JP3913429B2 - エアダンパー - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、自動車のグローブボックス等で使用されるシリンダー型のエアダンパーの改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種エアダンパーとして、登録実用新案第2557064号公報に示すものが存する。
該従来のエアダンパーは、具体的には図示しないが、両端部が開口した筒状のシリンダーと、紐条体の基端部が連結されてシリンダー内を移動するピストンと、シリンダーの一端開口部側に取り付けられて空気の通過量を制御する弁装置と、シリンダーの他端開口部側に取り付けられて上記紐条体のガイド壁を有するガイドキャップと、シリンダー内においてガイドキャップとピストン間に介装されてピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する圧縮コイルばねとを備える構成となっている。
【0003】
従って、このエアダンパーを自動車のグローブボックスで使用する場合には、インストルメントパネル側にシリンダーを固定し、シリンダーのガイドキャップから外部に伸びる紐条体の先端部をグローブボックス側に固定して、グローブボックスを開方向へ移動させると、紐条体がシリンダー内から徐々に引き出されて、ピストンがシリンダー内で圧縮コイルばねをその弾発付勢力に抗して圧縮させながら同方向へ移動するので、空気は上記弁装置を介してシリンダー内に流入して、これにより、ダンパー効果を得て、グローブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障される。
【0004】
又、グローブボックスを閉方向へ移動させると、今度は、ピストンが紐条体を伴って圧縮コイルばねの弾発付勢力でシリンダーの一端部方向へ強制的に押し戻されて、シリンダー内に蓄積された空気を弁装置を介して外部に逃がすので、ピストンがシリンダー内で速やかに移動して、グローブボックスの閉動作を助長することとなる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
この為、従来のエアダンパーの下では、一応、グローブボックスの開閉動作を円滑に保障できる利点を有するが、グローブボックスの大型化等により重量が大となったり、その重心が支軸の上死点を乗り越えて支軸から遠ざかる方向に移動することにより、全開位置に近づく程、加速が効いたり回転モーメントが増大して、その移動速度が急に速くなる時には、ダンパー効果が不足して、グローブボックスの全開時に衝撃音が発生する恐れを有していた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記従来のエアダンパーが抱える課題を有効に解決するために開発されたもので、請求項1記載の発明は、筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、第1コイルばねの外側において、ピストン側に当該第1コイルばねよりも大径短寸な第2コイルばねの一端部を支持する一方、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びる延長壁を設けて、該延長壁に第1コイルばねを内嵌し、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねの他端部をガイドキャップの延長壁で押圧する構成を採用した。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、ピストンは、シリンダー内でガイドキャップ方向へ延びる延長軸を有し、該延長軸に第1コイルばねを外嵌する構成を採用した。
【0008】
請求項3記載の発明は、筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びる延長壁を設けて、該延長壁に移動可能に遊嵌するフランジ部付のリテーナを取り付け、第1コイルばねの外側において、該リテーナのフランジ部と上記延長壁間で当該第1コイルばねよりも大径短寸な第2コイルばねを支持して、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねをピストンで押圧する構成を採用した。
【0009】
請求項4記載の発明は、筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びて第2コイルばねを外嵌する腕部を形成して、該腕部に移動可能に遊嵌するリテーナを取り付け、第1コイルばねの内側において、該リテーナとガイドキャップ間で当該第1コイルばねよりも小径短寸な第2コイルばねを支持する一方、ピストン側にシリンダー内でその他端部方向へ延びる延長軸を設けて、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねをピストンの延長軸で押圧する構成を採用した。
【0010】
請求項5記載の発明は、筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びて第2コイルばねを内嵌する延長壁を設けて、該延長壁内に移動可能に遊嵌するリテーナを取り付け、第1コイルばねよりも短寸な第2コイルばねを該リテーナとガイドキャップ間で第1コイルばねと直列状態をもって支持する一方、ピストン側にシリンダー内でその他端部方向へ延びる延長軸を設けて、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねをピストンの延長軸で押圧する構成を採用した。
【0011】
依って、請求項1乃至請求項5記載の発明にあっては、例え、開閉体が大型化したり、開閉体の重心が支軸の上死点を乗り越えて支軸から遠ざかる方向に移動したとしても、ピストンの移動範囲の後半では、第1コイルばねの圧縮に加えて、第2コイルばねも圧縮されて、その各弾発付勢力が総和されて大きくなるので、従来の如く、全開位置が近づくに従い、ダンパー効果が不足して、開閉体の全開時に衝撃音を発生する恐れを確実に防止できる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する各好適な実施の形態に基づいて詳述する。
まず、第一実施の形態に係るエアダンパーは、図1・図3に示す如く、両端部が開口する筒状のシリンダー1と、該シリンダー1内を移動するピストン2と、シリンダー1の一端部に開設された連通孔3を開閉するバルブ4付のエンドキャップ5と、シリンダー1の他端開口部で後述する紐条体8の移動を案内するガイドキャップ6と、シリンダー1内においてガイドキャップ6とピストン2間に介装されてピストン2をシリンダー1の一端部方向へ弾発付勢する小径長寸な第1圧縮コイルばね7Aと、ピストン2の移動に伴うダンパー作用をグローブボックス等の開閉体に伝達する紐条体8とを備える構成となっている。
【0014】
そして、第一実施の形態にあっては、斯かる構成を前提として、図2にも示す如く、ピストン2に対しては、その周面に上記第1圧縮コイルばね7Aよりも大径短寸な第2圧縮コイルばね7Bの一端部を支持する支持溝9を形成すると共に、紐条体8の環状基端部8aを引っ掛ける引掛溝10を形成し、且つ、引掛溝10側にシリンダー1の他端部方向に延びて小径長寸な第1圧縮コイルばね7Aを外嵌する延長軸2aを一体に延設して、該延長軸2aの軸方向に紐条体8を収納するスリット11を形成する構成となっている。
【0015】
又、ガイドキャップ6に対しては、中央部に形成されるガイド壁6aの周囲に所定長さを有してシリンダー1の一端部方向に延びる円筒状の延長壁6bを一体に延設して、ガイドキャップ6自体の取り付けに際しては、当該延長壁6bをシリンダー1に内嵌する構成となっている。
【0016】
従って、斯かる構成のエアダンパーを組み付ける場合には、最初に、ピストン2の引掛溝10に紐条体8の環状基端部8aを引っ掛けて、紐条体8を延長軸2aのスリット11内に収納した状態を得て、ピストン2の支持溝9内に第2圧縮コイルばね7Bの一端部を支持すると同時に、ピストン2の延長軸2aに第1圧縮コイルばね7Aを外嵌して、そのまま、シリンダー1の他端開口部から、シリンダー1の内部にピストン2と各圧縮コイルばね7A・7Bを挿入して、最後に、ガイドキャップ6をシリンダー1の他端開口部側に取り付ければ、図3に示す如く、第1圧縮コイルばね7Aの外側に第2圧縮コイルばね7Bが存在する状態をもって、ワンウエイ方式のエアダンパーが容易に組み立てられることとなる。
【0017】
そこで、実際に、自動車のグローブボックスで使用する場合には、具体的には図示しないが、従来と同様に、シリンダー1をその取付片1aを介してインストルメントパネル側に固定し、シリンダー1のガイドキャップ6から外部に延びる紐条体8の先端部を引き出しながら、当該先端部をグローブボックス側に固定すれば、これにより、グローブボックスの開閉動作が保障できる。
【0018】
そして、斯かる状態において、グローブボックスを開方向へ移動させると、これに応じて、紐条体8がシリンダー1内からガイドキャップ6に形成されているガイド壁6aの案内で徐々に引き出されて、ピストン2が第1圧縮コイルばね7Aをその弾発付勢力に抗して圧縮させながら同方向へ移動するので、これにより、ピストン2側に開設されているオリフィス(図示せず)を通過する空気の流動抵抗で、ダンパー効果を得て、グローブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障される訳であるが、ピストン2の移動と連動して、図4に示す如く、第2圧縮コイルばね7Bのフリー状態にある他端部がガイドキャップ6の延長壁6bに当接する。
【0019】
すると、今度は、図5に示す如く、ピストン2による第1圧縮コイルばね7Aの圧縮に加えて、第2圧縮コイルばね7Bもその弾発付勢力に抗してピストン2と延長壁6bとの間で圧縮されて、両方のばね7A・7Bの弾発付勢力が総和されて大きくなるので、例え、グローブボックスが大型化したり、グローブボックスの重心が支軸の上死点を乗り越えて支軸から遠ざかる方向に移動して、グローブボックスが開方向へ移動する際に、全開位置に近づく程、加速が効いたり回転モーメントが増大して、その移動速度が速くなったとしても、上記総和された弾発付勢力により、グローブボックスの全開時に衝撃音が発生する心配がなくなる。
【0020】
又、逆に、グローブボックスを閉方向へ移動させると、今度は、ピストン2が紐条体8を伴って第1圧縮コイルばね7Aの弾発付勢力でシリンダー1の一端部方向へ強制的に押し戻されて、シリンダー1内に蓄積された空気をバルブ4で開放された連通孔3を経てエンドキャップ5から外部に逃がすので、ピストン2がシリンダー1内を速やかに移動して、グローブボックスの閉動作を助長することとなる。尚、ピストン2の押し戻される初期においては、第2圧縮コイルばね7Bも伸長するので、この時点では、両方のばね7A・7Bの弾発付勢力が関与することとなる。
【0021】
第二実施の形態に係るエアダンパーは、第一実施の形態が大径短寸な第2圧縮コイルばね7Bをシリンダー1側に支持したのに対して、大径短寸な第2圧縮コイルばね7Bをガイドキャップ6側に支持するもので、具体的には、図6・図7に示す如く、ガイドキャップ6の延長壁6bに一対の長孔12を形成する一方、該各長孔12内を移動可能に嵌合する一対の腕部13aと第2圧縮コイルばね7Bのばね座となるフランジ部13bを有する筒状のリテーナ13を別に用意して、該リテーナ13の腕部13aに第2圧縮コイルばね7Bを外嵌する状態を得て、該各腕部13aの先端を上記延長壁6bの長孔12に嵌合することにより、第2圧縮コイルばね7Bをガイドキャップ6側に圧縮可能に支持せんとしたものである。
【0022】
従って、斯かる構成のエアダンパーを組み付ける場合には、やはり、最初に、ピストン2の引掛溝10に紐条体8の環状基端部8aを引っ掛ける状態を得て、ピストン2の延長軸2aに小径長寸な第1圧縮コイルばね7Aを外嵌して、そのまま、シリンダー1の他端開口部から、シリンダー1の内部にピストン2と第1圧縮コイルばね7Aを挿入して、最後に、リテーナ13を介して大径短寸な第2圧縮コイルばね7Bを支持するガイドキャップ6をシリンダー1の他端開口部側に取り付ければ、図8に示す如く、同様に、第1圧縮コイルばね7Aの外側に第2圧縮コイルばね7Bが存在する状態をもって、ワンウエイ方式のエアダンパーが容易に組み立てられることとなる。
【0023】
そこで、斯かる状態において、グローブボックスを開方向へ移動させると、これに応じて、紐条体8がシリンダー1内からガイドキャップ6の案内で徐々に引き出されて、ピストン2が第1圧縮コイルばね7Aをその弾発付勢力に抗して圧縮させながら同方向へ移動するので、これにより、ピストン2側に開設されているオリフィス(図示せず)を通過する空気の流動抵抗で、ダンパー効果を得て、グローブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障される訳であるが、ピストン2の移動と連動して、図9に示す如く、ピストン2自体が第2圧縮コイルばね7Bを支持するリテーナ13のフランジ部13bに当接する。
【0024】
すると、今度は、図10に示す如く、ピストン2による第1圧縮コイルばね7Aの圧縮に加えて、長孔12に対する腕部13aの移動を得て、第2圧縮コイルばね7Bもその弾発付勢力に抗してフランジ部13bと延長壁6b間で圧縮されて、両方のばね7A・7Bの弾発付勢力が総和されて大きくなるので、例え、グローブボックスが開方向へ移動する際に、全開位置に近づく程、加速が効いたり回転モーメントが増大して、その移動速度が速くなったとしても、上記総和された弾発付勢力により、グローブボックスの全開時に衝撃音が発生する心配がなくなる。
【0025】
第三実施の形態に係るエアダンパーは、第二実施の形態と同様に、第2圧縮コイルばね7Bをガイドキャップ6側に支持するものであるが、第三実施の形態では、今度は、第2圧縮コイルばね7Bを小径短寸となして、当該第2圧縮コイルばね7Bを大径長寸の第1圧縮コイルばね7Aの内側に配するもので、具体的には、図11・図12に示す如く、ガイドキャップ6側に一対の腕部14を形成する一方、該各腕部14の先端を係止する一対の係止孔15aと紐条体8の通し孔15bを有する板状のリテーナ15を別に用意して、ガイドキャップ6の腕部14に第2圧縮コイルばね7Bを外嵌する状態を得て、該各腕部14の先端をリテーナ15の係止孔15aに係止することにより、第1圧縮コイルばね7Aの内側において、第2圧縮コイルばね7Bをガイドキャップ6側で圧縮可能に支持せんとするものである。
【0026】
従って、斯かる構成のエアダンパーを組み付ける場合には、やはり、最初に、ピストン2の引掛溝10に紐条体8の環状基端部8aを引っ掛ける状態を得て、ピストン2の延長軸2aに大径長寸の第1圧縮コイルばね7Aを外嵌して、そのまま、シリンダー1の他端開口部から、シリンダー1の内部にピストン2と第1圧縮コイルばね7Aを挿入して、最後に、リテーナ15を介して小径短寸な第2圧縮コイルばね7Bを支持するガイドキャップ6をシリンダー1の他端開口部側に取り付ければ、図13に示す如く、今度は、第1圧縮コイルばね7Aの内側に第2圧縮コイルばね7Bが存在する状態をもって、ワンウエイ方式のエアダンパーが容易に組み立てられることとなる。
【0027】
そこで、斯かる状態において、グローブボックスを開方向へ移動させると、これに応じて、紐条体8がシリンダー1内からガイドキャップ6の案内で徐々に引き出されて、ピストン2が第1圧縮コイルばね7Aをその弾発付勢力に抗して圧縮させながら同方向へ移動するので、これにより、ピストン2側に開設されているオリフィス(図示せず)を通過する空気の流動抵抗で、ダンパー効果を得て、グローブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障される訳であるが、ピストン2の移動と連動して、図14に示す如く、ピストン2の延長軸2aの先端部が第2圧縮コイルばね7Bを支持する板状のリテーナ15に当接する。
【0028】
すると、今度は、図15に示す如く、ピストン2による第1圧縮コイルばね7Aの圧縮に加えて、第2圧縮コイルばね7Bもその弾発付勢力に抗してリテーナ15とガイドキャップ6の基端部間で圧縮されて、両方のばね7A・7Bの弾発付勢力が総和されて大きくなるので、例え、グローブボックスが開方向へ移動する際に、全開位置に近づく程、加速が効いたり回転モーメントが増大して、その移動速度が速くなったとしても、上記総和された弾発付勢力により、グローブボックスの全開時に衝撃音が発生する心配がなくなる。
【0029】
第四実施の形態に係るエアダンパーも、第2圧縮コイルばね7Bをガイドキャップ6側に支持するものであるが、第2圧縮コイルばね7Bを第1圧縮コイルばね7Aよりも若干小径となしてガイドキャップ6の内側に配するもので、図16・図17に示す如く、ガイドキャップ6の延長壁6bに対向する一対の弾性爪16をスリット17を介して形成する一方、延長壁6bの内部に第2圧縮コイルばね7Bのばね座となるフランジ部18aと紐条体8の通し孔18bを有する駒状のリテーナ18を移動可能に挿入して、該リテーナ18により延長壁6bの内側で第2圧縮コイルばね7Bを圧縮可能に支持せんとするものである。
【0030】
従って、斯かる構成のエアダンパーを組み付ける場合には、やはり、最初に、ピストン2の引掛溝10に紐条体8の環状基端部8aを引っ掛ける状態を得て、シリンダー1の他端開口部から、シリンダー1の内部にピストン2と第1圧縮コイルばね7Aを挿入して、最後に、リテーナ18で第2圧縮コイルばね7Bを支持するガイドキャップ6をシリンダー1の他端開口部側に取り付ければ、シリンダー1の他端開口部にガイドキャップ6の延長壁6bを挿入する過程で、一対の弾性爪16がシリンダー1の内面によって内側に撓んで、リテーナ18が第2圧縮コイルばね7Bのばね圧で延長壁6bから抜け外れることがなくなるので、今度は、図18に示す如く、短寸な第2圧縮コイルばね7Bと長寸な第1圧縮コイルばね7Bとを直列に配した状態をもって、ワンウエイ方式のエアダンパーが容易に組み立てられることとなる。
【0031】
そこで、斯かる状態において、グローブボックスを開方向へ移動させると、これに応じて、紐条体8がシリンダー1内からガイドキャップ6の案内で徐々に引き出されて、ピストン2が第1圧縮コイルばね7Aをその弾発付勢力に抗して圧縮させながら同方向へ移動するので、これにより、ピストン2側に開設されているオリフィス(図示せず)を通過する空気の流動抵抗で、ダンパー効果を得て、グローブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障される訳であるが、ピストン2の移動と連動して、図19に示す如く、ピストン2の延長軸2aの先端部が第2圧縮コイルばね7Bを支持するリテーナ18に当接する。
【0032】
すると、今度は、図20に示す如く、ピストン2による第1圧縮コイルばね7Aの圧縮に加えて、第2圧縮コイルばね7Bもその弾発付勢力に抗してリテーナ18とガイドキャップ6の基端部間で圧縮されて、両方のばね7A・7Bの弾発付勢力が総和されて大きくなるので、例え、グローブボックスが開方向へ移動する際に、全開位置に近づく程、加速が効いたり回転モーメントが増大して、その移動速度が速くなったとしても、上記総和された弾発付勢力により、グローブボックスの全開時に衝撃音が発生する心配がなくなる。
【0033】
第五実施の形態に係るエアダンパーは、今までの各実施の形態が2本の第1・第2圧縮コイルばね7A・7Bを使用したのに対して、この第五実施の形態のものは、図21に示す如く、1本のオープン巻きの圧縮コイルばね19を使用して、当該圧縮コイルばね19に対してそのピッチが密と疎の関係にある2段ピッチ形状を積極的に付与したものである。
【0034】
従って、斯かる構成のエアダンパーを組み付ける場合には、ピストン2の引掛溝10に紐条体8の環状基端部8aを引っ掛ける状態を得て、シリンダー1の他端開口部から、シリンダー1の内部にピストン2と圧縮コイルばね19を挿入して、最後に、ガイドキャップ6をシリンダー1の他端開口部側に取り付ければ、ワンウエイ方式のエアダンパーが容易に組み立てられることとなる。
【0035】
そこで、斯かる状態において、グローブボックスを開方向へ移動させると、これに応じて、紐条体8がシリンダー1内からガイドキャップ6の案内で徐々に引き出されて、ピストン2が1本の圧縮コイルばね19をその弾発付勢力に抗して圧縮させながら同方向へ移動するので、これにより、ピストン2側に開設されているオリフィス(図示せず)を通過する空気の流動抵抗で、ダンパー効果を得て、グローブボックスがゆっくりと開放状態に移動することが保障される訳であるが、ピストン2の移動と連動して、図22に示す如く、まず、圧縮コイルばね19の密巻き部分19aが密着する。
【0036】
すると、今度は、ピストン2による圧縮コイルばね19の疎巻き部分19bが続いて圧縮されて、両方の部分19a・19bの弾発付勢力が総和されて大きくなるので、例え、グローブボックスが開方向へ移動する際に、全開位置に近づく程、加速が効いたり回転モーメントが増大して、その移動速度が速くなったとしても、上記総和された弾発付勢力により、グローブボックスの全開時に衝撃音が発生する心配がなくなる。
【0037】
【発明の効果】
以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1乃至請求項5の下では、例え、開閉体が大型化したり、開閉体の重心が支軸の上死点を乗り越えて支軸から遠ざかる方向に移動したとしても、ピストンの移動範囲の後半では、第1コイルばねの圧縮に加えて、第2コイルばねも圧縮されて、その各弾発付勢力が総和されて大きくなるので、従来の如く、全開位置が近づくに従い、ダンパー効果が不足して、開閉体の全開時に衝撃音を発生する恐れを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施の形態に係るエアダンパーを分解して示す斜視図である。
【図2】ピストンと紐条体と第2圧縮コイルばねの関係を示す斜視図である。
【図3】第一実施の形態に係るエアダンパーを組み付けた状態を示す断面図である。
【図4】ピストンの移動過程の途中を示す断面図である。
【図5】ピストンの移動過程の後半を示す断面図である。
【図6】第二実施の形態に係るエアダンパーを分解して示す斜視図である。
【図7】ガイドキャップと第2圧縮コイルばねと筒状リテーナとの関係を示す斜視図である。
【図8】第二実施の形態に係るエアダンパーを組み付けた状態を示す断面図である。
【図9】ピストンの移動過程の途中を示す断面図である。
【図10】ピストンの移動過程の後半を示す断面図である。
【図11】第三実施の形態に係るエアダンパーを分解して示す斜視図である。
【図12】ガイドキャップと第2圧縮コイルばねと板状リテーナとの関係を示す斜視図である。
【図13】第三実施の形態に係るエアダンパーを組み付けた状態を示す断面図である。
【図14】ピストンの移動過程の途中を示す断面図である。
【図15】ピストンの移動過程の後半を示す断面図である。
【図16】第四実施の形態に係るエアダンパーを分解して示す斜視図である。
【図17】(A)はガイドキャップをシリンダーに取り付ける前の状態を示す要部拡大断面図、(B)はガイドキャップをシリンダーに取り付けた状態を示す要部拡大断面図である。
【図18】第四実施の形態に係るエアダンパーを組み付けた状態を示す断面図である。
【図19】ピストンの移動過程の途中を示す断面図である。
【図20】ピストンの移動過程の後半を示す断面図である。
【図21】第五実施の形態に係るエアダンパーを組み付けた状態をもって示す断面図である。
【図22】ピストンの移動過程の後半を示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダー
2 ピストン
2a ピストンの延長軸
3 連通孔
4 バルブ
5 エンドキャップ
6 ガイドキャップ
6a ガイドキャップのガイド壁
6b ガイドキャップの延長壁
7A 第1圧縮コイルばね
7B 第2圧縮コイルばね
8 紐条体
8a 紐条体の環状基端部
9 支持溝
10 引掛溝
11 スリット
12 長孔
13 リテーナ
13a リテーナの腕部
13b リテーナのフランジ部
14 ガイドキャップの腕部
15 リテーナ
15a リテーナの係止孔
15b リテーナの通し孔
16 弾性爪
17 スリット
18 リテーナ
18a リテーナのフランジ部
18b リテーナの通し孔
19 圧縮コイルばね
19a 圧縮コイルばねの密巻き部分
19b 圧縮コイルばねの疎巻き部分
Claims (5)
- 筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、第1コイルばねの外側において、ピストン側に当該第1コイルばねよりも大径短寸な第2コイルばねの一端部を支持する一方、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びる延長壁を設けて、該延長壁に第1コイルばねを内嵌し、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねの他端部をガイドキャップの延長壁で押圧するように構成したことを特徴とするエアダンパー。
- ピストンは、シリンダー内でガイドキャップ方向へ延びる延長軸を有し、該延長軸に第1コイルばねを外嵌することを特徴とする請求項1記載のエアダンパー。
- 筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びる延長壁を設けて、該延長壁に移動可能に遊嵌するフランジ部付のリテーナを取り付け、第1コイルばねの外側において、該リテーナのフランジ部と上記延長壁間で当該第1コイルばねよりも大径短寸な第2コイルばねを支持して、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねをピストンで押圧するように構成したことを特徴とするエアダンパー。
- 筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びて第2コイルばねを外嵌する腕部を形成して、該腕部に移動可能に遊嵌するリテーナを取り付け、第1コイルばねの内側において、該リテーナとガイドキャップ間で当該第1コイルばねよりも小径短寸な第2コイルばねを支持する一方、ピストン側にシリンダー内でその他端部方向へ延びる延長軸を設けて、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねをピストンの延長軸で押圧するように構成したことを特徴とするエアダンパー。
- 筒状のシリンダーと、該シリンダー内を移動するピストンと、シリンダー内でピストンをシリンダーの一端部方向へ弾発付勢する第1コイルばねと、ピストンの移動に伴うダンパー作用を開閉体側に伝達する紐条体と、シリンダーの他端開口部に取り付けられて紐条体を案内するガイドキャップとを備えるエアダンパーであって、ガイドキャップ側にシリンダー内でその一端部方向へ延びて第2コイルばねを内嵌する延長壁を設けて、該延長壁内に移動可能に遊嵌するリテーナを取り付け、第1コイルばねよりも短寸な第2コイルばねを該リテーナとガイドキャップ間で第1コイルばねと直列状態をもって支持する一方、ピストン側にシリンダー内でその他端部方向へ延びる延長軸を設けて、ピストンの移動範囲の後半で、上記第2コイルばねをピストンの延長軸で押圧するように構成したことを特徴とするエアダンパー。
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