JP3912057B2 - 車両用ヘッドレスト装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車などの車両に用いられる車両用ヘッドレスト装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両の後面衝突時に着座乗員の頭部を保護するようにした自動車のシートバックとしては、例えば特開平7−291005号公報に開示されるものがある。
【0003】
これは、車両の後面衝突時に、着座乗員に作用する慣性による動的荷重をシートバックが受け、これによって変位する部材の動きをヘッドレスト支持アームに伝えて、ヘッドレスト本体を車両前方に移動し、もって着座乗員の頭部が大きく後方移動するのを阻止できるようにしてある。
【0004】
また、実開平6−59163号公報には、車両の後面衝突時に、シートバックに内蔵したセンサーが着座乗員の慣性力で強く押されることにより、ヘッドレスト本体に内蔵されたエアバッグを膨張させることにより、着座乗員のけい部とヘッドレスト本体との間に空間が存在しても、頭部が後方に移動するのを防止できるようにしたエアバック装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前者のシートバックは着座乗員の慣性力を利用してヘッドレストを作動させるものであって、乗員の車両後方への変位が大きくなった時点で、始めてヘッドレスト本体が車両前方に移動されるものであるため、衝突直後の変位量が少ない時点ではヘッドレスト本体を十分に前方移動させることができないという課題があった。
【0006】
また、後者のエアバッグを用いたヘッドレストでは、着座乗員の耳元でエアバッグを展開させる際に爆発音が発生することになり、着座乗員の耳への負担が大きくなる可能性がある。
【0007】
そこで、本発明は車両の後面衝突を検知してヘッドレスト本体を車両前方に押し出すことにより、後面衝突時に着座乗員の慣性力を利用すること無く、着座乗員の頭部を確実かつ迅速に拘束することができる車両用ヘッドレスト装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、シートバックの上端部に、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト本体をステーを介して装着した車両用ヘッドレスト装置において、
前記ヘッドレスト本体は、左右方向の略中央部で分割して、その分割端と反対側の端部を前記ステーに対して回動可能に取り付けた左,右ヘッドレスト部材と、
前記左,右ヘッドレスト部材の分割端部間に張架した膜状体と、
前記左,右ヘッドレスト部材をそれぞれ車両前方に回動付勢し、膜状体を前方に押し出しつつ展開して車幅方向に張力を付与する回動付勢機構と、
前記左,右ヘッドレスト部材を前記回動付勢機構の付勢力に抗して初期位置に保持するロック手段と、
車両の後面衝突を検知して前記ロック手段を解除する制御手段と、
前記左,右ヘッドレスト部材の回動量の多少にかかわらず前記膜状体に常時車幅方向に張力を付与する膜状体緊張手段と、
を備えていて、
前記膜状体緊張手段は、前記左,右ヘッドレスト部材の分割端部の少なくとも一方に、前記膜状体を付勢力をもって巻き取るとともに、左,右ヘッドレスト部材の車両前方への回動に伴って膜状体を繰り出す巻取り機構であることを特徴としている。
【0010】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記巻取り機構から繰り出される膜状体の繰り出し部分に、車両後方への押圧力が作用することにより膜状体の繰り出しをロックする膜止め手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記膜止め手段は、前記巻取り機構に巻き取られた膜状体の巻回部分外周に挟着されるとともに、その両端部が膜状体の繰り出し部分両面に近接して配置される弾性部材からなる挟着部材で形成され、この挟着部材の両端部のうち膜状体の前面に配置される前方端部の先端部を、膜状体の後面に配置される後方端部の先端部に対向させ、該前方端部の前記巻回部分外周に当接する位置に支点突起を設けるとともに、後方端部の前記巻回部分外周に当接する位置に屈曲点を設けたことを特徴としている。
【0012】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記膜止め手段は、前記巻取り機構に巻き取られた膜状体の巻回部分の後方に配置されて、その中間部分が左,右ヘッドレスト部材側に回動自在に支持される回動部材で形成され、この回動部材の一端部を膜状体の後面に配置して、膜状体に作用する車両後方への押圧力の入力部とするとともに、他端部を前記巻回部分の外周に近接配置して、前記入力部に押圧力が入力された際に巻回部分に圧接する押圧部としたことを特徴としている。
【0013】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記入力部には、膜状体の前後両面に係止される係止部を設けたことを特徴としている。
【0014】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記膜止め手段は、回動部材を膜状体の上下両端部に1対設け、それぞれの回動部材の他端部を膜状体の巻回部分の車両前方側に延設し、その延設端部間を連結部で連結したことを特徴としている。
【0015】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記膜止め手段に、基端部が左,右ヘッドレスト部材側に回動自在に支持されるとともに、自由端部が前記巻回部分の外側に沿って膜状体の前面に配置される副膜止め部材を併設し、この副膜止め部材には、前記自由端部に着座乗員の頭部が接触可能な接触部を設けるとともに、中間部分に前記巻回部分の外周に圧接可能な押圧部を設けたことを特徴としている。
【0016】
請求項の発明にあっては、請求項1〜に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動付勢機構は、左,右ヘッドレスト部材をステーに対して上昇させるリフト機構と、このリフト機構による上昇に伴って左,右ヘッドレスト部材を車両前方に回動案内する回動機構と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
請求項の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動機構は、左,右ヘッドレスト部材に車両後方への押圧力が付加されることにより、これら左,右ヘッドレスト部材を前記ステー側に固定する固定機構を備えていて、該固定機構は、左,右ヘッドレスト部材側に設けた係合部材と、ステー側に設けられて該係合部材が係止可能な歯部と、を備えたことを特徴としている。
【0018】
請求項10の発明にあっては、請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動機構は、左,右ヘッドレスト部材と前記固定機構との間に相対回動を許容する相対回動部分を設け、この相対回動部分に左,右ヘッドレスト部材を車両前方に押圧する付勢手段を設けたことを特徴としている。
【0019】
請求項11の発明にあっては、請求項10に記載の車両用ヘッドレスト装置において、前記回動機構は、リフト機構による左,右ヘッドレスト部材の上昇量に対して、これら左,右ヘッドレスト部材の回動量を任意に調整する調整機構を備えていて、該調整機構は、左,右ヘッドレスト部材側またはステー側の一方に設けられ、上方に向かって左,右ヘッドレスト部材を車両前方に回動案内する方向に傾斜する螺旋溝を備え、この螺旋溝に、左,右ヘッドレスト部材側またはステー側の他方に設けられる係合子を摺動自在に係合したことを特徴としている。
【0021】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ヘッドレスト本体の左,右ヘッドレスト部材は、ロック手段によって初期位置に保持された状態で、回動付勢機構により車両前方に回動付勢されており、車両の後面衝突時には、制御手段によって前記ロック手段が解除されることにより、前記左,右ヘッドレスト部材は車両前方に回動する。すると、これら左,右ヘッドレスト部材の分割端部は車両前方に押し出された状態となり、該分割端部間に張架された膜状体が展開して該膜状体によって、着座乗員の頭部を拘束することができる。
【0022】
従って、ヘッドレスト本体を全体的に押し出す場合に比較して、頭部拘束部分つまり膜状体の確実かつ迅速な押し出しが可能となる。このため、乗員頭部のいち早い拘束が可能となり、ひいては保護安全性をより高めることができる。
【0023】
このとき、前記膜状体は、膜状体緊張手段によって左,右ヘッドレスト部材の回動量の多少にかかわらず常時張力が付与されるため、着座乗員の頭部に衝撃を与えること無く柔らかに拘束することができる。
【0024】
また、従来のように着座乗員の慣性による荷重変動を検知するのではなく、車両の後面衝突を検知してヘッドレスト本体を作動させるため、着座乗員の体重や着座姿勢に関係無く確実かつ迅速にヘッドレスト本体を作動させて乗員頭部を拘束することができる。 従って、シートバックには着座乗員の荷重変動を検知するための機構が不要となるため、このシートバックは幅寸法や高さおよび形状などに制約されること無く、本来の座り心地性を確保することができるとともに、シート自体の軽量化を達成することができる。
【0025】
しかも、前記膜状体緊張手段を巻取り機構として、膜状体を付勢力をもって巻き取るとともに、左,右ヘッドレスト部材の車両前方への回動に伴って膜状体を繰り出すようにしたので、左,右ヘッドレスト部材が最も車両前方に回動されて膜状体が完全に展開されるまでの間、膜状体を巻取り機構にコンパクトに格納することができるとともに、膜状体の繰り出しおよび格納をスムーズに行うことができる。
【0026】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、前記巻取り機構から繰り出される膜状体の繰り出し部分に膜止め手段を設けて、膜状体または左,右ヘッドレスト部材に車両後方への押圧力が作用することにより膜状体の繰り出しをロックするようにしたので、左,右ヘッドレスト部材の回動途中にあっても、緊張した膜状体によって頭部を拘束することができる。
【0027】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、前記膜止め手段を弾性部材からなる挟着部材で形成して、巻取り機構に巻き取られた膜状体の巻回部分外周に挟着するようにしたので、膜止め手段を簡単に装着することができる。また、膜止め手段を装着した状態で、膜状体の前面に配置される前方端部に、頭部が干渉するなどして車両後方への押圧力が作用すると、その前方端部は支点突起から先端部分が車両後方に折曲されつつ、膜状体を挟んで後面に配置される後方端部の先端部を押圧する。すると、この後方端部は屈曲点から先端部が車両後方に折曲され、これの反動で屈曲点は前記巻回部分に押し付けられる。従って、前記支点突起が前記巻回部分に押し付けられるのと相俟って、2箇所で巻回部分を押圧できるため、前記巻取り機構から膜状体が繰り出されるのを阻止して、頭部を確実に拘束することができる。
【0028】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、左,右ヘッドレスト部材の回動に伴って展開される膜状体に着座乗員の頭部が拘束されて、膜状体に車両後方への押圧力が作用すると、この押圧力が回動部材の入力部に入力される。すると、回動部材は回動支持した中間部分を中心として回動されるため、回動部材の押圧部は巻取り機構に巻き取られた膜状体の巻回部分に圧接され、巻取り機構から膜状体が繰り出されるのを阻止して、頭部を確実に拘束することができる。
【0029】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、前記入力部に設けた係止部が膜状体の前後両面に係止されるため、膜状体の前後移動に伴って回動部材は回動されることになる。従って、回動部材には、これを復帰するためのリターンスプリングが不要となり、構成部品点数を削減することができる。
【0030】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、上下に1対設けた回動部材の延設端部間を連結する連結部が膜状体の巻回部分の前方側に配置されるため、この連結部に着座乗員の頭部が接触することによっても、回動部材の押圧部を膜状体の巻回部分に圧接させることができる。従って、左,右ヘッドレスト部材の回動量が着座乗員の頭部幅より狭い初期段階で頭部が接触した場合にも、巻取り機構から膜状体が繰り出されるのを阻止し、ひいては、左,右ヘッドレスト部材のそれ以上の回動を阻止して、頭部を保護することができる。
【0031】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、副膜止め部材の接触部に着座乗員の頭部が接触して後方押圧力が作用することにより、押圧部が巻回部分の外周に圧接して巻取り機構から膜状体が繰り出されるのを阻止することができる。従って、左,右ヘッドレスト部材の回動量が小さな作動初期段階で頭部が接触した場合にも、左,右ヘッドレスト部材のそれ以上の回動を阻止して、頭部を保護することができる。
【0032】
請求項に記載の発明によれば、請求項1〜の発明の効果に加えて、後面衝突時に、左,右ヘッドレスト部材はリフト機構による上昇と回動機構による車両前方への回動とが同時に行われるため、結果的に左,右ヘッドレスト部材は上方に押し上げられつつ、車両前方に押し開かれることになる。このため、後面衝突時に着座乗員の胴体部分がシートバックに沿って持ち上げられた際に、乗員の後頭部が張架された膜状体の上に乗り上げるのを防止して、頭部の拘束を確実に行うことができる。
【0033】
請求項に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、車両前方に回動される左,右ヘッドレスト部材に着座乗員の頭部が干渉すると、この時点で左,右ヘッドレスト部材には車両後方への押圧力が付加されることになって、固定機構により左,右ヘッドレスト部材をステー側に固定することができる。これによって、左,右ヘッドレスト部材で乗員の頭部を前方に押し戻すのを防止できるとともに、逆に左,右ヘッドレスト部材が頭部によって後方へ押動されるのを防止することができる。
【0034】
請求項10に記載の発明によれば、請求項の発明の効果に加えて、左,右ヘッドレスト部材が車両前方に回動される途中で着座乗員の頭部が干渉した際に、これら左,右ヘッドレスト部材は付勢手段の付勢力に抗して相対回動部分で車両後方に若干押動されるが、このときの付勢力がクッションとなって頭部に衝撃を与えるのを緩和することができる。
【0035】
請求項11に記載の発明によれば、請求項8〜10の発明に加えて、リフト機構と調整機構との協働により左,右ヘッドレスト部材の上昇量に対する回動量を任意に調整できるため、膜状体の面軌跡を、後面衝突時に後方移動する着座乗員の頭部位置に適切に合わせて調整することが可能となり、乗員の頭部をより確実に拘束することができる。
【0036】
具体的には、この調整機構により左,右ヘッドレスト部材の上昇に伴って係合子が螺旋溝に沿って移動して、これら左,右ヘッドレスト部材が前方に回動される。このときの螺旋溝の傾斜角によって左,右ヘッドレスト部材の上昇量に対する回動量を簡単に調整することができる。また、係合子が螺旋溝を移動することにより左,右ヘッドレスト部材が開閉される構造であるため、左,右ヘッドレスト部材を押し下げることにより、係合子は螺旋溝内を逆に移動して左,右ヘッドレスト部材を閉じることができる。つまり、螺旋溝と係合子とは可逆式構造を構成し、一度の後面衝突に限らず左,右ヘッドレスト部材を何回でも使用できるため、結果的に安価な車両用ヘッドレスト装置を提供することができる。
【0037】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。尚、以下、各実施形態を説明するにあたって、前方とは車両前方を、後方とは車両後方を意味し、また、左右方向とは車両幅方向を意味するものとする。
【0038】
(第1実施形態)
図1から図23は本発明にかかる車両用ヘッドレスト装置の第1実施形態を示し、図1は初期状態にあるヘッドレスト本体を示す透視斜視図、図2はヘッドレスト本体の作動状態を示す透視斜視図、図3はヘッドレスト装置を装着したシートの全体斜視図、図4はヘッドレスト装置の要部を断面した拡大斜視図、図5はロック手段による係止状態を示すヘッドレスト本体の要部斜視図、図6はロック手段の解除状態を示すヘッドレスト本体の要部斜視図、図7はロック手段の斜視図、図8はロック手段の断面図、図9は制御手段の作動システムの説明図、図10は固定機構の背面斜視図、図11は固定機構の要部断面図、図12は固定機構の作動状態を示す平面図、図13は膜止め手段の取付け状態を示す作動完了状態にあるヘッドレスト本体の斜視図、図14は巻取り機構の断面図、図15は図13中A−A線に沿う拡大断面図、図16は膜止め手段の作動状態を示す拡大断面図、図17はロック手段の制御フローを示す説明図、図18はロック手段を解除する領域を相対距離と相対速度との関係で示す説明図、図19は従来と本実施形態のヘッドレスト装置による頸部下モーメントの比較特性図、図20は左,右ヘッドレスト部材の回動量変化と膜状体との関係を示す説明図、図21は左,右ヘッドレスト部材の回動量と膜止め手段および固定機構との関係を示す平面図、図22は回動初期にある左,右ヘッドレスト部材と固定機構との関係を示す平面図、図23は回動完了された左,右ヘッドレスト部材と固定機構との関係を示す平面図である。
【0039】
本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10は、図1〜4に示すように、乗員が着座する車両用シート100のシートバック101上端部に設けられ、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト本体10aを1対のステー20を介して上下位置調節可能に装着してある。これらステー20は、シートバック101の上端部に左右一対設けられた取付穴101aに高さ調整可能に挿入支持される。
【0040】
1対のステー20の中間部は、締付け固定用のナット21を介してベースプレート22に結合されることにより、ステー20の上端部はこのベースプレート22から上方に突出された構造となる。そして、このベースプレート22から突出されたステー20の突出端部20aに、前記ヘッドレスト本体10aが取り付けられるようになっている。
【0041】
<ヘッドレスト本体構造>
本実施形態では、前記ヘッドレスト本体10aを、左右方向の略中央部で分割した左,右ヘッドレスト部材11,12と、これら左,右ヘッドレスト部材11,12の分割端部11a,12a間に張架された膜状体13とによって構成してある。
【0042】
左,右ヘッドレスト部材11,12は、分割端部11a,12aとは反対側の端部11b,12bが、回動付勢機構30を介して前記ステー20に対して回動可能に取り付けられ、これら左,右ヘッドレスト部材11,12をそれぞれ前方(図中手前側)に回動付勢するようになっている。
【0043】
前記左,右ヘッドレスト部材11,12は、上,下の横アーム14,14aと、これら横アーム14,14aの分割端部11a側および12a側をそれぞれ結合する縦アーム15と、反対側端部11b側および12b側をそれぞれ結合するアウタシリンダー16と、によって略矩形状の骨格部分が形成される。この骨格部分はクッションパッド10bによって覆われる。また、前記膜状体13は所定長さに形成され、その両端部が左,右ヘッドレスト部材11,12の縦アーム15間に取り付けられ、前記クッションパッド10bの端末には膜状体13を挿通するための縦長の開口10cが設けられる。
【0044】
アウタシリンダー16は、前記ステー20の突出端部20aの下部に固定状態で外嵌されるインナシリンダー17に回転自在かつ軸方向に摺動自在に嵌合され、このインナシリンダー17を中心として左,右ヘッドレスト部材11,12は観音開き状に開閉可能となっている。図2に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12は予め設定した最大限の押し開き状態(最大回動状態)で、それぞれの縦アーム15が前方に突出されて左右方向に一定の間隔が設けられ、この一定の間隔が設けられた縦アーム15間で前記膜状体13が最大量展開されるようになっている。
【0045】
前記ステー20の突出端部20aの上端部には、図4に示すように、鍔状の端板17aが固定され、この端板17aの外周にアウタシリンダー16の上端部が回転自在かつ軸方向の摺動自在に嵌合されて、該アウタシリンダー16の上端部が端板17aの外周によって支持されるようになっている。
【0046】
<回動付勢機構>
前記回動付勢機構30は、左,右ヘッドレスト部材11,12をステー20に対して上昇させるリフト機構31と、このリフト機構31による上昇に伴って左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動案内する回動機構32とを備える。
【0047】
前記リフト機構31は、図4に示すように、インナシリンダー17の上端面と、アウタシリンダー16の上側部内周に一体に形成されたリング状の縮径部16aとの間に、スプリング33を縮設して構成される。このスプリング33と縮径部16aとの間には、滑りを良くするためにワッシャ34が介装される。
【0048】
従って、前記スプリング33によってアウタシリンダー16、つまり左,右ヘッドレスト部材11,12は常に上方に押し上げられる付勢力が与えられる。
【0049】
前記回動機構32は、図4に示すように、インナシリンダー17の外周に形成される螺旋溝32aと、アウタシリンダー16に設けられる係合子としてのボルト32bとによって構成される。螺旋溝32は、上方に向かって左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動案内する方向に傾斜し、この螺旋溝32aにボルト32bが摺動自在に係合される。
【0050】
従って、左,右ヘッドレスト部材11,12が前記リフト機構31のスプリング33によって上方に持ち上げられると、回動機構32のボルト32bはインナシリンダー17の螺旋溝32aに沿って上昇するため、結果的にボルト32bと一体のアウタシリンダー16を図中手前側に、つまり左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に押し開く方向に回動する。このため、螺旋溝32aの溝形状、つまり傾斜角によって左,右ヘッドレスト部材11,12の回動量を予め任意に設定しておくことができ、この螺旋溝32aを備えることにより、左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を調整する調整機構67が構成される。
【0051】
これにより、後面衝突時に着座乗員の胴体部分がシートバック101に沿って持ち上げられた際に、乗員の後頭部が張架された膜状体13の上に乗り上げるのを防止して、頭部の拘束を確実に行うことができる。このときの螺旋溝32aの傾斜角によって左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を簡単に調整することができる。また、ボルト32bが螺旋溝32aを移動することにより左,右ヘッドレスト部材11,12が開閉される構造であるため、左,右ヘッドレスト部材11,12を押し下げることにより、ボルト32bは螺旋溝32a内を逆に移動して左,右ヘッドレスト部材11,12を閉じることができる。つまり、螺旋溝32aとボルト32bとは可逆式構造を構成し、一度の後面衝突に限らず左,右ヘッドレスト部材11,12を何回でも使用できるため、結果的に安価な車両用ヘッドレスト装置を提供することができる。
【0052】
<ロック手段・制御手段>
前記左,右ヘッドレスト部材11,12の縦アーム15とベースプレート22との間には、図5〜図8に示すように、前記回動付勢機構30の付勢力に抗して左,右ヘッドレスト部材11,12を初期位置に保持するロック手段40が設けられるとともに、図9に示すように、自動車Mの後面衝突を検知して前記ロック手段40を解除する制御手段50が設けられる。
【0053】
ロック手段40は、図5〜図8に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12の縦アーム15の下端部15aをベースプレート22に挿入する係止穴41と、該ベースプレート22に設けられてこれら縦アーム15の下端部15aに形成したノッチ42に係脱自在に係合するソレノイド機構43とで構成される。係止穴41は、図5,図6に示すように、ベースプレート22の中央部に近接して1対形成される。
【0054】
ソレノイド機構43は、図7,図8に示すように、ベースプレート22の内部に収納され、前記係止穴41を挟んで前後方向片側に配置されるソレノイド43aと、前後方向他側に配置されて前記ノッチ42に係脱するロック爪43bと、で概ね構成される。
【0055】
ソレノイド43aは、電流が印加されることにより突出するロッド43cを備え、このロッド43cの先端部が前記ロック爪43bに連結されるとともに、このロック爪43bはスプリング43dによって前記ノッチ42への係合方向に常時付勢されている。
【0056】
従って、非通電状態にある通常時は、左,右ヘッドレスト部材11,12をスプリング33の上方向への付勢力に抗して押し下げて、縦アーム15の下端部15aを係止穴41に挿入することにより、その下端面でロック爪43bを一旦押し込んだ後、ノッチ42が位置した時点でこれにロック爪43bが係合してロックするようになっている。
【0057】
制御手段50は、図9に示すように、自動車Mの後面に設けて後方車両mとの相対速度を音波などを用いて検知するVセンサー51、車体Bに加わる加速度を検知するGセンサー52、自動車Mのリアバンパーに設けて後方車両mの接触圧を検知する圧力センサー53と、これら各センサーの信号を入力するコントローラ54とで構成される。そして、このコントローラ54では前記センサー51,52,53の検出信号を基に後面衝突を検出して前記ソレノイド43aに電流を印加し、前記ロック手段40を解除するようになっている。
【0058】
尚、Gセンサー52や圧力センサー53は実質的な衝突を検知する手段であるが、これ以外にも、図示は省略したがタッチセンサーや歪ゲージなどを用いることができる。
【0059】
<固定機構>
また、本実施形態では前記回動機構32に、左,右ヘッドレスト部材11,12に後方への押圧力が付加されることにより、これら左,右ヘッドレスト部材11,12をステー20側に固定する固定機構60が設けられる。
【0060】
図4,図10,図11に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12の上,下の横アーム14,14aはアウタシリンダー16と分離してあり、分離したこれら横アーム14,14aを、アウタシリンダー16に結合したブラケット61にピン62を介して前後方向に回動自在に連結して、相対回転部分が設けられる。
【0061】
そして、下方の横アーム14aの分離側端部に、アウタシリンダー16の略センター部分まで突出する係合部材63がボルト64固定される。アウタシリンダー16にはこの係合部材63の爪63aが挿通する窓部16bが形成される。
【0062】
一方、インナシリンダー17の外周の前記窓部16bに対応する部分に、前記係合部材63の爪63aが係合可能な複数の歯部を周方向に形成したラック65が形成される。このラック65はインナシリンダー17の全長に亘って形成される。
【0063】
また、前記横アーム14,14aとアウタシリンダー16との間には、図10に示すように、付勢手段としてのスプリング66が配置され、このスプリング66によって横アーム14,14aを前方に押圧付勢してある。このスプリング66は、ばね鋼で形成された線材を略矩形状に形作り、その1対の対向辺をく字状に折曲して形成される。
【0064】
そして、図11に示すように、スプリング66は、そのく字状の折曲部分66aを前記ピン62の前方側に係止して支点とし、一端部66bを横アーム14,14aの後方側に係止するとともに、他端部66cをアウタシリンダー16の後方側に係止し、これら両端部66b,66c間に前方への付勢力を付加するようになっている。
【0065】
従って、前記固定機構32は、スプリング66の付勢力により、図12中破線に示すように、常時は横アーム14,14aがピン62を中心として前方に回動された状態にあって、係合部材63の爪63aはラック65から離脱した状態にあり、アウタシリンダー16はインナシリンダー17に対して自由に回転できる状態にある。尚、ピン62を中心とする横アーム14,14aの回動量は、図12に示すように、横アーム14,14aの分離端に形成されたV字状凹部14bの両端角部の一方が、アウタシリンダー16の外周に接触する僅かの範囲として設定されている。
【0066】
そして、着座乗員の頭部Hが左,右ヘッドレスト部材11,12に触れるなどして、これら左,右ヘッドレスト部材11,12に後方への押圧力が作用すると、横アーム14,14aはスプリング66の付勢力に抗して後方に回動し、係合部材63の爪63aがラック65に係合する。すると、アウタシリンダー16はインナシリンダー17にロックされるようになっている。これにより、左,右ヘッドレスト部材11,12で乗員の頭部を前方に押し戻すのを防止できるとともに、左,右ヘッドレスト部材11,12が頭部によって後方へ押動されるのを防止することができる。
【0067】
<巻取り機構>
ところで、本実施形態では左,右ヘッドレスト部材11,12の少なくとも一方、本実施形態では図4,図14に示すように、左ヘッドレスト部材12の縦アーム15に、左,右ヘッドレスト部材11,12の回動量の多少にかかわらず前記膜状体13に常時張力を付与する膜状体緊張手段としての巻取り機構70を設けてある。勿論、この巻取り機構70は、左,右ヘッドレスト部材11,12のそれぞれの縦アーム15,15に設けることもできる。
【0068】
この巻取り機構70は、図14に示すように、縦アーム15の外周に巻取り方向に付勢されたコイルばね71を介して巻取筒72が相対回転自在に外嵌されることにより構成される。コイルばね71の一端部は縦アーム15に係止され、他端部は巻取筒72に係止される。そして、前記膜状体13の端部が、コイルばね71に十分な巻取り方向の付勢力を蓄積した状態で巻取筒72に固定され、このコイルばね71の付勢力で巻取筒72外周に膜状体13が巻回される。
【0069】
従って、前記巻取り機構70から膜状体13をコイルばね71の付勢力に抗して引き出すことにより、膜状体13はコイルばね71に巻取り方向の付勢力を蓄えつつ繰り出される。勿論、前記コイルばね71の巻取り方向の付勢力は、前記回動付勢機構30による左,右ヘッドレスト部材11,12の回動付勢力より小さく設定されている。このような構成により膜状体13をコンパクトに格納するとともに繰り出し格納をスムースに行なうことが出来る。
【0070】
<膜止め手段>
また、本実施形態では図13に示すように、前記巻取り機構70から繰り出される膜状体13の繰り出し部分13aに膜止め手段としての挟着部材80が設けられる。この挟着部材80は、ゴムなどの弾性部材によって両先端部が近接される断面U字状に形成され、膜状体13の幅W(図13参照)と略等しい長さLを有する。
【0071】
前記挟着部材80は、図15に示すように、前記巻取り機構70に巻き取られた膜状体13の巻回部分70aの外周に挟着されるとともに、その両端部81,82が膜状体13の繰り出し部分13a両面に近接して配置される。
【0072】
この挟着部材80の両端部81,82のうち膜状体13の前面13bに配置される前方端部81の先端部81aを、膜状体13の後面13cに配置される後方端部82の先端部82aに若干ヘッドレスト中央側にずらした状態で対向させてある。また、前記前方端部81には、前記巻回部分70aの外周に当接する位置に支点突起83が設けられるとともに、前記後方端部82には、前記巻回部分70aの外周に当接する位置に屈曲点84が設けられる。
【0073】
従って、前記挟着部材80は、図16に示すように、膜状体13の前面13bに配置される前方端部81に、着座乗員の頭部Hが干渉するなどして車両後方への押圧力が作用すると、その前方端部81は支点突起83から先端部81aが後方に折曲されつつ、膜状体13を挟んで後面13cに配置される後方端部82の先端部82aを押圧する。すると、この後方端部82は屈曲点84から先端部82aが後方に折曲され、これの反動で屈曲点84は前記巻回部分70aに押し付けられる。従って、前記支点突起83が前記巻回部分70aに押し付けられるのと相俟って、2箇所で巻回部分70aを押圧するようになっている。
【0074】
これにより膜状体13が繰り出されるのを阻止することが出来る。
【0075】
なお、前記後方端部82には、図16に示すように、先端部82aと屈曲部84との間に撓み防止の芯材85を埋設して、該屈曲部84の屈曲作用を積極的に行えるようにしておくことが望ましい。
【0076】
(作用)
以上の構成により本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10にあっては、図9に示すように、車両Mが後方車両mによって後面衝突されると、これをV,G,圧力センサー51,52,53や図外のタッチセンサーおよび歪ゲージなどで検知して、コントローラ54からロック手段40のソレノイド43aに電流を印加する。
【0077】
即ち、前記コントローラ54による制御は、例えば、図17に示すフローチャートに従って実行される。まず、ステップS1によってイグニッションスイッチのONによりヘッドレスト装置10を制御開始した時点では、ソレノイド43aに印加する電流(以下、ソレノイド電流と称する)はOFFになっている。
【0078】
この状態から次のステップS2では、Vセンサー51の検知信号から後方車両mを検知するとともに、同検知信号からステップS3で自車Mと後方車両mとの間の相対距離Sを算出するとともに、ステップS4で両車M,mの相対速度ΔVを算出する。
【0079】
そして、次のステップS5では、図18に示す制御マップに基づいて、ステップS3,S4で求めた相対距離Sおよび相対速度ΔVと、予め設定した相対距離Scrおよび相対速度ΔVcrとの関係を算出する。その結果、(S<Scr)と(V>Vcr)との両条件を満たすときに、後方車両mが自車Mに後面衝突することを予測し、ステップS6に進むとともに、それ以外の場合はステップS2にリターンされる。
【0080】
ステップS6では、ロック手段40のソレノイド43aに本来の電流値よりも小さな電流を印加し、予めソレノイド43aの作動レスポンスをあげておく。
【0081】
続いて、ステップS7では、Gセンサー52や圧力センサー53若しくはタッチセンサーや歪ゲージのいずれか1つを用いて、車両Mが実際に後面衝突されたことを検知し、次のステップS8で本来のソレノイド電流(最大電流)をソレノイド43aに印加する。これによってロック手段40が解除されることになる。つまり、ロック手段40が解除されると、ロック爪43bは縦アーム15のノッチ42から離脱し、スプリング33の上方への付勢力により、縦アーム15の下端部15aはベースプレート22の係止穴41から抜け出る。
【0082】
すると、左,右ヘッドレスト部材11,12は、図1に示す初期位置にある状態から前記スプリング33の上方付勢力により上昇しつつ、図2に示すアウタシリンダー16はボルト32bがインナシリンダー17の螺旋溝32aに沿って移動するため、左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動する。そして、アウタシリンダー16が更に上昇すると、これの内側に形成した縮径部16aが、ステー20の上端部に設けた端板17aに当接することによりアウタシリンダー16の上昇が停止され、この状態が図2に示す最大回動量となる。
【0083】
従って、このように左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動することにより、両者の縦アーム15間に取り付けられた膜状体13は、巻取り機構70から引き出されて展開される。つまり、この膜状体13は、左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇および回動により、上方かつ前方に押し出されることになり、後面衝突時の慣性力により着座乗員の頭部Hが後方に大きく移動するのをいち早く受け止めて拘束することができる。
【0084】
ところで、本実施形態では車両Mの後面衝突時に左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動されて膜状体13を押し出すようになっているので、従来のようにヘッドレスト本体を全体的に押し出す場合に比較して、頭部拘束部分つまり膜状体13の確実かつ迅速な押し出しが可能となる。このため、乗員頭部Hのいち早い拘束が可能となり、ひいては保護性能をより高めることができる。
【0085】
また、本実施形態は、従来のように着座乗員の慣性による荷重変動を検知するものではなく、Vセンサー51,Gセンサー52,圧力センサー53などによって車両Mの後面衝突を検知するため、着座乗員の体重や着座姿勢に関係無く、確実かつ迅速にヘッドレスト本体10aを作動させることができる。
【0086】
従って、シートバック101には着座乗員の荷重変動を検知するための機構が不要となるため、このシートバック101は幅寸法や高さおよび形状などに制約されること無く、本来の座り心地性を確保することができるとともに、シート100自体の軽量化を達成することができる。
【0087】
図19は本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10を用いて実験した場合の比較特性図を示し、横軸に時間、縦軸に着座乗員の頸部に作用するモーメント(荷重)をとって表す。同図中、aは衝突対応構造を持たない従来のヘッドレスト、つまりアクティブヘッドレスト構造を採らない場合、bは着座乗員の慣性による荷重移動を利用して後面衝突を検知する従来のアクティブヘッドレストの場合、cは本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10の場合をそれぞれ示す。
【0088】
即ち、この比較特性図から、bの従来のアクティブヘッドレストは、aのアクティブヘッドレスト無しの場合に比較して着座乗員の頭部保護に優れているが、このbのアクティブヘッドレストよりも、cの本実施形態の車両用ヘッドレスト装置10が、頭部との接触時間が早く、かつ発生する最大頭部荷重を更に低減できることが理解される。
【0089】
前述の後面衝突時に、左,右ヘッドレスト部材11,12は、リフト機構31による上昇と回動機構32による前方への回動とが同時に行われるため、結果的に左,右ヘッドレスト部材11,12は上方に押し上げられつつ前方に押し開かれることになる。このため、後面衝突時に着座乗員の胴体部分がシートバック101に沿って持ち上げられた際に、乗員の後頭部が張架された膜状体13の上に乗り上げるのを防止して、頭部Hの拘束を確実に行うことができる。
【0090】
また、回動付勢機構30は、リフト機構31と調整機構67との協働により左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を任意に調整できるため、膜状体13の面軌跡を、後面衝突時に後方移動する着座乗員の頭部H位置に合わせて任意に調整することが可能となり、頭部Hをより確実に拘束することができる。
【0091】
この調整機構67は螺旋溝32aとして構成されたので、該螺旋溝32aの傾斜角によって左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を簡単に調整することができる。
【0092】
また、ボルト32bが螺旋溝32aを移動することにより左,右ヘッドレスト部材11,12が開閉される構造であるため、左,右ヘッドレスト部材11,12を押し下げることにより、ボルト32bは螺旋溝32a内を逆(下方)に移動して左,右ヘッドレスト部材11,12を閉じることができる。つまり、螺旋溝32aとボルト32bとは可逆式構造を構成し、一度の後面衝突に限らず左,右ヘッドレスト部材11,12を戻すことにより何回でも使用できるため、結果的に安価な車両用ヘッドレスト装置10を提供することができる。
【0093】
ここで、左,右ヘッドレスト部材11,12の分割端部11a,12a間に張架された膜状体13は、前述のようにこれら左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動されることに伴って巻取り機構70からスムーズに繰り出されて、着座乗員の頭部Hを迅速に拘束するのであるが、左,右ヘッドレスト部材11,12が初期位置にあるときには該膜状体13は巻取り機構70に巻き取られた状態にあるため、膜状体13をコンパクトに格納して外観性およびヘッドレスト機能を向上することができる。
【0094】
また、前記膜状体13には巻取り機構70の巻取り付勢力が常時作用するため、図20に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12の回動位置に関係なく、膜状体13を常時緊張した状態に保持することができる。
【0095】
これにより回動途中でも確実な頭部拘束を行なうことが出来る。
【0096】
ところで、本実施形態では係合部材63およびラック65からなる固定機構60を設けたので、前方に回動される左,右ヘッドレスト部材11,12が着座乗員の頭部Hに干渉すると、この時点で横アーム14,14aには後方への押圧力が付加されることになって、固定機構60により左,右ヘッドレスト部材11,12をステー20側に固定することができる。これによって、左,右ヘッドレスト部材11,12が乗員の頭部Hを前方に押しやるのを防止できるとともに、逆に左,右ヘッドレスト部材11,12が頭部Hによって押し戻すのを防止することができる。
【0097】
また、前記固定機構60にスプリング66を設けたので、左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動される途中で着座乗員の頭部Hに干渉した際に、これら左,右ヘッドレスト部材11,12はスプリング66の付勢力に抗して後方に若干押動されるが、このときの付勢力がクッションとなって頭部Hに衝撃を与えるのを緩和することができる。
【0098】
更に、本実施形態では、前記巻取り機構70から繰り出される膜状体13の繰り出し部分13aに挟着部材80を設けたので、図21に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12が回動途中に有る場合に着座乗員の頭部Hが挟着部材80の前方端部81に接触すると、この接触部分に後方押圧力が作用する。すると、巻取り機構70の巻回部分70aには、挟着部材80の支点突起83と屈曲点84との2点が押し付けられて、膜状体13の繰り出しをロックすることができる。従って、このロックによって膜状体13のそれ以上の繰り出しを阻止できるため、この膜状体13によって頭部Hを確実に拘束することができる。
【0099】
このとき、前記挟着部材80によって膜状体13の繰り出しをロックした際、頭部Hの後方押圧力がこの膜状体13を介して横アーム14,14aに作用するため、固定機構60が確実に作動してアウタシリンダー16とインナシリンダー17とをロックすることができる。
【0100】
尚、前記左,右ヘッドレスト部材11,12が、図22に示すように、回動初期にあって分割端部11a,12a間の間隔が短い場合は、頭部Hが横アーム14,14aに直接接触して後方押圧力が作用するため、固定機構60が作動して左,右ヘッドレスト部材11,12を固定することができる。
【0101】
また、図23に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12が最大回動量にあって、展開完了された膜状体13に頭部Hが拘束された場合は、この頭部Hが挟着部材80に接触しないことから、膜状体13の張力のみが左,右ヘッドレスト部材11,12に入力されるため、前記固定機構60の作動によって左,右ヘッドレスト部材11,12が固定されることになる。
【0102】
(他の制御例)
ところで、本実施形態では前記コントローラ54は図17に示すフローチャートに従って制御する場合を開示したが、このコントローラ54によるロック手段40の解除制御は、これに限ること無く、例えば図24または図25に示すフローチャートによって制御することができる。以下、図24および図25のフローチャートを説明するが、前記図17のフローチャートと同一処理部分に同一ステップ番号を付加して、その説明を省略して述べる。
【0103】
図24に示すフローチャートは、図17のフローチャートに対してステップS6のソレノイドの作動レスポンスを上げる制御と、ステップS7の車両Mが実際に後面衝突されたことを検知する制御とを省略し、ステップS5で後方車両mが自車Mに後面衝突することを予測した段階でステップS8に進んで、本来のソレノイド電流(最大電流)をソレノイド43aに印加するようになっている。
【0104】
従って、このフローチャートを用いて制御した場合は、処理数の削減によって迅速な制御が可能になるとともに、ステップS5の後面衝突の予測でソレノイド電流を印加するため、後面衝突の直前で乗員の頭部保護の態勢を現出することができ、また、実際の後面衝突を検知する各種センサーを廃止してコスト低減を図ることができる。
【0105】
一方、図25に示すフローチャートは、更に制御を簡略化したもので、ステップS7で実際の後面衝突を検知した後、ステップS8で正規のソレノイド電流を印加するようになっている。
【0106】
従って、このフローチャートでは制御がより簡素化されるようになっており、コントローラ54の構造を簡単にして安価にできる。
【0107】
尚、本実施形態ではリフト機構31と調整機構67との協働により左,右ヘッドレスト部材11,12の上昇量に対する回動量を任意に調整できるため、膜状体13の面軌跡を、後面衝突時に後方移動する着座乗員の頭部位置に適切に合わせて調整することが可能となり、乗員の頭部をより確実に拘束することができる効果があるのはもちろんである。
【0108】
(第2実施形態)
図26〜図28は本発明の第2実施形態で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図26は膜状体の展開途中における膜止め手段の状態を示す平面図、図27は膜状体の展開完了時点における膜止め手段の状態を示す平面図、図28は左,右ヘッドレスト部材の回動量変化と膜止め手段との関係を示す説明図である。
【0109】
この第2実施形態では、図26に示すように、膜止め手段として回動部材90を用いている。この回動部材90は全体的に略L字状を成し、前記巻取り機構70に巻き取られた膜状体13の巻回部分70aの後方に配置され、その中間部分91が左,右ヘッドレスト部材11,12側となる横アーム14,14aに回動ピン94により回動自在に支持される。この場合、回動部材90は膜状体13の上下両端部に対を成して設けられることが望ましいが、いずれか一方の端部に設けることもできる。
【0110】
前記回動部材90の一端部92は、膜状体13の後面13cに配置して膜状体13に作用する後方への押圧力の入力部92aとなり、かつ、他端部93は、巻取り機構70の巻回部分70aの外周に近接配置して、前記入力部92aに押圧力が入力された際に巻回部分70aに圧接する押圧部93aとなっている。
【0111】
また、前記中間部分91の回動支持部分には、回動ピン94に外嵌するねじりばね95が設けられ、このねじりばね95の一端部95aが回動部材90に係止されるとともに、他端部95bが横アーム14,14aに係止されることにより、回動部材90に図中時計回り方向、つまり入力部92aが膜状体13に近接する方向に回動付勢されている。
【0112】
従って、この第2実施形態にあっては、図28に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動されるに連れて、ねじりばね95によって付勢された回動部材90の入力部92aは、巻取り機構70から繰り出されて展開される膜状体13に除々に近接し、膜状体13の展開終了時点では、図27に示すように、入力部92aが膜状体13に略接触した状態となる。
【0113】
この状態で着座乗員の頭部が膜状体13に拘束されると、膜状体13が受ける後方押圧力がこの膜状体13を介して回動部材90の入力部92aに入力される。すると、回動部材90は図中反時計回り方向に回動して、押圧部93aが巻取り機構70の巻回部70aが押し付けられ、巻取り機構70から膜状体13が繰り出されるのを阻止して、頭部を確実に拘束することができる。
【0114】
(第3実施形態)
図29,図30は本発明の第3実施形態で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図29は膜止め手段の取付け状態を示す平面図、図30は膜止め手段の要部を示す概略断面図である。
【0115】
この第3実施形態の膜止め手段は、前記第2実施形態と同様に回動部材90を用いたもので、本第3実施形態では、図29に示すように、この回動部材90の入力部92aに膜状体13の前後両面13b,13cに係止される係止部96を設けてある。
【0116】
前記係止部96は、前記入力部92aから膜状体13に対して直角となる方向に延設部材96aを設け、図30に示すように、入力部92aから膜状体13の後面13cに沿ってガイドピン96bを突設するとともに、延設部材96aの先端部から膜状体13の前面13bに沿ってガイドピン96c突設してある。
【0117】
従って、この実施形態では回動部材90の入力部92aに設けた係止部96が膜状体13の前後両面13b,13cに係止されるため、膜状体13の前後移動に伴って回動部材90は回動されることになる。従って、回動部材90には、これを復帰するためのリターンスプリング(第1実施形態のねじりばね95)が不要となり、構成部品点数を削減することができる。
【0118】
(第4実施形態)
図31は本発明の第4実施形態で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図31は膜止め手段の取付け状態を示す斜視図である。
【0119】
この第4実施形態の膜止め手段は、前記第2実施形態と同様に回動部材90を用いたもので、本第4実施形態では、図31に示すように、回動部材90を膜状体13の上下両端部に1対設け、それぞれの回動部材90の他端部93を膜状体13の巻回部分70aの前方側に延設し、その延設端部93b,93b間を連結部97で連結してある。
【0120】
従って、この実施形態では、連結部97が膜状体13の巻回部分70aの前方側に配置されるため、この連結部97に着座乗員の頭部が接触することによっても、回動部材90の押圧部93aを膜状体13の巻回部分70aに圧接させることができる。
【0121】
従って、左,右ヘッドレスト部材11,12の回動量が小さい時期、つまり各左,右ヘッドレスト部材11,12の縦ビーム15,15の間隔が着座乗員の頭部幅より狭い初期段階で頭部が接触した場合にも、巻取り機構70から膜状体13が繰り出されるのを阻止し、ひいては、左,右ヘッドレスト部材11,12のそれ以上の回動を阻止して、頭部を保護することができる。
【0122】
(第5実施形態)
図32,図33は本発明の第5実施形態で、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。尚、図32は膜止め手段の取付け状態を示す斜視図、図33は左,右ヘッドレスト部材の回動量変化と膜止め手段との関係を示す説明図である。
【0123】
この第5実施形態の膜止め手段は、図32に示すように、前記第2実施形態に示す回動部材90に副膜止め部材98を付加したものである。この副膜止め部材98は、基端部98aが回動部材90を回動支持する回動ピン94を介して横アーム14,14aに回動自在に支持されるとともに、自由端部98bが巻取り機構70の巻回部分70aの外側に沿って膜状体13の前面13bに配置される。
【0124】
この第5実施形態では、図33に示すように、前記回動部材90は左,右ヘッドレスト部材11,12の上,下横アーム14,14aに設けられるとともに、それぞれが膜状体13の上下端部に配置され、ヘッドレスト本体10aには計4個の回動部材90が設けられており、前記副膜止め部材98は左ヘッドレスト部材12に設けられる上下の回動部材90に対応して設けられる。
【0125】
副膜止め部材98は、図32に示すように、上下に配置された副膜止め部材98の自由端部98b間を着座乗員の頭部が接触される接触部98cで連結するとともに、副膜止め部材98の中間部分98dに前記巻回部分70aの外周に圧接可能な押圧部98eを設けてある。
【0126】
従って、この第5実施形態では、図33に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12が初期状態から回動完了状態まで回動される間に、副膜止め部材98は初期段階で自由端部98bが膜状体13の巻回部分70aの前側に配置されており、この初期状態から左,右ヘッドレスト部材11,12が前方に回動されるに連れて、副膜止め部材90の自由端部98bは巻回部分70aに対して側方に押し遣られる。
【0127】
従って、左,右ヘッドレスト部材11,12の回動量が小さな作動初期段階で、副膜止め部材98の接触部98cに着座乗員の頭部が接触して後方押圧力が作用することにより、押圧部98eが巻回部分70aの外周に圧接して、巻取り機構70から膜状体13が繰り出されるのを阻止することができる。
【0128】
また、頭部が副膜止め部材98に接触しなくなる左,右ヘッドレスト部材11,12の回動中段階以降では、回動部材90が作用して膜状体13の繰り出しを停止することができるため、膜状体13の展開途中のどの状態にあっても左,右ヘッドレスト部材11,12や膜状体13によって頭部を保護することができる。
【0129】
(第6実施形態)
図34〜図37は本発明の第6実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。なお、図34は膜状体13の格納状態を示す正面図、図35は膜状体13の展開状態を示す正面図、図36はロック手段40のロック状態を示す平面図、図37はロック手段40のロック解除状態を示す平面図である。
【0130】
この第6実施形態の車両用ヘッドレスト装置10は、前記第1実施形態と同様にヘッドレスト本体10aが左,右ヘッドレスト部材11,12によって構成され、これら左,右ヘッドレスト部材11,12は分割側端部11a,12aに縦アーム15が設けられるが、本実施形態では反対側端部11b,12bにも縦アーム19を設け、各左,右ヘッドレスト部材11,12は、上,下横アーム14,14aおよび縦アーム15,19によって矩形状の骨格構造が構成される。
【0131】
そして、左,右ヘッドレスト部材11,12は、縦アーム19の中間部から外方に向けてそれぞれ1本の連結アーム19aを一体に突設し、この連結アーム19aを介して左,右ヘッドレスト部材11,12はアウタシリンダー16に取り付けられる。なお、連結アーム19aは、前記第1実施形態と同様に固定機構60では、アウタシリンダー16に対して前後方向に僅かな相対回動が許容されるとともに、矩形状に折曲形成したスプリング66を介して左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動付勢してある。
【0132】
ところで、この第6実施形態のロック手段40は、ソレノイド45を備えたリンク機構46を介してアウタシリンダー16の上昇および回動を直接ロックするようになっている。
【0133】
前記ソレノイド45は、図34,図36に示すように、ベースプレート22の中央部に配置され、このソレノイド45のロッド45aが前方に向かって配置される。このロッド45aは、前記実施形態と同様に電流が印加されることにより突出するように設定されている。
【0134】
前記リンク機構46は、ベースプレート22の長さ方向、つまり左右方向に沿って配置され、前記ロッド45aの先端が後方側面に当接される中央リンク46aと、ベースプレート22の長さ方向両端部に位置して、このベースプレート22に形成された左右方向のガイド部22aで案内される端部リンク46b,46bと、これら中央リンク46aおよび端部リンク46b,46bを回動自在に連結する連結リンク46c,46cと、を備えて構成される。
【0135】
前記端部リンク46bはその中間部に設けたガイドスリット46eと、これに係合したガイド部22aの突起22bとの間に設けたスプリング46dによって外方に押圧付勢されるとともに、この端部リンク46bの先端部は側面楔状に尖角形成されて、アウタシリンダー16に形成された係止穴47に係脱される。
【0136】
即ち、ソレノイド45が非通電でロッド45aが非突出状態にあるときは、図36に示すように、スプリング46dの付勢力によりリンク機構46は全体的に伸展されて略直線状となり、端部リンク46bの先端部は係止穴47に係合される。この状態でアウタシリンダー16は、上昇および回転が阻止され、ひいては、左,右ヘッドレスト部材11,12は初期位置に保持される。尚、このソレノイド45の非通電状態では、連結リンク46cの後方側近傍にストッパーピン48が設けられ、連結リンク46cの逆折れが防止されるようになっている。
【0137】
一方、ソレノイド45に電流が印加されることにより、図37に示すように、ロッド45aは突出されて中央リンク46aを前方に変位させ、これによって端部リンク46bはスプリング46dの付勢力に抗して内方に引き寄せられ、端部リンク46bの先端部は係止穴47から離脱される。この状態でアウタシリンダー16はリフト機構31により上昇し、かつ、回動機構32により前方に回動される。
【0138】
従って、この実施形態にあっても前記実施形態と同様に、ソレノイド45に図17または図24,図25などに示した制御によって電流を印加することにより、リンク機構46の端部リンク46bが図37に示すように係止穴47から離脱してアウタシリンダー16がフリーとなる。これによって、リフト機構31および回動機構32が機能して、左,右ヘッドレスト部材11,12を上昇しつつ前方に回動し、膜状体13を前方に向かって斜め上方に押し出すことができるため、前記実施形態と同様の機能を発揮することができる。
【0139】
(第7実施形態)
図38,図39は本発明の第7実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。なお、図38はシートバックに取り付けたヘッドレスト本体の正面図、図39はヘッドレスト本体の要部を示す拡大正面図である。
【0140】
この第7実施形態の車両用ヘッドレスト装置10におけるヘッドレスト本体10aをシートバック101に取付けるステー20は、ベースプレート22を境にして左右方向にオフセットし、図39に示すように、ベースプレート22に対して下方のステー20bの間隔L1より上方のステー20cの間隔L2を大きくすることにより拡幅してある。
【0141】
従って、この実施形態では上方のステー20cに取り付けられるアウタシリンダー16間の間隔を大きくすることができるため、左,右ヘッドレスト部材11,12の左右幅を大きくして大型化することができる。このため、左,右ヘッドレスト部材1,12が前方に回動した状態では、膜状体13の前方押し出し量を増大して、着座乗員の頭部をより早く拘束することができるとともに、展開した膜状体13の面積をより広くして、より確実に頭部を拘束することができる。
【0142】
尚、この実施形態では下方のステー20bと上方のステー20cとをベースプレート22を境に分離して、図39に示すように、それぞれをナット23にねじ込み固定した場合を開示したが、これに限ることなく図40に示すように、下方のステー20bと上方のステー20cとを連続させてベースプレート22を貫通し、上方のステー20cをクランク状に折曲することにより拡幅することもできる。
【0143】
ところで、この実施形態では第1実施形態のヘッドレスト本体10aに適用した場合を開示したが、勿論、第6実施形態のヘッドレスト本体10aにこの実施形態を適用することもできる。
【0144】
(第8実施形態)
図41は本発明の第8実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。なお、図41は回動機構を部分的に破断した要部拡大斜視図である。
【0145】
即ち、この実施形態の回動機構32は、螺旋溝32aをアウタシリンダー16に形成するとともに、前記螺旋溝32aに係合されるボルト32bをインナシリンダー17に設けることにより構成してある。
【0146】
この実施形態にあっても、前記実施形態と同様にアウタシリンダー16が図外のリフト機構によって上昇すると、インナシリンダー17に固定されたボルト32bに規制されて螺旋溝32aが移動するため、アウタシリンダー16は上昇を伴いつつ回転される。尚、図41はアウタシリンダー16の上昇終了状態を示す。
【0147】
(第9実施形態)
図42,図43は本発明の第9実施形態を示し、前記各実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。なお、図42は回動付勢機構の作動前を示す要部断面斜視図、図43は回転付勢機構の作動後を示す要部断面斜視図である。
【0148】
即ち、この実施形態の回動付勢機構30のリフト機構31は、前記各実施形態と同様に、インナシリンダー17の上端面とアウタシリンダー16の縮径部16aとの間にスプリング33を縮設して構成されるが、回動機構32は、前記各実施形態とは異なり、図42,図43に示すように、回転ばね35を用いることによりアウタシリンダー16を回転させるようになっている。
【0149】
前記回転ばね35は回転方向に付勢力を蓄積できるばねで、渦巻きばねとして構成される。この回転ばね35は、内径端部または外径端部の一方がステー20側に軸方向の移動を許容しつつ係止されるとともに、他方がアウタシリンダー16に係止される。そして、図42に示すように、左,右ヘッドレスト部材11,12の初期位置で、これら左,右ヘッドレスト部材11,12を前方に回動する方向の付勢力を回転ばね35に与えておくことにより、前記各実施形態に示したロック手段40がロック解除されることにより、図43に示すように、アウタシリンダー16はスプリング33の付勢力で上昇しつつ、回転ばね35の付勢力でアウタシリンダー16が回転される。
【0150】
ところで、この実施形態では、図42に示すように、ステー20の上端部に設けた端板17aの下面に凹部17bを設けるとともに、前記縮径部16aの上面に前記凹部17bに係合される凸部16cを形成し、図43に示すように、アウタシリンダー16が上昇完了し、かつ回転完了した時点で凸部16cが凹部17bに係合して、アウタシリンダー16がインナシリンダー17に固定されるようになっている。
【0151】
従って、この実施形態では回転機構32が回転ばね35によって構成されるため、前記各実施形態に示した螺旋溝32aやボルト32bが不要となり、回転機構32の構成を簡略化することができる。
【0152】
ところで、本発明の車両用ヘッドレスト装置10は、前記各実施形態に限ることなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で各種実施形態を採ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す初期状態にあるヘッドレスト本体の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態を示す作動完了状態にあるヘッドレスト本体の斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置を装着したシートの全体斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置の内部構造を示す拡大斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態におけるヘッドレスト本体のロック手段による係止状態を示す要部斜視図である。
【図6】図5に示したヘッドレスト本体のロック手段の解除状態を示す要部斜視図である。
【図7】本発明の第1実施形態におけるロック手段の斜視図である。
【図8】図7に示したロック手段の断面図である。
【図9】本発明の第1実施形態における制御手段の作動システムの説明図である。
【図10】本発明の第1実施形態における固定機構の背面斜視図である。
【図11】図10に示した固定機構の要部断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態における固定機構の作動状態を示す平面図である。
【図13】本発明の第1実施形態における膜止め手段の取付け状態を示す作動完了状態にあるヘッドレスト本体の斜視図である。
【図14】本発明の第1実施形態における巻取り機構の断面図である。
【図15】図13のA−A線に沿う拡大断面図である。
【図16】図15に示した膜止め手段の作動状態を示す拡大断面図である。
【図17】本発明の第1実施形態におけるロック手段の制御フローの説明図である。
【図18】本発明の第1実施形態におけるロック手段を解除する作動領域を示す説明図である。
【図19】本発明の第1実施形態のヘッドレスト装置による頸部下モーメントの従来との比較特性図である。
【図20】本発明の第1実施形態における左,右ヘッドレスト部材の回動量変化と膜状体との関係を示す説明図である。
【図21】本発明の第1実施形態における左,右ヘッドレスト部材の回動量と膜止め手段および固定機構との関係を示す平面図である。
【図22】本発明の第1実施形態における回動初期にある左,右ヘッドレスト部材と固定機構との関係を示す平面図である。
【図23】本発明の第1実施形態における回動完了された左,右ヘッドレスト部材と固定機構との関係を示す平面図である。
【図24】本発明の第1実施形態に用いられるロック手段の他の制御フローの説明図である。
【図25】本発明の第1実施形態に用いられるロック手段の更に他の制御フローの説明図である。
【図26】本発明の第2実施形態における膜止め手段の膜状体展開途中の状態を示す平面図である。
【図27】図26に示した膜止め手段の膜状体展開完了時点における状態を示す平面図である。
【図28】本発明の第2実施形態における膜止め手段と左,右ヘッドレスト部材の回動量変化との関係を示す説明図である。
【図29】本発明の第3実施形態における膜止め手段の取付け状態を示す平面図である。
【図30】本発明の第3実施形態における膜止め手段の要部を示す概略断面図である。
【図31】本発明の第4実施形態における膜止め手段の取付け状態を示す斜視図である。
【図32】本発明の第5実施形態における膜止め手段の取付け状態を示す斜視図である。
【図33】図32に示した膜止め手段と左,右ヘッドレスト部材の回動量変化との関係を示す説明図である。
【図34】本発明の第6実施形態のヘッドレスト装置の膜状体格納状態を示す正面図である。
【図35】図34に示したヘッドレスト装置の膜状体展開状態を示す正面図である。
【図36】本発明の第6実施形態におけるロック手段のロック状態を示す平面図である。
【図37】図36に示したロック手段のロック解除状態を示す平面図である。
【図38】本発明の第7実施形態のヘッドレスト装置の正面図である。
【図39】図38に示したヘッドレスト本体の要部を示す拡大正面図である。
【図40】図38に示したヘッドレスト本体のステー構造の異なる例を示す拡大正面図である。
【図41】本発明の第8実施形態における回動機構を部分的に破断した要部拡大斜視である。
【図42】本発明の第9実施形態における回動付勢機構の作動前の要部断面斜視図である。
【図43】図42に示した回転付勢機構の作動後の要部断面斜視図である。
【符号の説明】
10 車両用ヘッドレスト装置
10a ヘッドレスト本体
11,12 左,右ヘッドレスト部材
13 膜状体
16 アウタシリンダー
17 インナシリンダー
20 ステー
22 ベースプレート
30 回動付勢機構
31 リフト機構
32 回動機構
32a 螺旋溝
32b ボルト(係合子)
35 回転ばね
40 ロック手段
43 ソレノイド機構
50 制御手段
54 コントローラ 60 固定機構
70 巻取り機構
70a 巻回部分
80 挟着部材(膜止め手段)
83 支点突起
84 屈曲点
90 回動部材(膜止め手段)
92a 入力部
93a 押圧部
96 係止部
97 連結部
98 副膜止め部材
98a 基端部
98b 自由端部
98c 接触部
98e 押圧部
100 シート
101 シートバック
M 自車
m 後方車両

Claims (11)

  1. シートバックの上端部に、着座乗員の頭部を支持するヘッドレスト本体をステーを介して装着した車両用ヘッドレスト装置において、
    前記ヘッドレスト本体は、左右方向の略中央部で分割して、その分割端と反対側の端部を前記ステーに対して回動可能に取り付けた左,右ヘッドレスト部材と、
    前記左,右ヘッドレスト部材の分割端部間に張架した膜状体と、
    前記左,右ヘッドレスト部材をそれぞれ車両前方に回動付勢し、膜状体を前方に押し出しつつ展開して車幅方向に張力を付与する回動付勢機構と、
    前記左,右ヘッドレスト部材を前記回動付勢機構の付勢力に抗して初期位置に保持するロック手段と、
    車両の後面衝突を検知して前記ロック手段を解除する制御手段と、
    前記左,右ヘッドレスト部材の回動量の多少にかかわらず前記膜状体に常時車幅方向に張力を付与する膜状体緊張手段と、
    を備えていて、
    前記膜状体緊張手段は、前記左,右ヘッドレスト部材の分割端部の少なくとも一方に、前記膜状体を付勢力をもって巻き取るとともに、左,右ヘッドレスト部材の車両前方への回動に伴って膜状体を繰り出す巻取り機構であることを特徴とする車両用ヘッドレスト装置。
  2. 前記巻取り機構から繰り出される膜状体の繰り出し部分に、車両後方への押圧力が作用することにより膜状体の繰り出しをロックする膜止め手段を設けたことを特徴とする請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  3. 前記膜止め手段は、前記巻取り機構に巻き取られた膜状体の巻回部分外周に挟着されるとともに、その両端部が膜状体の繰り出し部分両面に近接して配置される弾性部材からなる挟着部材で形成され、この挟着部材の両端部のうち膜状体の前面に配置される前方端部の先端部を、膜状体の後面に配置される後方端部の先端部に対向させ、該前方端部の前記巻回部分外周に当接する位置に支点突起を設けるとともに、後方端部の前記巻回部分外周に当接する位置に屈曲点を設けたことを特徴とする請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  4. 前記膜止め手段は、前記巻取り機構に巻き取られた膜状体の巻回部分の後方に配置されて、その中間部分が左,右ヘッドレスト部材側に回動自在に支持される回動部材で形成され、この回動部材の一端部を膜状体の後面に配置して、膜状体に作用する車両後方への押圧力の入力部とするとともに、他端部を前記巻回部分の外周に近接配置して、前記入力部に押圧力が入力された際に巻回部分に圧接する押圧部としたことを特徴とする請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  5. 前記入力部には、膜状体の前後両面に係止される係止部を設けたことを特徴とする請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  6. 前記膜止め手段は、回動部材を膜状体の上下両端部に1対設け、それぞれの回動部材の他端部を膜状体の巻回部分の車両前方側に延設し、その延設端部間を連結部で連結したことを特徴とする請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  7. 前記膜止め手段に、基端部が左,右ヘッドレスト部材側に回動自在に支持されるとともに、自由端部が前記巻回部分の外側に沿って膜状体の前面に配置される副膜止め部材を併設し、この副膜止め部材には、前記自由端部に着座乗員の頭部が接触可能な接触部を設けるとともに、中間部分に前記巻回部分の外周に圧接可能な押圧部を設けたことを特徴とする請求項またはに記載の車両用ヘッドレスト装置。
  8. 前記回動付勢機構は、左,右ヘッドレスト部材をステーに対して上昇させるリフト機構と、このリフト機構による上昇に伴って左,右ヘッドレスト部材を車両前方に回動案内する回動機構と、を備えたことを特徴とする請求項1〜のいずれか1つに記載の車両用ヘッドレスト装置。
  9. 前記回動機構は、左,右ヘッドレスト部材に車両後方への押圧力が付加されることにより、これら左,右ヘッドレスト部材を前記ステー側に固定する固定機構を備えていて、該固定機構は、左,右ヘッドレスト部材側に設けた係合部材と、ステー側に設けられて該係合部材が係止可能な歯部と、を備えたことを特徴とする請求項に記載の車両用ヘッドレスト装置。
  10. 前記回動機構は、左,右ヘッドレスト部材と前記固定機構との間に相対回動を許容する相対回動部分を設け、この相対回動部分に左,右ヘッドレスト部材を車両前方に押圧する付勢手段を設けたことを特徴とする請求項またはに記載の車両用ヘッドレスト装置。
  11. 前記回動機構は、リフト機構による左,右ヘッドレスト部材の上昇量に対して、これら左,右ヘッドレスト部材の回動量を任意に調整する調整機構を備えていて、該調整機構は、左,右ヘッドレスト部材側またはステー側の一方に設けられ、上方に向かって左,右ヘッドレスト部材を車両前方に回動案内する方向に傾斜する螺旋溝を備え、この螺旋溝に、左,右ヘッドレスト部材側またはステー側の他方に設けられる係合子を摺動自在に係合したことを特徴とする請求項10のいずれか1つに記載の車両用ヘッドレスト装置。
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