JP3915545B2 - 封止用エポキシ樹脂組成物及び片面封止型半導体装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体素子の封止用等に使用される封止用エポキシ樹脂組成物及びこれにより封止された片面封止型半導体装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ICパッケージの分野において小型薄型化が進む中、リード端子数の増加に対応するために、半導体装置はSOP、QFPに代表される周辺実装パッケージから、BGA(ボール・グリッド・アレイ)を代表とするエリア実装パッケージに主流が移り変わりつつある。現状のBGAパッケージの形状はICチップと端子までの接続方法により様々な構造のものがみられる。
【0003】
その中で最も主流となっているのがチップとインターポーザとを金ワイヤーで接続したタイプで、チップ搭載面のみを封止用エポキシ樹脂組成物でトランスファ成形にて封止した後、インターポーザの裏面にはんだバンプを設けたものである。
【0004】
また、最近、このようなBGAパッケージの小型化、および生産性を向上させるために、インターポーザ上に複数個のチップをマトリクス状に実装し、これを一括して上述の方法で片面封止し、成形後に切断して個片化してパッケージを得る方法が増えつつある。
【0005】
更に、このように一括封止後、切断個片化してBGA、LGA(ランド・グリッド・アレイ)パッケージを得る場合、小型化のために、インターポーザを薄型化したり、ポリイミド等のフィルムを使用したりする場合が増えてきた。
【0006】
このような片面封止パッケージに関して従来から指摘されている問題点としては、その構造が封止材(エポキシ樹脂組成物の硬化物)とチップが実装されたベース基板(インターポーザ)がバイメタル構造となっていて、成形完了後に室温まで冷却される課程において、それぞれの熱膨張係数の差により、冷却時の収縮割合がアンバランスとなり、パッケージに反りが発生しやすいということが挙げられる。特に前記の一括封止の場合、成形サイズが従来のBGAパッケージよりも大きくなるため、成形物(個片化前の成形物)の反り量も増加し、成形後、個片化行程において、生産性に重大な悪影響を及ぼし、また、成形物の搬送行程でも不具合が生じる。
【0007】
そこで、封止用エポキシ樹脂組成物に、エポキシ樹脂成分としてトリフェニルメタン型のエポキシ樹脂を用いたり、硬化剤成分としてトリフェニルメタン型のフェノール樹脂を用いるなどのように、耐熱性の高い樹脂を用い、封止材のガラス転移温度を上げることによって、成形後の常温までの冷却での収縮率がベース基板のそれと同程度になるように低減して、反りを低減する方法が検討されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、片面封止のパッケージを製造する際に、上記のトリフェニルメタン型エポキシ樹脂、および硬化剤を用いる方法によれば、従来のBGAパッケージの場合は、かなりの改善が達成されるが、一括封止タイプで特に基板が薄い場合や、ポリイミドフイルムの場合には、成形物の反りについては十分満足できるレベルではなく、さらなる改良が求められている。
【0009】
このような更なる低反り化を達成するためには、封止材の線膨張係数を低くする目的で、無機充填材の配合量を増大させることが考えられる。しかしながら、このように無機充填材を高充填すると、封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度が高くなってしまって成形性に悪影響を及ぼし、成形中に金線が変形するなどといった重大な欠点が生じる。
【0010】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、硬化物が高いガラス転移温度と低線膨張率とを兼ね備え、且つ溶融粘度が低減されて金線流れ等の成形不良の発生を抑制することができ、特に片面封止パッケージの低反り性化を達成することができる封止用エポキシ樹脂組成物、および片面封止型半導体装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、
A.下記構造式(1)に示す構造を有するフェノール樹脂を85重量%以上含有すると共に構造式(1)中におけるnの値が0となるものよりも低分子量であるフェノール化合物を3〜10重量%含有し、且つ150℃における溶融粘度が0.4Pa・s以下であるフェノール樹脂成分を、50〜100重量%の割合で含むフェノール樹脂硬化剤、
B.1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、
C.硬化促進剤及び
D.組成物全量に対する含有量が85重量%以上の無機充填材
を含有して成ることを特徴とするものである。
【0012】
【化4】
【0013】
このとき、下記構造式(2)で示されるエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂Bの全量に対して30〜100重量%の割合で含有させることが好ましい。
【0014】
【化5】
【0015】
また、下記構造式(3)で示されるエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂Bの全量に対して30〜100重量%の割合で含有させることも好ましい。
【0016】
【化6】
【0017】
また、難燃剤として、平均粒径1〜60μmの微粉末状赤リンの表面に無機物層および熱硬化性樹脂層を被覆した被覆層付赤リンを含有させることも好ましい。
【0018】
また、本発明に係る片面封止型半導体装置は、上記のような封止用エポキシ樹脂にて封止して成ることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0020】
本発明に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、次の成分を必須成分として含有する。
【0021】
A.上記構造式(1)に示す構造を有するフェノール樹脂を85重量%以上含有すると共に構造式(1)中におけるnの値が0となるものよりも低分子量であるフェノール化合物を3〜10重量%含有し、且つ150℃における溶融粘度が0.4Pa・s以下であるフェノール樹脂成分を、50〜100重量%の割合で含むフェノール樹脂硬化剤。
【0022】
B.1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂。
【0023】
C.硬化促進剤。
【0024】
D.組成物全量に対する含有量が85重量%以上の無機充填材。
【0025】
各成分について詳しく説明する。
【0026】
上記の各成分のうち、フェノール樹脂硬化剤Aは、次のような特定組成のフェノール樹脂成分を必須成分として含有する。
【0027】
このフェノール樹脂成分は、上記構造式(1)に示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂と、これよりも低分子量のフェノール化合物とを含有し、このフェノール樹脂成分の総量に対して、構造式(1)に示す構造を有するフェノール樹脂の含有量が85重量%以上、低分子量のフェノール化合物の含有量が3〜10重量%となるようにし、且つ150℃での溶融粘度(ICI粘度)が0.4Pa・s以下であるものを用いる。前記の低分子量のフェノール化合物としては、二核体以下のフェノール化合物が挙げられる。
【0028】
このような特定組成のフェノール樹脂成分を含有するフェノール樹脂硬化剤Aを用いると、耐熱性の高いトリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いることにより、封止材のガラス転移温度を上昇して成形時の寸法変化量を低減することができる。また更に封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を大幅に低下させることが可能となって、後述するように無機充填材の高充填化が容易となり、この結果、封止材の線膨張率を低減して、成形時の寸法変化量を更に低減することが可能となる。このため、特にパッケージ片面封止時の反り抑制に寄与するとともに、無機充填材の高充填化により封止材の吸湿率を低減して耐リフロー性の向上に寄与することができる。
【0029】
すなわち、上記構造式(1)に示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂は単独では150℃における溶融粘度が0.5Pa・s以上となって、このトリフェニルメタン型フェノール樹脂のみでは封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を上昇させ、組成物中における無機充填材の配合量が制限されて低線膨張係数化が困難なものであるが、フェノール樹脂成分中に前記のような低分子量のフェノール化合物を3〜10重量%含むことにより構造式(1)に示されるトリフェニルメタン型フェノール樹脂と低分子量のフェノール化合物とからなるフェノール樹脂成分の溶融粘度を大幅に低減して、150℃における溶融粘度を0.4Pa・s以下とすることが可能となり、この結果、組成物全体の溶融粘度を低減することができて、無機充填材を高充填することによる封止材の低線膨張係数化や吸湿率の低減が可能となるものである。
【0030】
このような特定組成を有するフェノール樹脂成分は、フェノール樹脂硬化剤Aの全量に対して50〜100重量%配合することにより上記のような効果が得られるものであり、より好ましくはこの配合量を80〜100重量%とするものである。
【0031】
フェノール樹脂硬化剤Aには、特定組成のフェノール樹脂成分の含有量を上記の範囲とすることを条件として、任意成分としてそれ以外の他のフェノール樹脂を含有させることができる。このような他のフェノール樹脂としては、適宜のフェノール樹脂が用いられるが、例えばフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂等を用いることができる。
【0032】
このようなフェノール樹脂硬化剤Aの組成物中の配合量は、後述するエポキシ樹脂Bに対する化学量論上の当量比で、0.7〜1.4の範囲となるようにすることが好ましい。
【0033】
また、エポキシ樹脂Bとしては、封止材料用途に用いられる適宜のものを使用することができ、例えば、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂等を用いることができる。これらのエポキシ樹脂は一種のみ又は二種以上を用いることができる。
【0034】
また、特にエポキシ樹脂Bとしては、上記構造式(2)又は構造式(3)で示される多官能エポキシ樹脂のいずれ一方又は双方を含有するものを用いることが好ましく、この場合、耐熱性の高いエポキシ樹脂を用いることにより、封止材のガラス転移温度を更に上昇し、成形時の寸法変化量をより低減することができ、特にパッケージ片面封止時の反りの発生を更に抑制することができる。
【0035】
この構造式(2)又は構造式(3)で示される多官能エポキシ樹脂は、エポキシ樹脂Bを構成する全エポキシ樹脂成分に対して30〜100重量%の範囲となるように配合することが好ましく、更に好ましくは40〜100重量%となるようにする。
【0036】
また、エポキシ樹脂Bとして、構造式(2)又は構造式(3)で示されるエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を配合する場合には、例えば上記のような、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有エポキシ樹脂等を併用することができる。
【0037】
また、硬化促進剤Cとしては、特に制限されるものではなく、一般の封止用エポキシ樹脂組成物に使用可能なものを用いることができる。たとえば、イミダゾール類、トリフェニルフォスフィン類、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレートとフェノールノボラックの反応物等の有機リン化合物類、1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)、トリエタノールアミン、ベンジルジメチルアミン等の3級アミン類等が挙げられる。この硬化促進剤の配合量は、組成物中の樹脂成分の全量に対して0.2〜5重量%の範囲とすることが好ましい。
【0038】
無機充填材Dとしては、特に制限されず、一般に封止用樹脂組成物に使用可能なものを使用することができ、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、アルミナ、窒化珪素、窒化アルミ等の粉末を使用することができる。これらの中でも特に溶融シリカを用いると、封止材の低線膨脹率化を更に達成することができて好ましい。また、その形状が球状のものを用いることが好ましく、この場合、組成物中に無機充填材Dを高充填することが容易となる。
【0039】
この無機充填材Dの配合量は、封止用エポキシ樹脂組成物全量に対して85〜91重量%とするものであり、これにより封止材の線膨張率を低減して、特にパッケージ片面封止時の反り抑制に寄与するとともに、封止材の吸湿率を低減して耐リフロー性の向上に寄与することができる。ここで、本発明では既述のようなフェノール樹脂硬化剤Aを配合することにより、組成物の溶融粘度が低減されて、このように無機充填材Dを高充填しても組成物の溶融粘度の上昇が抑制され、十分な成形性が確保されるものである。
【0040】
ここで、無機充填材の配合量が85重量%に満たないと、封止用エポキシ樹脂組成物を硬化して得られる封止材の線膨張係数が大きくなって、片面封止パッケージの反りが大きくなり、また封止材の吸湿率が大きくなって十分な耐湿信頼性、耐リフロー性が得られない。
【0041】
また、無機充填材は、予めその表面をシランカップリング材で処理した後に、組成物中に配合することが好ましく、この場合、無機充填材の分散性を向上して、封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を更に低減することができる。
【0042】
また、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物中には、必要に応じて難燃剤を配合することができる。難燃剤としては、一般の封止用エポキシ樹脂組成物に使用可能な適宜のものを使用することができるが、例えばテトラブロムビスフェノールA等のブロム化エポキシ樹脂と三酸化アンチモン粉末とを併用することが好ましい。
【0043】
また、難燃剤として、表面に被覆層を有する赤リン系難燃剤を用いることも好ましく、この場合、難燃剤としてハロゲンを含まないものを用いることができて、近年のハロゲンフリー化の流れに沿うものであり、環境問題の解決に寄与することができる。このとき赤リン系難燃剤が被覆層にて覆われていることにより、赤リンの吸湿が防止され、赤リン系難燃剤を安定化に維持して、封止材にて半導体等を封止した場合に、アルミニウム配線の腐蝕を生じさせるなどといった悪影響を及ぼさないようにすることができる。
【0044】
赤リン系難燃剤に設ける被覆層は、水酸化アルミニウムや水酸化チタンなどの無機質層と、フェノール樹脂、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂層とを設けることが好ましい。例えば水酸化アルミニウムや水酸化チタン等の無機物質で粒状の赤リンに無機質層を形成した後、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等による熱硬化性樹脂層を形成するものである。
【0045】
また、この難燃剤である赤リン系難燃剤は、平均粒径1〜60μmの範囲の微粉状の赤リンであることが好ましく、このような粒径範囲とすることで、封止材の耐湿信頼性を向上することができる。またこの赤リン系難燃剤としては、リン酸エステル等の有機リン系の難燃剤を用いることもできる。
【0046】
このような被覆層付きの赤リン系難燃剤の配合割合は、封止用エポキシ樹脂組成物全体に対して0.05〜1.0重量%の範囲とすることが好ましく、0.05重量%未満であると、難燃性の付与効果が少なく、1.0重量%を超えると耐湿性を悪化させるおそれがある。
【0047】
また本発明の封止用エポキシ樹脂組成物には、上記の成分のほかに、必要に応じて、離型剤、カーボンブラック等の顔料や有機染料等の着色剤等を適宜配合することができる。
【0048】
本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を調製するにあたっては、例えば上記の各成分を所定量配合し、ミキサー等で均一に混合した後、加熱ロール、ニーダー等で混練するものであり、このとき各成分の配合順序には特に制限はない。また混練した後に粉砕することにより粉末状の封止用エポキシ樹脂組成物を得ることができ、更にこれを打錠してタブレット状の封止用エポキシ樹脂組成物を得ることもできる。
【0049】
このようにして得られる封止用エポキシ樹脂組成物は、半導体装置の封止用途に使用することができるものであり、特に片面封止型半導体装置の封止用に好適に用いられる。この場合、成形時の寸法変化量が低減され、パッケージ反りの発生を低減することができる。また、半導体封止時において、封止用エポキシ樹脂組成物の硬化物から形成される封止材と、インターポーザやチップ等との間の密着性が向上し、リフロー処理後の剥離の発生を抑制することができる。
【0050】
上記の封止用エポキシ樹脂組成物を用いた片面封止型半導体装置の製造例を説明する。
【0051】
インターポーザとしては、ガラス基材ビスマレイミド系樹脂基板、ガラス基材エポキシ樹脂基板等の樹脂基板からなるプリント配線基板を使用することができる。またチップ(半導体素子)としては、シリコンベアチップ等の半導体ベアチップなどが使用される。
【0052】
チップはインターポーザの一面に搭載されるものであり、このときのチップとインターポーザ上の回路との電気的な接続は、フリップチップ接合やワイヤボンディング接合等により行うことができる。
【0053】
また、搭載されたチップとインターポーザとの間に隙間が生じている場合には、必要に応じてアンダーフィルを設けても良い。
【0054】
次いで、上記の封止用エポキシ樹脂組成物を硬化成形することにより、チップが搭載されたインターポーザの一面に、チップを覆うように封止材を形成する。この封止用エポキシ樹脂組成物の硬化成形は、トランスファ成形等で行うことができ、このときの成形条件は、組成にもよるが、150〜190℃、2〜10MPa、10〜180秒間の条件で、成形を行うことができる。
【0055】
また、成形後、更にアフターキュアーを施すことが好ましく、このとき例えば160〜190℃の条件で2〜6時間加熱してアフターキュアーを施すものである。
【0056】
このようにして封止材を形成したものは、インターポーザの半導体素子搭載面とは反対側の裏面に接続用のランドを設けておくと、半導体装置であるLGA(ランド・グリッド・アレイ)として形成される。また、封止材の形成後に、インターポーザの裏面にはんだボールを設けて、半導体装置であるBGA(ボール・グリッド・アレイ)を製造することができる。
【0057】
また、半導体装置を作製するにあたっては、インターボーザの一面に複数個のチップをマトリクス状に実装し、これを一括して上述の方法で片面封止した後、成形後に切断して個片化することもできる。このように封止材がインターポーザ上の大面積の領域に形成される場合でも、本発明の封止用エポキシ樹脂組成物を用いると、パッケージ反りの発生を抑制することが可能となる。
【0058】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0059】
(実施例1〜7及び比較例1〜4)
各実施例及び各比較例につき、各成分の使用量を表1に示すようにし、各成分をミキサーで十分混合した後、過熱ロールで約5分間混錬を行い、冷却固化し、粉砕機で粉砕して封止用エポキシ樹脂を得た。
【0060】
このようにして得られた封止用エポキシ樹脂組成物を用いて次のようにしてBGAパッケージとしての性能評価のための評価用パッケージを作成した。
【0061】
サイズが40mm×150mm、コア部厚みが0.1mmのガラスエポキシ基板(松下電工(株)製、「1766T」)に回路形成を施し、さらにレジスト(太陽インキ(株)PSR4000AUS5)を塗布した。
【0062】
これに、4mm角の評価用TEGチップをチップピッチが12.2mmとなるように3×10列で計30個をマトリクス状にダイボンドして搭載し、チップとインターポーザ上の回路端子を直径25μmの金線でワイヤボンドにより接続した。
【0063】
次いで、封止用エポキシ樹脂組成物を用い、インターポーザのチップ搭載面側に封止厚み0.6mmで封止成形(トランスファー成形)して30個のチップが一括封止された一括封止物を得た。成形条件は175℃、7MPa、90秒間とし、更にアフターキュアーを175℃、6時間の条件で行った。
【0064】
(評価試験)
・一括封止物の反り評価
各実施例及び比較例において、1μmの精度で読み取り可能な測定顕微鏡を用い、一括封止物の封止材上面を平坦な台の上に載せた時の、台からの封止材の浮き量を測定した。このとき、封止材上面のうち、短辺側の外縁部の3点と、長辺側の外縁部の3点の、計9点において、封止材上面と台からの距離を測定し、その最大値にて評価を行った。
【0065】
・ワイヤー流れ(金線流れ)評価
各実施例及び比較例において、上記一括封止物の封止材内部を軟X線観察装置を用いて測定し、ワイヤー流れの有無を確認して、ワイヤー流れ率が5%以上のパッケージを不良とした。なお、各実施例および比較例について、それぞれ30個の評価用パッケージを用いて評価した。
【0066】
・耐リフロー性評価
各実施例及び比較例において、上記一括封止物をダイシング装置で個片のパッケージに切断し、この個片パッケージを125℃で12時間の前乾燥処理を行った後、30℃、70%RHの条件に設定した恒温恒湿機中で192時間の吸湿処理を行い、その後にリフロー処理(ピーク温度265℃)を行った。
【0067】
このリフロー処理後の評価用パッケージについて、超音波顕微鏡(日立建機(株)製、「My scope hyper」)で内部の観察を行い、封止材とチップ表面の界面、及び封止材とインターポーザとの界面における剥離発生の有無を調査して、剥離が発生したものを不良とした。なお、各実施例および比較例について、それぞれ10個の評価用パッケージを用いて評価した。
【0068】
・ガラス転移温度および線膨張係数
各実施例及び各比較例の封止用エポキシ樹脂組成物を、前記評価パッケージの成形条件と同一の条件で硬化させた硬化物について、TMA測定装置((株)理学製、「TAS200」)を用い、得られる膨張カーブの屈曲点からガラス転移温度(Tg)を求め、また50〜100℃の伸び率から線膨張係数(熱膨張係数:α1)を求めた。
【0069】
・耐炎性(難燃性)評価
各実施例及び各比較例の封止用エポキシ樹脂組成物を用い、前記評価用パッケージの成形条件と同一の条件で硬化させて、UL94に従って試験片を作製するとともに、UL94に基づいた耐炎性試験を行い難燃性を測定した。
【0070】
以上の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
尚、表中の各成分の詳細は次の通りである。
・フェノール樹脂a : 構造式(1)に示すフェノール樹脂と、二核体以下のフェノール化合物の混合物;二核体以下のフェノール化合物の含有量2重量%;明和化成(株)製、品番「MEH7500」
・フェノール樹脂b : 構造式(1)に示すフェノール樹脂と、二核体以下のフェノール化合物の混合物;二核体以下のフェノール化合物の含有量8重量%;明和化成(株)製、品番「MEH7500SS」
・o−クレゾールノボラック樹脂 : 住友化学製、品番「ESCN195XL」
・エポキシ樹脂a : 三井化学(株)製、品番「VG3101」
・エポキシ樹脂b : 日本化薬(株)製、品番「EPPN501HY」
・ビフェニル型エポキシ樹脂 : ジャパンエポキシレジン(株)製、「YX4000H」
・ブロム化エポキシ樹脂 : 住友化学(株)製、品番「ESB400T」
・赤リン系難燃剤 : 微粉状赤リン(燐化学工業製、品番「F5」)100重量部に対して、水酸化チタンによる無機質層を約10重量部、さらにフェノール樹脂による熱硬化性樹脂層を約20重量部の被覆量で被覆した、平均粒径30μmのもの
・溶融シリカ : 平均粒径15μm
表1にみるように、各実施例の封止用エポキシ樹脂組成物で封止した評価用パッケージは、一括封止時の反りが小さく、且つワイヤー流れが発生せず、且つ耐リフロー性に優れていることが確認された。
【0073】
例えば、実施例1と比較例1、および比較例2の比較で明らかなように、実施例1のように式(2)のエポキシ樹脂を使用し、且つ特定組成のフェノール樹脂硬化剤を使用し、更に無機充填材の配合量を85重量%以上とした場合は、一括封止物の反りが小さく、且つパッケージのワイヤー流れが発生しないことがわかる。
【0074】
また、実施例4と比較例3の比較から明らかなように、構造式(3)で示されるエポキシ樹脂を使用し、特定組成を有するフェノール樹脂硬化剤を使用した場合は、一括封止物の反りが小さく、且つパッケージのワイヤー流れが発生しないことがわかる。
【0075】
また、実施例1及び実施例4と、比較例4との比較で明らかなように、硬化剤に特定組成のフェノール樹脂硬化剤を使用し、且つエポキシ樹脂として構造式(2)又は構造式(3)に示されるエポキシ樹脂を使用する方が、エポキシ樹脂としてo−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂を使用するよりも、反りが小さく、かつワイヤー流れが発生しにくいことがわかる。
【0076】
【発明の効果】
上記のように本発明に係る封止用エポキシ樹脂組成物は、
A.上記構造式(1)に示す構造を有するフェノール樹脂を85重量%以上含有すると共に構造式(1)中におけるnの値が0となるものよりも低分子量であるフェノール化合物を3〜10重量%含有し、且つ150℃における溶融粘度が0.4Pa・s以下であるフェノール樹脂成分を、50〜100重量%の割合で含むフェノール樹脂硬化剤、
B.1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂、
C.硬化促進剤及び
D.組成物全量に対する含有量が85重量%以上の無機充填材
を含有するため、耐熱性の高いトリフェニルメタン型フェノール樹脂を用いることにより、硬化物である封止材のガラス転移温度を上昇して成形時の寸法変化量を低減することができ、更に封止用エポキシ樹脂組成物の溶融粘度を大幅に低下させることが可能となって、無機充填材の充填量が高いにも係わらず十分低い溶融粘度を維持することができ、この結果、封止材の線膨張率を低減して、成形時の寸法変化量を更に低減し、特に半導体装置のパッケージ片面封止時にはワイヤ流れ等の成形不良の発生を防止すると共に、反り発生を抑制することができて、インターボーザに実装された複数個のチップを一括して封止する場合のように封止する領域が広い場合であっても反りの発生を抑制することができるものであり、また無機充填材の高充填化により封止材の吸湿率を低減して耐リフロー性を向上することができるものである。
【0077】
また、上記構造式(2)で示されるエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂Bの全量に対して30〜100重量%の割合で含有させると、耐熱性の高いエポキシ樹脂を含有することにより、硬化物である封止材のガラス転移温度を上昇して成形時の寸法変化量を更に低減することができるものである。
【0078】
また、上記構造式(3)で示されるエポキシ樹脂を、エポキシ樹脂Bの全量に対して30〜100重量%の割合で含有させると、耐熱性の高いエポキシ樹脂を含有することにより、硬化物である封止材のガラス転移温度を上昇して成形時の寸法変化量を更に低減することができるものである。
【0079】
また、難燃剤として、平均粒径1〜60μmの微粉末状赤リンの表面に無機物層および熱硬化性樹脂層を被覆した被覆層付赤リンを含有させると、難燃剤のノンハロゲン化を達成して環境問題の解決に寄与することができ、しかも無機物層及び熱硬化性樹脂層により赤リンの吸湿を防止して赤リンを安定に維持し、特に半導体の封止用途に用いた場合に半導体に悪影響が及ぶことを防止することができるものである。
【0080】
また、本発明に係る片面封止型半導体装置は、上記のような封止用エポキシ樹脂にて封止されたものであるため、ワイヤ流れ等の成形不良の発生を防止すると共に、反り発生を抑制することができるものであり、また無機充填材の高充填化により封止材の吸湿率を低減して耐リフロー性を向上することができるものである。
Claims (5)
- 難燃剤として、平均粒径1〜60μmの微粉末状赤リンの表面に無機物層および熱硬化性樹脂層を被覆した被覆層付赤リンを含有して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂組成物。
- 請求項1乃至4のいずれかに記載の封止用エポキシ樹脂にて封止して成ることを特徴とする片面封止型半導体装置。
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