JP3911718B2 - エンジンの補機取付構造 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの補機取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば実開平4−34435号公報に示されているように、補機をエンジン本体にブラケットを介して取り付ける場合に、その補機取付用ブラケットのエンジン側取付方向と補機側取付方向とが交差するものが知れられている。また、例えば特開平4−308318号公報,特開平4−308319号公報に示されているように、機械式過給機の取付方向がすべての取付部で同一であるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンに取り付けた補機は、エンジン振動の影響を受ける。エンジン振動は、ピストンの往復動による上下方向振動,エンジン出力軸の回転による回転方向振動等が組み合わされたものである。そして、特にエンジン出力軸方向と直交する方向の加速度が大きく、この方向の共振によって補機の信頼性が損なわれる場合がある。このエンジン出力軸方向と直交する方向の加速度はエンジン出力軸から離れる程大きくなり、そのため、補機はエンジンとの締結部がエンジン出力軸から遠い場合程共振しやすい。例えばリショルム式ポンプのような精密な補機の場合、この共振による補機振動によって信頼性が大きく影響を受ける。
【0004】
また、補機が無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動される場合に、エンジン出力軸の角速度変動に起因して動的な張力変動が生じ、それにより補機にエンジン出力軸方向の変位(首振り)による自励振動が生ずる。また、特に、補機がリショルム式ポンプである場合、リショルム式ポンプはスクリュー式ロータが高速回転し、ねじ込み式にエアーを圧縮して、間欠的に吐出口から吐き出すものであって、それによる反力がスラスト力となる。そして、高速回転であるため、このスラスト力が軸方向振動を引き起こす。また、内部圧縮で機械抵抗も大きいため、無端巻掛部材の張力変動による首振りも大きくなる。
【0005】
従来の補機取付構造は、上記のような共振によるエンジン軸方向と直交する方向の補機振動および無端巻掛部材の張力変動やスラスト生成によるエンジン出力軸方向の自励振動に対して、取付剛性が十分でなく、補機信頼性を確保することができなかった。
【0006】
したがって、共振によるエンジン軸方向と直交する方向の補機振動および無端巻掛部材の張力変動やスラスト生成によるエンジン出力軸方向の自励振動に対する取付剛性を向上させ、補機信頼性を確保することが課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のエンジンの補機取付構造は、無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動される補機をエンジン本体側に支持するエンジンの補機取付構造であって、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側のエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上と、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側のエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上にそれぞれ補機締結部を設け、前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向をエンジン出力軸方向とし、前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機締結用螺合部材の締結方向をエンジン出力軸方向と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向とし、前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機締結用螺合部材の締結方向をエンジンの出力軸方向としたことを特徴とする。この構成によれば、エンジン出力軸から遠くてエンジン振動を加振源とする加速度が大きく、共振によりエンジン出力軸方向と直交する方向に変位の生じやすい側の補機締結部においては、エンジン振動の変位方向であるエンジン出力軸方向に直交する方向におけるエンジン部位によって異なる左右方向あるいは上下方向のうちの振動成分の大きい方向に対してその方向に締結して補機取付剛性を高めることができ、取付部を含めた補機の固有振動数をエンジン常用回転数域より高回転側にもっていって、エンジン本体を加振源とする補機の共振を無くするようにでき、また、エンジン出力軸に近い側の補機締結部においては、補機駆動時の無端巻掛部材の張力変動等に起因した首振りによるエンジン出力軸方向の自励振動をその方向からの締結により受けることにより補機取付剛性を高めることができ、振動を抑えることができる。補機が無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動されると、上述のようにエンジン出力軸の首振りによる自励振動が生ずるとともに、無端巻掛 部材側に張力がかかることにより、その無端巻掛部材側の取付位置を支点として無端巻掛部材から遠い側(リヤ側と呼ぶ)がエンジン出力軸と直交する方向に振れるが、請求項1の構成によれば、無端巻掛部材から遠いエンジン出力軸方向一端側の補機締結部について上記構成を採用することによって取付剛性が向上し、リヤ側の振れが抑制される。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上でエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機支持構造は中間取付部材を介したものとし、エンジン本体に対する中間取付部材の締結方向をエンジン出力軸と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向としたものである。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材に対する補機の締結方向をエンジン本体に対する中間取付部材の締結方向と同一方向としたものである。このように中間取付部材の両側で締結方向を同一とし、エンジン振動の上下方向成分と左右方向成分のうち加速度が大きい方に合わせることによって、エンジン出力軸方向の取付剛性を効率的に向上させることができる。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材のエンジン本体に対する締結部をエンジン出力軸方向の複数箇所に設け、かつ、該中間取付部材のエンジン本体に対する締結部をエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の前記補機締結部より多くしたものである。こうすることにより、エンジン出力軸方向に対して補機支持の中間取付部材の取付剛性を向上させることができる。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材として吸気マニホールドを利用し、該吸気マニホールドのエンジン本体に対する締結部を上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置し、かつ、該吸気マニホールドの箱状のサージタンク部に補機締結部を設けたものである。こうすることで、エンジン出力軸方向に対する補機取付剛性をより確実に向上させることができる。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機が機械式過給機で、そのエンジン出力軸方向一端側に上流吸気通路を接続することにより該上流側吸気通路を支持したものである。こうすることで、リショルム式ポンプ等の機械式過給機を有するものについてリヤ側の振れを効果的に抑制できる。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、請求項1または6に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機駆動系のクラッチを無端巻掛部材を巻掛ける補機プーリ側に配置したものである。この場合、重量物であるクラッチによって、エンジン側角速度変動の補機への伝達が抑えられる。
【0014】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に係る構成のエンジンの補機取付構造において、クラッチを所定のエンジン回転数より高回転領域で締結するようにしたものである。この場合のクラッチ締結動作は、本来、低回転域で行うものであり、請求項9の構成はその低回転域における所定のエンジン回転数よりは高回転の領域で締結を行うようにするというもので、共振が問題となるのは高回転側出あり、上記構成が効果的である。
【0015】
また、請求項9に係る発明は、請求項2に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に遠い側に加えて、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機支持構造も中間取付部材を介するものとし、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における中間部材の方が、前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における中間取付部材のエンジン出力軸と直交する方向の曲げ剛性に対して同方向の曲げ剛性が高いようにしたものである。こうすることにより、共振抑制を図りつつ中間取付部材の重量増大を抑えることができる。
【0016】
また、請求項10に係る発明は、請求項9に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における中間部材を吸気マニホールドとしたものである。吸気マニホールドが剛性が大きく、したがって、共振抑制と中間取付部材の重量増大抑制を効果的に実現できる。
【0017】
また、請求項11に係る発明は、請求項1に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向を全てエンジン出力軸方向としたものである。
【0018】
上記のようにエンジンを加振源とする補機の共振によるエンジン出力軸と直交する方向の振動(上下方向および左右方向)と、張力変動やスラスト力生成等に起因した首振りによる補機のエンジン出力軸方向の自励振動に対応するためには、補機側の固有振動数をエンジン常用回転数域外(マックス回転数n1より高回転側)に出す必要がある。そして、例えば4サイクル4気筒エンジンは、1回転で2回爆発(起振)するため2次成分の振動が大きく、そのマックス回転数n1の2次の周波数は、マックス回転数n1が例えば6000rpmの場合、200HZ((6000/60)×2)である。そして、この場合、補機の共振周波数は230HZ(200HZ×1.15)以上にする必要がある。そして、補機共振の解析値と実測値とを予め照合し、この値の予実差を1割と見れば、少なくとも253HZ(230HZ×1.1)以上にする必要がある。
【0019】
そこで、シュミレーション(解析)により、補機を完全固定し、すなわち、締結部分を螺合部材ではなく完全固定として共振周波数を算出した。そして、その完全固定の場合の共振周波数値が268HZ(2次周波数)であるものをベースとして、それに対して、各締結部において締結方向を変えた各仕様を解析した結果、上記請求項11に係る構成に該当するものは、いずれもベースに対して周波数低下割合が少なく(260HZ以上)、上記253HZの値を上回る。
【0020】
また、請求項12に係る発明は、請求項11に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向を全てエンジン出力軸方向と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向としたものである。この場合、上記解析によればベースに対して周波数低下割合が一層少ない。
【0021】
また、請求項13に係る発明は、請求項12に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機締結部の全てに円筒状のブッシュを介在させたものである。このブッシュは、経方向においては螺合部材(ボルト等)との間に大きな隙間を作ることにより経方向の誤差(製品誤差)を十分に吸収できる。また、ブッシュの軸方向においては、ブッシュが両端から数十ミクロン程度はみ出るようにすれば、ボルト等の締結時に補機側の座がブラケット側の座に強く接触しなくなって、加振力に入力レベルが下がる。
【0022】
また、請求項14に係る発明は、請求項1に係るエンジンの補機取付構造において、少なくともエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部に円筒状のブッシュを介在させたものである。この場合、ブッシュの隙間により製品誤差を吸収できる。
【0023】
また、請求項15に係る発明のエンジンの補機取付構造は、エンジン出力軸により増速されて駆動される補機をエンジン本体側に支持するエンジンの補機取付構造であって、前記補機が一対のスクリュー型ロータを備えたリショルム式ポンプであるものである。この構成によれば、リショルム式ポンプの場合に、増速駆動される内部圧縮のスクリュー式ロータゆえの比較的高い周波数域でのスラスト振動に対処することができる。
【0024】
また、請求項16に係る発明は、請求項15に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機のエンジン出力軸方向一端側に上流吸気通路を接続することにより該上流側吸気通路を支持するようにしたものである。この構成によれば、リヤ側の加振力に効果的に対応できる。
【0025】
また、請求項17に係る発明は、請求項16に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材として吸気マニホールドを利用し、該吸気マニホールドのエンジン本体に対する締結部を上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置し、かつ、該吸気マニホールドの箱状のサージタンク部に補機締結部を設けたものである。これによれば、共振抑制と中間取付部材の重量増大抑制を効果的に実現できる。
【0026】
また、請求項18に係る発明は、請求項15または16に係る構成のエンジンの補機取付構造において、無端巻掛部材を介して駆動するリショルム式ポンプの駆動プーリに所定のエンジン回転数より高回転領域で締結するクラッチを配置したものである。この構成によれば、プーリ側に重量物であるクラッチを配置することにより、リショルム式ポンプが高速回転域でさらに増速され、かつ内部圧縮であるがゆえに機械抵抗が大きくても、クラッチ締結時の無端巻掛部材の張力変動に起因する首振りを低減できる。
【0027】
また、請求項19に係る発明は、請求項15に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の2箇所の補機締結部をエンジン出力軸方向と同方向から相互に反対向きに補機締結用螺合部材を通して固定したものである。
【0028】
また、請求項20に係る発明は、請求項15に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側でエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所の補機締結部を補機締結用螺合部材による締結により吸気マニホールドを介してシリンダヘッドに固定し、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側でエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所の補機締結部を、エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と無端巻掛部材から遠い側のそれぞれに配置した下方フロント側ブラケットと下方リヤ側ブラケットを介してシリンダブロックに固定したものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1〜図8は本発明の実施の形態の一例の機械式過給機付エンジンを示している。このうち、図1はエンジンを車両に搭載した状態で車両正面視にて車両左側方から見た図であり、図2はエンジンを車両後方から見た図、図3および図4は機械式過給機の取付構造を示す側面図および正面図、図5は過給機取付用の下方フロント側ブラケットの正面図、図6は同下方フロント側ブラケットの側面図、図7は過給機取付用の下方リヤ側ブラケットの正面図、図8は同下方リヤ側ブラケットの側面図である。
【0030】
上記エンジン1は、ボンネット2の下方において自動車のエンジンルーム内に、エンジン出力軸方向が車軸方向と同方向となるよう横置きで設置されたものである。エンジン1は、図1に示すように、スラント構造であって、シリンダボア中心Cが垂線Vに対して車両前方側へ約10度傾いて搭載され、その車両後方部すなわちスラント後方側の上方空間には、エンジン出力軸によってベルト駆動されエンジン1に供給される吸気を加圧するよう構成された2軸ロータのリショルム式ポンプからなる機械式過給機3が配設されている。機械式過給機3はこのようにスラント後方側の上方空間に配置され、過給機本体部分がシリンダヘッド4の下面より上方と下方に跨がる位置にあって、2軸のうちの一方のロータ軸延長上に電磁クラッチが介在され、その電磁クラッチを介在させた方のロータ軸をエンジン1側に寄せて、その軸線がエンジン出力軸と平行で、エンジン重心位置Gに最大限近づけられた配置とされ、後述のように上方2箇所と下方2箇所の計4点でエンジン1側に取り付けられている。
【0031】
また、エンジン1の上記スラント後方側の上方空間には、エンジン正面視(図1)にて機械式過給機3の上方で、シリンダボア中心Cに対し外方で、ダッシュパネル5との間の、機械式過給機3に近接し、かつ、機械式過給機3とは車幅方向にオーバーラップする位置に、機械式過給機下流の吸気を冷却するインタークーラ6が配置され、また、このインタークーラ6に対してエンジン出力軸方向の後側(車両正面視にて車幅方向右側)の、インタークーラ6よりシリンダボア中心線Cに近い側で、図1において機械式過給機3のほぼ真上にあたる位置には、吸入空気量を調整しエンジン出力を制御するスロットルバルブを備えたスロットルボディ7が配置されている。これらインタークーラ6とスロットルボディ7は、ボンネットインナー2aとの間に僅かな隙間を残す上方位置にあり、吸気系の最上位に位置する。
【0032】
エンジンルームの前部には、図1に示すようにファン8a付きのラジエータ8が設置されている。
【0033】
上記機械式過給機3の上方には、エンジン1のシリンダヘッド4に連結され各気筒の独立吸気通路を構成する分岐管9aと、それら分岐管9aの集合部を構成するサージタンク9bとからなる吸気マニホールド9が配設されている。サージタンク9bは、インタークーラ6とシリンダヘッド4との間で、平面視にて機械式過給機3およびインタークーラ6と車幅方向にオーバーラップする位置にあり、機械式過給機3およびインタークーラ6と平行で、気筒列方向(エンジン出力軸方向と同じ)に延設されている。
【0034】
上記機械式過給機3は、エンジン前端側の端部において、エンジン1側に寄せた側のロータ軸延長上に上記電磁クラッチを介在させて従動プーリ10が配置され、その従動プーリとエンジン出力軸端部に取り付けられた駆動プーリ11との間にVベルト12が巻き掛けられ、エンジン出力軸によって回転駆動されるよう構成されている。また、機械式過給機3は車両正面視にて車幅方向右側(エンジン出力軸方向の後側)となる端部位置に吸気導入部を有し、車両後方側となる側壁部に吐出部を有する。吐出部は図4に符号3aで示す吐出口を有するものである。そして、その車両正面視にて車幅方向右側端部の吸気導入部に吸気導入管13が連結され、この吸気導入管13によって機械式過給機3の吸気導入部と上記スロットルボディ7とが接続されている。また、機械式過給機3の車両後方側壁部の上記吐出部には、インタクーラ6の車両正面視にて車幅方向左端下方に位置する吸気導入部との間を連通する連通管14が接続されている。
【0035】
インタクーラ6は、上記吸気導入部とは反対の車両正面視にて車幅方向右端下方に吐出部を有し、このインタークーラ6の吐出部にはサージタンク9bの略中央の吸気入口とを連通する連通管15が接続されている。
【0036】
吸気系には、また、機械式過給機3をバイパスするバイパス通路を形成するよう、機械式過給機3上流の上記吸気導入管13とインタークーラ6出口側の上記連通管15とを接続するバイパス管16が設けれら、このバイパス管16の途中にエアバイパスバルブ17が配設されている。非過給領域ではエアバイパスバルブ17が開かれ、バイパス通路を通って機械式過給機3をバイパスする吸気が流れ、自然吸気が行われる。また、エアバイパスバルブ17は過給領域で吐出圧が限界値に達した時に開かれ、それにより、吐出圧のリリーフが行われる。
【0037】
また、吸気系に排気ガスを還流するよう機械式過給機3上流の吸気導入管13に排気ガス還流用配管18が接続され、排気ガス還流用配管18の途中には排気ガス還流制御弁19が配設されている。上記排気ガス還流制御弁19は、エンジン1の高回転高負荷側に設定された過給領域で開くよう制御されるものである。過給領域で上記排気ガス還流制御弁19が開かれると、排気ガス還流用配管18を経て機械式過給機3上流の吸気導入管13から吸気系に排気ガスの一部が還流される。
【0038】
エンジンルーム内には、また、車体前端部または上記ボンネット2の上面部からエンジンルーム内に導入された走行風を冷却風として上記インタクーラ6に向けて案内するよう、筒状のエア導入ガイド20がボンネットインター2aの下面に沿って配設され、また、インタクーラ6を通過した冷却風をダッシュパネル5に沿って車体下方に案内するよう、インタクーラ6を覆う大きさを有する筒体からなりインタクーラ6の後面から後部下方に湾曲して延びるエア排出ガイド21が配設されている。
【0039】
また、エンジン1の車両前方側すなわちスラント前方側のシリンダヘッド4側壁部には、排気ガスを外部に導出するための排気マニホールド22が連結されている。そして、排気マニホールド22の端部に接続された排気管23は、エンジン1の下方を車体後方側へ延びている。
【0040】
そして、エンジン1の下方位置で、上記排気ガス還流用配管18が排気管23に接続されている。また、排気ガス還流用配管18は、上記エア排出ガイド21下端開口部の下方を通るよう取り回され、そのエア排出ガイド21下端開口部の下方を通る位置には、エア排出ガイド21からの冷却風によって還流排気ガスを冷却するよう蛇行部18aが形成されている。
【0041】
エンジン1には、車両正面視にて車幅方向の右側にトランスミッション24が連結されている。そして、そのトランスミッション24のケーシング上方にはエンジン1に吸入される空気を浄化するエアクリーナが配設され、このエアクリーナと上記スロットルボディ7とが吸気ダクトによって接続されている。
【0042】
機械式過給機3は、上記駆動プーリ11,Vベルト12および従動プーリ10を介し、また、機械式過給機3に内蔵された電磁クラッチを介してエンジン出力軸により回転駆動されるものである。そして、過給領域においてこの機械式過給機3が駆動され、エアバイパスバルブ17が閉じられると、エアクリーナ25から入った吸気が、吸気ダクト,スロットルボディ7および吸気導入管13を経て機械式過給機3に入り、加圧されて、吐出され、連通管14を経てインタークーラ6に入り、インタークーラ6内で冷却され、連通管15を経て吸気マニホールド9に構成されたサージタンク9bに入り、分岐管9aを経てエンジン1の各気筒に供給される。その際、排気ガス還流配管18を通り、蛇行部18aにおいて冷却され低温となった還流排気ガスが、排気ガス還流制御弁19を介して機械式過給機3の上流側に供給され、吸気に混ざってエンジン1に供給される。また、過給を行わない領域では、電磁クラッチが切られることによって機械式過給機3の駆動が停止されるとともに、エアバイパスバルブ17が開かれ、バイパス管16を介し機械式過給機3とインタークーラ6をバイパスして下流側の連通路15に直接吸気が流される。そして、このように機械式過給機3とインタークーラ6をバイパスして流れた吸気がサージタンク9bに入り、分岐管9aを経て各気筒に供給される。この時、排気ガス還流制御弁19は閉じられ、排気ガスの還流は停止される。
【0043】
上記エンジン1には、機械式過給機3の他に、エアコン用コンプレッサー27,オルタネータ28,パワステ用ポンプ29等のベルト駆動補機が装着されている。これらのベルト駆動補機のうち、最も重い補機は機械式過給機3であり、2番目に重い補機はエアコン用コンプレッサー27であり、3番目に重い補機はオルタネータ28である。このうちの最も重いベルト駆動補機である機械式過給機3が上述のとおりエンジン1の車両後方側すなわちスラント後方側の上方空間に配置されている。そして、2番目に重い補機であるエアコン用コンプレッサー27は、エンジン1の車両前方側すなわちスラント前方側下方空間の最下部において車両正面視にて車幅方向左端側に配置され、3番目に重い補機であるオルタネータ28がやはりスラント前方側下方空間において車両正面視にて車幅方向左端側でエアコン用コンプレッサー27の上方に配置され、上記ベルト駆動補機のうちで最も軽いパワステ用ポンプ29が同じスラント前方側下方空間の車両正面視にて車幅方向左端側でオルタネータ28の上方に配置されている。そして、これらエアコン用コンプレッサー27,オルタネータ28およびパワステ用ポンプ29は、それぞれ従動プーリ30,31,32を備え、それら従動プーリ30,31,32をエンジン出力軸側の駆動プーリ11と連動させるようVベルト33が巻き掛けられて、駆動プーリ11,Vベルト33および各従動プーリ30,31,32を介し回転駆動されるよう構成されている。
【0044】
エンジン吸気系の上記スロットルボディ7,機械式過給機3,インタークーラ6および吸気マニホールド9は、図1に示す車両側面視においてトランスミッション24のケーシング(ミッションケース)の車両後方側の側端に垂線Xを引いたときに、その垂線Xより車両前方に収まる配置となっている。
【0045】
また、エンジン重心位置(正確にはエンジン1とトランスミッション24との連結体からなるパワーユニットの重心位置)Gは、図1および図2に示すとおりであり、振動中心線は図2にSで示すとおりである。
【0046】
上記エンジン1とトランスミッション24とからなるパワーユニットは、車両前後方向の両側部と車幅方向の左右両端部(エンジン前後方向の端部)の4点で車体側に支持される。図2の34と35は、車両正面視にて車幅方向左側(エンジン前端側)のエンジンマウント(34)と同右側(エンジン後端側)のエンジンマウント(35)である。また、36および37はそれらエンジンマウント34,35のエンジン(パワーユニット)側取付部であり、38および39は車体側取付部である。
【0047】
車幅方向左側(エンジン前側)のエンジンマウント34(エンジン側取付部36)は、図2に示すように振動中心線S上にあり、また、図1に示すようにエンジン正面視にてエンジン重心位置Gを通る垂線Vに重なる位置に配置されている。このエンジンマウント34の位置は、エンジン正面視にてシリンダボア中心線Cより機械式過給機3側に寄った位置であり、機械式過給機3はこのエンジンマウント34の近傍に位置する。一方、車幅方向右側(エンジン後側)のエンジンマウント35は、振動中心線S上に重なりはしないが、その近傍にあり、エンジン正面視にてはやはりエンジン重心位置Gを通る垂線Vに重なる位置に配置されている。
【0048】
上記機械式過給機3の取付構造は図3および図4に示すとおりである。すなわち、機械式過給機3は、上方2箇所と下方2箇所がボルト固定によって取り付けられるもので、上方2箇所は吸気マニホールド9を介してシリンダヘッド4に固定され、下方2箇所は図5および図6に示す下方フロント側ブラケット50と図7および図8に示す下方リヤ側ブラケット51を介してシリンダブロック40に固定されている。
【0049】
吸気マニホールド9は、シリンダヘッド4に対し図4に示すように上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置された締結部にてそれぞれエンジン正面視にて外方から(図3において左側から)ボルト52により締結固定されている。そして、この吸気マニホールド9のサージタンク部9bに対し、上記機械式過給機3の上方2箇所の固定部41,42が、やはりエンジン正面視にて外方からボルト43,44を通して締結されている。
【0050】
また、下方2箇所の上記下方フロント側ブラケット50およびリヤ側ブラケット51はそれぞれボルト53によってシリンダブロック40に固定されている。そして、これら下方フロント側ブラケット50およびリヤ側ブラケット51に対し、機械式過給機3の下方2箇所の固定部45,46が、エンジン出力軸方向と同方向から相互に反対向きにボルト47,48を通して固定されている。図5および図6において、54,55,56は、下方フロント側ブラケット50のブロック締結用ボルト穴であり、57は機械式過給機取付用ボルト穴である。また、図7および図8において、58,59,60は、下方リヤ側ブラケット50のブロック締結用ボルト穴であり、57は機械式過給機取付用ボルト穴である。
【0051】
図3において、61はエンジン出力軸である。また、62はブッシュである。ブッシュ62は、機械式過給機3の締結部4点に全て介在され、各ボルトとの間に隙間を作っている。
【0052】
機械式過給機3の上記取付構造は、取付部を含めた過給機3側の固有振動数がエンジン常用回転数域外(マックス回転数より高回転側)に設定される。具体的には、例えば4サイクル4気筒エンジンの場合、共振周波数は230HZで、解析値と実測値との予実差を1割と見て、少なくとも253HZ以上とする。
【0053】
なお、本発明は他の機械式過給機あるいはその他の補機の取付構造にも適用できるものである。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、共振によるエンジン軸方向と直交する方向の補機振動および無端巻掛部材の張力変動やスラスト生成によるエンジン出力軸方向の自励振動に対する取付剛性を向上させ、補機信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示すエンジンを車両に搭載した状態で車両正面視にて車両左側方から見た図である。
【図2】 図1のエンジンを車両後方から見た図である。
【図3】 図1のエンジンにおける機械式過給機の取付構造を示す側面図である。
【図4】 図1のエンジンにおける機械式過給機の取付構造を示す正面図である。
【図5】 過給機取付用の下方フロント側ブラケットの正面図である。
【図6】 過給機取付用の下方フロント側ブラケットの側面図である。
【図7】 過給機取付用の下方リヤ側ブラケットの正面図である。
【図8】 過給機取付用の下方リヤ側ブラケットの側面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 機械式過給機
4 シリンダヘッド
9 吸気マニホールド
9b サージタンク
40 シリンダブロック
41,42,45,46 固定部
43,44,47,48 ボルト
50 下方フロント側ブラケット
51 下方リヤ側ブラケット
52,53 ボルト
54,55,56 ブロック締結用ボルト穴
57 機械式過給機取付用ボルト穴
58,59,60 ブロック締結用ボルト穴
61 エンジン出力軸
62 ブッシュ
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの補機取付構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば実開平4−34435号公報に示されているように、補機をエンジン本体にブラケットを介して取り付ける場合に、その補機取付用ブラケットのエンジン側取付方向と補機側取付方向とが交差するものが知れられている。また、例えば特開平4−308318号公報,特開平4−308319号公報に示されているように、機械式過給機の取付方向がすべての取付部で同一であるものが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
エンジンに取り付けた補機は、エンジン振動の影響を受ける。エンジン振動は、ピストンの往復動による上下方向振動,エンジン出力軸の回転による回転方向振動等が組み合わされたものである。そして、特にエンジン出力軸方向と直交する方向の加速度が大きく、この方向の共振によって補機の信頼性が損なわれる場合がある。このエンジン出力軸方向と直交する方向の加速度はエンジン出力軸から離れる程大きくなり、そのため、補機はエンジンとの締結部がエンジン出力軸から遠い場合程共振しやすい。例えばリショルム式ポンプのような精密な補機の場合、この共振による補機振動によって信頼性が大きく影響を受ける。
【0004】
また、補機が無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動される場合に、エンジン出力軸の角速度変動に起因して動的な張力変動が生じ、それにより補機にエンジン出力軸方向の変位(首振り)による自励振動が生ずる。また、特に、補機がリショルム式ポンプである場合、リショルム式ポンプはスクリュー式ロータが高速回転し、ねじ込み式にエアーを圧縮して、間欠的に吐出口から吐き出すものであって、それによる反力がスラスト力となる。そして、高速回転であるため、このスラスト力が軸方向振動を引き起こす。また、内部圧縮で機械抵抗も大きいため、無端巻掛部材の張力変動による首振りも大きくなる。
【0005】
従来の補機取付構造は、上記のような共振によるエンジン軸方向と直交する方向の補機振動および無端巻掛部材の張力変動やスラスト生成によるエンジン出力軸方向の自励振動に対して、取付剛性が十分でなく、補機信頼性を確保することができなかった。
【0006】
したがって、共振によるエンジン軸方向と直交する方向の補機振動および無端巻掛部材の張力変動やスラスト生成によるエンジン出力軸方向の自励振動に対する取付剛性を向上させ、補機信頼性を確保することが課題である。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のエンジンの補機取付構造は、無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動される補機をエンジン本体側に支持するエンジンの補機取付構造であって、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側のエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上と、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側のエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上にそれぞれ補機締結部を設け、前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向をエンジン出力軸方向とし、前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機締結用螺合部材の締結方向をエンジン出力軸方向と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向とし、前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機締結用螺合部材の締結方向をエンジンの出力軸方向としたことを特徴とする。この構成によれば、エンジン出力軸から遠くてエンジン振動を加振源とする加速度が大きく、共振によりエンジン出力軸方向と直交する方向に変位の生じやすい側の補機締結部においては、エンジン振動の変位方向であるエンジン出力軸方向に直交する方向におけるエンジン部位によって異なる左右方向あるいは上下方向のうちの振動成分の大きい方向に対してその方向に締結して補機取付剛性を高めることができ、取付部を含めた補機の固有振動数をエンジン常用回転数域より高回転側にもっていって、エンジン本体を加振源とする補機の共振を無くするようにでき、また、エンジン出力軸に近い側の補機締結部においては、補機駆動時の無端巻掛部材の張力変動等に起因した首振りによるエンジン出力軸方向の自励振動をその方向からの締結により受けることにより補機取付剛性を高めることができ、振動を抑えることができる。補機が無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動されると、上述のようにエンジン出力軸の首振りによる自励振動が生ずるとともに、無端巻掛 部材側に張力がかかることにより、その無端巻掛部材側の取付位置を支点として無端巻掛部材から遠い側(リヤ側と呼ぶ)がエンジン出力軸と直交する方向に振れるが、請求項1の構成によれば、無端巻掛部材から遠いエンジン出力軸方向一端側の補機締結部について上記構成を採用することによって取付剛性が向上し、リヤ側の振れが抑制される。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、請求項1に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上でエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機支持構造は中間取付部材を介したものとし、エンジン本体に対する中間取付部材の締結方向をエンジン出力軸と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向としたものである。
【0009】
また、請求項3に係る発明は、請求項2に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材に対する補機の締結方向をエンジン本体に対する中間取付部材の締結方向と同一方向としたものである。このように中間取付部材の両側で締結方向を同一とし、エンジン振動の上下方向成分と左右方向成分のうち加速度が大きい方に合わせることによって、エンジン出力軸方向の取付剛性を効率的に向上させることができる。
【0010】
また、請求項4に係る発明は、請求項2または3に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材のエンジン本体に対する締結部をエンジン出力軸方向の複数箇所に設け、かつ、該中間取付部材のエンジン本体に対する締結部をエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の前記補機締結部より多くしたものである。こうすることにより、エンジン出力軸方向に対して補機支持の中間取付部材の取付剛性を向上させることができる。
【0011】
また、請求項5に係る発明は、請求項4に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材として吸気マニホールドを利用し、該吸気マニホールドのエンジン本体に対する締結部を上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置し、かつ、該吸気マニホールドの箱状のサージタンク部に補機締結部を設けたものである。こうすることで、エンジン出力軸方向に対する補機取付剛性をより確実に向上させることができる。
【0012】
また、請求項6に係る発明は、請求項1に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機が機械式過給機で、そのエンジン出力軸方向一端側に上流吸気通路を接続することにより該上流側吸気通路を支持したものである。こうすることで、リショルム式ポンプ等の機械式過給機を有するものについてリヤ側の振れを効果的に抑制できる。
【0013】
また、請求項7に係る発明は、請求項1または6に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機駆動系のクラッチを無端巻掛部材を巻掛ける補機プーリ側に配置したものである。この場合、重量物であるクラッチによって、エンジン側角速度変動の補機への伝達が抑えられる。
【0014】
また、請求項8に係る発明は、請求項7に係る構成のエンジンの補機取付構造において、クラッチを所定のエンジン回転数より高回転領域で締結するようにしたものである。この場合のクラッチ締結動作は、本来、低回転域で行うものであり、請求項9の構成はその低回転域における所定のエンジン回転数よりは高回転の領域で締結を行うようにするというもので、共振が問題となるのは高回転側出あり、上記構成が効果的である。
【0015】
また、請求項9に係る発明は、請求項2に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に遠い側に加えて、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機支持構造も中間取付部材を介するものとし、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における中間部材の方が、前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における中間取付部材のエンジン出力軸と直交する方向の曲げ剛性に対して同方向の曲げ剛性が高いようにしたものである。こうすることにより、共振抑制を図りつつ中間取付部材の重量増大を抑えることができる。
【0016】
また、請求項10に係る発明は、請求項9に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における中間部材を吸気マニホールドとしたものである。吸気マニホールドが剛性が大きく、したがって、共振抑制と中間取付部材の重量増大抑制を効果的に実現できる。
【0017】
また、請求項11に係る発明は、請求項1に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向を全てエンジン出力軸方向としたものである。
【0018】
上記のようにエンジンを加振源とする補機の共振によるエンジン出力軸と直交する方向の振動(上下方向および左右方向)と、張力変動やスラスト力生成等に起因した首振りによる補機のエンジン出力軸方向の自励振動に対応するためには、補機側の固有振動数をエンジン常用回転数域外(マックス回転数n1より高回転側)に出す必要がある。そして、例えば4サイクル4気筒エンジンは、1回転で2回爆発(起振)するため2次成分の振動が大きく、そのマックス回転数n1の2次の周波数は、マックス回転数n1が例えば6000rpmの場合、200HZ((6000/60)×2)である。そして、この場合、補機の共振周波数は230HZ(200HZ×1.15)以上にする必要がある。そして、補機共振の解析値と実測値とを予め照合し、この値の予実差を1割と見れば、少なくとも253HZ(230HZ×1.1)以上にする必要がある。
【0019】
そこで、シュミレーション(解析)により、補機を完全固定し、すなわち、締結部分を螺合部材ではなく完全固定として共振周波数を算出した。そして、その完全固定の場合の共振周波数値が268HZ(2次周波数)であるものをベースとして、それに対して、各締結部において締結方向を変えた各仕様を解析した結果、上記請求項11に係る構成に該当するものは、いずれもベースに対して周波数低下割合が少なく(260HZ以上)、上記253HZの値を上回る。
【0020】
また、請求項12に係る発明は、請求項11に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向を全てエンジン出力軸方向と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向としたものである。この場合、上記解析によればベースに対して周波数低下割合が一層少ない。
【0021】
また、請求項13に係る発明は、請求項12に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機締結部の全てに円筒状のブッシュを介在させたものである。このブッシュは、経方向においては螺合部材(ボルト等)との間に大きな隙間を作ることにより経方向の誤差(製品誤差)を十分に吸収できる。また、ブッシュの軸方向においては、ブッシュが両端から数十ミクロン程度はみ出るようにすれば、ボルト等の締結時に補機側の座がブラケット側の座に強く接触しなくなって、加振力に入力レベルが下がる。
【0022】
また、請求項14に係る発明は、請求項1に係るエンジンの補機取付構造において、少なくともエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部に円筒状のブッシュを介在させたものである。この場合、ブッシュの隙間により製品誤差を吸収できる。
【0023】
また、請求項15に係る発明のエンジンの補機取付構造は、エンジン出力軸により増速されて駆動される補機をエンジン本体側に支持するエンジンの補機取付構造であって、前記補機が一対のスクリュー型ロータを備えたリショルム式ポンプであるものである。この構成によれば、リショルム式ポンプの場合に、増速駆動される内部圧縮のスクリュー式ロータゆえの比較的高い周波数域でのスラスト振動に対処することができる。
【0024】
また、請求項16に係る発明は、請求項15に係る構成のエンジンの補機取付構造において、補機のエンジン出力軸方向一端側に上流吸気通路を接続することにより該上流側吸気通路を支持するようにしたものである。この構成によれば、リヤ側の加振力に効果的に対応できる。
【0025】
また、請求項17に係る発明は、請求項16に係る構成のエンジンの補機取付構造において、中間取付部材として吸気マニホールドを利用し、該吸気マニホールドのエンジン本体に対する締結部を上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置し、かつ、該吸気マニホールドの箱状のサージタンク部に補機締結部を設けたものである。これによれば、共振抑制と中間取付部材の重量増大抑制を効果的に実現できる。
【0026】
また、請求項18に係る発明は、請求項15または16に係る構成のエンジンの補機取付構造において、無端巻掛部材を介して駆動するリショルム式ポンプの駆動プーリに所定のエンジン回転数より高回転領域で締結するクラッチを配置したものである。この構成によれば、プーリ側に重量物であるクラッチを配置することにより、リショルム式ポンプが高速回転域でさらに増速され、かつ内部圧縮であるがゆえに機械抵抗が大きくても、クラッチ締結時の無端巻掛部材の張力変動に起因する首振りを低減できる。
【0027】
また、請求項19に係る発明は、請求項15に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の2箇所の補機締結部をエンジン出力軸方向と同方向から相互に反対向きに補機締結用螺合部材を通して固定したものである。
【0028】
また、請求項20に係る発明は、請求項15に係る構成のエンジンの補機取付構造において、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側でエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所の補機締結部を補機締結用螺合部材による締結により吸気マニホールドを介してシリンダヘッドに固定し、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側でエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所の補機締結部を、エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と無端巻掛部材から遠い側のそれぞれに配置した下方フロント側ブラケットと下方リヤ側ブラケットを介してシリンダブロックに固定したものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1〜図8は本発明の実施の形態の一例の機械式過給機付エンジンを示している。このうち、図1はエンジンを車両に搭載した状態で車両正面視にて車両左側方から見た図であり、図2はエンジンを車両後方から見た図、図3および図4は機械式過給機の取付構造を示す側面図および正面図、図5は過給機取付用の下方フロント側ブラケットの正面図、図6は同下方フロント側ブラケットの側面図、図7は過給機取付用の下方リヤ側ブラケットの正面図、図8は同下方リヤ側ブラケットの側面図である。
【0030】
上記エンジン1は、ボンネット2の下方において自動車のエンジンルーム内に、エンジン出力軸方向が車軸方向と同方向となるよう横置きで設置されたものである。エンジン1は、図1に示すように、スラント構造であって、シリンダボア中心Cが垂線Vに対して車両前方側へ約10度傾いて搭載され、その車両後方部すなわちスラント後方側の上方空間には、エンジン出力軸によってベルト駆動されエンジン1に供給される吸気を加圧するよう構成された2軸ロータのリショルム式ポンプからなる機械式過給機3が配設されている。機械式過給機3はこのようにスラント後方側の上方空間に配置され、過給機本体部分がシリンダヘッド4の下面より上方と下方に跨がる位置にあって、2軸のうちの一方のロータ軸延長上に電磁クラッチが介在され、その電磁クラッチを介在させた方のロータ軸をエンジン1側に寄せて、その軸線がエンジン出力軸と平行で、エンジン重心位置Gに最大限近づけられた配置とされ、後述のように上方2箇所と下方2箇所の計4点でエンジン1側に取り付けられている。
【0031】
また、エンジン1の上記スラント後方側の上方空間には、エンジン正面視(図1)にて機械式過給機3の上方で、シリンダボア中心Cに対し外方で、ダッシュパネル5との間の、機械式過給機3に近接し、かつ、機械式過給機3とは車幅方向にオーバーラップする位置に、機械式過給機下流の吸気を冷却するインタークーラ6が配置され、また、このインタークーラ6に対してエンジン出力軸方向の後側(車両正面視にて車幅方向右側)の、インタークーラ6よりシリンダボア中心線Cに近い側で、図1において機械式過給機3のほぼ真上にあたる位置には、吸入空気量を調整しエンジン出力を制御するスロットルバルブを備えたスロットルボディ7が配置されている。これらインタークーラ6とスロットルボディ7は、ボンネットインナー2aとの間に僅かな隙間を残す上方位置にあり、吸気系の最上位に位置する。
【0032】
エンジンルームの前部には、図1に示すようにファン8a付きのラジエータ8が設置されている。
【0033】
上記機械式過給機3の上方には、エンジン1のシリンダヘッド4に連結され各気筒の独立吸気通路を構成する分岐管9aと、それら分岐管9aの集合部を構成するサージタンク9bとからなる吸気マニホールド9が配設されている。サージタンク9bは、インタークーラ6とシリンダヘッド4との間で、平面視にて機械式過給機3およびインタークーラ6と車幅方向にオーバーラップする位置にあり、機械式過給機3およびインタークーラ6と平行で、気筒列方向(エンジン出力軸方向と同じ)に延設されている。
【0034】
上記機械式過給機3は、エンジン前端側の端部において、エンジン1側に寄せた側のロータ軸延長上に上記電磁クラッチを介在させて従動プーリ10が配置され、その従動プーリとエンジン出力軸端部に取り付けられた駆動プーリ11との間にVベルト12が巻き掛けられ、エンジン出力軸によって回転駆動されるよう構成されている。また、機械式過給機3は車両正面視にて車幅方向右側(エンジン出力軸方向の後側)となる端部位置に吸気導入部を有し、車両後方側となる側壁部に吐出部を有する。吐出部は図4に符号3aで示す吐出口を有するものである。そして、その車両正面視にて車幅方向右側端部の吸気導入部に吸気導入管13が連結され、この吸気導入管13によって機械式過給機3の吸気導入部と上記スロットルボディ7とが接続されている。また、機械式過給機3の車両後方側壁部の上記吐出部には、インタクーラ6の車両正面視にて車幅方向左端下方に位置する吸気導入部との間を連通する連通管14が接続されている。
【0035】
インタクーラ6は、上記吸気導入部とは反対の車両正面視にて車幅方向右端下方に吐出部を有し、このインタークーラ6の吐出部にはサージタンク9bの略中央の吸気入口とを連通する連通管15が接続されている。
【0036】
吸気系には、また、機械式過給機3をバイパスするバイパス通路を形成するよう、機械式過給機3上流の上記吸気導入管13とインタークーラ6出口側の上記連通管15とを接続するバイパス管16が設けれら、このバイパス管16の途中にエアバイパスバルブ17が配設されている。非過給領域ではエアバイパスバルブ17が開かれ、バイパス通路を通って機械式過給機3をバイパスする吸気が流れ、自然吸気が行われる。また、エアバイパスバルブ17は過給領域で吐出圧が限界値に達した時に開かれ、それにより、吐出圧のリリーフが行われる。
【0037】
また、吸気系に排気ガスを還流するよう機械式過給機3上流の吸気導入管13に排気ガス還流用配管18が接続され、排気ガス還流用配管18の途中には排気ガス還流制御弁19が配設されている。上記排気ガス還流制御弁19は、エンジン1の高回転高負荷側に設定された過給領域で開くよう制御されるものである。過給領域で上記排気ガス還流制御弁19が開かれると、排気ガス還流用配管18を経て機械式過給機3上流の吸気導入管13から吸気系に排気ガスの一部が還流される。
【0038】
エンジンルーム内には、また、車体前端部または上記ボンネット2の上面部からエンジンルーム内に導入された走行風を冷却風として上記インタクーラ6に向けて案内するよう、筒状のエア導入ガイド20がボンネットインター2aの下面に沿って配設され、また、インタクーラ6を通過した冷却風をダッシュパネル5に沿って車体下方に案内するよう、インタクーラ6を覆う大きさを有する筒体からなりインタクーラ6の後面から後部下方に湾曲して延びるエア排出ガイド21が配設されている。
【0039】
また、エンジン1の車両前方側すなわちスラント前方側のシリンダヘッド4側壁部には、排気ガスを外部に導出するための排気マニホールド22が連結されている。そして、排気マニホールド22の端部に接続された排気管23は、エンジン1の下方を車体後方側へ延びている。
【0040】
そして、エンジン1の下方位置で、上記排気ガス還流用配管18が排気管23に接続されている。また、排気ガス還流用配管18は、上記エア排出ガイド21下端開口部の下方を通るよう取り回され、そのエア排出ガイド21下端開口部の下方を通る位置には、エア排出ガイド21からの冷却風によって還流排気ガスを冷却するよう蛇行部18aが形成されている。
【0041】
エンジン1には、車両正面視にて車幅方向の右側にトランスミッション24が連結されている。そして、そのトランスミッション24のケーシング上方にはエンジン1に吸入される空気を浄化するエアクリーナが配設され、このエアクリーナと上記スロットルボディ7とが吸気ダクトによって接続されている。
【0042】
機械式過給機3は、上記駆動プーリ11,Vベルト12および従動プーリ10を介し、また、機械式過給機3に内蔵された電磁クラッチを介してエンジン出力軸により回転駆動されるものである。そして、過給領域においてこの機械式過給機3が駆動され、エアバイパスバルブ17が閉じられると、エアクリーナ25から入った吸気が、吸気ダクト,スロットルボディ7および吸気導入管13を経て機械式過給機3に入り、加圧されて、吐出され、連通管14を経てインタークーラ6に入り、インタークーラ6内で冷却され、連通管15を経て吸気マニホールド9に構成されたサージタンク9bに入り、分岐管9aを経てエンジン1の各気筒に供給される。その際、排気ガス還流配管18を通り、蛇行部18aにおいて冷却され低温となった還流排気ガスが、排気ガス還流制御弁19を介して機械式過給機3の上流側に供給され、吸気に混ざってエンジン1に供給される。また、過給を行わない領域では、電磁クラッチが切られることによって機械式過給機3の駆動が停止されるとともに、エアバイパスバルブ17が開かれ、バイパス管16を介し機械式過給機3とインタークーラ6をバイパスして下流側の連通路15に直接吸気が流される。そして、このように機械式過給機3とインタークーラ6をバイパスして流れた吸気がサージタンク9bに入り、分岐管9aを経て各気筒に供給される。この時、排気ガス還流制御弁19は閉じられ、排気ガスの還流は停止される。
【0043】
上記エンジン1には、機械式過給機3の他に、エアコン用コンプレッサー27,オルタネータ28,パワステ用ポンプ29等のベルト駆動補機が装着されている。これらのベルト駆動補機のうち、最も重い補機は機械式過給機3であり、2番目に重い補機はエアコン用コンプレッサー27であり、3番目に重い補機はオルタネータ28である。このうちの最も重いベルト駆動補機である機械式過給機3が上述のとおりエンジン1の車両後方側すなわちスラント後方側の上方空間に配置されている。そして、2番目に重い補機であるエアコン用コンプレッサー27は、エンジン1の車両前方側すなわちスラント前方側下方空間の最下部において車両正面視にて車幅方向左端側に配置され、3番目に重い補機であるオルタネータ28がやはりスラント前方側下方空間において車両正面視にて車幅方向左端側でエアコン用コンプレッサー27の上方に配置され、上記ベルト駆動補機のうちで最も軽いパワステ用ポンプ29が同じスラント前方側下方空間の車両正面視にて車幅方向左端側でオルタネータ28の上方に配置されている。そして、これらエアコン用コンプレッサー27,オルタネータ28およびパワステ用ポンプ29は、それぞれ従動プーリ30,31,32を備え、それら従動プーリ30,31,32をエンジン出力軸側の駆動プーリ11と連動させるようVベルト33が巻き掛けられて、駆動プーリ11,Vベルト33および各従動プーリ30,31,32を介し回転駆動されるよう構成されている。
【0044】
エンジン吸気系の上記スロットルボディ7,機械式過給機3,インタークーラ6および吸気マニホールド9は、図1に示す車両側面視においてトランスミッション24のケーシング(ミッションケース)の車両後方側の側端に垂線Xを引いたときに、その垂線Xより車両前方に収まる配置となっている。
【0045】
また、エンジン重心位置(正確にはエンジン1とトランスミッション24との連結体からなるパワーユニットの重心位置)Gは、図1および図2に示すとおりであり、振動中心線は図2にSで示すとおりである。
【0046】
上記エンジン1とトランスミッション24とからなるパワーユニットは、車両前後方向の両側部と車幅方向の左右両端部(エンジン前後方向の端部)の4点で車体側に支持される。図2の34と35は、車両正面視にて車幅方向左側(エンジン前端側)のエンジンマウント(34)と同右側(エンジン後端側)のエンジンマウント(35)である。また、36および37はそれらエンジンマウント34,35のエンジン(パワーユニット)側取付部であり、38および39は車体側取付部である。
【0047】
車幅方向左側(エンジン前側)のエンジンマウント34(エンジン側取付部36)は、図2に示すように振動中心線S上にあり、また、図1に示すようにエンジン正面視にてエンジン重心位置Gを通る垂線Vに重なる位置に配置されている。このエンジンマウント34の位置は、エンジン正面視にてシリンダボア中心線Cより機械式過給機3側に寄った位置であり、機械式過給機3はこのエンジンマウント34の近傍に位置する。一方、車幅方向右側(エンジン後側)のエンジンマウント35は、振動中心線S上に重なりはしないが、その近傍にあり、エンジン正面視にてはやはりエンジン重心位置Gを通る垂線Vに重なる位置に配置されている。
【0048】
上記機械式過給機3の取付構造は図3および図4に示すとおりである。すなわち、機械式過給機3は、上方2箇所と下方2箇所がボルト固定によって取り付けられるもので、上方2箇所は吸気マニホールド9を介してシリンダヘッド4に固定され、下方2箇所は図5および図6に示す下方フロント側ブラケット50と図7および図8に示す下方リヤ側ブラケット51を介してシリンダブロック40に固定されている。
【0049】
吸気マニホールド9は、シリンダヘッド4に対し図4に示すように上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置された締結部にてそれぞれエンジン正面視にて外方から(図3において左側から)ボルト52により締結固定されている。そして、この吸気マニホールド9のサージタンク部9bに対し、上記機械式過給機3の上方2箇所の固定部41,42が、やはりエンジン正面視にて外方からボルト43,44を通して締結されている。
【0050】
また、下方2箇所の上記下方フロント側ブラケット50およびリヤ側ブラケット51はそれぞれボルト53によってシリンダブロック40に固定されている。そして、これら下方フロント側ブラケット50およびリヤ側ブラケット51に対し、機械式過給機3の下方2箇所の固定部45,46が、エンジン出力軸方向と同方向から相互に反対向きにボルト47,48を通して固定されている。図5および図6において、54,55,56は、下方フロント側ブラケット50のブロック締結用ボルト穴であり、57は機械式過給機取付用ボルト穴である。また、図7および図8において、58,59,60は、下方リヤ側ブラケット50のブロック締結用ボルト穴であり、57は機械式過給機取付用ボルト穴である。
【0051】
図3において、61はエンジン出力軸である。また、62はブッシュである。ブッシュ62は、機械式過給機3の締結部4点に全て介在され、各ボルトとの間に隙間を作っている。
【0052】
機械式過給機3の上記取付構造は、取付部を含めた過給機3側の固有振動数がエンジン常用回転数域外(マックス回転数より高回転側)に設定される。具体的には、例えば4サイクル4気筒エンジンの場合、共振周波数は230HZで、解析値と実測値との予実差を1割と見て、少なくとも253HZ以上とする。
【0053】
なお、本発明は他の機械式過給機あるいはその他の補機の取付構造にも適用できるものである。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、共振によるエンジン軸方向と直交する方向の補機振動および無端巻掛部材の張力変動やスラスト生成によるエンジン出力軸方向の自励振動に対する取付剛性を向上させ、補機信頼性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態を示すエンジンを車両に搭載した状態で車両正面視にて車両左側方から見た図である。
【図2】 図1のエンジンを車両後方から見た図である。
【図3】 図1のエンジンにおける機械式過給機の取付構造を示す側面図である。
【図4】 図1のエンジンにおける機械式過給機の取付構造を示す正面図である。
【図5】 過給機取付用の下方フロント側ブラケットの正面図である。
【図6】 過給機取付用の下方フロント側ブラケットの側面図である。
【図7】 過給機取付用の下方リヤ側ブラケットの正面図である。
【図8】 過給機取付用の下方リヤ側ブラケットの側面図である。
【符号の説明】
1 エンジン
3 機械式過給機
4 シリンダヘッド
9 吸気マニホールド
9b サージタンク
40 シリンダブロック
41,42,45,46 固定部
43,44,47,48 ボルト
50 下方フロント側ブラケット
51 下方リヤ側ブラケット
52,53 ボルト
54,55,56 ブロック締結用ボルト穴
57 機械式過給機取付用ボルト穴
58,59,60 ブロック締結用ボルト穴
61 エンジン出力軸
62 ブッシュ
Claims (20)
- 無端巻掛部材を介してエンジン出力軸により駆動される補機をエンジン本体側に支持するエンジンの補機取付構造であって、
エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側のエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上と、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側のエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上にそれぞれ補機締結部を設け、
前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向をエンジン出力軸方向とし、
前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機締結用螺合部材の締結方向をエンジン出力軸方向と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向とし、
前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側で前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機締結用螺合部材の締結方向をエンジンの出力軸方向としたことを特徴とするエンジンの補機取付構造。 - エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所以上でエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機支持構造は中間取付部材を介したものとし、エンジン本体に対する前記中間取付部材の締結方向をエンジン出力軸と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向とした請求項1記載のエンジンの補機取付構造。
- 中間取付部材に対する補機の締結方向をエンジン本体に対する前記中間取付部材の締結方向と同一方向とした請求項2記載のエンジンの補機取付構造。
- 中間取付部材のエンジン本体に対する締結部をエンジン出力軸方向の複数箇所に設け、かつ、該中間取付部材のエンジン本体に対する締結部をエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の前記補機締結部より多くした請求項2または3記載のエンジンの補機取付構造。
- 中間取付部材として吸気マニホールドを利用し、該吸気マニホールドのエンジン本体に対する締結部を上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置し、かつ、該吸気マニホールドの箱状のサージタンク部に補機締結部を設けた請求項4記載のエンジンの補機取付構造。
- 補機が機械式過給機で、その前記エンジン出力軸方向において無端巻掛部材から遠いエンジン出力軸方向一端側に上流吸気通路を接続することにより該上流側吸気通路を支持した請求項1記載のエンジンの補機取付構造。
- 補機駆動系のクラッチを無端巻掛部材を巻掛ける補機プーリ側に配置した請求項1または6記載のエンジンの補機取付構造。
- クラッチは所定のエンジン回転数より高回転領域で締結するものとした請求項7記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機支持構造も中間取付部材を介するものとし、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における中間部材の方が、前記エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における中間取付部材のエンジン出力軸と直交する方向の曲げ剛性に対して同方向の曲げ剛性が高いものとした請求項2記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における中間部材は吸気マニホールドである請求項9記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向を全てエンジン出力軸方向とした請求項1記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側の補機締結部における補機取付用螺合部材の締結方向を全てエンジン出力軸方向と直交してエンジン出力軸方向視において外方からエンジン本体側へ向く方向とした請求項11記載のエンジンの補機取付構造。
- 補機締結部の全てに円筒状のブッシュを介在させた請求項12記載のエンジンの補機取付構造。
- 少なくともエンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の補機締結部に円筒状のブッシュを介在させた請求項1記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸により増速されて駆動される補機をエンジン本体側に支持するエンジンの補機取付構造であって、前記補機が一対のスクリュー型ロータを備えたリショルム式ポンプである請求項2記載のエンジンの補機取付構造。
- 補機のエンジン出力軸方向一端側に上流吸気通路を接続することにより該上流側吸気通路を支持した請求項15記載のエンジンの補機取付構造。
- 中間取付部材として吸気マニホールドを利用し、該吸気マニホールドのエンジン本体に対する締結部を上下かつ気筒列方向の複数箇所に配置し、かつ、該吸気マニホールドの箱状のサージタンク部に補機締結部を設けた請求項16記載のエンジンの補機取付構造。
- 無端巻掛部材を介して駆動するリショルム式ポンプの駆動プーリに所定のエンジン回転数より高回転領域で締結するクラッチを配置した請求項15または16記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側の2箇所の補機締結部をエンジン出力軸方向と同方向から相互に反対向きに補機締結用螺合部材を通して固定した請求項15記載のエンジンの補機取付構造。
- エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸から遠い側でエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所の補機締結部を補機締結用螺合部材による締結により吸気マニホールドを介してシリンダヘッドに固定し、エンジン出力軸方向視において半径方向にエンジン出力軸に近い側でエンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と遠い側の2箇所の補機締結部を、エンジン出力軸方向において無端巻掛部材に近い側と無端巻掛部材から遠い側のそれぞれに配置した下方フロント側ブラケットと下方リヤ側ブラケットを介してシリンダブロックに固定した請求項15記載のエンジンの補機取付構造。
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