JP3915549B2 - 熱融着性により画像形成がなされる平版印刷版材料及び平版印刷版の作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、印刷用の平版印刷版材料及びそれを用いた平版印刷版の作製方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の印刷工程は原稿画像からネガもしくはポジフィルムを作製し、フィルムを介して、アルミ砂目支持体上に感光層を有する平版印刷版材料に画像を露光し、アルカリ性現像液で現像処理を行うことで平版印刷版を作製し、これを印刷機に取り付け印刷を行っていた。
【0003】
近年、コンピューターの普及に伴い、フィルムなどを介さずに原稿画像の電子データを直接印刷版に描画するコンピューター・ツー・プレート(以下、CTPともいう)技術が普及しつつあり、フィルム作製に要していた時間短縮、コスト削減が可能となってきている。これらの技術に必要な平版印刷版材料としては、アルミ砂目支持体上に光重合性感光層を有するものや、銀塩を利用したものなどがあるが、これらの材料は画像形成のためアルカリ性現像液を使用する。
【0004】
又、CTP普及と同期して、印刷現場の作業環境もオフィス化が進み、また環境適性の面からもアルカリ現像を要しない平版印刷版材料が望まれるようになり、更には全く現像処理を必要としない平版印刷版材料が望まれるようになってきた。
【0005】
特開平9−123387号、同9−123388号、同9−131850号、同9−171249号、同9−127683号の各公報には、印刷用親水性支持体上に親水性結着剤に分散された疎水性熱可塑性重合体粒子を含有する層を有する平版印刷版材料と、その作製方法が開示されている。
【0006】
これらの平版印刷版材料では、画像形成層の画像部は疎水性熱可塑性重合体粒子の熱融着により形成され、一方非画像部は分散された疎水性熱可塑性重合体粒子が親水性結着剤と共に水で除去されることにより形成されるので、水現像処理可能な平版印刷版材料が提供できる。しかし画像部には、親水性結着剤が混在しているため、画像部の強度、耐刷力が劣化し問題であった。本発明者等は種々検討した結果、親水性結着剤製造時に用いた界面活性剤を狭雑含有する親水性結着剤が混在していると、画像部の強度、耐刷力が特に著しく劣化することを見出した。
【0007】
さらに画像描画後、印刷機のシリンダー上で、印刷用インキ及び/又は湿し水の存在下で現像処理が可能なので、実質的に現像処理機を必要としない刷版の作製が可能ではあるが、現像終了までにかなりの時間を要する。又、現像時の生成物が印刷機の湿し水に流れ込むため、湿し水供給の経路の汚染が激しく、安定した湿し水供給ができなくなり、結果として安定した印刷品質が得られないという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、画像形成層塗膜強度、現像性、耐刷性(画像形成層画像強度)、印刷機の非汚染性が優れ、安定した湿し水供給ができ、結果として安定した印刷品質を得ることの出来る平版印刷版材料及びそれを用いた平版印刷版の作製方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
【0010】
1.支持体上に、ポリマー粒子を含有する画像形成層を有し、該ポリマー粒子の少なくとも1種が熱融着性ポリマー粒子であり、その熱融着性により画像形成がなされる平版印刷版材料において、該熱融着性ポリマー粒子が、下記分子内にラジカル重合性不飽和基を有するアニオン系の界面活性剤である、
アルキルアルケニルコハク酸エステル塩系反応性界面活性剤、
ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性界面活性剤、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪族不飽和ジカルボン酸エステル塩系反応性界面活性剤、
フタル酸ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性界面活性剤、
および、
モノもしくはジ(グリセロール−1−アルキルフェニル−3−アリル−2−ポリオキシアルキレンエーテル)リン酸エステル塩系反応性界面活性剤、
から選ばれる少なくとも1種の存在下に、乳化重合して得られるポリマーラテックスであることを特徴とする平版印刷版材料。
【0012】
2.前記1記載の平版印刷版材料が光を吸収して熱に変換する材料を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
【0013】
3.前記1又は2記載の平版印刷版材料の支持体が印刷用親水性支持体であることを特徴とする平版印刷版材料。
【0014】
4.前記1、2または3記載の平版印刷版材料を印刷機のシリンダーに固定し、印刷用インクおよび湿し水から選ばれる少なくとも1種の存在下で現像処理することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像形成層にはポリマー粒子の他に、ワックス類、親水性結着剤、光熱変換剤などを含有させてもよい。
【0016】
本発明の熱融着性ポリマー粒子について説明する。
本発明の熱融着性ポリマー粒子とは、熱により融着し疎水性表面を形成するポリマー粒子を意味する。本発明の熱融着性ポリマー粒子としては、分子内にラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤の存在下で乳化重合して得られるポリマーラテックスが挙げられる。
【0017】
本発明で言うポリマーラテックスとは水不溶な疎水性ポリマーが微細な粒子として水分散媒中に分散したものである。分散状態としてはポリマーが分散媒中に乳化されているもの、乳化重合されたもの、ミセル分散されたもの、あるいはポリマー分子中に部分的に親水的な構造を持ち分子鎖自身が分子状分散したものなどいずれでもよい。
【0018】
分散粒子の平均粒径は特に限定しないが、好ましくは10〜5000nm、より好ましくは50〜500nm程度の範囲が好ましい。分散粒子の粒径分布に関しては特に制限は無く、広い粒径分布を持つものでも単分散の粒径分布を持つものでもよい。
【0019】
本発明のポリマーラテックスに用いられるポリマー種としてはアクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ゴム系樹脂、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリオレフィン樹脂、またはこれらの共重合体などがある。ポリマーとしては直鎖のポリマーでも枝分かれしたポリマーでも、また架橋されたポリマーでも良い。またポリマーとしては単一のモノマーが重合したいわゆるホモポリマーでも良いし、2種以上のモノマーが重合したコポリマーでも良い。
【0020】
コポリマーの場合はランダムコポリマーでもブロックコポリマーでも良い。ポリマーの分子量は特に限定しないが、好ましくは数平均分子量で5,000〜1,000,000、より好ましくは10,000〜100,000程度である。分子量が小さすぎるものは塗膜の力学強度が不十分となる傾向があり、大きすぎるものは製膜性が悪くなる傾向にある。本発明に用いられるポリマーラテックスのポリマーは25℃、60%RHでの平衡含水率が2質量%以下が好ましく、1質量%以下のものであることがより好ましい。平衡含水率の定義と測定法については、例えば「高分子工学講座14、高分子材料試験法(高分子学会編、地人書館)」などを参考にすることができる。
【0021】
コポリマーの場合のモノマー種類としては、(メタ)アクリル酸エステル単量体、分子内にカルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、分子内にグリシジル基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、分子内にアルコキシシラン基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、分子内にリン酸基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、分子内に水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、分子内にアミド基又は置換アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、分子内にアミノ基又は置換アミノ基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体、芳香族モノビニル単量体、シアン化ビニル単量体、ビニルエステル単量体等が挙げられる。
【0022】
前記の(メタ)アクリル酸エステル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ノニルアクリレート、i−ノニルアクリレート、n−デシルアクリレート、n−ドデシルアクリレート等のアクリル酸の炭素数1〜12の直鎖もしくは分枝アルキルエステル;例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート等のメタクリル酸の炭素数1〜12の直鎖もしくは分枝アルキルエステル等を挙げることができる。
【0023】
前記の分子内にカルボキシル基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、分子内に1つ又は2つ以上のカルボン酸を含むものであり、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、桂皮酸等が好適に使用できる。
【0024】
前記の分子内にグリシジル基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクレート、グリシジルビニルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルビニルエーテル、グリシジル(メタ)アリルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アリルエーテルなどが挙げられる。
【0025】
前記の分子内にアルコキシシラン基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、加水分解型のものが好適であり、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリアセトキシシラン、3−メタクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、3−メタクリロオキシプロピルトリス(メトオキシ−エトオキシ)シラン等が挙げられる。
【0026】
前記の分子内にリン酸基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、リン酸モノヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、リン酸ジヒドロキシメチルジ(メタ)アクリレート、リン酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、リン酸ジヒドロキシエチルジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ3−ヒドロキシプロピルジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
前記の分子内に水酸基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシルプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシルブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシルエチル(メタ)アリルエーテル、2−ヒドロキシルプロピル(メタ)アリルエーテル、3−ヒドロキシルプロピル(メタ)アリルエーテル、4−ヒドロキシルブチル(メタ)アリルエーテル、アリルアルコール等が挙げられる。
【0028】
前記の分子内にアミド基又は置換アミド基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メトキシメチルアクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、N−ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
前記の分子内にアミノ基又は置換アミノ基を有するα,β−エチレン性不飽和単量体としては、例えば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】
前記の芳香族モノビニル単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルスチレン、ビニルトルエン等が挙げられる。
【0031】
前記のシアン化ビニル単量体としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
【0032】
前記のビニルエステル単量体としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等が挙げられる。
【0033】
また、本発明のポリマーラテックスに使用し得る重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、4,4′−アゾビス−4−シアノバレイックアミド、2,2′−アゾビス(2−メチルアミドオキシム)ジハイドロクロライド等を挙げることが出来る。
【0034】
本発明のポリマーラテックスの重合系において、重合開始剤の濃度は使用全モノマーに対して、0.15〜0.45モル%使用するのが好ましい。重合開始剤の濃度は、出来上がりのポリマーの分子量(または重合度)の大きさに関係し、添加量が少ないと大きな分子量のポリマーが得られるが、残存モノマー量が増加し、また添加量が多いと小さい分子量のポリマーしか得られず、被膜を形成した場合に、低い膜強度の塗膜しか得られない。
【0035】
本発明のポリマーラテックスの重合系において、溶媒中に総添加モノマー成分の5質量%〜20質量%のモノマー成分をプレモノマーとして添加後、重合開始剤、モノマーを添加すると、安定に重合が進行し、粘度の経時安定性が向上する。さらに、凝集物の生成を低減することができ、収率を上げることができる。また残存モノマー量も低減されるため作業環境上好ましい。
【0036】
重合開始温度は、30℃〜90℃が好ましいが、より好ましくは50〜90℃である。
【0037】
本発明での重合開始温度とは、重合開始剤を添加したときの液温を指す。
【0040】
(比較のポリマーラテックスHLX1の合成)
1000mlの四ツ口フラスコにフルゾーン翼撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入し脱酸素を行いつつ蒸留水350mlを加えて内温が70℃となるまで加熱した。分散剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを1.0g添加した後、モノマーとしてスチレン80g、n−ブチルアクリレート20gを混合し、その内10g(モノマー全体の10質量%)を10分かけて滴下した。さらに開始剤として過硫酸アンモニウム1.0gを添加し、次いで残りのモノマー90g(モノマー全体の90質量%)を滴下ロートで約1.5時間かけて滴下した。滴下終了後4時間そのまま反応を続けた後、水蒸気蒸留で未反応モノマーを除去する。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスを得た。得られたポリマーラテックスは凝集物を除くため、4枚重ねガーゼで濾別して、比較のポリマーラテックスHLX1を得た。
【0041】
次に、本発明の分子内にラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤(以下、反応性界面活性剤ともいう)の存在下で乳化重合して得られるポリマーラテックスについて説明する。
【0042】
本発明で用いられる反応性界面活性剤としては、アニオン系の反応性界面活性剤であり、例えば(メタ)アリル基、(メタ)アクリル基、スチリル基などの分子内にラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤が単独で又は2種以上組合わせて使用できる。
【0043】
上記アニオン系の反応性界面活性剤の具体例としては、例えば「アデカリアソープSE−10N」、「アデカリアソープSE−20N」、「アデカリアソープSE−30N」〔以上、旭電化工業(株)製〕、「アクアロンHS−05」、「アクアロンHS−10」、「アクアロンHS−20」、「アクアロンHS−30」〔以上、第一工業製薬(株)製〕、「ラテムルS−120」、「ラテムルS−120A」、「ラテムルS−180」、「ラテムルS−180A」〔以上、花王(株)製〕、「エレミノールJS−2」〔三洋化成工業(株)製〕、「アントックスMS−60」〔日本界面活性剤(株)製〕、「ラテムルASK」〔花王(株)製〕等のアルキルアルケニルコハク酸エステル塩系反応性界面活性剤、「エレミノールRS−30」〔三洋化成工業(株)製〕等のポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性界面活性剤、「RA−1120」、「RA−2614」〔以上、日本乳化剤(株)製〕等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪族不飽和ジカルボン酸エステル塩系反応性界面活性剤、「アントックスMS−2N」〔日本乳化剤(株)製〕等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩系反応性界面活性剤、フタル酸ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性界面活性剤、「H−3330PL」〔第一工業製薬(株)製〕等のモノもしくはジ(グリセロール−1−アルキルフェニル−3−アリル−2−ポリオキシアルキレンエーテル)リン酸エステル塩系反応性界面活性剤などを挙げることができる。
【0044】
本発明においては、ノニオン系反応性界面活性剤を併用することも可能であり、例えば、下記一般式(1)または(2)で表される反応性界面活性剤を挙げることができる。
【0045】
【化1】
【0046】
一般式(1)または(2)中、R1は炭素数6〜18のアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアラルキル基を表し、R2、R3はそれぞれ、水素原子またはメチル基を表し、EOは−CH2CH2O−を表し、X1は単結合またはメチレン基を表し、mは1〜50の整数を表す。
【0047】
上記一般式(1)で表されるノニオン系反応性界面活性剤の具体例としては、例えば「アデカリアソープNE−10」、「アデカリアソープNE−20」、「アデカリアソープNE−30」〔以上、旭電化工業(株)製〕等を挙げることができる。また、上記一般式(2)で表されるノニオン系反応性界面活性剤の具体例としては、例えば「アクアロンRN−10」、「アクアロンRN−20」、「アクアロンRN−30」、「アクアロンRN−50」〔以上、第一工業製薬(株)製〕等を挙げることができる。またその他のノニオン系反応性界面活性剤としては、例えば「RMA−564」、「RMA−568」〔以上、日本乳化剤(株)製〕等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性界面活性剤;例えば、「RMA−1114」〔日本乳化剤(株)製〕等のポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル(メタ)アクリレート系反応性界面活性剤;などを挙げることができる。
【0048】
これら反応性界面活性剤の使用量は特に限定はしないが、本発明のポリマーラテックスを構成する単量体の合計100質量部当り、好ましくは0.1〜30質量部、より好ましくは2〜20質量部の範囲で用いる。
【0049】
本発明のポリマーラテックスを乳化重合して合成するに際しては、得られる共重合体水性分散液の性能に悪影響を及ぼさない範囲において、以上述べた反応性界面活性剤とともに必要に応じて、通常のアニオン系及び/又はノニオン系界面活性剤を併用することができる。
【0050】
上記通常のノニオン系界面活性剤類として特に限定はしないが、例えばポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;例えば、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;例えば、オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド等のグリセリン高級脂肪酸エステル類;例えば、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマー;等を例示することができる。
【0051】
また前記通常のアニオン系界面活性剤類としては、例えばオレイン酸ナトリウム等の高級脂肪酸塩類;例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;例えば、ポリエキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;等を例示することができる。
【0052】
これら通常の界面活性剤を前記反応性界面活性剤と併用する場合には、これら通常の界面活性剤を適宜組合わせて使用するのがよく、その使用量としては一般に本発明のポリマーラテックスを構成する前記単量体の合計100質量部当り0〜1質量部程度の量が好ましい。
【0053】
本発明のポリマーラテックスを乳化重合して合成するに際しては、得られる共重合体水性分散液の性能に悪影響を及ぼさない範囲において、以上述べた反応性界面活性剤及び必要に応じて用いる前記通常のアニオン系及び/又はノニオン系界面活性剤とともに水溶性保護コロイドを併用することもできる。
【0054】
上記の水溶性保護コロイドとしては、例えば部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;及びグアガムなどの天然多糖類;などが挙げられ、これらは、単独でも複数種併用の態様でも利用できる。水溶性保護コロイドの使用量としては、本発明のポリマーラテックスを構成する前記単量体の合計100質量部当り0〜0.5質量部程度が好ましい。
【0055】
以下に、本発明の分子内にラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤の存在下で乳化重合して得られるポリマーラテックスの合成例を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
(本発明のポリマーラテックスBLX1の合成)
1000mlの四ツ口フラスコにフルゾーン翼撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入し脱酸素を行いつつ、蒸留水350mlを加えて内温が70℃となるまで加熱した。分散剤として本発明に係わるアニオン系反応性界面活性剤エレミノールJS−2を添加し、モノマーとしてスチレン80g、n−ブチルアクリレート20gを混合し、その内10g(モノマー全体の10質量%)を滴下した。20分後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.0gを添加し、次いで残りのモノマー90g(モノマー全体の90質量%)を、約1.5時間かけて滴下ロートで滴下した。滴下終了から2時間後、更に重合開始剤を0.1g添加し、その後2.5時間反応を続けた。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスを得た。得られたポリマーラテックスは凝集物を除くため、4枚重ねガーゼで濾別して、目的とするポリマーラテックスを得た。
(本発明のポリマーラテックスBLX2の合成)
1000mlの四ツ口フラスコにフルゾーン翼撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入し脱酸素を行いつつ、蒸留水350mlを加えて内温が70℃となるまで加熱した。分散剤として本発明に係わるアニオン系反応性界面活性剤エレミノールJS−2を添加し、モノマーとしてスチレン65g、n−ブチルアクリレート20g、グリシジルメタクリレート10g、メタクリル酸5gを混合し、その内10g(モノマー全体の10質量%)を滴下した。20分後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.0gを添加し、次いで残りのモノマー90g(モノマー全体の90質量%)を約1.5時間かけて滴下ロートで滴下した。滴下終了から2時間後、更に重合開始剤を0.1g添加し、その後2.5時間反応を続けた。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスを得た。得られたポリマーラテックスは凝集物を除くため、4枚重ねガーゼで濾別して、目的とするポリマーラテックスを得た。
【0056】
(本発明のポリマーラテックスBLX3の合成)
1000mlの四ツ口フラスコにフルゾーン翼撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入し脱酸素を行いつつ、蒸留水350mlを加えて内温が70℃となるまで加熱した。分散剤として本発明に係わるアニオン系反応性界面活性剤エレミノールRS−30を添加し、モノマーとしてスチレン40g、n−ブチルアクリレート60gを混合し、その内10g(モノマー全体の10質量%)を滴下した。20分後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.0gを添加し、次いで残りのモノマー90g(モノマー全体の90質量%)を約1.5時間かけて滴下ロートで滴下した。滴下終了から2時間後、更に重合開始剤を0.1g添加し、その後2.5時間反応を続けた。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスを得た。得られたポリマーラテックスは凝集物を除くため、4枚重ねガーゼで濾別して、目的とするポリマーラテックスを得た。
(本発明のポリマーラテックスBLX4の合成)
1000mlの四ツ口フラスコにフルゾーン翼撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入し脱酸素を行いつつ、蒸留水350mlを加えて内温が70℃となるまで加熱した。分散剤として本発明に係わるアニオン系反応性界面活性剤エレミノールRS−30を添加し、モノマーとしてスチレン55g、n−ブチルアクリレート30g、グリシジルメタクリレート10g、メタクリル酸5gを混合し、その内10g(モノマー全体の10質量%)を滴下した。20分後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.0gを添加し、次いで残りのモノマー90g(モノマー全体の90質量%)を約1.5時間かけて滴下ロートで滴下した。滴下終了から2時間後、更に重合開始剤を0.1g添加し、その後2.5時間反応を続けた。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスを得た。得られたポリマーラテックスは凝集物を除くため、4枚重ねガーゼで濾別して、目的とするポリマーラテックスを得た。
(本発明のポリマーラテックスBLX5の合成)
1000mlの四ツ口フラスコにフルゾーン翼撹拌機、温度計、滴下ロート、窒素導入管、還流冷却器を施し、窒素ガスを導入し脱酸素を行いつつ、蒸留水350mlを加えて内温が70℃となるまで加熱した。分散剤として本発明に係わるアニオン系反応性界面活性剤エレミノールRS−30を添加し、モノマーとしてスチレン65g、n−ブチルアクリレート20g、グリシジルメタクリレート5g、ビニルトリエトキシシラン10gを混合し、その内10g(モノマー全体の10質量%)を滴下した。20分後、重合開始剤として過硫酸アンモニウム1.0gを添加し、次いで残りのモノマー90g(モノマー全体の90質量%)を約1.5時間かけて滴下ロートで滴下した。滴下終了から2時間後、更に重合開始剤を0.1g添加し、その後2.5時間反応を続けた。その後冷却しアンモニア水でpH6に調整し、疎水性ポリマー粒子を含有するポリマーラテックスを得た。得られたポリマーラテックスは凝集物を除くため、4枚重ねガーゼで濾別して、目的とするポリマーラテックスを得た。
【0057】
本発明において、画像形成層中の本発明の熱融着性ポリマー粒子の含有量は、画像形成を可能とするために、通常70質量%以上、好ましくは95質量%以上である。画像形成層に本発明の熱融着性ポリマー粒子を含有させることにより、適度な被膜形成性が付与され、擦過性などが向上し、平版印刷版材料の取り扱い性が向上する。また低い温度で融着が可能であるため、少ない露光エネルギーで画像形成ができることにも寄与する。
【0058】
又、画像形成層に本発明の熱融着性ポリマー粒子を含有させることにより、画像部にハード成分を付与することができ耐刷性を向上させることが可能となる。また非画像部においては、低温での融着を防ぎ、保存時のかぶりを防止できる。
【0059】
本発明に利用可能なワックス類としてはカルナウバワックス、蜜ろう、鯨ろう、木ろう、ホホバ油、ラノリン、オゾケライト、パラフィンワックス、モンタンワックス類、キャンデリンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ライスワックスなどの天然ワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプシュワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体、高級脂肪酸等が挙げられる。
【0060】
本発明において、画像形成層には被膜性を向上させるために、親水性結着剤を少量含有させても良い。親水性結着剤としては公知の親水性高分子が利用でき、水溶性(コ)ポリマー、即ち、合成ホモポリマーもしくはコポリマーが用いられる。例えばポリビニルアルコール、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリビニルメチルエーテル、又は天然結合剤、例えばゼラチン、多糖類、デキストラン、プルラン、セルロース、アラビアゴム、アルギニン酸等が挙げられる。また親水性結着剤は、フェノール性ヒドロキシ基及び/又はカルボキシル基を有する水に不溶性、アルカリ溶解性又は膨潤性樹脂であっても良い。
【0061】
本発明において、画像形成層における親水性結着剤の含有量は、印刷機上の現像性を速めるため、また印刷機の汚染を防止するために、画像形成層の被膜形成を確保できる範囲で少ない方が好ましい。画像形成層の構成成分の5質量%以下が好ましく、全く含有しないのがより好ましい。親水性結着剤の量が5質量%を越えると、印刷機上現像性が遅く、また現像物中のポリマー粒子が親水性結着剤と共に湿し水に混入やすくなる傾向があり、そうなると印刷機、とりわけ湿し水供給部を汚染してしまう。
【0062】
本発明において、画像形成層には、レーザー記録するために、レーザー光を吸収して熱に変換する光熱変換剤が含有されていても良い。光熱変換剤としてはカーボンブラック、チタンブラック、金属カーバイド、ホウ化物、窒化物、炭化窒化物、青銅構造酸化物及び構造的に青銅属に関連するがA成分がない酸化物、例えばWO2.9、導電性ポリマー分散液、例えばポリピロール又はポリアニリンに基づく導電性ポリマー分散液やシアニン系、ポリメチン系、アズレニウム系、スクワリウム系、チオピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系色素等の有機化合物、フタロシアニン系、アゾ系、チオアミド系の有機金属錯体などが好適に用いられる。
【0063】
具体的には特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−97589号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。
【0064】
本発明の平版印刷版材料の支持体としては公知のものが利用でき、例えばアルミニウム、ステンレス、クロム、ニッケル等の金属板;ポリエステルフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のプラスチックフィルム;紙、合成紙等;樹脂コーティングした紙に前述の金属薄膜をラミネート又は蒸着したもの;等が利用できる。
【0065】
これらの支持体には、レーザー記録をするために光熱変換機能を付与することができ、たとえば、上記支持体上に、カーボンブラックや特開昭52−20842号公報に記載の金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、アンチモン、テルル、ビスマス、セレン等のメタルブラックの蒸着層、蒸着膜を形成する方法が挙げられる。またプラスチックフィルムの場合には、前述した光熱変換剤をフィルム成形前に練り混んでおく方法も挙げられる。
【0066】
本発明の平版印刷版材料は支持体として印刷用親水性支持体を用いることもできる。印刷用親水性支持体としては表面を砂目立て、陽極酸化処理、封孔処理を施したアルミニウム板が挙げられる。砂目立て処理の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えば、ボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。
【0067】
アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独もしくは組合せて用いることができる。好ましいのは電解エッチングによる方法である。電解エッチングは、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸を単独ないし2種以上混合した浴で行われる。砂目立て処理の後、必要に応じてアルカリあるいは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
【0068】
陽極酸化処理は、電解液として硫酸、クロム酸、シュウ酸、燐酸、マロン酸等を一種または二種以上含む溶液を用い、アルミニウム板を陽極として電解して行われる。形成された陽極酸化被覆量は、通常1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2である。封孔処理としては、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。
【0069】
この他にアルミニウム板支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。親水性支持体はその表面の水に対する接触角が60度以下であることが好ましく、より好ましくは40度以下である。
【0070】
親水性支持体の厚さは、通常50〜1000μm、好ましくは75〜500μmの範囲であるものを好適に使用することができる。
【0071】
感光層側の表面粗さがRa値で0.2〜0.8μmの範囲及び/又はRz値で3.0〜6.0μmの範囲であるアルミニウム支持体を用いることが好ましい。封孔処理された親水性支持体には、珪酸ナトリウムなどで親水化処理することができる。
【0072】
印刷用親水性支持体としては、上述した支持体に親水性層を塗設することにより作製することもできる。親水性層としては、親水性結着剤を架橋することで層を形成したもの、金属酸化物微粒子など高親水性の粒子を自己造膜させたものが挙げられる。
【0073】
親水性層を構成する親水性結着剤としては、親水性(コ)ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、メチロールメタクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレートのホモポリマー又はコポリマーなどのアクリル樹脂、あるいはマレイン酸/ビニルメチルエーテルコポリマー、ポリエステル類、ポリウレタン類、セルロース類、ゼラチン等を用いることができる。
【0074】
親水性結着剤を架橋するための架橋剤としては、たとえばメラミン樹脂、ホルムアルデヒド、グリオキサル、ポリイソシアナート、加水分解テトラ−アルキルオルトシリケート等が利用できる。
【0075】
金属酸化物微粒子としては、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、その他の金属酸化物のゾルが挙げられる。金属酸化物微粒子の形態としては、球状、針状、羽毛状、その他のいずれの形態でも良い。平均粒径としては3〜100nmであることが好ましく、平均粒径が異なる数種の金属酸化物微粒子を併用することもできる。また、粒子表面に表面処理がなされていても良い。上記のなかでも特にコロイダルシリカが比較的低温の乾燥条件であっても造膜性が高く好ましい。
【0076】
親水性層には、親水性、保水性を高めるため、また親水性層表面粗さを好適な範囲にするため、多孔質無機粒子を含有していても良い。多孔質無機粒子としては、多孔質シリカまたは多孔質アルミノシリケート粒子、あるいはゼオライト粒子が好ましい。又、多孔質粒子は塗布層全体の30〜95質量%であることが好ましい。
【0077】
粒子の多孔性としては、分散前の状態で、細孔容積で1.0ml/g以上であることが好ましく、1.2ml/g以上であることがより好ましく、1.8〜2.5ml/gであることが特に好ましい。
【0078】
多孔質無機粒子の粒径としては、親水性層に含有されている状態で、実質的に1μm以下であることが好ましく、さらには0.5μm以下であることが好ましい。1μmより大きい粗大な多孔質無機粒子を除去するために、親水性層塗布液を機械的に分散処理を行い、粗大粒子を破砕してもよい。
【0079】
上記親水性層にはレーザー記録をするために光熱変換機能を付与することができ、前述した光熱変換剤を含有させることができる。
【0080】
本発明の平版印刷版材料はサーマルヘッドにより潜像付与が可能である。また、画像形成層及び/又は支持体に光熱変換機能がある場合には、レーザー光線による記録も可能である。レーザー光源としてはアルゴンレーザー、He−Neガスレーザー、YAGレーザー、半導体レーザーなどが挙げられる。
【0081】
潜像が付与された平版印刷版材料は水やアルカリ性の現像液などで現像処理が可能である。支持体として、親水性支持体を使用する場合、上記の現像処理方法の他に、平版印刷版材料を印刷機のシリンダーに取り付け、シリンダーを回転させながら印刷用インキ供給及び/又は印刷用湿し水を供給することにより、印刷機上で現像することが出来る。又、同様に印刷用インキ供給及び/又は印刷用湿し水を供給しながらシリンダーを数回回転させた後、印刷用紙を搬送することにより、現像物を印刷用紙で除去する方法も採ることが出来る。更にはシリンダーに平版印刷版材料を取り付けた後、いきなり印刷状態(シリンダー回転と同時に印刷用インキ供給、印刷用湿し水供給及び紙の搬送を行う)にすることにより、印刷機上で現像することが出来る。
【0082】
【実施例】
次に本発明を実施例にて更に説明するが、本発明の態様はこれに限定されるものではない。
<親水性支持体1の作製>
厚さ200μmのPETフィルムに15W/(m2・min)の条件でコロナ放電処理を行った後、コロナ面に下記組成からなる下引層塗布液をワイヤーバー#9を用いて塗布し、150℃、10分間乾燥させ乾燥膜厚約3μmからなる下引層を有する支持体を得た。
下記組成のものをガラスビーズを用いて1時間ミル分散し、親水性層塗布液を得た。得られた塗布液をワイヤーバー#10で上記下引層を有する支持体上に塗布し100℃、10分間乾燥させて、乾燥膜厚約3μmからなる親水性層を有する親水性支持体1を得た。
<親水性支持体2の作製>
厚さ200μmのPETフィルムに15W/(m2・min)の条件でコロナ放電処理を行った後、コロナ面に下記組成からなる下引層塗布液をワイヤーバー#9を用いて塗布し、150℃、10分間乾燥させ乾燥膜厚約3μmからなる下引層を有する支持体を得た。
下記組成をガラスビーズを用いて1時間ミル分散し、親水性層塗布液を得た。得られた塗布液を上記下引層を有する支持体上にワイヤーバー#10で塗布し100℃、10分間乾燥させて、乾燥膜厚約3μmからなる親水性層を有する親水性支持体2を得た。
<親水性支持体3の作製>
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間脱脂処理を行なった後水洗した。この脱脂したアルミニウム板を、25℃に保たれた10%塩酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後水洗した。
【0083】
次いで、このアルミニウム板を0.3質量%の硝酸水溶液において、温度25℃、電流密度100A/dm2の条件で交流電流により60秒間電解粗面化を行なった後、60℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行なった。
【0084】
デスマット処理を行なった粗面化アルミニウム板を15%硫酸溶液中で、温度25℃、電流密度10A/dm2、電圧15Vの条件で1分間陽極酸化処理を行ない、更に3%硅酸ソーダ、温度90℃で封孔処理を行なって親水性支持体3を作製した。珪酸処理後の支持体上のRaは0.43μmであった。
<平版印刷版材料試料No.101〜115の作製>
表1記載のように、親水性支持体上に下記の各画像形成層塗布液(メチルエチルケトン溶液)をワイヤーバー#5で塗布し、50℃、3分間乾燥して積層し平版印刷版材料試料No.101〜115を作製した。画像形成層は乾燥質量で1.0g/m2であった。
−画像形成層塗布液−
乾燥質量
本発明ポリマー粒子(表1に記載) 0.70g/m2
KL05(ケン化度約80%のポリビニルアルコール;日本合成化学社製)
0.30g/m2
<評価方法>
−画像形成層塗膜強度−
作製した平版印刷版材料の画像形成層塗膜強度を、指で擦ることにより下記の様に目視で評価した。
【0085】
5…指の擦り跡が見られず、印刷に十分使用できるレベル
4…指の擦り跡がわずかに見られるが、印刷には使用できるレベル
3…指の擦り跡があるが、印刷には使用できるレベル
2…指の擦り跡が多く見られ、印刷には使用できないレベル
1…指の擦り跡状に画像形成層の欠落があり、印刷には使用できないレベル
−現像性−
作製した平版印刷版材料に半導体レーザー(波長830nm、出力100mW)で画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。また解像度は走査方向、副走査方向とも2000dpi(dpiとは1インチ、即ち2.540cm当たりのドット数を表す)とした。
【0086】
画像描画した平版印刷版を現像処理することなく印刷機(ハイデルGTO)のシリンダーに設置し、エッチング液としてSEU−3(コニカ社製)の45倍水希釈液を用い、インキとしてハイエコー紅(東洋インキ製造株式会社製)を用い、印刷を行った。
【0087】
得られた印刷物の非画像部反射濃度が0.05以下になった時点を現像終点として、印刷開始から反射濃度が0.05以下になるまでの印刷枚数を求め、現像性の指標とした。
−耐刷性−
上記現像性の評価の場合と同様にして印刷を行い、得られた印刷物の画像の175線相当の細線にカスレが生じるまでの印刷枚数を求め、耐刷性の指標とした。
−印刷機の非汚染性−
各平版印刷版材料を印刷機上で連続5回現像処理を行った後、湿し水を供給するためのモルトンを24時間放置することにより乾燥させた。乾燥させたモルトンを再度印刷機に設置し、ポジ型PS版VS(富士写真フィルム工業社製)を用いて印刷を行い以下の基準にて評価した。
【0088】
○…吸水性は劣化せず、印刷初期から非画像部の汚れが発生しないレベル
△…印刷初期において吸水性は劣化していたが、時間と共に元の吸水性に回復し、十分印刷に使えるレベル
×…吸水性がなく、印刷時に水供給できず使えないレベル
結果を表1に示す。
【0089】
【表1】
【0090】
表1から明らかなように、本発明のごとく、分子内にラジカル重合性不飽和基を有する界面活性剤の存在下で乳化重合して得られるポリマーラテックスを熱融着性ポリマー粒子として含む画像形成層を有すること(本発明の請求項1の発明の構成)、更には、本発明の請求項2、3または4の発明の構成により、画像形成層の塗膜強度、現像性、耐刷性(画像形成層画像部強度)、印刷機の非汚染性が優れ、安定した湿し水供給ができ、結果として安定した印刷品質を得ることの出来る平版印刷版材料及びそれを用いた平版印刷版の作製方法を提供できることがわかる。
【0091】
【発明の効果】
本発明により、画像形成層塗膜強度、現像性、耐刷性(画像形成層画像部強度)、印刷機の非汚染性が優れ、安定した湿し水供給ができ、結果として安定した印刷品質を得ることの出来る平版印刷版材料及びそれを用いた平版印刷版の作製方法を提供できる。
Claims (4)
- 支持体上に、ポリマー粒子を含有する画像形成層を有し、該ポリマー粒子の少なくとも1種が熱融着性ポリマー粒子であり、その熱融着性により画像形成がなされる平版印刷版材料において、該熱融着性ポリマー粒子が、下記分子内にラジカル重合性不飽和基を有するアニオン系の界面活性剤である、
アルキルアルケニルコハク酸エステル塩系反応性界面活性剤、
ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性界面活性剤、
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル脂肪族不飽和ジカルボン酸エステル塩系反応性界面活性剤、
フタル酸ジヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート硫酸エステル塩系反応性界面活性剤、
および、
モノもしくはジ(グリセロール−1−アルキルフェニル−3−アリル−2−ポリオキシアルキレンエーテル)リン酸エステル塩系反応性界面活性剤、
から選ばれる少なくとも1種の存在下に、乳化重合して得られるポリマーラテックスであることを特徴とする平版印刷版材料。 - 前記請求項1記載の平版印刷版材料が光を吸収して熱に変換する材料を含有することを特徴とする平版印刷版材料。
- 前記請求項1又は2記載の平版印刷版材料の支持体が印刷用親水性支持体であることを特徴とする平版印刷版材料。
- 前記請求項1、2または3記載の平版印刷版材料を印刷機のシリンダーに固定し、印刷用インクおよび湿し水から選ばれる少なくとも1種の存在下で現像処理することを特徴とする平版印刷版の作製方法。
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