JP3913894B2 - ダクト用騒音消去装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビルや集会施設の室内又は天井裏などに配設される空調設備のダクトから発生する騒音を消去するための、ダクト用騒音消去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のダクト用消音装置としては、例えば図5に示すものがある(特開平7−160280号参照)。図5において、aは上流で空調された給気を矢印A方向に送るためのダクト、bはその内面に張設された吸音材、cは指向性を有するマイクロフォン、dはスピーカであり、マイクロフォンcは、収音部を有する先端側を騒音の上流に向けて支持具c1でダクトa内に支持され、外面にポリウレタンフォームの如き多孔質の吸音材よりなるウインドスクリーンc2が被着されている。スピーカdは、マイクロフォンcの下流側で導管d1を介してダクトaに取付けられている。eはマイクロフォンcから支持具c1中を経てスピーカdに至る回路で、該回路e中にコントローラfとアンプgが介設されている。そして、ダクトaにおけるマイクロフォンcの近くに点検口hとこれを開閉する蓋h1が設けられ、マイクロフォンcとウインドスクリーンc2を点検できるようになっている。
【0003】
ダクトaの上流に設けられる空調機、給気ファンなどで発生する騒音のうち、高・中の周波数成分は、吸音材bや、これと別に設ける吸音材内装の吸音部材によって吸収され易いが、低周波成分は吸収され難いため、前記の装置においては、マイクロフォンcによって主として低周波の騒音を騒音信号として収音し、コントローラfによって該騒音信号と逆位相の信号を発生させ、これをアンプgで騒音と同音圧に増幅してスピーカdから放出し、騒音と干渉させて該騒音を減衰させている。
【0004】
しかし、前記の装置においては、マイクロフォンcや支持具c1に当る気流によって新たな騒音が発生し易く、これを防止するためにマイクロフォンcを吸音材b中に埋め込む手段も考えられるが、吸音材bを切り欠くため、その強度や吸音性が損なわれると共にマイクロフォンcの設置位置が制約され、また配線にも手間がかかる。また、ウインドスクリーンc2で雑音の一部を吸収できるが、吸収されるエネルギはあまり大きくはなく、却って気流によって運ばれる粉塵によって多孔質材の目詰まりが生じ易く、蓋h1を開けてウインドスクリーンc2を外して清掃する必要がしばしば生じる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、消音に必要な収音の特性を損なうことなく、マイクロフォンに当る気流の速度を落して該気流で発生する雑音を低減させること、及びウインドスクリーンが粉塵で目詰まりするのを低減させることを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段の一つは、請求項1に記載したとおり、給気流が流れるダクト内を伝搬する騒音を指向性マイクロフォンによって検出し、この検出した騒音に対して、前記指向性マイクロフォンよりも騒音伝搬の下流側に配設したスピーカから前記騒音と同一音圧で逆位相の音波を発生させ、その騒音と前記音波を干渉させて騒音を消去するダクト用騒音消去装置において、前記ダクトの一部を該ダクトと結合分離自在且つ吸音材を内装したダクトユニットに構成し、該ダクトユニットに指向性マイクロフォンを有するマイクロフォンユニットとスピーカを設けたスピーカユニットを取付け、該指向性マイクロフォンの給気流上流側及び側面を覆う、多孔板又は金網よりなる多孔の防風カバーを、ダクトユニットの内側に取り付け、ダクトユニットに着脱自在に設けた蓋体の内側に、ダクトユニットの騒音伝搬の上流側を向く指向性マイクロフォンを取り付け、フランジ付の防風カバーで指向性マイクロフォンの側面及び前面を覆って前記フランジをダクトユニットの内側に固定したことを特徴とする。
【0007】
この手段によれば、マイクロフォンに当る気流は、多孔の防風カバーに当ることによって減速されるため、マイクロフォンに当って発生する雑音は低減され、気流中の粉塵の一部は防風カバーで阻止されてウインドスクリーンに達する粉塵量が減少し、該ウインドスクリーンの目詰まりが低減される。また、指向性マイクロフォンを用いたことにより、該マイクロフォンとスピーカとの距離を短くしてもハウリングが防止できるから、ダクトユニットを短いものとすることができる。さらに、マイクロフォンを取付けた蓋体を介して、防風カバーの後方からマイクロフォンを着脱することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1,2において、Dは建造物中において空調機の下流に連結されるダクトで、該ダクトDの途中に介設したダクトユニット1に騒音消去装置2が設けられ、該騒音消去装置2は、マイクロフォンユニット3とスピーカユニット4と制御回路5を備える。ダクトユニット1には、開口1aと開口1bが上流側と下流側に間隔を開けて設けられ、マイクロフォンユニット3は、開口1aを閉じるように取付けられ、スピーカユニット4は、開口1bを閉じるように取付けられる。1cはダクトユニット1に内張りされた吸音材である。
【0011】
マイクロフォンユニット3は、開口1aを閉じる蓋体6を有し、そのフランジ6aに数個のボルト穴が設けられ該ボルト穴を通るボルト7でダクトユニットに固定されるようになっており、また蓋体6の内面に設けた突部6bに、指向性の高いマイクロフォン8が収音部のある前部を騒音の上流に向けて取付けられ、その後部から伸びるケーブル8aが蓋体6の後部に設けたコネクタ8bに接続されている。また、マイクロフォン8の外面には、その前部から側部に亘って、多孔のポリウレタンスポンジよりなるウインドスクリーン9が嵌着されて、マイクロフォン8に空気の衝突音又は風切り音が生じること、及びマイクロフォン8が高周波の雑音を拾うことを防止している。
【0012】
スピーカユニット4は、図1,2に示すように外箱10内に収容したスピーカ11を有し、外箱10のフランジ10aがボルトでダクトユニット1に固定され、スピーカ11から伸びるケーブル11aは、前側部のコネクタ11bに接続されている。
【0013】
制御回路5は、前記の従来の技術において用いられている従来公知のものであり、該制御回路5において、5aはコントローラ、5bはアンプ、5cはケーブルで、コントローラ5aは、マイクロフォン8で収音した騒音信号を逆位相の信号に変換するものであり、変換後の信号をアンプ5bによって増幅してスピーカ11から騒音と同音圧で位相が逆の音を発生させ、音波の干渉によって騒音を低減させるようになっている。
【0014】
そして、マイクロフォンユニット3のダクト内部分を覆って、ほぼ樋状の多孔の防風カバー12が取付けられている。該防風カバー12は、図4に示すように、微細な小穴を無数に開けた鋼板で、U字状に湾曲した側面部12aと、その前面を閉じる前面部12bを形成し、側面部12aの端縁にフランジ12cを一体に連設したもので、上面と後面は開放面とされている。この側面部12aと前面部12bには、無数の小穴12dを全面に開けた鋼板が用いられ、フランジ12cには、側面部12aの延長部又は小穴のない鋼板が用いられ、全長にわたって前記ボルト7がねじ込まれるねじ穴12eが開けられている。また、ダクトユニット1には、防風カバー12の各ねじ穴12eと一致する位置にボルト7を通すためのボルト穴が開けられている。
【0015】
防風カバー12に用いられる鋼板は、例えば厚さが0.8mmで、小穴12dの直径が1.5mm、小穴12d,12dのピッチが3mmで、開口率が約20%とされている。
【0016】
この防風カバー12をダクトユニット1に取付ける作業は、マイクロフォンユニット3の取付け前又は取外した状態で行なわれ、まず防風カバー12を開口1aからダクトユニット1内に挿入し、該防風カバー12の前部の4個のねじ穴12eと一致する前記ボルト穴を通してダクトユニット1の外側からねじ穴12eにボルト7がねじ込まれることにより、防風カバー12の前部が固定される。
【0017】
次にマイクロフォンユニット3のマイクロフォン8側を開口1aに入れて防風カバー12内に前進させ、蓋体6の部分で開口1aを覆い、蓋体6のフランジ6aに設けたボルト穴とダクトユニット1に設けたボルト穴を一致させ、ボルト7を両ボルト穴に通して防風カバー12のねじ穴12eにねじ込むことにより、フランジ6aとフランジ12cを共締めし、蓋体6と防風カバー12の後部とをダクトユニット1に固定する。
【0018】
したがって、マイクロフォン8を点検したいときは、蓋体6側のボルト7のみを着脱することにより、防風カバー12の前部をダクトユニット1に固着した状態で蓋体6と一体のマイクロフォンユニット3を着脱することができる。
【0019】
以上の構成を有するから、給気が図1の矢印A方向に流れたとき、マイクロフォン8又はウインドスクリーン9に当る空気の流れは、防風カバー12の小穴12dによって減速され、雑音として収音される衝突音又は風切音は、大幅に低減される。また、給気中に含まれる粉塵の一部は、防風カバー12によって阻止され、ウインドスクリーン9に付着する量が減少することにより、ウインドスクリーン9を清掃する回数が少なくなる。粉塵は防風カバー12にも付着するが、該防風カバー12の清掃は、ウインドスクリーン9の清掃時に必要に応じて行えばよい。
【0020】
以上、防風カバーを多孔板で作る例を説明したが、金網で作ってもよく、金網で作る場合は、前記フランジ12cに相当する部分に金属板を接合して補強すると共にねじ穴を形成する。また、マイクロフォンユニット3及びスピーカユニット4は、図示の上部位置に限らず、ダクトユニット1の側部又は下部に設けてもよい。
【0021】
なお、防風カバー12の側面部の形状は、図示のU字形に限らずV字形、コ字形等にすることができ、その底面も、ダクトと平行にせずに騒音の下流側に行くに従って高さが増大又は減少するテーパ状としてもよい。
【0022】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、本発明によれば、マイクロフォンに給気が衝突して発生する衝突音又は風切り音を多孔の防風カバーで低減するから、マイクロフォンに雑音が収音されるのを減少させることができ、所望の周波数の騒音のみを主として消去することができる。また、この多孔の防風カバーによって粉塵の一部を阻止するから、マイクロフォンの目詰まりを減少させて、消音作用の低下が防止でき、清掃回数を少なくする効果がある。更に、騒音消去装置の各要素をダクトユニットに組付けているから、工事現場では該ダクトユニットをダクトの一部として接触するだけでよく、しかも、指向性マイクロフォンを用いたことにより、該マイクロフォンとスピーカとの距離を短くしてもハウリングが防止できるから、ダクトユニットを短いものとすることができて工事が簡単になる利点がある。
また、防風カバーはそのフランジによって固定されるから、防風カバーのダクトユニットへの取付けが簡単にでき、該防風カバーの開放面からマイクロフォンを挿入できるから、マイクフォンユニットの着脱も簡単にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態の正面図
【図2】 同じく平面図
【図3】 マイクロフォンユニットの正面図及び平面図
【図4】 防風カバーの斜視図
【図5】 従来例の正面図
【符号の説明】
1 ダクトユニット 2 騒音消去装置
3 マイクロフォンユニット 4 スピーカユニット
5 制御回路 6 蓋体
7 ボルト 8 マイクロフォン
9 ウインドスクリーン 12 防風カバー
12c フランジ 12d 小穴
Claims (1)
- 給気流が流れるダクト内を伝搬する騒音を指向性マイクロフォンによって検出し、この検出した騒音に対して、前記指向性マイクロフォンよりも騒音伝搬の下流側に配設したスピーカから前記騒音と同一音圧で逆位相の音波を発生させ、その騒音と前記音波を干渉させて騒音を消去するダクト用騒音消去装置において、前記ダクトの一部を該ダクトと結合分離自在且つ吸音材を内装したダクトユニットに構成し、該ダクトユニットに指向性マイクロフォンを有するマイクロフォンユニットとスピーカを設けたスピーカユニットを取付け、該指向性マイクロフォンの給気流上流側及び側面を覆う、多孔板又は金網よりなる多孔の防風カバーを、ダクトユニットの内側に取り付け、ダクトユニットに着脱自在に設けた蓋体の内側に、ダクトユニットの騒音伝搬の上流側を向く指向性マイクロフォンを取り付け、フランジ付の防風カバーで指向性マイクロフォンの側面及び前面を覆って前記フランジをダクトユニットの内側に固定したことを特徴とするダクト用騒音消去装置。
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JP09180998A Expired - Fee Related JP3913894B2 (ja) | 1998-04-03 | 1998-04-03 | ダクト用騒音消去装置 |
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1998
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