以下、本発明を実施するための形態を、図1から図16を参照しながら説明する。まず、画像形成装置900の概略構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置900の構成を示す図である。
図1に示すように、画像形成装置900は、シートPに画像を形成する画像形成装置本体(以下、装置本体という)900Aと、原稿の画像を読み取り可能な画像読取装置950と、シート処理装置であるフィニッシャ100と、を備えて構成されている。本実施形態においては、画像読取装置950は、原稿を自動給送可能な原稿給送装置950Aを備えており、フィニッシャ100は、装置本体900Aの上面と画像読取装置950の間に配置されている。
装置本体900Aは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像を形成する感光ドラムa〜dと、感光ドラムa〜dに形成されたトナー像を担持する中間転写ベルト902と、を備えている。感光ドラムa〜dは不図示のモータにより回転駆動可能に構成されており、感光ドラムa〜dの周囲には、それぞれ、不図示の一次帯電器、現像器及び転写帯電器が配置されている。各感光ドラムと、不図示の一次帯電器、現像器及び転写帯電器とは、プロセスカートリッジ901a〜901dとしてユニット化されており、装置本体900Aから着脱可能に構成されている。また、感光ドラムa〜dの下方にはポリゴンミラー等で構成される露光装置906が配置されている。
例えば、画像読取装置950で原稿の画像が読み取られると、まず、原稿のイエロー成分色のレーザ光が、露光装置906のポリゴンミラー等を介して感光ドラムaに投射され、感光ドラムa上に静電潜像が形成される。これに現像器からイエロートナーを供給することで、静電潜像がイエロートナー像として可視化される。トナー像が感光ドラムaの回転にともなって、感光ドラムaと中間転写ベルト902とが当接する1次転写部に到来すると、転写帯電部材902aに印加した1次転写バイアスによって、感光ドラムa上のイエロートナー像が中間転写ベルト902に転写される。
中間転写ベルト902のイエロートナー像を担持した部位が矢印方向に移動すると、この時までに上述と同様の方法で感光ドラムb上に形成されたマゼンタトナー像が、イエロートナー像の上から中間転写ベルト902に重畳転写される。同様に、中間転写ベルト902が移動するにつれて、感光ドラムc上に形成されたシアントナー像及び感光ドラムd上に形成されたブラックトナー像が重畳転写され、中間転写ベルト902上に4色のトナー像が転写される。
一方、画像が形成されるシートPは、装置本体900Aの下方に設けられたカセット904に収納されており、カセット904からピックアップローラ908により1枚ずつ送り出される。送り出されたシートPは、レジストレーションローラ909でタイミングを合わされた後、2次転写ローラ903aに印加した2次転写バイアスによって、中間転写ベルト902上の4色のトナー像がシートP上に一括して転写される。
4色のトナー像が転写されたシートPは、搬送ガイド920に案内されて定着ローラ対905に搬送され、定着ローラ対905で熱及び圧力を受けることで各色のトナーが溶融混色してフルカラーのプリント画像として定着される。画像が定着されたシートPは、搬送ガイド921を通って排出ローラ対918によってフィニッシャ100へと搬送される。
フィニッシャ100は、装置本体900Aから排出されたシートPを順に取り込み、取り込んだ複数のシートPを整合して1つの束に束ね、束ねたシート束のシート排出方向上流端(以下、後端という)を綴じる綴じ処理(後処理)を行う。なお、フィニッシャ100については、後に詳しく説明する。
フィニッシャ100による後処理が行われたシートPは、機外に排出され、積載トレイ114上に積載される。フィニッシャによる後処理を必要としない場合は、フィニッシャ100へと搬送されたシートPは、フィニッシャ100を通過して機外に排出され、積載トレイ114に積載される。
次に、画像形成装置900の制御を司るコントローラの構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本実施形態に係る画像形成装置900のコントローラの制御ブロック図である。図3は、本実施形態に係るフィニッシャ制御部220の制御ブロック図である。
図2に示すように、コントローラは、CPU回路部200を備えており、CPU回路部200は、CPU201と、ROM202と、RAM203と、を備えている。ROM202には制御プログラム等が格納され、RAM203は、制御データを一時的に保持するための領域や制御に伴う演算の作業領域として用いられる。
CPU回路部200は、ROM202に格納された制御プログラムに基づいて、DF制御部204、イメージリーダ制御部205、画像信号制御部206、プリンタ制御部207及びフィニッシャ制御部220を総括的に制御する。DF制御部204は、CPU回路部200からの指令の基づき、原稿給送装置950Aを駆動制御する。イメージリーダ制御部205は、CPU回路部200からの指令の基づき、画像読取装置950のスキャナユニットやイメージユニット等を駆動制御し、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号を画像信号制御部206に転送する。
画像信号制御部206は、イメージセンサから出力されたアナログ画像信号をデジタル信号に変換し、デジタル信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部207に出力する。また、画像信号制御部206は、コンピュータ208から外部I/F209を介してデジタル画像信号が入力された場合には、入力されたデジタル画像信号をビデオ信号に変換してプリンタ制御部207に出力する。なお、この画像信号制御部206による処理動作は、CPU回路部200により制御される。プリンタ制御部207は、入力されたビデオ信号に基づき、装置本体900A(前述した露光装置906等)を駆動制御する。
操作部210は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキーや設定状態を示す表示部などを備えており、各キーの操作に対応するキー信号をCPU回路部200に出力すると共に、CPU回路部200からの信号に対応する情報を表示部に表示する。フィニッシャ制御部220は、フィニッシャに搭載され、CPU回路部200と情報のやり取りを行うことでフィニッシャ100全体の駆動制御を行う。
図3に示すように、フィニッシャ制御部220は、CPU221と、制御プログラム等が格納されるROM222と、制御データを一時的に保持するための領域や制御に伴う演算の作業領域として用いられるRAM223と、を備えている。フィニッシャ制御部220は、通信IC224を介してCPU回路部200と通信してデータ交換を行い、CPU回路部200からの指示に基づきROM222に格納されている各種プログラムを実行してフィニッシャ100の駆動制御を行う。
例えば、フィニッシャ制御部220は、フィニッシャ100の各種センサから入力される信号に基づいて、ドライバ225を介して、フィニッシャ100の各種モータを駆動制御する。各種センサには、入口センサS240、紙面センサS241、トレイ下限センサS242、パドルHPセンサS243、アシストHPセンサS244、束押えHPセンサS245、排出センサS246及びSTPHPセンサS247等がある。各種モータには、搬送モータM250、トレイ昇降モータM251、パドル昇降モータM252、整合モータM253、アシストモータM254、束押えモータM255、STPモータM256、針無し綴じモータM257及びSTP移動モータM258等がある。
次に、上述したフィニッシャ100について、図4から図16を参照しながら説明する。まず、フィニッシャ100の概略構成について、図4及び図5を参照しながらシートPの動きに沿って説明する。図4及び図5は、本実施形態に係るフィニッシャ100を説明するための断面図である。
図4(a)に示すように、装置本体900Aから排出されたシートPは、搬送モータM250により駆動される入口ローラ101に受け渡され、入口ローラ101によって搬送パスに搬送される。このとき、入口センサS240によって、入口ローラ101へのシートPの受け渡しが検知される。その後、シートPは、排出ローラ(シート排出手段)103に受け渡され、先端部で後端落とし105を持ち上げながら排出ローラ103によって搬送されつつ、除電針104により除電されながら処理トレイ107(シート積載手段)に搬送される。
このとき、排出ローラ103の搬送方向上流に設けられた排出センサS246によって、処理トレイ107へのシートPの排出が検知され、この検知信号を基に、フィニッシャ制御部220が後述する針無し綴じユニット102等を制御する。なお、排出ローラ103により処理トレイ107に排出されたシートPは、後端落とし105により上側から押されることで、処理トレイ107に落下する時間が短縮される。
図4(b)に示すように、処理トレイ107にシートPが落下すると、パドル昇降モータM252により、パドル106が回転軸を中心に処理トレイ107側に下降する。このとき、パドル106は搬送モータM250により反時計周りに回転しており、パドル106がシートPに接触することで、シートPは、図4(b)の右方向に位置する後端ストッパ108に向けて搬送される。シートPの後端がローレットベルト117に受け渡されると、パドル昇降モータM252は上昇方向に駆動し、パドルHPセンサS243によりHP(ホームポジション)が検知されると、パドル昇降モータM252の駆動が停止される。
ローレットベルト117は、パドル106により搬送されてきたシートPを後端ストッパ108まで搬送した後、シートPに対しスリップしながら搬送することで、シートPを、常時、後端ストッパ108側に付勢させる。このスリップ搬送により、シートPの後端が後端ストッパに突き当てられ、シートPの斜行が補正される。後端ストッパ108に突き当てられたシートPは、整合モータM253により一対の整合板(移動手段)109a,109bが搬送方向と直交する方向(以下、幅方向ともいう)に移動することで幅方向に整合される。この一連の動作を繰り返し行うことで、処理トレイ107上で整合されたシート束PAが形成される(図5(a)参照)。
所定枚数のシート束が形成された後、シート束PAにステイプラ針による綴じ処理を行う場合は、ステイプラ110を駆動するSTPモータM256を駆動させ、シート束PAが綴じられることになる。一方、シート束PAに針無し綴じを行う場合は、一対の整合板109a,109bをシート搬送方向と直交する方向に移動させることで、整合されたシート束PAを針無し綴じ位置に向けて移動させる。そして、針無し綴じモータM257を駆動させることにより、針無し綴じユニット(針無し綴じ手段)102による針無し綴じが行われる。なお、ステイプラ110及び針無し綴じユニット102については、後に詳しく説明する。
また、シート束PAに綴じ処理を行わない場合は、整合されたシート束PAを綴じ処理を行わずに積載トレイ114に排出する。このとき、図5(b)に示すように、アシストモータM254により同一で駆動される後端アシスト112と排出爪113とによりシート束PAの後端が押されることで、処理トレイ107上のシート束PAは積載トレイ114上に排出される。積載トレイ114上に排出されたシート束PAは、図5(c)に示すように、後続して排出されるシート束により搬送方向に押し出されるのを防止するため、束押えモータM255により束押え115が反時計周りに回転して後端部が押えられる。
そして、シート束PAの後端押え完了後、シート束PAが紙面センサS241を遮光している場合は、紙面センサS241が透過状態になるまで、トレイ昇降モータM251により積載トレイ114を下降させて紙面位置を確定させる。
上述した一連の動作を行うことで、必要な部数のシート束を積載トレイ114に排出することができる。また、動作中、積載トレイ114が下降して、トレイ下限センサS242を遮光した場合(積載トレイ114が満載)には、フィニッシャ制御部220から満載信号がCPU回路部200に通知され、画像形成が中止される。更に、積載トレイ114上のシート束が取り除かれると、紙面センサS241が遮光するまで積載トレイ114が上昇した後、下降して紙面センサS241が透過することで再び積載トレイ114の位置が確定され、画像形成が再開することになる。
次に、ステイプラ110及び針無し綴じユニット102につて、図6から図16を参照しながら説明する。まず、ステイプラ110の構成について、図6及び図7を参照しながら説明する。図6は、フィニッシャ100に設けられるステイプラ110の斜視図である。図7は、ステイプル移動台111に支持されたステイプラ110を示す平面図である。
図6に示すように、ステイプラ110は、針を打ち出すための打ち出し部1101と、打ち出された針を曲げる受け部1102と、打ち出し部1101と受け部1102を連結する顎部1103と、を備えて構成されている。打ち出し部1101は、STPモータM256によって処理トレイ107上のシート束の裏面から表面方向にコの字状のステイプラ針を打ち出す。受け部1102は、打ち出されたステイプラ針の先端部分を90°折り曲げる。シート束は、打ち出し部1101と受け部1102とによりステイプラ針による針綴じが行われる。
一方、ステイプラ針の打ち出し動作(綴じ動作)を行わない場合には、シートの進入を可能とするために、打ち出し部1101と受け部1102とは、間隔L1で待機するようになっている。間隔L1を例示的に示すと、綴じ枚数が50枚の場合は、間隔L1を20mmとしている。これは、坪量64g/m2のシートの50枚の厚みが約5mmであるのに対し、積載したときに各シート間に発生する空気層等を加味する必要があるからである。
また、ステイプラ110は、図7(a)及び(b)に示すように、ステイプル台150に固定されており、ステイプル台150は、ステイプル移動台111に設けられた移動ガイド1111の溝に案内ガイド1112、1113がガイドされながら移動する。これにより、ステイプラ110は、ステイプル移動台111上で、シート束PAに対するステイプラ110の向きを変えながら移動可能になる。このとき、STPHPセンサ(ステイプルHPセンサ)S247で図7(a)に示す位置を検出し、この位置をホームポジション(「奥綴じ位置」ともいう)としている。
次に、針無し綴じユニット102の構成について、図8から図11を参照しながら説明する。図8は、フィニッシャ100に設けられる針無し綴じユニット102の斜視図である。図9は、フィニッシャ100に設けられる針無し綴じユニット102の正面図である。図10は、針無し綴じユニット102を図9(b)に示す矢印方向から見た図である。図11は、図10に示す針無し綴じユニット102の上歯10210と下歯10214の部分拡大図である。
図8(a)及び(b)に示すように、針無し綴じユニット102は、針無し綴じモータM257と、針無し綴じモータM257により回転するギア1021と、ギア1021により回転する段ギア1022〜1024と、を備えている。また、針無し綴じユニット102は、段ギア1022〜1024により回転するギア1025と、フレーム10213に固定された下アーム10212と、を備えている。更に、針無し綴じユニット102は、下アーム10212に軸10211を中心に揺動自在に設けられ、不図示の付勢部材により下アーム側に付勢された上アーム1029を備えている。
ギア1025は、回転軸1026に取り付けられており、回転軸1026にはカム1027が取り付けられている。カム1027は、上アーム1029と下アーム10212との間に設けられている。これにより、針無し綴じモータM257が回転すると、針無し綴じモータM257の回転がギア1021、段ギア1022〜1024及びギア1025を介して回転軸1026に伝わり、カム1027が回転するようになっている。
カム1027が回転すると、図9(a)及び図9(b)に示すように、不図示の付勢部材の付勢力により、コロ1028を介してカム1027に圧接していた上アーム1029のカム側端部が上昇する。ここで、上アーム1029のカム1027とは反対側の端部の下端には、上歯10210が取り付けられており、下アーム10212のカム1027とは反対側の端部の上端には、下歯10214が取り付けられている。図10及び図11に示すように、下歯10214と上歯10210とは、各々複数の凹凸を有しており、上歯10210は下歯10214に対して接離自在となっている。
これにより、上アーム1029のカム側端部が上昇すると、上アーム1029のカム1027とは反対側の端部が下降し、これに伴い上歯10210が下降して下歯10214と噛合し、シート(繊維性シート)束PAを挟持加圧する。そして、このように加圧されると、シート束PAは引き延ばされることによって表面の繊維が露出し、さらに加圧されることによってシート同士の繊維が互いに絡み合うことで締結が行われる。つまり、シート束に綴じ処理を行う際には、上アーム1029を揺動させ、上アーム1029の上歯10210と、下アーム10212の下歯10214とによってシートを噛み合い加圧することにより、シート束が締結される。
ここで、針無し綴じユニット102の動作を制御する前述したフィニッシャ制御部220は、シート束PAに対して針無し綴じを行う場合は、まず不図示のセンサによってカム位置を検出する。そして、針無し綴じを行う前のシート受入時は、カム1027が下死点に位置するよう針無し綴じモータM257の回転を制御する(図9(a)参照)。カム1027が下死点に位置するときは、上歯10210と下歯10214との間に間隔L2が生まれ、シートPの進入が可能となる。
なお、上歯10210と下歯10214との間隔L2は、締結する枚数よりも若干広く設けられている。間隔L2を例示的に示すと、締結枚数5枚の場合は、上歯10210と下歯10214との間隔L2を3mmとしている。これは、坪量64g/m2のシートの5枚の厚みが約0.5mmであるのに対し、シートPを積載したときに各シート間に発生する空気層等を加味する必要があるからである。また、針無し綴じユニット102の綴じ処理可能枚数は、ステイプラによる綴じ処理可能枚数よりも少ないため、間隔L2は、間隔L1よりも小さく設定されている(間隔L1>間隔L2)。
綴じ動作時は、針無し綴じモータM257を回転させ、カム1027により上アーム1029を、軸10211を中心に時計回りに揺動させる。そして、カム1027が上死点に位置すると、上アーム1029の上歯10210と下アーム10212の下歯10214とが噛み合う(図9(b)参照)。上歯10210と下歯10214との噛み合い動作によってシート束が山型形状に加圧され、シートの繊維同士の絡み合いが発生する。これにより、シート同士が連結され、結果として、シート束PAとして締結される。
上死点に位置した後、カム1027がさらに回転すると、上アーム1029に設けられた撓み部1029aが撓むことでコロ1028がカム1027の上死点を乗り越えることができる。また、この後、カム1027がさらに回転して再び下死点に到達すると、不図示のセンサがカム1027を検出し、これによりフィニッシャ制御部220は針無し綴じモータM257の回転を停止する。
次に、針無し綴じユニット102の周辺構成について、図12から図14を参照しながら説明する。図12は、ステイプラ110と針無し綴じユニット102との位置関係を示す平面図である。図13は、処理トレイ107に対する針無し綴じユニット102の位置を示す斜視図である。図14は、トレイ傾斜ガイド107aの作用を説明するための図である。
図12(a)に示すように、処理トレイ107には、シートPを整合するための一対の整合板109a,109bと、シートPの後端を当接させる後端ストッパ108と、ステイプラ110と、針無し綴じユニット102と、が配置されている。針無し綴じユニット102は、ステイプラ110によって綴じ処理が行われる最大のシート幅から外れた領域(排出領域107cの外側)に配設されている。これは、ステイプラ110によって綴じ処理されるシート束が針無し綴じユニット102の綴じ部には進入しない様にするためである(図7(a)参照)。
また、針無し綴じを行う場合には、ステイプラ110が奥綴じ位置(ホームポジション)にいると、図12(b)に示すように、ステイプラ110の顎部1103が針無し綴じを行うシートPに干渉して整合ができない。そのため、針無し綴じを行う場合には、ステイプラ110を図12(c)に示す位置(奥行き方向手前側)に退避させる。なお、ステイプラ110の退避位置は、奥行き方向手前側に限定されるものではなく、顎部1103が針無し綴じの処理位置から外れる位置であればどの位置でも構わない。
図13及び図14に示すように、針無し綴じユニット102の下歯10214は、処理トレイ107の積載面107bよりも積載方向上方に位置するように配設されている。前述したように、本実施形態においては、上歯10210が上方へ移動してシート束を受け入れる開口状態となり、上歯10210が下方へ移動して下歯10214と噛み合う綴じ状態となる。つまり、下歯10214は移動せずに、上歯10210のみが移動して綴じ処理を行っており、下歯10214はいずれの状態においても処理トレイ107の積載面107bよりも積載方向上方に位置している。なお、上歯10210が処理トレイ107の積載面107bよりも上方に位置していることは言うまでもない。
そこで、本実施形態においては、積載面107bと下歯10214の歯元部とを接続するようにシート束の移動方向に上向きに傾斜する下歯傾斜ガイド10214aが下歯10214の下部に設けられている。下歯傾斜ガイド10214aは、下歯10214と上歯10210の間にシート束を案内可能に形成されると共に、図14に示す矢印方向に積載面107bに沿って移動するシート束が下歯10214の下部に引っ掛からないようにしている。つまり、下歯傾斜ガイド10214aは、上歯10210と下歯10214との間にシート束を案内する傾斜ガイドとしても機能している。
また、下歯傾斜ガイド10214aよりもシート移動方向上流の積載面107bには、図14に示す矢印方向に積載面107bに沿って移動するシート束を上歯10210と下歯10214との間に案内可能なトレイ傾斜ガイド107aが設けられている。トレイ傾斜ガイド107a(傾斜ガイド)は、排出領域107cの外側の下歯10214の近傍(図12(a)参照)において、積載面107bから突出形成されており、図14に示すように、断面視略山型に形成されている。
下歯傾斜ガイド10214a及びトレイ傾斜ガイド107aにより、例えば、下カール(移動方向の先後端が下方に湾曲)したシート束が移動してきても、シート束が傾斜を駆け上がり、下アーム10212等に引っ掛ることなく綴じ位置に移動可能となる。
また、上アーム1029の先端から上歯10210の歯元部に向けて下向きに傾斜した上歯傾斜ガイド10210aが上歯10210の上部に設けられている。上歯傾斜ガイド10210aは、下歯傾斜ガイド10214aよりも大きく(シート束の移動方向に長く)形成されている。言い換えると、上カール(移動方向の先後端が上方に湾曲)したシート束がトレイ傾斜ガイド107aに沿って移動してきた際においても、シート束を綴じ位置(上歯10210と下歯10214の間)に案内可能に形成されている。上歯傾斜ガイド10210a及びトレイ傾斜ガイド107aにより、例えば、大きく上カールしたシート束がトレイ傾斜ガイド107aに沿って移動してきても、上アーム1029等に引っ掛ることなく綴じ位置に移動可能となる。なお、カールの大きさによってはトレイ傾斜ガイド107aだけでもシート束を綴じ位置(上歯10210と下歯10214の間)に案内することができる。
次に、ステイプラ110によるステイプルジョブ及び針無し綴じユニット102による針無し綴じジョブについて、前述した図7に加え、図15及び図16を参照しながら説明する。まず、ステイプラ110によるステイプルジョブについて、図7及び図16を参照しながら説明する。なお、シートPがフィニッシャ100に受け入れられるまでの初期動作は、前述と同様であるため説明を省略する。図16は、フィニッシャ100の綴じ処理のフローチャートである。
プリントジョブでステイプルジョブが選択(ステップS300)されると、フィニッシャ制御部220がSTP移動モータM258(図3参照)を駆動する。これにより、ステイプラ110がシートSに対する手前綴じの待機位置まで移動する(ステップS301、図7(a)及び(b)参照)。
この状態で排出ローラ103により排出領域107cに排出されたシートPは、パドル106により搬送方向とは逆方向の力が加わり、シートPの後端が後端ストッパ108まで戻されることになる。シートSの後端が後端ストッパ108に戻されると、一対の整合板109a,109bにより搬送方向と直交する方向のシートPの補正が行われ、その後、搬送方向の戻しがローレットベルト117により行われる(ステップS302)。
一枚一枚のシートSの整合動作がステイプルするシートの必要枚数行われると、整合されたシート束にステイプラ110がステイプル動作をすることでステイプル位置1104にステイプル針による綴じ処理が行われる(ステップS303、S304)。ステイプル針による綴じ処理が終わると、後端アシスト112と排出爪113とを駆動して、シート束の後端が押されることで、処理トレイ107上のシート束は積載トレイ114上に排出される。
ステイプル処理後、続けてジョブが行われる場合は、再度フローチャートのスタートに戻り、再度上記したフローが行われる。一方、ジョブが終了の場合は、ここでジョブが終了する(ステップS305)。
なお、上述においては、ステイプラ110を図7(b)に示す手前側で待機させてシート束の手前綴じ処理を行わせたが、ステイプラを図7(a)に示す奥側に待機させると、シート束の奥綴じ処理が可能になる。また、ステイプラ110を図7(c)に示す片側2箇所綴じ位置に待機させると、シート束の片側2箇所綴じが可能になる。
次に、針無し綴じユニット102による針無し綴じジョブについて、図15及び図16を参照しながら説明する。なお、シートPがフィニッシャ100に受け入れられるまでの初期動作は、前述と同様であるため説明を省略する。図15は、針無し綴じユニット102による針無し綴じ処理を説明する図である。
プリントジョブで針無し綴じジョブが選択されると、一対の整合板109a,109bは、ステイプルジョブと同じ位置で待機し、ステイプラ110は、ホームポジションである奥綴じ位置から手前綴じ位置に移動して待機する(ステップS300、S309)。これにより、針無し綴じユニット102へのシート束の搬送が可能になる。
この状態で排出ローラ103により排出領域107cに排出されたシートPは、パドル106により搬送方向とは逆方向の力が加わり、シートPの後端が後端ストッパ108まで戻されることになる。シートSの後端が後端ストッパ108に戻されると、図15(a)に示すように、一対の整合板109a,109bにより搬送方向と直交する方向のシートPの補正が行われた後、搬送方向の戻しがローレットベルト117により行われる(ステップS310)。
一枚一枚のシートSの整合動作がステイプルするシートの必要枚数行われると、図15(b)に示すように、整合されたシート束が一対の整合板109a,109bにより針無し綴じ位置に移動させる(ステップS311、S312)。シート束が針無し綴じ位置に移動すると、針無し綴じユニット102がシート束の綴じ位置102aに綴じ動作を行うことで、針無しによる綴じ処理が行われる(ステップS313)。針無し綴じ処理が終わると、後端アシスト112と排出爪113とを駆動して、シート束の後端が押されることで、処理トレイ107上のシート束は積載トレイ114上に排出される。
針無し綴じ処理後、続けてジョブが行われる場合は、再度フローチャートのスタートに戻り、再度上記したフローが行われる。一方、ジョブが終了の場合は、ここでジョブが終了する(ステップS305)。
以上説明したように、本実施形態に係るフィニッシャ100は、処理トレイ107の積載面107bよりも下歯10214が上方に有り、かつ積載面107bにトレイ傾斜ガイド107aが設けられている。そのため、シートPが上カールしている場合においてもシート束を綴じ位置に案内可能になる。これにより、綴じずれや綴じ不良を防止することができる。
また、上カールしたシートを受け入れるために上歯10210の開口量(移動量)を大きくする必要がないため、装置の大型化を防止可能となると共に、開閉時間が長くなることによる生産性の低下を防止することができる。
また、本実施形態に係るフィニッシャ100は、下歯10214の下部に下歯傾斜ガイド10214aが設けられている。そのため、シート束(上カールや下カールしたシート束を含む)が移動してきても傾斜を駆け上がり、下アーム10212等に引っ掛ることなく綴じ位置に移動可能となる。
また、本実施形態に係るフィニッシャ100は、上歯10210の上部に上歯傾斜ガイド10210aが設けられている。そのため、上カールしたシート束がトレイ傾斜ガイド107aに沿って移動してきても、上アーム1029等に引っ掛ることなく綴じ位置に移動可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されない。
例えば、本実施形態では、フィニッシャ100に搭載されるフィニッシャ制御部220のCPUにフィニッシャ100を制御させたが、画像形成装置900が備えるCPU回路部200で直接フィニッシャ100を制御させる構成であってもよい。更には、別体のパソコン等の情報機器におけるCPUであってもよく、フィニッシャ100の制御処理を行うCPUは、必ずしもフィニッシャ100自身が備えている必要はないものとする。CPUが、別体の情報機器等に備えられている場合には、通信回線等(有線、無線を問わず)を介して信号が送受信され、各種の制御処理がなされるものとする。また、このような態様は、上記したCPUだけでなく他のRAMやROM等についても同様である。
また、本実施形態に係る画像形成装置では、電子写真方式の画像形成プロセスを用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ノズルからインク液を吐出させることによって、シートSに画像を形成するインクジェット方式の画像形成プロセスを用いるものであってもよい。
また、本実施形態では、針無し綴じ処理として、下歯と上歯との噛み合いでシートに凹凸を形成して綴じる方法を用いて説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、ステイプラの間口よりもシートの厚さ方向の間隔が狭い間口を有していれば、図17に示すように、シートに反抜き形状を形成して綴じる半抜きとし手段を用いた場合にも適用することができる。
また、本実施形態においては、傾斜ガイドとしてトレイ傾斜ガイド107aを用いて説明したが、下歯傾斜ガイド10214aを傾斜ガイドとして用いることもできる。