JP3915408B2 - 蓄熱式バーナーを有する連続式加熱炉の操業方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、蓄熱式バーナーを有する連続式加熱炉の操業方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は、連続式加熱炉1の例を模式的に示す長手方向の断面図である。種々の材質や形状を有する鋼片やその他の金属材料等の材料を連続式加熱炉1に装入して加熱する場合、連続式加熱炉1に装入される材料2(以下、被加熱材2という)は、装入口10から連続式加熱炉1内に装入された後、連続式加熱炉1内に配設されたローラー等の搬送装置(図示せず)によってパスライン12に沿って連続的に移動し、排出口11から抽出される。
【0003】
連続式加熱炉1内は、図2に示すように、被加熱材2の進行方向に複数の領域に分割(たとえば予熱帯A,加熱帯Bおよび均熱帯Cに3分割)するのが一般的である。さらに被加熱材2のパスライン12の上側と下側には被加熱材2の進行方向に沿って複数のバーナー3,4が配設されており、被加熱材2が連続式加熱炉1内を通過することによって、被加熱材2を加熱して所定の温度に昇温する。
【0004】
連続式加熱炉1で使用するバーナーの種類は、連続式加熱炉1の使用目的,被加熱材2の材質や形状等を考慮して適切なバーナーを選択して配設される。
蓄熱式バーナー3は、図3に示すように、互いに対向する位置に2個配設されて1対をなし、交互に燃焼させて使用する。つまり図3(a) に示すように、1対をなす蓄熱式バーナー3a,3bのうちの片方の蓄熱式バーナー3aに燃料6と燃焼用空気7とを供給し、点火バーナー(図示せず)によって蓄熱式バーナー3aを点火する。蓄熱式バーナー3aが燃焼している間は、他方の蓄熱式バーナー3bを燃焼させず、バーナーポートから燃焼排ガス8を吸引する。吸引された燃焼排ガス8は、蓄熱体5bを通って排出される。蓄熱体5b中には蓄熱材(たとえばセラミックスや耐火れんが等)が充填されているので、高温の燃焼排ガス8が通ることによって蓄熱体5bに熱量が蓄積される。
【0005】
次いで切換え弁(図示せず)を操作して、図3(b) に示すように、蓄熱式バーナー3bに燃料6と燃焼用空気7とを供給し、点火バーナー(図示せず)によって蓄熱式バーナー3bを点火する。このとき燃焼用空気7は蓄熱体5bを通るので、蓄積された熱量によって燃焼用空気7が予熱されて蓄熱式バーナー3bに供給される。したがって燃料6が効率良く燃焼するので燃料原単位を削減できる。蓄熱式バーナー3bが燃焼している間は、他方の蓄熱式バーナー3aを燃焼させず、バーナーポートから燃焼排ガス8を吸引する。吸引された燃焼排ガス8は蓄熱体5aを通って排出され、蓄熱体5aに熱量が蓄積される。
【0006】
次いで再び切換え弁(図示せず)を操作して、図3(a) に示すように、蓄熱式バーナー3aに燃料6と燃焼用空気7とを供給し、点火バーナー(図示せず)によって蓄熱式バーナー3aを点火する。このとき燃焼用空気7は、あらかじめ蓄熱体5aを通るので、蓄積された熱量によって燃焼用空気7が予熱されて蓄熱式バーナー3aに供給される。したがって燃料6が効率良く燃焼するので燃料原単位を削減できる。蓄熱式バーナー3aが燃焼している間は、他方の蓄熱式バーナー3bを燃焼させず、バーナーポートから燃焼排ガス8を吸引する。吸引された燃焼排ガス8は蓄熱体5bを通って排出され、蓄熱体5bに熱量が蓄積される。
【0007】
蓄熱式バーナー3が配設された連続式加熱炉1の操業においては、この操作を繰り返すことによって燃料原単位を削減できる。
しかし互いに対向する位置に配設される1対をなす蓄熱式バーナー3は、片方ずつ交互に点火するので、温度のばらつきは比較的大きい。そこで蓄熱式バーナー3を使用して連続式加熱炉1の均熱性を向上するために、種々の技術が提案されている。
【0008】
たとえば特許第3067465 号公報には、連続式加熱炉が開示されている。この技術は、連続式加熱炉の加熱帯および均熱帯に通常バーナーを配設し、予熱帯に蓄熱式バーナーを配設して、予熱帯を通過して温度ばらつきが生じた被加熱材が加熱帯および均熱帯を通過する間に、所定の温度に昇温し、かつ均熱性を高めようとするものである。しかしこの技術では、予熱帯の蓄熱式バーナーの燃焼制御を考慮していないので、予熱帯で生じた温度ばらつきが過大である場合は、被加熱材が加熱帯および均熱帯を通過した後も温度のばらつきが十分に解消されないという問題があった。
【0009】
また特開平10-60536号公報には、連続式加熱炉が開示されている。この技術は、連続式加熱炉の予熱帯,加熱帯および均熱帯に蓄熱式バーナーを配設し、これらの各燃焼制御ゾーンを構成する1群の蓄熱式バーナーの燃焼制御を行なうことによって、被加熱材を所定の温度に昇温し、かつ均熱性を高めようとするものである。しかしこの技術では、1群の蓄熱式バーナーの燃焼を一括して制御するために、均熱性の大幅な向上は達成できないという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解消し、連続式加熱炉に蓄熱式バーナーを配設して燃料原単位を削減するとともに、均熱性を向上できる操業方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、連続式加熱炉内を通過する被加熱材の進行方向の左右両側に対向して配設されて1対をなす蓄熱式バーナーを被加熱材のパスラインの上側に1対または被加熱材の進行方向に沿って2対以上配設し、パスラインの上側に配設された1対をなす蓄熱式バーナーの鉛直下方でありかつパスラインの下側にそれぞれ1対をなす蓄熱式バーナーを配設し、パスラインの上側に配設された1対をなす蓄熱式バーナーとパスラインの下側に配設された1対をなす蓄熱式バーナーとによって形成される被加熱材の進行方向に垂直な面のパスラインの上側温度T1 (℃)と下側温度T2 (℃)とを測定し、上側温度T1 (℃)と下側温度T2 (℃)との温度差ΔT(℃)=T1 −T2 を算出し、蓄熱式バーナーを2対以上配設する場合は、2対以上の蓄熱式バーナーの全てについて温度差ΔT(℃)=T 1 −T 2 を算出し、次いで温度差ΔT(℃)としきい値M(℃)とを比較して、ΔT>Mの場合は、上側温度T1 (℃)と下側温度T2 (℃)とを測定した被加熱材の進行方向に垂直な面を形成するパスラインの上側の1対をなす蓄熱式バーナーを停止し、パスラインの下側の1対をなす蓄熱式バーナーを使用して被加熱材を加熱し、M≧ΔT≧−Mの場合は、上側温度T1 (℃)と下側温度T2 (℃)とを測定した被加熱材の進行方向に垂直な面を形成するパスラインの上側の1対をなす蓄熱式バーナーおよびパスラインの下側の1対をなす蓄熱式バーナーを使用して被加熱材を加熱し、−M>ΔTの場合は、上側温度T1 (℃)と下側温度T2 (℃)とを測定した被加熱材の進行方向に垂直な面を形成するパスラインの下側の1対をなす蓄熱式バーナーを停止し、パスラインの上側の1対をなす蓄熱式バーナーを使用して被加熱材を加熱する連続式加熱炉の操業方法である。
【0012】
前記した発明においては、好適態様として、しきい値Mが 100℃であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用する連続式加熱炉1の例を模式的に示す断面図であり、被加熱材2の進行方向から見た断面図である。被加熱材2のパスライン12の上側に1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bが互いに対向する位置に配設される。この1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bのうち、片方の蓄熱式バーナー3Aが燃焼しているときは、他方の蓄熱式バーナー3Bは燃焼しない。こうして蓄熱式バーナー3A,3Bを交互に燃焼して、被加熱材2を加熱する。
【0014】
また蓄熱式バーナー3A,3Bの鉛直下方でかつパスライン12の下側に1対をなす蓄熱式バーナー3C,3Dが互いに対向する位置に配設される。この1対をなす蓄熱式バーナー3C,3Dのうち、片方の蓄熱式バーナー3Dが燃焼しているときは、他方の蓄熱式バーナー3Cは燃焼しない。こうして蓄熱式バーナー3C,3Dを交互に燃焼して、被加熱材2を加熱する。
【0015】
こうしてパスライン12の上側に配設される1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bと下側に配設される1対をなす蓄熱式バーナー3C,3Dは、被加熱材2の進行方向に垂直な面を形成する。この合計4個の蓄熱式バーナー3A,3B,3C,3Dで形成される面のパスライン12上側に温度計9aを配設して上側温度T1 (℃)を測定する。また同じ面のパスライン12下側に温度計9bを配設して下側温度T2 (℃)を測定する。
【0016】
なお、温度計9a,9bは、特定の構成に限定しない。たとえば熱電対等の従来から知られている温度計を使用すれば良い。また、図1には連続式加熱炉1の天井面や床面に温度計9a,9bを配設する例を示したが、温度計9a,9bを配設する位置は特に限定しない。パスライン12の上側と下側に配設される合計4個の蓄熱式バーナー3A,3B,3C,3Dで形成される面(すなわち被加熱材2の進行方向に垂直な面)の温度を測定すれば良いのであるから、炉壁等に配設しても良い。
【0017】
こうして温度計9aで測定された上側温度T1 (℃)と温度計9bで測定された下側温度T2 (℃)との温度差ΔT(℃)=T1 −T2 を算出し、次いで、温度差ΔT(℃)としきい値M(℃)とを比較する。
ΔT>Mの場合は、上側温度T1 (℃)の方が高すぎるので、パスライン12の上側に配設された1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bを停止し、パスライン12の下側に配設された1対をなす蓄熱式バーナー3C,3Dを使用して被加熱材2を加熱する。
【0018】
M≧ΔT≧−Mの場合は、パスライン12の上側に配設された1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bおよびパスライン12の下側に配設された1対をなす蓄熱式バーナー3C,3Dを使用して被加熱材2を加熱する。
−M>ΔTの場合は、下側温度T2 (℃)の方が高すぎるので、パスライン12の下側に配設された1対をなす蓄熱式バーナー3C,3Dを停止し、パスライン12の上側に配設された1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bを使用して被加熱材2を加熱する。
【0019】
こうして温度差|ΔT|が過大である場合には、温度が高い方の1対をなす蓄熱式バーナー3A,3Bまたは蓄熱式バーナー3C,3Dを停止するので、均熱性の向上を達成できる。なお、蓄熱式バーナー3は、従来から知られているものを使用すれば良い。
パスライン12の上側と下側に配設されて、被加熱材2の進行方向に垂直な面を形成する1組(合計4個)の蓄熱式バーナー3A,3B,3C,3Dは、1組配設しても良いし、被加熱材2の進行方向に2組以上配設しても良い。
【0020】
被加熱材2の進行方向に2組以上の蓄熱式バーナー3A,3B,3C,3Dを配設する場合は、各組の蓄熱式バーナー3A,3B,3C,3Dが形成する被加熱材2の進行方向に垂直な面にそれぞれ温度 9a,9bを配設して、各組の蓄熱式バーナー3A,3B,3C,3Dの燃焼制御を行なう。
連続式加熱炉1に蓄熱式バーナー3を配設する領域は、予熱帯A,加熱帯B,均熱帯Cのいずれでも良い。ただし、図2に示すように、予熱帯Aに蓄熱式バーナー3を配設し、加熱帯B,均熱帯Cには、被加熱材2の材質や形状に応じて選択される通常のバーナー4を配設すると、被加熱材2の均熱性が一層向上するので好ましい。
【0021】
しきい値M(℃)は、被加熱材2の材質や用途に応じて適宜設定すれば良い。たとえば、スラブ,ブルーム,ビレット等の鋼材を加熱するときは、しきい値Mを 100℃とするのが好ましい。
【0022】
【実施例】
図2に示すように、予熱帯Aに蓄熱式バーナー3を配設した連続式加熱炉1を用いてスラブ(厚さ310mm ,幅2400mm,長さ3700mm)を加熱した。被加熱材2(すなわち溶鋼を連続鋳造して製造したスラブ)のパスライン12の上側と下側に各々1対の蓄熱式バーナー3を配設した。装入口10から連続式加熱炉1内に装入する前のスラブ2の温度は20℃であり、排出口11出側の目標加熱温度は1150℃とした。スラブ2の進行方向から見た予熱帯Aの断面図は、図1にその要部を示す通りであり、本発明を適用して蓄熱式バーナー3の燃焼制御を行なった。なお、しきい値Mは 100℃とした。これを発明例とする。
【0023】
また比較例として、予熱帯Aのパスライン12の上側に配設された2個の温度計の測定温度の平均値と、パスライン12の下側に配設された2個の温度計の測定温度の平均値との温度差ΔTave を算出して、温度差|ΔTave |がしきい値Mを超える場合は、温度が高い方の蓄熱式バーナー3(すなわちパスライン12の上側または下側)を停止した。その他の操業条件は発明例と同じであるから説明を省略する。
【0024】
発明例と比較例について、排出口11の出側で非接触式の放射温度計を用いて、スラブ2の表面温度を測定した。表面温度は、スラブ2の上面と下面のそれぞれ3ケ所ずつ測定した。その結果、スラブ2の表面温度を測定した合計3ケ所の測定値の最大値と最小値の差は、発明例が12℃であったのに対して、比較例は43℃であり、本発明によってスラブ2の均熱性が向上することが確かめられた。
【0025】
【発明の効果】
本発明では、蓄熱式バーナーを用いて連続式加熱炉の燃料原単位を削減し、かつ均熱性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する装置の連続式加熱炉の例を模式的に示す断面図である。
【図2】連続式加熱炉の例を模式的に示す断面図である。
【図3】蓄熱式バーナーの要部を模式的に示す配置図であり、連続式加熱炉の断面図とともに示す。
【符号の説明】
1 連続式加熱炉
2 被加熱材
3 蓄熱式バーナー
3a 蓄熱式バーナー
3b 蓄熱式バーナー
3A 蓄熱式バーナー
3B 蓄熱式バーナー
3C 蓄熱式バーナー
3D 蓄熱式バーナー
4 通常のバーナー
5a 蓄熱体
5b 蓄熱体
6 燃料
7 燃焼用空気
8 燃焼排ガス
9a 温度計
9b 温度計
10 装入口
11 排出口
12 パスライン
A 予熱帯
B 加熱帯
C 均熱帯

Claims (2)

  1. 連続式加熱炉内を通過する被加熱材の進行方向の左右両側に対向して配設されて1対をなす蓄熱式バーナーを前記被加熱材のパスラインの上側に1対または前記被加熱材の進行方向に沿って2対以上配設し、前記パスラインの上側に配設された前記1対をなす蓄熱式バーナーの鉛直下方でありかつ前記パスラインの下側にそれぞれ1対をなす蓄熱式バーナーを配設し、前記パスラインの上側に配設された前記1対をなす蓄熱式バーナーと前記パスラインの下側に配設された前記1対をなす蓄熱式バーナーとによって形成される前記被加熱材の進行方向に垂直な面の前記パスラインの上側温度T1 (℃)と下側温度T2 (℃)とを測定し、前記上側温度T1 (℃)と前記下側温度T2 (℃)との温度差ΔT(℃)=T1 −T2 を算出し、蓄熱式バーナーを2対以上配設する場合は、2対以上の蓄熱式バーナーの全てについて温度差ΔT(℃)=T 1 −T 2 を算出し、次いで前記温度差ΔT(℃)としきい値M(℃)とを比較して、ΔT>Mの場合は、前記上側温度T1 と前記下側温度T2 とを測定した前記被加熱材の進行方向に垂直な面を形成する前記パスラインの上側の前記1対をなす蓄熱式バーナーを停止し、前記パスラインの下側の前記1対をなす蓄熱式バーナーを使用して前記被加熱材を加熱し、M≧ΔT≧−Mの場合は、前記上側温度T1 と前記下側温度T2 とを測定した前記被加熱材の進行方向に垂直な面を形成する前記パスラインの上側の前記1対をなす蓄熱式バーナーおよび前記パスラインの下側の前記1対をなす蓄熱式バーナーを使用して前記被加熱材を加熱し、−M>ΔTの場合は、前記上側温度T1 と前記下側温度T2 とを測定した前記被加熱材の進行方向に垂直な面を形成する前記パスラインの下側の前記1対をなす蓄熱式バーナーを停止し、前記パスラインの上側の前記1対をなす蓄熱式バーナーを使用して前記被加熱材を加熱することを特徴とする連続式加熱炉の操業方法。
  2. 前記しきい値Mが 100℃であることを特徴とする請求項1に記載の連続式加熱炉の操業方法。
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