JP3915473B2 - レジストパターン、該レジストパターンの形成方法、該レジストパターンを用いたフレームめっき方法及び薄膜磁気ヘッドの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レジストパターン、このレジストパターンの形成方法、このレジストパターンを用いたフレームめっき方法及び薄膜磁気ヘッドの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄膜磁気ヘッド等の薄膜素子、半導体素子又はマイクロデバイスを製造する場合は、ミリング(ドライエッチング)処理、リフトオフ処理、及び/又はフレームめっき処理等が行われ、これらの処理は、マスクであるフォトレジストパターンを形成することから始まる。
【0003】
フォトレジストパターンには種々の構造のものがあるが、フレームめっき処理等に使用されるフォトレジストパターンとして、3層レジストパターンがある。この3層レジストパターンは、比較的薄い上層レジストを高解像度でパターニングし、この上層レジストパターンをマスクとして中間層を反応性イオンエッチング(RIE)し、次いでこの中間層パターンをマスクとして厚い下層レジストパターンをRIEすることにより形成される。例えば、特開平10−3613号公報、特開平11−175915号公報、特開2000−132812号公報には、このような3層レジストパターンが記載されている。
【0004】
これらの特開平10−3613号公報及び特開平11−175915号公報にも記載されているように、従来の3層レジストパターンにおいては、最下層の厚膜レジストとして、粘度の高いノボラック樹脂系レジストを使用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、3層レジストパターンの下層厚膜レジストに、ノボラック樹脂系レジストを用いた場合、その耐熱性の低さが大きな問題となっていた。即ち、下層厚膜レジストのプリベーク処理(熱処理)をたとえ100〜170℃程度で行ったとしても、上層の薄膜レジストをプリントする際に行われる熱処理(プリベーク、PEB等)によって、下層厚膜レジストの歪み発生、中間層のひび割れ、及び剥離が生じ、良好なパターンを得ることができなかった。中間層に不具合が生じない程度の熱処理を下層厚膜レジストに行ったとしても、3層レジストパターンの剥離が困難となる等の問題が生じていた。
【0006】
さらに、3層レジストパターンの下層厚膜レジストに、ノボラック樹脂系レジストを用いた場合、この下層厚膜レジスト自体をRIE等のドライエッチングしてパターニングする際のエッチング異方性(直進性)が非常に悪く、3層レジストパターンの壁面プロファイルを垂直に形成することは著しく困難であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、熱処理による歪み、ひび割れ等の生じないレジストパターン、このレジストパターンの形成方法、このレジストパターンを用いたフレームめっき方法及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、より垂直に近い壁面プロファイルを有するレジストパターン、このレジストパターンの形成方法、このレジストパターンを用いたフレームめっき方法及び薄膜磁気ヘッドの製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだナフトキノンジアジド(NQD)ノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料によって形成された下層パターンと、この下層パターン上に形成された中間層パターンと、中間層パターン上に形成された上層レジストパターンとを備えたレジストパターンが提供される。
【0010】
下層パターンを形成するこれらの材料は、ノボラック樹脂に比して、低分子成分である感光剤を単独で含んでいないので熱架橋後の平均分子量が大きい、樹脂がノボラック樹脂系ではなくガラス転移点が高い、架橋剤を含んでいるため熱処理時における樹脂の架橋割合が大きい、といった特性を持つ。従って、下層パターンにこれらの材料を用いることにより、上層パターンの熱処理時における下層パターンの歪み、中間層パターンのひび割れ、及び剥離が発生せず、良好なレジストパターン形状が得られる。しかも、下層パターンにこれらの材料を用いることにより、その壁面プロファイルがより垂直に近くなり、非常に良好なレジストパターン形状が得られる。
【0011】
さらに本発明によれば、下層パターンと、中間層パターンと、上層レジストパターンとを含むレジストパターンの形成方法であって、下層パターンを、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだNQDノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料によって形成するレジストパターンの形成方法が提供される。
【0012】
中間層パターンを無機材料で形成することが好ましい。
【0013】
さらにまた、本発明によれば、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだNQDノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料によって下層を形成し、この下層上に中間層を積層し、中間層上にレジスト材料による上層を積層した後、上層を所定のパターンに露光し、現像することにより、上層レジストパターンを形成し、上層レジストパターンをマスクとして、中間層をエッチングすることにより中間層パターンを形成し、この中間層パターンをマスクとして、下層をエッチングすることにより下層パターンを形成するレジストパターンの形成方法が提供される。
【0014】
下層パターンを形成するこれらの材料は、ノボラック樹脂に比して、低分子成分である感光剤を単独で含んでいないので熱架橋後の平均分子量が大きい、樹脂がノボラック樹脂系ではなくガラス転移点が高い、架橋剤を含んでいるため熱処理時における樹脂の架橋割合が大きい、といった特性を持つ。従って、下層にこれらの材料を用いることにより、上層の熱処理時における下層の歪み発生、中間層のひび割れ、及び剥離が発生せず、良好なレジストパターンを得ることができる。しかも、これらの材料はエッチング異方性(直進性)が非常に優れているため、下層をエッチングする際のその壁面プロファイルがより垂直に近くなって、非常に良好なレジストパターン形状が得られる。
【0015】
下層は、上述の材料を成膜した後、100〜170℃でプリベークして形成することが好ましい。
【0016】
中間層を無機材料で形成することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明によれば、めっき電極層上に、上述した方法によりレジストパターンを形成し、形成したレジストパターン用いてフレームめっきを行うフレームめっき方法、及びこのフレームめっき方法により、薄膜を形成する薄膜磁気ヘッドの製造方法が提供される。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の一実施形態として、3層レジストパターンを形成し、これを用いてフレームめっきを行う方法を説明する工程図である。このフレームめっきは、例えば、薄膜磁気ヘッドの磁極形成等に用いられるが、その他の薄膜素子、半導体素子又はマイクロデバイスのいかなる膜を形成する場合であっても良い。また、この3層レジストパターンは、フレームめっきの場合に限定されることなくその他のいかなる場合にも利用することができる。
【0019】
まず、同図(A)に示すように、基板又はその上にフレームめっきを行う膜10上に導電性膜をスパッタリング等で成膜し、めっき電極層11を形成する。この導電性膜は、めっき膜と同一材料であることが好ましい。
【0020】
次いで、同図(B)に示すように、めっき電極層11上にレジスト材料又は有機樹脂材料等の下層材料を塗布(スピンコート)し、必要に応じてプリベークして比較的厚い下層12を形成する。プリベーク温度は、100〜170℃であることが好ましい。プリベーク温度が100℃未満の場合、この後、上層レジストをプリントする際に行われる熱処理によって、下層材料の歪み発生、中間層のひび割れ、及び剥離が発生し、良好なパターンが得られない場合がある。また、プリベーク温度が170℃よりも高い場合、下層材料が有機溶剤によって溶解除去できない場合がある。
【0021】
下層材料としては、一体型NQDノボラックレジスト材料、疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を主成分とするレジスト材料、ポリヒドロキシスチレン系樹脂材料、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだNQDノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料を用いる。
【0022】
なお、本明細書において、一体型NQDノボラックレジスト材料とは、感光基がノボラック樹脂に直接結合しているレジスト組成物であり、具体的には下記構造式(1)で示される1又は2以上の繰り返し単位を有し、ポリスチレン換算重量平均分子量が1000〜10000であるノボラック樹脂の水酸基の水素原子を、水素1原子当たり0.03〜0.27モルの1,2−NQDスルホニル基で置換して得たノボラック樹脂を、アルカリ可溶性樹脂及び感光剤として含有するレジスト組成物である。
【0023】
【化1】
ただし、式(1)において、nは1〜4の整数、mは0〜3の整数である。
【0024】
また、本明細書において、疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料とは、感光基がノボラック樹脂に直接結合している疎水性のレジスト組成物であり、具体的には、(A)下記構造式(1)で示される繰り返し単位を有し、ポリスチレン換算重量平均分子量が1000〜30000であるノボラック樹脂の水酸基の水素原子の一部を、1,2−NQDスルホニルエステル基で置換し、かつ、残りの水酸基の一部の水素原子を下記一般式(2)、(3)又は(4)で示される官能基のうちの1種又は2種以上の置換基で置換した高分子化合物、
【0025】
【化2】
ただし、式(1)において、nは1〜4の整数、mは0〜3の整数であり、式(2)、(3)及び(4)において、Rは炭素数1〜30の直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、又は炭素数7〜20のアラルキル基である。
又は、
(B)ノボラック樹脂の水酸基の水素原子を、水素1原子当たり0.03〜0.3モルの割合で1,2−NQDスルホニルエステル基で置換し、かつ、残りの水酸基の一部の水素原子を水素1原子当たり0.01〜0.8モルの割合で上記一般式(2)、(3)又は(4)で示される官能基のうちの1種又は2種以上の置換基で置換した(A)の高分子化合物を含有するレジスト組成物である。
【0026】
さらに、本明細書において、ポリヒドロキシスチレン系レジスト材料とは、例えば、下記構造式(5)(式(5)中R1〜R3は水素原子又はメチル基である。R2及びR3は、下記の一般式(6)(式(6)中、R4、R5はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐上のアルキル基であり、R6は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基であるか、又は、R4及びR5、R4及びR6若しくはR5及びR6は環を形成していてもよい。環を形成する場合、R4、R5、R6はそれぞれ独立して炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐上のアルキレン基を示す)で示される基、又は、−CO2C(CH3)3であってもよい。x、yはそれぞれ0以上の整数である。zは1以上の整数である)で示され、重量平均分子量が10000〜25000である高分子化合物であるベース樹脂と酸発生剤を含有するレジスト材料を指す。酸発生剤としては、p−トルエンスルホンサントリフェニルスルホニウム等があげられる。
【0027】
【化3】
【0028】
【化4】
【0029】
そして、本明細書において、メラミン系化合物とは、下記構造式(7)(式(7)中、X1〜X6はそれぞれ、水素原子または、−CH2OY(Yは、水素原子若しくは炭素原子数1〜6の直鎖状又は分岐上のアルキル基を示す)を示す)で示される化合物を指す。
【0030】
【化5】
【0031】
次いで、同図(C)に示すように、この下層12上に例えば金属、酸化物又は窒化物等の無機材料をスパッタリング等により成膜し、薄い中間層13を形成する。
【0032】
次いで、同図(D)に示すように、中間層13上にレジスト材料を塗布(スピンコート)し、必要に応じてプリベークして薄い上層14を形成する。さらに、例えばクリアパターンを有するマスク15を介してこの上層14を露光する。
【0033】
次いで、必要に応じてベークを行った後、現像液で現像し、水洗及び乾燥することによって、同図(E)に示すようにクリアパターンが転写された上層レジストトレンチパターン14´を得る。
【0034】
次いで、同図(F)に示すように、この上層レジストトレンチパターン14´をマスクとして、中間層13に対してRIE等のドライエッチングを行うことにより、トレンチパターンが転写された中間層パターン13´を形成する。
【0035】
次いで、同図(G)に示すように、この中間層パターン13´をマスクとして、下層12に対してRIE等のドライエッチングを行うことにより、トレンチパターンが転写された下層パターン12´を形成する。
【0036】
その後、同図(H)に示すように、下層パターン12´のトレンチパターンをフレームとして、フレームめっきを行い、めっきパターン16を形成する。
【0037】
次いで、同図(I)に示すように、有機溶剤によって上層レジストパターン14´、中間層パターン13´及び下層パターン12´を溶解除去する。
【0038】
その後、同図(J)に示すように、めっきパターン16をマスクとして、ウェットエッチング、又はミリング等のドライエッチングを行うことによってめっきパターン16以外の部分のめっき電極層11を除去する。
【0039】
これによって、高いアスペクト比(パターン断面高さH/パターン断面幅W)を有する断面形状を持っためっきパターンを得ることができる。
【0040】
このように本実施形態では、下層12の材料として、一体型NQDノボラックレジスト材料、疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を主成分とするレジスト材料、ポリヒドロキシスチレン系樹脂材料、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだNQDノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料を用いている。これらの材料は、ノボラック樹脂に比して、低分子成分である感光剤を単独で含んでいないので熱架橋後の平均分子量が大きい、樹脂がノボラック樹脂系ではなくガラス転移点が高い、架橋剤を含んでいるため熱処理時における樹脂の架橋割合が大きい。従って、上層14のプリベーク時おける下層12の歪み発生、中間層13のひび割れ、及び剥離が発生せず、良好な3層レジストパターンを得ることができる。しかも、これらの材料はエッチング異方性(直進性)が非常に優れているため、下層12をエッチングする際のその壁面プロファイルがより垂直に近くなって、非常に良好なレジストパターン形状を得ることができる。
【0041】
次に、以上述べたフレームめっき方法によって、薄膜磁気ヘッドの上部磁極を形成する具体的な例を説明する。図2は薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する工程図であり、磁気ヘッドのトラックの中心を通る平面による断面図及び浮上面(ABS)方向から見た断面図をそれぞれ示している。
【0042】
この例は、インダクティブ記録ヘッド部と磁気抵抗効果(MR)再生ヘッド部とが一体的に積層形成されている複合型薄膜磁気ヘッドの場合である。インダクティブ記録ヘッド部のみが設けられている薄膜磁気ヘッドについても適用できる。
【0043】
まず、AlTiC等のセラミック材料による図示しない基板上に、絶縁層20を積層する。この絶縁層20は、Al2O3、SiO2等の絶縁材料を、スパッタ法等で好ましくは1000〜20000nm程度の層厚に形成する。
【0044】
次いで、その上に下部シールド21用の層を積層し、さらにその上にシールドギャップ用の絶縁層22を積層する。下部シールド21用の層は、FeAiSi、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN、FeZrN、FeTaN、CoZrNb、CoZrTa等の材料を、スパッタ法又はめっき法等で好ましくは100〜5000nm程度の層厚に形成する。シールドギャップ用の絶縁層22は、Al2O3、SiO2等の絶縁材料を、スパッタ法等で好ましくは10〜200nm程度の層厚に形成する。
【0045】
次いで、絶縁層22上のMR素子23を形成し、このMR素子23の両端に電気的に接続されるようにリード導体24を形成する。MR素子23は、磁性体の単層構造としてもよいが、磁性層及び非磁性層を交互に積層した多層構造とすることが好ましい。磁性層の材料としては、NiFe、NiFeRh、FeMn、NiMn、Co、Fe、NiO、NiFeCr等が好ましく、非磁性層の材料としては、Ta、Cu、Ag等が好ましい。また、多層構造として、例えばNiFeRh/Ta/NiFeの三層構造、NiFe/Cu/NiFe/FeMn、NiFe/Cu/Co/FeMn、Cu/Co/Cu/NiFe、Fe/Cr、Co/Cu、Co/Ag等の複数層構造を1ユニットとして複数ユニットを積層した構造としてもよい。多層構造の場合、磁性層の層厚は、0.5〜50nm、特に1〜25nmとすることが好ましく、非磁性層の層厚も、0.5〜50nm、特に1〜25nmとすることが好ましい。上述のユニットの繰り返し積層数は、1〜30回、特に1〜20回が好ましい。MR素子23全体としての層厚は、5〜100nm、特に10〜60nmであることが好ましい。MR素子用の層を積層するには、スパッタ法、めっき法等が用いられる。リード導体24は、W、Cu、Au、Ag、Ta、Mo、CoPt等の導電性材料をスパッタ法、めっき法等で10〜500nm、特に50〜300nm程度の層厚に形成することが好ましい。
【0046】
次いで、MR素子23及びリード導体24上に、シールドギャップ用の絶縁層25を積層する。この絶縁層25は、Al2O3、SiO2等の絶縁材料を、スパッタ法等で、5〜500nm、好ましくは10〜200nm程度の層厚に形成する。
【0047】
以上述べたMR再生ヘッド部の各層は、レジストパターンを用いた一般的なリフトオフ法やミリング法又はこれらを併用した方法でパターニングされる。
【0048】
次いで、MR素子23の上部シールドを兼用する記録ヘッド部の下部磁極26用の磁性層を積層し、その上に記録ギャップ27用の絶縁層を積層する。下部磁極26用の層は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料を、めっき法、スパッタ法等で好ましくは500〜4000nm程度の層厚に形成する。記録ギャップ27用の絶縁層は、Al2O3、SiO2等の材料を、スパッタ法等で、10〜500nm程度の層厚に形成する。
【0049】
その後、記録ギャップ27上に、コイル28及びこのコイル28を取り囲む絶縁層29を形成する。コイル28は、Cu等の導電性材料を、フレームめっき法等で、2000〜5000nm程度の厚さに形成する。絶縁層29は、フォトレジスト材料を熱硬化させて、3000〜20000nm程度の層厚に形成する。
【0050】
以上の工程を経て得た層構造が、図2(A)に示されている。なお、コイル28は、同図に示す用に2層であってもよいし、3層以上であっても、また、単層であってもよい。
【0051】
次いで、図2(B)に示すように、このように形成した絶縁層29上に、ABS側の磁極部と後側のヨーク部とを有する上部磁極30を図1を参照して述べたフレームめっき法で形成する。上部磁極30は、NiFe、CoFe、CoFeNi、FeN等の軟磁性材料を、好ましくは3000〜5000nm程度の層厚に形成する。この際、上部磁極30の磁極部のABS側から見た形状が、同図のごとくなるように形成される。
【0052】
次いで、図2(C)に示すように、このようにして形成した上部磁極30をマスクとして、イオンミリング、RIE(反応性イオンエッチング)等のドライエッチングを行い、記録ギャップ17用の絶縁層のマスクに覆われていない部分を除去し、さらに下部磁極26用の磁性層の途中までマスクに覆われていない部分を除去する。
【0053】
これにより、図2(D)に示すように、上部磁極30の下端に、記録ギャップ17を介して対向しかつ同じ幅を有する突出部26aが下部磁極26に形成される。次いで、パッドバンプ等を形成した後、保護層31を積層する。この保護層31は、Al2O3、SiO2等の絶縁材料を、スパッタ法等で、5〜500nm、好ましくは5000〜50000nm程度の層厚に形成する。
【0054】
【実施例】
以下、フレームめっきの実施例及び比較例により、本発明をより具体的に説明する。以下の比較例及び実施例1〜6においては、下層の材料が異なるのみで、同じフレームめっき工程が実施された。比較例及び実施例1〜6でそれぞれ使用した下層材料は以下の通りである、
比較例 :NQDノボラックレジストとしてクラリアントジャパン社のAZP4620、
実施例1:一体型NQDノボラックレジストとして信越化学工業株式会社のSIPR−9740、
実施例2:疎水性一体型NQDノボラックレジストとして信越化学工業株式会社のSIPR−9281、
実施例3:ポリヒドロキシスチレン系樹脂を主成分とするレジストとして信越化学工業株式会社のSEPR−IX020、
実施例4:メラミン系化合物を含んだNQDノボラックレジストとしてクラリアントジャパン社のAZP4620の樹脂成分100重量部に対してメラミンを5重量部添加したもの、
実施例5:メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジストとして信越化学工業株式会社のSIPR−9351、
実施例6:メラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジストとして信越化学工業株式会社のSIPR−9281の樹脂成分100重量部に対してメラミンを5重量部添加したもの。
【0055】
(a)基板
基板としてAlTiCの表面に、厚さ5μmのAl2O3絶縁層を形成したものを用意した。
【0056】
(b)めっき電極層成膜
めっき電極層として、50nmの厚さのNiFeを基板上に以下の条件でスパッタリングした、
【0057】
(c)下層形成
下層として、前述した比較例及び実施例1〜6の各材料を5μmの厚さにスピンコートし、150℃で30分、クリーンオーブンでプリベークした。
【0058】
(d)中間層形成
中間層として、0.1μmの厚さのAl2O3を下層上に以下の条件でスパッタリングした、
スパッタ装置:アルカテル(Alcatel)社製 HEDA2480(RFバイアススパッタ)
【0059】
(e)上層形成
上層として、クラリアントジャパン社のAZ5105Pを0.6μmの厚さにスピンコートし、130℃で60秒プリベークした。
【0060】
(f)上層パターン形成
以下の条件で露光、PEB及び現像を行い、トレンチ幅が0.20μmのレジストトレンチパターンを転写した、
ステッパ−:Nikon NSR−TFHEX14 NA=0.6、σ=0.
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マスクサイズ:0.20μm
ドーズ(露光量):50mJ/cm2
PEB:130℃で60秒のベーク、
現像:2.38%−TMAHaq.、60秒×1回現像、水洗乾燥。
【0061】
(g)ドライ現像1
(f)で転写した上層パターンをマスクとして、中間層であるAl2O3膜を以下の条件でRIEした、
【0062】
(h)ドライ現像2
(g)で転写した中間層パターンをマスクとして、厚膜である下層を以下の条件でRIEした、
【0063】
(i)NiFeめっき
下記のめっき浴を用い、めっき電極層に負電位を印加して、NiFeを4.5μmの厚さにめっきした、
【0064】
(j)3層レジストパターン剥離
アセトン中で揺動、浸漬することにより、3層レジストフレームを溶解除去した。
【0065】
(k)めっき電極層除去
以下の条件でミリングを行い、めっき電極層の一部をエッチング除去した、
【0066】
以上のプロセスにより、NiFeによる底部幅が0.2μm、厚さが4.5μmの孤立線状めっきパターンが得られた。
【0067】
比較例及び実施例1〜6における孤立線状めっきパターンについて、それぞれの断面を観察及び測定した。測定には、上述の(j)の工程まで処理を終えた各めっきパターンサンプルについて、集束イオンビーム(FIB)装置を用いて切断し、その断面形状を走査電子顕微鏡(SEM)によって観察すると共に断面幅を測長した。図3に示すように、その測長位置はめっきパターンの底位置、底から2μm上方の位置及び底から4μm上方の位置である。各測長位置における断面幅を、それぞれW0、W2及びW4とする。測長結果を表1に示す。なお、各めっきパターンが3層レジストトレンチパターンの内形状を反映していることは、明らかである。
【0068】
【表1】
【0069】
断面形状は、断面幅がW0=W2=W4であり、めっきパターン断面の側壁プロファイルがほぼ垂直であることが好ましい。下層にNQDノボラックレジストを用いた比較例では、W0に比べてW4が2倍以上大きく、さらに、W2がW4より大きく、めっきパターン断面の側壁が樽形状となってしまっている。これは、好ましい形状からかけ離れたものである。これに対して、実施例1〜6の場合は、W0に対するW4の広がりが小さく比較例に比してはるかに優れた好ましい断面形状となっている。即ち、断面の側壁プロファイルがほぼ垂直となっている。
【0070】
以上述べた実施形態及び実施例は全て本発明を例示的に示すものであって限定的に示すものではなく、本発明は他の種々の変形態様及び変更態様で実施することができる。従って本発明の範囲は特許請求の範囲及びその均等範囲によってのみ規定されるものである。
【0071】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように本発明によれば、3層レジストパターンの下層を、一体型NQDノボラックレジスト材料、疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料、ポリヒドロキシスチレン系樹脂を主成分とするレジスト材料、ポリヒドロキシスチレン系樹脂材料、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだNQDノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型NQDノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型NQDノボラックレジスト材料によって形成している。下層を形成するこれらの材料は、ノボラック樹脂に比して、低分子成分である感光剤を単独で含んでいないので熱架橋後の平均分子量が大きい、樹脂がノボラック樹脂系ではなくガラス転移点が高い、架橋剤を含んでいるため熱処理時における樹脂の架橋割合が大きい。従って、下層にこれらの材料を用いることにより、上層の熱処理時おける下層の歪み発生、中間層のひび割れ、及び剥離が発生せず、良好なレジストパターンを得ることができる。しかも、これらの材料はエッチング異方性(直進性)が非常に優れているため、下層をエッチングする際のその壁面プロファイルがより垂直に近くなって、非常に良好なレジストパターン形状が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態として、3層レジストパターンを形成し、これを用いてフレームめっきを行う方法を説明する工程図である。
【図2】薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する工程図であり、磁気ヘッドのトラックの中心を通る平面による断面図及びABS方向から見た断面図である。
【図3】めっきパターンの断面形状の測長位置を示す図である。
【符号の説明】
10 基板
11 めっき電極層
12 下層
12´ 下層パターン
13 中間層
13´ 中間層パターン
14 上層
14´ 上層レジストパターン
15 マスク
16 めっきパターン
20、22、25、29 絶縁層
21 下部シールド
23 MR素子
24 リード導体
26 下部磁極
27 記録ギャップ
28 コイル
30 上部磁極
31 保護層
Claims (8)
- メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型ナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型ナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料によって形成された下層パターンと、該下層パターン上に形成された中間層パターンと、該中間層パターン上に形成された上層レジストパターンとを備えたことを特徴とするレジストパターン。
- 下層パターンと、中間層パターンと、上層レジストパターンとを含むレジストパターンの形成方法であって、前記下層パターンを、メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型ナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型ナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料によって形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
- 前記中間層パターンを無機材料で形成することを特徴とする請求項2に記載の方法。
- メラミン系化合物を含んだノボラック樹脂材料、メラミン系化合物を含んだナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料、メラミン系化合物を含んだ一体型ナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料、又はメラミン系化合物を含んだ疎水性一体型ナフトキノンジアジドノボラックレジスト材料によって下層を形成し、該下層上に中間層を積層し、該中間層上にレジスト材料による上層を積層した後、該上層を所定のパターンに露光し、現像することにより、上層レジストパターンを形成し、該上層レジストパターンをマスクとして、前記中間層をエッチングすることにより中間層パターンを形成し、該中間層パターンをマスクとして、前記下層をエッチングすることにより下層パターンを形成することを特徴とするレジストパターンの形成方法。
- 前記下層は、前記材料を成膜した後、100〜170℃でプリベークして形成することを特徴とする請求項4に記載の方法。
- 前記中間層を無機材料で形成することを特徴とする請求項4又は5に記載の方法。
- めっき電極層上に、請求項2から6のいずれか1項に記載の方法によりレジストパターンを形成し、該形成したレジストパターン用いてフレームめっきを行うことを特徴とするフレームめっき方法。
- 請求項7に記載のフレームめっき方法により、薄膜を形成することを特徴とする薄膜磁気ヘッドの製造方法。
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