JP3913987B2 - フラットケーブルのコネクタに対する接続構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、フラットケーブルのコネクタに対する接続構造に係り、例えば、サンバイザ取付用ブラケットに設けたコネクタに対して、天井裏に配線したフラットケーブルを接続するような場合に有用な、フラットケーブルのコネクタに対する接続構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、自動車の運転席又は助手席のフロントウインドー上端近傍には、サンバイザが配置されている。サンバイザの種類によっては、例えばバイザにバニティーミラーが設けられたものがあり、夜間でも使用できるようにランプを備えたものがある。
【0003】
図14は、このようなサンバイザを取り付けるためのブラケットの一例を示している。このブラケット100は、車両のボディパネル(図示略)に固定されるものであり、内装材であるトリム200の裏側に装備されるパネル側ブラケット101と、トリム200の表側に装備されるサンバイザ側ブラケット102との組み合わせよりなる。
【0004】
パネル側ブラケット101には雌コネクタ103が設けられ、サンバイザ側ブラケット102には雄コネクタ104が設けられ、両ブラケット101、102を組み合わせてコネクタ103、104同士の嵌合を行うことにより、車体側の配線とサンバイザ側の配線とを接続するようになっている。
【0005】
従来、パネル側ブラケット101の雌コネクタ103は、ブラケット101に形成したコネクタハウジング106に対し、ケーブル107の端末に取り付けた雄端子108を組み込むことで構成している。つまり、コネクタ103には、ケーブル107の端末部を接続している。
【0006】
車両の天井部には、サンバイザの他にもルームランプなどの補器が多数存在するが、従来では上記の例のように、各補器用のコネクタに対し、ワイヤーハーネスの各枝ケーブルの端末を接続しているのが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、天井裏でのケーブルの配索量が多くなり、コストアップ、重量アップにつながっていた。
【0008】
本発明は、例えば車両天井裏における配線量の低減を図れるようにした、フラットケーブルのコネクタに対する接続構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、基板の上面に凸型のコネクタハウジングを突設し、該コネクタハウジングの内部に圧接端子を収容し、前記コネクタハウジングの上面にフラットケーブルを載せて前記圧接端子に圧接接続させ、前記コネクタハウジングの上にカバーを被せ、このカバーにより、コネクタハウジングの上面に載せたフラットケーブルをコネクタハウジングの上面及び両側面に沿ったコ字形に屈曲させ、前記カバーの下端と基板の上面との間に、フラットケーブルの引き出し角度の調整を可能にする遊びスペースを確保し、また、前記基板の上面に、カバーの下端から引き出されたフラットケーブルを収容する凹溝を形成し、該凹溝を、コネクタハウジングから離れるに従って幅の広がる平面扇形に形成したことを特徴とする。
【0010】
この接続構造では、フラットケーブルの長さ方向の任意の中途部を、コネクタハウジング内に収容した圧接端子に圧接接続(これをスルー接続と呼ぶ)することができるので、1本のフラットケーブル上に多数のコネクタを接続することができる。従って、従来の配索例のように、各コネクタに個別にケーブルの端末を接続するのと違って、使用するケーブルの全長の短縮が図れ、それによるコストの削減及び重量の低減が図れる。
【0011】
また、圧接端子にフラットケーブルの中途部を圧接接続(スルー接続)しただけでは、フラットケーブルに引張力が作用した場合に、圧接接続部分にその引張力が作用するおそれがあるが、この発明の接続構造では、コネクタハウジングにカバーを被せることで、フラットケーブルをコ字状に屈曲させているので、その屈曲部分で、フラットケーブルの両端に作用する引張力を受け止めることができる。従って、圧接端子との接続部分に無用な力が及ばないようにすることができて、信頼性を高めることができる。また、カバーで覆うので、コネクタの付いた基板を車体等に組み付ける際に、圧接接続部分を含めてフラットケーブルに傷が付くのを防止することができる。
この接続構造では、遊びスペースの存在により、フラットケーブルの引き出し角度の調整ができるので、フラットケーブルの配線方向を、コネクタの位置で曲げることができる。つまり、複数のコネクタが直線上に並んでいない場合でも、1本のフラットケーブルを各コネクタに接続することができる。しかも、フラットケーブルを折り重ねて、配線方向の角度付けを行う必要がないので、車両の天井裏に配線する場合でも、重なり部分による天井内装材(トリム)の変形を生じるおそれがない。また、ある程度の曲がりはコネクタ部分で行い、極力フラットケーブルの折り重ねを排したので、折り重ねによる導通不良や強度劣化の心配もない。
この接続構造では、基板の上面に、フラットケーブルを収容する凹溝を形成したので、基板の上面を車体パネルに密着した状態での取り付けが可能となる。また、凹溝が扇形に開いているので、フラットケーブルの位置決めを行いつつ、フラットケーブルの引き出し方向の角度調整ができる。
【0016】
請求項2の発明は、請求項1に記載のフラットケーブルのコネクタに対する接続構造であって、前記カバーがヒンジを介してコネクタハウジングに一体化されていることを特徴とする。
【0017】
この接続構造では、カバーがコネクタハウジングに一体化されているので、カバーを紛失したり、カバーを装着し忘れることがない。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るフラットケーブルのコネクタに対する接続構造の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0019】
本実施形態は、本発明を、例えば自動車の運転席又は助手席のフロントウインドー上端に設けられるサンバイザ(補器)を車体(パネル)に対してワンタッチで簡単且つ確実に装着固定できるように構成した補器のブラケット結合構造に適用したものである。
【0020】
車体取付用ブラケット1は、図1に示すように、車体のインナーパネル2にサンバイザ(補器)3を固定するためのもので、サンバイザ3を支持する固定シャフト4の先端に取り付けられる。かかる車体取付用ブラケット1は、パネル側ブラケット5と、このパネル側ブラケット5に合体するバイザ側ブラケット6とから大略構成されている。
【0021】
トリム(車内天井板=取付対象板体)200の裏側に配されるパネル側ブラケット5は、ベース部分として略三角形状の基板7を有している。ここでは、便宜上、三角形状の基板7の3つの頂点のうち、1つの頂点のある方を「一端側」、残る2つの頂点のある方を「他端側」と呼ぶ。また、一端側の1つの頂点の角度の二等分線をブラケット中心線と呼ぶ場合、パネル側ブラケット5は、そのブラケット中心線を基準にしてほぼ左右対称な形に形成されている。
【0022】
図2〜図4はパネル側ブラケット5の詳細を示し、図5は同ブラケット5の裏面側の構成を示す。
【0023】
ブラケット5の基板7の下面の各頂点に対応する3つの位置には、図5に示すように、トリム200の開口201の周縁部に係合するための、外向きの3つのフック8が設けられている。3つのフック8のうち、1つはブラケット5の一端側にあり、他の2つはブラケット5の他端側にある。各フック8は、基板7の下面にL字形に突出しており、外方を向いたフック8の先端は、基板7の外周輪郭線よりも内側にある。また、基板7には左右一対のネジ結合孔9が穿設されている。
【0024】
また、基板7の上面には、雌コネクタ(第1のコネクタ)10のハウジング10Aと、該雌コネクタ10のハウジング10Aに連続する一対の対向側壁11とが突設され、各対向側壁11に連続して更に、バイザ側ブラケット6に突設したロック突起(ロック部)13とロックするための角筒状のロック部14が突設されている。雌コネクタ10のハウジング10Aは、直方体形状の凸型のもので、ブラケット5の他端寄りの位置に形成され、ロック部14はブラケット5の一端寄りの位置に形成され、側壁11はそれらを繋ぐ形でそれらの中間に形成されている。
【0025】
雌コネクタ10のハウジング10Aを外れた基板7の中央部には、中央開口15が設けられている。前記側壁11とロック部14は、この中央開口15を挟んで対向配置されている。角筒状のロック部14は、中央開口15側の側壁を無くした3側壁よりなる溝形をなしており、中央開口15側と反対の側壁に係合爪付きの可撓ロックアーム14aを有している。このロック部14の下端面は、バイザ側ブラケット6に突設したロック突起13を受け入れられるように開口している。
【0026】
また、前記側壁11の外面側には、インナーパネル2に一時的(コネクタ同士の嵌合を外すとき)に係合するための係合部16が設けられている。この係合部16は、基板7の上面との間に、インナーパネル2の厚さ相当分の係合溝16aを確保した所定幅の凸壁として形成されている。
【0027】
雌コネクタ10のハウジング10Aには、図2に示すように、スルー状態で配索される車体側フラットケーブル20に電機接続される雄端子21が収容されており、雌コネクタ10の下端開口からバイザ側ブラケット6に取り付けた雄コネクタ30を挿入することにより、雄コネクタ30側の雌端子31と雄端子21とを電機接続できるようになっている。この雄端子21は、スルー状態で配索されたフラットケーブル20の長さ方向の中間部を圧接接続(スルー接続)することのできる圧接端子によって構成されている。
【0028】
雌コネクタ10のハウジング10Aの外面(上面及び側面)には、前記雄端子21に対して圧接接続するフラットケーブル20を収容・案内するための凹溝22が設けられており、この凹溝22と連続して基板7の上面にも、フラットケーブル20を収容・案内するための凹溝23が設けられている。これら凹溝22、23は、フラットケーブル20を収容できる程度の深さの浅い幅広の溝であり、ブラケット5の一端側のフック8と他端側のフック8の中間部を左右方向(前記ブラケット中心線と直交する方向)に横断している。ただし、雌コネクタ10のハウジング10Aがブラケット5の他端寄りの位置にあるので、他端側のフック8の根元の近傍に位置している。これらの凹溝22、23、特に凹溝23がブラケット5の基板7の表面に形成されていることで、その部分が薄肉部25として構成され、基板7がその部分で撓みやすくなっている。なお、基板7の上面の凹溝23は、雌コネクタ10のハウジング10A側から基板7の外周縁に向かうに従い幅広となる平面扇形に形成されている。
【0029】
また、図3、図4に示すように、雌コネクタ10のハウジング10Aの上端には、ヒンジ27を介して、ハウジング10Aの外形状に合致した断面コ字形のカバー28が連設されており、このカバー28をハウジング10Aの上面に被せて係止することにより、雌コネクタ10に収納されている雄端子21及びそれに接続されたフラットケーブル20を、脱落しないように保持できるようになっている。なお、カバー28はハウジング10Aと別体に用意してもよいが、本例のように、ハウジング10Aに一体化したことにより、カバー28の紛失や装着し忘れを防止できる利点がある。
【0030】
このカバー28は、図3に示すように、上壁部28aと、その両側の側壁部28bとを有する断面コ字形をなすと共に、ヒンジ27と反対側に、ハウジング10Aの前面の係止凹部29と係合する係止アーム28cを有している。また、側壁部28bの下端には、外向きに丸まったR部28dを有している。また、図4に示すように、カバー28の上壁部28aの外面(ハウジングに被せたときに上側になる上面)は、幅方向中央から両側方に向かうに従い緩やかに下り傾斜した斜面28eにより構成され、パネル2の開口2A(次述)に対して挿入しやすくなっている。
【0031】
図1に戻って、このような構造のパネル側ブラケット5を配置するインナーパネル2には、前記雌コネクタ10、ロック部14、係合部16などを挿入する開口2Aが設けられている。開口2Aには、ロック部14と係合部16とを挿入するための広幅部と、雌コネクタ10を挿入するための狭幅部があり、広幅部から挿入した係合部16を狭幅部側へスライドさせることにより、係合部16の係合溝16aに狭幅部の開口周縁部が係合するようになっている。この係合構造は、雄雌コネクタ10、30の嵌合を解くときに、パネル側ブラケット5をインナーパネル2側に保持しておき、トリム200に無理な力がかからないようにするためのものである。また、インナーパネル2には、パネル側ブラケット5のネジ結合孔9に対応する位置に取付孔2B、2Bが設けられている。
【0032】
次に、トリム200の表面側(車内側)からパネル側ブラケット5に組み付けられるバイザ側ブラケット6の構造について説明する。
【0033】
バイザ側ブラケット6は、インナーパネル2に固定される内装材であるトリム200を挟んで、パネル側ブラケット5とは反対側に配置されて、インナーパネル2に固定される。このバイザ側ブラケット6も、ベース部分としてパネル側ブラケット6の基板7と同じ大きさの略三角形状の基板37を有している。このブラケット6についても、一端側と他端側の呼び方はブラケット5の場合と同じである。
【0034】
このブラケット6の基板37の上面には、サンバイザ3の固定シャフト4の先端周側部を保持するシャフト保持部38が突設されている。シャフト保持部38は、その中心に固定シャフト4を挿通させるシャフト保持用孔を有する略円筒体として形成されており、パネル側ブラケット5の中央開口15を貫通して、インナーパネル2の開口2Aにまで進入し得るように形成されている。
【0035】
この円筒状のシャフト保持部38の前面(バイザ側ブラケット6の一端側の側面)には、インナーパネル2の開口2A内に進入して、開口2Aの周縁部に係合するフック40が形成されている。フック40の先端には前方(ブラケット6の一端側)を向いた傾斜面(傾斜部)41が設けられており、フック40がインナーパネル2の開口2A内に進入するとき、その進入動作に伴って開口2Aの周縁部と摺接して、それにより、ブラケット6をフック係合方向と反対方向にスライドさせるようになっている。
【0036】
また、バイザ側ブラケット6の上面には、雌端子31を収容した雄コネクタ30が装着されている。雌端子31には、シャフト保持部38内の固定シャフト4の端部から導出されたバイザ側電線33の端末に接続されている。雄コネクタ30は、この雌端子31を下からハウジング30A内に収容し、ハウジング30Aの下面をカバー32で塞ぐことで組立品として構成されており、その状態で、ブラケット6の上面の係合溝にスライド係合させることで、基板37の上面に立設されている。そして、パネル側ブラケット5の雌コネクタ10と嵌合できるようになっている。
【0037】
また、バイザ側ブラケット6の基板37には、インナーパネル2に対してネジ止めするためのネジ結合孔39が設けられている。このネジ結合孔39は、パネル側ブラケット5のネジ結合孔9及びインナーパネル2の取付孔2Bの位置と対応しており、前記フック40よりもブラケット6の他端側に位置している。
【0038】
また、基板37上のシャフト保持部38の左右両側には、上方へ向けて突出するロック突起(ロック部)13が形成されている。これらロック突起13は、雄コネクタ30よりも高く設定され、雄コネクタ30と雌コネクタ10との結合に先行して、上記したパネル側ブラケット5に形成された角筒状のロック部14に挿入されるようになっている。
【0039】
ロック突起13の上部側面には、角筒状ロック部14のロックアーム14aの係合爪が係合する係合溝13aが形成されている。また、ロック突起13の頂部には、ロック突起13を角筒状のロック部14に挿入しやすくするための、略角錐(四角錐)形状もしくは略円錐形状の案内部13bが形成されており、バイザ側ブラケット6とパネル側ブラケット5との位置決めが容易にできるようになっている。
【0040】
次にインナーパネル2に対する上記ブラケット5、6の結合構造について説明する。
【0041】
まず、パネル側ブラケット5とバイザ側ブラケット6とをインナーパネル2に装着する前に、フラットケーブル20をパネル側ブラケット5の雌コネクタ10に接続し、カバー28を被せて、雌コネクタ10を完成させる。
【0042】
即ち、図2、図3に示すように、フラットケーブル20の長さ方向の中間部を雌コネクタ10のハウジング10Aの上面の凹溝22上に載せて、ハウジング10Aに収容した雄端子(圧接端子)21に圧接接続させる。つまり、雌コネクタ10に対しスルー接続する。次いで、図4に示すように、カバー28をハウジング10Aの上に被せることで、カバー28により、ハウジング10Aの上面に載せたフラットケーブル20を、ハウジング10Aの上面及び両側面に沿ったコ字形に屈曲させる。そのとき、カバー28の内部は図6のようになる。カバー28の両側壁部28bは、上壁部28aから90度に曲がっているので、フラットケーブル20も90度に屈曲した状態になる。従って、その屈曲部分で、フラットケーブル20の両端に引張力が作用した場合、その引張力を受け止めることができ、圧接接続部分に無用な力が及ばないようにすることができる。
【0043】
このようにカバー28を被せることで、フラットケーブル20は基板7の上面の扇形の凹溝23に沿って外に引き出される。この場合、カバー28の側壁部28bの下端のR部28dと、基板7の上面との間には、フラットケーブル20の引き出し角度の調整を可能にする遊びスペース28hが確保されており、しかも基板7の上面の凹溝23が外周縁に向けて扇形状に開いた形になっているので、フラットケーブル20の配線方向を、コネクタ10の位置で、ある程度の範囲ではあるが、曲げることができる。つまり、複数のコネクタを1本のフラットケーブル20にスルー接続する場合、コネクタが直線上に並んでいない場合であっても、1本のフラットケーブル20を各コネクタに接続することができる。
【0044】
フラットケーブル20の場合、配索面内で曲げて配線することが難しいので、多少でも角度のついた配線をする場合には折り重ねて角度付けをしなければならないが、コネクタ10において、ある程度のフラットケーブル20の角度調整ができるので、折り重ねによる角度付けを不要にすることができる。従って、トリム200の裏側に配線する場合に、重なり部分によってトリム200に変形を生じるおそれがなくなる。また、フラットケーブル20の折り重ねを排することができるので、折り重ねによる導通不良や強度劣化の心配もいらない。
【0045】
次に、パネル側ブラケット5とバイザ側ブラケット6とをインナーパネル2に装着するには、予めパネル側ブラケット5をトリム200の裏側(車外側)に配置し、フック8をトリム200の開口201の周縁部に係合させることで、トリム200にパネル側ブラケット5を取り付ける。このパネル側ブラケット5の取り付け作業は、インナーパネル2にトリム200を取り付ける前に行う。
【0046】
フック8をトリム200に係合させる際には、ブラケット5の薄肉部25を湾曲させながら行う。
【0047】
図7はその場合の手順を示す簡略図である。まず、(a)に示すブラケット5を、(b)に示すようにトリム200の開口201に対向させて、例えば一端側に位置するフック8を先にトリム200の開口201の周縁部に引っ掛ける。次いで、ブラケット5をトリム200に向けて押し付ける。そうすると、(c)に示すようにブラケット5が薄肉部25の位置で撓み、他端側のフック8と一端側のフック8の距離が僅かに縮まることで、他端側のフック8が開口201の周縁部を通過し、トリム200の反対側に達して、開口201の周縁部と係合する。従って、あまり強くない力で無理なくフック8をトリム200に係合させることができ、取り付け作業が簡単にできるようになると共に、トリム200の開口201の周縁部の破損や、フック8の破損を未然に防止することができる。凹溝22、23に先にフラットケーブル20を収容していても、フラットケーブル20自体が撓みやすいものであるから同様の効果が得られる。
【0048】
パネル側ブラケット5をトリム200の裏面側に取り付けたら、トリム200をインナーパネル2に組み付ける。この際、フラットケーブル20は、雌コネクタ10のハウジング10Aの表面や基板7の表面に形成した凹溝23、22内に収容されるので、位置ずれしないように適正な位置に保持される。また、フラットケーブル20の長さ方向の中間部を雌コネクタ10にスルー接続するので、車両天井部におけるフラットケーブル20の配索を簡略化することができる。この点については後述する。
【0049】
なお、フラットケーブル20と雌コネクタ10の電気接続は、パネル側ブラケット5をトリム200に取り付ける前に行ってもよいし後に行ってもよい。フラットケーブル20を雌コネクタ10に先に接続した場合であっても、ブラケット5は、基板7の薄肉部25で撓みやすくなっているので、後からトリム200に取り付ける際に、大きな力を加えずに、フック8をトリム200の開口201の周縁部に係合させることができる。
【0050】
インナーパネル2にトリム200を取り付ける際には、パネル側ブラケット5側の突出部分、即ち、雌コネクタ10、ロック部14、側壁11等を、インナーパネル2の開口2A内に挿入する。
【0051】
図8はこの状態を示している。この状態において、パネル側ブラケット5はインナーパネル2の下面(バイザ側ブラケット6を組み付けようとする方向において前面)に配置される。この状態で、バイザ側ブラケット6の雄コネクタ30、ロック突起13、シャフト保持部38を、それぞれパネル側ブラケット5の雌コネクタ10、ロック部14、中央開口15に対向させて、パネル側ブラケット5にバイザ側ブラケット6を下面側から組み付ける。
【0052】
即ち、図8に示すように、バイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5に対して矢印Aで示す方向に真っ直ぐに押し付ける。そうすると、最初にバイザ側ブラケット6の中の一番高いロック突起13が、パネル側ブラケット5の角筒状のロック部14に入り込み、次いで、雌コネクタ10に雄コネクタ30が嵌合し始める。この際、ロック突起13の先端には錐形状の案内部13bがあり、コネクタ10、30の嵌合前にロック突起13が角筒状のロック部14に誘導されることにより、コネクタ10、30同士及びブラケット5、6同士の位置決めが行われ、それにより、雄コネクタ30と雌コネクタ10の結合が確実且つ容易に行われる。
【0053】
図9に示すように、雌コネクタ10と雄コネクタ30の嵌合が始まると、バイザ側ブラケット6のフック40の先端の傾斜面41が、インナーパネル2の開口2Aの周縁部に当たり、更にバイザ側ブラケット6をパネル側ブラケット5側に押し込むことで、図10に示すように、傾斜面41の作用で、両ブラケット5、6がフック係合方向と反対方向(矢印B方向)にスライドする。そして、そのようにスライドすることで、フック40の傾斜面41がインナーパネル2の開口2の周縁部から外れて、フック40が開口2を通過してインナーパネル2の背面側に進入する。同時に、雌コネクタ10に対して雄コネクタ30が嵌合し、ロック突起13がロック部14に嵌合する。
【0054】
コネクタ10、30が適正に嵌合し、ブラケット5、6が確実に結合したことは、ロック部14のロックアーム14aの係合爪が、ロック突起13の係合溝14aに係合したときのロック音によって確認することができる。
【0055】
この状態になったことが前記のロック音によって確認できたら、図11に示すように、バイザ側ブラケット6とパネル側ブラケット5を、図中矢印Cで示すフック係合方向にスライドさせることにより、フック40をインナーパネル2の開口2Aの周縁部に係合させる。
【0056】
この際、フック40が適正に係合した状態で、ブラケット5、6のネジ結合孔9、39がインナーパネル2側の取付孔2Bと合致するように予め作られているから、ネジ結合孔9、39を取付孔2Bに合わせるようにブラケット5、6をスライドさせるだけで、フック40を確実にインナーパネル2の開口2Aの周縁部に係合させることができる。
【0057】
このようにフック40によって仮係合したら、後は、位置の合致したネジ結合孔9、39及び取付孔2Bにネジ(締結部材)を通して締めることにより、サンバイザ3の取り付けが完了する。
【0058】
このように取り付けが完了した状態において、パネル側ブラケット5は、剛性を有するインナーパネル2とバイザ側ブラケット6との間に挟まれるので、薄肉部25を設けたことによる強度不足の影響は全く問題とならなくなる。
【0059】
以上の結合構造では、凹溝23の途中に設けた雌コネクタ10の雄端子21に対して、フラットケーブル20の中途部を圧接接続しているので、図12に示すように、車両の天井部90に多数の補器(例えば、サンバイザ3やルームランプ85、86、87等)を配する場合でも、1本のフラットケーブル20を配するだけで、同フラットケーブル20上に複数の補器をスルー接続することができ、ケーブルの配索の簡略化が図れる。この場合も、各補器の取り付けには、前述したパネル側ブラケット5とバイザ側ブラケット6の組み合わせを用いることができる。なお、図中80は車体側のケーブルであり、コネクタ81、82によりフラットケーブル20と接続されるようになっている。
【0060】
図13は比較例として従来の車両天井部90の配線状況を示している。従来では、ワイヤーハーネス95を用いて配索を行っており、各枝線96の端末を各補器に接続している。従って、スルー接続ではないため、配索量が多くなり、コストも高くなる。
【0061】
それに対し、上記実施形態の構造では、1本のフラットケーブル20に対して複数の補器をスルー接続することができるので、配索量が少なくてすみ、低コスト化が図れる。
【0062】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、本発明構成の要旨に付随する各種の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、補器としてサンバイザを用いたが、ルームランプなどの他の補器にも適用することが可能である。
【0063】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1の発明によれば、1本のフラットケーブル上に多数のコネクタを接続することができ、使用するケーブルの全長を短縮することができて、それによるコストの削減及び重量の低減を図ることができる。また、カバーでフラットケーブルをコ字状に屈曲させているので、その屈曲部分でフラットケーブルの両端に作用する引張力を受け止めることができ、圧接接続部分に無用な力が及ばないようにすることができる。また、カバーで覆っているので、圧接接続部分を含めてフラットケーブルに傷が付くのを防止することができる。従って、フラットケーブルとコネクタの接続信頼性を高めることができる。
【0064】
また、請求項1の発明によれば、フラットケーブルの配線方向をコネクタの位置である程度曲げられるようにしたので、複数のコネクタが直線上に並んでいない場合であっても、1本のフラットケーブルを各コネクタに接続することができる。つまり、各コネクタに対しスルー接続することができる。従って、フラットケーブルを折り重ねて、配線方向の角度付けを行う必要がなく、車両の天井裏に配線する場合でも、重なり部分による天井内装材の変形を生じるおそれがない。また、フラットケーブルの折り重ねを排することができるから、折り重ねによる導通不良や強度劣化の心配もない。
【0065】
また、請求項1の発明によれば、基板の上面を車体パネルに密着した状態での確実な取り付けが可能となる。しかも、凹溝が扇形に開いているから、フラットケーブルの位置決めを行いながら、フラットケーブルの引き出し方向の角度調整ができる。
【0066】
請求項2の発明によれば、カバーをコネクタハウジングに一体化したので、カバーを紛失したり、カバーを装着し忘れることがなく、取り扱いやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の分解斜視図である。
【図2】同実施形態におけるパネル側ブラケットの拡大斜視図である。
【図3】図2のパネル側ブラケットの雌コネクタに対してフラットケーブルを圧接接続した状態を示す斜視図である。
【図4】図3の圧接接続した後でカバーを被せた状態を示す斜視図である。
【図5】同実施形態におけるパネル側ブラケットの裏側から見た拡大斜視図である。
【図6】図4の状態のカバーの内部を示す断面図である。
【図7】同実施形態におけるパネル側ブラケットをトリムに取り付ける場合の手順(a)〜(d)を示す図である。
【図8】同実施形態の説明図であり、バイザ側ブラケットをパネル側ブラケットに対して組み付けようとしている状態を示す断面図である。
【図9】図8の次の状態を示す断面図である。
【図10】図9の次の状態を示す断面図である。
【図11】図10の次の段階として、バイザ側ブラケットをパネル側ブラケットに組み付け完了した状態を示す断面図である。
【図12】同実施形態の適用例の説明図であり、車両天井部にフラットケーブルをスルー接続しながら配索した状態を示す斜視図である。
【図13】図12の比較例として示す図で、車両天井部にワイヤーハーネスを配索した状態を示す斜視図である。
【図14】従来のブラケット結合構造の一例を示す斜視図である。
【符号の説明】
7 基板
10 雌コネクタ
10A ハウジング(コネクタハウジング)
20 フラットケーブル
21 雄端子(圧接端子)
23 凹溝
27 ヒンジ
28 カバー
28h 遊びスペース
Claims (2)
- 基板の上面に凸型のコネクタハウジングを突設し、該コネクタハウジングの内部に圧接端子を収容し、前記コネクタハウジングの上面にフラットケーブルを載せて前記圧接端子に圧接接続させ、前記コネクタハウジングの上にカバーを被せ、このカバーにより、コネクタハウジングの上面に載せたフラットケーブルをコネクタハウジングの上面及び両側面に沿ったコ字形に屈曲させ、
前記カバーの下端と基板の上面との間に、フラットケーブルの引き出し角度の調整を可能にする遊びスペースを確保し、また、前記基板の上面に、カバーの下端から引き出されたフラットケーブルを収容する凹溝を形成し、該凹溝を、コネクタハウジングから離れるに従って幅の広がる平面扇形に形成したことを特徴とするフラットケーブルのコネクタに対する接続構造。 - 請求項1に記載のフラットケーブルのコネクタに対する接続構造であって、
前記カバーがヒンジを介してコネクタハウジングに一体化されていることを特徴とするフラットケーブルのコネクタに対する接続構造。
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