JPS632432Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は補助バーナーを有する輻射管付き加熱
炉に関するものである。

（従来技術） 鋼材製造における代表的な加熱炉としてスラ
ブ、ビレツト等を熱間圧延に先立つて高温に加熱
する連続鋼片加熱炉が公知である。従来の連続鋼
片加熱炉は、炉内でバーナーにより燃料を直接燃
焼させ、その輝炎輻射、ガス輻射及び壁面輻射を
主体として被加熱材を加熱していた。

しかしながらこのような燃焼方式は、バーナー
より噴出したガスと燃焼空気を炉内空間で燃焼さ
せるものであるため、最近の炉の近く炉長、炉幅
とも大型化（炉幅10〜15ｍ、炉長30〜50ｍ）とし
た炉の場合には、炉内温度分布の均一化が図れな
いという問題が発生している。

このため炉内温度分布の均一化を実現する手段
として、輻射管付き加熱炉が提案されている。例
えば特開昭57−32321号公報では、炉床の輻射有
効率を高めるために、炉の下部に両側開放端を有
するセラミツク質輻射管を多数配置し、該輻射管
内で燃焼を行わせ、燃焼ガスを輻射管の開放端よ
り炉内に放出し、炉内温度分布の均一化をするこ
とが提案されている。

しかるに、輻射管は燃焼ガスに直接触れるた
め、高耐熱性を要求されることから、セラミツク
で構成された円筒状のものが一般的である。その
ためセラミツク特有の熱スポール性に弱い欠点を
有している。

とくに、新設炉の稼働開始時、炉修理等の急激
な熱変化の大きいときにクラツクが入つたり、破
損する等の事故が発生し、輻射管の取替を要する
ことのほか、良好な炉温分布の均一性が得られ難
いという問題を有する。

また、第１図に示すように、連続鋼片加熱炉１
は、周知のごとく予熱帯（図示省略）、加熱帯２、
均熱帯３から構成され、予熱帯側に煙道（図示省
略）があるため、輻射管の開放端から燃焼ガスを
炉内へ排出するものの、均熱帯３出側の抽出扉４
側には燃焼ガスが回りにくいという欠点を有して
いる。

このため抽出扉４と炉体との隙間からの侵入空
気や、鋼片抽出時の扉の開閉による侵入空気によ
つて炉内が冷却されるが、炉温回復が遅いという
問題を有している。

（考案の目的） 本考案は、輻射管の破損防止を図つて輻射管の
長寿命化と、操業上炉温分布の均一性を確実に達
成するとともに、抽出扉部隙間からの侵入空気に
よる炉温低下の防止及び被加熱材抽出後の早期炉
温回復を図ることを目的とする。

（考案の構成、作用） 本考案は、このような目的を有利に達成するた
め、各種の輻射管について実験炉で実験を繰り返
した結果、炉温が800℃以下で輻射管バーナーを
使用すると、高温の火炎及び燃焼ガスの通過する
輻射管内側の温度と、外側（炉内温度）との温度
差が大きくなつて、ひび割れまたは破損すること
を知見し、該知見をもとに、第１点目は炉側壁下
部に設けられたバーナーと、このバーナーの軸と
同軸に炉内に配置された１個又は１個以上の輻射
管より構成した加熱装置を備えた輻射管付き加熱
炉において、該加熱炉の前記バーナーと同一レベ
ルの各燃焼帯抽出側の炉側壁に、輻射管のない補
助バーナーを配置したことを特徴とする補助バー
ナーを有する輻射管付き加熱炉に関するものであ
る。

また第２点目は、加熱炉のバーナーと同一レベ
ルの抽出扉壁下部に輻射管のない補助バーナーを
配置した輻射管付き加熱炉に関するものである。

次に図面に示す本考案の一実施例を説明する。
第１図は既述の連続鋼片加熱炉の炉長方向断面説
明図、第２図は第１図Ａ−Ａ矢視による炉巾方向
断面説明図、第３図はバーナー及び輻射管の配置
状況を示す要部平面説明図である。

図において１は連続鋼片加熱炉、２は加熱帯、
３は均熱帯、４は抽出扉、５は水冷移動ビーム、
６は所定の高さで炉底及び天井に設けられた仕切
壁、７は天井バーナー、８は輻射管、９は鋼片、
１０ａは均熱帯３の最抽出端側に設けた輻射管の
ない補助バーナー、１０ｂ，１０ｃは加熱炉２の
抽出側に設けた輻射管のない補助バーナー、１０
ｄは抽出扉壁下部に設けた輻射管のない補助バー
ナー、１１は側壁下部に輻射管８と同軸に設けた
バーナー（以下輻射管付きバーナー）、１２は炉
の側壁である。

尚、図示していないが予熱帯にも均熱帯、加熱
帯と同様に予熱帯の抽出側に輻射管のない補助バ
ーナーを同様に設けるものである。

即ち、図示するように両端開放型の輻射管８、
バーナー１１からなる燃焼装置を配置して、燃焼
ガスを輻射管８の中に通して、炉内へ排出し加熱
する方式の炉において、輻射管のない補助バーナ
ーを各熱焼帯抽出側の炉側壁下部に配置したもの
である。

輻射管のない補助バーナーの設置場所は、均熱
帯では側壁下部の抽出側に近い方がよいが、必ず
しも側壁でなくてもよく、抽出扉壁下部でもよ
い。均熱帯以外の輻射管付きバーナーを有する燃
焼帯（加熱帯、予熱帯）では、その各々の帯の抽
出側に近い方に設けることが、燃焼ガスの炉内流
れからして望ましい。

次に補助バーナーの燃焼能力は、炉容によつて
適宜決定すべきもので画一的でない。すなわち、
炉修後の昇温時に、炉温を800℃以上に所定の昇
温速度で昇温できる能力であればよく、それ以上
の能力は必要としない。

しかして、本考案における補助バーナーの使用
方法は、セラミツク質輻射管方式の炉において、
炉修又は新設時炉温が800℃以上になるまで、輻
射管のない補助バーナーのみで昇温し、炉温が
800℃以上になつた時点で、輻射管付きバーナに
点火し設定炉温に昇温し、被加熱材を装入して加
熱操業を行うものである。

第４図は、昇温カーブの１例を示すもので、炉
温が800℃になるまでは補助バーナーのみで昇温
し、800℃を超えた時点で、輻射管付きバーナー
に点火し、設定炉温に昇温させたものである。

これによつて輻射管付きバーナーに点火時輻射
管内温度と、外部温度との差が小さいため、急激
な熱変化が抑制でき、第１の目的とする輻射管の
破損を効果的に防止でき、長寿命化と炉温分布の
均一性を達成しうる。

加えてこのような輻射管のない補助バーナー
を、加熱炉の各燃焼帯の抽出側炉側壁下部に配置
する構成としたので、均熱帯においては、補助バ
ーナーの燃焼ガスが抽出扉側に充満し、侵入空気
の侵入を防止するとともに、若干侵入しても十分
にその冷えを補うことができる。また被加熱材の
抽出時に冷却された炉内も、補助バーナーによつ
て直ちに設定炉温まで回復させることができ、本
考案の第２の目的を効果的に達成する。

このように、均熱帯抽出側炉側壁下部あるいは
抽出扉壁下部の補助バーナーは、炉昇温時は勿論
のこと、通常操業時も侵入空気防止対策として使
用すれば極めて有効である。一方均熱帯以外の加
熱帯、予熱帯の補助バーナーは、昇温時だけ使用
する場合が多いが、通常操業時に併用しても差支
えないことは当然である。

（考案の効果） 以上本考案は、炉内温度分布の均一性の高い輻
射管付き加熱炉において、加熱炉の各燃焼帯の抽
出側さらには抽出扉壁下部に輻射管のない補助バ
ーナーを配置した構成としたので、炉修時、炉新
設時の昇温時に、輻射管の破損を防止して長寿命
化を達成し、かつ、侵入空気による炉温低下の防
止及び抽出後の炉温回復を早急に実施できるた
め、加熱操業を安定して行うことができる産業上
優れた効果を奏するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一実施例を示し、第１図は連続
鋼片加熱炉の炉長方向断面説明図、第２図は第１
図Ａ−Ａ矢視による炉巾方向断面説明図、第３図
はバーナー及び輻射管の配置状況を示す要部平面
説明図、第４図は昇温カーブの一例を示すグラフ
である。 １：連続鋼片加熱炉、２：加熱帯、３：均熱
帯、４：抽出扉、５：水冷移動ビーム、６：仕切
壁、７：天井バーナー、８：輻射管、９：鋼片、
１０ａ，１０ｂ，１０ｃ，１０ｄ：輻射管のない
補助バーナー、１１：輻射管付きバーナー、１
２：側部炉壁。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 炉側壁下部に設けられたバーナーと、このバ
   ーナーの軸と同軸に炉内に配置された１個又は
   １個以上の輻射管より構成した加熱装置を備え
   た輻射管付き加熱炉において、該加熱炉の前記
   バーナーと同一レベルの各燃焼帯抽出側の炉側
   壁に、輻射管のない補助バーナーを配置したこ
   とを特徴とする補助バーナーを有する輻射管付
   き加熱炉。 ２ 加熱炉のバーナーと同一レベルの抽出扉壁下
   部に、輻射管のない補助バーナーを配置した実
   用新案登録請求の範囲第１項記載の補助バーナ
   ーを有する輻射管付き加熱炉。