勢においては、その姿勢からの立ち上がり動作、つまり降車動作が容易でなくなる。つまり、シートクッションの側部にバケット部を有するシートにおいては、シートに対する横向きに着座姿勢を変えたとしても、この横向き姿勢が尻部の沈んだ着座姿勢となるため、その降車動作は容易でない。また、乗車の際においては、バケット部より低い位置の座面に尻部が沈み込むため、乗車動作のバランスが崩れやすい。
【0006】
通常は、身体の柔軟性や腕力でのサポート等によって、降車時の立ち上がり難さや乗車時のバランス崩れ等を補っているが、身体の柔軟性や腕力に劣る高齢者、手の動作に自由のきかない着座者、あるいは非力な女性等においてはこれが十分に期待できない。つまり、着座姿勢での安定性、快適性に優れた形状のシートであっても、それが高齢者等の円滑、容易な乗降の妨げとなる場合も多分に考えられる。
【0007】
また、下肢部の不自由な身体障害者(身障者)においては、ドアスペースに整列された車椅子の座面とシートの座面との間での尻部の移動が、乗降動作の主動作となる。しかし、側部を隆起したバケット部とする公知のシート形状では、隆起したバケット部の高さがその尻部の移動の妨げとなりやすい。そして、身障者の乗降の際においては、介護者が介護につく場合も多いが、乗用車等のドアスペースは低く狭いため、介護者による介護も容易ではない。
【0008】
この発明は、着座姿勢での快適性、安全性を損なうことなく乗降性を改善するとともに、その際の安全性を確保可能としたバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造の提供を目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、この発明によれば、乗降側、非乗降側一対のシートスライド装置のスライドレール上方に延びて、各側のベースブラケットがそれぞれ設けられ、補助具本体のベース体下端が、乗降側ベースブラケットに少なくとも上下位置で固定された取り付けブラケットに対し、所定のヒンジを介して回動自在に連結、支持されている。また、ヒンジに対する下方位置で取り付けブラケットに基端の枢着されたリンクアームの自由端が、ベース体のガイドレールによりその内部を直線的に摺動自在に連結され、ベース体に追従したリンクアームの回動のもとでの、ガイドレール端末による自由端の摺動規制によって、シートクッション本体に対する補助具本体の回動限度位置が前記立設のバケット位置、および倒設の補助位置にそれぞれ規定されている。
【0010】
また、剛体としてなる棒状の補強部材が、乗降側、非乗降側のブラケットをそれぞれの端末に一体的に有して形成されている。そして、上下方向に延びて上部位置から下部位置までの乗降側ベースブラケットとの接触のもとで乗降側ベースブラケットに固定された取り付け片と補強部材の側面に沿って延びて補強部材の対応端に固着された乗降側支持片とを有する乗降側ブラケットと、補強部材の軸線に対する直交方向に延びて補強部材の対応端に固着された非乗降側支持片と非乗降側支持片の固着位置より上方位置で非乗降側ベースブラケットに固定された非乗降側取り付け片とを有する非乗降側ブラケットとによって、補強部材が乗降側、非乗降側のベースブラケット間に架設、固定されている。たとえば、非乗降側ブラケットは、補強部材の軸線に対する直交方向に延びて補強部材の対応端に固着された非乗降側支持片と非乗降側支持片の固着位置より上方位置で非乗降側ベースブラケットに固定された非乗降側取り付け片とを有して形成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1、図2に示すように、この発明に係るバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造10においては、回動可能な補助具本体11を備えたバケット兼用乗降補助具12が、シートクッション14の本体15の乗降側、つまりドア側(アウトサイド)のバケット体として機能可能に配設されている。
【0013】
このバケット兼用乗降補助具12をシートクッション本体15の乗降側に有するシート、つまりバケット兼用乗降補助具付きシート16においては、この乗降側に対する非乗降側、つまりシートクッション本体のインサイドに、所定形状のバケット体18が配置されている。
【0014】
シート(バケット兼用乗降補助具付きシート)16は、たとえば、乗降側、非乗降側一対のシートスライド装置20o、20i によって前後方向にスライド可能に支持されている。そして、このシートスライド装置のスライドレール22の上方に延びたベースブラケット24o、24i に対するシートクッション本体15、バケット兼用乗降補助具12の連結、およびブラケット26等を介したバケット体18の固定によって、対応形状、つまり略バケット形状のシートクッション14は形成されている。
【0015】
なお、図1を見るとわかるように、シートスライド装置20o、20i としては、シートサイドのスライドレール(アッパレールとも称する)22を、床面サイドのガイドレール(ロアレールとも称する)28に対し、スチールボール30、ローラ32等の転動子を介してスライド自在に組み付けた公知の構成が、いずれも例示できる。
【0016】
図3に示すように、この補助具本体11は、たとえば、そのベース体をなすベースプレート34、ひいてはこのベースプレートに固定されたサポートプレート35の表面側に適当厚のパッド体36を配置し、これをトリムカバー38等で被覆して、概略形成される。そして、この図1、図3に示すように、この補助具本体11は、パッド体36の配置サイドに規定されたクッション面11a をその内側、つまりシートクッション本体15側に配する立設位置と、そのクッション面を上面に配した倒設位置との間を回動可能に形成されている。
【0017】
図1、図3に加えて図4を見るとわかるように、スペーサブラケット40が、乗降側ベースブラケット24o に溶着等のもとで一体的に固定され、離間並置された一対の取り付けブラケット42が、上下位置のボルト手段44、45 によって、このスペーサブラケット、ひいては乗降側ベースブラケットに固定されている。そして、ベースプレート(ベース体)34が、取り付けブラケット42に対し、たとえば、組み合わせ可能な一対のカール状抱持片34a、42a に支軸48を連続して挿通させた形態のヒンジ50を介して、回動自在に連結、支持されている。
【0018】
なお、ここでは、一対のカール状抱持片34a、42a に支軸48を連続して挿通させた形態のヒンジ50を例示しているが、ベースプレート34を取り付けブラケット42に対して回動自在に連結すれば足りるため、ヒンジはこの形態に限定されず、他の形態であってもよい。
【0019】
そして、図3、図4に示すように、一対のリンクアーム52の基端52a が、取り付けブラケット42に対し、ヒンジ50の下方位置で、その回動のみを可能に枢着されるとともに、このリンクアームの自由端52b が、所定長のガイドレール54での抱持のもとで、ベースプレート34に対して摺動自在に連結、支持されている。
【0020】
この実施の形態においては、一対のリンクアーム52が、上端の連続した平面略コ字形状の平行片として形成され、基端52a となる、相互の対向方向に折曲された各端末が、取り付けブラケット下端のカール状抱持片42b に回動自在に連結されるとともに、その自由端52b となる上端が、ガイドレール54の略コ字形状の抱持部54a とベースプレート28との間に介在、抱持されている。
【0021】
このような構成においては、ベースプレート34、つまり補助具本体11が取り付けブラケット42に対しヒンジ50を介して回動すると、リンクアーム52が、このベースプレートの回動に追従して、ガイドレールの抱持部54a 内での自由端(上端)52b の摺動を伴いながら、基端(各端末)52a を中心として対応方向に回動する。そして、基端52a を中心としたリンクアーム52の回動のもとでの、ガイドレールの抱持部54a の端末による自由端52b の摺動規制によって、取り付けブラケット42に対するベースプレート34の回動限度位置、つまりはシートクッション本体15に対する補助具本体11の回動限度位置が、図3の実線、および図2に示す立設のバケット位置と、図3の一点鎖線、および図5に示す倒設の補助位置とに、それぞれ規定可能となっている。
【0022】
なお、ベースプレート34、つまり補助具本体11の回動限度位置は、そのクッション面11a をほぼ水平とする位置として設定される。
【0023】
また、補助具本体11の立設のバケット位置における、補助具本体の内部、リンクアーム52、および取り付けブラケット42等の外観露出を防止する可撓性カバー55が、ベースプレート34の上端部への一端の連結のもとで、リンクアームの基端52a の下方までを覆って配設されている(図2、図3参照)。
【0024】
ここで、補助具本体11は、たとえば、ロック手段56によるリンクアーム52の回動規制のもとで、立設のバケット位置に保持される。図3、図4に示すように、このロック手段56として、たとえば、リンクアーム52のロックバー58をその開口端の弾性拡開のもとで脱着自在に係止可能とする、たとえば樹脂製の略C 形クリップが例示でき、この略C 形クリップは、ロックバーに対応する位置でベースプレート34に突設、固定されている。
【0025】
ロック手段(略C 形クリップ)56によって保持されたバケット位置の補助具本体11を、ロックバー58に対するロック手段の係止力を越える力のもとで、その内側、つまりシートクッション本体15側(図1、図3の右側)から押圧するか、外側(アウトサイド)から牽引するかによって、補助具本体は、その外側(図1、図3の左方)に、ヒンジ50を介した回動のもとで倒される。そして、ガイドレール抱持部54a の対応サイドの端末に対するリンクアーム自由端52b の係合に伴う、ヒンジ50とリンクアーム52とによる2点での支持のもとで、この補助具本体11は、クッション面11a をその上面でほぼ水平とする倒設の補助位置に設定、保持される(図3の一点鎖線、および図5参照)。
【0026】
図1、図5に示すように、補助具本体11が補助位置に倒設されると、シートクッション本体15の乗降側から、座面15a の上方に突出した部分がなくなり、この倒設によって上面となるクッション面11a が、シートクッション本体の座面に乗降側で連続して位置するため、シートクッション本体の座面から補助具本体のクッション面に尻部をずらして一旦置くことにより、ドアスペースから車外への下肢部の移動、および車外に向いた横向きの前傾着座姿勢が容易に確保できる。そして、着座者は、この補助具本体のクッション面11a に腰掛けた状態の前傾着座姿勢から、車外に向かって立ち上がれば足りるため、降車動作が、腕力に頼ることなく、また姿勢を崩すことなく容易に行える。
【0027】
このような、着座者の腰掛けの際においては、補助具本体11にその安定性が要求される。しかし、この発明におけるバケット兼用乗降補助具12においては、倒設位置の補助具本体11が、ヒンジ50、およびリンクアームの基端52a 、自由端52b を頂点とする三角形により支持されるため、安定性に優れた高い支持力のもとでの支持が容易に確保できる。
【0028】
また、倒設の補助位置であれば、下肢部の不自由な身障者等であっても、シートクッション本体の座面14a から補助具本体のクッション面11a に尻部をずらすことは、自己の腕力等のもとでも比較的容易に行える。そして、倒設された補助具本体のクッション面11a に腰掛けた姿勢、更には下肢部を車外に移動させた横向きの着座姿勢であれば、介護者が必要な場合であっても、介護者の位置する介護スペースがドアスペース脇に広く確保できるため、この補助具本体11を利用することによって、下肢部の不自由な障害者であっても、降車動作が煩雑化することがない。
【0029】
着座者の降車後においては、補助具本体11をその倒設の補助位置から立設位置方向に押し上げて回動させ、ロック手段56の開口56の持つ弾力以上の力のもとでロックバー58、つまりは補助具本体を押し込めば、この補助具本体は、ロック手段によるロックバーの係止のもとで立設のバケット位置に保持される。そのため、この補助具本体11、ひいてはバケット兼用乗降補助具12が、ドアの閉鎖妨げとなることがない。
【0030】
着座者の乗車の際においては、ドアの開放後、補助具本体11を前記手法のもとで立設のバケット位置から倒設の補助位置に回動、設定し、この補助位置においてクッション面11a に一旦腰掛け、下肢部を車内に移動させた後に尻部をクッション本体の座面15a 上に滑らせれば足りるため、腕力に頼った大きな移動を伴うことなく、また姿勢を崩すことなく、乗車動作が容易に行える。
【0031】
そして、乗車後、補助具本体11をその倒設の補助位置から立設位置方向に回動させ、ロック手段56によるロックバー58の係止のもとでその立設のバケット位置に保持すれば、この補助具本体が、シートクッション本体15の乗降側部に立設されたバケット部として機能するため、非乗降側のバケット体18と併せた側方支持による優れたホールド性、および安定性のもとで、着座時の安全性、快適性が容易に確保できる。
【0032】
なお、この発明の実施の形態においては、ロック手段56として、たとえば、リンクアームのロックバー58を係止可能とする樹脂製の略C 形クリップを例示しているが、ロック手段は、脱着自在な係止のもとでリンクアーム52を補助具本体11の立設のバケット位置で保持可能とすれば足りるため、略C 形クリップに限定されず、他の構成としてもよい。
【0033】
ところで、この発明におけるバケット兼用乗降補助具12によれば、ヒンジ50とリンクアーム52とによる2点での支持のもとで、補助具本体11はその倒設の補助位置に設定、保持されるため、補助具本体の安定した保持が、構成の複雑化を招くことなく容易に確保できる。しかし、その反面、着座者の腰掛けのもとで補助具本体11に作用する荷重は、ヒンジ50、リンクアーム52を介して、取り付けブラケット42から乗降側ベースブラケット24o に集中的に作用するため、対応部分の剛性強化が要求される。
【0034】
一般的には、肉厚化、あるいは補強部材の追加等による乗降側ベースブラケット24o の補強が考えられるが、乗降側ベースブラケットの肉厚化等は対応部分の大型化、重量化を伴い、また、補強部材の単純な追加は、全体的な構成の複雑化を伴うだけにすぎない。
【0035】
そこで、図1、図2に示すように、この発明のバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造10においては、剛体としてなる棒状の補強部材60を乗降側、非乗降側のベースブラケット24o、24i 間に架設、固定することで、乗降側ベースブラケットの剛性強化をはかっている。
【0036】
この補強部材60として、たとえば、所定径のパイプ体が利用でき、このパイプ体の端末の対応サイドに、乗降側、非乗降側のベースブラケット24o、24i に対応する乗降側、非乗降側のブラケット62o、62i が、それぞれ一体的に固着されている。
【0037】
図1に加えて図6を見るとわかるように、乗降側ブラケット62o は、補強部材(パイプ体)60の側面に沿って延びる支持片、たとえばパイプ体周面に対応した円弧状の支持片62oaを有して形成され、この支持片による、軸線方向での全面接触、あるいは複数点接触のもとで、補強部材の対応端に固着されている。また、非乗降側ブラケット62i は、補強部材60の軸線に対する直交方向に延びた支持片62iaによる、軸線方向での点接触のもとで、補強部材の対応端に固着されている。
【0038】
そして、この発明においては、乗降側ブラケット62o が、上下方向に延びた取り付け片62obの上部位置から下部位置までの、たとえば全面的な接触のもとで、乗降側ベースブラケット24o に固定されるとともに、支持片上部の取り付け片62ibを介した連結のもとで、非乗降側ブラケット62i は非乗降側ベースブラケット24i に固定されている。
【0039】
たとえば、図1に実線で示す、倒設の補助位置における着座者の腰掛け等のもとで、補助具本体11に上方からの荷重が付与されると、上方のボルト手段44付近では外方(図中左方)への引張力が、また下方のボルト45付近では内方(図中右方)への圧縮力が、それぞれ乗降側ベースブラケット24o に対して作用する。すると、この発明においては、乗降側ブラケットの取り付け片62obの上部位置、下部位置が、乗降側ベースブラケット24o に対してそれぞれ接触しているため、このような、いわゆる倒れ方向の荷重が乗降側ベースブラケットに作用すると、乗降側ブラケット62o 補強部材60が、補強部材の他方の端末、つまり非乗降側の端末を持ち上げるように回動しようとする。
【0040】
つまり、この発明によれば、補助具本体11に付与された荷重が、補強部材60を介し、上方への力に変換されて、非乗降側ブラケット62i サイド、つまりは非乗降側ベースブラケット24i に伝達される。そして、このような上方への荷重は、シートスライド装置20i のスチールボール30、ローラ32等によって受けられるため、補助具本体11に作用した荷重に抗するだけの抵抗力が、非乗降側ベースブラケット24i において確保でき、この抵抗力のもとで、乗降側ベースブラケット24o の倒れも十分に防止可能となる。
【0041】
このように、この発明のバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造10によれば、乗降側、非乗降側のベースブラケット24o、24i 間に架設、固定した補強部材60によってバケット兼用乗降補助具12の取り付け部分の補強を行うため、ベースブラケット等の肉厚化や他部材の構成の複雑化等を伴うことなく、バケット兼用乗降補助具に対する補強が容易に可能となる。
【0042】
そして、乗降側ブラケット62o の上部位置、下部位置を乗降側ベースブラケット24o に接触させて固定すれば足りるため、構成の複雑化、作業の煩雑化等を招くことなく、確実な補強が容易、かつ十分に得られる。
【0043】
ここで、この発明の実施の形態においては、補強部材60をパイプ体として具体化している。しかし、剛性を持つ棒体を補強部材60として乗降側、非乗降側のベースブラケット24o、24i 間に架設、固定すれば足りるため、これに限定されず、たとえば、中実のロッドや、断面略コ字形状、断面略四角形状等の中空棒体等を、補強部材として利用してもよい。
【0044】
また、この実施の形態においては、シートスライド装置20o、20i を有するシート16を例示し、このシートスライド装置のスライドレール22の上方に延びた形態として、乗降側、非乗降側のベースブラケット24o、24i を具体化しているが、シートスライド装置を有する構成に限定されず、シートスライド装置を持たない構成のシートに、この発明を応用してもよい。
【0045】
ところで、このようなバケット兼用乗降補助具12を備えたシート16においては、シートクッション本体15を前後方向に揺動可能に支持し、このシートクッション本体の揺動のもとで、その座面15a を、補助具本体のクッション面11a に連続するほぼ水平面として設定することが望ましい。
【0046】
図2に示すように、この構成においては、たとえば、乗降側、非乗降側のベースブラケット24o、24i の後部間に、支持シャフト64がブラケット66を介して架設され、この支持シャフトに対する抱持部材70を介した連結のもとで、シートクッション本体15のフレーム(本体フレーム)68の後部が回動自在に支持されている。また、シートクッション本体15の前部は、操作レバー72により上下方向に回動可能なリンクアーム74を有する昇降手段76によって、昇降可能に支持されている。
【0047】
通常、シートクッション本体15は、図7に示すような、前部を高くし、尻部位置を前部より低くした、いわゆる後傾状態に設定される。この後傾状態においては、その着座姿勢が、適度に後傾することによって安定するため、安定した着座姿勢が容易に確保可能となる。
【0048】
そして、図5、図8に示すように、補助具本体11を倒設の補助位置に設定したときに、シートクッション本体15を、前部の下降のもとで座面15a の水平位置に設定すれば、この座面と補助具本体のクッション面11a とが、ほぼ水平な状態で段差なく連続されるため、この補助具本体11、つまりはバケット兼用乗降補助具12を利用した乗降動作が、一層円滑、容易となる。
【0049】
なお、このバケット兼用乗降補助具12は、身障者、高齢者等の乗降に限定されず、他の着座者の乗降の際に使用しても何ら差し支えない。つまり、このバケット兼用乗降補助具12を利用すれば、補助位置の補助具本体11に一旦腰を掛けることで、足を大きく開くことなく乗降できため、スカートや着物等を着衣した女性の乗降の際においても、特に有効に利用できる。
【0050】
また、このバケット兼用乗降補助具は、乗用車等のシートに限定されず、たとえば、電車、船舶、飛行機等の他の車両等のシート、あるいは娯楽施設等の種々のシートにも、十分に適用可能である。
【0051】
上述した発明の実施の形態は、この発明を説明するためのものであり、この発明を何等限定するものでなく、この発明の技術範囲内で変形、改造等の施されたものも全てこの発明に包含されることはいうまでもない。
【0052】
【発明の効果】
上記のように、この発明に係るバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造によれば、乗降動作が腕力等に頼ることなく容易に確保できる。そして、倒設位置の補助具本体が、ヒンジ、およびリンクアームによる高い支持力のもとで支持されるため、安定性に優れた支持が容易に確保できる。
【0053】
また、乗降側、非乗降側のベースブラケット間に架設、固定した補強部材によってバケット兼用乗降補助具の取り付け部分の補強を行うため、ベースブラケット等の肉厚化や他部材の構成の複雑化等を伴うことなく、バケット兼用乗降補助具に対する補強が容易に可能となる。
【0054】
補助具本体への着座などによる負荷が、補強部材を介して非乗降側にも伝達され、乗降側、非乗降側の双方が分担して、その負荷を支持し抵抗する構成であるため、乗降側ベースブラケットの倒れが十分に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造の、一部破断の概略縦断面図である。
【図2】シートクッション本体の分解状態における、シートの斜視図である。
【図3】バケット位置、補助位置における、バケット兼用乗降補助具の概略縦断面図である。
【図4】バケット兼用乗降補助具の、内部の概略斜視図である。
【図5】補助具本体の補助位置における、シートの斜視図である。
【図6】補強部材の一部破断の概略斜視図である。
【図7】補助具本体のバケット位置における、その乗降側から見たシートクッションの概略側面図である。
【図8】補助具本体の補助位置における、その乗降側から見たシートクッションの概略側面図である。
【符号の説明】
10 バケット兼用乗降補助具付き車両用シート
11 補助具本体
12 バケット兼用乗降補助具
24o、24i 乗降側、非乗降側のベースブラケット
34 ベース体(ベースプレート)
42 取り付けブラケット
50 ヒンジ
52 リンクアーム
54 ガイドレール
60 補強部材(パイプ体)
62o、62i 乗降側、非乗降側のブラケット
Claims (2)
- クッション面を上面に配した倒設位置を補助位置とする補助具本体が、当該クッション面を内側に配する立設のもとで、シートクッションの乗降側のバケット部として機能可能なバケット兼用乗降補助具付き車両用シートであり、
乗降側、非乗降側一対のシートスライド装置のスライドレール上方に延びて、各側のベースブラケットがそれぞれ設けられ、
前記補助具本体のベース体下端が、前記乗降側ベースブラケットに少なくとも上下位置で固定された取り付けブラケットに対し、所定のヒンジを介して回動自在に連結、支持されるとともに、このヒンジに対する下方位置で取り付けブラケットに基端の枢着されたリンクアームの自由端が、ベース体のガイドレールによりその内部を直線的に摺動自在に連結され、ベース体に追従したリンクアームの回動のもとでの、ガイドレール端末による自由端の摺動規制によって、シートクッション本体に対する補助具本体の回動限度位置が前記立設のバケット位置、および倒設の補助位置にそれぞれ規定され、
剛体としてなる棒状の補強部材が、乗降側、非乗降側のブラケットをそれぞれの端末に一体的に有して形成され、上下方向に延びて上部位置から下部位置までの乗降側ベースブラケットとの接触のもとで乗降側ベースブラケットに固定された取り付け片と補強部材の側面に沿って延びて補強部材の対応端に固着された乗降側支持片とを有する乗降側ブラケットと、補強部材との固着位置より上方位置で非乗降側ベースブラケットに固定された非乗降側ブラケットとによって、当該補強部材が乗降側、非乗降側のベースブラケット間に架設、固定されたバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造。 - クッション面を上面に配した倒設位置を補助位置とする補助具本体が、当該クッション面を内側に配する立設のもとで、シートクッションの乗降側のバケット部として機能可能なバケット兼用乗降補助具付き車両用シートであり、
乗降側、非乗降側に離反して、一対のベースブラケットがそれぞれ上下方向に延びて配設され、
前記補助具本体のベース体下端が、前記乗降側ベースブラケットに少なくとも上下位置で固定された取り付けブラケットに対し、所定のヒンジを介して回動自在に連結、支持されるとともに、このヒンジに対する下方位置で取り付けブラケットに基端の枢着されたリンクアームの自由端が、ベース体のガイドレールによりその内部を直線的に摺動自在に連結され、ベース体に追従したリンクアームの回動のもとでの、ガイドレール端末による自由端の摺動規制によって、シートクッション本体に対する補助具本体の回動限度位置が前記立設のバケット位置、および倒設の補助位置にそれぞれ規定され、
剛体としてなる棒状の補強部材が、乗降側、非乗降側のブラケットをそれぞれの端末に一体的に有して形成され、上下方向に延びて上部位置から下部位置までの乗降側ベースブラケットとの接触のもとで乗降側ベースブラケットに固定された取り付け片と補強部材の側面に沿って延びて補強部材の対応端に固着された乗降側支持片とを有する乗降側ブラケットと、補強部材の軸線に対する直交方向に延びて補強部材の対応端に固着された非乗降側支持片と非乗降側支持片の固着位置より上方位置で非乗降側ベースブラケットに固定された非乗降側取り付け片とを有する非乗降側ブラケットとによって、当該補強部材が乗降側、非乗降側のベースブラケット間に架設、固定されたバケット兼用乗降補助具付き車両用シート構造。
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