JP3914390B2 - 型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、型取り用の反転母型として有効に使用され、特に不飽和ポリエステル樹脂に対する離型性に優れた型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、型取り用の反転母型として、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ポリエステル樹脂などの複製品を製造することは公知の技術であるが、最近ではこのようにして得られた樹脂成形物が、自動車用部品、家電用部品として実際に使用に供されており、樹脂成形物の特性が重視されるようになってきている。このため、注型樹脂の特性改良は目覚ましいものがある。しかし、この改良はシリコーンゴム母型の耐久性を低下させる要因となっており、一つの型から作製できる複製品の個数が少なくなってきているのが現状である。そのためこれらの樹脂に対するシリコーン母型の離型耐久性の向上が強く要望されている。
【0003】
特開平9-217009号公報には、立体障害フェノール類、芳香族アミン類、ジチオリン酸亜鉛類が、不飽和ポリエステル樹脂に対する離型耐久性向上にすぐれていることが開示されている。特開平10-279805号公報には、ラジカル脱除剤を使用したポリエステル型取り耐久性向上技術が開示されている。しかしながらこれら技術ではシリコーンゴムとの接触面で不飽和ポリエステル樹脂の硬化不良が発生するという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、シリコーンゴムとの接触面で不飽和ポリエステル樹脂の硬化不良が発生しにくく、不飽和ポリエステル樹脂に対する離型性に優れる型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一分子中に少なくとも一つのイオウ原子を含む有機化合物を添加することで、オルガノポリシロキサン組成物がその目的に適合することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、一分子中に少なくとも一つのイオウ原子を含む有機化合物(ただし、立体障害チオビスフェノール、置換ジチオリン酸亜鉛、R'O2CCH2CH2SCH2CH2C02R”(式中R'、R”は各々炭素原子数1〜40の一価炭化水素基である。)の構造式で表わされるチオジプロピオン酸エステル、およびSa-(R1-Si(0R2)3)2(式中、R1は炭素原子数2〜8の二価炭化水素基であり、R2は各々炭素原子数1〜40の一価炭化水素基であり、aは2〜7の整数である。)の構造式で表わされるシリコーンポリスルフィドを除く。)を含有することを特徴とする型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、後述するような一分子中に少なくとも一つのイオウ原子を含む有機化合物を含有するものである。
【0008】
このような、型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物における好ましいものとして、
(a)下記一般式(1)
【0009】
【化4】
(式中、R3は、同一でも異なっていてもよく、非置換または置換の一価炭化水素基を表し、nは2以上の整数である。)
で表されるオルガノポリシロキサン 100重量部、
(b)ケイ素原子に結合した加水分解性基を一分子中に少なくとも3個有するオルガノシランおよびオルガノシロキサンからなる群から選ばれる化合物 0.5〜20重量部、
(c)一分子中に少なくとも一つのイオウ原子を含む有機化合物 0.1〜20重量部、および
(d)硬化触媒 有効量
を含有する型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が挙げられる。
【0010】
以下(a)〜(d)成分について説明する。
[(a)成分]
本発明において、(a)成分は下記一般式(1)
【0011】
【化5】
(式中、R3は、同一でも異なっていてもよく、非置換または置換の一価炭化水素基を表し、nは2以上の整数である。)
で表され、分子鎖両末端が水酸基で封鎖されたオルガノポリシロキサンであり、このオルガノポリシロキサンは1種単独で使用されても2種類以上が組み合わされて使用されてもよい。
【0012】
一般式(1)において、R3で表わされる、同一でも異なっていてもよい非置換または置換の一価の炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等のアルケニル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;3,3,3−トリフロロプロピル基、3−クロロプロピル基等のハロゲン置換アルキル基等が例示され、合成が容易なことから、メチル基であることが好ましい。
【0013】
また、R3で表わされるこれら一価の炭化水素基は、特に特性上必要な場合には、その一部がヒドロキシル基に置換されていてもよい。
【0014】
また上記一般式(1)において、nは2以上の整数であり、平均的に100〜1000の整数であることが好ましく、このようなnの値に関連して、このオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、0.2〜100Pa・sの範囲にあることが好ましい。
【0015】
[(b)成分]
本発明において、(b)成分はケイ素原子に結合した加水分解性基を一分子中に少なくとも3個有するオルガノシランおよび/またはオルガノシロキサンである。該オルガノシロキサンの分子構造は特に限定されず、例えば直鎖状のオルガノジシロキサンでもよいし、分岐を有したり、三次元網状であるオルガノポリシロキサンでもよい。
【0016】
この成分は、架橋剤として作用するので、ケイ素原子に結合した加水分解性基を一分子中に少なくとも3個有することが必要である。すなわち、この加水分解性基が、成分(a)のオルガノポリシロキサン中のケイ素原子に結合した水酸基(すなわち、シラノール基)と反応して、3次元構造のエラストマー特性を有する硬化物を形成する。
【0017】
加水分解性基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等のアルコキシ基;アセトキシ基、プロピオノキシ基、ブチロキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシロキシ基;イソプロペニルオキシ基、イソブテニルオキシ基、1−エチル−2−メチルビニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;ジメチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、シクロペンタノキシム基、シクロヘキサノキシム基等のイミノキシ基;N−メチルアミノ基、N−エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基等のアミノ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基;N,N−ジメチルアミノオキシ基、N,N−ジエチルアミノオキシ基等のアミノオキシ基等を挙げることができる。
【0018】
また、この成分において、加水分解性基以外のケイ素原子に結合した一価炭化水素としては、前記R3で例示したものと同様のアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基等を挙げることができる。
【0019】
本発明において、架橋剤として作用するこのようなオルガノシランとしては、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、メチルトリス(プロペノキシ)シラン、ビニルメチルトリス(プロペノキシ)シラン、(1−メトキシ−2−メチルプロペノキシ)シラン、およびこれらの部分加水分解縮合物(すなわち、シロキサンオリゴマー)あるいは混合物等が挙げられる。
【0020】
また、架橋剤として作用するオルガノシロキサン(上記シラン化合物の部分加水分解縮合物)としては、具体的には、ヘキサメトキシジシロキサン、ヘキサエトキシジシロキサン、オクタメトキシトリシロキサン、オクタエトキシトリシロキサン、1,3,5,7-テトラメトキシ-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7-テトラエトキシ-1,3,5,7-テトラメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。
【0021】
これら(b)成分は、1種単独で使用されても2種類以上が組み合わされて使用されてもよい。また、これら(b)成分は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部当たり、0.5〜20重量部であり、特に1〜10重量部の割合で使用されることが好ましい。0.5重量部よりも少ないと、組成物の硬化が十分に行われず、エラストマー性の硬化物を得ることが困難となり、また硬化物の機械的特性が低下する等の不利を生じることがある。さらに20重量部よりも多量に使用されると、硬化物の硬度が高くなり過ぎる等の不利を生じることがある。
【0022】
[(c)成分]
本発明において、(c)成分は、一分子中に少なくとも一つのイオウ原子を含む有機化合物であり、不飽和ポリエステル樹脂に対する優れた離型耐久性をオルガノポリシロキサン組成物に付与するものである。
【0023】
ただし、イオウ原子を含む有機化合物を配合した場合、シリコーンゴムよりなる型の表面と接触する部分で不飽和ポリエステル樹脂の硬化不良が激しく発生することがあり、このような場合、未硬化の不飽和ポリエステル樹脂成分がシリコーンゴムよりなる型へ浸透し、特に型のピン状部分でゴム膨潤が起り、型の寸法精度が劣ってしまうことがあるので、次に述べるものは除かれる。
【0024】
すなわち、立体障害チオビスフェノール、置換ジチオリン酸亜鉛、R'O2CCH2CH2SCH2CH2C02R”(式中R'、R”は各々炭素原子数1〜40の一価炭化水素基である。)の構造式で表わされるチオジプロピオン酸エステル、およびSa-(R1-Si(0R2)3)2(式中、R1は炭素原子数2〜8の二価炭化水素基であり、R2は各々炭素原子数1〜40の一価炭化水素基であり、aは2〜7の整数である。)の構造式で表わされるシリコーンポリスルフィドは、(c)成分中から除かれる。
【0025】
本発明において、使用される(c)成分としては、例えば、スルフィド類、チオール化合物、モノチオカルボン酸エステル類、チオフェンカルボン酸エステル類、およびイオウ含有環式化合物が挙げられる。
【0026】
さらに具体的には、スルフィド類としては、ジフェニルスルフィド、アリルフェニルスルフィド等のモノスルフィド類;ジフェニルジスルフィド、ベンゾチアゾイルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジメチルキサントゲンジスルフィド等のジスルフィド類;ジフェニルトリスルフィド等のトリスルフィド類;ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド類等が挙げられる。スルフィド類は、炭素、水素およびイオウ、並びに場合によっては、酸素からなることが好ましい。
【0027】
チオール化合物としては、例えば、2−メルカプトナフタリン、オクタデカンチオール、2,2'−(エチレンジチオ)ジエタンチオール等が挙げられる。
【0028】
モノチオカルボン酸エステル類としては、例えば、チオグリコール酸エステル、メルカプトプロピオン酸エステル等が挙げられ、さらに具体的には、オクチルチオグリコレート、ジブチル錫ビスオクチルチオグリコレート、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、オクチル-3-メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスノニル-3-メルカプトプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート等が挙げられる。
【0029】
チオフェンカルボン酸エステル類としては、チオフェン-2-カルボン酸およびチオフェン-3-カルボン酸の各種エステルが挙げられ、例えば、チオフェンカルボン酸エチルエステルが挙げられる。
【0030】
イオウ含有環式化合物としては、例えば、2-(4-モルホリニルジチオ)ベンゾチアゾールが挙げられる。
【0031】
上記イオウ原子を含む有機化合物は、単独で使用されても、併用されてもよい。
【0032】
これら(c)成分は、(a)成分のオルガノポリシロキサン100重量部当たり、0.1〜20重量部であり、特に0.5〜10重量部の割合で使用されることが好ましい。0.1重量部よりも少ないと、組成物の不飽和ポリエステル樹脂に対する離型耐久性が十分に得られない。さらに20重量部よりも多量に便用されると、硬化物界面での不飽和ポリエステル樹脂の硬化不良等の不利を生じることがある。
【0033】
[(d)成分]
本発明において、(d)成分は、(a)成分と(b)成分との架橋反応による硬化を促進するために使用される硬化触媒であり、一般に、縮合型シリコーン室温硬化性組成物に使用されている硬化触媒が使用される。
【0034】
硬化触媒として、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジベンジルマレエート、ジブチル錫ジオクトエート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジアセテート、ステアリン酸鉄、オクチル酸鉛等の有機酸の金属塩、テトライソプロピルチタネート等のチタン酸エステル、チタンアセチルアセトナート等のチタンキレート化合物、およびこれらの混合物が使用される。
【0035】
これらの硬化触媒の使用量は触媒としての有効量が用いられ、一般に、(a)〜(c)の合計量100重量部当たり、0.01〜10重量部、特に0.1〜5重量部の割合で使用されることが望ましい。この配合量が0.01重量部より少ないと、硬化触媒の機能が十分に発揮されず、硬化時間が長くなり、ゴム層の深部硬化が不十分となる傾向がある。また10重量部より多量に配合されると、組成物の保存性が悪くなり、さらに硬化物の耐熱性等の特性が低下する傾向がある。
【0036】
[その他の成分]
本発明において、上述した成分(a)〜(d)以外にも、本発明の効果を損なわない範囲で、組成物の特性を向上させるために種々の添加剤を配合することができる。例えば、補強性充填剤、沈降防止剤として、煙噴霧シリカ、沈降性シリカ、およびこれらの疎水化物、カーボンブラック等を配合することができる。また準補強性充填剤、増量剤として、石英粉、溶融石英、球状シリカ、ケイソウ土、ゼオライト、炭酸カルシウム、二酸化チタン、酸化鉄、アルミナ、球状アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、硫酸マグネシウム等を配合することができる。その他、無機顔料、有機染料等の着色剤、酸化セリウム、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、ベンゾトリアゾール、白金化合物等の耐熱性もしくは難燃性向上剤を配合することができる。また本発明の組成物は縮合硬化型であり、硬化を促進させ、あるいは深部硬化を良好に行うために、水、またはメタノール、エタノール、プロパノール、グリコール、メチルセルソルブ等のアルコール類を添加することも任意である。
【0037】
また、本発明において、非反応性オルガノポリシロキサンを添加してもよく、この非反応性オルガノポリシロキサンは組成物の内部離型材として好ましく用いられる。このような非反応性オルガノポリシロキサンは、25℃における粘度が0.01〜500Pa・sであるものが好適である。
【0038】
【実施例】
以下、実施例にて本発明を具体的に説明する。本発明はこれら実施例になんら限定されない。
実施例1〜12および比較例1〜3
下記に述べるように、各組成物A〜Cをベースとし、これらに各化合物1〜8を表1〜3のように配合し、型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を得、型取り耐久性を評価した。結果を表1〜3に示す。
【0039】
(組成物A)
25℃で5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン20重量部、25℃で0.1Pa・sのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン20重量部、トリメチルシリル基で処理された比表面積120m2/gの疎水性シリカ12.5重量部、比表面積200m2/gの湿式シリカ12.5重量部、ヘキサメチルジシラザン2重量部、水1重量部をニーダー中で混合し、ついで160℃で4時間混練りした。引き続き、25℃で5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン25重量部、25℃で0.02Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン1.5重量部、0.1Pa・sのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン13.5重量部、平均粒径5μmの石英粉末5.0重量部、酸化チタン1.0重量部を混入した。この様にして得られた混合物100重量部に、テトラエトキシシランの加水分解縮合物であるエチルポリシリケート1.0重量部、テトラブチルビス(エチルマレート)ジスタノキサンO.2重量部を添加し、よく攪拌した後、真空下で脱泡を行い組成物Aを得た。
この組成物Aを23℃で72時間かけて硬化させた。得られた硬化物はショアーA硬さが28およびJIS K 6249による引裂強さが15KN/mを有した。
【0040】
(組成物B)
25℃で5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン17重量部、25℃で1.5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン15重量部、25℃で0.03Pa・sのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン1重量部、比表面積がBET法で約200m2/gである乾式シリカ20重量、ヘキサメチルジシラザン5.0重量部、水2.5重量部をニーダー中で混合し、ついで160℃で4時間混練りした。引き続き、25℃で5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン18重量部、25℃で0.03Pa・sのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン14重量部、25℃で0.02Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン3.0重量部、平均粒径5μの石英粉末5.0重量部を混入した。この様にして得られた混合物100重量部に、テトラ−n−プロポキシシラン2.5重量部、フェニルトリメトキシシラン0.5重量部、ジオクチル錫ジラウレート0.9重量部を添加し、よく攪拌した後、真空下で脱泡を行い組成物Bを得た。
この組成物Bを23℃で72時間かけて硬化させた。得られた硬化物はショアーA硬さが34およびJIS K 6249による引裂強さが15KN/mを有した。
【0041】
(組成物C)
25℃で5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン35重量部、比表面積がBET法で約200m2/gである乾式シリカ20重量、ヘキサメチルジシラザン5.0重量部、水2.5重量部をニーダー中で混合し、ついで160℃で4時間混練りした。引き続き、5Pa・sの粘度を有するα,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン15重量部、25℃で0.03Pa・sのα,ω−ビス(トリメチルシロキシ)ポリジメチルシロキサン15重量部を混入した。この様にして得られた混合物100重量部に、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された25℃の粘度が約100Pa・sのジメチルポリシロキサン5重量部、テトラ−n−プロポキシシラン2.5重量部、ジオクチル錫ジラウレート0.6重量部を添加し、よく攪拌した後、真空下で脱泡を行い、組成物Cを得た。
この組成物Cを23℃で72時間かけて硬化させた。得られた硬化物はショアーA硬さが26およびJIS K 6249による引裂強さが11KN/mを有した。
【0042】
(型取り耐久性評価方法)
前記各組成物A、組成物Bおよび組成物Cをベースとし、これらに下記各種化合物1〜8を表1に示す配合割合で添加してイオウ原子を含む有機化合物を含有する組成物を調製し、直径20mm、高さ20mmの円柱の中央に直径4mm深さ12mmの穴を持つテフロン(登録商標)よりなる円柱をマスターモデルとして、これら組成物よりなる母型を、23℃で72時間かけて硬化させて作製した。得られたこれらの母型に不飽和ポリエステル樹脂TP-123(大日本インキ化学工業社製)を注型し、70℃で1時間かけて不飽和ポリエステル樹脂を硬化させて、型取りを行った。この型取りをシリコーン母型中のゴムピンが不飽和ポリエステル樹脂により膨潤、破断するまで行い、型取り耐久性を評価した。
【0043】
(イオウ原子を含む化合物)
化合物1 C[CH2OOCCH2CH2S(CH2)11CH3]4
化合物2 (C8H17)2Sn(SCH2COOC8H17)2
化合物3 PhSSPh(Phはフェニル基である。)
化合物4
【0044】
【化6】
化合物5
【0045】
【化7】
化合物6 (CH3CH2O)2(CH3)SiCH2CH2CH2S4CH2CH2CH2Si(CH3)(OCH2CH3)2
化合物7 (CH3CH2O)3SiCH2CH2CH2SNH-tert-C4H9
化合物8
【0046】
【化8】
【0047】
【表1】
ベース:組成物A
【0048】
【表2】
ベース:組成物B
【0049】
【表3】
ベース:組成物C
【0050】
実施例13〜14および比較例4〜6
(型取り耐久性時のピンの長さ変化)
前記組成物Aをベースとして、前記および下記の各種化合物1、4、9、10を表4に示す配合割合で添加してイオウ原子を含む有機化合物を含有する組成物を調製し、直径20mm、高さ20mmの円柱の中央に直径4mm深さ12mmの穴を持つテフロン(登録商標)よりなる円柱をマスターモデルとして、これら組成物よりなる母型を、23℃で72時間かけて硬化させて作製した。得られたこれらの母型に不飽和ポリエステル樹脂TP-123(大日本インキ化学工業社製)を注型し、70℃で1時間かけて不飽和ポリエステル樹脂を硬化させて、型取りを行った。この型取りをシリコーン母型中のゴムピンが不飽和ポリエステル樹脂により破断するまで行い、その過程でのゴムピンの膨潤の様子をピンの長さ変化で測定した。結果を表4に示した。
化合物9
【0051】
【化9】
化合物10
【0052】
【化10】
【0053】
【表4】
ベース:組成物A
【0054】
化合物9、10を添加した比較例5、6では、型取り回数の向上は認められたが、ゴムピンの長さ変化が大きく、寸法精度に劣ることが分かる。
【0055】
【発明の効果】
本発明の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、型取り用の反転母型として用いた場合、シリコーンゴムとの接触面で不飽和ポリエステル樹脂の硬化不良が発生しにくく、不飽和ポリエステル樹脂に対する離型性に優れているので、型取り用の反転母型として有効に使用される。なお、本発明の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、不飽和ポリエステル樹脂だけでなく、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂等の硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の他の樹脂に対する型取り用の反転母型としても好適に使用される。
Claims (8)
- ジフェニルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ベンゾチアゾイルジスルフィド、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジフェニルトリスルフィド、チオール化合物、モノチオカルボン酸エステル類、チオフェンカルボン酸エステル類、 2-(4- モルホリニルジチオ ) ベンゾチアゾール、下記式
- (a)下記一般式(1)
で表されるオルガノポリシロキサン 100重量部、
(b)ケイ素原子に結合した加水分解性基を一分子中に少なくとも3個有するオルガノシランおよびオルガノシロキサンからなる群から選ばれる化合物 0.5〜20重量部、
(c)ジフェニルスルフィド、アリルフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ベンゾチアゾイルジスルフィド、ジメチルキサントゲンジスルフィド、ジフェニルトリスルフィド、チオール化合物、モノチオカルボン酸エステル類、チオフェンカルボン酸エステル類、 2-(4- モルホリニルジチオ ) ベンゾチアゾール、下記式
(d)硬化触媒 有効量
を含有することを特徴とする請求項1に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。 - 前記イオウ原子を含む有機化合物が、チオール化合物、モノチオカルボン酸エステル類、チオフェンカルボン酸エステル類またはこれらの二つ以上の組み合わせであり、ただし、該モノチオカルボン酸エステル類はチオグリコール酸エステル、メルカプトプロピオン酸エステルまたはこれらの両方であることを特徴とする請求項1または2に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 前記イオウ原子を含む有機化合物が、チオール化合物であり、該チオール化合物が 2 −メルカプトナフタリン、オクタデカンチオール、 2,2' − ( エチレンジチオ ) ジエタンチオールまたはこれらの二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 前記イオウ原子を含む有機化合物が、チオグリコール酸エステルであり、該チオグリコール酸エステルがオクチルチオグリコレート、ジブチル錫ビスオクチルチオグリコレート、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレートまたはこれらの二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 前記イオウ原子を含む有機化合物が、メルカプトプロピオン酸エステルであり、該メルカプトプロピオン酸エステルがオクチル -3- メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスノニル -3- メルカプトプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスドデシル -3- メルカプトプロピオネートまたはこれらの二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 前記イオウ原子を含む有機化合物が、チオフェンカルボン酸エステル類であり、該チオフェンカルボン酸エステル類がチオフェン -2- カルボン酸エステルおよびチオフェン -3- カルボン酸エステルまたはこれらの二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項3に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
- 前記イオウ原子を含む有機化合物が、ペンタエリスリトールテトラキスアルキル-3-メルカプトプロピオネート、ジフェニルスルフィド、ベンゾチアゾイルジスルフィド、ジメチルキサントゲンジスルフィドまたはこれらの二つ以上の組み合わせであることを特徴とする請求項1または2に記載の型取り用室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
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