JP7314810B2 - 車両用乗員保護装置 - Google Patents

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本発明は、車両用乗員保護装置に関する。
下記特許文献1には、乗員保護装置に関する発明が開示されている。この乗員保護装置は、乗員保護用エアバッグを備えており、車両への衝突荷重の入力時において、乗員保護用エアバッグが膨張展開することで乗員の身体が保護される。
特開2004-203226号公報
ところで、乗員が車両用シートに拘束装置で拘束されていると、車両への衝突荷重の入力時において、乗員は慣性力によって車両用シートから離れる方向に変位しようとするため、乗員の身体に拘束装置から当該慣性力による負荷がかかることが考えられる。
そして、上記先行技術では、乗員保護用エアバッグが膨張展開して乗員に接触するまで一定の時間を要するため、乗員に作用する慣性力を乗員保護用エアバッグで支持することは困難となる。つまり、上記先行技術は、車両への衝突荷重の入力時において、乗員に慣性力による負荷がかかることを抑制するという点において改善の余地がある。
本発明は上記事実を考慮し、車両への衝突荷重の入力時において、乗員に慣性力による負荷がかかることを抑制しつつ、乗員を衝突荷重から保護することができる車両用乗員保護装置を得ることが目的である。
請求項1に記載の本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両用シートに着座する乗員を当該車両用シートに対して拘束可能な拘束装置と、前記車両用シートを支持する第1支持部と、前記第1支持部を車両上方側で回動可能に支持する第2支持部と、通常時においては前記第1支持部と車両下方側で連結され、車両への衝突荷重の入力時においては当該第1支持部との連結状態が解除される連結部と、前記第1支持部が前記第2支持部を中心に回動するときに当該回動に対する抵抗力を発生可能な回動抵抗部と、前記車両用シートの前方側でかつ車両上方側に配置され、前記衝突荷重の入力時に膨張展開するエアバッグと、を有している。
請求項1に記載の本発明によれば、車両用シートに着座した乗員が拘束装置で当該車両用シートに対して拘束される。また、車両用シートは、第1支持部で支持されると共に、当該第1支持部は、通常時において、連結部に車両下方側で連結されている。
ところで、車両への衝突荷重の入力時において、乗員が車両用シートに拘束装置等で拘束されていると、車両の衝突時において、乗員の身体に拘束装置から慣性力による負荷がかかることが考えられる。
ここで本発明では、第1支持部が、第2支持部によって車両上方側で回動可能に支持されると共に、車両への衝突荷重の入力時において、第1支持部と連結部との連結状態が解除される。このため、車両への衝突荷重の入力時において、乗員は、当該乗員に発生する慣性力によって、車両用シート及び第1支持部と共に、第2支持部を中心に回動することとなる。その結果、乗員と拘束装置との相対位置関係が、車両への衝突荷重の入力の前後において変化することを抑制することができる。
また、本発明は、回動抵抗部を備えており、第1支持部が第2支持部を中心に回動するときに、当該回動抵抗部によって当該回動に対する抵抗力が発生し、第1支持部、車両用シート及び乗員を含む回転体の回動速度が減少する。換言すれば、この回転体の有する運動エネルギーが、回動抵抗部によって吸収される。
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両用乗員保護装置は、車両への衝突荷重の入力時において、乗員に慣性力による負荷がかかることを抑制しつつ、乗員を衝突荷重から保護することができるという優れた効果を有する。
本実施形態に係る車両用乗員保護装置並びにその周辺部の構成の通常時の状態を模式的に示す側面図である。 本実施形態に係る車両用乗員保護装置並びにその周辺部の構成の車両への衝突荷重の重力時の状態を模式的に示す側面図である。
以下、図1及び図2を用いて、本発明に係る車両用乗員保護装置の実施形態の一例を説明する。図1に示されるように、本実施形態に係る「車両用乗員保護装置10(以下、保護装置10と称する)」は、「車両12」の車室14内に配置されると共に、乗員16が着座可能とされた「車両用シート18(以下、シート18と称する)」に対して設けられている。
なお、各図中に適宜示される矢印FR、矢印UPは、それぞれシート18の前側、シート18の上側を示している。なお、本実施形態では、シート18の前側は、シート18が搭載された車両12の前側と一致しており、シート18の上側は、車両12の上側と一致している。
まず、シート18の概略構成について説明する。このシート18は、乗員16の臀部及び大腿部を支持するシートクッション20と、乗員16の背部を支持するシートバック22と、乗員16の頭部を支持するヘッドレスト24とを備えている。
そして、保護装置10は、「拘束装置26」、第1支持部としての「支持フレーム28」、第2支持部としての「支持部30」、回動抵抗部としての「ロータリダンパ32」、連結部としての「ストッパ34」及びエアバッグ装置36を備えている。
拘束装置26は、所謂3点式シートベルト装置とされており、乗員16をシート18に対して拘束可能とされている。この拘束装置26は、リトラクタ38、ウェビングガイド40、ウェビング42、タングプレート44、バックル46及びロアアンカ48を備えている。
リトラクタ38は、シートバック22に内蔵されており、ウェビング42を引き出し可能に巻き取って収納可能とされている。また、車両12への衝突荷重の入力時において、リトラクタ38は、ウェビング42の引き出しを規制するようになっている。
ウェビングガイド40は、シートバック22の上面部に取り付けられており、リトラクタ38からシート上方側に引き出されたウェビング42は、ウェビングガイド40を経由することで、シート前方側に引き出されるようになっている。
ウェビング42は、非使用時においてリトラクタ38に巻き取られており、使用時においては、リトラクタ38から引き出されて乗員16を拘束可能とされている。
タングプレート44は、ウェビング42が挿通されることでウェビング42に取り付けられると共に、バックル46に係合可能とされている。
バックル46は、シートクッション20のシート幅方向右側の部分に設けられており、タングプレート44を着脱可能とされている。
ロアアンカ48は、ウェビング42の端部に設けられると共に、シートクッション20のシート幅方向左側の部分に取り付けられている。
一方、支持フレーム28は、ベースフレーム部50と、一対のサイドフレーム部52とを含んで構成されている。ベースフレーム部50は、シートクッション20のシート下方側に取り付けられてシート18を支持すると共に、通常時において、車室14の車両下方側の一部を構成するフロアパネル54の車両上方側に載置されている。
また、ベースフレーム部50には、後述するように、ストッパ34に係合されるロックプレート56(図2参照)が設けられている。このロックプレート56は、ベースフレーム部50からシート後方側に延出された板状とされると共に、板厚方向に貫通された被挿通部58が設けられている。
サイドフレーム部52は、シート幅方向から見てシートバック22に沿って延在しており、シート下方側の端部52Aがベースフレーム部50に固定されている。一方、サイドフレーム部52のシート上方側の端部52Bは、支持部30にロータリダンパ32を介して支持部30を中心に回動可能に支持されている。
支持部30は、車室14の車両上方側の一部を構成するルーフパネル60の車両下方側に配置された状態で、ルーフパネル60に取り付けられている。この支持部30は、通常時のシート18に対してシート後方側でかつシート上方側に配置されており、上述したように、サイドフレーム部52を支持している。
なお、ルーフパネル60における支持部30が取り付けられている部分の車両上方側には、図示しない補強部材が設けられており、当該補強部材によってルーフパネル60が補強されている。
また、支持部30のシート幅方向外側の側面には、回動抵抗部としてのブロック状の「規制部62」が設けられている。そして、サイドフレーム部52が支持部30に対してシート前方側に所定角度回動すると、サイドフレーム部52が規制部62に当接して、サイドフレーム部52の回動が規制されるようになっている。
ロータリダンパ32は、オイルダンパとされており、支持部30に取り付けられた図示しない本体部と、サイドフレーム部52の端部52Bに嵌合された軸部64とを備えている。そして、ロータリダンパ32は、サイドフレーム部52が支持部30を中心に回動するときに、当該回動に対するサイドフレーム部52の回動速度に比例した抵抗力(減衰力)を発生させることが可能となっている。
なお、保護装置10は、シート18の構成等に応じて、規制部62及びロータリダンパ32の何れか一方を備えた構成とされていてもよい。
ストッパ34は、通常時においてベースフレーム部50のシート後方側に配置されると共に、フロアパネル54に取り付けられたストッパベース部66及び緩衝部68を含んで構成されている。
ストッパベース部66は、外殻を構成する筐体部70と、筐体部の内側に配置された図示しないロックピンと、当該ロックピンを変位可能とされた図示しないアクチュエータとを含んで構成されている。
詳しくは、筐体部70の車両前方側の部分には、ロックプレート56を挿入可能な図示しないスリット部が設けられている。そして、通常時において、ロックプレート56は、このスリット部に挿入されると共に、ロックプレート56の被挿通部58には、ロックピンが挿入された状態となっている。つまり、通常時において、ストッパ34は、支持フレーム28と連結された状態になっている。なお、ストッパベース部66と支持フレーム28とは、所定値以上の大きさの荷重で破断するヒューズ部で連結されていてもよい。
一方、アクチュエータは、車両12に設けられたコントローラ72(制御部)と電気的に接続されており、コントローラ72は、車両12に設けられた図示しない衝突検知センサやプリクラッシュセンサとも電気的に接続されている。
コントローラ72には、衝突検知センサやプリクラッシュセンサによって車両12の衝突が検知されると、これらのセンサから検知信号が入力されるようになっており、コントローラ72からは、当該検知信号に基づき、アクチュエータに作動信号が出力されるようになっている。
そして、本実施形態では、コントローラ72からの作動信号が入力されることでアクチュエータが作動し、ロックプレート56の被挿通部58から、ロックピンが抜かれるようになっている。つまり、車両12への衝突荷重の入力時において、ストッパ34は、支持フレーム28との連結状態が解除された状態となっている。
緩衝部68は、ゴム等の弾性を備えた材質で構成されると共に、ブロック状とされており、ストッパベース部66の車両前方側に取り付けられている。この緩衝部68には、ロックプレート56を挿通可能な図示しない被挿通部が形成されており、通常時において、ロックプレート56は、当該被挿通部に挿通された状態でストッパベース部66に係合されている。また、この状態において、緩衝部68は、ベースフレーム部50とストッパベース部66との間に介在した状態となっており、これらの間にがたつきが発生することを抑制している。
エアバッグ装置36は、その外殻を構成するエアバッグケース74、エアバッグケース74に収納された図示しないインフレータ及びエアバッグ76を含んで構成されており、ルーフパネル60の車室14内側の面に設けられている。
エアバッグケース74は、箱状とされると共に、その内側の面には、所定の圧力を受けることで開裂する図示しないティア部が設けられている。
インフレータは、両端部が閉止された円筒状とされた金属製の管材で外殻が構成されると共に、図示しないスクイブ(点火装置)及び燃焼することにより大量のガスを発生するガス発生剤等が内側に収容されている。
このインフレータは、コントローラ72と電気的に接続されており、上述した各センサによって車両12の衝突が検知されると、これらのセンサからコントローラ72に検知信号が入力されると共に、当該検知信号に基づき、コントローラ72からインフレータに作動信号が出力されるようになっている。そして、作動信号が入力されることでインフレータが作動し、インフレータに設けられた噴出孔からガスが噴出されると共に、当該ガスがエアバッグ76に供給されるようになっている。
一方、エアバッグ76は、一例として、2枚の基布の外周部が縫製されることで袋状に構成されており、折り畳まれた状態でエアバッグケース74に収納されている。このエアバッグは、図2に示されるように、インフレータからガスが供給されることで、エアバッグケース74のティア部を開裂させつつ、ルーフパネル60に沿って膨張展開するようになっている。
また、エアバッグ76は、膨張展開した状態において、乗員16の正面に配置したときに、少なくとも乗員16の膝部から下腿部までを覆うことが可能な容量とされている。
そして、エアバッグ装置36は、AM50ダミーをシート18に標準姿勢で着座させた状態において、シート幅方向から見てロータリダンパ32の軸部64(支持フレーム28の回動軸)を中心としかつAM50ダミーの足部を通る円弧78とルーフパネル60との交点に位置している。
なお、支持部30は、車両上方側で支持フレーム28のサイドフレーム部52を支持しているが、支持部30がサイドフレーム部52を支持する位置は、ルーフパネル60の近傍に限られたものではなく、乗員16の重心位置よりも車両上方側であればどのような位置に設定されていてもよい。また、支持部30の構成も、支持部30がサイドフレーム部52を支持する位置に応じて適宜変更してもよい。
さらに、支持部30がサイドフレーム部52を支持する位置等に応じて、エアバッグ装置36の構成も適宜変更可能である。例えば、エアバッグ装置36は、グローブボックス等のシートクッション20のシート前方側でかつ車両上方側に位置する位置に、ニーエアバッグ装置として配置されていてもよい。
(本実施形態の作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果を説明する。
本実施形態では、図1に示されるように、シート18に着座した乗員16が拘束装置26でシート18に対して拘束される。また、シート18は、支持フレーム28で支持されると共に、支持フレーム28は、通常時において、ストッパ34に車両下方側で連結されている。
ところで、車両12への衝突荷重の入力時において、乗員16がシート18に拘束装置等で拘束されていると、車両12の衝突時において、乗員16の身体に拘束装置26から慣性力による負荷がかかることが考えられる。
ここで本実施形態では、支持フレーム28が、支持部30によって車両上方側で回動可能に支持されると共に、車両12への衝突荷重の入力時において、支持フレーム28とストッパ34との連結状態が解除される。このため、車両12への衝突荷重の入力時において、乗員16は、乗員16に発生する慣性力によって、シート18及び支持フレーム28と共に、支持部30を中心に回動することとなる。その結果、乗員16と拘束装置26との相対位置関係が、車両12への衝突荷重の入力の前後において変化することを抑制することができる。
また、保護装置10は、ロータリダンパ32及び規制部62を備えており、支持フレーム28が支持部30を中心に回動するときに、ロータリダンパ32によって当該回動に対する抵抗力が発生し、支持フレーム28、シート18及び乗員16を含む回転体の回動速度が減少する。換言すれば、この回転体の有する運動エネルギーが、ロータリダンパ32によって吸収される。
そして、規制部62によって上記回転体の回動が規制される。なお、上記回転体の回動速度は、当該回転体の運動エネルギーと位置エネルギーとの置換によっても減少することとなる。
一方、通常時のシート18の前方側でかつ車両上方側には、エアバッグ76が配置されており、エアバッグ76は、衝突荷重の入力時において膨張展開する。このため、本実施形態では、車両12への衝突荷重の入力時において、支持フレーム28及びシート18と共に回動する乗員16は、膨張展開したエアバッグ76によって拘束される。
したがって、本実施形態に係る保護装置10は、車両12への衝突荷重の入力時において、乗員16に慣性力による負荷がかかることを抑制しつつ、乗員16を衝突荷重から保護することができる。
なお、上述した実施形態では、補助的にエアバッグ装置36を備えているが、車両12の仕様等に応じて、ロータリダンパ32のみで乗員16の運動エネルギーを吸収するような構成を採用し、保護装置10の簡略化を図ることも可能である。
10 車両用乗員保護装置
12 車両
18 車両用シート
26 拘束装置
28 支持フレーム(第1支持部)
30 支持部(第2支持部)
32 ロータリダンパ(回動抵抗部)
34 ストッパ(連結部)
62 規制部(回動抵抗部)

Claims (1)

  1. 車両用シートに着座する乗員を当該車両用シートに対して拘束可能な拘束装置と、
    前記車両用シートを支持する第1支持部と、
    前記第1支持部を車両上方側で回動可能に支持する第2支持部と、
    通常時においては前記第1支持部と車両下方側で連結され、車両への衝突荷重の入力時においては当該第1支持部との連結状態が解除される連結部と、
    前記第1支持部が前記第2支持部を中心に回動するときに当該回動に対する抵抗力を発生可能な回動抵抗部と、
    前記車両用シートの前方側でかつ車両上方側に配置され、前記衝突荷重の入力時に膨張展開するエアバッグと、
    を有する車両用乗員保護装置。
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