JP3911772B2 - アクリル系発泡性樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡成形品としてレザ−、壁紙、クッション材などの家具製品、自動車用品等に適用するには好適な材料に関しており、詳しくはアクリル系樹脂に可塑剤、熱分解型有機発泡剤及び有機金属塩を配合してなる均一な発泡セルと表面状態に優れ、プレ−トアウト性の改良されたアクリル系発泡性樹脂組成物及びその成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、かかる発泡成形品は、一般に、塩化ビニル樹脂系のものが知られており、家具製品、自動車用品等の分野で広く使用されているが、近年、環境問題から他の樹脂への転換が求められてきている。
【0003】
このため、アクリル系樹脂に可塑剤、発泡剤、安定剤、充填剤、着色剤等を加えて混合して成る組成物をカレンダ−、押出、射出成形法などにより成形するか、またはペ−ストレジンに可塑剤、発泡剤、安定剤、充填剤、着色剤等を加えて混合して成るプラスチゾルコンパウンドを紙または布に塗布し、熱を加えてゲル化し成型することによって製造する方法が提案されてきた(特開平7ー179712号公報、特公昭58−22043号公報、特公昭63−66861号公報、特公平4−24378号公報)。
【0004】
しかしながら軟質の発泡成形品を製造する場合、単独のアクリル樹脂は塩化ビニル樹脂より室温で硬く、又、比重が軽いため可塑剤を多く配合する必要があり、そのため塩化ビニル樹脂と同じ発泡温度では配合物の溶融粘度が低下して均質な発泡成形品が得られにくい傾向があった。配合物を発泡に適した溶融挙動にするためには発泡温度、即ち発泡剤の分解温度を調整する必要があり、そのため分解促進剤等の添加剤を加えることが行われている。このような添加剤として有機金属塩、特にステアリン酸亜鉛などの亜鉛化合物の添加が知られている。
【0005】
ところがアクリル系樹脂は、可塑剤との相溶性の許容範囲が塩化ビニル樹脂程広くないので発泡剤等の添加剤がプレ−トアウトしたり、発泡セル荒れが生じたりする事があった。特にステアリン酸亜鉛等の有機カルボン酸金属を添加した場合、発泡セル荒れが生じたり、プレ−トアウトが多く、その改良が求められていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、軟質の高発泡成形品で表面状態に優れ、セル荒れもなく、かつプレ−トアウト性の改良された高発泡に適するアクリル系発泡性樹脂組成物及びその成形品を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、これらの課題について鋭意研究の結果、本発明を完成するに至ったものである。
【0008】
即ち、本発明は、(A)アクリル系樹脂、(B)可塑剤、(C)熱分解型有機発泡剤及び(D)有機金属塩からなるアクリル系発泡性樹脂組成物において、有機金属塩(D)が、過塩基性有機金属塩であることを特徴とするアクリル系発泡性樹脂組成物、好ましくは(A)アクリル系樹脂 100重量部に対して、(B)可塑剤30〜150重量部、(C)熱分解型有機発泡剤0.05〜10重量部を配合してなること、好ましくは過塩基性有機金属塩(D)の添加量が、アクリル系樹脂100重量部に対して、その金属量として0.05〜2重量部であること、好ましくはアクリル系樹脂(A)が、常温固体であること、好ましくは過塩基性有機金属塩(D)の金属成分が、亜鉛、カドミニウム、錫、鉛、バリウム、カルシウムから選択される1種以上の塩基性金属であること、及び前記載の発泡性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアクリル系発泡性樹脂組成物について詳述する。
本発明に用いられるアクリル系樹脂(A)としては、好ましくは常温(20℃)固体のメチルメタアクリレートのホモポリマーまたはコポリマーであり、即ちメタクリル酸メチルを主成分としたポリマーであって、メタクリル酸メチル単量体単独、又は、メタクリル酸メチル単量体に酢酸ビニル等のビニルエステル、スチレン等の芳香酸ビニル、アクリロニトリル等のシアン化ビニル、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、ヒドロキシルエチルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のアクリル酸やメタクリル酸及びそのアルキルエステルなどの不飽和化合物を混合したメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体が挙げられる。アクリル系樹脂の製造は、乳化重合法でも懸濁重合法でも、又、ホモジナイザーみたいな強力な分散力を併用して合成されたものでも良いが、好ましくは平均粒径1mm以下のアクリル樹脂微粒子で、より好ましくは0.1〜100μである。樹脂微粒子の粒径は、大きすぎると可塑剤に均一に分散しがたくなり、又、高温にしても可塑剤の融解速度が遅くなり生産性が低下する傾向となる。
【0010】
アクリル系樹脂の分子量は、配合物の強度及び相溶性に影響を持つので、好ましくはその重量平均分子量10万以上、特に好ましくは20〜200万のものである。
【0011】
本発明に用いることができる可塑剤(B)としては、フタル酸エステル系、安息香酸エステル系あるいはその他のエステル系、ポリエステル系、リン酸エステル系などがあげられる。フタル酸エステル系可塑剤としては、例えばジブチルフタレート、ジヘキシルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジn−オクチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジイソオクチルフタレート、ジノニルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジベンジルフタレート、ジ(混合アルコ−ル)フタレート等がある。
【0012】
安息香酸エステル系可塑剤としては、例えば1,3ブタンジオールジベンゾエート、3,5メチルペンタンジオールジベンゾエート、2メチル1、8オクタンジオールジベンゾエート、1,9ノナンジオールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジベンゾエート、テトラエチレングリコールジベンゾエート、ジプロピレングリコールジベンゾエート、トリプロピレングリコールジベンゾエート、等がある。
【0013】
その他のエステル系可塑剤としては、例えばジヘキシルアジペート、ジオクチルアジペート、ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジイソノニルアジペート、トリー2ーエチルヘキシルトリメリテート、トリn−オクチルトリメリテート、トリデシルトリメリテート、ジブチルベンジルトリメリテート等がある。
【0014】
ポリエステル系可塑剤としては、アジピン酸−プロピレングリコール、アジピン酸1,3ーブチレングリコール、アジピン酸ープロピレングリコールー1,4ーブチレングリコールー1,6ヘキサンジオール、セバシン酸ーエチレングリコール、セバシン酸ー1,6ーヘキサンジオール、セバシン酸ープロピレングリコール、グルタル酸ー1,5ーペンタンジオールー1,6ヘキサンジオール等の二塩基酸とグリコールのポリエステル化合物が挙げられる。
【0015】
リン酸エステル系可塑剤としては、例えばトリブチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート等があげられる。
【0016】
可塑剤(B)の添加量は、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して好ましくは20〜150重量部、より好ましくは50〜100重量部である。
【0017】
本発明に用いられる熱分解型有機発泡剤(C)としては、例えばアゾジカルボンアミド、P,P−オキシ(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N,−ジニトロペンタメチレンテトラミン、パラトルエンスルホニルヒドラジド等が挙げられる。
【0018】
熱分解型有機発泡剤(C)の添加量は、発泡成型品の用途により適宜決定されるが、アクリル系樹脂(A)100重量部に対して好ましくは0.01〜10重量部、より好ましくは0.5〜5重量部である。
【0019】
本発明で使用する過塩基性有機金属塩(D)は、その金属成分が、亜鉛、カドミニウム、錫、鉛、バリウム、カルシウム等の塩基性金属から選択される1種以上の金属からなる過塩基性有機金属塩であり、好ましくは毒性の少ない亜鉛、バリウム、カルシウムが選ばれる。
【0020】
過塩基性有機金属塩(D)とは、好ましくは過塩基性有機カルボン酸金属塩、過塩基性有機金属カルボキシレート・フェノレート錯体、過塩基性有機金属フェノレート錯体である。
【0021】
過塩基性有機金属塩(D)の製造方法は、金属酸化物及び/又は水酸化物と有機カルボン酸及び/又はフェノール化合物との反応によって得られるものであり、該有機カルボン酸及び/又はフェノール化合物に対する金属の酸化物及び/又は水酸化物の当量比は1:1よりも大きい、即ち、金属化合物過剰で反応によって得られる過塩基性塩である。この場合、金属の酸化物及び/又は水酸化物の過剰量は、0.1〜5当量が好ましい。また、過塩基性塩の塩基度を下げるために炭酸ガスなどの酸性ガスで処理することが好ましい。
【0022】
又、発泡成形品を高発泡でありながらセルを均一に且つ表面を平滑にするために、過塩基性有機金属塩(D)の2種類以上を組み合わせて使用するのが好ましい。特に好ましくは過塩基性有機亜鉛塩と他の過塩基性有機アルカリ土類金属塩を組み合わせることが好ましい。アルカリ土類金属とは、好ましくはバリウム、カルシウムである。
【0023】
本発明で使用する(D)過塩基性有機金属塩のうち過塩基性有機カルボン酸金属塩の原料として用いられる有機カルボン酸としては、脂肪族または芳香族カルボン酸である。
【0024】
脂肪酸モノカルボン酸としては、好ましくは平均約2個から約30個の炭素原子を有する脂肪族モノカルボン酸である。当該モノカルボン酸としては、例えば、酢酸、n−ヘキサン酸、カプリン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、ネオデカン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、桐油酸、トール油酸、リシノール酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、α−クロロステアリン酸、αーニトロラウリン酸、Ωーアミノペンタデカン酸、ラウロキシ酢酸、アラキン酸、モノラウリルアジピン酸、フェニルオレイン酸、フェニルステアリン酸、クロロフェニルステアリン酸、キシリルステアリン酸、αーピリジルオレイン酸、リグノセリン酸、ベヘン酸、ステアロル酸などがある。
【0025】
芳香族カルボン酸としては、例えば、安息香酸、モノクロル安息香酸、パラ−t−ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、メタトルイル酸、ジメチル安息香酸、クミン酸アセトオキシ安息香酸、サリチル酸、4−ヘキシル安息香酸などが挙げられる。
【0026】
当該過塩基性有機金属塩(D)の添加量は、アクリル系樹脂100重量部に対して、その金属量として好ましくは0.05〜2重量部、より好ましくは0.2〜0.6重量部である。金属量が0.05重量部より少ない場合には発泡成型品のセル荒れが生じる場合があり、また2重量部より多い場合にはプレ−トアウトするので好ましくない。
【0027】
本発明で使用する過塩基性有機金属塩(D)のうち、過塩基性金属フェノレ−ト錯体の金属は、好ましくはアルカリ土類金属である。該過塩基性金属フェノレ−ト錯体の原料として用いられるアルカリ土類金属酸化物、または水酸化物としては、カルシウムおよびバリウムの酸化物または水酸化合物が好適である。
【0028】
過塩基性アルカリ土類金属フェノレ−ト錯体の原料として用いられるフェノ−ル化合物としては、例えばフェノ−ル、o−、m−およびp−クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノール、o−、p−ジエチルフェノール、n−プロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、tert−ブチルフェノール、2,4−ジtert−ブチルフェノール、n−アミルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−シクロペンチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、メチルシクロヘキシルフェノール、sec−ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、ジイソブチルフェノール、3,5,5−トリメチル−n−ヘキシルフェノール、n−デシルフェノール、セチルフェノール、ノニルフェノ−ル、ジノニルフェノ−ル、オレイルフェノール、フェニルフェノール、ジフェニルフェノール、ナフチルフェノール、アリザリン、キニザリン、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、αーナフトール、βーナフトール、ナフトヒドロキノン、ナフトレゾルシノール、オクチルカテコール、モノー(トリイソブチル)ピロガロール、p−ニトロフェノール、ピクリン酸、o−クロロフェノール、tert−ブチルクロロフェノール、p−ニトロo−クロロフェノール、p−アミノフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノ−ル等が挙げられる。
【0029】
本発明の組成物には、充填剤の併用もできることは当然である。充填剤としては、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、三酸化アンチモン、クレーなどがあげられる。
【0030】
また、本発明の組成物に、その他有機酸の金属塩(通常金属石鹸と称する)の併用もできることは当然である。その金属成分の例としてはNa、K、Li、Mg、Ca、Ba、Zn、Sn等があり、有機酸残基としては次のカルボン酸及びフェノ−ルの残基である。例えば、酢酸、n−ヘキサン酸、カプリン酸、カプリル酸、2ーエチルヘキサン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、桐油酸、大豆油酸、トール油酸、リシノール酸、3,5,5−トリメチルヘキサン酸、αークロロステアリン酸、αーニトロラウリン酸、Ωーアミノペンタデカン酸、ラウロキシ酢酸、アラキン酸、モノラウリルアジピン酸、フェニルオレイン酸、フェニルステアリン酸、クロロフェニルステアリン酸、キシリルステアリン酸、αーピリジルオレイン酸、リグノセリン酸、ベヘン酸、ステアロル酸、安息香酸、モノクロル安息香酸、パラ−t−ブチル安息香酸、ジメチルヒドロキシ安息香酸、メタトルイル酸、ジメチル安息香酸、クミン酸アセトオキシ安息香酸、サリチル酸、4ーヘキシル安息香酸、;フェノ−ル、o−、m−およびp−クレゾール、キシレノール、p−エチルフェノール、o−、p−ジエチルフェノール、n−プロピルフェノール、p−イソプロピルフェノール、tert−ブチルフェノール、2,4−ジtert−ブチルフェノール、n−アミルフェノール、p−tert−アミルフェノール、p−シクロペンチルフェノール、シクロヘキシルフェノール、メチルシクロヘキシルフェノール、sec−ヘキシルフェノール、ヘプチルフェノール、ジイソブチルフェノール、3,5,5−トリメチル−n−ヘキシルフェノール、n−デシルフェノール、セチルフェノール、ノニルフェノ−ル、ジノニルフェノ−ル、オレイルフェノール、フェニルフェノール、ジフェニルフェノール、ナフチルフェノール、アリザリン、キニザリン、ヒドロキノン、カテコール、ピロガロール、αーナフトール、βーナフトール、ナフトヒドロキノン、ナフトレゾルシノール、オクチルカテコール、モノー(トリイソブチル)ピロガロール、p−ニトロフェノール、ピクリン酸、o−クロロフェノール、tert−ブチルクロロフェノール、p−ニトロo−クロロフェノール、p−アミノフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノ−ル等が挙げられる。
【0031】
本発明の組成物には、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリル・ブタジェン・スチレン共重合体、アルキルメタアクリレート・ブタンジェン・スチレン共重合体、エチレン−酢ビ共重合体、エチレン-酢ビ-塩ビ共重合体、ウレタン樹脂等を配合することができる。
【0032】
また本発明の組成物に他の添加剤、例えばエポキシ化合物、有機亜リン酸エステル等を配合することができる。
【0033】
エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化ヒマシ油、エポキシ化アマニ油脂肪酸ブチルエステル、エポキシ化ポリブタジェン、ビスフェノ−ルAジグリシジルエ−テルなどである。
【0034】
有機亜リン酸エステルとしては、トリフェニルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリラウリルホスファイト、ジイソデシルフェニルホスフェイト、4,4’ーイソプロピリデンジフェニルテトラアルキルジホスファイト等があげられる。
【0035】
また、本発明の組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他一般に用いられる顔料、難燃剤、架橋剤、光安定剤、滑剤、加工助剤等を配合することができる。
【0036】
【実施例】
次に実施例を挙げ、本発明によるアクリル系発泡性樹脂組成物の効果を示すものであるが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお以下に部とあるのは重量部を示す。
【0037】
本発明において使用される過塩基性有機金属塩は例えば次のような方法で合成される。
【0038】
[参考例−1:過塩基性有機カルボン酸亜鉛塩の合成] 1Lの4つ口フラスコにオクチル酸403g(2.8グラム当量)と酸化亜鉛163g(4グラム当量)及び水100gを仕込み窒素ガスを吹き込みつつ攪拌混合しながら90℃で1時間保った後150℃に昇温し、副成する水を除去した。その後濾過助剤を加えてプレス濾過した。濾液のZn=25%であった。
【0039】
[参考例−2:過塩基性有機カルボン酸バリウム塩の合成]
2Lの4つ口フラスコにトリデカノ−ル200g、オレイン酸282g(1.0当量)、水酸化バリウム水和物315g(2グラム当量)、鉱油500gを仕込み、窒素ガスを吹き込みつつ攪拌混合しながら150〜155℃昇温し、副成する水を除去した。水の副成が殆ど認められなくなったので、窒素ガスを炭酸ガスに変え150〜155℃で2時間反応した。その後80℃に冷却後、濾過助剤を加えてプレス濾過した。濾液のBa=12%であった。
【0040】
[参考例−3:過塩基性カルシウムフェノレ−ト錯体の合成]
2Lの4つ口フラスコにトリデカノ−ル200g、オレイルアルコ−ル200g、ヘプチルフェノール120g(0.62グラム当量)、ノニルフェノ−ル145g(0.62グラム当量)、消石灰74g(2グラム当量)、鉱油300gを仕込み、窒素ガスを吹き込みつつ攪拌混合しながら150〜155℃昇温し、水の副成が殆ど認められなくなったので、窒素ガスを炭酸ガスに変え150〜155℃で2時間反応した。その後120℃に冷却し、濾過助剤を加えてプレス濾過した。濾液のCa=3%であった。
【0041】
実施例1〜3、比較例1〜2
下記配合物を500mlステンレスビーカーに採取してミキサ−(1100rpm)で4分混合して、均一なプラスチゾルを作成した。得られたプラスチゾルゾルを難燃紙上に0.2mm厚さになるように塗布し、140℃のオ−ブンで60秒間セミキュア−した。次いで240℃で所定時間加熱して発泡成型品を得た。該発泡成型品の発泡倍率(発泡成型品の厚さ÷セミキュヤ品の厚さ)、表面状態(セル状態)を観察した。またセミキュア−した試片を150℃の乾燥機でフェロ−板上に塗布面を5回重ね、フェロ−板上のプレ−トアウト性(曇状態)を観察した。その結果を表−1に示した。なお、発泡成型品の表面状態(セル状態)およびセミキュア−品のプレ−トアウト性は次の評価基準で評価した。
【0042】
[評価基準]
[表面状態]
○=表面状態良好(セルが均一である)
△=表面状態若干劣る(僅かにセル荒れが認められる)
×=表面状態劣る(セルが荒れており、不均一))
[プレ−トアウト性]
○=プレ−トアウトなし(フェロ−板に曇なし)、
△=プレ−トアウト若干あり(僅かに曇が認められる)
×=プレ−トアウトあり(フェロ−板に曇あり)。
【0043】
(配合) 重量部
アクリル樹脂*1 100
注)*1 ポリメタクリル酸メチル、分子量50万、粒子径1μ
【0044】
可塑剤*2 100
注)*2 トリプロピレングリコールジベンゾエート
【0045】
炭酸カルシウム 110
酸化チタン 15
発泡剤(アゾジカルボンアミド) 4.5
タ−ペン 12
供試添加剤 表1参照
【0046】
供試添加剤の中の金属石鹸で正塩とは、金属水酸化物と有機カルボン酸とを当量比で反応して得られたものである。
【0047】
【表1】
【0048】
表1から(D)過塩基性有機金属塩を配合しない比較例は、発泡性が劣るか、プレ−トアウト性が劣ったりしており、かつ得られた発泡成型品はセル荒れが認められ、表面状態に優れた高発泡成型品が得られないことが判る。本発明の実施例は、プレートアウト性、発泡倍率、表面状態がバランスよく優れたものであった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の(A)アクリル系樹脂、(B)可塑剤、(C)熱分解型有機発泡剤及び(D)過塩基性有機金属塩からなるアクリル系発泡性樹脂組成物とすることにより、多量の可塑剤を配合するにもかかわらず、作業性が良く、高発泡成形品でもセル荒れもなく、かつプレ−トアウト性の改良された高発泡に適するアクリル系発泡性樹脂組成物及びその優れた成形品を得ることができる。
Claims (7)
- (A)アクリル系樹脂、(B)可塑剤、(C)熱分解型有機発泡剤及び(D)有機金属塩からなるアクリル系発泡性樹脂組成物において、有機金属塩(D)が、過塩基性有機金属塩であることを特徴とするアクリル系発泡性樹脂組成物。
- (A)アクリル系樹脂 100重量部に対して、(B)可塑剤30〜150重量部、(C)熱分解型有機発泡剤0.05〜10重量部を配合してなることを特徴とする請求項1記載のアクリル系発泡性樹脂組成物。
- 過塩基性有機金属塩(D)の添加量が、アクリル系樹脂100重量部に対して、その金属量として0.05〜2重量部であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系発泡性樹脂組成物。
- アクリル系樹脂(A)が、常温固体であることを特徴とする請求項1記載のアクリル系発泡性樹脂組成物。
- 過塩基性有機金属塩(D)の金属成分が、亜鉛、カドミニウム、錫、鉛、バリウム、カルシウムから選択される1種以上の塩基性金属であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のアクリル系発泡性樹脂組成物。
- 過塩基性有機金属塩(D)が、金属酸化物及び/又は水酸化物と有機カルボン酸及び/又はフェノール化合物との反応によって得られる過塩基性有機金属塩であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のアクリル系発泡性樹脂組成物。
- 請求項1〜6いずれか記載のアクリル系発泡性樹脂組成物からなることを特徴とする成形品。
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