JP3913845B2 - 枚葉輪転印刷機の排紙装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、枚葉輪転印刷機の排紙装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
枚葉輪転印刷機において、印刷装置で印刷された紙は、印刷胴の爪から排紙チェーンの排紙爪にくわえ替えられ、排紙チェーンの走行によって搬送されたのち、搬送終端部の紙放しカムによるカム作用によって排紙爪から解放されて排紙装置のパイル上に落下し、積載される。この場合、排紙爪にくわえられた紙が厚みの薄い薄紙であって、しかも印刷速度が高速になると、パイル上に積載される紙の中央部分のエアが紙の端縁から抜けきらずに滞留し、中央部分が膨らんで膨出部が形成されてしまう。このため、パイル上での紙の天地方向、左右方向の寸法が小さくなり、紙当て、横当てによる紙の揃えが的確に行われずに、紙揃え不良が発生する。
これを防止するものとして、実開昭59−2747号公報に提案されたものがある。ここに提案されたものは、パイルの上方に配設した複数の扇風機から下方に吹き出されたエアによってパイル上に積載された紙の中央部分を押圧し、中央部分に滞留したエアを紙の端縁から放出するように構成したものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の枚葉輪転印刷機の排紙装置においては、パイルの上方からエアを吹き付ける構造としているので、印刷速度が高速になるにしたがい、エアの吹き付けが充分に行われないうちに、次に搬送されてきた紙が前の紙と扇風機との間に入込み、エアの吹き付けを遮断してしまう。このため、前の紙へのエアの吹き付けが充分に行われないままパイル上に積載されてしまうので、依然として紙揃え不良が発生していた。
【0004】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、パイル上での紙揃え不良の発生を防止した枚葉輪転印刷機の排紙装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、本発明に係る枚葉輪転印刷機の排紙装置は、排紙チェーンに設けられ紙をくわえる排紙爪と、この排紙爪による紙のくわえを解放する紙放し手段と、解放された紙を積載するパイルと、このパイル上に積載される紙の後端縁が当接する紙当てとを備えた枚葉印刷機の排紙装置であって、前記紙当てより紙搬送方向下流側であって積載紙の上方に位置するエア吹きノズルを設け、このエア吹きノズルを積載紙の上面に吹き付けるエアによってパイル上に積載された積載紙とパイル上に積載される紙との間に滞留するエアを放出するように指向させたものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。図1は本発明に係る枚葉輪転印刷機の排紙装置の側面図、図2は同じく平面図、図3は同じく要部を拡大し一部を破断して示す側面図、図4は同じく紙へのエアの吹き付け状態を説明する模式図である。
図1および図2において、符号2で示す枚葉輪転印刷機の排紙装置は、左右一対の排紙フレーム3,3を備えており、これら左右の排紙フレーム3,3の後部に軸支された軸4aに左右一対のスプロケット4,4(一方は図示を省略)が軸着されている。
【0007】
このスプロケット4と図示を省略した最終印刷胴に対接する排紙胴と同軸上に設けられたスプロケット(図示せず)との間には、左右一対の排紙チェーン5,5(一方は図示を省略)が上下のチェーンガイド6a,6bに案内されるようにして張架されている。これら左右の排紙チェーン5,5は、原動側からの駆動でスプロケット4が回転することによって図中矢印A方向に走行し、左右の排紙チェーン6間には、紙をくわえて搬送する従来から広く知られている爪と爪台からなる排紙爪部材8が、紙搬送方向A方向に一定の間隔で支架されている(図中には1個のみ図示)。
【0008】
9は積載板10とこの積載板10上に載置された紙積台11とからなるパイルであって、積載板10がチェーン12によって上方から吊り下げられている。紙積台11上には、パイル9の上方に設けられた紙放しカム(図示を省略)によって走行する排紙爪部材8にくわえられ解放される紙が積載され、図示を省略した検知手段によって積載された紙の高さが一定に保たれるように、昇降機構によって積載板10が昇降するように構成されている。
【0009】
15はパイル9の後端部上方に設けられた紙当てであって、排紙爪部材8のくわえから解放され落下する紙が紙積台11の積載紙13上に落下するときにその先端を当てて紙の天地方向を揃えるものである。16は左右一対の横当てであって、積載紙13の幅方向に揺動駆動され、紙積台11の積載紙13上に落下した紙の両側端に当接して紙の幅方向を揃えるものである。17は吸引装置であって、排紙爪部材8によってくわえられて搬送される紙のくわえ端以外を吸引するもので、カバー19の窓に臨む吸引車18が備えられている。この吸引装置17は、紙のサイズによって積載紙13の天地方向に移動自在に調整できるように構成されている。すなわち、21は一方の排紙フレーム3に固定されたブラケット22およびギアボックス23に軸支されたねじ軸であって、図示を省略した原動側と駆動源連結され、先端にかさ歯車24が軸着されている。
【0010】
26はギアボックス23と他方の排紙フレーム3に固定されたギアボックス29に軸支された伝達棒であって、一端にかさ歯車24に噛合するかさ歯車27が軸着され、他端にかさ歯車28が軸着されている。31はギアボックス29と他方の排紙フレーム3に固定されたブラケット33とに軸支されたねじ棒であって、一端にかさ歯車28に噛合するかさ歯車34が軸着されている。吸引装置17は両ねじ棒21,31のねじ部21a,31aに螺合する軸受35,36を介して両ねじ棒21,31に支持されている。両ねじ棒21,31は、原動側からの駆動により、伝達棒26を介して同期回転し、この同期回転によって吸引装置17は紙サイズに対応して紙の天地方向に移動する。
【0011】
排紙フレーム3,3の後端部には、角ステー40が横架され、この角ステー40上には、この角ステー40と同じ長さの角筒41が固定されている。42は角筒41内に固定されたパイプであって、角筒41の全長にわたって延在し、一端が一方の排紙フレーム3bから外側に導出され、導出された端部には図示を省略した吐出ポンプが接続されている。このパイプ42の長手方向の略中央の上端には通気孔42aが穿設され、角筒41にはこの通気孔42aに連通する連通孔41aが穿設されている。
【0012】
この連通孔41aに対応した角筒41上にはエア吹きノズル43が立設されている。このエア吹きノズル43には、連通孔41aに連通する下端が開口した中空部43aと、この中空部43aに連通するスリット状の吹出し孔43bとが形成されている。この吹出し孔43bは紙当て15の後方であって積載紙13の上方に位置付けられているとともに、吹出し孔43bから吹き出された吹き出しエア45が積載紙13の上面に吹き付けられるように指向している。すなわち、側面視において、吹き出しエア45が水平面に対して角度α斜め下方に吹き出されるととも、図2に示すように平面視において角度βの扇形状の拡がりをもって吹き出されるように形成されている。
【0013】
次に、このように構成された枚葉輪転印刷機の排紙装置の排紙動作を説明する。印刷開始ボタンを操作すると本機モータが回転して印刷が開始されるとともに、図示を省略した吐出ポンプが作動し、吐出エアがパイプ42内に供給される。図示しない印刷装置で印刷された紙は、印刷胴のくわえ爪装置から排紙チェーン5の排紙爪部材8の爪と爪台とにくわえ替えられ、排紙チェーン5の走行によってパイル9の上方に搬送される。排紙爪部材8が紙放しカム(図示せず)に対向すると、カム作用によって排紙爪部材8の爪が開方向に回動し紙がくわえから解放されるので、紙は落下しながら先端が紙当て11に当たり、紙の天地方向が揃えられてパイル9上に積載され、横当て16によって紙の幅方向が揃えられる。
【0014】
パイプ42に供給された吐出エアが通気口42a、連通孔41aを通ってエア吹きノズル43の中空部43aに供給され、パイル9上の積載紙13上に積載される紙13Aの上面の略中央に、吹出し孔43bから吹き出される。図4に示すように、吹き出されたエア45は、積載される紙13Aの上面に吹き付けられるので、紙13Aと積載紙13との間に滞留するエア46によって上方に膨出した紙13Aの中央部分を押圧するので、エア46は紙13Aの端縁から放出される。したがって、エア46によって中央部分が膨出することによって紙13Aの前後、左右の寸法が短くなるというようなことが防止できるので、紙13Aは紙当て15および横当て16によって天地方向および幅方向が揃えられ、このため不揃いになるようなことがない。
【0015】
ここで、エア吹きノズル43が従来のエア吹きノズル50のように、吹き出しエア45をパイル9の真上から紙13Aに吹き付けるのではなく、紙当て15の後方であってパイル9の上方から紙13Aの上部に吹き付けられるように構成されている。したがって、次の紙13Bが排紙爪部材8によってパイル9の上方に搬送され、エア吹きノズル43と紙13Aとの間を遮断するときに、従来のエア吹きノズル50の場合と比較して次の紙13Bによって遮断される時間がTだけ遅れる。このため、吹き出しエア45の吹き付け時間がこの時間Tだけ余計に紙13Aに吹き付けられるので、紙13Aの下方に滞留したエア46の放出が確実に行われる。
【0016】
また、吹き付けノズル43からの吹き出しエア45は、吹き出されてから多少拡散されて紙13Aに吹き付けられる。この場合の拡散角度をδとすると、本願のエア吹きノズル43から吹き出されて拡散した吹き出しエア45aが紙13aに吹き付ける範囲Lは、従来の吹き付けノズル50による吹き付ける範囲lと比較して大きくなる。このため、吹き付けエア45が紙13Aの膨出部の全体にわたって吹き付けられるので、エア46の部分的な滞留を防止でき、エア46の放出が円滑に行われる。
【0017】
また、図2に示すように、エア吹きノズル43からの吹き出しエアが、平面視において角度βなる扇形状の拡がりをもって吹き出されるように形成されている。このため、エア吹きノズル43が1個のみしか設けていないにもかかわらず、吹き出しエア45が紙13Aの膨出部の全体にわたって吹き付けられるので、最小限の部品点数によってエア46の部分的な滞留を防止でき、エア46の放出が的確に行われる。
【0018】
なお、本実施の形態では、吹き付けノズル43を角筒39の略中央に1個のみ設ける構造としたが、必要に応じて角筒39の長手方向に複数個設けてもよい。
【0019】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、積載紙の不揃いが防止される。
【0020】
また、本発明によれば、最小限の部品点数によって積載紙の不揃いが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る枚葉輪転印刷機の排紙装置の側面図である。
【図2】 本発明に係る枚葉輪転印刷機の排紙装置の平面図である。
【図3】 本発明に係る枚葉輪転印刷機の排紙装置の要部を拡大して示す一部破断側面図である。
【図4】 本発明に係る枚葉輪転印刷機の排紙装置におけるエアの吹き付け状態を説明する模式図である。
【符号の説明】
4…スプロケット、5…排紙チェーン、8…排紙爪部材、9…パイル、13…積載紙、15…紙当て、16…横当て、43…エア吹きノズル、45…吹き出しエア。
Claims (2)
- 排紙チェーンに設けられ紙をくわえる排紙爪と、この排紙爪による紙のくわえを解放する紙放し手段と、解放された紙を積載するパイルと、このパイル上に積載される紙の後端縁が当接する紙当てとを備えた枚葉印刷機の排紙装置において、前記紙当てより紙搬送方向下流側であって積載紙の上方に位置するエア吹きノズルを設け、このエア吹きノズルを積載紙の上面に吹き付けるエアによってパイル上に積載された積載紙とパイル上に積載される紙との間に滞留するエアを放出するように指向させたことを特徴とする枚葉輪転印刷機の排紙装置。
- 請求項1記載の枚葉輪転印刷機の排紙装置において、エア吹きノズルを紙の幅方向の略中央に1個設け、このエア吹きノズルからの平面視におけるエアの吹き出し方向を拡散させたことを特徴とする枚葉輪転印刷機の排紙装置。
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1997
- 1997-07-18 JP JP19365397A patent/JP3913845B2/ja not_active Expired - Fee Related
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