JP3913485B2 - 給紙装置、シート搬送装置、画像読取装置、ならびに画像形成装置 - Google Patents

給紙装置、シート搬送装置、画像読取装置、ならびに画像形成装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、給紙ベルトによる給紙手段、およびこの給紙手段に当接し、トルクリミッタを介して給紙方向と逆方向に駆動される分離ローラを含む給紙分離機構を具備した給紙装置、シート搬送装置、画像読取装置、ならびに画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
給紙ベルトおよび給紙ベルトと逆方向に駆動される分離ローラを含む給紙分離機構を備えた給紙装置では、先に搬送されるシートと後に搬送されるシートの間の搬送動作で、給紙ベルトと分離ローラとが激しく接触することによって給紙ベルトが摩耗し、短寿命化するという問題があった。さらに、鉛筆原稿などの印字シートを搬送する場合、先のシートから給紙ベルトに印字部分が転写され、次シートが給紙ベルトと接触した際に汚れてしまうという問題があった。
【0003】
そこで、給紙ローラの摩耗を防ぎながらシートを正常に搬送するため、積載されたシートが下流側の搬送手段に搬送された時点で給紙手段とシートの当接を解除することが提案されている(特開平4−350033号公報、特開平10−297778号公報、特開平7−232831号公報)。
【0004】
さらに、給紙ベルトおよび分離ローラからなる給紙分離機構を備えた給紙装置で、給紙ベルト近傍に分離ローラと給紙ベルトを離間する離間部材を設け、1枚のシートが給紙ベルトと分離ローラのニップ部から給紙方向下流の所定位置に到達したタイミングで、前記離間部材により給紙ベルトと分離ローラを離間することが提案されている(特願平12−101739号)。この構成により、給紙分離性能を損なうことなく、給紙ベルトと分離ローラを離間し、給紙ベルトとシートとの接触を抑制することが可能である。
【0005】
一方、給紙ベルトおよび分離ローラを含む給紙分離機構を備えた給紙装置において、給紙動作を正確に行うため、給紙ベルトが分離ローラに連れ回って給紙方向と反対に回転することを防止するストッパを設けることが提案されている(特開平11−180570号公報)。また、給紙ベルトの駆動系中に1方向クラッチを設けて給紙方向にのみ回転する構成(特開平8−310669号公報)が提案されている。このような構成により、分離動作時の給紙ベルトの逆転によって原稿の頁順が乱れ、あるいは不給紙となることを回避できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の技術では、給紙ベルトを含む給紙機構と、給紙方向に対して逆方向に駆動される分離ローラとを備えた給紙装置において、給紙ベルトと分離ローラを離間可能な構成とした場合、給紙ベルトが分離ローラから離間した状態で、分離ローラの逆転(給紙方向と逆方向の回転)により、分離ローラに給送されて当接しているシートが給紙方向と逆方向に戻されることについては十分に配慮がなされていない。すなわち、分離ローラの逆転で、給送されてきた複数のシートのうち、分離ローラとシートの間に生じた摩擦力で、分離ローラと当接しているシートのみが給紙方向上流に戻され、このシートに重なっている上側シートとの間で頁順の乱れが生じ、あるいは不給紙となるおそれがある。例えば、戻されたシートが給紙途中のものであれば、ピックアップローラによって前記シートを給紙できず、替わりに次シートを給紙してしまう。また、戻されたシートが最終シートである場合は、この最終シートが載置台に残り、給紙されないこととなる。
【0007】
本発明の目的は、このような問題点を改善し、給紙分離性能を損なうことなく、給紙ベルトと分離ローラを離間し、給紙ベルトとシートとの接触を抑制することが可能な給紙装置、シート搬送装置、画像読取装置、ならびに画像形成装置を提供することにある。
【0008】
【問題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、給紙ベルトによってシートを給紙する給紙手段と、給紙方向と逆方向に回転し、前記給紙ベルトに当接して前記シートを1枚ずつ分離する分離ローラと、前記給紙ベルト近傍で、前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間する離間部材と、前記給紙ベルトと前記分離ローラのニップ部に搬送されたシートが給紙方向と逆方向に搬送されることを阻止する逆送阻止部材とを設けたことに特徴がある。
【0009】
給紙ベルトと分離ローラによって、先行するシートが後段の搬送ローラ対に搬送されると、給紙ベルトの両側に回転可能に設けた円形カラーなどの離間部材が、給紙ベルトと分離ローラを離間する。ここで、前記シートに続くシートは、給紙方向と逆方向に回転する分離ローラと円形カラーによって給紙方向上流に戻されるが、逆送阻止部材(接触パッド、ローラなど)の摩擦抵抗で必要以上に戻されることはない。よって、分離ローラの逆転で、シートが給紙方向上流に必要以上に戻され、次のシートとの頁順が乱れるか、あるいは最終シートが給紙できないという不具合を解消できることとなる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記逆送阻止部材は、前記給紙ベルトよりも給紙方向上流に配置され、前記逆送阻止部材と前記給紙ベルトの給紙方向での搬送中心は同一線上にあることに特徴がある。
【0011】
逆送阻止部材と給紙ベルトの給紙方向での搬送中心を同一線上とすることで、給紙ベルトでシートを搬送する際の負荷が給紙ベルトの位置の延長上にあるので、スキューの発生を低減できることとなる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記逆送阻止部材は、主走査方向の長さが前記給紙ベルトの主走査方向の長さ以下となるよう、板状に形成されたことに特徴がある。
【0013】
パッドなどの逆送阻止部材を、主走査方向で給紙ベルトのニップ位置と同一幅内に配置することで、給紙ベルトでシートを搬送する際の負荷が給紙ベルトの位置の延長上にあるので、スキューの発生を低減できることとなる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項3において、前記逆送阻止部材は、一端が載置台上に載置されたシート上面に当接するようにシート上方に回動可能に支持され、給紙方向に向かってシート上方の支持位置からシートとの当接位置へと傾斜配置されたことに特徴がある。
【0015】
パッドなどの逆送阻止部材をシート上面に対して傾斜させ、前記逆送阻止部材がシート上面に当接した際の断面が楔状となるように配置したので、給紙ベルトで給紙方向にシートを搬送する場合は、前記逆送阻止部材による負荷を軽減し、スキューや不送りなどを防いで安定したシート搬送を実現できることとなる。一方、分離ローラで給紙方向と逆方向にシートを搬送する場合には、逆送阻止部材の摩擦力によって負荷を増加し、前記シートが給紙方向上流に必要以上に戻されることを阻止できることとなる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項4において、前記逆送阻止部材の一端を前記載置台に向けて付勢する付勢手段を設けたことに特徴がある。
【0017】
パッドなどの逆送阻止部材を付勢することで、シート上面を確実に押圧することができ、逆送阻止に必要な摩擦力が得られることとなる。さらに、付勢の強さ(押圧)を調節可能に構成すると、給紙対象のシートに応じて最適な押圧を実現できることとなる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記付勢手段による付勢動作を解除する付勢解除手段を設けたことに特徴がある。
【0019】
載置台(原稿テーブルなど)へのシート挿入方向は給紙方向でもあるので、パッドなどの逆送阻止部材がシートに当接していると不要な負荷となり、読み取り対象のシートに付着しているカーボンなどの粒子が前記逆送阻止部材に移ってシートを汚してしまう。そこで、前記逆送阻止部材に対する付勢を任意に解除し、前記逆送阻止部材をシート上面から離間可能とすることで、シートセット時の不要な負荷を除去できることとなる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記逆送阻止部材および前記付勢解除手段は、合成樹脂で一体形成されたことに特徴がある。
【0021】
逆送阻止用のパッドなどと付勢解除用のレバーなどを合成樹脂で一体形成することで、部品点数を削減し、組み付け作業を簡素化できることとなる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項1または2において、前記逆送阻止部材は、載置台上に載置されたシート上面に当接しながら、前記シートを給紙する方向にのみ回転可能な円筒回転体からなることに特徴がある。
【0023】
ローラなどの円筒回転体の回転軸に、1方向クラッチなどの駆動方向規制手段を装着することで、シートセット時には給紙方向に連れ回りして不要な負荷を与えることなく、かつ、分離ローラで給紙方向と逆方向にシートを搬送する場合には、回転停止によって負荷が増加する逆送阻止部材を実現できることとなる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項8において、前記円筒回転体の外周面は、合成樹脂で形成されたことに特徴がある。
【0025】
円筒回転体の外周面を合成樹脂で形成することにより、前記円筒回転体の変形、磨耗を抑えることができるとともに、ゴムなどに比べてシート表面に付着したカーボン粒子などが転写しにくい。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9のいずれかにおいて、前記逆送阻止部材と前記シートの間の摩擦係数が、前記シート間の摩擦係数よりも大きいことに特徴がある。
【0027】
「シート間の摩擦力F′」<「シートと逆送阻止部材(接触パッド)の間の摩擦力F」の関係が成り立つと、分離ローラが給紙方向と逆方向に回転する際、複数のシート(シート束)のうち、上面のシートの先端が分離ローラと離間部材のニップ部に一番近い状態で、シート束の先端が楔状となりながら戻されることとなる。次の給紙時には、前記上面のシートが給紙ベルトと分離ローラのニップ部に進入するので、重送や頁順の乱れは生じにくい。
【0028】
請求項11に記載の発明は、請求項1〜10のいずれかにおいて、前記逆送阻止部材は、開閉可能な給紙カバーに取り付けられており、この給紙カバーが開放されている場合は、前記給紙手段、前記分離ローラ、および前記離間部材を含む分離給紙部から退避するように構成されたことに特徴がある。
【0029】
給紙ジャムが発生すると、給紙カバーを開放してジャムの原因となったシートを除去するが、給紙分離部の付近に前記シートがある場合は、ピックアップローラ近傍の逆送阻止部材や付勢手段がシート除去の妨げになる。そこで、給紙カバーの開放とともに前記逆送阻止部材や前記付勢手段を搬送路から退避させることにより、シート除去作業が容易となる。
【0030】
請求項12に記載の発明は、給紙ベルトによってシートを給紙する給紙手段と、給紙方向と逆方向に回転し、前記給紙ベルトに当接して前記シートを1枚ずつ分離する分離ローラと、前記給紙ベルト近傍で、前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間する離間部材とを備えた給紙装置であって、前記離間部材は、前記シートを給紙する方向にのみ回転可能な円筒回転体からなることに特徴がある。
【0031】
円形カラーなどの離間部材が前記逆送阻止部材の機能を兼ね備えるので、パッドなどの特別な逆送阻止部材を要せず、部品構成を簡素化して省スペースを促進することとなる。また、前記離間部材は、シートを給紙する方向にのみ回転可能なので、シートセット時の挿入抵抗を低減でき、操作性が向上することとなる。
【0032】
請求項13に記載の発明は、請求項12において、前記円筒回転体の外周面と前記シートの間の摩擦係数が、シート間の摩擦係数よりも大きく、かつ、分離ローラと前記シートの間の摩擦係数よりも小さいことに特徴がある。
【0033】
「シート間の摩擦力F′」<「シートと停止している円筒回転体の間の摩擦力F」<「分離ローラとシートの間の摩擦力F″」という関係が成り立つと、分離ローラが給紙方向と逆方向に回転する際、複数のシート(シート束)のうち、上面のシートの先端が分離ローラと離間部材のニップ部に一番近い状態で、シート束の先端が楔状となりながら戻されることとなる。次の給紙時には、前記上面のシートが給紙ベルトと分離ローラのニップ部に進入するので、重送や頁順の乱れは生じにくい。
【0034】
請求項14に記載の発明は、給紙ベルトによってシートを給紙する給紙手段と、給紙方向と逆方向に回転し、前記給紙ベルトに当接して前記シートを1枚ずつ分離する分離ローラと、前記給紙ベルト近傍で、前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間する離間部材とを備えた給紙装置であって、前記分離ローラに対する駆動伝達をオン/オフする駆動伝達手段と、前記分離ローラの回転を停止する回転停止手段と、前記離間部材が前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間した状態で、前記駆動伝達手段が前記分離ローラに対する駆動伝達をオフするとともに、前記回転停止手段が前記分離ローラの回転を停止するように制御する制御手段とを設けたことに特徴がある。
【0035】
分離ローラと給紙ベルトが離間し、前記分離ローラと円形カラーなどの離間部材が当接している場合は前記分離ローラの回転を停止するので、2枚以上のシートが給紙されてきた場合、分離ローラの回転動作(給紙方向と逆方向の回転)が禁止されることとなる。よって、頁順の乱れや不給紙(最終シートの場合)などの不具合を解消できることとなる。
【0036】
請求項15に記載の発明は、請求項14において、前記分離ローラは、シートの給送方向と逆方向のトルクを与えるためのトルクリミッタを介して駆動され、前記離間部材で前記給紙ベルトと離間した状態で、シートの重送の有無に応じて給送方向と逆方向に回転することに特徴がある。
【0037】
分離ローラと給紙ベルトが離間し、前記分離ローラと円形カラーなどの離間部材が当接している場合は前記分離ローラの回転を停止し、前記分離ローラはトルクリミッタを介して連れ回りする(1枚のシートが給紙されてきた場合)。また、2枚以上のシートが給紙されてきた場合は、分離ローラの回転動作(給紙方向と逆方向の回転)が禁止される。よって、確実な分離性能を保持しながら、頁順の乱れや不給紙(最終シートの場合)などの不具合を解消できることとなる。
【0038】
請求項16に記載の発明は、シート搬送装置において、請求項1〜15のいずれかに記載の給紙装置を具備したことに特徴がある。
【0039】
シート搬送装置に、請求項1〜15のいずれかに記載の給紙装置を具備することにより、前述のように給紙分離性能を損なうことなく、分離ローラと給紙ベルトの接触を抑制しながら、頁順の乱れや不給紙を未然に防ぐこととなる。
【0040】
請求項17に記載の発明は、画像読取装置において、請求項16に記載のシート搬送装置を具備したことに特徴がある。
【0041】
画像読取装置に、請求項16に記載の給紙装置を具備することにより、前述のように給紙分離性能を損なうことなく、分離ローラと給紙ベルトの接触を抑制しながら、頁順の乱れや不給紙を未然に防ぐこととなる。
【0042】
請求項18に記載の発明は、画像形成装置において、請求項16に記載のシート搬送装置を具備したことに特徴がある。
【0043】
画像形成装置に、請求項16に記載の給紙装置を具備することにより、前述のように給紙分離性能を損なうことなく、分離ローラと給紙ベルトの接触を抑制しながら、頁順の乱れや不給紙を未然に防ぐこととなる。
【0044】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面を用いて説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、給紙ベルトと分離部材を含む給紙装置、これを具備したシート搬送装置、画像読取装置、あるいは画像形成装置などの広範囲な応用が可能なものである。
[第1の実施形態]
本実施形態における画像読取装置30は、図1に示すように、本体60および自動原稿搬送部(シート搬送装置)50からなる。本体60には、コンタクトガラス9の下方で原稿を読み取る読取部を備える。また、原稿テーブル2上には、原稿Sが画像面上向きに積載されている。
【0045】
分離給紙部(給紙装置)70は、パッド80、ピックアップローラ4、原稿セットセンサSN1、給紙ベルト21、分離ローラ6、カラー91などで構成され、原稿テーブル1に載置された原稿束の最上位から原稿Sを取り出し、1枚ずつ分離給紙するものであり、その詳細は図3、図4に示すとおりである。
【0046】
前記読取部は、露光ランプ132、第1ミラー131がコンタクトガラス9の下方で図中、左右方向に移動して原稿を読み取ることができ(圧板モード)、また、コンタクトガラス9を介して原稿を読み取る際(自動搬送モード、手差しモード)には、露光ランプ132と第1ミラー131をコンタクトガラス9の下方に停止させて読取位置(図中、▲印で示す露光位置)で読み取るように構成されている。公知のように、露光ランプ132が照射した光の原稿面からの反射光は、第1ミラー131やレンズ133を介してCCDなどの読み取り素子121に入光されて結像する。
【0047】
また、本体60には、図2に示すように、装置全体を制御する本体制御部41を備え、その本体制御部41は、通信手段104を介して自動原稿搬送部50から送信された信号を受信する。また、本体制御部41は、こうして受信・入力された信号が示す情報に基づいて、前記読取部の駆動制御や操作部43における表示制御などを行うと共に、自動原稿搬送部50に対し、モード信号や給紙開始信号を含む各種制御信号を送信し、ADFコントローラ29に指示して自動原稿搬送部50の搬送動作を制御する。
【0048】
操作部43には、図示していないスタートボタンやテンキーなどの各種ボタンキー、およびLCD表示器などを有し、モードの設定や動作開始/停止指示がユーザの操作で可能なように構成されている。
【0049】
自動原稿搬送部50には、自動原稿搬送部50の動作を制御するADFコントローラ29を備え、そのADFコントローラ29は、各センサSN1〜SN5からの検知信号、各モータ30〜32、35からの状態信号、および本体60との通信手段(シリアル通信線)104を介して送信された制御信号(給紙開始信号など)などを入力する。また、ADFコントローラ29は、各センサSN1〜SN5などからの検知情報を本体60側の本体制御部41に送信すると共に、本体制御部41から送信される制御信号に基づいて、各モータ30〜32、35、1回転クラッチ103、排紙切換ソレノイド102などの駆動を制御する。
【0050】
なお、モータ30〜32、35はいずれもステッピングモータから構成されているので、例えばパルス数をカウントし、1パルス当たりの駆動量を乗じることによって駆動量が容易に得られ、その駆動量と各センサ情報に基づき、原稿長さの検出を行うとともに、先行原稿と次原稿の搬送間隔(紙間)制御、レジスト検知後の読取位置到達タイミング制御、読取動作終了タイミング制御などを行うことができる。
【0051】
また、本体制御部41の図示しないRAMには、本体60の操作部43から入力・設定された動作モードなどを更新可能に記憶し、その内容が変更される度に記憶内容が更新されることとなる。
【0052】
ここで、図3および図4を参照しながら、分離給紙部70の詳細について述べる。なお、図3は、本実施形態における分離給紙部70の側断面(初期状態または待機状態)を示し、図4は分離給紙部70の幅方向断面を示す。
【0053】
ピックアップローラ4は、図示しないタイミングベルトによって給紙ベルト21のベルト従動ローラ29と連結されている。また、ピックアップローラ4は、分離動作時に給紙ベルト21の駆動軸(ベルト駆動ローラ26の中心軸)142から給紙モータ30の駆動を伝達される。
【0054】
給紙ベルト21は、駆動軸142に軸支されたベルト駆動ローラ26と、駆動軸142に軸支された図示しないブラケットにスプリング97を介して支持されたベルト従動ローラ29とに、所定の張力を持って巻き掛けられており、対向的に配設された分離ローラ6に所定のタイミングで圧接される。さらに、駆動軸142は、1回転クラッチ103およびギヤを介して給紙モータ30のモータ軸に連結/解除されるように構成されている。
【0055】
また、給紙ベルト21の主走査方向の長さ(幅方向長さ)は、分離ローラ6の幅より狭く設定され、給紙ベルト21の両側(外側)に配置されたカラー91が、所定のタイミングで分離ローラ6に圧接するように構成されている。このカラー91は、カラー支持部材92に支持されたカラー軸141に軸支され、カラー軸141を中心に回転可能である。また、カラー支持部材92は、カラー支持部材ギヤ93と一体化され、カラー支持部材ギヤ93は、ベルト駆動ローラ26に一体化されたベルト駆動ローラギヤ96と連結ギヤ95により連結されている。すなわち、ベルト駆動ローラ26の回転駆動はカラー支持部材92に伝達されることとなる。
【0056】
さらに、カラー支持部材ギヤ93とベルト駆動ローラギヤ96の歯数を同一に設定することにより、ベルト駆動ローラ26とカラー支持部材92の回転数が同一となるように構成されている。従って、ベルト駆動ローラ26と同軸上の1回転クラッチ103を介し、1回転分の回転駆動がベルト駆動ローラ26に伝達されると、ベルト駆動ローラ26が1回転し、給紙ベルト21はベルト駆動ローラ26の周長分移動する。同時に、カラー支持部材92も1回転し、カラー91は、カラー支持部材92の回転中心94を中心に1回転する。
【0057】
ここで、カラー91と分離ローラ6との摩擦係数が、給紙ベルト21と分離ローラ6との摩擦係数よりも低くなるように、かつ、カラー91と原稿Sとの摩擦係数が、給紙ベルト21と原稿Sとの摩擦係数よりも低くなるように、カラー91をプラスチックなどの樹脂で構成したり、あるいはカラー外周面をフッ素コーティング処理やテフロンコーティング処理(いわゆる低摩擦処理)することが好ましい。なお、分離ローラ6の外周面は硬質ゴムなどで形成され、給紙ベルト21はゴムなどの弾性材料で形成されている。
【0058】
分離ローラ6は、回転可能な中心軸(駆動軸)31に固着、軸支されている。また、分離ローラ6は、所定の大きさのトルクを有するトルクリミッタ(図示せず)を介してフリクション駆動され、給紙ベルト21との直接係合時、または1枚の原稿Sを介して係合している状態では、給紙ベルト21の回転に連れて反時計方向(CCW方向)に回転することとなる。さらに、分離ローラ6は、原稿が2枚以上、給紙ベルト21と分離ローラ6の間に進入した場合は、連れ回り力がトルクリミッタのトルクよりも小さくなるように設定されており、この場合は本来の駆動方向である時計方向(CW方向)に回転し、余分な原稿を押し戻す働きをして重送を防止する。また、分離ローラ6の駆動軸31は、図示しないギヤを介して給紙モータ30のモータ軸に連結され、分離ローラ6の駆動力も給紙モータ30の駆動によって得られる。
【0059】
前記給紙ベルト21、ベルト駆動ローラ26、ベルト従動ローラ29、連結ギヤ95、カラー支持部材92、カラー支持部材ギヤ93、カラー91の一連の部材は、給紙ベルトユニットとして一体化され、この給紙ベルトユニットは、ベルト駆動ローラ26の中心軸142を回転中心として分離ローラ6に対し、接離するように揺動回転可能に構成され、スプリング97および前記給紙ベルトユニットの自重により常時、下方に(分離ローラ6側に)付勢されている。
【0060】
搬送駆動ローラ7a、搬送従動ローラ7bからなる搬送ローラ対は、給送された原稿Sをニップ部に一次突き当てして整合する動作と、整合後の原稿Sを引き出して搬送する動作を行う。搬送駆動ローラ7aの駆動軸には、図示しない電磁クラッチなどの駆動伝達手段を介して給紙モータ30の駆動が伝達されるように構成されている。
【0061】
板状のパッド80は、分離給紙部(ピックアップローラ4、給紙ベルト21、分離ローラ6を含む)よりも給紙方向上流に配置されて、支点82に回動可能に支持され、その一端側はスプリング81によって付勢されて原稿テーブル1上の原稿Sに当接している。また、パッド80は、その一端側(給紙方向下流に形成された接触パッド80a)が原稿テーブル1上の原稿Sと当接し、前記一端側よりも他端側(給紙方向上流)が高くなるように傾斜配置されており、原稿テーブル1上の原稿Sに対し、横断面が楔状になるように当接している。また、接触パッド80aを含むパッド80は、プラスチックなどの樹脂で形成され、パッド80の裏面(原稿Sと接触する面)にはコルクあるいは発泡ゴムなどが接着されている。このコルクなどが、原稿表面に付着した鉛筆のカーボンを吸着、保持することで、パッド80を介して前記カーボンが原稿表面に再付着することを抑制する。
【0062】
また、パッド80に対するスプリング81の付勢力Rによって、原稿Sとパッド表面(接触パッド80aの当接面)の間に摩擦力Fが発生する。ここで、パッド80は支点82を中心として図中、下方向に回転し、モーメントMが発生する。また、原稿Sが給紙ベルト21と分離ローラ6の作用で分離され、給紙方向(分離ローラ6の下流)に搬送される場合は、原稿Sと接触パッド80aの摩擦力Fにより、パッド80の先端側(原稿Sと接触する接触パッド80a側)は原稿Sの給紙方向に引っ張られる。すなわち、パッド80には前記モーメントMと反対方向のモーメントM′が働き、接触パッド80aの原稿Sに対する負荷は低減することとなる。さらに、原稿Sが給紙ベルト21と分離ローラ6の作用で分離された後、カラー91の作用で給紙ベルト21と分離ローラ6が離間した状態で、分離部に複数の次原稿が進入し、前記トルクリミッタの作用で分離ローラ6が時計回りに回転し、次原稿と分離ローラ6の摩擦力で次原稿が給紙方向と逆に搬送された場合は、パッド80には前記モーメントMが働き、パッド80の次原稿に対する負荷は増加することとなる。
【0063】
ここで、前述のように原稿Sとパッド表面の間には、スプリング81の付勢力Rにより摩擦力Fが発生しており、また、複数の原稿が分離部に給紙される場合は、原稿Sの下にある原稿S′と原稿S″の間にも摩擦力F′が発生している。本実施形態では、原稿Sとパッド表面に対する摩擦係数μptが、原稿S′の原稿S″に対する摩擦係数μppよりも大きくなるように設定している(図9に示す)。よって、「原稿S′と原稿S″の間の摩擦力F′」<「原稿Sとパッド表面の間の摩擦力F」の関係が成り立っている。
【0064】
なお、図4に示すように、給紙ベルト21、分離ローラ6、ピックアップローラ4、およびパッド80の主走査方向(幅方向)の中心は、原稿Sの幅方向中心とともに給紙方向の同一中心線150上にある。このように配置することにより、原稿搬送時のスキューを抑制する。ここで、パッド80の主走査方向の長さは、給紙ベルト21の主走査方向の長さよりも小さく設定されているが、これに限らず、給紙ベルト21の主走査方向の長さと同一でもよい。また、本実施形態では、パッド80、スプリング81からなるパッド機構を独立してフレーム側に設けているが、これに限らず、給紙カバー24にパッド80、スプリング81などを取り付けてもよい。この構成により、前記パッド機構がジャム原稿の除去作業の妨げとなることを回避できる。
【0065】
次に、図5を参照しながら、本実施形態の画像読取動作を説明する。ここでは、複数の片面原稿を読み取る場合について述べる。なお、原稿Sの読み取りが片面読み取りか両面読み取りかは、操作部43のキー操作などで予め設定する。
【0066】
自動原稿搬送部50がリフトダウンされた状態(自動搬送モード)で、原稿テーブル1に画像面を上向きにして原稿Sが積み重ねられると、原稿セットセンサSN1の検知情報がADFコントローラ29から本体制御部41に送信される(s101)。この後、操作部43の操作で前記スタートボタンが押下されると、本体制御部41からの給紙開始信号により、ADFコントローラ29は、前述のように給紙モータ30の駆動でベルト駆動ローラ26を駆動回転させる(s102)。
【0067】
このベルト駆動ローラ26の駆動で給紙ベルト21が給紙方向に回転するとともに、前述のようにカラー91が回転して分離ローラ6と離間し、ピックアップローラ4は原稿Sと当接して給紙方向に回転する(s103)。こうして原稿Sは、ピックアップローラ4によって給紙ベルト21および分離ローラ6を含む分離部へ搬送され、最上位から1枚ずつ分離される。この際、パッド80の給紙方向端部(接触パッド80a)は前記最上位の原稿Sに当接している。
【0068】
こうして分離された原稿Sは、搬送駆動ローラ7a、搬送従動ローラ7bなどが配置された搬送経路50に搬送され、原稿先端センサSN2の検知情報により、前記読取部への原稿先端通過と画像読み取り開始とのタイミングを合わせる。
【0069】
具体的には、原稿先端センサSN2により原稿先端が検知されると(s104)、ソフトタイマでカラー91が前述のように1回転して分離ローラ6と当接し、分離ローラ6と給紙ベルト21が離間した後、呼び出しモータ35の駆動でピックアップローラ4が原稿面から離間し、ベルト駆動ローラ26の駆動終了で給紙ベルト21とピックアップローラ4は回転を停止する(s105)。次いで、搬送駆動ローラ7aの駆動により、分離後の原稿Sは読取位置へ向かって搬送され(s106)、レジストセンサSN3による検知後、前記読取部にて画像が読み取られる(s107)。なお、原稿先端センサSN2による先端検知後、一定時間経過しても原稿先端がレジストセンサSN3に到達しない場合は、ジャムと判断される。
【0070】
こうして、前記読取部にて画像が読み取られ、原稿先端センサSN2によって原稿Sの後端通過が検知されると(s108)、前記読取部による読取動作が終了し(s109)、読み取り後の原稿Sは搬送経路51を通り、排紙トレイ3へ排紙される(s110)。ここで、一定時間経過しても原稿先端が排紙センサSN5に到達しない場合、または、一定時間経過しても原稿後端が排紙センサSN5を通過しない場合には、ジャムと判断される。
【0071】
なお、次原稿の給紙は、原稿先端センサSN2を前原稿の後端が通過するタイミングで行われる。
【0072】
次に、図6〜図9を参照しながら、本実施形態の分離給紙動作を詳細に説明する。
【0073】
分離給紙部70の初期状態または待機状態(図3に示す)では、カラー91の外周面が給紙ベルト21の主走査方向(幅方向)両端よりも外側に出張り、そのカラー91が分離ローラ6と当接することによって、給紙ベルト21と分離ローラ6が離間している。
【0074】
また、ピックアップローラ4は原稿テーブル1に載置された原稿Sと離間しており、接触パッド80aはセット後の原稿面に当接した状態にある。この状態で、パッド80は、前述のようにスプリング81によって原稿テーブル側に付勢され、また、支点82を中心とするモーメントMが発生し、原稿Sとパッド表面の間には摩擦力Fが発生している。
【0075】
次いで、前記初期状態(または待機状態)から、ベルト駆動ローラ26と同軸上の1回転クラッチ103の作動で、1回転分の回転駆動がベルト駆動ローラ26に伝達されると、給紙ベルト21が矢印方向に回転し始める。これと同時に、カラー91はカラー支持部材92の回転中心94を中心として矢印方向に回転し始める。この後、カラー91は、さらに回転しながら分離ローラ6と離間する。一方、前記給紙ベルトユニットは、スプリング97および自重によって下方に付勢されており、カラー91と分離ローラ6の離間動作で、ベルト駆動ローラ26の回転中心142を中心として揺動回転する。前記給紙ベルトユニットの回転に従い、給紙ベルト21は分離ローラ6に当接する。同時に、ピックアップローラ4が自重で下降して原稿Sと当接し、給紙モータ30からの駆動伝達によって原稿Sを給紙ベルト21側に搬送し始める(図6に示す)。ここで、原稿Sとパッド80の摩擦力Fが作用しながら、パッド80の給紙方向端は原稿Sに引っ張られるため、パッド80には前記モーメントMと反対方向のモーメントM′が働き、パッド80の原稿Sに対する負荷は低減することとなる。こうして給紙ベルト21側に搬送された原稿Sは、給紙ベルト21と分離ローラ6のニップに進入し、分離ローラ6により上面の1枚だけが分離されて、下流側の搬送ローラ対7a、7bに搬送される。
【0076】
次いで、図7に示すように、原稿Sの先端が搬送ローラ対7a、7bに到達し、この搬送ローラ対7a、7bによって挟持・搬送され始め、原稿先端センサSN2で検知されると、ソフトタイマでカラー91が前述のようにカラー支持部材92の回転中心94を中心として矢印方向に1回転した後、再び分離ローラ6と当接する位置へ向かって回転する。
【0077】
次いで、カラー91と分離ローラ6が当接した後、給紙ベルト21とピックアップローラ4が回転停止し、さらに、ピッアップローラ4は、呼び出しモータ35の駆動で原稿Sと離間して原稿テーブル上方に退避する(図7に示す)。また、カラー91と分離ローラ6が当接すると、前記給紙ベルトユニット全体がベルト駆動ローラ26の回転中心142を中心として押し上げられるように揺動回転し、図8に示すように、給紙ベルト21は分離ローラ6と離間する。給紙ベルト21およびカラー91は、図3に示した初期状態から、カラー支持部材92の回転中心94を中心として1回転したところで(図示しない1回転クラッチの作動により、1回転分の回転駆動が伝達されたところで)、前記1回転クラッチによる駆動伝達が遮断されて停止し、待機状態となる。
【0078】
なお、分離された先行原稿Sの後端がカラー91と分離ローラ7のニップ部を通過する際、同時に複数枚の次原稿S′、S″がそのニップ部に搬送されている場合は、図9に示すように、分離ローラ6は前記トルクリミッタを介して給紙方向と逆方向(矢印方向)に回転駆動する。一方、カラー91は、分離ローラ6の回転に連れて矢印方向に回転する。従って、複数枚の次原稿S′、S″はカラー91の上流側に戻され、分離ローラ6より下流に重送されることはない。
【0079】
ここで、原稿S′とパッド80の表面(給紙方向先端側の接触パッド80aの当接面)の間には、スプリング81の付勢力Rによる摩擦力Fが発生しており、また、原稿S′と原稿S″の間には、摩擦力F′が発生している。前述のように、原稿S′とパッド80との摩擦係数μptが原稿S′と原稿S″との摩擦係数μppよりも大きいので(F>F′)、パッド80による負荷は、上側の原稿S′に対する負荷が下側の原稿S″に対する負荷よりも大きくなる。したがって、分離ローラ6が給紙ベルト21と離間した状態で時計回りに回転した場合は、下側の原稿S″から順次、頁順を乱すことなく給紙方向上流に戻され、図9に示すように、最上面(上側)の原稿S′の先端が原稿S″の先端よりも分離ローラ6とカラー91のニップ部に近くなり、複数の原稿S′、S″の先端は楔状となる。
【0080】
また、次原稿S′、S″が分離ローラ6によって給紙方向とは逆方向に戻される場合、原稿S′と当接するパッド80により、支点82を中心とする前記モーメントMが発生する。ここで、原稿Sが給紙方向に搬送される場合、原稿Sとパッド80の摩擦力Fは、パッド80の先端が原稿Sに喰いこむ方向に働き、原稿Sに対するパッド80の負荷は増加することとなる。したがって、図9に示すように、分離ローラ6が原稿S′、S″を搬送方向と逆方向に戻そうとしてもパッド80の負荷により、カラー91と分離ローラ6のニップ部から離れた位置では、分離ローラ6による搬送力が作用しなくなり、原稿S′、S″の搬送は停止する。これが待機状態であり、次の給紙開始信号が受信されると、前述した一連の動作を繰り返すこととなる。
【0081】
以上のように、本実施形態の給紙装置には、給紙ベルト21によって原稿を給送する給紙機構と、給送方向と逆方向に回転し、給紙ベルト21に当接して原稿を1枚ずづ分離する分離ローラ6と、給紙ベルト近傍で、分離ローラ6と給紙ベルト21を離間するカラー91と、分離ローラ6とカラー91が当接した状態で、分離ローラ6が給紙方向と逆方向に回転し、分離ローラ6とカラー91のニップ部に進入した複数の原稿を給紙方向上流に戻すことを阻止する接触パッド80aとを設けたので、1枚の原稿Sが給紙ベルト21と分離ローラ6のニップ部から給紙方向下流の所定位置に到達したタイミングで、カラー91により給紙ベルト21と分離ローラ6を離間した際、分離ローラ6の時計方向回転によって、原稿Sに続く複数の原稿S′、S″の頁順が乱れ、あるいは給紙できなくなるという不具合を解消できる。
【0082】
また、本実施形態では、前述のように給紙ベルト21によって搬送されてきた原稿Sが搬送ローラ対7a、7bに到達したタイミングで、カラー91が分離ローラ6に圧接し、分離ローラ6と給紙ベルト21を離間させるので、給紙ベルト21と原稿との接触時間を短縮して給紙ベルト21の汚れ(例えば、鉛筆書き原稿の場合、給紙ベルト21の搬送面に原稿面のカーボンが転写される。)を少なく抑えることができる。さらに、原稿Sの頁間の搬送動作において、分離ローラ6と給紙ベルト21の接触時間を短縮し、給紙ベルト21の摩耗を抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態では、前述のように分離ローラ6の位置が固定されるので、カラー91と分離ローラ6が当接する際、給紙ベルト21と分離ローラ6の接触軌跡上で接触し、原稿Sと分離ローラ6との接触点は上下変動しないので、安定した原稿搬送が実現できる。
【0084】
また、本実施形態では、前述のようにカラー91の分離ローラ6に対する接離動作を1回転動作とし、カラー91と給紙ベルト21に対する駆動伝達を連結して、ベルト駆動ローラ26の回転中心軸142に1回転クラッチ103を設け、ベルト駆動ローラ26とカラー91の回転数が同一となるように設定したので、給紙ベルト21とカラー91の駆動系を共用でき、構成を簡素化してコストダウンを実現するのに好適である。
【0085】
[第2の実施形態]
図10は、本発明の第2の実施形態における分離給紙部70の側断面(初期状態または待機状態)を示す。なお、装置全体の構成は第1の実施形態と概ね同様であるため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0086】
本実施形態は、第1の実施形態とは、開閉可能な給紙カバー24に、パッド80およびレバー83と、これらを回転可能に支持する支点82と、パッド80の一端部(接触パッド80a)を原稿テーブル1側に付勢するスプリング81′とを設けた点が相違している。この構成により、接触パッド80aは、ピックアップローラ4付近で原稿と当接し、確実に分離ローラ6による押し戻し作用を防止でき、また、パッド80は、給紙カバー24の開動作に伴って搬送路上から退避し、原稿ジャムが生じた場合にジャム原稿を容易に取り除くことができるという効果が得られる。
【0087】
図10において、給紙カバー24は、通常、分離給紙部70(給紙装置)を覆うものであり、開閉支点25を中心として回転することで開閉可能に構成されている。特に、ジャム発生時には分離給紙部70へ搬送されてきたジャム原稿を除去するために開かれる。支点82は、給紙カバー24に直接設けるか、あるいは給紙カバー24に設けたブラケットに取り付けられている。パッド80は、第1の実施形態に準じ、プラスチックなどの樹脂からなり、パッド80の一端側のレバー83と一体形成されている。このレバー83を図中、下方向に押下することで、パッド80は支点82を中心として図中、上方向に回転し、パッド80の他端側(接触パッド80a側)が原稿テーブル1から離間するように構成されている。なお、原稿セット時に原稿Sの画像面と接触パッド80aが接触して擦られることを回避するため、レバー83を押下しながら原稿Sを挿入することが望ましい。また、パッド80の表面(原稿Sまたは原稿テーブル1と当接する接触パッド80a)には、コルクまたは発泡ゴムなどが接着されている。スプリング81′は、板バネあるいは捩じりコイルバネからなり、支点82を中心としてパッド80を回動させ、前記モーメントMを発生させるものである。
【0088】
なお、本実施形態に限らず、原稿Sの厚さ、サイズ、材質などに応じて、スプリング81′の強度を切り替え可能に構成してもよい。この構成により、例えば、所定の紙厚よりも薄い原稿を用いる薄紙モードの場合には、パッド80の押圧(原稿Sとパッド80の摩擦力F)を通常モードの場合よりも低減するように調整することで、前記摩擦力による原稿破損や皺の発生などを防止できる。さらに、本実施形態に限らず、原稿Sの厚さ、サイズ、材質などに応じて、パッド80表面の材質や加工を変更してもよい。例えば、前記薄紙モードの場合には、接触パッド80aの表面にフッ素コーティング処理やテフロンコーティング処理(いわゆる低摩擦処理)を施したものを用いてもよい。
【0089】
また、給紙ベルト21、分離ローラ6、ピックアップローラ4、およびパッド80の主走査方向(幅方向)中心は、第1の実施形態に準じ、原稿Sの幅方向中心とともに給紙方向の同一中心線上に配置する。このように配置することにより、原稿搬送時のスキューを抑制できる。ここで、パッド80の主走査方向の長さは、給紙ベルト21の主走査方向の長さよりも小さく設定されているが、これに限らず、給紙ベルト21の主走査方向の長さと同一としてもよい。
【0090】
[第3の実施形態]
図11は、本発明の第3の実施形態における分離給紙部70の側断面(初期状態または待機状態)を示す。なお、装置全体の構成はローラ84などを除き、第1の実施形態と概ね同様であるため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0091】
本実施形態は、第1の実施形態とは、開閉可能な給紙カバー24に、カバー閉状態で原稿テーブル1上の原稿Sと常に当接するローラ84と、このローラ84の軸85に装着され、ローラ84を給紙方向にのみ回転させる1方向クラッチ(図示せず)とを設けた点が相違している。この構成により、ローラ84は、ピックアップローラ4付近で原稿Sと当接し、前記1方向クラッチの駆動規制で確実に分離ローラ6による押し戻し作用を防止するとともに、原稿セット時には原稿Sの挿入を妨げず、また、給紙カバー24の開動作に伴って搬送路上から退避し、ジャム原稿を容易に取り除くことができるという効果が得られる。
【0092】
図11において、給紙カバー24は、第2の実施形態に準じ、開閉支点25を中心として回動することで開閉可能であり、ジャム発生時には分離給紙部70へ搬送されてきたジャム原稿を除去するために開かれるものである。ローラ84は、分離給紙部のピックアップローラ4よりも給紙方向上流に配置され、プラスチックなどの樹脂で形成されており、ローラ外周面をコルクまたは発泡ゴムなどで被覆している。これは、前述のように、コルクなどが原稿表面に付着した鉛筆のカーボンを吸着、保持することで、ローラ外周面を介して前記カーボンが原稿表面に再付着することを抑制するためである。また、ローラ84の軸85には、ローラ84を給紙方向にのみ回転させる前記1方向クラッチが装着されている。前記ローラ84の軸85は、給紙カバー24に取り付けられたブラケットにアーム86などで支持されている。
【0093】
したがって、給紙カバー24が閉じられている場合は、ローラ84および前記ブラケットの自重によって原稿テーブル1を押圧することとなる。ここで、原稿セットのために原稿テーブル1上の所定位置まで原稿Sが挿入される場合は、前記1方向クラッチの作用でローラ84は時計方向に回転し、原稿挿入を妨げない。また、原稿Sが給紙ベルト21と分離ローラ6の作用で分離され、給紙方向(分離ローラ6の下流)に搬送される場合についても、前記1方向クラッチの作用でローラ84は時計方向に回転するので、ローラ84の原稿Sに対する負荷は増加しない。さらに、原稿Sが給紙ベルト21と分離ローラ6の作用で分離された後、カラー91の作用で給紙ベルト21と分離ローラ6が離間し、原稿Sの下の次原稿S′が、分離ローラ6の時計回りの回転に伴い、原稿S′と分離ローラ6およびカラー91の摩擦力で給紙方向と逆方向に搬送された場合は、前記1方向クラッチの作用でローラ84の回転は阻止されるので、ローラ84と原稿S′の摩擦力により、ローラ84の原稿S′に対する負荷は増加することとなる。
【0094】
なお、ローラ84の回転が禁止されている場合、原稿Sとローラ84の間には、ローラ84の押圧による摩擦力Fが発生しており、また、複数の原稿が分離部に給紙される場合は、原稿Sの下にある原稿S′と原稿S″の間にも摩擦力F′が発生している。本実施形態では、第1の実施形態に準じ、原稿Sと前記1方向クラッチの作用で停止しているローラ84との摩擦係数μptが、原稿S′と原稿S″との摩擦係数μppよりも大きくなるように設定している。よって、「原稿S′と原稿S″の間の摩擦力F′」<「原稿Sと停止しているローラ84の間の摩擦力F」の関係が成り立っている。
【0095】
また、第1の実施形態に準じ、給紙ベルト21、分離ローラ6、ピックアップローラ4、およびローラ84の主走査方向(幅方向)中心は、原稿Sの幅方向中心とともに給紙方向の同一線上にある。このように配置することにより、原稿搬送時のスキューを抑制する。ここで、ローラ84の主走査方向の長さは、給紙ベルト21の主走査方向の長さと同一か、あるいは給紙ベルト21の主走査方向の長さよりも小さく設定されている。
【0096】
なお、本実施形態に限らず、給紙カバー24を開いた際にローラ84の回転を規制するストッパを設けてもよい。あるいは、アーム86を回転させてローラ84を昇降するための昇降機構を設けてもよい。この構成により、給紙カバー開時にローラ84が垂れ下がり、あるいは作業者の手に当たるなどの不具合を防止できる。
【0097】
また、本実施形態に限らず、第1の実施の形態に準じ、コイルバネなどのスプリング(図3の81に相当)でローラ84の軸85を原稿テーブル1側に付勢するように構成してもよい。あるいは、第2の実施形態に準じ、アーム86の支点(回転軸)を給紙カバー24に設けるか、あるいは給紙カバー24に取り付けたブラケットに設けて、アーム86を回動可能とし、さらに前記回転軸に捩じりコイルバネ(図10の81′に相当)などの付勢手段を設けて、ローラ84が原稿テーブル1側に付勢されながら回動するように構成してもよい。この構成により、ローラ84を原稿Sに圧接することで逆送阻止に必要な摩擦力が得られ、分離ローラ6が給紙方向と逆方向に回転して次原稿を給紙方向上流に戻すのを確実に阻止できる。また、原稿の種類、サイズなどに応じて前記捩じりコイルバネなどの付勢力を適宜調整することも可能となる。
【0098】
[第4の実施形態]
図12は、本発明の第4の実施形態における分離給紙部70の側断面(初期状態または待機状態)を示す。なお、装置全体の構成はパッド80、スプリング81などを除き、第1の実施形態と概ね同様であるため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0099】
本実施形態は、第1の実施形態とは、カラー91とカラー軸(回転軸)141を連結し、カラー91を給紙方向のみに回転可能とする1方向クラッチ(図示せず)を設けた点が相違している。この構成により、第1の実施形態で用いたパッド80、スプリング81などの部品を省きながら、分離ローラ6の搬送力で原稿が給紙方向と逆方向に搬送される際、前記1方向クラッチの作用でカラー91の回転を阻止し、前記原稿を給紙方向上流側に戻すことができるという効果が得られる。
【0100】
図12に示すように、カラー91は、回転軸141と1方向クラッチ(図示せず)を介して連結されており、原稿S、S′、S″を給紙する方向(図中、波線で示す)にのみ回転可能に構成されている。例えば、原稿Sが給紙方向に搬送される際、カラー91は給紙方向に連れ回るが、原稿Sに続いて複数の原稿S′、S″が分離ローラ6とカラー91のニップ部に進入し、前記トルクリミッタの作用で分離ローラ6が時計方向に回転し、原稿S′が給紙方向と逆方向に搬送される際には、前記1方向クラッチの作用でカラー91の回転軸141はロックされ、カラー91の回転は阻止される。
【0101】
ここで、原稿S′と停止しているカラー91の外周面との間には前記給紙ベルトユニットの加重Wにより摩擦力Fが発生し、さらに原稿S′と原稿S″との間にも摩擦力F′が発生している。本実施形態では、原稿S′と停止しているカラー91の外周面との摩擦係数μpkが、原稿S′と原稿S″との摩擦係数μppよりも大きくなるように、かつ、分離ローラ6と原稿表面との摩擦係数μprが、原稿S′と停止しているカラー91の外周面との摩擦係数μpkよりも大きくなるように設定している。したがって、「原稿S′と原稿S″との間の摩擦力F′」<「原稿Sと停止しているカラー91との間の摩擦力F」<「分離ローラ6と原稿表面との摩擦力F″」という関係が成り立っている。
【0102】
このような設定により、前記1方向クラッチの作用で停止しているカラー91が、このカラー91と分離ローラ6のニップ部に続いて進入した複数の原稿S′、S″のうち、上側の原稿S′に与える負荷は、下側の原稿S″に与える負荷よりも大きいこととなる。また、複数の次原稿S′、S″が分離ローラ6とカラー91のニップ部に搬送されてきた場合、前述のように前記トルクリミッタの作用で分離ローラ6は給紙方向と逆方向に回転する。ここで、分離ローラ6の搬送力(前記摩擦力F″による)により、複数の次原稿S′、S″は原稿S″の方から順次、給紙方向上流に戻される。こうして、下側の原稿S″から頁順を乱すことなく、上面の原稿先端が分離ローラ6とカラー91のニップ部に最も近い状態で戻され、この際、原稿束の先端は楔状となる。
【0103】
[第5の実施形態]
図13は、本発明の第5の実施形態における分離給紙部70の側断面(初期状態または待機状態)を示し、図14は本発明の第5の実施形態における画像読取装置の制御部を示す。なお、装置全体の構成はパッド80、スプリング81などを除き、第1の実施形態と概ね同様であるため、図1、図2を用いると共に同一構成には同一符号を付与して説明を省略する。
【0104】
本実施形態は、第1の実施形態とは、分離ローラ6の中心軸31上に、この中心軸31に対する回転駆動伝達を制御する電磁クラッチ106と、中心軸31の回転を阻止する電磁ブレーキ107と、給紙ベルト21が分離ローラ6と離間してから、給紙ベルト21とカラー91が1回転して停止すると、電磁クラッチ106がオフし、電磁ブレーキ107がオンして分離ローラ6の回転が停止するように制御するADFコントローラ29とを設けた点が相違している。この構成により、分離部に給送されてきた原稿Sに続き、分離ローラ6とカラー91の当接部に進入してきた複数の次原稿S′、S″が、分離ローラ6の回転で給紙方向上流に押し戻されることを防止できるという効果が得られる。
【0105】
図13に示すように、分離ローラ6と電磁クラッチ106と電磁ブレーキ107とが、中心軸31上に設けられている。電磁クラッチ106は、中心軸31に対する回転駆動伝達をオン/オフし、電磁ブレーキ107は、中心軸31に対する回転駆動伝達が停止している場合に中心軸31が回転しないように固定するよう、図14に示すADFコントローラ29によって制御される。
【0106】
本実施形態では、給紙ベルト21と分離ローラ6が当接して原稿Sを搬送する場合は、ADFコントローラ29の制御で電磁クラッチ106がオンとなり、電磁ブレーキ107はオフとなる。電磁クラッチ106がオンになると、分離ローラ6の中心軸31には給紙方向と逆方向の回転駆動が伝達される。また、分離ローラ6と中心軸31は前記トルクリミッタを介して連結されているので、1枚の原稿Sが搬送されてきた場合、分離ローラ6は給紙ベルト21の回転により給紙方向に連れ回ることとなる。この後、第1の実施形態に準じて一連の給紙分離動作を続け、スプリング97により前記給紙ベルトユニット全体がベルト駆動ローラ26の回転中心30を中心として揺動回転し、給紙ベルト21が分離ローラ6と離間して、給紙ベルト21とカラー91がカラー支持部材92の回転中心94を中心として1回転すると、ベルト駆動ローラ26と同軸上に装着された1回転クラッチにより、1回転分の回転駆動伝達が遮断される。同時に、分離ローラ6の中心軸31上の電磁クラッチ106がオフし、電磁ブレーキ107がオンして中心軸31の回転は停止し、固定される。ここで、給送される原稿Sの後端がカラー91と分離ローラ6のニップ部を通過する際、このニップ部に複数の原稿S′、S″が搬送されてきている場合、分離ローラ6の中心軸31の回転が停止しているので、分離ローラ6は回転せず、次原稿S′、S″とが一緒に搬送されることはない。また、分離ローラ6が給紙方向と逆方向に回転して次原稿S′、S″を給紙方向上流に戻すこともない。次いで、次原稿S′を給送するため、再び電磁クラッチ106がオンすると、前記トルクリミッタの作用で重送を回避することとなる。
【0107】
なお、本実施形態に限らず、電磁クラッチ106がブレーキ付きであってもよい。この場合、電磁クラッチ106がオフになると中心軸31に対する回転駆動伝達は遮断され、かつ、中心軸31も固定されるため、本実施形態と同様の効果が得られるとともに、電磁ブレーキ107が不要となり、部品点数を削減することができる。
【0108】
また、前述の各実施形態では、分離ローラ6と給紙ベルト21を離間するためのカラー91の動作が給紙ベルト21の駆動と連動しているが、これに限らず、分離ローラ6側の上下動で離間動作を行い、あるいはカラー91の駆動系が給紙ベルト21の駆動系と独立するように構成してもよい。この場合も、前述の各実施形態と同様の効果が得られる。
【0109】
なお、給紙ベルト21、ベルト駆動ローラ26、などが給紙手段を構成し、分離ローラ6などが分離部材を構成し、カラー91、カラー支持部材92、などが離間部材を構成し、スプリング81、81′などが付勢手段を構成し、レバー83などが付勢解除手段を構成し、接触パッド80a、ローラ84などが逆送阻止部材を構成し、ローラ84が円筒回転体(逆送阻止部材)を構成し、電磁クラッチ106などが駆動伝達手段を構成し、電磁ブレーキ107などが回転停止手段を構成し、ADFコントローラ29などが制御手段を構成する。
【0110】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、給紙ベルトと分離ローラによって、先行するシートが後段の搬送ローラ対に搬送されると、給紙ベルトの両側に回転可能に設けた円形カラーなどの離間部材が、給紙ベルトと分離ローラを離間し、前記シートに続くシートは、給紙方向と逆方向に回転する分離ローラと円形カラーによって給紙方向上流に戻される場合に、逆送阻止部材(接触パッド、ローラなど)の摩擦抵抗が作用するので、シートが給紙方向上流に必要以上に戻され、次のシートとの頁順が乱れ、あるいは最終シートが給紙できないという不具合を解消できる。
【0111】
請求項2に記載の発明によれば、前記逆送阻止部材と給紙ベルトの給紙方向での搬送中心を同一線上とすることで、給紙ベルトでシートを搬送する際の負荷が給紙ベルトの位置の延長上にあるので、スキューの発生を低減できる。
【0112】
請求項3に記載の発明によれば、給紙ベルトでシートを搬送する際の負荷は給紙ベルトの位置の延長上にあるので、スキューの発生を低減できる。
【0113】
請求項4に記載の発明によれば、パッドなどの逆送阻止部材をシート上面に対して傾斜させ、前記逆送阻止部材がシート上面に当接した際の断面が楔状となるように配置したので、給紙ベルトで給紙方向にシートを搬送する場合は、前記逆送阻止部材による負荷が軽減され、スキューや不送りなどを防いで安定したシート搬送を実現できる。一方、分離ローラで給紙方向と逆方向にシートを搬送する場合には、逆送阻止部材の摩擦力によって負荷が増加し、前記シートが給紙方向上流に必要以上に戻されることを阻止できる。
【0114】
請求項5に記載の発明によれば、パッドなどの逆送阻止部材を付勢することで、シート上面を確実に押圧することができ、逆送阻止に必要な摩擦力が得られる。
【0115】
請求項6に記載の発明によれば、逆送阻止部材に対する付勢を任意に解除し、前記逆送阻止部材をシート上面から離間可能とすることで、シートセット時の不要な負荷を除去できる。
【0116】
請求項7に記載の発明によれば、逆送阻止用のパッドなどと付勢解除用のレバーなどを合成樹脂で一体形成することで、部品点数を削減し、組み付け作業を簡略化できる。
【0117】
請求項8に記載の発明によれば、ローラなどの円筒回転体の回転軸に、1方向クラッチなどの駆動方向規制手段を装着することで、シートセット時には給紙方向に連れ回りして不要な負荷を与えることなく、かつ、分離ローラで給紙方向と逆方向にシートを搬送する場合には、回転停止によって負荷が増加する逆送阻止部材を実現できる。
【0118】
請求項9に記載の発明によれば、逆送阻止部材を構成する円筒回転体の外周面を合成樹脂で形成することにより、前記円筒回転体の変形、磨耗を抑えることができるとともに、ゴムなどに比べてシート表面に付着したカーボン粒子などが転写されにくいという効果がある。
【0119】
請求項10に記載の発明によれば、分離ローラが給紙方向と逆方向に回転する際、複数のシート(シート束)のうち、上面のシートの先端が分離ローラと離間部材のニップ部に一番近い状態で、シート束の先端が楔状となりながら戻され、次の給紙時には、前記上面のシートが給紙ベルトと分離ローラのニップ部に進入するので、重送や頁順の乱れが生じにくいという効果がある。
【0120】
請求項11に記載の発明によれば、給紙カバーの開放とともに逆送阻止部材や付勢手段を搬送路から退避させることにより、シート除去作業が容易となる。
【0121】
請求項12に記載の発明によれば、円形カラーなどの離間部材が逆送阻止部材の機能を兼ね備えるので、パッドなどの特別な逆送阻止部材を要せず、部品構成を簡素化して省スペースを促進できる。また、前記離間部材は、シートを給紙する方向にのみ回転可能なので、シートセット時の挿入抵抗を低減でき、操作性が向上する。
【0122】
請求項13に記載の発明によれば、分離ローラが給紙方向と逆方向に回転する際、複数のシート(シート束)のうち、上面のシートの先端が分離ローラと離間部材のニップ部に一番近い状態で、シート束の先端が楔状となりながら戻され、次の給紙時には、前記上面のシートが給紙ベルトと分離ローラのニップ部に進入するので、重送や頁順の乱れが生じにくいという効果がある。
【0123】
請求項14に記載の発明によれば、分離ローラと給紙ベルトが離間し、前記分離ローラと円形カラーなどの離間部材が当接している場合は前記分離ローラの回転を停止するので、2枚以上のシートが給紙されても、頁順の乱れや不給紙(最終シートの場合)などの不具合を解消できる。
【0124】
請求項15に記載の発明によれば、分離ローラと給紙ベルトが離間し、前記分離ローラと円形カラーなどの離間部材が当接している場合は前記分離ローラの回転を停止し、前記分離ローラはトルクリミッタを介して連れ回りする(1枚のシートが給紙されてきた場合)ので、確実な分離性能を保持できる。また、2枚以上のシートが給紙されてきた場合は、分離ローラの回転動作(給紙方向と逆方向の回転)が禁止されているので、頁順の乱れや不給紙(最終シートの場合)は生じない。
【0125】
請求項16に記載の発明によれば、シート搬送装置において、前述のように給紙分離性能を損なうことなく、分離ローラと給紙ベルトの接触を抑制しながら、頁順の乱れや不給紙を未然に防ぐことが可能である。
【0126】
請求項17に記載の発明によれば、画像読取装置において、前述のように給紙分離性能を損なうことなく、分離ローラと給紙ベルトの接触を抑制しながら、頁順の乱れや不給紙を未然に防ぐことが可能である。
【0127】
請求項18に記載の発明は、画像形成装置において、前述のように給紙分離性能を損なうことなく、分離ローラと給紙ベルトの接触を抑制しながら、頁順の乱れや不給紙を未然に防ぐことが可能である。
【0128】
以上説明したように、本発明によれば、給紙分離性能を損なうことなく、給紙ベルトと分離ローラを離間し、給紙ベルトとシートとの接触を抑制することが可能な給紙装置、シート搬送装置、画像読取装置、ならびに画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像読取装置の制御部の構成を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置(分離給紙部を含む)を示す側断面図(初期/待機状態)である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す給紙方向断面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す側断面図(給紙開始後)である。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す側断面図(分離時)である。
【図8】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す側断面図(1枚目の分離途中)である。
【図9】本発明の第1の実施の形態に係る給紙装置の分離ニップ部の拡大図である。
【図10】本発明の第2の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す側断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す側断面図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る給紙装置の分離ニップ部の拡大図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態に係る給紙装置の要部を示す給紙方向断面図である。
【図14】本発明の第5の実施の形態に係る画像読取装置の制御部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 原稿テーブル
3 排紙トレイ
4 ピックアップローラ
6 分離ローラ
7a 搬送駆動ローラ
7b 搬送従動ローラ
8 搬送ベルト
10 反転駆動ローラ
11 反転従動ローラ
12 排紙従動ローラ
14a 排出駆動ローラ
14b 排出従動ローラ
15 切換爪
21 給紙ベルト
22a 排紙駆動ローラ
22b 排紙従動ローラ
23 排紙カバー
24 給紙カバー
25 給紙カバー開閉支点
26 給紙ベルト駆動ローラ
27 ガイド板
29 給紙ベルト従動ローラ
31 分離ローラ軸
50、51、53 搬送経路
80 パッド
80a 接触パッド
81 スプリング
82 支持軸
83 レバー
84 ローラ
85 軸(ローラ軸)
86 アーム
91 カラー
92 カラー支持部材
93 カラー支持部材ギヤ
94 回転中心
95 連結ギヤ
96 ベルト駆動ローラギヤ
97、98 スプリング
101、103 1回転クラッチ
140 ソレノイド
141 カラー軸
142 中心軸(給紙ベルト駆動ローラ軸)
143 カラー支持部材レバー
144 戻しスプリング
S、S′、S″ 原稿
SN1 原稿セットセンサ
SN2 原稿先端センサ
SN3 レジストセンサ
SN4 反転センサ
SN5 排紙センサ

Claims (18)

  1. 給紙ベルトによってシートを給紙する給紙手段と、給紙方向と逆方向に回転し、前記給紙ベルトに当接して前記シートを1枚ずつ分離する分離ローラと、前記給紙ベルト近傍で、前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間する離間部材と、前記給紙ベルトと前記分離ローラのニップ部に搬送されたシートが給紙方向と逆方向に搬送されることを阻止する逆送阻止部材とを設けたことを特徴とする給紙装置。
  2. 前記逆送阻止部材は、前記給紙ベルトよりも給紙方向上流に配置され、前記逆送阻止部材と前記給紙ベルトの給紙方向での搬送中心は同一線上にあることを特徴とする請求項1に記載の給紙装置。
  3. 前記逆送阻止部材は、主走査方向の長さが前記給紙ベルトの主走査方向の長さ以下となるよう、板状に形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載の給紙装置。
  4. 前記逆送阻止部材は、一端が載置台上に載置されたシート上面に当接するようにシート上方に回動可能に支持され、給紙方向に向かってシート上方の支持位置からシートとの当接位置へと傾斜配置されたことを特徴とする請求項3に記載の給紙装置。
  5. 前記逆送阻止部材の一端を前記載置台に向けて付勢する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項4に記載の給紙装置。
  6. 前記付勢手段による付勢動作を解除する付勢解除手段を設けたことを特徴とする請求項5に記載の給紙装置。
  7. 前記逆送阻止部材および前記付勢解除手段は、合成樹脂で一体形成されたことを特徴とする請求項6に記載の給紙装置。
  8. 前記逆送阻止部材は、載置台上に載置されたシート上面に当接しながら、前記シートを給紙する方向にのみ回転可能な円筒回転体からなることを特徴とする請求項1または2に記載の給紙装置。
  9. 前記円筒回転体の外周面は、合成樹脂で形成されたことを特徴とする請求項8に記載の給紙装置。
  10. 前記逆送阻止部材と前記シートの間の摩擦係数が、前記シート間の摩擦係数よりも大きいことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の給紙装置。
  11. 前記逆送阻止部材は、開閉可能な給紙カバーに取り付けられており、この給紙カバーが開放されている場合は、前記給紙手段、前記分離ローラ、および前記離間部材を含む分離給紙部から退避するように構成されたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の給紙装置。
  12. 給紙ベルトによってシートを給紙する給紙手段と、給紙方向と逆方向に回転し、前記給紙ベルトに当接して前記シートを1枚ずつ分離する分離ローラと、前記給紙ベルト近傍で、前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間する離間部材とを備えた給紙装置であって、
    前記離間部材は、前記シートを給紙する方向にのみ回転可能な円筒回転体からなることを特徴とする給紙装置。
  13. 前記円筒回転体の外周面と前記シートの間の摩擦係数が、シート間の摩擦係数よりも大きく、かつ、分離ローラと前記シートの間の摩擦係数よりも小さいことを特徴とする請求項12に記載の給紙装置。
  14. 給紙ベルトによってシートを給紙する給紙手段と、給紙方向と逆方向に回転し、前記給紙ベルトに当接して前記シートを1枚ずつ分離する分離ローラと、前記給紙ベルト近傍で、前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間する離間部材とを備えた給紙装置であって、
    前記分離ローラに対する駆動伝達をオン/オフする駆動伝達手段と、前記分離ローラの回転を停止する回転停止手段と、前記離間部材が前記分離ローラと前記給紙ベルトを離間した状態で、前記駆動伝達手段が前記分離ローラに対する駆動伝達をオフするとともに、前記回転停止手段が前記分離ローラの回転を停止するように制御する制御手段とを設けたことを特徴とする給紙装置。
  15. 前記分離ローラは、シートの給送方向と逆方向のトルクを与えるためのトルクリミッタを介して駆動され、前記離間部材で前記給紙ベルトと離間した状態で、シートの重送の有無に応じて給送方向と逆方向に回転することを特徴とする請求項14に記載の給紙装置。
  16. 請求項1〜15のいずれかに記載の給紙装置を具備したことを特徴とするシート搬送装置。
  17. 請求項16に記載のシート搬送装置を具備したことを特徴とする画像読取装置。
  18. 請求項16に記載のシート搬送装置を具備したことを特徴とする画像形成装置。
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