JP3913318B2 - 画像形成装置の後処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリ、印刷機等の画像形成装置から排出される画像記録済みのシートを導入部から受け入れ、内部で必要な処理を施して排出する後処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
プリンタ、複写機等の画像形成装置から排出される画像記録済みのシートを取り込み、内部でソート、反転、綴じ合わせなど必要な処理を施して排出するようにした後処理装置が従来からある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
後処理装置に穿孔装置を組み込めばシートに穿孔することができる。そのためには、後処理装置内にシートを完全に取り込んで静止させ、その静止したシートに穿孔照準を合わせて穿孔装置を配置することになる。しかし、この構造では、シートを取り込んで静止させるための広いスペースが必要であって、後処理装置が大型化する問題点がある。
【0004】
一方、シートを後処理装置の内部に完全に取り込む前、すなわち、画像形成装置にシートの後半をくわえ込ませた状態でシートを静止させるようにすれば、後処理装置をコンパクト化することが可能になる。しかし、その場合は、シートを静止させるために画像形成装置の制御を変更する必要があるため、コストが高くつき、その上、既存の画像形成装置に使えない問題点がある。
【0005】
本発明は上記に鑑みなされたもので、その目的は、穿孔機能を備えながらコンパクト且つ低コストであり、しかも既存の画像形成装置にも取付可能な後処理装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は、画像形成装置から排出されたシートを導入部から受け入れ、内部で必要な処理を施して排出するようにした画像形成装置の後処理装置において、シートを送る経路の途中に移動中のシートの先端縁を止めるゲート手段を設け、一時停止させたシートの先端縁から所定の位置に穿孔可能なように穿孔装置を設置し、さらに穿孔装置の手前にシートの撓みを可能にする遊び空間を設けると共にその遊び空間を少なくともシートの先端を止めてから穿孔完了までの間に連続して画像形成装置から送られ るシートが撓み得る広さにした画像形成装置の後処理装置を提供する。
【0007】
上記後処理装置は、ゲート手段でシートの先端を止めて穿孔装置で穿孔する。一方、画像形成装置のシート送りは後処理装置の動作とは無関係に続行するようになっており、穿孔処理の間にもシートの後半部が後処理装置に向けて送り込まれる。従って、シートは、穿孔処理の間、先端だけがゲート手段で止められた状態になるから中間部分がループ状に撓んで遊び空間に逃げる。そして、穿孔処理終了後、後処理装置のシートの送りを再開する。
【0008】
また、請求項2に記載したように、シートを送る経路の途中に送りローラを設置し、その送りローラをON・OFF制御して前記ゲート手段とすることもできる。そうすることによりゲート手段を独立して設ける必要がないから、コスト上有利である。
【0009】
また、前記送りローラは、二つの駆動ローラを対向させた構造にするのがよい。このように送りローラを二つの駆動ローラで形成すると、送りローラを止めた状態で抵抗が増し、シートが衝突しても空回りし難くなるからシートの停止位置が一定になる。
【0010】
【発明の実施形態1】
以下に本発明の実施形態1を図面を参照しつつ説明する。なお、図1は後処理装置の縦断面図、図2は一部を透視した後処理装置の斜視図、図3は通過経路と分岐経路の要部を示す拡大断面図、図4は分岐経路と傾斜反転トレーの要部を示す拡大断面図、図5はシート搬送手段の斜視図、図6は図4のX−X線断面図、図7は傾斜反転トレーの斜視図、図8はトレーガイドと送りローラを示す分解斜視図、図9は遊び空間の他の形態を示す導入部の要部拡大断面図である。
【0011】
後処理装置1は、図2に示したように、箱形のボディ2に上トレー3aと下トレー3bを並設した外観であり、図1一点鎖線で示したように画像形成装置Mの排出側の側面に取り付けられる。後処理装置1の底面には移動用の車輪4が設けてあり、画像形成装置Mのレール部材5から外れない範囲で移動自在である。後処理装置1の移動は、後述するパンチ屑の回収や詰まったシートSの除去作業などの際に、前記下トレー3bの前面中央に設けた把手部6を持って行う。このようにトレーに設けた把手部6を持って後処理装置1を移動させるようにすれば、トレーにシートSが載って重心がトレー側に偏っている場合であっても、把手部6に加える力でバランスを取ることができる。従って、後処理装置1の移動操作が円滑に行える。
【0012】
また、後処理装置1には図1に示したように画像形成装置Mのピン7に押されてONする安全スイッチ8、すなわち後処理装置1と画像形成装置Mの接続を検出する安全スイッチ8が設けられており、後処理装置1が画像形成装置Mから離れるとその安全スイッチ8が働いて後処理装置1の電源が自動的に切れるようになっている。この安全スイッチ8を設けたことにより、手動で一々電源を入り切りする構造に較べて、後処理装置1を画像形成装置Mから切り離して作業する場合に感電する危険性がなく、また、画像形成装置Mに接続した場合に電源を入れ忘れる単純ミスもない。
【0013】
なお、後処理装置1の頭部には図1二点鎖線に示すように開放可能な蓋部材1aが設けられている。また、後処理装置1には上トレー3aと下トレー3bのそれぞれに対応して二つの排出部9a,9bが設けられている。
【0014】
次ぎに後処理装置1の内部構造について説明する。後処理装置1の画像形成装置Mと対向する側面には、前記上トレー3aの排出部9aとほぼ同じ高さにシートSの導入部10が形成されており、その導入部10に短軸11(図1参照)を中心として揺動自在な導入ガイド12が設けられている。この導入ガイド12は画像形成装置Mの排出口M1に嵌まり込むようになっており、自己のカム面12aを前記排出口M1の段部M2に載せて安定し、後処理装置1を画像形成装置Mから切り離すと支えを失って自己のバランスにより先端を下げる。
【0015】
【通過経路】
前記導入部10から上の排出部9aまでの間が通過経路13になっている。この通過経路13は、前記導入ガイド12に続く上下一対のシートガイド14と、そのシートガイド14の途中に臨む第一の送りローラ15a,15bと、排出部9の近くに位置する第二の送りローラ16a,16bとから概略構成される。
【0016】
前記第一の送りローラ15a,15bのうち、上のローラ15aは回転自在ないわゆる遊びローラであり、下のローラ15bが回転軸17と一体に図1において反時計回りに回転する駆動ローラである。そして、両送りローラ15a,15bの間にシートSを挟んで画像形成装置Mのシート送り速度と同じ速度でシートSを搬送する。前記下の送りローラ15bの回転軸17は図示しないが公知のクラッチ機構を有し、そのクラッチ機構の働きにより動力源(図示せず)からの伝動を断続させて送りローラ15bを回転状態と停止状態の双方向に切り替える。また、クラッチ機構は一定方向にだけ動力を伝達するいわゆるワンウェイ構造であり、シートSの搬送速度が送りローラ15bの送り速度を追い越す逆転現象が生じた場合に、その送りローラ15bがシートSの動きに追随して従動するように切り替わる。そのようなワンウェイ構造のクラッチ機構として例えば自転車のスプロケットと軸の間に採用されているボールサイレントラチェットなどが応用できる。
【0017】
また、第二の送りローラ16a,16bのうち、上のローラ16aは回転自在な遊びローラであり、下のローラ16bが回転軸18と一体に図1において反時計回りに回転する駆動ローラである。そして、両送りローラ16a,16bの間にシートSを挟んで画像形成装置Mのシート送り速度と同じ速度でシートSを搬送する。上の送りローラ16aは、ヒンジ部19を中心に揺動自在な可動式のシートガイド20に、弾性アーム21を介して取り付けられている。従って、上の送りローラ16aは、通過経路13でシート詰まりが発生した場合に、シートガイド20と一体に開放することができる。なお、このシートガイド20には先端に摘み20aが突設してあり、その摘み20aの先が前記蓋部材1aの下から外部に突出するようになっている。従って、この摘み20aを持ってシートガイド20の端を持ち上げれば、蓋部材1aも一緒に開放することができる。
【0018】
【傾斜反転トレー】
前記通過経路13の真下の領域に、後述する分岐経路22を介して傾斜反転トレー23が設けられている。この傾斜反転トレー23は、前記排出部9b側の端部が高くなるように傾斜し、低い側の端部、すなわち導入部10側の端部にシート止め24が設けてある。傾斜反転トレー23の傾斜は、後述する分岐経路22から送られるシートSが傾斜反転トレー23に接触する際、シートSと傾斜反転トレー23の高所側の面とのなす角α(図1参照。以下単に進入角αという。)が鋭角となるように設定してある。
【0019】
傾斜反転トレー23はその上面でシートSを受けて下流側に滑らせるものであり、シートSとの摩擦を軽減させる目的で上面に複数本のリブ25が突設してある。また、傾斜反転トレー23の上方にはトレーガイド26が設けられていてそのトレーガイド26との間に複数枚のシートSを貯めることができる。なお、トレーガイド26にもシートSとの摩擦を軽減させる目的で表面に複数本のリブ27が突設してある。
【0020】
傾斜反転トレー23には貯めたシートSの一辺を片側の固定基準壁28に当てて揃える整合ユニット29が設けられている。この整合ユニット29は、固定基準壁28の反対側の端に設けたL字型の摺動部材29aと、その摺動部材29aを動かす揺動アーム29bとからなる。摺動部材29aは、傾斜反転トレー23に形成したスリット23aに嵌ってシートSの送り方向と直交する方向に直線摺動可能である。一方、揺動アーム29bはモータ又はソレノイド(図示せず)などの駆動源により一定の範囲で往復揺動するようになっており、その揺動アーム29bに連動して摺動部材29aが図7実線と同二点鎖線の間で往復直線運動を行う。なお、摺動部材29aと揺動アーム29bの接点には図6破線に示したように板ばね状のクッション部材29cが設けられていて、摺動部材29aに大きな抵抗が加わった場合に、そのクッション部材29cが撓んで摺動部材29aの無理な動きを防止するようになっている。
【0021】
また、傾斜反転トレー23の底面には図5に示したようなシート搬送手段30が一体に取り付けられている。このシート搬送手段30は、傾斜反転トレー23の底面沿いに周回する無端状のタイミングベルト31と、そのタイミングベルト31に突設したT字状の送り爪32とを有し、傾斜反転トレー23に開設した走行線33から送り爪32を突出させ、タイミングベルト31の周回によって送り爪32のみが傾斜反転トレー23の上面に突出して走行するようになっている。タイミングベルト31と走行線33は間隔を置いて二組設けられていて、傾斜反転トレー23の上面にあるシートSを二個の送り爪32で均等に押す。
【0022】
なお、送り爪32は、一本のタイミングベルト31に対して二個づつ設けてそれらを交互に傾斜反転トレー23の上面に突出させるようになし、もってタイミングベルト31の無駄な動きを無くして効率を高めるようにしてある。また、送り爪32は、シートSの端に当接して押し出す動作を行うのであるから、その機能を全うするには逆さL字状にして鍵部をシートSに対向させればよいのであるが、敢えて送り爪32をT字状にしたのは、どちら向きにでも取り付けられるようにして作業性の向上を図るとともに作業ミスによる不良品の発生を防止するためである。また、シート搬送手段30のタイミングベルト31はあくまでも一つの例示であって、それ以外にもチェーンや紐を使用したり、或いは、送り爪32をリニアモータで走行させるようにしてもよい。
【0023】
傾斜反転トレー23には、図6,図7に示したように、シート止め24側の一角に切欠部34が形成されており、ボディ2側に取り付けた電動式のステープラ35がその切欠部34に臨んでいる。ステープラ35は、綴じるポイントが、シート止め24に当たって静止しているシートSを若干上に移動させて最適となるように設定してある。従って、ステープラ35を作動させる場合は、ステープラ35の綴じるポイントまでシート搬送手段30によってシートSの束を移動させ、そこでシートSを一旦停止させることになる。こうすることによりステープラ35をボディ2の中心寄りに配置することができるため、後処理装置1全体のコンパクト化に有効である。
【0024】
また、傾斜反転トレー23には、図7に示したように、切欠部34の回りに膨出部23bが形成されており、また、図8に示したように前記トレーガイド26にも傾斜反転トレー23の膨出部23bと対向位置に膨出部26aが形成されており、両膨出部23b,26aによって傾斜反転トレー23とトレーガイド26の隙間が他の部分より狭められている。なお、膨出部23b,26aは傾斜反転トレー23とトレーガイド26の双方に設けなくとも、何れか一方にのみ設けるようにしてもよい。
【0025】
その他、図6,図7において、符号36は固定基準壁28に設けたシートセンサーであって、その信号によってシートSの有無を検出し、もってステープラ35の空打ちを防止する。また、符号37,38はシート止め24に設けた二つのシートセンサーであって、両シートセンサー37,38のそれぞれの信号を組み合わせてシートSのサイズ(実施形態では図6二点鎖線で示したA4サイズ(符号S−A参照)と同図一点鎖線で示したレターサイズ(符号S−L参照)の二種類)を検出する。また、符号39は送り爪32のホームポジションセンサーであって、送り爪32に突設した突片32aを検出し、その信号でタイミングベルト31を制御して送り爪32をホームポジションに停止させる。以上各センサー36〜38は実施形態において光学式のものを使用したが、マイクロスイッチやリードスイッチなどを使用してもよい。さらにまた、図5において、符号40はシート搬送手段30の支持基台、符号41はシャフト42に取り付けたタイミングベルト31用のプーリ、符号43はタイミングベルト31のテンション部材、符号44はタイミングベルト31の駆動モータである。
【0026】
【分岐経路】
図1,図3,図4に示したように、通過経路13と傾斜反転トレー23の間に分岐経路22が設けられている。この分岐経路22は、前記トレーガイド26の上半部と、そのトレーガイド26とボディ2に跨る分岐送り手段とで構成される。分岐送り手段は、トレーガイド26とボディ2にそれぞれ取り付けた第三の送りローラ45a,45bである。第三の送りローラ45a,45bのうち、トレーガイド26のローラ45aは回転自在な遊びローラであり、もう一方のローラ45bが回転軸46と一体に図4において時計回りに回転する駆動ローラである。そして、両送りローラ45a,45bの間にシートSを挟んで前記第一の送りローラ15a,15bのシート送り速度(=画像形成装置Mのシート送り速度)より高速(実施形態では約二倍に設定してある。)でシートSを搬送する。トレーガイド26側の送りローラ45aは、図示しないが前記第二の送りローラ16aと同様の弾性アームを介して取り付けられており、送りローラ45bに所定の圧力で接している。
【0027】
分岐経路22の第三の送りローラ45a,45bの取り付け位置は、送りローラ45a,45bの接点から傾斜反転トレー23のシート止め24までの距離がシート長より短くなるように設定してある。従って、シートSの先端がシート止め24に到達しても未だ送りローラ45a,45bにシートSの後端が残るため、それ以後もシートSを撓ませながら送りローラ45a,45bが後端を押出し、さらに後述する羽根車47の羽根でだめ押しするからシートSの先端が確実にシート止め24に当たる。
【0028】
第三の送りローラ45bの回転軸46には、図4,図8に示したように、複数の羽根車47が固定的に取り付けられている。羽根車47の羽根は弾性的であり、図4破線に示したように、シート面に当たって簡単に曲がる。羽根車47は回転軸46と一体に常時回転しており、シートSの後端が第三の送りローラ45a,45bから離れた瞬間に、そのシートS後端を傾斜反転トレー23の上端めがけて蹴り出すようになっている。
【0029】
【切替ゲート】
前記通過経路13の途中であって第一の送りローラ15a,15bと第二の送りローラ16a,16bの間に揺動式の切替ゲート48が設けられている。この切替ゲート48は駆動軸49を介してソレノイド(図示せず)に連結されており、ソレノイドが励磁した状態で図3実線のように端部を下げて通過経路13の流路を開き、また、ソレノイドが消磁した状態で図3二点鎖線のように端部を上げて分岐経路22の流路を開く。切替ゲート48による流路の切替は択一的であって、通過経路13を開いた状態で分岐経路22を閉じ、逆に分岐経路22を開いた状態で通過経路13を閉じる。
【0030】
【穿孔装置】
切替ゲート48より手前の通過経路13に穿孔装置50が設けられている。穿孔装置50は、回転軸51と一体の偏心カム52により、カムフォロア53と一体の穿孔刃54を上下動させる公知のものである。この穿孔装置50に関連して前記第一の送りローラ15a,15bがシートSの先端を止めるゲート手段になっている。すなわち、穿孔装置50が作動している間、第一の送りローラ15a,15bの回転を止めてシートSの送りを止めるのである。なお、ゲート手段として第一の送りローラ15a,15bを使用することなく、例えば通過経路13の途中にその通過経路13を開閉するシャッター状の部品を設けるようにしてもよい。但し、この場合は、ゲート手段を別途設けることになるからコストアップ要因になる。換言すれば、送りローラ15a,15bと関連付けて穿孔装置50を設置し、送りローラ15a,15bを停止させてシートSを止め、その状態で穿孔装置50を作動させてシートSに穿孔するようにすれば、穿孔装置50用のシート止めを別途設ける必要がないため、低コスト化が可能である。
【0031】
また、穿孔装置50に関連して、穿孔装置50の手前、すなわち穿孔装置50から画像形成装置Mの排出口M1までの間にシートSの撓みを可能にする遊び空間55が設けられている。この遊び空間55は、例えば図3に示したように、シートガイド14と導入ガイド12の間に設ける場合と、図9のように導入ガイド12と排出口M1の間に設ける場合と、図示しないが図3と図9を組み合わせる場合がある。最低限必要な遊び空間55の広さは、後述するように、穿孔装置50の作動に関連してシートSの先端が止められている時間内に、画像形成装置MからどれだけのシートSが送り込まれるかによって決まる。なお、遊び空間55には弾性的な合成樹脂板56が設けられていて、シートSが大きくループを描いて撓んだときに、それに押されて合成樹脂板56が弓なりに弾性変形するようになっている。そうすることにより撓んだシートSに皺がつきにくくなる効果がある。また、穿孔装置50に対応して、通過経路13の下側であってトレーガイド26の横にパンチ屑を入れるボックス57が取り付けてある。
【0032】
【上トレー,下トレー】
前記のように排出部9a,9bには、シートSを受ける上トレー3aと下トレー3bが設けられている。このうち上トレー3aはボディ2に対して着脱可能であるが取り付け状態では定位置にあって動かない。一方、下トレー3bはボディ2に対して着脱可能であり、また、シート量に応じて上下に位置を変える。すなわち、下トレー3bは図2に示したように、モータ58a、歯車群58b、ねじ軸58c、昇降アーム58dなどで構成される昇降装置58に連結されており、下トレー3bに載ったシートSの嵩をセンサー(図示せず)で検出し、その信号により前記モータ58aを制御してシートSのレベルが一定を保つように上下動する。なお、昇降装置58にはセンサー58e,58fが設けられていて昇降アーム58dの上下の限界位置を検出する。
【0033】
【後処理装置の作動説明】
次ぎに、本発明の後処理装置1の作動について説明する。前記のように後処理装置1は、画像形成装置Mの排出側の側面に取り付けられ、画像形成装置Mのピン7に押されて安全スイッチ8がONとなり通電状態になっている。
【0034】
そこでまず、画像形成装置Mから排出されたシートSをそのまま通過させる場合について説明する。通常、切替ゲート48は図3二点鎖線のように先端を上げて通過経路13の流路を閉じているから、ソレノイドを励磁して同図実線のように切替ゲート48の先端を下げ、通過経路13の流路を開く。そうすると、画像形成装置Mから排出されたシートSは、第一の送りローラ15a,15bから図3矢示yのように第二の送りローラ16a,16bを通って上トレー3aに排出される。
また、シートSに穿孔する場合は、先ず第一の送りローラ15bを止めて画像形成装置Mから排出されたシートSの先端を止める。この状態で偏心カム52を1回転させて穿孔刃54を上下動させればシートSの縁に孔が空く。一方、こうして穿孔装置50を作動させてシートSの先端を止めている間にも画像形成装置MからシートSの後半が続けて送り出されるが、図3二点鎖線に示したようにその間に送り込まれる分だけシートSの中央が撓んで遊び空間55に逃げる。そして、遊び空間55にシートSが充満する前に穿孔作業が終了し、第一の送りローラ15bが回転してシートSを第二の送りローラ16a,16bに送る。
【0035】
なお、穿孔により発生するパンチ屑は、穿孔装置50の下にあるボックス57に落下して貯まる。従って、定期的にパンチ屑を回収して廃棄する必要がある。その場合は、下トレー3bの把手部6を持って後処理装置1を引張り、後処理装置1を画像形成装置Mから離してボックス57を着脱すればよい。
【0036】
次ぎに、一枚のシートSを反転させて排出する場合について説明する。通常、切替ゲート48は図3二点鎖線のように先端を上げて分岐経路22の流路を開いている。従って、画像形成装置Mから排出されたシートSは、第一の送りローラ15a,15bから切替ゲート48を通って図3矢示zのように第三の送りローラ45a,45bに送られる。前記のように第三の送りローラ45a,45bは第一の送りローラ15a,15bのシート送り速度より高速に設定されており、シートSの先端が第三の送りローラ45a,45bにくわえ込まれると直ぐさま高速で引き込まれる。このときシートSの後端は第一の送りローラ15a,15bに挟まっているが、前記のように第一の送りローラ15bは動力源との間にワンウェイ構造のクラッチ機構が介装されているため、シートSの搬送速度が自己の送り速度を追い越す逆転現象が生じた瞬間からシートSの動きに従動する遊びローラへと自動的に切り替わる。
【0037】
このように、第一の送りローラ15a,15bによって画像形成装置Mの送り速度とほぼ同じ速度でシートSを引き入れ、その送りローラ15a,15bの後ろに設けた第三の送りローラ45a,45bのシート搬送速度をそれより高速に設定し、さらに第一の送りローラ15bに前記ワンウェイ構造のクラッチ機構を組み込むようにすれば、画像形成装置Mに同期させて低速で導入したシートSを後処理装置1内部で高速処理することが可能になる。もちろん通過経路13にある第二の送りローラ16a,16bを第一の送りローラ15a,15bより高速にしてもよい。この場合には、穿孔作業に起因するロスを高速搬送することで取り戻すことができる。
【0038】
次ぎに、シートSの先端が傾斜反転トレー23に到達すると、傾斜反転トレー23へのシートSの進入角αが鋭角になっているから、傾斜反転トレー23の傾斜に沿ってシートSの先端がシート止め24の方向に自然に流れる。この段階でシートSは表裏が反転している。そして、第三の送りローラ45a,45bで送られて直ぐにシートSの先端がシート止め24に到達する。前記のように第三の送りローラ45a,45bの取り付け位置は、送りローラ45a,45bの接点(リリースポイント)から傾斜反転トレー23のシート止め24までの距離がシート長より短くなるように設定してあるから、シートSの先端がシート止め24に到達しても未だ送りローラ45a,45bにシートSの後端が残っている。従ってそれ以後は、図4のようにシートSが緩やかに撓んで送りローラ45a,45bから離れる。また、第三の送りローラ45bの回転軸46には羽根車47があって送りローラ45bと一緒に回転しているから、シートSの後端が送りローラ45a,45bから離れた瞬間に図4破線のようにシートS後端が傾斜反転トレー23側に蹴り出される。
【0039】
次ぎにシート搬送手段30のタイミングベルト31が作動し、送り爪32が傾斜反転トレー23の走行線33を通ってシートSを押し出す。そして、タイミングベルト31が半周するとシートSが下トレー3bに排出され、送り爪32が傾斜反転トレー23の下に回り込んだ位置で停止する。このときもう一方の送り爪32がホームポジションで待機する。なお、シートSを反転させる場合も、前記と同様穿孔装置50でシートSの縁に孔を空けることができる。また、シートSが分岐経路22や傾斜反転トレー23で詰まった場合は、先ず、下トレー3bの把手部6を持って後処理装置1を画像形成装置Mから離し、パンチ屑のボックス57を取り外してからトレーガイド26の指掛け部26bを持って手前に引っ張ればよい。そうするとトレーガイド26が上部のヒンジ部26c(図1,図8参照)を中心に回転して開くから詰まったシートSが簡単に取り出せる。
【0040】
次ぎに複数枚のシートSを綴り合わせる場合について説明する。先ず、前記の要領でシートSを先頭の頁から一枚づつ順に傾斜反転トレー23に送る。この場合、高速処理するためにシートSをほぼ連続状態で送ることになるが、前記のように第三の送りローラ45a,45bからでたシートSの後端が羽根車47で傾斜反転トレー23側に蹴り出されるため、先行するシートSの後端と後続のシートSの先端が接触するおそれがない。
【0041】
傾斜反転トレー23にシートSが一枚送られるごとに整合ユニット29が一回作動し、摺動部材29aの一往復動作でシートSを横送りして片方の端を固定基準壁28に当てて揃える。ある程度枚数が増えると膨出部23b,26aの隙間が狭くてシートSの送りがきつくなるが、膨出部23b,26aが部分的で小面積であるためその抵抗は比較的少ない。そして、設定した枚数が揃った段階でシート搬送手段30の送り爪32が作動し、シートSの束をステープラ35の綴りポイントまで移動させて止まる。続いてステープラ35が作動してシートSの束を金属針で綴じる。このときシートSの束は膨出部23b,26aで押さえられているから綴じやすい。
【0042】
次ぎにシート搬送手段30の送り爪32が再び作動し、綴り合わせたシートSの束を下トレー3bに排出する。このとき送り爪32は、当初高速でシートSを搬送し、下トレー3bに排出する前に速度を落とすように設定されている。こうすることにより、シートSを高速で搬送しても下トレー3bから飛び出すおそれがない。下トレー3bは前記のように上下動可能になっており、シート量に応じて順次下降し、シートSを取り去ると自動的に上昇する。
【0043】
なお、言うまでもなく、複数枚のシートSを反転させて綴じ合わせる場合であっても穿孔装置50でシートSの縁に孔を空けることができる。また、ステープラ35の金属針を補充する作業は、後処理装置1を画像形成装置Mから切り離して行う。
【0044】
【発明の実施形態2】
本発明の実施形態2は、ゲート手段を構成する送りローラ15a,15bを、共に駆動ローラにした点に特徴がある。すなわち、上のローラ15aの回転軸と下のローラ15bの回転軸17の端部に歯車(図示せず)を固着し、両歯車を噛み合わせて上のローラ15aを下のローラ15bに対して同じ周速度で逆向きに回転させるようにした。駆動ローラと遊びローラの違いは、停止状態においてシートSが接線方向に衝突した場合に、遊びローラがシートSに押されて若干回転するのに対して、駆動ローラは、駆動源に繋がっていて抵抗があるため、シートSに押された程度では回転しないことにある。従って、送りローラ15a,15bを共に駆動ローラにしたことでより強固にゲートを閉じることができるようになり、その結果、シートSの停止位置が一定になるから穿孔精度が高まる。なお、前記のように下の送りローラ15bの回転軸17はクラッチ機構を有するが、その回転軸17と上の送りローラ15aの回転軸が歯車で連結されているため、回転軸17のクラッチ作用がそのまま上の送りローラ15aにも当てはまる。
【0045】
また、送りローラ15a,15bの双方を駆動ローラにすることで、後処理装置1を長期間使用しない場合に生ずる不具合を防止することができる。すなわち、送りローラ15a,15bは、ゴムなどの弾性体構造であるため、強い圧力を加えたまま長期間使用しないと、接触部分が平らに変形し、形がいびつになってシート送りが不安定になる可能性がある。これに対して、送りローラ15a,15bを共に駆動ローラにすると、両送りローラ15a,15bの隙間をシートSの厚みより小さくして無接触にすることができる。両送りローラ15a,15bが無接触であれば、長期間不使用であっても変形するおそれは全くない。但し、現実にはシートSの厚みが極薄いため、送りローラ15a,15bを無接触の状態に設定することは難しく、両送りローラ15a,15bを軽く接触させることになるが、その程度なら長期間不使用で仮に変形したとしても、変形の度合いが軽微であって実用上支障はない。
【0046】
【発明の効果】
以上のように本発明の後処理装置は、穿孔装置の手前にシートの撓みを可能にする遊び空間を設けると共にその遊び空間を少なくともシートの先端を止めてから穿孔完了までの間に画像形成装置から送られるシートが撓み得る広さにしたため、ゲート手段でシートの先端を止めながらも画像形成装置のシート送りを止めることなく穿孔することができる。従って、画像形成装置にシートの後半を残した状態で穿孔することができるため、後処理装置のコンパクト化が可能であり、また、画像形成装置のシート送りを穿孔処理に連動して止めなくともよいため、画像形成装置の制御に変更を加える必要が殆どない。それ故、低コスト化が可能で、しかも既存の画像形成装置にも簡単に設置できる。
【0047】
また、請求項2に記載したように、シートを送る経路の途中に送りローラを設置し、その送りローラをON・OFF制御して前記ゲート手段とすれば、ゲート手段を独立して設ける必要がないから、コスト上極めて有利である。
【0048】
また、請求項3に記載したように、前記送りローラを二つの駆動ローラを対向させた構造にすると、送りローラを止めた状態で抵抗が増し、シートが衝突しても空回りし難くなるからシートの停止位置が一定になり、穿孔精度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 後処理装置の縦断面図である。
【図2】 一部を透視した後処理装置の斜視図である。
【図3】 通過経路と分岐経路の要部を示す拡大断面図である。
【図4】 分岐経路と傾斜反転トレーの要部を示す拡大断面図である。
【図5】 シート搬送手段の斜視図である。
【図6】 図4のX−X線断面図である。
【図7】 傾斜反転トレーの斜視図である。
【図8】 トレーガイドと送りローラを示す分解斜視図である。
【図9】 遊び空間の他の形態を示す導入部の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
M …画像形成装置
S …シート
1 …後処理装置
10 …導入部
15a,15b…送りローラ(ゲート手段)
50 …穿孔装置
55 …遊び空間

Claims (3)

  1. 画像形成装置から排出されたシートを導入部から受け入れ、内部で必要な処理を施して排出するようにした画像形成装置の後処理装置において、
    シートを送る経路の途中に移動中のシートの先端縁を止めるゲート手段を設け、一時停止させたシートの先端縁から所定の位置に穿孔可能なように穿孔装置を設置し、さらに穿孔装置の手前にシートの撓みを可能にする遊び空間を設けると共にその遊び空間を少なくともシートの先端を止めてから穿孔完了までの間に連続して画像形成装置から送られるシートが撓み得る広さにしたことを特徴とする画像形成装置の後処理装置。
  2. シートを送る経路の途中に送りローラを設置し、その送りローラをON・OFF制御して前記ゲート手段としたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置の後処理装置。
  3. 前記送りローラは、二つの駆動ローラを対向させた構造であることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置の後処理装置。
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