JP2011156934A - 乗員保護装置 - Google Patents

乗員保護装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2011156934A
JP2011156934A JP2010019028A JP2010019028A JP2011156934A JP 2011156934 A JP2011156934 A JP 2011156934A JP 2010019028 A JP2010019028 A JP 2010019028A JP 2010019028 A JP2010019028 A JP 2010019028A JP 2011156934 A JP2011156934 A JP 2011156934A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seat
vehicle
occupant
protection device
posture
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2010019028A
Other languages
English (en)
Inventor
Sadayuki Hayashi
貞幸 林
Hidekazu Nishigaki
英一 西垣
Yasuo Asaga
泰男 朝賀
Kanshin Kashiwabara
寛親 柏原
Tadao Ozawa
忠夫 小澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2010019028A priority Critical patent/JP2011156934A/ja
Publication of JP2011156934A publication Critical patent/JP2011156934A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Abstract

【課題】乗員を乗物の前面衝突に対し良好に保護することができる乗員保護装置を得る。
【解決手段】乗員保護装置10は、乗員Pを自動車Vの後側及び下側から支持する車両用シート11と、車両用シート11を自動車Vの減速に伴う慣性力によって前側でかつ上側に向けて回転されるように車体13に支持する支持構造12と、支持構造12が車体13に対し回転された姿勢を維持する姿勢維持構造14と、自動車Vの減速に伴う慣性力又は該自動車Vの前面衝突に伴う慣性力で、車両用シート11を車体13に対し後向きに移動させる座席移動構造と、を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、自動車等の乗物に適用される乗員保護装置に関する。
車両の前面衝突を障害物センサにより事前に検知したときに、シートを後傾させることで、乗員とステアリングホイールとの間隔を拡大し、衝突時のエネルギ吸収ストロークを大きくする技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、チャイルドシートがピンを介してシートに結合されることで、該チャイルドシートが360°方向からの衝撃に対し回転して緩衝されるようにした技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開2009−78639号公報 米国特許第6634708B2号明細書
上記した前者の技術では、車両の前面衝突を検知してシートを後傾させる際に急ブレーキがかかると、乗員が慣性で前方に移動しようとするのに対しシートベルト装置が設けられたシートが後方に移動することとなり、シートベルト装置による乗員の拘束力が強くなる。上記した後者の技術では、前面衝突の場合には慣性力でチャイルドシートが前側(衝突側)に移動するため、衝突による回転後の乗員保護について懸念がある。
本発明は、乗員を乗物の前面衝突に対し良好に保護することができる乗員保護装置を得ることが目的である。
請求項1記載の発明に係る乗員保護装置は、乗員を乗物の進行方向の反対側及び下側から支持する座席と、前記座席を、乗物の減速に伴う慣性力によって該乗物の進行側でかつ上側に向けて回転されるように乗物本体に支持する支持構造と、前記座席が前記乗物本体に対し回転された姿勢を維持する姿勢維持構造と、前記乗物の減速に伴う慣性力又は該乗物の進行側への衝突に伴う慣性力で、前記座席を前記乗物本体に対し前記乗物の進行方向とは反対向きに移動させる座席移動構造と、を備えている。
例えば乗物の進行側への衝突(以下、前面衝突という)が発生する際には、この前面衝突に先立って自動的に又は乗員の操作で制動動作が為され、乗物は減速されながら前面衝突に至ることとなる。請求項1記載の乗員保護装置では、この乗物の減速(加速度)に伴う慣性力によって、座席は支持構造によって案内されつつ乗員と共に乗物本体に対し進行方向(前方)及び上方に回転する。そして、座席は、姿勢維持構造によって乗物本体に対する回転後の姿勢が維持されると共に、座席移動構造によって乗物の進行方向とは反対側(後方)に移動される。
ここで、減速に伴う慣性力で座席が乗員と共に上記方向に回転するので、乗員は過度の拘束を受けることなく後傾姿勢となる。この後傾姿勢で座席と共に後方に移動される乗員は、その身体の各部に座席からの支持反力が分散され、局所的に大きな荷重が作用することが抑制される。また、後方に移動されることで、乗員の前方に該乗員のための空間が確保される。このため、乗員の前方に位置する乗物本体の部分と該乗員との干渉が抑制されたり、又は、乗員の緩衝ストロークが確保されたりする。
このように、請求項1記載の乗員保護装置では、乗員を乗物の前面衝突に対し良好に保護することができる。
請求項2記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1記載の乗員保護装置において、前記支持構造は、前記座席に着座した乗員の頭部に対する上側で一端側が前記乗物本体に回転可能に連結されると共に、他端側が前記座席に連結されたアーム部材を含んで構成されている。
請求項2記載の乗員保護装置では、アーム部材の一端が乗員の頭部よりも上側で乗物本体に回転可能に連結されているので、該連結部位の周りの回転によって乗員は、頭部を含む全体として座席と共に乗物の進行方向(前方)及び上側に回転することとなる。すなわち、座席及び乗員が一体的に乗物の減速に伴う慣性力で前方及び上方に移動することとなり、乗員が一層良好に保護される。
請求項3記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項2記載の乗員保護装置において、前記支持構造は、前記アーム部材の他端側が前記座席に回転可能に連結されると共に、前記乗物の減速に伴う慣性力によって前記座席が前記乗物の進行側でかつ上側に向けて回転しつつ、前記乗員の頭部が下方に変位される方向に該座席が前記アーム部材との連結部位回りに回転するように、一端側が前記乗物本体に回転可能に連結されると共に他端側が前記座席に回転可能に連結された姿勢調整リンクをさらに含んで構成されている。
請求項3記載の乗員保護装置では、座席がアーム部材を介して乗物本体(アーム部材の一端)及びアーム部材の他端のそれぞれに対し回転可能に支持されている。このため、座席は、単に1つの回転軸回りに回転可能に支持される構成と比べて、衝突初期に座席に入力される荷重が低減される。また、座席は、姿勢調整リンクによる拘束を受けつつ、乗員と共に後傾する方向にアーム部材との連結部位回りに回転する。このため、アーム部材の乗物本体に対する小さい回転角で、座席を、全体として前方に移動させながら大きく後傾された姿勢とることができる。
請求項4記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項3記載の乗員保護装置において、前記支持構造は、前記アーム部材及び姿勢調整リンクの少なくとも一方の回転を規制することで、前記座席を前記姿勢維持構造にて維持される姿勢とするストッパをさらに含み、かつ、前記アーム部材及び姿勢調整リンクの少なくとも一方が前記ストッパにて回転が規制される際に曲げ変形されるように構成されている。
請求項4記載の乗員保護装置では、アーム部材及び姿勢調整リンクの一方又は双方がストッパに当接すると座席の乗物本体に対するそれ以上の回転が規制される。このアーム部材及び姿勢調整リンクのうちストッパに当接する部材が該当接により曲げ変形(弾性変形でも塑性変形でも良い)されるので、該部材とストッパとの当接の伴う衝撃が緩和され、乗員に作用するピーク荷重が下がる。
請求項5記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1〜請求項4の何れか1項記載の乗員保護装置において、前記姿勢維持構造は、前記座席が前記乗員の背部を下方から支持すると共に該乗員の頭部を足よりも下方に位置させる該座席の姿勢を維持する構成とされている。
請求項5記載の乗員保護装置では、乗員がほぼ上向きとなる座席の姿勢が姿勢維持構造によって維持される。このため、乗員が前方に移動しようとする慣性力は、該乗員の背部や臀部に効果的に分散されながら支持される。そして、この姿勢では、上記慣性力による乗員の上体の前傾が生じないので、乗員の頭部が良好に保護される。
請求項6記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の乗員保護装置において、前記座席移動構造は、前記姿勢維持構造によって前記座席の姿勢が維持された後に、該座席を前記乗物本体に対し該乗物の進行方向とは反対向きに移動させる。
請求項6記載の乗員保護装置では、姿勢維持構造によって座席の姿勢が維持されてから該座席が座席移動構造によって後方に移動されるので、該後方への移動に伴って座席の姿勢が変化することが抑制され、乗員は安定した姿勢で良好に保護される。
請求項7記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1〜請求項6の何れか1項記載の乗員保護装置において、前記座席移動構造は、前記乗物本体に対し前記乗物の進行方向に相対変位可能に設けられた質量体と、前記質量体の前記乗物本体に対する進行方向への相対変位を前記座席の前記乗物に対する進行方向とは反対向きの変位に変換する変位変換構造と、前記質量体の前記乗物本体に対する進行方向への相対変位を禁止する禁止状態と該質量体の前記乗物に対する進行方向への相対変位を許容する許容状態とを切り替え得る質量体ロック構造と、を含んで構成されている。
請求項7記載の乗員保護装置では、質量体ロック構造が禁止状態をとる場合には、該ロック構造によって質量体の前方への変位(移動)が直接的又は間接的に規制されるので、座席移動構造による座席の後方への移動は生じない。一方、前面衝突の過程で質量体ロック構造が許容状態に切り替わると、質量体は慣性力で前方に移動する。すると、この質量体の移動(力)が変位変換構造によって座席の後方への移動(力)に変換され、座席は後方へ移動する。このように、減速又は衝突に伴う慣性力を利用して座席を後方に移動させることができる。
そして、質量体ロック構造が設けられているので、座席の後方への移動開始タイミングを制御することができる。例えば請求項6に従属する構成では、姿勢維持構造によって座席の姿勢が維持された後に、質量体ロック構造を禁止状態から許容状態に切り替えれることとなる。
請求項8記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項7記載の乗員保護装置において、前記変位変換構造は、前記質量体の前記乗物本体に対する進行方向への相対変位により引張られる引張部と、前記引張部の張力により前記座席を前記乗物本体に対する進行方向とは反対向きに引張る被引張部とを有して構成されている。
請求項8記載の乗員保護装置では、質量体が前方に移動すると引張部が引張られ、この張力が直接的又は間接的に被引張部に伝わる。この張力で被引張部は、座席を後向きに引張り、座席は後方に移動する。例えば、引張部と被引張部とが1本のワイヤ等の張力構造体を成す構成では、引張部の張力が直接的に被引張部に伝わる。また例えば、引張部の張力が巻取軸の回転力に変換され、この巻取軸の回転が被引張部の張力にさらに変換される構成では、引張部の張力が間接的に被引張部に伝わる。
請求項9記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項8記載の乗員保護装置において、前記変位変換構造は、前記引張部の張力により該張力方向に弾性的に伸長される伸長部をさらに備える。
請求項9記載の乗員保護装置では、変位変換構造が質量体の前方への移動に伴って引張部に張力が作用すると、伸長部が延びて座席すなわち乗員に衝撃荷重が入力されることが抑制される。伸長部は、例えば、引張部自体又は被引張部自体であっても良く、また例えば、引張部又は被引張部に直列に配置された弾性部材であっても良い。
請求項10記載の発明に係る乗員保護装置は、請求項1〜請求項9の何れか1項記載の乗員保護装置において、前記座席には、該座席に着座した乗員を拘束するためのシートベルト装置が設けられている。
請求項10記載の乗員保護装置では、乗員を拘束するシートベルト装置が座席に設けられているので、座席の乗物本体に対する相対変位(移動)が生じても該シートベルト装置による座席への乗員拘束性が確保される。また、上記の通り乗員は、座席と共に慣性で乗物本体に対し回転するので、シートベルト装置による乗員の拘束力の上昇が抑制される。
以上説明したように本発明に係る乗員保護装置は、乗員を乗物の前面衝突に対し良好に保護することができるという優れた効果を有する。
第1の実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を模式的に示す側面図である。 第1の実施形態に係る乗員保護装置の前面衝突時の動作を説明するための図であって、(A)は衝突前の側面図、(B)は車両用シートの回転過程の側面図、(C)は車両用シートが保護姿勢に至った場合の側面図、(D)は車両用シートが後退された状態の側面図である。 第2の実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を模式的に示す側面図である。 第3の実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を模式的に示す側面図である。 第4の実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を模式的に示す側面図である。 第5の実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を模式的に示す側面図である。 第6の実施形態に係る乗員保護装置の概略全体構成を模式的に示す側面図である。
本発明の第1の実施形態に係る乗員保護装置10について、図1〜図2に基づいて説明する。なお、各図に適宜示す矢印FR、矢印UPは、乗員保護装置10が搭載された乗物としての自動車Vの前方向(進行方向)、上方向をそれぞれ示すものとする。
図1には、乗員保護装置10の概略全体構成が模式的な側面図にて示されている。この図に示される如く、乗員保護装置10は、座席としての車両用シート11と、自動車Vの前面衝突の際に車両用シート11を乗物本体としての車体13に対し相対変位可能に支持する支持構造12と、車両用シート11の車体13に対する相対変位後の姿勢を維持するための姿勢維持構造14と、自動車Vの前面衝突の際に車両用シート11を後方に移動させる座席移動構造としてのシート変位機構16とを含んで構成されている。
車両用シート11は、シートクッション11Aと、シートバック11Bと、ヘッドレスト11Cとを含んで構成されている。また、この実施形態における車両用シート11は、乗員Pの足Fを載せるフットレスト11Dが設けられている。さらに、車両用シート11には、該車両用シート11に着座した乗員Pを拘束するためのシートベルト装置18が設けられている。
シートベルト装置18は、車両用シート11に固定された図示しないリトラクタと、一端側がリトラクタに引き出し可能に巻き取られると共に他端側が図示しないアンカを介して車両用シート11に固定されたウエビング20と、ウエビング20の中間部を車両用シート11に脱着可能に係止するためのバックル装置22とを含んで構成されている。リトラクタ、アンカ、バックル装置22が車両用シート11に設けられたシートベルト装置18は、車両用シート11の車体13に対する位置、姿勢に依らず、該車両用シート11に乗員Pを適正に拘束し得る構成とされている。
支持構造12は、シート変位機構16を構成する後述の支持フレーム34を介して車両用シート11を車体13に対し回転可能に支持している。すなわち、支持構造12においては、支持フレーム34を車体(乗物本体)として捉えることができる。支持構造12について具体的に説明すると、該支持構造12は、アーム部材としてのメインリンク24と、姿勢調整リンクとしてのサブリンク26とを含んで構成されている。
メインリンク24は、その上端24Aが支持フレーム34に回転可能に連結されると共に、その下端24Bが車両用シート11を構成するシートクッションの前部に回転可能に連結されている。上端24Aと支持フレーム34との連結部位J1は、車両用シート11に着座した乗員Pの頭部Hに対する上側とされている。この実施形態では、連結部位J1は、頭部Hに対し若干後方に配置されている。
サブリンク26は、その上端26Aが支持フレーム34に回転可能に連結されると共に、その下端26Bが車両用シート11を構成するシートクッションの後部に回転可能に連結されている。サブリンク26の上端26Aの支持フレーム34に対する連結部位は、上記の連結部位J1に対する前方とされている。これにより、メインリンク24とサブリンク26とは、側面視でX字状に交差されている。このメインリンク24とサブリンク26とは、支持フレーム34及び車両用シート11とで、支持フレーム34を固定リンクとする4節リンク機構を成している。
この支持構造12では、メインリンク24が支持フレーム34に対し矢印A方向に回転すると、車両用シート11が支持フレーム34すなわち車体13に対し前方でかつ上方に回転するようになっている。また、支持構造12では、メインリンク24が支持フレーム34に対し矢印A方向に回転すると、サブリンク26の拘束によって、車両用シート11がメインリンク24の下端24Bとの連結部位J2回りに後傾(矢印B参照)する構成とされている。
以上により、支持構造12では、自動車Vの減速に伴い生じる慣性力によって、車両用シート11が図2(A)〜図2(C)に示される如く、矢印A方向に回転されつつ矢印B方向に後傾される構成とされている。すなわち、図2(C)に示される如く、車両用シート11は、図2(A)に示される通常姿勢からメインリンク24が90°未満の所定角度だけ矢印B方向に回転することで、乗員Pがほぼ上向きとなる(略90°回転する)保護姿勢に変位されるように、支持構造12を介して支持されている。この車両用シート11の保護姿勢は、乗員Pの頭部Hは足Fに対し若干下側に位置する姿勢として設定されている。
なお、この実施形態に係る支持構造12では、自動車Vの通常走行時の減速(ブレーキ操作)では車両用シート11の支持フレーム34に対する上記の相対変位は生じず、自動車Vの急減速(急ブレーキ)の際に車両用シート11の支持フレーム34に対する上記の相対変位が生じる構成とされている。この構成は、例えば、支持フレーム34と、車両用シート11、メインリンク24、及びサブリンク26の少なくとも1部との摩擦等により実現することができる。
支持構造12は、車両用シート11の保護姿勢を超えた矢印A方向への回転を規制するストッパ28を備えている。この実施形態では、ストッパ28は、支持フレーム34に設けられてメインリンク24の矢印A方向への回転を規制する構成とされている。なお、ストッパ28に代えて、又はストッパ28と共に、サブリンク26の回転を規制するストッパを設けても良く、車両用シート11と支持フレーム34との間にストッパを設けても良い。また、この実施形態におけるメインリンク24は、ストッパ28への当接に伴って曲げ変形を生じる(撓む)ようになっている。このメインリンク24の撓みは、弾性変形であってもよく、塑性変形であっても良い。
姿勢維持構造14は、メインリンク24と支持フレーム34との連結部位J1に設けられたラチェット機構として構成されている。この姿勢維持構造14は、メインリンク24の矢印A方向への回転に追従する回転体30と、回転体30の外周に形成されたラチェット歯30Aと、支持フレーム34に支持されると共にラチェット歯30Aに噛み合い可能なパウル32とを含んで構成されている。姿勢維持構造14では、パウル32は、回転体30の矢印A方向への回転を許容する一方、該回転体30のラチェット歯30Aと噛み合うことで該回転体30の矢印Aとは逆向きの矢印C方向への回転を禁止する構成とされている。
これにより、乗員保護装置10では、支持フレーム34に対し矢印A方向に回転された車両用シート11が矢印C方向に戻ってしまうことが防止されるようになっている。そして、メインリンク24がストッパ28に当たって車両用シート11が保護姿勢に至ると、該保護姿勢からの通常姿勢側の矢印C方向の回転が姿勢維持構造14によって禁止されるので、車両用シート11が保護姿勢に維持されるようになっている。なお、姿勢維持構造14は、例えば各回転位置で矢印C方向の回転を阻止すべく複数(多数)のラチェット歯30Aを有して構成されても良く、また例えば回転体30における保護姿勢に応じた位置に単一のラチェット歯30Aを設けて構成されても良い。さらに、姿勢維持構造14として、ラチェット機構に代えて、ワンウェイクラッチ等を採用しても良い。
シート変位機構16は、車両用シート11を車体13に対し前後方向にスライド可能に支持する支持フレーム34と、車体13に対し前後方向にスライド可能に設けられた質量体としてのカウンターマス36と、カウンターマス36の前方への移動を支持フレーム34の後方への移動に変換する変位変換構造38とを主要部として構成されている。
支持フレーム34は、上記の通りメインリンク24、サブリンク26を介して車両用シート11を支持すると共に、例えば車体13のフロアとの間に設けられた図示しないスライドレールを介して、該車体13に対し前後方向にスライド可能に支持されている。これにより、車両用シート11は、通常使用位置(範囲)に対する後方に、支持フレーム34と共に移動可能とされている。上記の如く車両用シート11からは乗物本体として捉えられた支持フレーム34は、カウンターマス36に対しては車両用シート11として捉えることができる。
カウンターマス36は、例えば車体13のフロアとの間に設けられた図示しないスライドレールを介して、該車体13に対し前後方向にスライド可能に支持されている。これにより、カウンターマス36は、初期位置に対する前方に移動可能とされている。この実施形態では、カウンターマス36の質量は、車両用シート11(支持フレーム34含む)の質量と乗員Pの質量との和よりも大きい設定とされている。
変位変換構造38は、一端が支持フレーム34に接続されると共に他端がカウンターマス36に接続された引張部及び被引張部としての張力構造体であるワイヤ40と、支持フレーム34及びカウンターマス36の後方で車体13に回転可能でかつ前後方向に移動不能に支持されると共にワイヤ40の中間部が巻き掛けられたプーリ42とを主要部として構成されている。これにより、カウンターマス36が前方に移動すると、ワイヤ40におけるプーリ42に対するカウンターマス36側の部分(引張部)には前向きの引張力Ffが作用し、ワイヤ40におけるプーリ42に対する支持フレーム34側の部分(被引張部)には後向きの引張力Frが作用が作用する構成とされている。
そして、カウンターマス36の質量が車両用シート11(支持フレーム34含む)の質量と乗員Pの質量との和よりも大きい設定により、カウンターマス36に前向きの慣性力が作用すると、該カウンターマス36の前方への移動に伴って支持フレーム34と共に車両用シート11が後方に移動する構成とされている。
また、シート変位機構16は、カウンターマス36の前方への移動をロックするロック状態(禁止状態)と、該ロック状態を解除するロック解除状態(許容状態)とをとり得る質量体ロック構造としてのロック機構44を備えている。ロック機構44は、カウンターマス36の前方に突出したロック位置(図1の実線参照)と、該ロック位置から退避した解除位置である解除位置(図1の実線参照)とをとり得るロック部材46と、通常はロック部材46をロック位置に保持し作動されることでロック部材46を解除位置に移動させるアクチュエータ48とを含んで構成されている。なお、例えば、ロック部材46が、スプリング等の付勢部材にてロック位置に保持(偏倚)される構成としても良い。また例えば、ロック機構44は、直接的には支持フレーム34の後方への移動をロック、ロック解除する構成であっても良い。
このロック機構44によって、乗員保護装置10は、カウンターマス36が前面衝突に伴う慣性力によって前方に移動するタイミングすなわち車両用シート11が後方に移動されるタイミングを、ロック機構44のアクチュエータ48の作動タイミングによって制御可能な構成とされている。
そして、このロック機構44のアクチュエータ48の作動タイミングは、制御装置としての衝突ECU50によって制御されるようになっている。衝突ECU50は、車両用シート11の姿勢を検出するためのシート角度センサ52及びアクチュエータ48のそれぞれと電気的に接続されている。衝突ECU50は、アクチュエータ48からの信号に基づいて車両用シート11が通常姿勢から保護姿勢に至ったと判断した場合に、アクチュエータ48に動作信号を出力する(給電する)構成とされている。
なお、シート角度センサ52は、例えばメインリンク24の支持フレーム34に対する傾斜角に応じた信号を出力するエンコーダ等とすることができる。また、シート角度センサ52として、姿勢維持構造14を構成する回転体30のラチェット歯30Aとパウル32との噛み合い(接触)を検出するスイッチを用いても良い。この構成では、車両用シート11の保護姿勢が姿勢維持構造14によって維持された後に、シート変位機構16をロック解除状態にすることができる。
次に、第1の実施形態の作用を説明する。
上記構成の乗員保護装置10では、適用された自動車Vの前面衝突に先立って、乗員の操作によって又はプリクラッシュシステム等によって自動的に急ブレーキがかけられる。すると、自動車Vは急減速され、この急減速に伴う慣性力で車両用シート11は、図2(A)に示される通常姿勢から、図2(B)に示される如くメインリンク24、サブリンク26によって支持(案内)されながら、前方でかつ上方に向けて回転される。
この回転に伴ってメインリンク24がストッパ28に当接すると、車両用シート11のそれ以上の回転が禁止されると共に、図2(C)に示される如く車両用シート11が保護姿勢に至る。すると、姿勢維持構造14を構成する回転体30のラチェット歯30Aがパウル32との係合位置に至り、該ラチェット歯30Aとパウル32との係合によってメインリンク24すなわち車両用シート11の矢印C方向の回転が規制される。これにより、車両用シート11は、支持フレーム34(車体13)に対し保護姿勢が維持される。
また、シート角度センサ52からの信号に基づいて車両用シート11が保護姿勢に至ったと判断した衝突ECU50は、アクチュエータ48を作動させる。すると、ロック部材46がロック位置から解除位置に移動して、ロック部材46の車体13に対する前方へのスライド可能な状態となる。
そして、車両用シート11が保護姿勢に至る過程で自動車Vの前面衝突が生じた場合は急減速に伴う慣性力で、車両用シート11が保護姿勢に至った後に自動車Vの前面衝突が生じた場合は衝突に伴う慣性力で、図2(D)に示される如く、カウンターマス36が車体13に対し前方に移動する。これにより、支持フレーム34がワイヤ40を介して後方に引張られ、該支持フレーム34と共に車両用シート11が保護姿勢のまま後方に移動される。
ここで、乗員保護装置10では、急減速に伴う慣性力で車両用シート11が保護姿勢に至る構成であるため、この保護姿勢に至る過程の車両用シート11は、車両用シートが慣性力に抗して後方に引き倒されることなく、乗員Pと共に回転する。特に、メインリンク24の上端24Aが乗員Pの頭部Hの上方に位置するので、車両用シート11は、全体として通常位置に対し前方に移動する(通常姿勢に対し後方に移動する部分がない)。これにより、慣性力による車両用シート11及び乗員Pの移動方向がほぼ一致されるので、例えば車両用シートが慣性力に抗して後方に引き倒される比較例と比較して、乗員Pに対するシートベルト装置18による拘束力が抑制される。
また、この保護姿勢は、図2(C)に示される如く乗員Pがほぼ上側を向くと共に頭部Hが足Fよりも若干下側に位置する姿勢であるため、乗員Pの前方への慣性力が乗員Pの背部(シートバック11B)、臀部(シートクッション11A)、足F(フットレスト11D)、後頭部(ヘッドレスト11C)等に分散して支持される。
例えば、通常姿勢で前面衝突に至る比較例では、乗員Pは主にその上体がシートベルト装置18のウエビング20にて拘束されることで、前方への移動が抑制されるので、上体に荷重が集中しやすい。
これに対して乗員保護装置10では、上記の保護姿勢で、上記の通り乗員Pの身体の各部で荷重を分散支持することができ、該乗員Pの身体に局所的に大きな荷重が作用することが防止又は効果的に抑制される。さらに、上記の通り各部に分散された荷重により、背部、臀部、後頭部がシートクッション11A、ヘッドレスト11C、シートバック11Bに沈み込むので、動荷重が効果的に吸収される。しかも、上記の保護姿勢では、通常姿勢のように慣性力で乗員Pの上体が前傾することに伴い頭部Hが前方に移動することがないので、乗員Pの頭部Hの保護性が高い。
さらに、乗員保護装置10では、シート変位機構16を備えることで自動車Vの前面衝突又は急減速に伴って車両用シート11が後方に移動される構成とされているため、車両用シート11すなわち乗員Pの前方の空間が広がる。このため、乗員Pの前方に位置する自動車Vの構成部分(例えば、インストルメントパネル、ステアリングホイール、前席等)と該乗員Pとの干渉が抑制されたり、又は、乗員Pの衝撃吸収ストロークが確保されたりする。
特に、乗員保護装置10では、姿勢維持構造14、ロック機構44を含むシート変位機構16を備えているので、保護姿勢が維持された車両用シート11が乗員Pと共に後方に移動する。このため、慣性力に抗して後方に移動することに伴う荷重が、上記の通り乗員Pの身体の各部に分散される。これにより、前面衝突の過程で乗員Pの身体に作用するピーク荷重は、後方に移動することなく通常姿勢でシートベルト装置18により拘束されることにより乗員Pの身体に作用するピーク荷重と比較して、十分に低く抑えられる。すなわち、乗員保護装置10では、乗員Pに作用するピーク荷重の低減と、乗員Pの前方に該乗員Pの保護のための空間を確保(拡大)することとを両立することができる。
このように、第1の実施形態に係る乗員保護装置10では、乗員Pを自動車Vの前面衝突に対し良好に保護することができる。
また、乗員保護装置10では、メインリンク24がストッパ28に当接する車両用シート11の保護姿勢に至ると、メインリンク24が撓むので、該メインリンク24とストッパ28との当接に伴う衝撃荷重が緩和される。すなわち、乗員Pへの入力荷重が低減される。
なお、乗員保護装置10において、急ブレーキをかけることなく前面衝突前に至った場合について補足する。この場合、衝突に伴う加速度(減速度)により、車両用シート11は乗員Pと共に通常姿勢から保護姿勢側に変位される。このため、車両用シート11が保護姿勢に至った場合には、急ブレーキで保護姿勢側への回転を開始する場合に比べて効果は小さいものの、上記と同様に衝突に伴う荷重を乗員Pの身体に各部で分散支持させることができ、また車両用シート11の後方への移動により乗員Pのための空間を確保することができる。一方、仮に保護姿勢まで至らなくても、前方への荷重を上体(ウエビング20)、臀部(シートクッション11A)、足F(フットレスト11D)で分散支持させることができる。
次に、本発明の他の実施形態を説明する。なお、上記した第1の実施形態又は前での構成と基本的に同一の部品、部分については、上記した第1の実施形態又は前での構成と同一の符号を付して説明省略する。
(第2の実施形態)
図3には、第2の実施形態に係る乗員保護装置60が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、乗員保護装置60は、変位変換構造38に代わりシート変位機構16を構成する変位変換構造62が、ワイヤ40の張力(引張力)にて伸張される伸長部64を備えている点で、第1の実施形態に係る乗員保護装置10とは異なる。
変位変換構造62では、支持フレーム34とワイヤ40の他端との間に伸長部64が直列に設けられている。伸長部64は、例えば引張コイルスプリングやゴムチューブなどで構成されており、張力に対し弾性的に伸長(伸縮)する構成とされている。これにより、乗員保護装置60では、カウンターマス36が前方に移動すると、伸長部64が伸長されつつ支持フレーム34が車両用シート11と共に後方に移動される構成とされている。乗員保護装置60における他の構成は、乗員保護装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第2の実施形態に係る乗員保護装置60によっても、基本的に第1の実施形態に係る乗員保護装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、乗員保護装置60では、変位変換構造62が伸長部64を含んで構成されているので、カウンターマス36が前方に移動することで車両用シート11(支持フレーム34)の後方への移動が開始される瞬間に作用する衝撃荷重が緩和される。すなわち、乗員Pへの入力荷重が低減される。
なお、第2の実施形態では、ワイヤ40とは別に伸長部64設けた例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ワイヤ40自体が張力により弾性的に伸長(伸縮)される構成であっても良い。また。伸長部64が支持フレーム34側に設けられる例には限定されず、例えば、伸長部64がカウンターマス36側に設けられたり、伸長部64がワイヤ40中間部に設けられりする例とすることができる。また、張力によって塑性的に(不可逆的に)伸長する材料にて伸長部を構成することも可能である。
(第3の実施形態)
図4には、第3の実施形態に係る乗員保護装置70が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、乗員保護装置70は、シート変位機構16が変位変換構造38に代えて変位変換構造72を備えて構成されている点で、第1の実施形態に係る乗員保護装置10とは異なる。
変位変換構造72は、一端がカウンターマス36に接続されると共に他端がカウンターマス36の後方で巻取軸74に巻き取られた引張部としてのワイヤ75と、一端が支持フレーム34に接続されると共に他端が支持フレーム34の後方で巻取軸76に巻き取られたワイヤ78とを含んでいる。また、巻取軸74にはギヤ74Aが同軸的かつ一体に回転するように設けられており、巻取軸76にはギヤ74Aに噛み合わされたギヤ76Aが同軸的かつ一体に回転するように設けられている。
この実施形態では、巻取軸74、巻取軸76は、対応するワイヤ巻き掛け半径(外径)が同等とされる一方、ギヤ74Aの歯数がギヤ76Aの歯数よりも多く設定されている。これにより、乗員保護装置70では、カウンターマス36の前方への移動ストロークに対し支持フレーム34の後方への移動ストロークが大きくなる構成である。乗員保護装置70における他の構成は、乗員保護装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第3の実施形態に係る乗員保護装置70によっても、基本的に第1の実施形態に係る乗員保護装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、乗員保護装置70では、ギヤ74Aとギヤ76Aとのギヤ比によって、カウンターマス36の前方への移動ストロークに対し支持フレーム34の後方への移動ストロークを設定(変更)することが可能である。この実施形態では、カウンターマス36の短い移動ストロークで車両用シート11を大きく後方に移動することができる。例えば、乗員保護装置70は、車両用シート11に対する前側のストロークが小さく、後側のストロークが大きく設定される自動車Vに有効に適用される。
(第4の実施形態)
図5には、第4の実施形態に係る乗員保護装置80が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、乗員保護装置80は、シート変位機構16が変位変換構造38に代えて変位変換構造82を備えて構成されている点で、第1の実施形態に係る乗員保護装置10とは異なる。
変位変換構造82は、一端がカウンターマス36に接続されると共に他端がカウンターマス36の後方で巻取軸84に巻き取られた引張部としてのワイヤ85と、一端が支持フレーム34に接続されると共に他端が支持フレーム34の後方で巻取軸86に巻き取られたワイヤ88とを含んでいる。
また、巻取軸84と巻取軸86とは、互いに同軸的かつ一体に回転するように一体化されており、対応するワイヤの巻き掛け半径(外径)が異なる設定とされている。この実施形態では、巻取軸84が巻取軸86に対し小径とされている。これにより、乗員保護装置80では、カウンターマス36の前方への移動ストロークに対し支持フレーム34の後方への移動ストロークが小さくなる構成である。乗員保護装置80における他の構成は、乗員保護装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第4の実施形態に係る乗員保護装置80によっても、基本的に第1の実施形態に係る乗員保護装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、乗員保護装置80では、巻取軸84と巻取軸86との巻き掛け半径比によって、カウンターマス36の前方への移動ストロークに対し支持フレーム34の後方への移動ストロークを設定(変更)することが可能である。この実施形態では、車両用シート11(支持フレーム34を含む)の質量と乗員Pの質量との和よりも小さい質量のカウンターマス36を用いて、該慣性力の車両用シート11を後方に移動することができる。例えば、乗員保護装置80は、車両用シート11に対する前側のストロークが大きいものの、可動体であるカウンターマス36の大きさに制約がある自動車Vに有効に適用される。
(第5の実施形態)
図6には、第5の実施形態に係る乗員保護装置90が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、乗員保護装置90は、シート変位機構16が変位変換構造38に代えて変位変換構造92を備えて構成されている点で、第1の実施形態に係る乗員保護装置10とは異なる。
変位変換構造92は、カウンターマス36に形成された第1ラック94と、第1ラック94側を向くように支持フレーム34に形成された第2ラック96と、これら第1ラック94及び第2ラック96のそれぞれに噛み合わされたピニオン98とを含んで構成されている。これにより、変位変換構造92では、カウンターマス36の前方への移動に伴ってピニオン98が回転すると、該回転によって第2ラック96すなわち支持フレーム34が車両用シート11と共に後方に移動されるようになっている。乗員保護装置90における他の構成は、乗員保護装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第5の実施形態に係る乗員保護装置90によっても、基本的に第1の実施形態に係る乗員保護装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、乗員保護装置90では、変位変換構造92をコンパクトに構成することができる。
(第6の実施形態)
図7には、第6の実施形態に係る乗員保護装置100が図1に対応する側面図にて示されている。この図に示される如く、乗員保護装置100は、車両用シート11を通常姿勢で保持するためのシートロック機構102を備える点で、第1の実施形態に係る乗員保護装置10とは異なる。
シートロック機構102は、通常姿勢をとる車両用シート11に係合するロック位置と、該係合状態が解除された解除位置とをとり得るロック部材104と、通常はロック部材104をロック位置に保持し作動されることでロック部材104を解除位置に移動させるアクチュエータ106とを含んで構成されている。
アクチュエータ106は、衝突ECU50に代えて設けられた衝突ECU108にて作動が制御されるようになっている。具体的には、衝突ECU108は、自動車Vの前面衝突を予測するためのプリクラッシュセンサ110からの信号に基づいて、自動車Vの前面衝突(が不可避であること)を予測した場合に、アクチュエータ106を作動させるようになっている。なお、プリクラッシュセンサ110に代えて、ブレーキ操作(踏み込み量等)を検出するブレーキセンサからの急ブレーキに対応する信号に基づいてアクチュエータ106を作動させるようにしても良い。乗員保護装置100における他の構成は、乗員保護装置10の対応する構成と同じである。
したがって、第6の実施形態に係る乗員保護装置100によっても、基本的に第1の実施形態に係る乗員保護装置10と同様の作用によって同様の効果を得ることができる。また、乗員保護装置100では、通常の運転時に車両用シート11が保護姿勢側に回転することが確実に防止される。
なお、本発明は、上記した各実施形態に限定されることはなく、各種変更して実施することができる。
また、第1〜第4、第6の実施形態では、後方移動後の支持フレーム34に対する後方にプーリ42、巻取軸74、76、巻取軸84、86が配置された例を示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ワイヤ40、75、85を支持フレーム34の前端側に接続することで、後方移動後の支持フレーム34に対する後方にプーリ42、巻取軸74、76、巻取軸84、86が側面視でオーラップするように配置される構成としても良い。この構成では、乗員保護装置10、60、70、80、100前後方向の配置スペースを小さくすることができる。
さらに、上記した各実施形態では、本発明が自動車V(車両用シート11の乗員Pの保護)に適用された例を示したが、本発明はこれに限定されず、本発明に係る乗員保護装置は、例えば鉄道車両、航空機、船舶等の各種の乗物(乗物用シートに着座した乗員の保護)に適用可能である。
10 乗員保護装置
11 車両用シート(座席)
12 支持構造
13 車体(乗物本体)
14 姿勢維持構造
16 シート変位機構(座席移動構造)
18 シートベルト装置
24 メインリンク(アーム部材)
26 サブリンク(姿勢調整リンク)
28 ストッパ
36 カウンターマス(質量体)
38 変位変換構造
40 ワイヤ(引張部、被引張部)
44 ロック機構(質量体ロック構造)
60・70・80・90・100 乗員保護装置
62・72・82・92 変位変換構造
75・85 ワイヤ(引張部)
78・88 ワイヤ(被引張部)
P 乗員
H 頭部

Claims (10)

  1. 乗員を乗物の進行方向の反対側及び下側から支持する座席と、
    前記座席を、乗物の減速に伴う慣性力によって該乗物の進行側でかつ上側に向けて回転されるように乗物本体に支持する支持構造と、
    前記座席が前記乗物本体に対し回転された姿勢を維持する姿勢維持構造と、
    前記乗物の減速に伴う慣性力又は該乗物の進行側への衝突に伴う慣性力で、前記座席を前記乗物本体に対し前記乗物の進行方向とは反対向きに移動させる座席移動構造と、
    を備えた乗員保護装置。
  2. 前記支持構造は、前記座席に着座した乗員の頭部に対する上側で一端側が前記乗物本体に回転可能に連結されると共に、他端側が前記座席に連結されたアーム部材を含んで構成されている請求項1記載の乗員保護装置。
  3. 前記支持構造は、
    前記アーム部材の他端側が前記座席に回転可能に連結されると共に、
    前記乗物の減速に伴う慣性力によって前記座席が前記乗物の進行側でかつ上側に向けて回転しつつ、前記乗員の頭部が下方に変位される方向に該座席が前記アーム部材との連結部位回りに回転するように、一端側が前記乗物本体に回転可能に連結されると共に他端側が前記座席に回転可能に連結された姿勢調整リンクをさらに含んで構成されている請求項2記載の乗員保護装置。
  4. 前記支持構造は、
    前記アーム部材及び姿勢調整リンクの少なくとも一方の回転を規制することで、前記座席を前記姿勢維持構造にて維持される姿勢とするストッパをさらに含み、
    かつ、前記アーム部材及び姿勢調整リンクの少なくとも一方が前記ストッパにて回転が規制される際に曲げ変形されるように構成されている請求項3記載の乗員保護装置。
  5. 前記姿勢維持構造は、前記座席が前記乗員の背部を下方から支持すると共に該乗員の頭部を足よりも下方に位置させる該座席の姿勢を維持する構成とされている請求項1〜請求項4の何れか1項記載の乗員保護装置。
  6. 前記座席移動構造は、前記姿勢維持構造によって前記座席の姿勢が維持された後に、該座席を前記乗物本体に対し該乗物の進行方向とは反対向きに移動させる請求項1〜請求項5の何れか1項記載の乗員保護装置。
  7. 前記座席移動構造は、
    前記乗物本体に対し前記乗物の進行方向に相対変位可能に設けられた質量体と、
    前記質量体の前記乗物本体に対する進行方向への相対変位を前記座席の前記乗物に対する進行方向とは反対向きの変位に変換する変位変換構造と、
    前記質量体の前記乗物本体に対する進行方向への相対変位を禁止する禁止状態と該質量体の前記乗物に対する進行方向への相対変位を許容する許容状態とを切り替え得る質量体ロック構造と、
    を含んで構成されている請求項1〜請求項6の何れか1項記載の乗員保護装置。
  8. 前記変位変換構造は、前記質量体の前記乗物本体に対する進行方向への相対変位により引張られる引張部と、前記引張部の張力により前記座席を前記乗物本体に対する進行方向とは反対向きに引張る被引張部とを有して構成されている請求項7記載の乗員保護装置。
  9. 前記変位変換構造は、前記引張部の張力により該張力方向に弾性的に伸長される伸長部をさらに備える請求項8記載の乗員保護装置。
  10. 前記座席には、該座席に着座した乗員を拘束するためのシートベルト装置が設けられている請求項1〜請求項9の何れか1項記載の乗員保護装置。
JP2010019028A 2010-01-29 2010-01-29 乗員保護装置 Pending JP2011156934A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010019028A JP2011156934A (ja) 2010-01-29 2010-01-29 乗員保護装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010019028A JP2011156934A (ja) 2010-01-29 2010-01-29 乗員保護装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2011156934A true JP2011156934A (ja) 2011-08-18

Family

ID=44589293

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010019028A Pending JP2011156934A (ja) 2010-01-29 2010-01-29 乗員保護装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2011156934A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021115949A (ja) * 2020-01-24 2021-08-10 トヨタ自動車株式会社 車両用乗員保護装置
US20230126971A1 (en) * 2021-10-27 2023-04-27 GM Global Technology Operations LLC Sleeping bedsheet crash protection system for lie-flat sleeping passenger

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021115949A (ja) * 2020-01-24 2021-08-10 トヨタ自動車株式会社 車両用乗員保護装置
JP7314810B2 (ja) 2020-01-24 2023-07-26 トヨタ自動車株式会社 車両用乗員保護装置
US20230126971A1 (en) * 2021-10-27 2023-04-27 GM Global Technology Operations LLC Sleeping bedsheet crash protection system for lie-flat sleeping passenger
US11760292B2 (en) * 2021-10-27 2023-09-19 GM Global Technology Operations LLC Sleeping bedsheet crash protection system for lie-flat sleeping passenger

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2856550B2 (ja) 自動車内の安全装置
US10974627B2 (en) Method for adjusting a position of a vehicle seat
US3357736A (en) Vehicle seat
JP7095492B2 (ja) 車両用シート
EP3696013B1 (en) Seat sliding structure for vehicle
EP2492158B1 (en) Seat belt assembly
US20060042850A1 (en) Seat belt restraint and energy absorber
WO2007091575A1 (ja) 車両シート
JP2019166860A (ja) 車両用シート構造
US11332049B2 (en) Child safety seat with a triggerable harness belt tensioning mechanism
US20200238855A1 (en) Vehicle with an occupant protection system with an enlarged free space available in the vehicle interior
US20230365098A1 (en) Vehicle seat device
JP2010155540A (ja) 車両用乗員保護装置
JP2011156934A (ja) 乗員保護装置
JP2018090224A (ja) シートベルト内蔵車両用シート
CN116890720A (zh) 用于保护机动车中的乘员的方法和机动车
KR101527594B1 (ko) 시트 벨트 조정기
JP5228761B2 (ja) シートベルト装置
JP2010058744A (ja) 車両用乗員拘束装置
JP5381058B2 (ja) 乗員保護装置
JP5704058B2 (ja) 車両用乗員拘束装置及びその制御方法
JP5464740B2 (ja) 車両のシート装置
JP6527732B2 (ja) 乗員拘束装置
EP3323671A1 (en) Method of reducing the values of deccelerations acting on motor vehicle occupant's body during an accident and safety automotive seat where this method is used
KR102634408B1 (ko) 차량의 서브마린 방지 시트 벨트 및 그 작동 방법