JP3912443B2 - 水性潤滑油添加剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な水性潤滑油の添加剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
切削油、研削油に代表される水溶性潤滑油や水分散性潤滑油等のいわゆる水性潤滑油は、水を含むことから、長期間の保存中に黴が発生したり、被加工物である金属に錆が発生する等の問題点を解決するために防黴剤、防錆剤が配合されるのが一般的である。代表的な防黴剤・防錆剤はアルカノールアミンである。アルカノールアミンは、水性潤滑油に潤滑成分として配合されることが多い脂肪酸等のアニオン性界面活性剤の対イオンとしても作用することから、好んで使用されている。これらアルカノールアミンは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等に比べてpHが低く、水溶性が良好であることから配合性が優れている。しかし、問題点がないわけではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のようなアルカノールアミンであっても、例えば、モノアルカノールアミンはやはり水溶液のpHが高く、ジアルカノールアミンは時間の経過と共にニトロソアミンを生成し、人体に対する悪影響が懸念されている。トリエタノールアミンはアルカノールアミンの中では比較的pHが低く、配合性もよいが、それでもより安全で配合しやすい防黴性・防錆性を有する潤滑剤が求められていた。
【0004】
従って、本発明の目的は、防錆性や防黴性を有し、配合安定性に優れる水性潤滑油の添加剤を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、下記の一般式(1)
【化2】
(式中、R1〜R5は、ヒドロキシアルキル基を表わし、R6及びR7は、アルキレン基を表わし、mは、0又は1以上の数を表わす。)
化合物と、
カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リシノレイン酸及びヒドロキシステアリン酸からなる脂肪酸及びブチルアシッドホスフェート、ヘキシルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ノニルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ドデシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、テトラデシルアシッドホスフェート、ヘキサデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート及びフェニルアシッドホスフェートからなる酸性リン酸エステルからなる群から選択されたアニオン性界面活性剤とからなる水性潤滑油添加剤である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の水性潤滑油添加剤には、上述の一般式(1)で表わされる化合物を使用する。一般式(1)において、R1〜R5は、ヒドロキシアルキル基を表わす。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、1−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル、1−ヒドロキシ−2−メチルプロピル等が挙げられる。2−ヒドロキシプロピルが最も好ましい。又、R6及びR7は、アルキレン基を表わす。アルキレン基としては例えばエチレン、プロピレン等が挙げられる。mは、0又は1以上の数を表わす。
【0007】
一般式(1)で表わされる化合物は、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の(ポリ)アルキレンポリアミンにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを付加させれば得ることができる。
【0008】
本発明の水性潤滑油添加剤は、水溶性潤滑油又は水分散性潤滑油に配合され、防錆性又は防黴性を発揮する。又、脂肪酸、酸性リン酸エステル等のアニオン性界面活性剤と共に配合された場合にはアニオン性界面活性剤の対イオンとして作用し、優れた潤滑性や防錆性を発揮し、配合性も良好である。
【0009】
本発明の水性潤滑油添加剤は、他の潤滑剤、例えば脂肪酸、酸性リン酸エステル、鉱油、合成油、油脂、極圧剤、油性剤、乳化剤、界面活性剤、防錆剤、防腐剤等と併用して水性潤滑油を調製することができる。脂肪酸としては例えば、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リシノレイン酸、ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。酸性リン酸エステルとしては、ブチルアシッドホスフェート、ヘキシルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ノニルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ドデシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、テトラデシルアシッドホスフェート、ヘキサデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、フェニルアシッドホスフェート等が挙げられる。
【0010】
鉱油としては、天然の原油から分離、蒸留、精製されるものをいい、パラフィン系、ナフテン系、或いはこれらを水素化処理、溶剤精製したもの等が挙げられる。これらのなかには、いわゆるスピンドル油、マシン油、タービン油、シリンダー油と称されている鉱油が含まれる。合成油とは、化学的に合成された潤滑油であって、ポリ−α−オレフィン、ポリイソブチレン(ポリブテン)、ジエステル、ポリオールエステル、リン酸エステル、ケイ酸エステル、ポリアルキレングリコール、ポリフェニルエーテル、シリコーン、フッ素化化合物、アルキルベンゼン等である。
【0011】
油脂としては例えば、アマニ油、エノ油、オイチシカ油、オリーブ油、カカオ脂、カポック油、白カラシ油、ゴマ油、コメヌカ油、サフラワー油、シナアット油、シナキリ油、大豆油、茶実油、ツバキ油、コーン油、ナタネ油、パーム油、パーム核油、ひまし油、ひまわり油、綿実油、ヤシ油、木ロウ、落花生油等の植物性油脂、馬脂、牛脂、牛脚脂、牛酪脂、豚脂、山羊脂、羊脂、乳脂、魚油、鯨油等の動物性油脂或いはこれらの水素化物が挙げられる。
【0012】
極圧剤としては例えば、硫化オレフィン、硫化パラフィン、硫化ラード等の硫化油、ジアルキルポリスルフィド、ジベンジルジスルフィド、ジフェニルジスルフィド、チウラムジスルフィド、チアジアゾール、ポリフェニレンスルフィド、アルキルメルカプタン、アルキルスルホン酸、ジンクジアルキルジチオホスフェート、ジンクジアルキルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジアルキルジチオカーバメート、硫化オキシモリブデンジアルキルジチオホスフェート、ホウ酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、アリールリン酸エステル類、アルキルチオリン酸エステル類、アリールチオリン酸エステル類、アルキルジチオリン酸エステル類、アリールジチオリン酸エステル類等が挙げられる。
【0013】
界面活性剤としては例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールモノアルキル(アリール)エーテル、ポリエチレングリコールジアルキル(アリール)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体、ポリオールエステル、ポリエーテルポリオール、アルカノールアミド、アルキルベンゼンスルホン酸、石油スルホネート等が挙げられ、これら界面活性剤は油性剤又は乳化剤としても作用することがある。
【0014】
本発明の水性潤滑油添加剤を配合した水溶性潤滑油又は水分散性潤滑油は、金属加工油、例えば切削加工、研磨加工、伸線加工、圧延加工、鍛造加工、プレス加工、押し出し加工、曲げ加工、絞り加工、張出し加工、しごき加工、ロール成形、剪断加工、回転加工、延ばし加工、引き抜き加工、施圧加工等の加工の際に使用することが好ましい。
【0015】
【実施例】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。尚、以下の実施例中、部及び%は特に記載がない限り重量基準である。
(製造例)
エチレンジアミン600gをオートクレーブに仕込み、120℃でプロピレンオキサイド2,320gを冷却しながら徐々に仕込んだ後、120℃で2時間反応させ、一般式(1)で表わされるN,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン2,900gを得た。これを化合物Aとする。
【0016】
下記の表の配合について、外観、5%水溶液におけるpH及び水溶性を測定した。
【0017】
【表1】
【0018】
上記の実施例1及び比較例1を比較すると、実施例1は外観がペースト状であり、固形状の比較例1よりも作業性がよかった。又、pHが低いために皮膚に対する刺激が少なく、水に対する溶解性も優れていた。実施例2及び比較例2を比較した場合も、実施例2は外観が液状であり、固形状の比較例2よりも作業性がよかった。又、pHが低いために皮膚に対する刺激が少なく、水に対する溶解性も優れていた。
【0019】
【表2】
【0020】
上記の実施例3及び4と比較例3及び4を比較すると、実施例3及び4は外観が液状であり、pHが低いために皮膚に対する刺激が少なく、水に対する溶解性も優れていた。比較例3及び4は赤く変色し安定性がよくなかった。
【0021】
(実施例5)エマルジョン金属加工油
鉱油 43
石油スルホネート 10
塩素化パラフィン 20
オレイン酸 5
ラウリルアルコール(7)エトキシレート 4
化合物A 10
防腐剤 3
水 5
上記組成物は水に安定に分散し、良好な切削性及び防錆性を示した。
【0022】
(実施例6)ソリュブル金属加工油
オレイン酸 15
ヤシ脂肪酸ジエタノールアミド 10
化合物A 40
防腐剤 3
水 32
上記組成物は水に溶解し、良好な切削性及び防錆性を示した。
【0023】
(実施例7)ソリュブル金属加工油
ポリオキシアルキレングリコール 30
カプリル酸 5
セバシン酸 2
化合物A 25
水 38
上記組成物は水に溶解し、良好な切削性及び防錆性を示した。
【0024】
【発明の効果】
本発明の効果は、防錆性、防黴性及び配合安定性に優れる水性潤滑油添加剤を提供したことにある。本発明によれば、従来使用されていたアルカノールアミン系防錆剤を配合した水性潤滑油に比べて人体に対する影響が少ないより安全な水性潤滑油が得られる。
Claims (2)
- 下記の一般式(1)
化合物と、
カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ゾーマリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ガドレン酸、エルカ酸、セラコレイン酸、リシノレイン酸及びヒドロキシステアリン酸からなる脂肪酸及びブチルアシッドホスフェート、ヘキシルアシッドホスフェート、オクチルアシッドホスフェート、2−エチルヘキシルアシッドホスフェート、ノニルアシッドホスフェート、デシルアシッドホスフェート、ドデシルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、テトラデシルアシッドホスフェート、ヘキサデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート及びフェニルアシッドホスフェートからなる酸性リン酸エステルからなる群から選択されたアニオン性界面活性剤とからなる水性潤滑油添加剤。 - 一般式(1)中のR1〜R5が炭素数2又は3のヒドロキシアルキル基であり、R6及びR7が炭素数2又は3のアルキレン基である、請求項1記載の水性潤滑油添加剤。
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JP21088597A JP3912443B2 (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | 水性潤滑油添加剤 |
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JP21088597A Expired - Lifetime JP3912443B2 (ja) | 1997-08-05 | 1997-08-05 | 水性潤滑油添加剤 |
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- 1997-08-05 JP JP21088597A patent/JP3912443B2/ja not_active Expired - Lifetime
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