JP3913483B2 - 液晶表示セル - Google Patents

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【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、液晶表示パネル中の可動イオン量を低減でき、このため消費電力が少なく表示品位および長期信頼性に優れた液晶表示セルに関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、ガラス基板の表面にITOなどの透明電極膜、ポリイミドなどの高分子からなる配向膜が順次積層されている一対の透明電極付基板を、それぞれの透明電極膜同士が対向するようにスペーサを介して対向させ、このスペーサによって所定の間隔に開けられた隙間に液晶を封入し、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルが知られている。このタイプの液晶表示セルは、製造工程で液晶セル内部に混入した異物やスペーサによって配向膜が傷つけられ、その結果、上下の電極間に導通が生じ、この導通に起因する表示不良が発生することがあった。
【0003】
このため、上記のような液晶表示セルでは、透明電極付基板の透明電極膜と配向膜との間に絶縁膜(透明電極保護膜、絶縁性保護被膜、平坦化膜などということがある)が形成されている(特開昭60−260021号公報、特開平1−150116号公報、特開平2−221923号公報など参照)。
ところで、上記配向膜としてはポリイミド樹脂などの疎水性の強い樹脂が多く用いられている。このような疎水性の強い樹脂からなる配向膜を絶縁膜上に形成すると、絶縁膜と配向膜との密着性が不充分となり、液晶表示セルにラビング傷による表示むらが生じことがあった。このため、本願出願人は特開平4−247427号公報において、配向膜との密着性に優れた絶縁膜を形成可能な塗布液として、特定の粒子径を有する無機化合物を含むものを提案している。
【0004】
また、透明電極と配向膜との間にこのような絶縁膜を形成すると、配向膜のラビング時に発生する静電気などによって配向膜に傷や配向不良などが生じることもあった。このため本願出願人は、特開平5−232459号公報において、導電性微粒子とマトリックスからなり、かつ表面抵抗が109〜1013Ω/□である保護膜を透明電極表面に形成することを提案している。
【0005】
このような液晶表示セルを用いた液晶表示装置として、TFT型液晶表示装置およびSTN型液晶表示装置が知られている。
TFT型液晶表示装置は、透明基板上にTFT(薄膜トランジスタ)素子、ゲート電極などのTFTアレイが設けられている。このTFTアレイによる凹凸を平坦化膜により平坦化した後、その上にITOなどの表示電極を取り付ける構成にすることにより、開口率の向上とTFTアレイの凹凸による配向乱れをなくすようにしている。さらにカラーフィルターを有する液晶表示装置においても、カラーフィルター画素の平坦化あるいは信頼性向上のために絶縁性保護被膜が設けられている。
【0006】
このような電子材料分野における平坦化被膜、絶縁性保護被膜の形成材料として、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂などの有機樹脂、SiO2、Si34などの無機系被膜、有機・無機複合系のアルキルトリヒドロキシシランの重合物などが用いられている。しかしながらこれらの被膜形成材では、耐熱性、クラックの発生、被膜の強度、該被膜上へのレジスト膜の形成性などに問題があった。このため、本願出願人は国際公開公報WO97/49775号において、無機化合物粒子と特定の有機ケイ素化合物の加水分解物を含む透明被膜形成用塗布液を提案している。
【0007】
また、STN型液晶表示装置においては、消費電力の低減を図るべく液晶材料の改良が進められている。この消費電力の低減のために液晶材料として、低い閥値電圧を示す極性の強い官能基を持つ液晶が用いられるようになってきているが、このような液晶を用いたパネルは、従来の液晶表示装置用パネルよりも液晶中の可動イオンによる表示不良を生じることがある。このため、液晶中の可動イオン(イオン性不純分)を低減することが行われているが、高度に、かつ効果的に除去することが困難であり、表示不良の課題は解決するに至っていない。さらに、このようなイオン性不純分は経時的にセル構成材料から溶出することがあり、長期信頼性に欠けることから、長期にわたってイオン性不純分濃度を低く保つことが要求されている。
【0008】
このため、本願出願人は、特開2000-169766号公報において、液晶表示セルの透明電極膜と配向膜との間にイオン吸着性無機微粒子を含む透明電極保護膜を設けることによって、液晶表示パネル中のイオン量を低減させ、液晶表示装置の表示品位や信頼性を改善できるとともに消費電力を低減できることを提案している。
【0009】
しかしながら、液晶の種類や、液晶表示装置の使用環境(温度等)によっては長期信頼性が不充分な場合があり、長期使用により表示品位が低下したり消費電力の低減効果が低減することがあった。
このような情況の下、本発明者は、上記のような従来技術に伴う問題点を解消すべく鋭意検討した結果、透明電極保護膜(イオンゲッター膜、絶縁性保護被膜、平坦化膜などということがある)、配向膜およびシール剤のうち少なくとも1つにイオン吸着性微粒子を含有させるとともに、該イオン吸着性微粒子として、(i)有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または(ii)イオン吸着性有機微粒子を使用することにより、液晶表示パネル中の可動イオン量を低減できるともに、透明電極保護膜、配向膜、シール剤中で凝集することなく、イオン吸着性微粒子が均一に単分散しているため透明電極保護膜表面、配向膜表面などが平滑であり、このため消費電力が少なく表示品位および長期信頼性に優れた液晶表示セルが得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、液晶表示パネル中の可動イオン量を低減でき、このため消費電力が少なく表示品位および長期信頼性に優れた液晶表示セルを提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る第1の液晶表示セルは、
少なくとも一方の基板の表面には透明電極膜、透明電極保護膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルにおいて、
前記透明電極保護膜、配向膜およびシール剤のうち少なくとも1つに、イオン吸着性微粒子が含まれ、かつ
該イオン吸着性微粒子が
(i)下記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または
(ii)イオン吸着性有機微粒子であることを特徴としている。
【0012】
一般式 Ra−Si(OR')4-a …(1)
(ただし、式中、Rは−Cn2n+1であり、R'は−Cn2n+1または−C24OCn2n+1であり、aは0〜3の整数であり、nは1〜4の整数である。)
本発明に係る第2の液晶表示セルは、
少なくとも一方の基板の表面にはカラーフィルター、透明電極保護膜、透明電極膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルにおいて、
前記透明電極保護膜、配向膜およびシール剤のうち少なくとも1つにイオン吸着性微粒子が含まれ、かつ、該イオン吸着性微粒子が(i)前記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または(ii)イオン吸着性有機微粒子であることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る第3の液晶表示セルは、
少なくとも一方の基板の表面にはTFTアレイ、透明電極保護膜、透明電極膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルにおいて、
前記透明電極保護膜、配向膜およびシール剤のうち少なくとも1つにイオン吸着性微粒子が含まれ、かつ該イオン吸着性微粒子が(i)前記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または(ii)イオン吸着性有機微粒子であることを特徴としている。
【0014】
前記イオン吸着性微粒子が、平均粒子径が1nm〜10μmの範囲にあり、イオン吸着容量が0.1〜6.0mmol/gの範囲にあることが好ましい。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係る液晶表示セルについて、図面を参照しながら具体的に説明する。
[液晶表示セル]
本発明に係る第1の液晶表示セルは、少なくとも一方の基板の表面には透明電極膜、透明電極保護膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルである。
【0016】
図1は、本発明に係る第1の液晶表示セルの1態様例を模式的に表す断面図である。
この液晶表示セル1は、ガラス基板11の表面に透明電極膜12、透明電極保護膜13および配向膜14が順次積層されてなる一対の透明電極付基板2が、それぞれの透明電極膜12、12同士が対向するように複数のスペーサー粒子5により所定の間隔dを開けて配置され、この所定間隔dに開けられた透明電極膜12、12間の隙間に液晶4が封入されて形成されている。
【0017】
透明電極保護膜13は、上記透明電極保護膜形成用塗布液を透明電極膜12上に塗布することにより形成された膜であり、この膜は、表面硬度が高く、透明性および耐擦傷性に優れ、絶縁抵抗が高く、透明電極保護膜13と配向膜14との密着性が良好である上に、液晶パネル中の可動イオンを効果的に低減することができる。
【0018】
なお、本発明に係る第1の液晶表示セルでは、ガラス基板11と透明電極膜12との間にさらにSiO2膜などのアルカリパッシベーション膜を形成した透明電極付基板を用いてもよいなど、様々な変形が可能である。
また、スペーサ粒子としては、国際公開公報WO99/40145号に記載された、150〜900Kgf/mm2の弾性率を有する、シリカ系スペーサ粒子を使用することが望ましい。このようなスペーサ粒子を通常面内スペーサという。
【0019】
本発明に係る第2の液晶表示セルは、少なくとも一方の基板の表面にカラーフィルター、透明電極保護膜、透明電極膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間に設けられた間隙に液晶が封入されている液晶表示セルである。
【0020】
図2は、本発明に係る第2の液晶表示セルの1態様例を模式的に表す断面図である。
この図2にその特徴的部分が示されているカラー液晶表示装置1’は、ガラス基板21a上にアルカリパッシベーション膜21b、複数の画素電極21c、透明電極保護膜21dおよび配向膜21eが順次積層された電極板21と、ガラス基板22a上にアルカリパッシベーション膜22b、カラーフィルター22c、透明電極保護膜22d、透明電極22eおよび配向膜22fが順次積層された対向電極板22を有する液晶表示セル2’と、この液晶表示セルの両側に一対の偏光板3、4とを備えている。このうち、透明電極保護膜21dおよび22dは、前記透明電極保護膜形成用塗布液を塗布して形成された膜である。
【0021】
前記液晶表示セル2の電極板21と対向電極板22とは、それぞれのガラス基板21aおよび22aを外側にして、複数の画素電極21cのそれぞれと複数のカラーフィルターR、G、Bのそれぞれとが対向するように配置されている。また、この電極21と対向電極板22との間の間隙には液晶23が封入されている。
【0022】
さらに複数の画素電極21cのそれぞれと透明電極22eとの間には不図示の回路が形成され、この回路はカラー液晶表示装置1’本体に接続されている。また、対向電極板22のアルカリパッシベーション膜22b上に形成されたカラーフィルター22cは、R(レッドフィルター)、G(グリーンフィルター)、B(ブルーフィルター)の複数のカラー要素からなり、各カラー要素が互いに隣接するように規則正しく配列され、これにより液晶表示装置1’本体から送られてくる表示信号により特定の画素電極(透明電極)21cと透明電極22eとの間に形成された回路が作動し、表示信号に対応したカラー画像が対向電極板22の外側に配置された偏光板4を通して観察できるようになっている。
【0023】
本発明に係る第3の液晶表示セルは、少なくとも一方の基板の表面にTFTアレイ、透明電極保護膜、透明電極膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間に設けられた間隙に液晶が封入されている液晶表示セルである。
【0024】
図3は、本発明に係る第3の液晶表示セルの1態様例を模式的に表す断面図である。
この液晶表示セル1”は、表面にTFTアレイ32が形成され、このTFTアレイ32表面に、透明電極保護膜33、画素電極(透明電極)34および配向膜35が順次積層された透明絶縁性基板31と、
表面にブラックマトリクス(遮蔽膜)42、カラーフィルター43、透明電極保護膜44、対向電極(透明電極)45および配向膜46が順次積層された対向基板41とが、液晶層51とを挟んで配向膜35および46が対峙するように構成されている。この配向膜35および46の間隙に液晶が封入されている。
【0025】
なお、図1のように配向膜35および46の間にはスペーサ粒子が介在していてもよい。
TFTアレイ32は、TFT(薄膜トランジスタ)素子、データ電極、補助容量などとからなるものである。
本発明で使用される液晶としては特に制限されるものではなく、強誘電液晶、ネマティック液晶、スメクティック液晶などの公知の液晶化合物を使用することができる。
【0026】
また本発明で形成される透明電極膜としては、特に制限されるものではないが、金、銀、銅、白金などの金属、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタン、錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)などの金属酸化物の導電性微粒子を含む透明電極膜が挙げられる。また、透明電極の膜厚としては0.01〜5μm、好ましくは0.05〜1μmの範囲にあることが好ましい。
【0027】
[イオン吸着性微粒子]
本発明に係る液晶表示セルでは、前記透明電極保護膜、配向膜およびシール剤のうち少なくとも1つに、イオン吸着性微粒子が含まれている。また、イオン吸着性微粒子は、前記透明電極保護膜、配向膜およびシール剤の2つ以上に含まれていてもよい。
【0028】
このようなイオン吸着性微粒子は、液晶中、配向膜中、シール剤中に存在するか、あるいはこれらから溶出する無機カチオン、無機アニオン、有機カチオン、有機アニオンを吸着しうる微粒子である。
このようなイオン吸着性微粒子は、
(i)下記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または
(ii)イオン吸着性有機微粒子である。
【0029】
イオン吸着性微粒子としては2種以上を混合してもよく、また無機微粒子と有機微粒子とを併用してもよい。
イオン吸着性無機微粒子としては、通常無機酸化物が使用され、例えばSiO2、Al23、ZrO2、TiO2、SnO2、In23、Sb25、MgO、ZnO等の金属酸化物、SiO2・Al23、SiO2・TiO2、SiO2・Sb25、In23・SnO2、Sb25・SnO2、SnO2・In23・Sb25等の複合金属酸化物あるいは固溶体、ゼオライト(結晶性アルミノシリケート)等が挙げられる。さらに、これらの2種以上の混合物も好ましく用いられる。このうち、SiO2・Al23、SiO2・TiO2などの複合酸化物はカチオンを吸着し、Al23、SnO2、ZrO2 などはカチオンとアニオンの双方を吸着することができ、また、MgO、ZnOなどはアニオンを吸着するものとして使用される。
【0030】
本発明で使用されるイオン吸着性無機微粒子は、下記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されている。
一般式 Ra−Si(OR')4-a …(1)
(ただし、式中、Rは−Cn2n+1であり、R'は−Cn2n+1または−C24OCn2n+1であり、aは0〜3の整数であり、nは1〜4の整数である。)
このような有機ケイ素化合物としては、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチル−3,3,3−トリフルオロプロピルジメトキシシラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシトリプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノール、メチルトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ビニルトリクロルシラン、トリメチルブロモシラン、ジエチルシラン等が挙げられる。
【0031】
このような有機ケイ素化合物は、部分加水分解物であってもよい。なお、部分加水分解物とは、有機ケイ素化合物の一部が加水分解・縮合されたオリゴマー状のものをいう。
このようなイオン吸着性無機微粒子の前記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物で表面処理する方法は、イオン吸着性無機微粒子に疎水性あるいは親油性を付与できればとくに制限はなく、従来公知の方法を採用することができる。
【0032】
例えば、先ず、前記イオン吸着性無機微粒子をアルコールなどの有機溶媒に分散させるか、イオン吸着性無機微粒子の水分散ゾルをアルコール等の有機溶媒で置換してイオン吸着性無機微粒子の有機溶媒分散液を調製する。
ついで、前記分散液に、前記式(1)で表される有機ケイ素化合物を添加する。このときの有機ケイ素化合物の使用量はイオン吸着性無機微粒子の粒子径によっても異なるがイオン吸着性無機微粒子1重量部に対して0.001〜0.2重量部、さらには0.005〜0.1重量部の範囲にあることが好ましい。
【0033】
有機ケイ素化合物の量がイオン吸着性無機微粒子1重量部に対して0.001重量部未満の場合は、イオン吸着性無機微粒子表面上の有機ケイ素化合物の量が少ないので表面処理効果が充分得られない。
有機ケイ素化合物の量がイオン吸着性無機微粒子1重量部に対して0.2重量部を越えると、疎水性を発現する表面処理効果がさらに向上することもなく、イオン吸着性無機微粒子が凝集することがある。
【0034】
有機ケイ素化合物を添加した後、20〜120℃、好ましくは40〜95℃の範囲で、約0.5〜24時間処理する。また、このとき、必要に応じて酸またはアルカリを添加してもよい。酸またはアルカリを添加すると、有機ケイ素化合物と微粒子表面との反応が促進されたり、有機ケイ素化合物が加水分解されて微粒子表面への付着が促進され、表面処理を効率的に行うことができる。
【0035】
このような表面処理によって、粒子表面が疎水化、親油化される機構については、明確ではないものの、下記式(2)に示されるように、表面OH基などの親水性基とアルコキシシランが脱アルコール反応して、表面が疎水性・親油性基で被覆され、その結果、粒子表面が疎水化・親油化されるものと推察される。
このような有機ケイ素化合物による表面処理は、表面改質、表面修飾ともいい、公知の技術である。
【0036】
【化1】
Figure 0003913483
【0037】
また、本発明で使用されるイオン吸着性有機微粒子としては、従来公知のイオン交換樹脂からなる微粒子を用いることができる。陽イオン交換樹脂として、ダイヤイオンSKシリーズ(三菱化学(株)製)、カルボキシメチルセルロース、SEセルロース、Pセルロース、セファデックス(以上ファルマシア社製)等が挙げられる。陰イオン交換樹脂としてダイヤイオンSAシリーズ(三菱化学(株)製)、DEAEセルロース、トリエチルアンモニウムエチルセルロース、ECTEOLAセルロース、セファデックス(以上ファルマシア社製)等が挙げられる。
【0038】
このようなイオン吸着性有機微粒子は、その自体が疎水性または親油性を有している。このため、イオン吸着性無機微粒子のような有機ケイ素化合物などによる表面処理は必ずしも必要ではない。なお、イオン吸着性有機微粒子の疎水性、親油性が不充分である場合、イオン吸着性無機微粒子のように表面処理を行ってもよい。
【0039】
以上のようなイオン吸着性微粒子は、液晶中のイオンの種類、液晶中に溶出するイオンの種類、シール剤中のイオンの種類、およびこれらの量比に応じて、適宜、混合して用いることができる。
また、本発明で使用されるイオン吸着性微粒子は、疎水性、親油性の表面を有しているため、透明電極保護膜、配向膜、シール剤中で凝集しにくく、イオン吸着性微粒子が均一に単分散しているため透明電極保護膜表面、配向膜表面などが平滑にすることができる上に、他の被膜を積層したときの接着性が高く、またシール剤中に配合した場合、高い密閉性、密着性を維持できる。
【0040】
これらのイオン吸着性微粒子で吸着可能な無機カチオンとしては、たとえば、Na+、K+、Rb+、Cs+、Li+、Ag+、Mg+、Ca2+、Sr2+、Ba2+、NH4 +などが挙げられる。無機アニオンとしては、たとえば、F-、Cl-、Br-、NO3 -、SO4 2-、PO4 2-、CO3 -、HCO3 -などが挙げられる。有機カチオンとしては、たとえば、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラプロピルアンモニウムイオンなどの4級アンモニウムイオンなどが挙げられる。有機アニオンとしては、たとえば、蟻酸イオン、酢酸イオンなどのカルボン酸イオン、石炭酸イオンなどが挙げられる。
【0041】
本発明で使用されるイオン吸着性微粒子のイオン吸着容量は0.1〜6.0mmol/g、好ましくは1〜6mmol/gの範囲にあることが好ましい。
前記イオン吸着容量が0.1mmol/gより少ないと、イオンを充分吸着することができないので、可動イオンによる表示不良を起こしたり、長期信頼性に欠けることがあり、6mmol/gを越えるイオン級着性微粒子は得ることが困難である。
【0042】
また、イオン吸着体微粒子のイオン吸着容量は以下のような方法で測定することができる。
▲1▼無機陽イオン吸着容量の測定
濃度1重量%のNaCl水溶液100gに、120℃で乾燥して恒量化した無機イオン吸着体1.5gを加え、室温(25℃)で15時間撹拌した後、濾過して濾液を採取し、濾液中のNaイオン濃度を原子吸光法により分析し、元のNaCl水溶液のNaイオン濃度との濃度差から、無機イオン吸着体のNaイオン吸着量(mmol/g)を求める。
【0043】
▲2▼無機陰イオン吸着容量の測定
濃度1重量%のNaCl水溶液100gに、120℃で乾燥して恒量化したイオン吸着性微粒子1.5gを加え、室温(25℃)で15時間撹拌した後、濾過して濾液を採取し、濾液中のClイオン濃度を原子吸光法により分析し、元のNaCl水溶液のClイオン濃度との濃度差から、イオン吸着性微粒子のClイオン吸着量(mmol/g)を求める。
【0044】
▲3▼有機陽イオン吸着容量の測定
濃度1重量%のテトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液100gに、120℃で乾燥して恒量化したイオン吸着性微粒子1.5gを加え、室温(25℃)で15時間撹拌した後、濾過して濾液を採取し、濾液中のテトラメチルアンモニウムイオン濃度をイオンクロマト法により分析し、元の水溶液との濃度差から、イオン吸着性微粒子の有機陽イオン吸着量(mmol/g)を求める。
【0045】
▲4▼有機陰イオン吸着容量の測定
濃度1重量%の酢酸水溶液100gに、120℃で乾燥して恒量化したイオン吸着性微粒子1.5gを加え、室温(25℃)で15時間撹拌した後、濾過して濾液を採取し、濾液中の酢酸イオン濃度をイオンクロマト法により分析し、元の水溶液との濃度差から、イオン吸着性微粒子の有機陰イオン吸着量(mmol/g)を求める。
【0046】
また本発明で使用されるイオン吸着性微粒子の平均粒子径は、配合される被膜の厚さに応じて適宜選択されるが、通常、1nm〜10μm、好ましくは10nm〜5μmの範囲にあることが望ましい。
イオン吸着性微粒子の平均粒子径が小さくなるとイオン吸着容量は高くなり、イオン吸着速度は早くなる傾向があるが、平均粒径を1nm未満にしても、さらにイオン吸着容量が高くなることもイオン吸着速度が早くなることもない。また、平均粒径が1nm未満の場合は、透明電極保護膜に配合した場合、透明電極保護膜とポリイミド樹脂などの疎水性の強い配向膜との密着性が不充分となることがある。また、平均粒子径が10μmを超えるとイオン吸着容量およびイオン吸着速度が低下するとともにイオン吸着性微粒子を配合した被膜の透明性が低下することがある。
【0047】
特に、イオン吸着性微粒子が前記第1の液晶表示セルの透明電極保護膜(透明イオンゲッター膜)に用いられる場合、平均粒子径が1〜50nm、好ましくは10〜40nmのイオン吸着性微粒子が配合されていると電極膜と配向膜の間に形成された透明電極保護膜は、透明電極保護膜表面が1〜10nmの均一な表面荒さを有するので疎水性の配向膜との密着性に優れている。
【0048】
このような無機イオン吸着体微粒子の粒子径はレーザードップラー法またはTEM観察によって求めることができる。
以下、このようなイオン吸着性微粒子が含まれた透明電極保護膜、配向膜、シール剤について説明する。
透明電極保護膜
透明電極保護膜は、上記したイオン吸着性微粒子とマトリックスとからなる。なおマトリックスとは、イオン吸着性微粒子を保護膜中で分散させるための母材、素地材料であり、バインダー、ビヒクルと同じ意味である。
【0049】
透明電極保護膜は、その機能によっては、イオンゲッター膜、平坦化膜ということもある。
このように透明電極保護膜中に上記したイオン吸着性微粒子が含まれていると、イオン吸着性微粒子が液晶表示パネルの液晶中の可動イオンを吸着することによって液晶パネル中の可動イオン量を低減することができ、このため表示不良を起こすことがなく、また、経時的にセル構成材料から溶出するイオン性不純分を吸着することができるので長期にわたってイオン性不純分の濃度を低く保つことが可能となり、その結果長期信頼性に優れている。
【0050】
透明電極保護膜を構成するマトリックスとしては、公知の無機酸化物、樹脂などが使用され、特に透明性を有するものが望ましい。
このようなマトリックスとしては、ポリシロキサン、ポリラザン、金属アルコキシドの加水分解物、アセチルアセトナトキレート化合物の加水分解物などの透明性を有する金属酸化物が使用される。
【0051】
保護膜中のイオン吸着性微粒子の量は、マトリックス重量の1〜90重量%、好ましくは5〜70重量%の範囲にあることが望ましい。
透明電極保護膜の細孔容積は、0.01〜0.3ml/g、好ましくは0.05〜0.2ml/gの範囲にあることが好ましい。また、透明電極保護膜の平均細孔径は、1〜20nm、好ましくは2〜8nmの範囲にあることが好ましい。
【0052】
また透明電極保護膜の膜厚は、特に制限されるものではなく、5〜500nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあることが望ましい。
このような透明電極保護膜は、ガラス、プラスチックなどの基材表面に形成された透明電極の表面に、透明電極保護膜形成用塗布液をディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷などの方法で塗布し、次いでこのようにして基材表面に形成された被膜を常温〜80℃で乾燥し、必要に応じてさらに120℃以上、場合によっては300℃以上に加熱して硬化するなどの方法によりにより形成される。
【0053】
透明電極保護膜用塗布液としては、(A)マトリックス形成成分(マトリックス前駆体)および(B)イオン吸着性無機微粒子が、水と有機溶媒とからなる混合溶媒に分散されている塗布液が使用される。
(A)マトリックス形成成分は、(a)アセチルアセトナトキレート化合物、(b)有機ケイ素化合物、(c)ポリシラザンおよび(d)金属アルコキシドから選ばれる1種または2種以上の混合物からなることが好ましい。なお、このようなマトリックス形成成分は、マトリックスの前駆体である。
【0054】
本発明に用いられるアセチルアセトナトキレート化合物はアセチルアセトンを配位子とするキレート化合物で、下記化学式(3)で表される化合物またはその縮合体である。
【0055】
【化2】
Figure 0003913483
【0056】
〔ただし、式中、a+bは2〜4であり、aは0〜3であり、bは1〜4であり、Rは−Cn2n+1(n=3または4)であり、Xは−CH3、−OCH3、−C25 または−OC25 である。M1は周期率表第IB族、第IIA、B族、第IIIA、B族、第IVA、B族、第VA、B族、第VIA族、第VII A族、第VIII族から選ばれる元素またはバナジル(VO)である。この内、これらの元素などとa、bの好ましい組み合わせは、次表の通りである。〕
【0057】
【表1】
Figure 0003913483
【0058】
このような化合物の具体例としては、たとえばジブトキシ−ビスアセチルアセトナトジルコニウム、トリブトキシ−モノアセチルアセトナトジルコニウム、ビスアセチルアセトナト鉛、トリスアセチルアセトナト鉄、ジブトキシ−ビスアセチルアセトナトハフニウム、モノアセチルアセトナト−トリブトキシハフニウムなどが挙げられる。
【0059】
(b)本発明に用いられる有機ケイ素化合物としては、
一般式 Ra−Si(OR')4-a …(4)
(ただし、式中、Rは−Cn2n+1またはC65であり、R'は−Cn2n+1または−C24OCn2n+1であり、aは0〜3の整数であり、nは1〜4の整数である。)で示される有機ケイ素化合物が用いられる。
【0060】
このような有機ケイ素化合物としては、具体的には、たとえばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、モノメチルトリメトキシシラン、モノエチルトリエトキシシラン、モノエチルトリメトキシシラン、モノメチルトリエトキシシランなどが好ましく用いられる。
これらの(b)有機ケイ素化合物は、そのままの状態でも、あるいは部分加水分解して用いてもよい。このような部分加水分解は、従来から行われている通常の方法、たとえばメタノールまたはエタノールなどのアルコールに有機ケイ素化合物を混合し、水と酸とを加えて部分加水分解する方法に従って得ることができる。
【0061】
マトリックス形成成分として使用される金属アルコキシド(c)としては、M2(OR)n (式中、M2は金属原子であり、Rはアルキル基または−Cm2m2(m=3〜10)であり、nはM2の原子価と同じ整数である。)で表される化合物またはそれらの縮合体が好ましく、これらの化合物またはその縮合体から選ばれる1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記式中のM2は、金属であれば特に限定されることはないが、好ましいM2は、Be、Al、Sc、Ti、V、Cr、Fe、Ni,Zn、Ga、Ge、As、Se、Y、Zr、Nb、In、Sn、Sb、Te、Hf、Ta、W、Pb、Bi、CeまたはCuである。
【0062】
このような金属アルコキシドとしては、具体的には、テトラブトキシジルコニウム、ジイソプロポキシ−ジオクチルオキシチタニウム、ジエトキシ鉛などが好ましく用いられる。
(d)マトリックス形成成分として用いられるポリシラザンは、下記式(5)で表される繰り返し単位を有するものである。
【0063】
【化3】
Figure 0003913483
【0064】
〔ただし、式中、R1、R2およびR3は、それぞれ水素原子または炭素原子数1〜8のアルキル基である。〕
マトリクス形成成分として、前記式(5)で表されるポリシラザンを用いる場合、アルキル基がメチル基、エチル基、またはプロピル基であるポリシラザンが好ましい。このような上記式(5)で表される繰り返し単位を有するポリシラザンは、直鎖状であっても、環状であってもよく、直鎖状のポリシラザンと環状のポリシラザンとが混合して含まれていてもよい。さらに、このようなポリシラザンの数平均分子量は、500〜10,000、好ましくは1,000〜4,000の範囲にあることが望ましい。数平均分子量が500未満では、加熱硬化時に低分子量のポリシラザンが揮発し、得られた透明電極保護膜が多孔質になりやすく、また、分子量が10,000を越えると、塗布液の流動性が低下する傾向がある。
【0065】
これらのマトリックス形成成分は、単独で使用しても、あるいは2種以上混合して使用してもよい。
塗布液中に含まれるイオン吸着性微粒子は、固形分として、形成した透明電極保護膜中に1〜90重量%、さらに好ましくは5〜70重量%の範囲となるような量で存在していることが望ましい。イオン吸着性微粒子がこのような量で存在していると、この塗布液から得られた透明電極保護膜の表面に、配向膜として、ポリイミド樹脂などの疎水性の強い樹脂からなる別の被膜が密着性よく形成できるとともに、液晶パネル中のイオンを効果的に低減できる透明電極保護膜が形成できる。イオン吸着性微粒子が90重量%を越えると、この塗布液から形成される透明電極保護膜と下部基板、TFTアレイあるいはカラーフィルターとの密着性が低下する傾向が生じる。
【0066】
さらに、必要に応じてこれらのイオン吸着性微粒子以外の絶縁性または導電性の無機化合物微粒子が透明電極保護膜に含まれていてもよい。この場合も、塗布液には、イオン吸着性微粒子とイオン吸着性微粒子以外の微粒子は、形成したイオンゲッター膜中に酸化物、窒化物の合計として1〜90重量%、さらには5〜70重量%の範囲となるような量で存在していることが好ましい。
【0067】
上記塗布液中の固形分濃度は、イオン吸着性微粒子とマトリックス形成成分(前駆体)を酸化物、窒化物に換算した合計値で、15重量%以下であることが好ましい。この値が15重量%を越えると、塗布液の保存性が低下する傾向が生じ、一方、この固形分濃度が極端に低いと、目的の膜厚を得るのに多数回の塗布操作を繰り返すことが必要となるので、固形分濃度は0.1重量%以上が実用的である。
【0068】
このような塗布液には、水と有機溶媒との混合溶媒あるいは有機溶媒単独で用いられる。有機溶媒としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類などから選ばれる通常の有機溶媒が用いられる。これらの有機溶媒は単独でもしくは2種以上を混合して用いてもよい。
本発明に用いる透明被膜形成用塗布液中の水分濃度は、0.1〜50重量%の範囲であることが好ましい。水分濃度が0.1重量%未満であると、アセチルアセトナトキレート化合物、有機ケイ素化合物、ポリシラザンおよび金属アルコキシドの加水分解(および縮重合、複合化)が充分になされず、得られる被膜の耐擦傷性、耐久性が低下する傾向が生じる、また、水分濃度が50重量%を越えると、塗布液を塗布しても、塗布した被膜が透明電極膜、カラーフィルター、基材などからはじかれやすく、密着性に優れた被膜を形成することが困難である。
【0069】
また、アセチルアセトナトキレート化合物の金属種またはイオン吸着性微粒子の種類、およびこれらの混合割合によって、得られる被膜の屈折率および誘電率が自由にコントロールされる。有機ケイ素化合物、ポリシラザン、金属アルコキシドを添加して含む塗布液によって形成した被膜は、これらの化合物の種類と添加量によって、より一層自由に被膜の屈折率および誘電率がコントロールされる。たとえば、透明電極保護膜表面に配向膜を形成する場合、形成される配向膜の屈折率(1.6〜1.8)より透明電極保護膜の屈折率を高くすれば電極などが透けて見えるのを防止することができる。
【0070】
さらに塗布液を使用して形成された被膜は、次のような硬化促進処理が施されていてもよい。
硬化促進処理として具体的には、上記塗布工程または乾燥工程の後に、あるいは乾燥工程中に、未硬化段階の被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの電磁波を照射したり、未硬化段階の被膜を硬化反応を促進するアンモニア、オゾンなどのガス雰囲気中に晒したりする処理が挙げられる。
【0071】
上述したような硬化促進処理を行うと、透明電極保護膜中に含まれるアセチルアセトナトキレート化合物、有機ケイ素化合物、ポリシラザン、金属アルコキシドなどの(A)マトリックス形成成分の縮重合、複合化が促進されると同時に、膜中に残存する水および溶媒の蒸発も促進される。このため、次の加熱工程において必要とされる加熱温度、加熱時間などの加熱硬化条件が緩和され、電極保護膜の形成を効率よく進めることができる。
【0072】
配向膜
本発明の液晶表示セルに用いる配向膜は、配向膜用樹脂と前記イオン吸着性微粒子とからなっている。
このように配向膜中に上記したイオン吸着性微粒子が含まれていると、イオン吸着性微粒子が液晶表示パネルの液晶中の可動イオンを吸着することによって液晶パネル中の可動イオン量を低減することができ、このため表示不良を起こすことがなく、また、経時的にセル構成材料から溶出するイオン性不純分を吸着することができるので長期にわたってイオン性不純分の濃度を低く保つことが可能となり、その結果長期信頼性に優れている。
【0073】
配向膜用樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルシンナメート樹脂などの従来公知の配向膜用樹脂を用いることができる。
配向膜中のイオン吸着性微粒子の含有量は1〜90重量%、さらには5〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
【0074】
配向膜中のイオン吸着性微粒子の含有量が1重量%未満の場合は、液晶パネル中のイオンを効果的に低減できないことがあり、配向膜中のイオン吸着性微粒子の含有量が90重量%を越えると、配向膜の強度が低下したり、液晶配向規制力が低下して表示性能が低下することがある。
このような配向膜の形成は、配向膜形成用樹脂塗料をフレキソ印刷法、ディッピング法、スピンコート法、スプレー法、ロールコーター法等により塗布し、乾燥し、ついで加熱処理する従来公知の方法によって形成することができる。
【0075】
たとえば、配向膜形成用樹脂塗料としては、ポリイミド樹脂を使用する場合、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミック酸等を、必要に応じて溶剤で溶解して用いることができる。溶剤としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム、N-メチルプロピオンアミド、N-ジメチルアセトアミド、N-ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。塗料中のポリイミド樹脂の前駆体とイオン吸着性微粒子との合計量は、塗布法や樹脂の種類によっても異なるものの、概ね1〜50重量%の範囲であることが望ましい。塗料中のポリイミド樹脂の前駆体とイオン吸着性微粒子との合計固形分濃度が1重量%未満の場合は、得られる配向膜の膜厚が薄くなることがあり、50重量%を越えるとイオン吸着性微粒子の分散性が低下することがあり、得られる配向膜の強度が低下したり、配向膜表面の平滑性が損なわれ、液晶配向規制力が低下して表示性能が低下することがある。
【0076】
また、ポリイミド以外のポリアミド樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルシンナメート樹脂などを使用する場合も同様に、樹脂成分を前記した溶剤あるいは樹脂が変性することなく溶解しうる溶剤に溶解して塗料を調製すればよい。
このような塗料を、上記方法により、透明電極保護膜あるいは透明電極膜上に塗布し、ついで乾燥し、加熱処理することで、配向膜を形成できる。乾燥条件としては、前記した溶剤が蒸発できればよく、通常50〜150℃の範囲である。また、加熱処理温度は樹脂の脱水・閉環反応が充分起きればとくに制限はなく、樹脂の種類によっても異なるが、通常150〜300℃の範囲である。
【0077】
シール剤
本発明の液晶表示セルに用いるシール剤は、シール用樹脂と前記イオン吸着性微粒子とからなる。
このようにシール剤中に上記したイオン吸着性微粒子が含まれていると、イオン吸着性微粒子がシール剤中のイオン性不純分を吸着するので液晶パネルに溶出することがなく、また液晶表示パネルの液晶中の可動イオンを吸着することができるので液晶パネル中の可動イオン量を低減することができ、このため表示不良を起こすことがなく、また、経時的にセル構成材料から溶出するイオン性不純分を吸着することができるので長期にわたってイオン性不純分の濃度を低く保つことが可能となり、その結果長期信頼性に優れている。
【0078】
シール用樹脂としては、たとえばエポキシアクリレートなどのエポキシ樹脂、ポリエーテル変性ウレタンアクリレート樹脂、ポリエステル変性ウレタンアクリレート樹脂等の樹脂が用いられる。
シール剤中のイオン吸着性微粒子の含有量は1〜90重量%、さらには5〜70重量%の範囲にあることが好ましい。
【0079】
シール剤中のイオン吸着性微粒子の含有量が1重量%未満の場合は、液晶パネル中のイオンを効果的に低減できないことがあり、シール剤中のイオン吸着性微粒子の含有量が90重量%を越えると、シール剤の絶縁性や液晶パネル密閉性が低下することがある。
このようなシール剤には、液晶セルの電極間距離およびセルギャップ、すなわち液晶セルの電極間に形成された液晶層の厚さを均一に保持するためにスペーサ(このようなスペーサを『シール用スペーサ』という)として真球状のシリカ粒子、ポリオルガノシロキサン粒子を配合されていてもよい。このようなシール用スペーサとしては、本願出願人が特開2000−204168号公報に開示したポリオルガノシロキサン粒子はイオン吸着性微粒子と同様、シール用樹脂に均一に分散させることができるので好ましい。
【0080】
液晶表示セルをこのようなシール剤でシールする際には、シール用樹脂(硬化前のもの)と、前記イオン吸着性微粒子と、必要に応じてシール用スペーサと、溶媒とからなるシール剤用インキ組成物が使用される。溶媒としては、シール用樹脂が溶解しうるものであれば特に制限はないものの、たとえばメチルカルビトール、ジエチレングリコールモノメチルエーテルなどが使用される。
【0081】
液晶表示セルをシール剤用インキ組成物でシールする際には、まず、ガラス基板上に透明電極、配向膜が形成された一方の透明電極付基板の配向膜の周縁部に、インキ組成物をスクリーン印刷機で印刷する。ついでインキ組成物が印刷されてない部分に、必要に応じて常法によりスペーサ(この場合、通常面内用スペーサという)分散液を散布し、乾燥した後、ガラス基板上に透明電極、配向膜が形成された別の透明電極付基板とを貼り合わせ、適度な加圧下(3Kg/cm2程度)、約100〜200℃の温度範囲で加熱して樹脂を硬化させ透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルを得ることができる。
【0082】
なお、本発明では、透明電極保護膜、配向膜およびシール剤の全てに、イオン吸着性微粒子が含まれている必要はなく、たとえば、透明電極保護膜、配向膜およびシール剤のいずれか1つに含まれていればよい。イオン吸着性微粒子が含まれていない透明電極保護膜、配向膜およびシール剤は、単に透明電極保護用塗布液、配向膜形成用塗料、シール剤用インキ組成物中にイオン吸着性微粒子を配合していないものを使用すれば、形成することができる。
【0083】
以上のように、本発明では、透明電極保護膜、配向膜、シール剤の少なくと1つに、特定のイオン吸着性微粒子を含有されているので、液晶表示パネル中の可動イオン量を低減できるともに、該イオン吸着性微粒子が透明電極保護膜、配向膜、シール剤中で凝集することなく、イオン吸着性微粒子が均一に単分散しているため透明電極保護膜表面、配向膜表面などが平滑であり、このため消費電力が少なく表示品位および長期信頼性に優れた液晶表示セルが得られる。
【0084】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明に係る液晶表示セルは、透明電極保護膜、配向膜およびシール剤のうち少なくとも1つに表面処理したイオン吸着性微粒子が含まれており、透明電極保護膜、配向膜、シール剤中で均一に単分散しているために液晶表示パネル中の可動イオン量を低減できる。このため本発明に係る液晶表示セルは、消費電力が少なく表示品位および長期信頼性に優れている。また、凹凸を有する基板、例えばTFTアレイ付基板あるいはカラーフィルター付基板上に形成された透明電極保護膜の表面は平坦化されており、このため液晶層と接触する配向膜表面も平坦化されているので、表面形状に起因する液晶の表示乱れの抑制、表示ドメインの発生防止、パネル表示時の光抜けの低減およびコントラストの向上など優れた特性を有している。
【0085】
【実施例】
以下本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0086】
【調製例】
[表面処理イオン吸着性微粒子の調製]
表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてシリカ・アルミナ水分散ゾル(SiO2/Al2O3重量比=285.7、平均粒径12nm、固形分濃度20重量%)500gを使用し、限外ろ過装置で水をメタノールで溶媒置換し、固形分濃度30重量%のメタノール分散ゾルを得た。
【0087】
このゾル300gとエタノール2700gを混合した後、この混合液にγ-グリシドプロピルトリメトキシシラン8.4gを添加し、1時間攪拌して、シリカ・アルミナ粒子の表面がγ-グリシドプロピルトリメトキシシランで修飾されたゾルを得た。
次に得られたゾルにエチレングリコール196gを添加したのち、60℃で1時間過熱した。その後ロータリーエバポレーターにより減圧下で脱エタノールし、エチレグリコールを分散媒とする固形分濃度30重量%の表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼の分散液を得た。
【0088】
表面処理イオン吸着性微粒子▲2▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてシリカ・アルミナ水分散ゾルの代わりにシリカ・ジルコニア水分散ゾル(SiO2/ZrO2 重量比=3、平均粒径30nm、固形分濃度20重量%)を用いた以外は表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼と同様にして固形分濃度30重量%の表面処理イオン吸着性微粒子▲2▼の分散液を得た。
【0089】
表面処理イオン吸着性微粒子▲3▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてシリカ・アルミナ水分散ゾルの代わりにシリカ・酸化アンチモン水分散ゾル(SiO2/Sb2O5重量比=5.7、平均粒径15nm、固形分濃度20重量%)を用いた以外は表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼と同様にして固形分濃度30重量%の表面処理イオン吸着性微粒子▲3▼の分散液を得た。
【0090】
表面処理イオン吸着性微粒子▲4▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてシリカ・アルミナ水分散ゾルの代わりにマグネシア微粒子水分散液(平均粒径45nm、固形分濃度20重量%)を用いた以外は表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼と同様にして固形分濃度30重量%の表面処理イオン吸着性微粒子▲4▼の分散液を得た。
【0091】
表面処理イオン吸着性微粒子▲5▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてシリカ・アルミナ水分散ゾルの代わりに五酸化アンチモン微粒子水分散液(平均粒径20nm、固形分濃度20重量%)を用い、γ-グリシドプロピルトリメトキシシランの代わりにビニルトリメトキシシラン5gを用いた以外は表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼と同様にして固形分濃度30重量%の表面処理イオン吸着性微粒子▲5▼の分散液を得た。
【0092】
イオン吸着性微粒子▲6▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてイオン吸着性樹脂微粒子(三菱化学(株)製陽イオン交換性樹脂:SK-1B)をエチレングリコールに分散させ、固形分濃度30重量%イオン吸着性微粒子▲6▼の分散液を得た。
イオン吸着性微粒子▲7▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子としてイオン吸着性樹脂微粒子(三菱化学(株)製イオン交換性樹脂:SA-12A)をエチレングリコールに分散させ、固形分濃度30重量%イオン吸着性微粒子▲7▼の分散液を得た。
【0093】
イオン吸着性微粒子▲8▼の分散液の調製
イオン吸着性微粒子として五酸化アンチモン微粒子水分散液(平均粒径20nm、固形分濃度20重量%)を用い、これをロータリーエバポレーターにてエチレングリコールにて溶媒置換し、固形分濃度30重量%イオン吸着性微粒子▲8▼の分散液を得た。
【0094】
表2に、実施例および比較例で使用されるイオン吸着性微粒子▲1▼〜▲8▼のイオン吸着容量について示す。
【0095】
【表2】
Figure 0003913483
【0096】
[透明電極保護膜形成用塗布液の調製]
透明電極保護膜形成用塗布液(A)の調製(イオン吸着性微粒子を含まない)
マトリックス形成成分としてエチルシリケート28(多摩化学工業社製:SiO2濃度:28.8重量%)14.6gを、純水5gおよびエチルアルコール62.3gとの混合溶媒に添加し、これに濃度61%の硝酸0.1gを加えてエチルシリケートの部分加水分解物分散液を調製した。
【0097】
この分散液に両イオン交換樹脂(ダイヤイオン)5gを添加し、16時間室温で攪拌した後、イオン交換樹脂を濾別してイオン除去したエチルシリケートの部分加水分解物分散液とした。
この分散液に、ヘキシレングリコール18gを加えて24時間攪拌し、ついで、ヘキシレングリコール70g加えた後、減圧蒸留を行い固形分濃度6.0重量%の塗布液(A)を調製した。
【0098】
透明電極保護膜形成用塗布液(B)の調製
マトリックス形成成分としてエチルシリケート28(多摩化学工業社製:SiO2濃度:28.8重量%)14.6gを、純水5gおよびエチルアルコール62.3gとの混合溶媒に添加し、これに濃度61%の硝酸0.1gを加えてエチルシリケートの部分加水分解物分散液を調製した。
【0099】
この分散液に両イオン交換樹脂(ダイヤイオン)5gを添加し、16時間室温で攪拌した後、イオン交換樹脂を濾別してイオン除去したエチルシリケートの部分加水分解物分散液とした。
この分散液に、前記表面処理イオン吸着性微粒子▲4▼の分散液をヘキシレングリコールに均一に分散させた固形分濃度10重量%のイオン吸着性微粒子ゾル18gを加えて24時間攪拌し、ついで、ヘキシレングリコール70g加えた後、減圧蒸留を行い固形分濃度6.0重量%の塗布液(B)を調製した。
【0100】
透明電極保護膜形成用塗布液(C)の調製
マトリックス形成成分としてエチルシリケート28(多摩化学工業社製:SiO2濃度:28.8重量%)14.6gを、純水5gおよびエチルアルコール62.3gとの混合溶媒に添加し、これに濃度61%の硝酸0.1gを加えてエチルシリケートの部分加水分解物分散液を調製した。
【0101】
この分散液に両イオン交換樹脂(ダイヤイオン)5gを添加し、16時間室温で攪拌した後、イオン交換樹脂を濾別してイオン除去したエチルシリケートの部分加水分解物分散液とした。
この分散液に、前記表面処理イオン吸着性微粒子▲5▼をヘキシレングリコールに均一分散させた固形分濃度10重量%のイオン吸着性微粒子ゾル18gを加えて24時間攪拌し、ついで、ヘキシレングリコール70g加えた後、減圧蒸留を行い固形分濃度6.0重量%の塗布液(C)を調製した。
【0102】
透明電極保護膜形成用塗布液(D)の調製
マトリックス形成成分としてエチルシリケート28(多摩化学工業社製:SiO2濃度:28.8重量%)14.6gを、純水5gおよびエチルアルコール62.3gとの混合溶媒に添加し、これに濃度61%の硝酸0.1gを加えてエチルシリケートの部分加水分解物分散液を調製した。
【0103】
この分散液に両イオン交換樹脂(ダイヤイオン)5gを添加し、16時間室温で攪拌した後、イオン交換樹脂を濾別してイオン除去したエチルシリケートの部分加水分解物分散液とした。
この分散液に、前記表面処理イオン吸着性微粒子▲8▼をヘキシレングリコールに均一分散させた固形分濃度10重量%のイオン吸着性微粒子ゾル18gを加えて24時間攪拌し、ついで、ヘキシレングリコール70g加えた後、減圧蒸留を行い固形分濃度6.0重量%の塗布液(D)を調製した。
【0104】
[配向膜形成用塗料の調製]
配向膜形成用塗料▲1▼の調製
ポリイミド膜形成用塗料(日産化学(株)製:サンエバー)100gに、表面処理イオン吸着性粒子▲1▼の分散液をN-メチル-2-ピロリドンで固形分濃度が6重量%となるように希釈した分散液30gを添加し、均一になるまで混合して配向膜形成用塗料▲1▼を調製した。
【0105】
配向膜形成用塗料▲2▼の調製
ポリイミド膜形成用塗料(日産化学(株)製:サンエバー)100gに、表面処理イオン吸着性微粒子▲5▼の分散液をN-メチル-2-ピロリドンで固形分濃度が6重量%となるように希釈した分散液30gを添加し、均一になるまで混合して配向膜形成用塗料▲2▼を調製した。
【0106】
配向膜形成用塗料▲3▼の調製
ポリイミド膜形成用塗料(日産化学(株)製:サンエバー)100gに、イオン吸着性微粒子▲8▼の分散液をN-メチル-2-ピロリドンで固形分濃度が6重量%となるように希釈した分散液30gを添加し、充分混合して配向膜形成用塗料▲3▼を調製した。この塗布液には凝集粒子が認められた。
【0107】
[シール剤の調製]
シール剤▲1▼の調製
シール用接着剤(三井化学(株)製:ストラクトボンドXN-5A-C)100gに表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼の分散液20gを添加して均一になるまで攪拌した。ついで、これに平均粒子径6.0μmのスペーサ材シリカ粒子を2.4g添加し、均一になるまで攪拌してシール剤▲1▼を調製した。
【0108】
シール剤▲2▼の調製
表面処理イオン吸着性微粒子▲2▼の分散液を用いた以外はシール剤▲1▼と同様にしてシール剤▲2▼を調製した。
シール剤▲3▼の調製
表面処理イオン吸着性微粒子▲3▼の分散液を用いた以外はシール剤▲1▼と同様にしてシール剤▲3▼を調製した。
【0109】
シール剤▲4▼の調製
表面処理イオン吸着性微粒子▲5▼の分散液を用いた以外はシール剤▲1▼と同様にしてシール剤▲4▼を調製した。
シール剤▲5▼の調製
表面処理イオン吸着性微粒子▲1▼の分散液20gの代わりにイオン吸着性微粒子▲6▼の分散液10gとイオン吸着性微粒子▲7▼の分散液10gとを用いた以外はシール剤▲1▼と同様にしてシール剤▲5▼を調製した。
【0110】
シール剤▲6▼の調製
シール用接着剤(三井化学(株)製:ストラクトボンドXN-5A-C)100gにイオン吸着性微粒子▲8▼の分散液20gを添加して攪拌した。しかしながら、一部凝集した粒子が存在していたのでこれを除去し、ついで、これに平均粒子径6.0μmのスペーサ材シリカ粒子を2.4g添加し、充分攪拌してシール剤▲6▼を調製した。
【0111】
シール剤▲7▼の調製
シール用接着剤(三井化学(株)製:ストラクトボンドXN-5A-C)100gに平均粒子径6.0μmのスペーサ材シリカ粒子を2.4g添加し、均一になるまで攪拌してシール剤▲7▼を調製した。
【0112】
【実施例1】
液晶表示セルの作成
パターニングされたITO表示電極つきガラス基板(旭硝子(株)製:30Ω/□以下品)上にフレキソ印刷にて透明電極保護膜形成用塗布液(A)を塗布し、得られた塗膜を90℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで積算光量6,000mJ/cm2(365nm用センサにて測定)の条件で紫外線を照射し、次いで300℃で30分間焼成を行ない透明電極保護膜(B)を形成した。得られた透明電極保護膜(A)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ70nmであった。
【0113】
次に、透明電極保護膜(A)上にポリイミド膜形成用塗料(PIと略すこともある、日産化学(株)製:サンエバー)をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ60nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(A)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付基板を得た。得られた一対の透明電極付基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲1▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(A)を作成した。
【0114】
可動イオン量の測定
得られた液晶表示セル(A)中の可動イオン量をイオン密度測定機(東陽テクニカ社製:MTR-1)を用いて、印加電圧10V、三角波周波数0.1Hzの条件で測定した。その結果、液晶中の可動イオンによるピークが検出され、可動イオン量は1.2nC/cm2であった。
【0115】
液晶表示セルの表示ムラの観察
また、上記方法にて10枚の液晶表示セル(A)を作製し、液晶表示セルの点灯表示テストを実施し、この時の表示ムラの有無について目視観察を行なった。このとき、表示ムラの発生しなかったパネルの枚数を調べた。結果を表3に示す。
【0116】
コントラストの評価
上記表示ムラの観察時に、コントラストについても観察し、以下の基準で評価した。
コントラストが高い:○
コントラストが低い:×
長期信頼性の評価
上記方法にて作成した10枚の液晶表示セル(A)を、高温高湿の環境(相対湿度95%、温度80℃)に500時間曝したのち、液晶表示セルの点灯表示テストを実施し、表示ムラの有無について目視観察を行った。このとき、表示ムラの発生しなかったパネルの枚数を調べた。
【0117】
結果を表3に示す。
【0118】
【実施例2】
液晶表示セルの作成
実施例1と同様にして透明電極保護膜(B)を形成した。得られた透明電極保護膜(B)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ70nmであった。
次に、透明電極保護膜(B)上に、配向膜形成用塗料▲1▼をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ56nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
【0119】
このようにして、ガラス基板上に透明電極、透明電極保護膜(B)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲1▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(B)を作成した。
【0120】
得られた液晶表示セル(B)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。
結果を表3に示す。
【0121】
【実施例3】
液晶表示セルの作成
パターニングされたITO表示電極つきガラス基板(旭硝子(株)製:30Ω/□以下品)上にフレキソ印刷にて透明電極保護膜形成用塗布液(B)を塗布し、得られた塗膜を90℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで積算光量6,000mJ/cm2(365nm用センサにて測定)の条件で紫外線を照射し、次いで300℃で30分間焼成を行ない透明電極保護膜(C)を形成した。得られた透明電極保護膜(C)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ75nmであった。
【0122】
次に、透明電極保護膜(C)上に、配向膜形成用塗料▲1▼をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ56nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(C)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲1▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(C)を作成した。
【0123】
得られた液晶表示セル(C)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0124】
【実施例4】
液晶表示セルの作成
シール剤▲2▼を用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示セル(D)を作成した。
得られた液晶表示セル(D)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0125】
【実施例5】
液晶表示セルの作成
シール剤▲3▼を用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示セル(E)を作成した。
得られた液晶表示セル(E)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0126】
【実施例6】
液晶表示セルの作成
パターニングされたITO表示電極つきガラス基板(旭硝子(株)製:30Ω/□以下品)上にフレキソ印刷にて透明電極保護膜形成用塗布液(B)を塗布し、得られた塗膜を90℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで積算光量6,000mJ/cm2(365nm用センサにて測定)の条件で紫外線を照射し、次いで300℃で30分間焼成を行ない透明電極保護膜(F)を形成した。得られた透明電極保護膜(F)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ75nmであった。
【0127】
次に、透明電極保護膜(F)上に、ポリイミド膜形成用塗料をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ60nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(F)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲3▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(F)を作成した。
【0128】
得られた液晶表示セル(F)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0129】
【実施例7】
液晶表示セルの作成
実施例1と同様にして透明電極保護膜(G)を形成した。得られた透明電極保護膜(G)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ70nmであった。
次に、透明電極保護膜(G)上に、配向膜形成用塗料▲1▼をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ56nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
【0130】
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(G)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲3▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(G)を作成した。
【0131】
得られた液晶表示セル(G)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0132】
【実施例8】
液晶表示セルの作成
シール剤▲3▼を用いた以外は実施例3と同様にして液晶表示セル(H)を作成した。
得られた液晶表示セル(H)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0133】
【実施例9】
液晶表示セルの作成
パターニングされたITO表示電極つきガラス基板(旭硝子(株)製:30Ω/□以下品)上にフレキソ印刷にて透明電極保護膜形成用塗布液(A)を塗布し、得られた塗膜を90℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで積算光量6,000mJ/cm2(365nm用センサにて測定)の条件で紫外線を照射し、次いで300℃で30分間焼成を行ない透明電極保護膜(I)を形成した。得られた透明電極保護膜(I)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ70nmであった。
【0134】
次に、透明電極保護膜(I)上に配向膜形成用塗料▲2▼をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ56nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(I)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲4▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(I)を作成した。
【0135】
得られた液晶表示セル(I)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0136】
【実施例10】
液晶表示セルの作成
パターニングされたITO表示電極つきガラス基板(旭硝子(株)製:30Ω/□以下品)上にフレキソ印刷にて透明電極保護膜形成用塗布液(C)を塗布し、得られた塗膜を90℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで積算光量6,000mJ/cm2(365nm用センサにて測定)の条件で紫外線を照射し、次いで300℃で30分間焼成を行ない透明電極保護膜(J)を形成した。得られた透明電極保護膜(J)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ75nmであった。
【0137】
次に、透明電極保護膜(J)上にポリイミド膜形成用塗料(日産化学(株)製:サンエバー)をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ60nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(J)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲4▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(J)を作成した。
【0138】
得られた液晶表示セル(J)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。
結果を表3に示す。
【0139】
【実施例11】
液晶表示セルの作成
シール剤▲5▼を用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示セル(K)を作成した。
得られた液晶表示セル(K)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。
【0140】
結果を表3に示す。
【0141】
【比較例1】
液晶表示セルの作成
シール剤▲7▼を用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示セル(L)を作成した。
得られた液晶表示セル(L)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0142】
【比較例2】
液晶表示セルの作成
シール剤▲6▼を用いた以外は実施例1と同様にして液晶表示セル(M)を作成した。
得られた液晶表示セル(M)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。結果を表3に示す。
【0143】
【比較例3】
液晶表示セルの作成
実施例1と同様にして透明電極保護膜(N)を形成した。得られた透明電極保護膜(N)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ70nmであった。
次に、透明電極保護膜(N)上に、配向膜形成用塗料▲3▼をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ56nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
【0144】
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(N)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲7▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(N)を作成した。
【0145】
得られた液晶表示セル(N)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。
結果を表3に示す。
【0146】
【比較例4】
液晶表示セルの作成
パターニングされたITO表示電極つきガラス基板(旭硝子(株)製:30Ω/□以下品)上にフレキソ印刷にて透明電極保護膜形成用塗布液(D)を塗布し、得られた塗膜を90℃で5分間乾燥させた後、高圧水銀ランプで積算光量6,000mJ/cm2(365nm用センサにて測定)の条件で紫外線を照射し、次いで300℃で30分間焼成を行ない透明電極保護膜(O)を形成した。得られた透明電極保護膜(O)の膜厚を触針式表面粗さ計で測定したところ75nmであった。
【0147】
次に、透明電極保護膜(O)上にポリイミド膜形成用塗料(日産化学(株)製:サンエバー)をフレキソ印刷で塗布し、100℃で5分間乾燥した後、240℃で30分間加熱処理して厚さ60nmのポリイミド膜を形成し、ついでラビング処理を行なった。
このようにして、硝子基板上に透明電極、透明電極保護膜(O)およびラビング処理した配向膜が順次積層した一対の透明電極付き基板を得た。得られた一対の透明電極付き基板のうち一方の基板には平均粒子径が5.6μmのスペーサを散布し、もう一方の基板にはシール部にシール剤▲7▼を印刷し、これらの基板を透明電極同士が互いに対向するように貼り合わせ、STN液晶を封入し、ついで封入口を封止材で封止して液晶表示セル(O)を作成した。
【0148】
得られた液晶表示セル(O)について、実施例1と同様に可動イオン量、液晶パネルの表示ムラの観察、長期信頼性の評価、コントラストの評価を行った。
結果を表3に示す。
【0149】
【表3】
Figure 0003913483

【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の液晶表示セルの一態様例の概略断面図を示す。
【図2】本発明に係る第2の液晶表示セルの一態様例の概略断面図を示す。
【図3】本発明に係る第3の液晶表示セルの一態様例の概略断面図を示す。
【符号の説明】
1、1'、1"・・・液晶表示セル
2、2’・・・・・液晶表示セル
3、4・・・・・・偏光板
5・・・・・・・・スペーサ粒子
6・・・・・・・・液晶
11・・・・・・・ガラス基板
12・・・・・・・透明電極膜
13・・・・・・・透明電極保護膜
14・・・・・・・配向膜
21・・・・・・・電極板
21a・・・・・・ガラス基板
21b・・・・・・アルカリパッシベーション膜
21c・・・・・・複数の画素電極
21d・・・・・・透明電極保護膜
21e・・・・・・配向膜
22・・・・・・・対向電極板
22a・・・・・・ガラス基板
22b・・・・・・アルカリパッシベーション膜
22c・・・・・・カラーフィルター
22d・・・・・・透明電極保護膜
22e・・・・・・透明電極
22f・・・・・・配向膜
23・・・・・・・液晶
31・・・・・・・透明絶縁性基板
32・・・・・・・TFTアレイ
33・・・・・・・透明電極保護膜
34・・・・・・・画素電極
35・・・・・・・配向膜
36・・・・・・・絶縁膜
41・・・・・・・対向基板
42・・・・・・・ブラックマトリクス(遮蔽膜)
43・・・・・・・カラーフィルター
44・・・・・・・透明電極保護膜
45・・・・・・・対向電極
46・・・・・・・配向膜
51・・・・・・・液晶層

Claims (4)

  1. 少なくとも一方の基板の表面には透明電極膜、透明電極保護膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルにおいて、シール剤、あるいは配向膜とシール剤に、イオン吸着性微粒子が含まれ、かつ該イオン吸着性微粒子が(i)下記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または(ii)イオン吸着性有機微粒子であることを特徴とする液晶表示セル。
    一般式 Ra−Si(OR')4-a …(1)
    (ただし、式中、Rは−Cn2n+1であり、R'は−Cn2n+1または−C24OCn2n+1であり、aは0〜3の整数であり、nは1〜4の整数である。)
  2. 少なくとも一方の基板の表面にはカラーフィルター、透明電極保護膜、透明電極膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルにおいて、シール剤、あるいは配向膜とシール剤にイオン吸着性微粒子が含まれ、かつ、該イオン吸着性微粒子が(i)前記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または(ii)イオン吸着性有機微粒子であることを特徴とする液晶表示セル。
  3. 少なくとも一方の基板の表面にはTFTアレイ、透明電極保護膜、透明電極膜および配向膜が順次積層されてなる一対の透明電極付基板が、それぞれの透明電極同士が対向するように所定の間隔をあけて配置され、この一対の透明電極付基板の間にあけられた間隙に液晶が封入され、透明電極周縁部の間隙がシール剤で封着して密閉された液晶表示セルにおいて、シール剤、あるいは配向膜とシール剤にイオン吸着性微粒子が含まれ、かつ該イオン吸着性微粒子が(i)前記式(1)で表される有機ケイ素化合物または有機ケイ素化合物の加水分解物によって表面処理されたイオン吸着性無機微粒子、または(ii)イオン吸着性有機微粒子であることを特徴とする液晶表示セル。
  4. 前記イオン吸着性微粒子が、平均粒子径が1nm〜10μmの範囲にあり、イオン吸着容量が0.1〜6.0mmol/gの範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示セル。
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