JP3916092B2 - イミダゾリジノン誘導体とその酸付加塩及び老年性痴呆症の治療薬 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、コリン機能活性(ムスカリンM1 活性)を有するイミダゾリジノン誘導体又は薬理的に許容できる酸付加塩及びその製造方法並びにこれを有効成分とする老年性痴呆症の治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平均寿命の長期化に伴い、アルツハイマー型老人性痴呆症などの老人性痴呆症が、医学的にも社会的にも大きな問題となってきている。
痴呆患者は、知的能力の喪失、記憶障害、抽象的思考の障害、失語、失行、見当識障害などの症状を示し、その基本的機能の障害は、記憶の形成あるいは、保持された記憶の発現能力の障害にある。しかしながら、現在までのところこれを有効に治療できる薬剤は皆無に等しく、早急な治療薬の開発が望まれている。
【0003】
痴呆患者(特に、老人性痴呆症やアルツハイマー型老人性痴呆)における学習や記憶障害は、中枢コリン機能の低下と特に関連があるとされている。したがって、この中枢コリン機能、即ち、神経伝達物質であるアセチルコリンの機能活性を有する化合物が痴呆患者の治療に使用することができる(Science, 217, 408 (1982):R.I. Bartus et al.)。
【0004】
中枢コリン機能の低下による神経変性疾患のうち、特に記憶・認識障害などに関する中核症状が中枢アセチルコリン神経の機能低下によるものとされており、従来この中核症状の改善には、フィゾスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の投与、コリンやレシチンなどのアセチルコリン前駆物質の投与、アレコリンなどのアセチルコリン受容体に作用する薬剤の投与が試みられてきた(例えば、Dementia, 1, 188 (1987) など)。しかしながら、これらの試みはいずれも治療効果を有しないか、効果がわずかに発現したとしても副作用が強かったり、治療範囲が狭いなど多くの問題点を持っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような痴呆患者の現状を考慮し、痴呆患者(特に、老人性痴呆症やアルツハイマー型老人性痴呆)の中枢コリン機能を活性化しかつ記憶障害の治療に有効で、しかも安全性の高い老年性痴呆症の治療薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、新規の老年性痴呆症の治療薬の開発を目的として、痴呆の諸症状のうち特に、記憶障害の治療薬を求めて、鋭意研究を重ねた結果本発明のイミダゾリジノン誘導体とその酸付加塩に優れたコリン機能活性(ムスカリンM1 活性)のあることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明によれば、一般式(1)
(式中Rはハロゲン置換されてもよい低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、R1 、R2 は同一又は相異なって水素原子、低級アルキル基を表し、R3 は式
(式中R4 はハロゲン置換されてもよい低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、qは0〜3を表し、R5 は水素原子、式
(式中R6 、R7 は同一又は相異なって低級アルキル基を表すか、窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)してもよい)を表す)を表し、m及びnは0〜3を表し、pは1〜3を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその酸付加塩が、驚くべき優れたコリン機能活性(ムスカリンM1 活性)を有すること、更に抗健忘効果のあることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0008】
この一般式(1)で表される化合物、すなわちイミダゾリジノン環にテトラハイドロピリジン環が置換された化合物は、構造上新規な化合物である。また、この化合物は上記した優れた効果を有し、しかも低毒性の化合物である。
【0009】
本発明の一般式(1)の文中において、「環状アルキル基」とは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3〜7のものが挙げられ、「低級アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、 iso−プロピル等の直鎖若しくは分岐した炭素数1〜6のものが挙げられ、「置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環」における「置換基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。
【0010】
「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、「低級アルコキシ」とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等の直鎖若しくは分岐した炭素数1〜4のものが挙げられ、「低級アルコキシカルボニル基」とは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられ、「アミノ基」とは、アシル、例えばアセチル等によって置換されてもよく、また、1〜2個の低級アルキル基によって置換されていてもよい。
【0011】
「5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環」における「複素環」とは、飽和若しくは不飽和の単環式又は多環式の窒素、酸素、硫黄原子を1個以上含有し得る複素環式基であり、例えばピペリジル、ピペラジル、モルホリル、フラニル、チエニル、ピロリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラチル等が挙げられ、「そのベンゼン縮合環」とは、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、シンノリル等が挙げられる。
【0012】
「窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)」とは、飽和の単環式の窒素、酸素、硫黄原子を付加的に1個含有し得る複素環式基であり、例えばピロリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリル等が挙げられる。
【0013】
「脱離基」とは、ハロゲン原子、低級アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0014】
「酸付加塩」とは、例えば、塩酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等のような薬理学的に許容できる塩である。
【0015】
一般式(2)で表される本発明化合物は、例えば、以下に示す2種類(A及びB)の製法により製造することができる。
【0016】
[A]一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)
(式中R、R1 、R2 、X、m、n及びpは前述の通り)
で表される化合物と一般式(3)
(式中Yは脱離基を表し、R4 及びqは前述の通り)
又は一般式(4)
(式中R4 、q及びYは前述の通り)
又は一般式(5)
(式中R5 及びYは前述の通り)
で表される化合物とをテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、アセトニトリル等の適当な溶媒中、水素化ナトリウム、N,N−ジメチルアミノピリジン等の適当な塩基を用いて、25〜80℃で1〜7時間反応させて合成することができる。
【0017】
[B]一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、一般式(6)
(式中R8 は水素原子又は式
(式中R4 、R5 及びqは前述の通り)、R1 、R2 、X、n及びpは前述の通り)
で表される化合物を一般式(7)
(式中R、Y及びmは前述の通り)
で表される化合物とをテトラヒドロフラン、ベンゼン、アセトニトリル等の適当な溶媒中、25〜100 ℃で2〜10時間反応させ、一般式(8)
(式中Zはハロゲン原子を表し、R、R1 、R2 、R8 、X、m、n及びpは前述の通り)
で表される化合物を合成し、この一般式(8)で表される化合物をメタノール、エタノール、水等の適当な溶媒中或いはこれらの混合物中、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下に、0〜20℃で2〜10時間反応させることによって合成することができる。
【0018】
一般式(6)で表される化合物の一部は既知であって、特開平2-49725 号公報又はChem. Pharm. Bull., 38(9), 2467 (1990)等に準じて合成することができるが、以下の方法によっても合成することができる。
【0019】
一般式(6)で表される化合物のうち、R8 が式
(式中R4 、R5 及びqは前述の通り)
である化合物は、一般式(6a)
(式中R1 、R2 、X、n及びpは前述の通り)
で表される化合物と一般式(3)
(式中R4 、q及びYは前述の通り)
又は一般式(4)
(式中R4 、q及びYは前述の通り)
又は一般式(5)
(式中R5 及びYは前述の通り)
で表される化合物とを[A]の方法に準じて反応させることにより合成することができる。
【0020】
また、一般式(6)で表される化合物のうち、R8 が
(式中R4 及びqは前述の通り)
である化合物は、一般式(9)
(式中R3aは式
(式中R4 及びqは前述の通り)を表し、R9 とR10は、いずれか一方が水素原子であり、他方が、式
(式中R11は同一若しくは相異なって水素原子、低級アルキル基を表す)を表し、R、R1 、R2 、n及びpは前述の通り)
で表される化合物をトルエン、ジフェニルエーテル、N−メチルピペリドン等の適当な溶媒中又は無溶媒中、 150〜250 ℃で1〜3時間反応させて合成することができる。
【0021】
更に、一般式(6)で表される化合物のうち、R8 が
(式中R4 及びqは前述の通り)
である化合物は、一般式(10)
(式中R12は、水素原子、低級アルキル基、アラルキル基を表し、R1 、R2 、R3a、n、p及びXは前述の通り)
で表される化合物を臭化水素酸、塩酸等の酸又は塩化チオニル、三臭化リン等のハロゲン化剤中、90〜 150℃で2〜5時間反応させても合成することができる。
【0022】
ここで一般式(9)で表される化合物は、例えば以下のスキームに従い合成することができる。
(式中sは0〜2を表し、R1 、R2 、R3a、R9 、R10、n及びpは前述の通り)
【0023】
すなわち、相当するアミノ体と相当するカルボン酸体(11)及び(12)、又は(14)及び(15)をテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム等の適当な溶媒中、−10〜20℃にて
N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、シアノリン酸ジエチル(DEPC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDCI)、クロルギ酸エステル等の縮合剤の存在下に2〜5時間反応させ、アミド体(13)又は(16)とし、これをテトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ベンゼン等の適当な溶媒中、0℃〜溶媒の沸点にてボラン錯体(ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体)等の還元剤の存在下に2〜6時間反応させることで合成することができる。
【0024】
また、一般式(10)で表される化合物は、例えば以下のスキームに従い合成することができる。
(式中Y1 は水酸基、ハロゲン原子を表し、R1 、R2 、R3a、R12、X、n、s及びpは前述の通りを表す)
【0025】
すなわち、相当するアミノ体(11a)と相当するカルボン酸体或いはその酸ハライド(17)とをテトラヒドロフラン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムの適当な溶媒中、0〜20℃にてN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、シアノリン酸ジエチル(DEPC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDCI)等の縮合剤(クロルギ酸エステルを用いる酸無水物法でもよく)、或いはトリエチルアミン、ピリジン等の適当な塩基の存在下に2〜5時間反応させ、アミド体(18)とし、これをテトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ベンゼン等の適当な溶媒中、0℃〜溶媒の沸点にてボラン錯体(ボラン−テトラヒドロフラン錯体)、ボラン−ジメチルスルフィド錯体)等の還元剤の存在下に2〜6時間反応させ、アミン体(19)とした後、これと適当なイソシアン酸或いはイソチオシアン酸エステル(20)とを、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中或いは無溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン等の適当な塩基の存在下、0〜 150℃で2〜6時間反応させることで合成することができる。
【0026】
ここで、一般式(19)の化合物は、相当するアルデヒド体(21)とアミノアルコール体(22)とをトルエン、キシレン等の適当な溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下、20℃〜溶媒の沸点で2〜10時間反応させるか、エタノール、メタノール等のアルコール溶媒中、パラジウム炭素等の水素添加触媒の存在下で接触還元することでも合成することができる。
【0027】
一般式(1)で表される化合物の薬理的に許容できる酸付加塩が必要とされる場合、合成したイミダゾリジノン誘導体は、例えば、塩酸等の無機酸、又はマレイン酸なとの有機酸と反応させて得ることができる。
【0028】
【実施例】
本発明化合物の製造例及び実施例を記載し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2−イミダゾリジノン
【0030】
100ml ナス型コルベン中の1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン5.00g(30.6mmol)のアセトニトリル70ml溶液に、室温下臭化ベンジル3.64ml(1eq.)を加え、約8時間加熱還流した。1晩放置後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄して固体を得た。
この固体をエタノール 100mlに懸濁させ、0℃攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム2.32g(2eq.)を少しずつ加え、その後室温で4時間攪拌させた。1晩放置した後、反応液に水を加えて溶媒を減圧留去し、得られた残渣に飽和塩化ナトリウム溶液 100mlを加えて、塩化メチレン30mlで5回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を再結晶して、表題化合物2.53g(収率32%)を得た。
【0031】
mp. 120 − 122℃(アセトニトリル) 無色粉末状晶
元素分析(%) C15H19N3 Oとして
計算値 ; C:70.01 H:7.44 N:16.33
実測値 ; C:69.71 H:7.40 N:16.42
【0032】
(実施例2)
1−[4−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2−イミダゾリジノン
【0033】
1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに1−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを用いて実施例1と同様にして表題化合物を合成した。
【0034】
mp. 153 − 154℃(酢酸エチル) 黄色鱗片状晶
元素分析(%) C15H19N3 O・ 0.1H2 Oとして
計算値 ; C:69.52 H:7.47 N:16.22
実測値 ; C:69.67 H:7.23 N:16.24
【0035】
(実施例3)
1−[4−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2(1H)−テトラヒドロピリミジノン
【0036】
1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに1−(4−ピリジル)−2(1H)−テトラヒドロピリミジノンを用いて実施例1と同様にして表題化合物を合成した
【0037】
mp. 147 − 148℃(酢酸エチル) 無色針状晶
元素分析(%) C16H21N3 Oとして
計算値 ; C:70.82 H:7.80 N:15.48
実測値 ; C:70.54 H:7.65 N:15.55
【0038】
(実施例4)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0039】
50ml三頸フラスコ中に入れた1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2−イミダゾリジノン(実施例1)0.30g
(1.17mmol)の蒸留N,N−ジメチルホルムアミド10ml溶液に、室温攪拌下に水素化ナトリウム46.6mg(1eq.)を加えた。アルゴン気流下で30分攪拌した後、4−フルオロニトロベンゼン 124μl(1eq.)を滴下し、約6時間室温で攪拌させた。
反応液を氷水 100ml中へ注ぎ、析出した結晶を濾取し、再結晶して、表題化合物 260mg(収率58%)を得た。
【0040】
mp. 167 − 168℃(n−ヘキサン−酢酸エチル) 黄色鱗片状晶
元素分析(%) C21H22N4 O3 ・ 0.2H2 Oとして
計算値 ; C:66.02 H:5.91 N:14.67
実測値 ; C:66.14 H:5.78 N:14.67
【0041】
(実施例5−12)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−2−イミダゾリジノン(実施例1)或いは1−[4−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−2−イミダゾリジノン(実施例2)或いは1−[4−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−2(1H)−テトラヒドロピリミジノン(実施例3)を用いて実施例4と同様にして、以下の化合物を合成した。
【0042】
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
(実施例13)
1−[3−(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0046】
50ml封管中の1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン1.00g(3.52mmol)のアセトニトリル60ml溶液に、ヨウ化メチル0.22ml(1eq.)を加えて4時間加熱還流させた。冷後、反応液を減圧留去し、得られた残渣をn−ヘキサンでデカントして洗浄し、1.51gの針状晶の固体を得た。
m.p. 281− 283℃
この残渣を 500mlナス型コルベン中に取り、メタノール 100ml、エタノール15mlと水60mlを加えて溶解させ、室温下で水素化ホウ素ナトリウム0.38g(2eq.)を少しずつ加え、その後同温下で1時間攪拌した。一夜放置した後、更に7時間攪拌し、反応液を減圧留去して残渣を得た。この残渣に飽和塩化ナトリウム溶液30mlを加えて塩化メチレン40mlで5回抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を再結晶して表題化合物0.83g(収率78%)を得た。
【0047】
mp. 153 − 155℃(アセトニトリル) 黄色針状晶
元素分析(%) C15H18N4 O3 として
計算値 ; C:59.59 H:6.00 N:18.53
実測値 ; C:59.39 H:5.92 N:18.56
【0048】
出発原料である1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、以下のようにして合成した。
【0049】
(参考例1)
1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0050】
1Lの三頸フラスコ中の1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン10.0g(61.3mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド 300ml溶液に、アルゴン気流下、室温で60%水素化ナトリウム2.45g(1eq.)を徐々に加え、その後、室温で30分攪拌した。この反応混合物に、4−フルオロニトロベンゼン6.50ml(1eq.)を滴下し2時間攪拌した後、氷水3Lに注ぎ、しばらく攪拌して析出した結晶を濾取した。
濾取した結晶を風乾した後、更に 100℃で減圧乾燥した。この結晶を再結晶して、1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン7.45g(収率43%)を得た。
【0051】
mp. 229 − 231℃(アセトニトリル) 黄色針状晶
元素分析(%) C14H12N4 O3 として
計算値 ; C:59.15 H:4.25 N:19.71
実測値 ; C:59.31 H:4.47 N:19.56
【0052】
(実施例14)
1−[3−(1−イソプロピル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0053】
ヨウ化メチルの代わりにヨウ化イソプロピルを用いて、実施例13と同様にして表題化合物を合成した。
【0054】
mp. 138 − 140℃(アセトニトリル) 黄色針状晶
元素分析(%) C17H22N4 O3 として
計算値 ; C:61.80 H:6.71 N:16.96
実測値 ; C:61.89 H:6.76 N:17.19
【0055】
(実施例15)
1−[3−(1−(4−フルオロフェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0056】
ヨウ化メチルの代わりに塩化4−フルオロベンジルを用いて、実施例13と同様にして表題化合物を合成した。
【0057】
mp. 132 − 134℃(アセトニトリル) 橙色板状晶
元素分析(%) C21H21FN4 O3 として
計算値 ; C:63.63 H:5.34 N:14.13
実測値 ; C:63.62 H:5.41 N:14.03
【0058】
(実施例16)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−アセチルアミノフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0059】
出発原料として1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを使用し、ヨウ化メチルの代わりに臭化ベンジルを用いて実施例13と同様にして表題化合物を合成した。
【0060】
mp. 87−89℃(アセトニトリル) 淡褐色粉末状晶
元素分析(%) C23H26N4 O2 ・ 1.9H2 Oとして
計算値 ; C:65.04 H:7.07 N:13.19
実測値 ; C:65.14 H:7.14 N:12.98
【0061】
出発原料である1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、以下のようにして合成した。
【0062】
(参考例2)
1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0063】
(A);1−(4−アミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0064】
50mlナス型コルベン中の鉄粉1.96g(5eq.)に酢酸18mlを加え20分間攪拌した後、1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン2.00g(7.04mmol)を加えた。反応混合物を、60℃で4時間攪拌し、その後反応液を減圧留去し、残渣に水を加え鉄粉を濾取して除いた。濾液を水酸化カリウム水溶液を用いてpHを12以上とし、これを塩化メチレン 100mlで8回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去して淡褐色粉末状晶の1−(4−アミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン0.57g(収率32%)を得た。
【0065】
1H−NMR(TMS in d6 −DMSO,90MHz)
δ 3.91(4H,bs),4.96(2H,bs),6.57(2H,d,J=9.0Hz),7.22(2H,d,J=9.0Hz),7.33−7.55(1H,m),7.95−8.08(1H,m),8.17(1H,dd,J=4.4 ,3.1Hz),8.81(1H,d,J=2.0Hz)
【0066】
(B);1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0067】
100ml ナス型コルベン中の1−(4−アミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン0.57g(2.24mmol)の乾燥塩化メチレン10ml溶液にトリエチルアミン0.34ml(1.1eq.)を加え、15分間攪拌した後、氷冷下でアセチルクロライド0.17ml(1.1eq.)を滴下した。滴下後、室温8時間攪拌し、この反応液に飽和塩化ナトリウム溶液10mlを加え、有機層を分取した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン0.16g(収率24%)を得た。
【0068】
1H−NMR(TMS in d6 −DMSO,90MHz)
δ 2.04(3H,s),3.28−3.52(4H,m),7.12−7.68(5H,m),7.92−8.08(1H,m),8.12−8.24(1H,m),8.76(1H,bs),9.92(1H,bs)
【0069】
(実施例17)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0070】
(A);1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0071】
100ml ナス型コルベン中のN−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン4.54g(14.8mmol)のトルエン10ml溶液を徐々に加熱し、 190〜210 ℃にてトルエン留去と共に 1.5時間加熱した。あめ状反応物を室温に戻し、塩化メチレンを加えて溶かし、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=5:1)で精製し、褐色結晶の1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン2.28g(収率56%)を得た。
【0072】
Mass;C14H12ClN3 O
m/e: 273(M+ .base), 139, 125, 111,92,78
【0073】
(B);1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0074】
100ml ナス型コルベン中の1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン1.10g(4.02mmol)のアセトニトリル30ml溶液に、臭化ベンジル0.48ml(1eq.)を加えて2時間加熱還流させた。冷後反応液を減圧留去し、得られた残渣をn−ヘキサン20mlで3回デカントして洗浄し、固体を得た。この固体に、メタノール 200mlと水70mlを加えて溶解させ、室温下で水素化ホウ素ナトリウム0.30g(2eq.)を少しずつ加え、その後同温下で 3.5時間反応攪拌した。一夜放置した後、反応液を減圧濃縮し、水を加えて塩化メチレン 100mlで3回抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)で精製し、再結晶して表題化合物0.63g(収率43%)を得た。
【0075】
mp. 123 − 124℃(2−プロパノール) 無色針状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 Oとして
計算値 ; C:68.56 H:6.03 N:11.42
実測値 ; C:68.49 H:6.09 N:11.46
【0076】
出発原料であるN−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミンは、以下のようにして合成した。
【0077】
(参考例3)
N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン
【0078】
(A);2−[N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル]アミノ−N′−(3−ピリジル)アセトアミド
【0079】
100ml ナス型コルベン中のN−メトキシカルボニル−N−4−クロルフェニルグリシン1.25g(1.01eq.)の蒸留塩化メチレン15ml溶液に、室温下でEDCI[1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩]1.08g(1.10eq.)を少しずつ加えた。その後、3−アミノピリジン0.48g(5.10mmol)を更に少しずつ加えた。この反応混合物を室温で4時間攪拌させ、一夜放置した後、水を加えて有機層を分取した。水層を塩化メチレン30mlで2回抽出し、先の分取した有機層とあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して残留物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル:n−ヘキサン=5:2、後塩化メチレン:メタノール=20:1)で精製し、褐色油状物の2−[N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル]アミノ−N′−(3−ピリジル)アセトアミド1.03g(収率63%)を得た。
【0080】
Mass;C15H14ClN3 O3
m/e: 319(M+ ), 287, 198, 139,78(base)
【0081】
(B);N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン
【0082】
100ml ナス型コルベン中の1M−ボラン・テトラヒドロフラン錯体14.5ml溶液(4.5eq.)に、氷冷下アルゴン気流中、2−[N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル]アミノ−N′−(3−ピリジル)アセトアミド1.03g(3.22mmol)の蒸留テトラヒドロフラン20ml溶液をゆっくりと滴下した。その後、室温で30分間、更に2時間加熱還流させた。反応液を室温に戻し、 300mlナス型コルベン中の6N塩酸40mlに室温下で注意深く加え、その後 2.5時間加熱還流させた。反応液を減圧濃縮し、水を加えて酢酸エチルで洗浄し、水層を分取した後、有機層を1N塩酸(50ml)で再度抽出した。先の水層と併せて氷冷下で冷却しながら水酸化カリウムにてpHを12以上とした。アルカリ性の水層を酢酸エチル200ml で3回、更に塩化メチレン 100mlで2回抽出し、有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で精製し、淡褐色油状物のN−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン0.84g(収率85%)を得た。
【0083】
Mass;C15H16ClN3 O2
m/e: 305(M+ ), 193, 107(base)
【0084】
(実施例18)
1−[3−(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0085】
臭化ベンジルの代わりにヨウ化メチルを用い実施例17−(B)と同様の方法にて表題化合物を合成した。
【0086】
mp. 117 − 118℃(アセトニトリル) 無色格子状晶
元素分析(%) C15H19N3 Oとして
計算値 ; C:61.75 H:6.22 N:14.40
実測値 ; C:61.65 H:6.38 N:14.44
【0087】
(実施例19)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジルメチル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・塩酸塩
【0088】
(A);1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノン
【0089】
100ml ナス型コルベン中のN−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア5.81g(14.7mmol)に室温下、48%臭化水素酸65mlを加え徐々に加熱し、95〜 100℃で4時間加熱した。反応液を室温に戻し、水20mlを加え、更に酢酸エチル50mlを加えて抽出した。酢酸エチル層を、6N−塩酸30mlで抽出し、先の水層と合わせ、これを氷冷下で冷却しながら水酸化カリウムでpHを12以上とし、塩化メチレン 100mlで3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、褐色結晶の1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノン2.28g(収率54%)を得た。
【0090】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,90MHz)
δ 3.28−3.47(2H,m),3.71−3.89(2H,m),4.48(2H,m),7.22−7.75(8H,m),8.52−8.57(2H,m)
【0091】
(B);1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジルメチル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・塩酸塩
【0092】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノンを用いて、実施例17−(B)と同様の方法にて1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジルメチル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノンを褐色油状物として得、この残留物を酢酸エチル中飽和エーテル−塩酸にて処理し、再結晶して表題化合物0.18g(収率17%)を得た。
【0093】
mp. 235 − 237℃(エタノール) 淡褐色格子状晶
元素分析(%) C22H24ClN3 O・HClとして
計算値 ; C:63.16 H:6.02 N:10.04
実測値 ; C:63.04 H:6.09 N: 9.84
【0094】
出発原料であるN−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレアは、以下のようにして合成した。
【0095】
(参考例4)
N−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア
【0096】
(A);3−[N−2−(ベンジルオキシ)エチル]ピリジルメタンアミン
【0097】
200ml ナス型コルベン中のピリジン−3−アルデヒド3.50g(32.7mmol)のメタノール70ml溶液に室温下、O−ベンジルエタノールアミン4.94g(1eq.)を加え同温下で2時間攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウム2.47g(2eq.)を徐々に加え、更に5時間室温で攪拌し、一夜放置した。反応液を減圧留去し、残留物に水を加えて塩化メチレン 200mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去して淡黄色油状物の3−[N−2−(ベンジルオキシ)エチル]ピリジルメタンアミン7.59g(収率、96%)を得た。このまま精製せずに次反応に用いた。
【0098】
(B);N−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア
【0099】
100ml ナス型コルベン中の3−[N−2−(ベンジルオキシ)エチル]ピリジルメタンアミン2.35g(9.70mmol)のテトラヒドロフラン30ml溶液に、室温下4−クロロフェニルイソシアネート1.24ml(1eq.)を滴下した。反応液を室温で8時間攪拌し、一夜放置した後溶媒を減圧留去し、得られた残留物に水を加え、これを水酸化カリウムでpHを12以上とし、塩化メチレン 100mlで3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して残留物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、茶褐色油状物のN−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア2.93g(収率76%)得た。
【0100】
Mass;C22H22ClN3 O2
m/e: 395(M+ ), 304, 153, 121(base)
【0101】
(実施例20)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン・マレイン酸塩
【0102】
実施例4で合成した1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン0.20gのメタノール5ml溶液に、加熱下でマレイン酸61.5mgを加え更に10分間加熱した。反応液を室温に戻し、析出した結晶を濾取後、再結晶して表題化合物0.17g(収率65%)を得た。
【0103】
mp. 168 − 169℃(メタノール−水) 淡黄色粉末状晶
元素分析(%) C21H22N4 O3 ・C4 H4 O4 として
計算値 ; C:60.72 H:5.30 N:11.33
実測値 ; C:60.52 H:5.26 N:11.36
【0104】
(実施例21)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・マレイン酸塩
【0105】
実施例17で合成した1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノンを用いて実施例20と同様にして表題化合物を得た。
【0106】
mp. 154 − 155℃(メタノール) 無色格子状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 O・C4 H4 O4 ・ 0.2H2 Oとして
計算値 ; C:61.59 H:5.46 N:8.62
実測値 ; C:61.65 H:5.34 N:8.68
【0107】
(実施例22)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・リン酸塩
【0108】
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン(実施例17)3.00g(8.15mmol)のアセトニトリル 170ml溶液に室温攪拌下、85%リン酸0.94g(1.0 eq.)のアセトニトリル5ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した。得られた析出物を濾取し、エタノール 100mlに懸濁させて室温で30分間攪拌した。結晶を濾取し、乾燥して表題化合物3.43g(収率90%)を得た。
【0109】
mp. 145 − 147℃ 淡褐色粉末状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 O・H3 PO4 として
計算値 ; C:54.14 H:5.41 N:9.02
実測値 ; C:54.12 H:5.39 N:9.13
【0110】
(実施例23−43)
1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン(実施例17−A)を原料として実施例17−Bと同様にして、相当するアラルキルハライドを用いて以下の化合物を合成した。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
(実施例44−48)
4−フルオロニトロベンゼンの代わりに相当するハライド等を用いて1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジル]−2−イミダゾリジノン(実施例1)を原料とし実施例4と同様にして、以下の化合物を合成した。
【0115】
【表6】
【0116】
(実施例49)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノン
【0117】
4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−クロロメチルピリジン・塩酸塩を用いて実施例4と同様にして表題化合物を合成した。褐色油状物
【0118】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,400MHz)
δ 2.23(2H,brs),2.53(2H,t,J=5.9Hz),3.24(1H,d,J=9.8Hz),3.26(1H,d,J=8.8Hz),3.50(1H,d,J=8.8Hz),3.52(1H,d,J=9.8Hz),3.67(2H,s),3.68(2H,s),4.37(2H,s),4.97(1H,brs),7.27−7.39(6H,m),7.63(1H,d,J=7.8Hz),8.51−8.55(2H,m)
【0119】
H.R.Mass C21H24N4 Oとして
計算値 ;m/Z :348.1950 実測値 ;m/z :348.1919
【0120】
(実施例50)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(2−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0121】
300ml ナス型コルベン中の1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン5.00g(18.3mmol)のアセトニトリル70ml溶液に、臭化ベンジル2.18ml(1eq.)を加えて4時間加熱還流させた。冷後反応液を減圧留去し、得られた残渣をn−ヘキサン50mlで3回デカントして洗浄し、得られた固体に、メタノール 200mlを加えて溶解させ、氷冷攪拌下で水素化ホウ素ナトリウム1.39g(2eq.)を少しずつ加え、その後室温下で2時間反応攪拌した。1夜放置した後、更に水素化ホウ素ナトリウム0.70g(1eq.)を加えて1時間室温で攪拌した後、反応液を減圧留去し、得られた残渣に水を加えて塩化メチレン50mlで4回抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)で精製し、再結晶して表題化合物4.43g(収率66%)を得た。
【0122】
mp. 98− 101℃(シクロヘキサン) 淡褐色粉末状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 Oとして
計算値 ; C:68.56 H:6.03 N:11.42
実測値 ; C:68.46 H:6.03 N:11.40
【0123】
出発原料の1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−2−クロロフェニルグリシンから合成した。
【0124】
(実施例51)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(3−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0125】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0126】
mp. 110 − 112℃(2−プロパノール) 淡黄色粉末状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 Oとして
計算値 ; C:68.56 H:6.03 N:11.42
実測値 ; C:68.67 H:6.11 N:11.45
【0127】
出発原料の1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−3−クロロフェニルグリシンから合成した。
【0128】
(実施例52)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−フルオロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0129】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0130】
mp. 97−98℃(ジイソプロピルエーテル) 淡黄色格子状晶
元素分析(%) C21H22FN3 Oとして
計算値 ; C:71.77 H:6.31 N:11.96
実測値 ; C:71.93 H:6.49 N:11.89
【0131】
出発原料の1−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−4−フルオロフェニルグリシンから合成した。
【0132】
(実施例53)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0133】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0134】
mp. 113 − 114℃(2−プロパノール) 無色針状晶
元素分析(%) C22H22F3 N3 Oとして
計算値 ; C:65.82 H:5.52 N:10.47
実測値 ; C:65.68 H:5.56 N:10.62
【0135】
出発原料の1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−4−トリフルオロメチルフェニルグリシンから合成した。
【0136】
(実施例54)
1−[4−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(2−プロピニル)−2−イミダゾリジノン
【0137】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(2−プロピニル)−3−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0138】
mp. 83−84℃(ジイソプロピルエーテル) 無色針状晶
元素分析(%) C18H21N3 Oとして
計算値 ; C:73.19 H:7.17 N:14.23
実測値 ; C:73.23 H:7.13 N:14.21
【0139】
出発原料の1−(2−プロピニル)−3−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、1−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−ブロモプロピンを用いて参考例1と同様にして合成した。
【0140】
(実施例55)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(2−プロピニル)−2−イミダゾリジノン
【0141】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(2−プロピニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。淡黄色油状物
【0142】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,400MHz)
δ 2.12−2.16(3H,m),3.43(2H,t,J=6.0Hz),3.36(1H,d,J=9.8Hz),3.38(1H,d,J=7.8Hz),3.45(1H,d,J=7.8Hz),3.47(1H,d,J=9.8HZ),3.57(4H,s),3.93(2H,d,J=3.9Hz),4.90(1H,t,J=3.9Hz),7.15−7.30(5H,m),7.63(1H,d,J=7.8Hz),8.51−8.55(2H,m)
【0143】
H.R.Mass C18H21N3 Oとして
計算値 ;m/Z :295.1685 実測値 ;m/z :295.1709
【0144】
出発原料の1−(2−プロピニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−ブロモプロピンを用いて参考例1と同様にして合成した。
【0145】
(実施例56)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−メトキシフェニルメチル)−2−イミダゾリジノン
【0146】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(4−メトキシフェニルメチル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。無色油状物
【0147】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,400MHz)
δ 2.20−2.33(2H,m),3.50(2H,t,J=5.9Hz),3.19(1H,d,J=9.8Hz),3.21(1H,d,J=8.3Hz),3.45(1H,d,J=8.3Hz),3.47(1H,d,J=9.8Hz),3.66(2H,s),3.71(2H,d,J=1.5Hz),3.80(3H,s),4.29(2H,s),4.92(1H,brs),6.85(2H,d,J=8.6Hz),7.18(2H,d,J=8.6Hz),7.25−7.39(5H,m)
【0148】
H.R.Mass C23H27N3 O2 として
計算値 ;m/Z :377.2103 実測値 ;m/z :377.2094
【0149】
出発原料の1−(4−メトキシフェニルメチル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として4−フルオロニトロベンゼンの代わりに4−メトキシフェニルメチルクロリドを用いて参考例1と同様にして合成した。
【0150】
【発明の効果】
(実験例1)
インビトロの生化学試験
【0151】
1) M1 型コリン作動性ムスカリン受容体に対する結合実験
方法:ラット全脳(小脳、脳幹を除く)から調製した粗シナプトソーム膜標品にM1 受容体に選択的に結合する[ 3H]ピレンゼピン([ 3H]−PZ、最終濃度:1nM)と被験化合物を加え、25℃で60分間インキュベートさせた。吸引濾過により反応停止後、フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。[ 3H]−ピレンゼピンの特異的結合量はアトロピン(1μM)存在下での非特異的結合量を総結合量から差し引くことにより求めた。被験化合物非存在下における[ 3H]−ピレンゼピン結合を 100とし、50%低下させる化合物の濃度(IC50値)を化合物のM1 ムスカリン受容体への結合能の指標とした。(参照:J.A.D.M.トナーら、ライフ サイエンス(Life Science),1987,40,1981−1987)
【0152】
2) M2 型コリン作動性ムスカリン受容体に対する結合実験
方法:粗シナプトソーム膜標品はラットの脳幹(延髄−橋)から調製し、放射性リガンドとして[ 3H]−キヌクリジルベンゾエート([ 3H]−QNB,0.1 nM)を使用する以外はM1 受容体に対する親和性に関する実験と同様の操作を行った。
【0153】
3) M1 受容体の選択性
M1 及びM2 ムスカリン性受容体結合実験から得られた被験化合物のIC50値の比から求めた。
【0154】
【0155】
【表7】
【0156】
結果:表7は、本発明による化合物のM1 とM2 受容体への親和性と選択性を示す。[ 3H]−PZのIC50置換は、M1 受容体に対する親和性を、[ 3H]−QNBのIC50置換は、M2 受容体に対する親和性を表す。M2 /M1 の比が大きいほどM1 受容体に対する選択性が高いことを示している。
結果は、本発明による化合物が中枢性のM1 ムスカリン受容体に対して強力な親和性と顕著な特異性を有することを示した。
【0157】
(実験例2)
インビボの薬理試験
【0158】
ピレンゼピン誘発健忘に関する試験
実験動物は体重24〜33g(5週齢)のStd:ddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を使用した。装置は明暗2室からなるステップスルー式受動的回避反応装置(小原医科製)を用いた。獲得試行においては、マウスを明室に入れ、10秒後に仕切りのギロチンドアを開け、マウスが暗室に移動すると同時にギロチンドアを閉じ、床グリッドから43〜44Vの電気ショックを1秒間与えた。再生試行はその24時間後に行った。再生試行においては、マウスを再び明室に入れ、暗室に移動するまでの時間を反応潜時として最大 300秒まで測定し、それ以上の潜時を示したマウスは 300秒とした。健忘の誘発は、学習獲得試行の20分前にマウスを無麻酔下で腹位に固定し、ピレンゼピン(10μg/2μl/マウス)をマイクロシリンジを使用して脳室内に両側性に注入することによって行った。また、獲得試行前にピレンゼピンを投与しない群(非健忘対照群)も設けた。被験化合物は獲得試行の60分前に経口投与した。改善率を以下の式により計算し、結果を表8に示した。(参照:M.P.コールフィールドら、ジャーナル オブ ファーマーシー アンド ファーマコロジー(J. Pharm. Pharmacol.)1983, 35, 131−132)
【0159】
【0160】
【表8】
【0161】
結果:表8は、本発明の化合物のピレンゼピン誘発健忘に対する改善効果を示す。
無処置群に対してピレンゼピン処理マウスにおける反応潜時の短縮は電気ショックによる学習効果の減弱、すなわち健忘が生じていることを示している。従って、化合物による反応潜時の延長は健忘が改善されたことを意味する。
結果は、本発明による化合物が中枢コリン作動性神経の障害によって引き起こされた健忘に対して極めて優れた改善効果を有することを示した。
【産業上の利用分野】
本発明は、コリン機能活性(ムスカリンM1 活性)を有するイミダゾリジノン誘導体又は薬理的に許容できる酸付加塩及びその製造方法並びにこれを有効成分とする老年性痴呆症の治療薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、平均寿命の長期化に伴い、アルツハイマー型老人性痴呆症などの老人性痴呆症が、医学的にも社会的にも大きな問題となってきている。
痴呆患者は、知的能力の喪失、記憶障害、抽象的思考の障害、失語、失行、見当識障害などの症状を示し、その基本的機能の障害は、記憶の形成あるいは、保持された記憶の発現能力の障害にある。しかしながら、現在までのところこれを有効に治療できる薬剤は皆無に等しく、早急な治療薬の開発が望まれている。
【0003】
痴呆患者(特に、老人性痴呆症やアルツハイマー型老人性痴呆)における学習や記憶障害は、中枢コリン機能の低下と特に関連があるとされている。したがって、この中枢コリン機能、即ち、神経伝達物質であるアセチルコリンの機能活性を有する化合物が痴呆患者の治療に使用することができる(Science, 217, 408 (1982):R.I. Bartus et al.)。
【0004】
中枢コリン機能の低下による神経変性疾患のうち、特に記憶・認識障害などに関する中核症状が中枢アセチルコリン神経の機能低下によるものとされており、従来この中核症状の改善には、フィゾスチグミンなどのアセチルコリンエステラーゼ阻害剤の投与、コリンやレシチンなどのアセチルコリン前駆物質の投与、アレコリンなどのアセチルコリン受容体に作用する薬剤の投与が試みられてきた(例えば、Dementia, 1, 188 (1987) など)。しかしながら、これらの試みはいずれも治療効果を有しないか、効果がわずかに発現したとしても副作用が強かったり、治療範囲が狭いなど多くの問題点を持っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記のような痴呆患者の現状を考慮し、痴呆患者(特に、老人性痴呆症やアルツハイマー型老人性痴呆)の中枢コリン機能を活性化しかつ記憶障害の治療に有効で、しかも安全性の高い老年性痴呆症の治療薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、新規の老年性痴呆症の治療薬の開発を目的として、痴呆の諸症状のうち特に、記憶障害の治療薬を求めて、鋭意研究を重ねた結果本発明のイミダゾリジノン誘導体とその酸付加塩に優れたコリン機能活性(ムスカリンM1 活性)のあることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明によれば、一般式(1)
(式中Rはハロゲン置換されてもよい低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、R1 、R2 は同一又は相異なって水素原子、低級アルキル基を表し、R3 は式
(式中R4 はハロゲン置換されてもよい低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、qは0〜3を表し、R5 は水素原子、式
(式中R6 、R7 は同一又は相異なって低級アルキル基を表すか、窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)してもよい)を表す)を表し、m及びnは0〜3を表し、pは1〜3を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す)で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその酸付加塩が、驚くべき優れたコリン機能活性(ムスカリンM1 活性)を有すること、更に抗健忘効果のあることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0008】
この一般式(1)で表される化合物、すなわちイミダゾリジノン環にテトラハイドロピリジン環が置換された化合物は、構造上新規な化合物である。また、この化合物は上記した優れた効果を有し、しかも低毒性の化合物である。
【0009】
本発明の一般式(1)の文中において、「環状アルキル基」とは、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル等の炭素数3〜7のものが挙げられ、「低級アルキル」とは、メチル、エチル、n−プロピル、 iso−プロピル等の直鎖若しくは分岐した炭素数1〜6のものが挙げられ、「置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環」における「置換基」とは、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、低級アルコキシカルボニル基、ニトロ基、アミノ基、シアノ基等が挙げられる。
【0010】
「ハロゲン原子」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられ、「低級アルコキシ」とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ等の直鎖若しくは分岐した炭素数1〜4のものが挙げられ、「低級アルコキシカルボニル基」とは、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等が挙げられ、「アミノ基」とは、アシル、例えばアセチル等によって置換されてもよく、また、1〜2個の低級アルキル基によって置換されていてもよい。
【0011】
「5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環」における「複素環」とは、飽和若しくは不飽和の単環式又は多環式の窒素、酸素、硫黄原子を1個以上含有し得る複素環式基であり、例えばピペリジル、ピペラジル、モルホリル、フラニル、チエニル、ピロリジル、ピラゾリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピリジル、ピリミジル、ピリダジル、ピラチル等が挙げられ、「そのベンゼン縮合環」とは、ベンゾフラニル、ベンゾチエニル、インドリル、ベンズイミダゾリル、ベンズオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、キノキサリル、シンノリル等が挙げられる。
【0012】
「窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)」とは、飽和の単環式の窒素、酸素、硫黄原子を付加的に1個含有し得る複素環式基であり、例えばピロリジル、ピペリジル、ピペラジル、モルホリル等が挙げられる。
【0013】
「脱離基」とは、ハロゲン原子、低級アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等が挙げられる。
【0014】
「酸付加塩」とは、例えば、塩酸、クエン酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸等のような薬理学的に許容できる塩である。
【0015】
一般式(2)で表される本発明化合物は、例えば、以下に示す2種類(A及びB)の製法により製造することができる。
【0016】
[A]一般式(1)で表される化合物は、一般式(2)
(式中R、R1 、R2 、X、m、n及びpは前述の通り)
で表される化合物と一般式(3)
(式中Yは脱離基を表し、R4 及びqは前述の通り)
又は一般式(4)
(式中R4 、q及びYは前述の通り)
又は一般式(5)
(式中R5 及びYは前述の通り)
で表される化合物とをテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、アセトニトリル等の適当な溶媒中、水素化ナトリウム、N,N−ジメチルアミノピリジン等の適当な塩基を用いて、25〜80℃で1〜7時間反応させて合成することができる。
【0017】
[B]一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、一般式(6)
(式中R8 は水素原子又は式
(式中R4 、R5 及びqは前述の通り)、R1 、R2 、X、n及びpは前述の通り)
で表される化合物を一般式(7)
(式中R、Y及びmは前述の通り)
で表される化合物とをテトラヒドロフラン、ベンゼン、アセトニトリル等の適当な溶媒中、25〜100 ℃で2〜10時間反応させ、一般式(8)
(式中Zはハロゲン原子を表し、R、R1 、R2 、R8 、X、m、n及びpは前述の通り)
で表される化合物を合成し、この一般式(8)で表される化合物をメタノール、エタノール、水等の適当な溶媒中或いはこれらの混合物中、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下に、0〜20℃で2〜10時間反応させることによって合成することができる。
【0018】
一般式(6)で表される化合物の一部は既知であって、特開平2-49725 号公報又はChem. Pharm. Bull., 38(9), 2467 (1990)等に準じて合成することができるが、以下の方法によっても合成することができる。
【0019】
一般式(6)で表される化合物のうち、R8 が式
(式中R4 、R5 及びqは前述の通り)
である化合物は、一般式(6a)
(式中R1 、R2 、X、n及びpは前述の通り)
で表される化合物と一般式(3)
(式中R4 、q及びYは前述の通り)
又は一般式(4)
(式中R4 、q及びYは前述の通り)
又は一般式(5)
(式中R5 及びYは前述の通り)
で表される化合物とを[A]の方法に準じて反応させることにより合成することができる。
【0020】
また、一般式(6)で表される化合物のうち、R8 が
(式中R4 及びqは前述の通り)
である化合物は、一般式(9)
(式中R3aは式
(式中R4 及びqは前述の通り)を表し、R9 とR10は、いずれか一方が水素原子であり、他方が、式
(式中R11は同一若しくは相異なって水素原子、低級アルキル基を表す)を表し、R、R1 、R2 、n及びpは前述の通り)
で表される化合物をトルエン、ジフェニルエーテル、N−メチルピペリドン等の適当な溶媒中又は無溶媒中、 150〜250 ℃で1〜3時間反応させて合成することができる。
【0021】
更に、一般式(6)で表される化合物のうち、R8 が
(式中R4 及びqは前述の通り)
である化合物は、一般式(10)
(式中R12は、水素原子、低級アルキル基、アラルキル基を表し、R1 、R2 、R3a、n、p及びXは前述の通り)
で表される化合物を臭化水素酸、塩酸等の酸又は塩化チオニル、三臭化リン等のハロゲン化剤中、90〜 150℃で2〜5時間反応させても合成することができる。
【0022】
ここで一般式(9)で表される化合物は、例えば以下のスキームに従い合成することができる。
(式中sは0〜2を表し、R1 、R2 、R3a、R9 、R10、n及びpは前述の通り)
【0023】
すなわち、相当するアミノ体と相当するカルボン酸体(11)及び(12)、又は(14)及び(15)をテトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム等の適当な溶媒中、−10〜20℃にて
N,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、シアノリン酸ジエチル(DEPC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDCI)、クロルギ酸エステル等の縮合剤の存在下に2〜5時間反応させ、アミド体(13)又は(16)とし、これをテトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ベンゼン等の適当な溶媒中、0℃〜溶媒の沸点にてボラン錯体(ボラン−テトラヒドロフラン錯体、ボラン−ジメチルスルフィド錯体)等の還元剤の存在下に2〜6時間反応させることで合成することができる。
【0024】
また、一般式(10)で表される化合物は、例えば以下のスキームに従い合成することができる。
(式中Y1 は水酸基、ハロゲン原子を表し、R1 、R2 、R3a、R12、X、n、s及びpは前述の通りを表す)
【0025】
すなわち、相当するアミノ体(11a)と相当するカルボン酸体或いはその酸ハライド(17)とをテトラヒドロフラン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルムの適当な溶媒中、0〜20℃にてN,N′−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、シアノリン酸ジエチル(DEPC)、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩(EDCI)等の縮合剤(クロルギ酸エステルを用いる酸無水物法でもよく)、或いはトリエチルアミン、ピリジン等の適当な塩基の存在下に2〜5時間反応させ、アミド体(18)とし、これをテトラヒドロフラン、エーテル、ジオキサン、ベンゼン等の適当な溶媒中、0℃〜溶媒の沸点にてボラン錯体(ボラン−テトラヒドロフラン錯体)、ボラン−ジメチルスルフィド錯体)等の還元剤の存在下に2〜6時間反応させ、アミン体(19)とした後、これと適当なイソシアン酸或いはイソチオシアン酸エステル(20)とを、テトラヒドロフラン、ベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、N,N−ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中或いは無溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン等の適当な塩基の存在下、0〜 150℃で2〜6時間反応させることで合成することができる。
【0026】
ここで、一般式(19)の化合物は、相当するアルデヒド体(21)とアミノアルコール体(22)とをトルエン、キシレン等の適当な溶媒中、水素化ホウ素ナトリウム、水素化シアノホウ素ナトリウム等の還元剤の存在下、20℃〜溶媒の沸点で2〜10時間反応させるか、エタノール、メタノール等のアルコール溶媒中、パラジウム炭素等の水素添加触媒の存在下で接触還元することでも合成することができる。
【0027】
一般式(1)で表される化合物の薬理的に許容できる酸付加塩が必要とされる場合、合成したイミダゾリジノン誘導体は、例えば、塩酸等の無機酸、又はマレイン酸なとの有機酸と反応させて得ることができる。
【0028】
【実施例】
本発明化合物の製造例及び実施例を記載し、本発明をさらに詳細に説明する。
【0029】
(実施例1)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2−イミダゾリジノン
【0030】
100ml ナス型コルベン中の1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン5.00g(30.6mmol)のアセトニトリル70ml溶液に、室温下臭化ベンジル3.64ml(1eq.)を加え、約8時間加熱還流した。1晩放置後、析出した結晶を濾取し、酢酸エチルで洗浄して固体を得た。
この固体をエタノール 100mlに懸濁させ、0℃攪拌下、水素化ホウ素ナトリウム2.32g(2eq.)を少しずつ加え、その後室温で4時間攪拌させた。1晩放置した後、反応液に水を加えて溶媒を減圧留去し、得られた残渣に飽和塩化ナトリウム溶液 100mlを加えて、塩化メチレン30mlで5回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を再結晶して、表題化合物2.53g(収率32%)を得た。
【0031】
mp. 120 − 122℃(アセトニトリル) 無色粉末状晶
元素分析(%) C15H19N3 Oとして
計算値 ; C:70.01 H:7.44 N:16.33
実測値 ; C:69.71 H:7.40 N:16.42
【0032】
(実施例2)
1−[4−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2−イミダゾリジノン
【0033】
1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに1−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを用いて実施例1と同様にして表題化合物を合成した。
【0034】
mp. 153 − 154℃(酢酸エチル) 黄色鱗片状晶
元素分析(%) C15H19N3 O・ 0.1H2 Oとして
計算値 ; C:69.52 H:7.47 N:16.22
実測値 ; C:69.67 H:7.23 N:16.24
【0035】
(実施例3)
1−[4−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2(1H)−テトラヒドロピリミジノン
【0036】
1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに1−(4−ピリジル)−2(1H)−テトラヒドロピリミジノンを用いて実施例1と同様にして表題化合物を合成した
【0037】
mp. 147 − 148℃(酢酸エチル) 無色針状晶
元素分析(%) C16H21N3 Oとして
計算値 ; C:70.82 H:7.80 N:15.48
実測値 ; C:70.54 H:7.65 N:15.55
【0038】
(実施例4)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0039】
50ml三頸フラスコ中に入れた1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−2−イミダゾリジノン(実施例1)0.30g
(1.17mmol)の蒸留N,N−ジメチルホルムアミド10ml溶液に、室温攪拌下に水素化ナトリウム46.6mg(1eq.)を加えた。アルゴン気流下で30分攪拌した後、4−フルオロニトロベンゼン 124μl(1eq.)を滴下し、約6時間室温で攪拌させた。
反応液を氷水 100ml中へ注ぎ、析出した結晶を濾取し、再結晶して、表題化合物 260mg(収率58%)を得た。
【0040】
mp. 167 − 168℃(n−ヘキサン−酢酸エチル) 黄色鱗片状晶
元素分析(%) C21H22N4 O3 ・ 0.2H2 Oとして
計算値 ; C:66.02 H:5.91 N:14.67
実測値 ; C:66.14 H:5.78 N:14.67
【0041】
(実施例5−12)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−2−イミダゾリジノン(実施例1)或いは1−[4−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−2−イミダゾリジノン(実施例2)或いは1−[4−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−2(1H)−テトラヒドロピリミジノン(実施例3)を用いて実施例4と同様にして、以下の化合物を合成した。
【0042】
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
(実施例13)
1−[3−(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0046】
50ml封管中の1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン1.00g(3.52mmol)のアセトニトリル60ml溶液に、ヨウ化メチル0.22ml(1eq.)を加えて4時間加熱還流させた。冷後、反応液を減圧留去し、得られた残渣をn−ヘキサンでデカントして洗浄し、1.51gの針状晶の固体を得た。
m.p. 281− 283℃
この残渣を 500mlナス型コルベン中に取り、メタノール 100ml、エタノール15mlと水60mlを加えて溶解させ、室温下で水素化ホウ素ナトリウム0.38g(2eq.)を少しずつ加え、その後同温下で1時間攪拌した。一夜放置した後、更に7時間攪拌し、反応液を減圧留去して残渣を得た。この残渣に飽和塩化ナトリウム溶液30mlを加えて塩化メチレン40mlで5回抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、得られた残渣を再結晶して表題化合物0.83g(収率78%)を得た。
【0047】
mp. 153 − 155℃(アセトニトリル) 黄色針状晶
元素分析(%) C15H18N4 O3 として
計算値 ; C:59.59 H:6.00 N:18.53
実測値 ; C:59.39 H:5.92 N:18.56
【0048】
出発原料である1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、以下のようにして合成した。
【0049】
(参考例1)
1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0050】
1Lの三頸フラスコ中の1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン10.0g(61.3mmol)の乾燥N,N−ジメチルホルムアミド 300ml溶液に、アルゴン気流下、室温で60%水素化ナトリウム2.45g(1eq.)を徐々に加え、その後、室温で30分攪拌した。この反応混合物に、4−フルオロニトロベンゼン6.50ml(1eq.)を滴下し2時間攪拌した後、氷水3Lに注ぎ、しばらく攪拌して析出した結晶を濾取した。
濾取した結晶を風乾した後、更に 100℃で減圧乾燥した。この結晶を再結晶して、1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン7.45g(収率43%)を得た。
【0051】
mp. 229 − 231℃(アセトニトリル) 黄色針状晶
元素分析(%) C14H12N4 O3 として
計算値 ; C:59.15 H:4.25 N:19.71
実測値 ; C:59.31 H:4.47 N:19.56
【0052】
(実施例14)
1−[3−(1−イソプロピル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0053】
ヨウ化メチルの代わりにヨウ化イソプロピルを用いて、実施例13と同様にして表題化合物を合成した。
【0054】
mp. 138 − 140℃(アセトニトリル) 黄色針状晶
元素分析(%) C17H22N4 O3 として
計算値 ; C:61.80 H:6.71 N:16.96
実測値 ; C:61.89 H:6.76 N:17.19
【0055】
(実施例15)
1−[3−(1−(4−フルオロフェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0056】
ヨウ化メチルの代わりに塩化4−フルオロベンジルを用いて、実施例13と同様にして表題化合物を合成した。
【0057】
mp. 132 − 134℃(アセトニトリル) 橙色板状晶
元素分析(%) C21H21FN4 O3 として
計算値 ; C:63.63 H:5.34 N:14.13
実測値 ; C:63.62 H:5.41 N:14.03
【0058】
(実施例16)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−アセチルアミノフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0059】
出発原料として1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを使用し、ヨウ化メチルの代わりに臭化ベンジルを用いて実施例13と同様にして表題化合物を合成した。
【0060】
mp. 87−89℃(アセトニトリル) 淡褐色粉末状晶
元素分析(%) C23H26N4 O2 ・ 1.9H2 Oとして
計算値 ; C:65.04 H:7.07 N:13.19
実測値 ; C:65.14 H:7.14 N:12.98
【0061】
出発原料である1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、以下のようにして合成した。
【0062】
(参考例2)
1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0063】
(A);1−(4−アミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0064】
50mlナス型コルベン中の鉄粉1.96g(5eq.)に酢酸18mlを加え20分間攪拌した後、1−(4−ニトロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン2.00g(7.04mmol)を加えた。反応混合物を、60℃で4時間攪拌し、その後反応液を減圧留去し、残渣に水を加え鉄粉を濾取して除いた。濾液を水酸化カリウム水溶液を用いてpHを12以上とし、これを塩化メチレン 100mlで8回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後溶媒を減圧留去して淡褐色粉末状晶の1−(4−アミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン0.57g(収率32%)を得た。
【0065】
1H−NMR(TMS in d6 −DMSO,90MHz)
δ 3.91(4H,bs),4.96(2H,bs),6.57(2H,d,J=9.0Hz),7.22(2H,d,J=9.0Hz),7.33−7.55(1H,m),7.95−8.08(1H,m),8.17(1H,dd,J=4.4 ,3.1Hz),8.81(1H,d,J=2.0Hz)
【0066】
(B);1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0067】
100ml ナス型コルベン中の1−(4−アミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン0.57g(2.24mmol)の乾燥塩化メチレン10ml溶液にトリエチルアミン0.34ml(1.1eq.)を加え、15分間攪拌した後、氷冷下でアセチルクロライド0.17ml(1.1eq.)を滴下した。滴下後、室温8時間攪拌し、この反応液に飽和塩化ナトリウム溶液10mlを加え、有機層を分取した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、1−(4−アセチルアミノフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン0.16g(収率24%)を得た。
【0068】
1H−NMR(TMS in d6 −DMSO,90MHz)
δ 2.04(3H,s),3.28−3.52(4H,m),7.12−7.68(5H,m),7.92−8.08(1H,m),8.12−8.24(1H,m),8.76(1H,bs),9.92(1H,bs)
【0069】
(実施例17)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0070】
(A);1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン
【0071】
100ml ナス型コルベン中のN−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン4.54g(14.8mmol)のトルエン10ml溶液を徐々に加熱し、 190〜210 ℃にてトルエン留去と共に 1.5時間加熱した。あめ状反応物を室温に戻し、塩化メチレンを加えて溶かし、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル:n−ヘキサン=5:1)で精製し、褐色結晶の1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン2.28g(収率56%)を得た。
【0072】
Mass;C14H12ClN3 O
m/e: 273(M+ .base), 139, 125, 111,92,78
【0073】
(B);1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0074】
100ml ナス型コルベン中の1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン1.10g(4.02mmol)のアセトニトリル30ml溶液に、臭化ベンジル0.48ml(1eq.)を加えて2時間加熱還流させた。冷後反応液を減圧留去し、得られた残渣をn−ヘキサン20mlで3回デカントして洗浄し、固体を得た。この固体に、メタノール 200mlと水70mlを加えて溶解させ、室温下で水素化ホウ素ナトリウム0.30g(2eq.)を少しずつ加え、その後同温下で 3.5時間反応攪拌した。一夜放置した後、反応液を減圧濃縮し、水を加えて塩化メチレン 100mlで3回抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)で精製し、再結晶して表題化合物0.63g(収率43%)を得た。
【0075】
mp. 123 − 124℃(2−プロパノール) 無色針状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 Oとして
計算値 ; C:68.56 H:6.03 N:11.42
実測値 ; C:68.49 H:6.09 N:11.46
【0076】
出発原料であるN−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミンは、以下のようにして合成した。
【0077】
(参考例3)
N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン
【0078】
(A);2−[N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル]アミノ−N′−(3−ピリジル)アセトアミド
【0079】
100ml ナス型コルベン中のN−メトキシカルボニル−N−4−クロルフェニルグリシン1.25g(1.01eq.)の蒸留塩化メチレン15ml溶液に、室温下でEDCI[1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド・塩酸塩]1.08g(1.10eq.)を少しずつ加えた。その後、3−アミノピリジン0.48g(5.10mmol)を更に少しずつ加えた。この反応混合物を室温で4時間攪拌させ、一夜放置した後、水を加えて有機層を分取した。水層を塩化メチレン30mlで2回抽出し、先の分取した有機層とあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して残留物を得た。これをカラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル:n−ヘキサン=5:2、後塩化メチレン:メタノール=20:1)で精製し、褐色油状物の2−[N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル]アミノ−N′−(3−ピリジル)アセトアミド1.03g(収率63%)を得た。
【0080】
Mass;C15H14ClN3 O3
m/e: 319(M+ ), 287, 198, 139,78(base)
【0081】
(B);N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン
【0082】
100ml ナス型コルベン中の1M−ボラン・テトラヒドロフラン錯体14.5ml溶液(4.5eq.)に、氷冷下アルゴン気流中、2−[N−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル]アミノ−N′−(3−ピリジル)アセトアミド1.03g(3.22mmol)の蒸留テトラヒドロフラン20ml溶液をゆっくりと滴下した。その後、室温で30分間、更に2時間加熱還流させた。反応液を室温に戻し、 300mlナス型コルベン中の6N塩酸40mlに室温下で注意深く加え、その後 2.5時間加熱還流させた。反応液を減圧濃縮し、水を加えて酢酸エチルで洗浄し、水層を分取した後、有機層を1N塩酸(50ml)で再度抽出した。先の水層と併せて氷冷下で冷却しながら水酸化カリウムにてpHを12以上とした。アルカリ性の水層を酢酸エチル200ml で3回、更に塩化メチレン 100mlで2回抽出し、有機層をあわせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して得られた残留物をカラムクロマトグラフィー(アルミナ、酢酸エチル:n−ヘキサン=1:1)で精製し、淡褐色油状物のN−(4−クロロフェニル)−N−メトキシカルボニル−N′−(3−ピリジル)エチレンジアミン0.84g(収率85%)を得た。
【0083】
Mass;C15H16ClN3 O2
m/e: 305(M+ ), 193, 107(base)
【0084】
(実施例18)
1−[3−(1−メチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0085】
臭化ベンジルの代わりにヨウ化メチルを用い実施例17−(B)と同様の方法にて表題化合物を合成した。
【0086】
mp. 117 − 118℃(アセトニトリル) 無色格子状晶
元素分析(%) C15H19N3 Oとして
計算値 ; C:61.75 H:6.22 N:14.40
実測値 ; C:61.65 H:6.38 N:14.44
【0087】
(実施例19)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジルメチル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・塩酸塩
【0088】
(A);1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノン
【0089】
100ml ナス型コルベン中のN−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア5.81g(14.7mmol)に室温下、48%臭化水素酸65mlを加え徐々に加熱し、95〜 100℃で4時間加熱した。反応液を室温に戻し、水20mlを加え、更に酢酸エチル50mlを加えて抽出した。酢酸エチル層を、6N−塩酸30mlで抽出し、先の水層と合わせ、これを氷冷下で冷却しながら水酸化カリウムでpHを12以上とし、塩化メチレン 100mlで3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、褐色結晶の1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノン2.28g(収率54%)を得た。
【0090】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,90MHz)
δ 3.28−3.47(2H,m),3.71−3.89(2H,m),4.48(2H,m),7.22−7.75(8H,m),8.52−8.57(2H,m)
【0091】
(B);1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジルメチル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・塩酸塩
【0092】
1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノンを用いて、実施例17−(B)と同様の方法にて1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジルメチル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノンを褐色油状物として得、この残留物を酢酸エチル中飽和エーテル−塩酸にて処理し、再結晶して表題化合物0.18g(収率17%)を得た。
【0093】
mp. 235 − 237℃(エタノール) 淡褐色格子状晶
元素分析(%) C22H24ClN3 O・HClとして
計算値 ; C:63.16 H:6.02 N:10.04
実測値 ; C:63.04 H:6.09 N: 9.84
【0094】
出発原料であるN−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレアは、以下のようにして合成した。
【0095】
(参考例4)
N−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア
【0096】
(A);3−[N−2−(ベンジルオキシ)エチル]ピリジルメタンアミン
【0097】
200ml ナス型コルベン中のピリジン−3−アルデヒド3.50g(32.7mmol)のメタノール70ml溶液に室温下、O−ベンジルエタノールアミン4.94g(1eq.)を加え同温下で2時間攪拌した後、水素化ホウ素ナトリウム2.47g(2eq.)を徐々に加え、更に5時間室温で攪拌し、一夜放置した。反応液を減圧留去し、残留物に水を加えて塩化メチレン 200mlで3回抽出した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去して淡黄色油状物の3−[N−2−(ベンジルオキシ)エチル]ピリジルメタンアミン7.59g(収率、96%)を得た。このまま精製せずに次反応に用いた。
【0098】
(B);N−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア
【0099】
100ml ナス型コルベン中の3−[N−2−(ベンジルオキシ)エチル]ピリジルメタンアミン2.35g(9.70mmol)のテトラヒドロフラン30ml溶液に、室温下4−クロロフェニルイソシアネート1.24ml(1eq.)を滴下した。反応液を室温で8時間攪拌し、一夜放置した後溶媒を減圧留去し、得られた残留物に水を加え、これを水酸化カリウムでpHを12以上とし、塩化メチレン 100mlで3回抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去して残留物を得、これをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、茶褐色油状物のN−(4−クロロフェニル)−N′−(3−ピリジルメチル)−N′−[2−(ベンジルオキシ)エチル]ウレア2.93g(収率76%)得た。
【0100】
Mass;C22H22ClN3 O2
m/e: 395(M+ ), 304, 153, 121(base)
【0101】
(実施例20)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン・マレイン酸塩
【0102】
実施例4で合成した1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−ニトロフェニル)−2−イミダゾリジノン0.20gのメタノール5ml溶液に、加熱下でマレイン酸61.5mgを加え更に10分間加熱した。反応液を室温に戻し、析出した結晶を濾取後、再結晶して表題化合物0.17g(収率65%)を得た。
【0103】
mp. 168 − 169℃(メタノール−水) 淡黄色粉末状晶
元素分析(%) C21H22N4 O3 ・C4 H4 O4 として
計算値 ; C:60.72 H:5.30 N:11.33
実測値 ; C:60.52 H:5.26 N:11.36
【0104】
(実施例21)
1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・マレイン酸塩
【0105】
実施例17で合成した1−[3−(1−フェニルメチル−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル)]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノンを用いて実施例20と同様にして表題化合物を得た。
【0106】
mp. 154 − 155℃(メタノール) 無色格子状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 O・C4 H4 O4 ・ 0.2H2 Oとして
計算値 ; C:61.59 H:5.46 N:8.62
実測値 ; C:61.65 H:5.34 N:8.68
【0107】
(実施例22)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン・リン酸塩
【0108】
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン(実施例17)3.00g(8.15mmol)のアセトニトリル 170ml溶液に室温攪拌下、85%リン酸0.94g(1.0 eq.)のアセトニトリル5ml溶液を滴下し、室温で1時間攪拌した。得られた析出物を濾取し、エタノール 100mlに懸濁させて室温で30分間攪拌した。結晶を濾取し、乾燥して表題化合物3.43g(収率90%)を得た。
【0109】
mp. 145 − 147℃ 淡褐色粉末状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 O・H3 PO4 として
計算値 ; C:54.14 H:5.41 N:9.02
実測値 ; C:54.12 H:5.39 N:9.13
【0110】
(実施例23−43)
1−(4−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン(実施例17−A)を原料として実施例17−Bと同様にして、相当するアラルキルハライドを用いて以下の化合物を合成した。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【表5】
【0114】
(実施例44−48)
4−フルオロニトロベンゼンの代わりに相当するハライド等を用いて1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,3,6−テトラヒドロピリジル]−2−イミダゾリジノン(実施例1)を原料とし実施例4と同様にして、以下の化合物を合成した。
【0115】
【表6】
【0116】
(実施例49)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(3−ピリジルメチル)−2−イミダゾリジノン
【0117】
4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−クロロメチルピリジン・塩酸塩を用いて実施例4と同様にして表題化合物を合成した。褐色油状物
【0118】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,400MHz)
δ 2.23(2H,brs),2.53(2H,t,J=5.9Hz),3.24(1H,d,J=9.8Hz),3.26(1H,d,J=8.8Hz),3.50(1H,d,J=8.8Hz),3.52(1H,d,J=9.8Hz),3.67(2H,s),3.68(2H,s),4.37(2H,s),4.97(1H,brs),7.27−7.39(6H,m),7.63(1H,d,J=7.8Hz),8.51−8.55(2H,m)
【0119】
H.R.Mass C21H24N4 Oとして
計算値 ;m/Z :348.1950 実測値 ;m/z :348.1919
【0120】
(実施例50)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(2−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0121】
300ml ナス型コルベン中の1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノン5.00g(18.3mmol)のアセトニトリル70ml溶液に、臭化ベンジル2.18ml(1eq.)を加えて4時間加熱還流させた。冷後反応液を減圧留去し、得られた残渣をn−ヘキサン50mlで3回デカントして洗浄し、得られた固体に、メタノール 200mlを加えて溶解させ、氷冷攪拌下で水素化ホウ素ナトリウム1.39g(2eq.)を少しずつ加え、その後室温下で2時間反応攪拌した。1夜放置した後、更に水素化ホウ素ナトリウム0.70g(1eq.)を加えて1時間室温で攪拌した後、反応液を減圧留去し、得られた残渣に水を加えて塩化メチレン50mlで4回抽出した。有機層をあわせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル)で精製し、再結晶して表題化合物4.43g(収率66%)を得た。
【0122】
mp. 98− 101℃(シクロヘキサン) 淡褐色粉末状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 Oとして
計算値 ; C:68.56 H:6.03 N:11.42
実測値 ; C:68.46 H:6.03 N:11.40
【0123】
出発原料の1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−2−クロロフェニルグリシンから合成した。
【0124】
(実施例51)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(3−クロロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0125】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0126】
mp. 110 − 112℃(2−プロパノール) 淡黄色粉末状晶
元素分析(%) C21H22ClN3 Oとして
計算値 ; C:68.56 H:6.03 N:11.42
実測値 ; C:68.67 H:6.11 N:11.45
【0127】
出発原料の1−(3−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−3−クロロフェニルグリシンから合成した。
【0128】
(実施例52)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−フルオロフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0129】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0130】
mp. 97−98℃(ジイソプロピルエーテル) 淡黄色格子状晶
元素分析(%) C21H22FN3 Oとして
計算値 ; C:71.77 H:6.31 N:11.96
実測値 ; C:71.93 H:6.49 N:11.89
【0131】
出発原料の1−(4−フルオロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−4−フルオロフェニルグリシンから合成した。
【0132】
(実施例53)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−トリフルオロメチルフェニル)−2−イミダゾリジノン
【0133】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0134】
mp. 113 − 114℃(2−プロパノール) 無色針状晶
元素分析(%) C22H22F3 N3 Oとして
計算値 ; C:65.82 H:5.52 N:10.47
実測値 ; C:65.68 H:5.56 N:10.62
【0135】
出発原料の1−(4−トリフルオロメチルフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、参考例3(A)、(B)及び実施例17−Aと同様にしてN−メトキシカルボニル−N−4−トリフルオロメチルフェニルグリシンから合成した。
【0136】
(実施例54)
1−[4−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(2−プロピニル)−2−イミダゾリジノン
【0137】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(2−プロピニル)−3−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。
【0138】
mp. 83−84℃(ジイソプロピルエーテル) 無色針状晶
元素分析(%) C18H21N3 Oとして
計算値 ; C:73.19 H:7.17 N:14.23
実測値 ; C:73.23 H:7.13 N:14.21
【0139】
出発原料の1−(2−プロピニル)−3−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、1−(4−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−ブロモプロピンを用いて参考例1と同様にして合成した。
【0140】
(実施例55)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(2−プロピニル)−2−イミダゾリジノン
【0141】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(2−プロピニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。淡黄色油状物
【0142】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,400MHz)
δ 2.12−2.16(3H,m),3.43(2H,t,J=6.0Hz),3.36(1H,d,J=9.8Hz),3.38(1H,d,J=7.8Hz),3.45(1H,d,J=7.8Hz),3.47(1H,d,J=9.8HZ),3.57(4H,s),3.93(2H,d,J=3.9Hz),4.90(1H,t,J=3.9Hz),7.15−7.30(5H,m),7.63(1H,d,J=7.8Hz),8.51−8.55(2H,m)
【0143】
H.R.Mass C18H21N3 Oとして
計算値 ;m/Z :295.1685 実測値 ;m/z :295.1709
【0144】
出発原料の1−(2−プロピニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として4−フルオロニトロベンゼンの代わりに3−ブロモプロピンを用いて参考例1と同様にして合成した。
【0145】
(実施例56)
1−[3−(1−フェニルメチル)−1,2,5,6−テトラヒドロピリジル]−3−(4−メトキシフェニルメチル)−2−イミダゾリジノン
【0146】
1−(2−クロロフェニル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンの代わりに、1−(4−メトキシフェニルメチル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として用い実施例50と同様にして表題化合物を合成した。無色油状物
【0147】
1H−NMR(TMS in CDCl3 ,400MHz)
δ 2.20−2.33(2H,m),3.50(2H,t,J=5.9Hz),3.19(1H,d,J=9.8Hz),3.21(1H,d,J=8.3Hz),3.45(1H,d,J=8.3Hz),3.47(1H,d,J=9.8Hz),3.66(2H,s),3.71(2H,d,J=1.5Hz),3.80(3H,s),4.29(2H,s),4.92(1H,brs),6.85(2H,d,J=8.6Hz),7.18(2H,d,J=8.6Hz),7.25−7.39(5H,m)
【0148】
H.R.Mass C23H27N3 O2 として
計算値 ;m/Z :377.2103 実測値 ;m/z :377.2094
【0149】
出発原料の1−(4−メトキシフェニルメチル)−3−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンは、1−(3−ピリジル)−2−イミダゾリジノンを原料として4−フルオロニトロベンゼンの代わりに4−メトキシフェニルメチルクロリドを用いて参考例1と同様にして合成した。
【0150】
【発明の効果】
(実験例1)
インビトロの生化学試験
【0151】
1) M1 型コリン作動性ムスカリン受容体に対する結合実験
方法:ラット全脳(小脳、脳幹を除く)から調製した粗シナプトソーム膜標品にM1 受容体に選択的に結合する[ 3H]ピレンゼピン([ 3H]−PZ、最終濃度:1nM)と被験化合物を加え、25℃で60分間インキュベートさせた。吸引濾過により反応停止後、フィルター上の放射活性を液体シンチレーションカウンターで測定した。[ 3H]−ピレンゼピンの特異的結合量はアトロピン(1μM)存在下での非特異的結合量を総結合量から差し引くことにより求めた。被験化合物非存在下における[ 3H]−ピレンゼピン結合を 100とし、50%低下させる化合物の濃度(IC50値)を化合物のM1 ムスカリン受容体への結合能の指標とした。(参照:J.A.D.M.トナーら、ライフ サイエンス(Life Science),1987,40,1981−1987)
【0152】
2) M2 型コリン作動性ムスカリン受容体に対する結合実験
方法:粗シナプトソーム膜標品はラットの脳幹(延髄−橋)から調製し、放射性リガンドとして[ 3H]−キヌクリジルベンゾエート([ 3H]−QNB,0.1 nM)を使用する以外はM1 受容体に対する親和性に関する実験と同様の操作を行った。
【0153】
3) M1 受容体の選択性
M1 及びM2 ムスカリン性受容体結合実験から得られた被験化合物のIC50値の比から求めた。
【0154】
【0155】
【表7】
【0156】
結果:表7は、本発明による化合物のM1 とM2 受容体への親和性と選択性を示す。[ 3H]−PZのIC50置換は、M1 受容体に対する親和性を、[ 3H]−QNBのIC50置換は、M2 受容体に対する親和性を表す。M2 /M1 の比が大きいほどM1 受容体に対する選択性が高いことを示している。
結果は、本発明による化合物が中枢性のM1 ムスカリン受容体に対して強力な親和性と顕著な特異性を有することを示した。
【0157】
(実験例2)
インビボの薬理試験
【0158】
ピレンゼピン誘発健忘に関する試験
実験動物は体重24〜33g(5週齢)のStd:ddY系雄性マウス(日本エスエルシー)を使用した。装置は明暗2室からなるステップスルー式受動的回避反応装置(小原医科製)を用いた。獲得試行においては、マウスを明室に入れ、10秒後に仕切りのギロチンドアを開け、マウスが暗室に移動すると同時にギロチンドアを閉じ、床グリッドから43〜44Vの電気ショックを1秒間与えた。再生試行はその24時間後に行った。再生試行においては、マウスを再び明室に入れ、暗室に移動するまでの時間を反応潜時として最大 300秒まで測定し、それ以上の潜時を示したマウスは 300秒とした。健忘の誘発は、学習獲得試行の20分前にマウスを無麻酔下で腹位に固定し、ピレンゼピン(10μg/2μl/マウス)をマイクロシリンジを使用して脳室内に両側性に注入することによって行った。また、獲得試行前にピレンゼピンを投与しない群(非健忘対照群)も設けた。被験化合物は獲得試行の60分前に経口投与した。改善率を以下の式により計算し、結果を表8に示した。(参照:M.P.コールフィールドら、ジャーナル オブ ファーマーシー アンド ファーマコロジー(J. Pharm. Pharmacol.)1983, 35, 131−132)
【0159】
【0160】
【表8】
【0161】
結果:表8は、本発明の化合物のピレンゼピン誘発健忘に対する改善効果を示す。
無処置群に対してピレンゼピン処理マウスにおける反応潜時の短縮は電気ショックによる学習効果の減弱、すなわち健忘が生じていることを示している。従って、化合物による反応潜時の延長は健忘が改善されたことを意味する。
結果は、本発明による化合物が中枢コリン作動性神経の障害によって引き起こされた健忘に対して極めて優れた改善効果を有することを示した。
Claims (5)
- 一般式(1)
(式中Rはハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基を表し、R1、R2は同一又は相異なって水素原子、C 1 〜C 4 の低級アルキル基を表し、R3は式
(式中R4はハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、qは0〜3を表し、R5は水素原子、式
(式中R6、R7は同一又は相異なってC 1 〜C 4 の低級アルキル基を表すか、窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)してもよい)を表す)を表し、m及びnは0〜3を表し、pは1〜3を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す)
で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその酸付加塩。 - 一般式(2)
(式中Rはハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基を表し、R1、R2は同一又は相異なって水素原子、C 1 〜C 4 の低級アルキル基を表し、m及びnは0〜3を表し、pは1〜3を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す)
で表される化合物と一般式(3)
又は一般式(4)
又は一般式(5)
(式中R4はハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、qは0〜3を表し、R5は水素原子、式
(式中R6、R7は同一又は相異なってC 1 〜C 4 の低級アルキル基を表すか、窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)してもよい)を表す)を表し、Yは脱離基を表す)
で表される化合物とを反応させることを特徴とする一般式(1)
(式中R3は式
(R4、R5及びqは前述の通り)を表し、R、R1、R2、m、n、p及びXは前述の通り)
で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその酸付加塩の製造方法。 - 一般式(6)
(式中R1、R2は同一又は相異なって水素原子、C 1 〜C 4 の低級アルキル基を表し、R8は水素原子又は式
(式中R4はハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、qは0〜3を表し、R5は水素原子、式
(式中R6、R7は同一又は相異なってC 1 〜C 4 の低級アルキル基を表すか、窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)してもよい)を表す)を表し、nは0〜3を表し、pは1〜3を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す)
で表される化合物に、一般式(7)
(Rはハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基を表し、mは0〜3を表し、Yは脱離基を表す)
で表される化合物を反応させ、一般式(8)
(式中Zは、ハロゲン原子を表し、R、R1、R2、R8、m、n、p及びXは前述の通り)
で表される化合物を得、更にその化合物のピリジン環部位を選択的に還元することを特徴とする一般式(1a)
(式中R、R1、R2、R8、m、n、p及びXは前述の通り)
で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその酸付加塩の製造方法。 - 一般式(1)
(式中Rはハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基を表し、R1、R2は同一又は相異なって水素原子、C 1 〜C 4 の低級アルキル基を表し、R3は式
(式中R4はハロゲン置換されてもよいC 1 〜C 4 の低級アルキル基、環状アルキル基、置換基を1個以上有してもよいフェニル基又はナフチル基、又は5員若しくは6員の複素環及びそのベンゼン縮合環を表し、qは0〜3を表し、R5は水素原子、式
(式中R6、R7は同一又は相異なってC 1 〜C 4 の低級アルキル基を表すか、窒素原子と一緒になって環を形成(更にヘテロ原子を1個含んでもよい)してもよい)を表す)を表し、m及びnは0〜3を表し、pは1〜3を表し、Xは酸素原子又は硫黄原子を表す)
で表されるイミダゾリジノン誘導体又はその酸付加塩の一種以上を有効成分として含有することを特徴とする抗痴呆薬。
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