JP3911105B2 - 水系易接着性ポリエステルフィルム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は水系塗工に適した水系塗工層との接着性に優れたポリエステルフィルムに関し、具体的にはインクジェット記録材料、磁気記録材料、ハロゲン化銀写真感光材料等の記録材料、平版印刷材料、あるいは防曇フィルム等に利用されるポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルム表面は一般に疎水性であり、各種水溶性ポリマーをバインダーとして含む水系塗工液をそのままのポリエステルフィルム表面に塗工した場合、水溶性ポリマーとポリエステルフィルム表面の接着性が不足し、界面で膜剥離が起こったり、表面が擦られることで簡単にバインダー層がポリエステルフィルムから剥離する場合がある。
【0003】
ポリエステルフィルム表面の親水性バインダーに対する接着性を改善するために種々の下引き層をポリエステルフィルム表面に設けることが広く行われる。例えば、特開昭56−140343号公報にはスチレン・ブタジエン系ラテックスを使用した下引き層の例が挙げられ、特開昭63−304249号、同64−538号等には塩化ビニリデンラテックスを使用した下引き層について述べられている。こうした疎水性ラテックスによる下引き層を設けたポリエステルフィルムを使用して、ゼラチン等をバインダーとして含む層を設けた場合、下引き層の存在によりポリエルテルフィルムとの接着性は向上するものの十分ではない場合があった。
【0004】
上記のような一層構成の下引きでは、未だ接着性のレベルを十分満足出来る程度に高めることが困難な場合が多く、疎水性ラテックスの下引き層の上に更にもう一層の親水性樹脂からなる下引き層を積層した二層下引きの検討が広く検討されてきている。例えば、特開昭53−67787号には一層目に塩化ビニリデンラテックス層を設け、その上にセルロースエステル層を設けた二層構成が開示されており、また、特開平1−180537号、同1−202750号には塩化ビニリデンラテックス第一層の上にゼラチン等の水溶性ポリマー層を塗設した二層下引き構成が開示されている。
【0005】
しかしながら、こうした二層下引き構成においても、接着性を発現させるためには下引き塗布後に百数十℃程度の高温条件で加熱処理を要することもあり、このことでポリエステルフィルム自体の熱収縮性や寸法安定性に悪影響を与えることがあった。また、下引き層を2層設けることは、製造設備及び生産性の点で不利である。
【0006】
一方、イソシアネート系化合物を利用したポリエステルフィルム表面の易接着加工として、例えば特開平9−175009号にはポリイソシアネートとポリエステル樹脂等の溶剤可溶型樹脂からなる下引き剤の例が挙げられるが、下引き剤に水と親和性の低い溶剤可溶型樹脂を使用しているため、こうした下引き剤により下引き加工したフィルム上に水溶性ポリマーを塗設した場合に、接着性が未だ不十分なものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、各種水溶性ポリマーを塗工した際の水溶性ポリマーとの接着性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。本発明の他の目的は、1層のみの下引き層でも、高い接着性が得られる水系易接着性ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、ポリエステルフィルム上にエチレンオキサイド繰り返し単位と2個以上のイソシアネート基を有し、且つイソシアネート含有率が8〜25重量%である自己乳化性イソシアネート化合物を含有する少なくとも1層の下引き層を設けたことを特徴とする水系易接着性ポリエステルフィルムによって達成された。
【0009】
【発明の実施形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリエステルフィルムに下引き層を施し、各種記録材料、平版印刷版、あるいは防曇フィルム等の水系塗工液との接着性を改良した水系易接着性ポリエステルフィルムを提供するものである。ここで言うポリエステルフィルムとはポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のフィルムとして成膜可能なポリエステルフィルム一般を指す。本発明に用いられるポリエステルフィルムの厚みは、50〜500μm程度が一般的である。
【0010】
上記したような水系塗工液は、通常バインダーとして水溶性ポリマーを含有する。本発明の下引き層に用いられる自己乳化性イソシアネート化合物はその構造中に疎水性部分と親水性部分を併せ持つことで、疎水性であるポリエステルフィルムとの親和性と、親水性である水溶性ポリマーとの親和性の両方を併せ持つことが特徴であり、両者の界面に於いて良好な接着性を発現することが特徴である。この場合に下引き層に使用できる下引き用樹脂としては、水溶性ポリマー類、疎水性ラテックス、エマルジョン等が好ましく、このような下引き用樹脂類と自己乳化性イソシアネートを含む下引き層をポリエステルフィルム表面に塗布乾燥して設けることによって水系塗工液との接着性が優れたポリエステルフィルムが得られることが本発明の特徴である。
【0011】
本発明に用いられるエチレンオキサイド繰り返し単位と2個以上のイソシアネート基を有する自己乳化性イソシアネート化合物とは、例えば、特公昭55−7472号公報(米国特許第3,996,154号)、特開平5−222150号(米国特許第5,252,696号)、特開平9−71720号、特開平9−328654号、特開平10−60073号明細書等に記載されるような自己乳化性イソシアネートを指す。具体的には、例えば、脂肪族あるいは脂環族ジイソシアネートから形成される環状三量体骨格のイソシアヌレート構造を分子内に有するポリイソシアネートや、ビュレット構造、ウレタン構造等を分子内に有するポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとし、これに片末端エーテル化したポリエチレングリコール等をポリイソシアネート基の内一部のみに付加させて得られる構造のポリイソシアネート化合物が極めて好ましい例として挙げられる。こうした構造のイソシアネート化合物の合成法については上記の明細書中に記載されている。こうしたイソシアネート化合物の具体的な例としては、ヘキサメチレンジイソシアネート等を出発原料とした環状三量化によるポリイソシアネートをベースポリイソシアネートとしたものが市販されており、例えば、旭化成工業株式会社からデユラネートWB40或いはWX1741等の名称で入手可能である。
【0012】
上記のようなイソシアネート化合物は疎水性であるベースポリイソシアネートにエチレンオキサイド繰り返し単位が直接結合しているため、水中に於いてポリイソシアネート部分が水層から分離したエマルジョンを形成し、ポリエチレンオキサイド部分がエマルジョンを分散安定化させる自己乳化性機能を有している。このことから、本来水と反応して失活してしまうイソシアネート基が水中に於いても安定に存在し続けるため水系塗液中に添加した場合にも可使時間が長く、また一方で塗液水分が蒸発し皮膜形成過程に於いては速やかにエマルジョン状態が破壊され、皮膜中に拡散することで架橋反応が速やかに進行するという利点を有している。
【0013】
上記の自己乳化性イソシアネート化合物において、エチレンオキサイド繰り返し単位の長さについては、5〜50程度の繰り返し単位数が好ましい。これ以下である場合には自己乳化性が乏しく水溶液中で安定な乳化性を示すことが困難であり、また50以上の繰り返し単位を有する場合には結晶化し易く、固体となり易いことから好ましくない。さらに、自己乳化性イソシアネート化合物におけるイソシアネート含有率は8〜25重量%の範囲にあることが好ましい。
【0014】
本発明は、ポリエステルフィルム上に上記自己乳化性イソシアネート化合物を含有する少なくとも1層の下引き層を設ける。下引き層は、1層のみでもよく、2層以上で構成されていてもよい。本発明は、1層のみでも水系塗工液との接着性を充分に付与できることが1つの特徴である。
【0015】
下引き層が単一層の場合、自己乳化性イソシアネート化合物と、ラテックスまたはエマルジョンを併せて用いるのが好ましい。自己乳化性イソシアネート化合物とともに用いられるラテックスやエマルジョンとしては、塩化ビニリデン系ラテックス、スチレン・アクリル系ラテックス、スチレン・ブタジエン系ラテックス、ウレタン系エマルジョン、ポリエステル系エマルジョン等が挙げられる。これらの中でも、塩化ビニリデン系ラテックス、ウレタン系エマルジョンが好ましい。環境対応の面から特にウレタン系エマルジョンが好ましい。
【0016】
塩化ビニリデン系ラテックスとして特に好ましい例は、塩化ビニリデン含量が80重量部以上であり、アクリル系モノマーを共重合させたラテックスが好ましく、更にはアクリル系モノマーとしてヒドロキシエチル基等の水酸基を有するモノマーとの共重合ラテックスであることが極めて好ましい。
【0017】
ウレタン系エマルジョンとしては、水分散型ポリウレタンエマルジョンが好ましく、例えば自己乳化型ポリウレタン樹脂が挙げられる。自己乳化型ポリウレタン樹脂としては、ポリウレタン構造中にスルホン酸基、カルボキシ基、水酸基、ポリエチレンオキシ基等の親水性基を有するもの等が好ましく、市販される各種ポリウレタンエマルジョンが好ましく使用される。
【0018】
ポリウレタンエマルジョンについてさらに詳細に説明する。ポリウレタンエマルジョンは、水中に安定に分散したポリウレタン樹脂であり、粒子径範囲としては重量平均粒子径で1ミクロン以下であることが好ましく、フィルム上に塗布し下引き層を形成する場合に、フィルムの透明性および平滑性を損なわないために平均粒子径が1ミクロン以下であることが好ましく、さらに0.5ミクロン以下である場合に最も好ましい。
【0019】
上記のように、ポリウレタン樹脂を水中に安定に分散した形で形成するためには種々の製法がとられるが、本発明に好ましく用いることの出来るポリウレタンエマルジョンとしては、その製法に依るものではなく、ポリウレタン構造を有する樹脂エマルジョンであれば本質的に使用することが可能である。ここでいうポリウレタン構造としては有機ジまたはポリイソシアネートと有機ジまたはポリオールを付加重合して得られるポリウレタン構造を有するものであり、有機ジまたはポリイソシアネートとしては、芳香族ジイソシアネートとして、例えばトルエンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート等や、炭素数2〜12の脂肪族ジイソシアネートとして、例えばヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、リジンジイソシアネートや、炭素数4〜18の脂環式ジイソシアネートとして、例えば1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、イソプロピリデンジシクロヘキシル−4,4’−ジイソシアネート等が挙げられ、さらにこれら全てのジイソシアネートの変性物として、カーボジイミド、ウレチジオン、ビューレット及び/またはイソシアヌレート変性物等が挙げられる。さらに、形成されるポリウレタン樹脂を水中に安定に分散するために、自己乳化性イソシアネートとして先に述べたようなアルキレンオキシ基を結合したポリイソシアネート類が好ましい例として挙げられる。
【0020】
上記の有機ジまたはポリオールとしては、脂肪族ジオールとして、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、芳香族ジオールとして例えばビスフェノールA、あるいはポリエーテルポリオールとして、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンオキシプロピレン(ブロックまたはランダム)グリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール等や、ポリエステルポリオールとして例えば脂肪族ジオールとして、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、芳香族ジオールとして例えばビスフェノールA等とジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸等)とを縮合させて得られるポリエステルポリオールや、ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール等のポリラクトンポリオール等が挙げられる。さらには、ポリブチレンカーボネートジオール、ポリエキサメチレンカーボネートジオール等のようなポリカーボネートジオール等も好ましい例として挙げられる。さらに、形成されるポリウレタン樹脂を水中に安定に分散するためにポリオール成分としてポリアルキレンオキシ基を有する有機ジオールを使用することも好ましい(例えば米国特許第3,905,929号、同5,043,381号公報)。
【0021】
上記のような有機ジまたはポリイソシアネートと有機ジまたはポリオールを付加重合して得られるポリウレタン樹脂を水に安定に分散するためには、特公昭53−38760号公報、特公昭63−8141号公報に記載されるような分子内にカルボキシル基等のアニオン性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーを使用し、第三級アミンで中和することで水中に乳化可能な状態にし、これを鎖伸長してポリウレタンエマルジョンを製造する方法や、特願平3−327393号公報、特開平6−93068号公報等に記載されるような、分子内にカルボキシ基等のアニオン性基を有するポリウレタン樹脂を合成し、これをアミン類で中和することで水に乳化分散可能にする方法等が挙げられる。
【0022】
ポリウレタン樹脂の合成は上記のように水中で乳化状態において合成することも可能であり、あるいは水と混和性を有するケトン類、エーテル類等の有機溶剤を使用して重合を行い、その後水を添加し、有機溶剤を溜去することで水系エマルジョンに転換することも好ましく行われる。
【0023】
本発明に係わるポリウレタンエマルジョンとしては、上記のような種々の方法、原料を使用したエマルジョンが好ましく使用できるが、ポリエステルフィルムの下引き用樹脂として自己乳化性イソシアネートと併用して使用する場合に於いて、接着性、耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性、ポットライフ等の必要物性において最適の材料が選択される。特に好ましいポリウレタンエマルジョンとしては、例えば三洋化成工業から入手可能なパーマリン、ユープレン、ユーコート等の商品名で表されるポリウレタンエマルジョン等が極めて好ましく使用される。
【0024】
下引き層中における自己乳化性イソシアネート化合物の含有量は、1mg/m2〜10g/m2の範囲が適当であり、好ましくは1mg/m2〜1g/m2の範囲である。上記したラテックスやエマルジョンに対して、自己乳化性イソシアネト化合物は、0.1〜200重量%の範囲、好ましくは1〜50重量%の範囲で用いられる。
【0025】
単一下引き層の場合、更にゼラチン等の水溶性ポリマー、ブロッキング防止等の目的で下引き層厚みに対応した(下引き層厚み程度から数倍程度の)粒子径のシリカ等の無機微粒子やポリマービーズ等を含有してもよい。下引き層が単一層の場合、膜厚(乾燥膜厚)は、0.01ミクロンから1ミクロンの範囲で形成されることが好ましい。これ以下の膜厚では下引き層としての効果が現れ難く、また1ミクロンを越える厚みで形成して場合に於いては、何ら下引き層としての効果の改善は認められず、むしろフィルムのカール性を悪化させる等の悪影響が見られる場合がある。
【0026】
自己乳化性イソシアネート化合物とラテックスまたはエマルジョンを含有する単一下引き層の塗布乾燥は、ポリエステルフィルムの製造工程に於いて、フィルムの延伸前あるいは延伸後、またはオフラインで行うことができる。いずれの場合も良好な接着性が得られる。生産性の面から下引き層の塗布乾燥はフィルムの延伸前に行うのが好ましい。通常、ポリエステルフィルムの成膜工程では延伸後に加熱処理が行われるが、加熱処理条件についても室温から百数十度程度の範囲あるいは200℃を越える250℃までの加熱処理を行っても何ら問題はない。
【0027】
本発明において、下引き層は2層で構成されていてもよい。この場合の好ましい態様は、ポリエステルフィルムに隣接する第1層は、上記したような疎水性ラテックスあるいはエマルジョンからなり、第2層は水溶性ポリマーから構成されるものである。このケースにおいて、自己乳化性イソシアネート化合物は、少なくともどちらかの層に含有させるが、好ましくは少なくとも第2層に含有させることである。第1層には自己乳化性イソシアネート化合物は特に含まなくとも良いが、第1層を構成する疎水性ラテックス、エマルジョンの種類によっては含まれている方が好ましい場合がある。自己乳化性イソシアネート化合物の含有量及び樹脂に対する比率は、前述の単一下引き層と同様である。
【0028】
下引き第2層に用いられる水溶性ポリマーとしては、イソシアネート基により架橋耐水化する官能基を有している水溶性ポリマーが特に好ましい。イソシアネートにより架橋する官能基としては、アミノ基、カルボキシル基、水酸基等が挙げられるが、こうした官能基を繰り返し単位中に含む水溶性ポリマーの好ましい例としては、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドンーポリアクリル酸共重合体、アルギン酸(塩)等の各種天然多糖類(例えば大日本製薬株式会社から、シーピーガム(カラギーナン類、グリロイド(タマリンドガム)、グアガム、エコーガム(キサンタンガム)、ケルコゲル(ジェランガム)等の名称で市販される)等が挙げられる。これらの中でも特にゼラチンが好ましく用いられる。ゼラチンと自己乳化性イソシアネート化合物を含む下引き層をポリエステルフィルム上に下引き加工することで、各種水系塗工において、塗工される樹脂とゼラチン下引き層との界面に於いて極めて良好な接着性を示すことが本発明の特徴である。さらに、下引き加工の際の乾燥および加熱処理条件についても、特に制限を受けないという特徴を有する。
【0029】
水溶性ポリマーと自己乳化性イソシアネート化合物の比率は、水溶性ポリマーに対して自己乳化性イソシアネート化合物は1〜50重量%の比率で添加されることが特に好ましい。これ以下の比率ではイソシアネートの添加効果が現れ難く好ましくない場合がある。またこれ以上添加した場合には、下引き塗工液のポットライフが短くなる場合がある。特に好ましい範囲は5〜30重量%の範囲である。
【0030】
前記2層下引き構成における最も好ましい態様は、第1層が塩化ビニリデン系ラテックスまたはポリウレタン系エマルジョンからなり、第2層がゼラチンと自己乳化性イソシアネートからなる構成である。2層構成における各下引き層の厚み(乾燥膜厚)については各々、前述した単層下引きの場合と同様である。通常、最も好ましい下引き層厚みは各々0.03〜0.5ミクロンの範囲にある。
【0031】
第1層の塗布乾燥は、前述した単一層と同様に行うことができる。第2層の塗布は、第1層の塗布乾燥後に行われるが、通常、ポリエステルフィルムの延伸工程後に行われる。これは、フィルム延伸の前にゼラチン等の水溶性ポリマーを含む第2層を塗布乾燥した場合には、延伸されることによりゼラチン層が断裂し、不連続な被膜となることで下引き層としての機能を発揮できない場合や、フィルムの透明性を著しく損なう場合があるためである。第2層の塗布乾燥は、ポリエステルフィルム製造工程の中(インライン)で行ってもよいし、あるいはフィルム製造ラインとは別に、二次加工(オフライン)で行ってもよい。
【0032】
本発明の2層下引きにおける1つの特徴は、第2層目の塗布後、高い温度(例えば100℃以上)で加熱処理せずとも、室温〜80℃程度の乾燥温度で十分な接着性を発現できることである。これによって、加熱処理装置が不要となるメリットがある。また更に第2層の乾燥が比較的低い温度で行えるもう一つの利点は、寸法安定性に有利に働く点である。
【0033】
即ち、ポリエステルフィルムの成膜工程で通常延伸後に行われる熱処理工程に於いて、結晶化度が増加し、非晶配向が緩和されることで熱収縮率が低下し、寸法安定性が向上する(例えば加工技術研究会発行、工業用プラスチックフィルム、1991年、第4章、p.157)。しかしながら、上記熱処理工程の後に下引き層を塗布し、加熱処理を行った場合、熱収縮率が変化し寸法安定性が損なわれることがある。下引き層塗布後の加熱処理は、下引き層の組成によっては膜強度が高められて寸法安定性に有利に働く場合があるが、加熱処理条件の変動等による不安定要因が残る。従って、安定した寸法安定性のためには加熱処理は行わないことが好ましい。従来、下引き層の接着性を向上させるためには、高い温度による加熱処理が必要であったが、本発明の下引き層は、加熱処理の必要がなく、寸法安定性を損なわない点で極めて好ましいと言える。
【0034】
上記のような2層下引き構成に関する従来技術として、例えば特開平4−86648号、同4−96055号、同4−184335号、同4−184431号公報等に記載されている。これらに記載される方法は、下引き加工時の加熱処理条件の設定が重要であり、本発明で示されるような、下引き加工時の加熱処理条件の広い範囲に亘って(加熱処理を行わずとも)安定した接着性能を発揮出来ないものであり、さらに接着性においても十分ではなかった。
【0035】
前述した単一層による下引き加工は、第2層の加熱処理に伴う寸法安定性への影響を回避できることも利点の一つである。また、2層下引きに比較して、疎水性ラテックスまたはエマルジョンからなる単層下引き加工を行う場合に於いては、延伸工程の前あるいは途中の段階に於いて下引き層の塗布が可能であるため、塗布幅が延伸後と比較して狭くできる為、塗布の均一性が確保し易い利点が有る。また単層下引きであるが故に、2層下引きに必要とされる別の塗布、乾燥装置が不要であるという利点がある。
【0036】
従来技術として特開平9−160172号明細書中には磁気記録層を有するハロゲン化銀写真感光材料において、水に分散可能なポリイソシアネートを含有することが述べられている。この明細書におけるポリイソシアネートとは本発明に係わるエチレンオキシ基を有する自己乳化性イソシアネートではなく、単独では水に分散出来ない疎水性イソシアネート化合物であり、該明細書においては疎水性イソシアネートを水に分散させるために別途乳化剤を使用している。該乳化剤とはポリイソシアネートにアルコキシポリアルキレンエーテルグリコールとジアルカノールアミンを反応させることで得られるものである。こうした乳化剤とポリイソシアネートを組み合わせることで水分散可能なイソシアネート化合物が得られるのであるが、架橋に係わるイソシアネートとともにこれと結合しない形で乳化剤が含まれることで、架橋被膜の耐水性において劣ることが容易に想像される。即ち、本発明に係わる自己乳化性イソシアネートを使用した場合にはイソシアネート化合物と乳化に係わるエチレンオキシ部分とが化学的に結合しているために乳化成分が被膜から溶出することはないが、ポリマーである乳化剤を使用した場合には、乳化剤ポリマー成分が被膜から溶出するため、現像処理過程に於いて被膜の性質が変化することとなるため好ましくない。但し、本発明に係わる自己乳化性イソシアネートにおいても、乳化分散安定性を改良する目的で別途界面活性剤を添加することも好ましく行われ、あるいは通常のコーテイング液においても、支持体に塗布されるときの表面の濡れ性を改善する等の目的で各種界面活性剤が通常使用される。こうした通常の目的で使用される界面活性剤は主として低分子量化合物であり、使用される量も数%もしくはこれ以下であることが多く、皮膜の耐水性等に与える影響は極めて軽微もしくは皆無である。
【0037】
更に別の従来技術の例として、特開平6−175252号明細書等には重亜硫酸塩でブロックされたブロックイソシアネートを含むハロゲン化銀写真感光材料が記載されている。ブロックされたイソシアネートの反応性は低く、通常は加熱等によりブロック基を脱離し、イソシアネート基を復活させることが必要である。本発明に係わる自己乳化性イソシアネートは活性であるフリーのイソシアネート基がそのままの形で反応に預かることから極めて反応性が高く、加熱することなく下引き層を架橋させるため、接着性において格段に優位である。
【0038】
下引き層中の自己乳化性イソシアネート化合物が、下引き層形成時に特に加熱処理を行わずとも有効に作用し、下引き層として要求される十分な接着性能を示すことも本発明の特徴の一つである。一方、イソシアネート系化合物として、水系塗工液に添加可能な各種ブロックイソシアネートが従来技術として挙げられ、先の特開平4−184335号等にも見られるが、ブロックイソシアネートを使用した場合には、水中に於いてイソシアネート基を安定に保つためのイソシアネート基の保護が行われているため、この保護基を脱離しイソシアネート基の活性を再生するためには通常100℃程度あるいはこれ以上の加熱が必要であり、後述する実施例にも見られるように、これにより架橋された被膜の接着性は本発明に係わる自己乳化性イソシアネート化合物によるものより劣る場合がある。
【0039】
本発明のもう一つの実施形態として、下引き層に帯電防止性能を有する水溶性ポリマーと自己乳化性イソシアネートを含有させることである。水溶性ポリマーとして特に帯電防止作用を有するポリマーを採用することで、水系易接着性能のみならず、フィルムに帯電防止性能を併せて付与できるため極めて好ましい。この場合の帯電防止性能を有する水溶性ポリマーとしては、イオン性官能基とともにイソシアネート基と反応し、架橋耐水化するものが極めて好ましい。こうした帯電防止性水溶性ポリマーの好ましい例としては化1〜化5に示すような例が挙げられ、スルホン酸基等の酸性基(及びその塩)もしくは4級アンモニウム塩基等のイオン性基と、分子内にイソシアネートと反応し得るアミノ基、水酸基、カルボキシル基等の官能基を併せ持つような水溶性ポリマーが好ましい。尚、式中で数字は重量部を表す。
【0040】
【化1】
Figure 0003911105
【0041】
【化2】
Figure 0003911105
【0042】
【化3】
Figure 0003911105
【0043】
【化4】
Figure 0003911105
【0044】
【化5】
Figure 0003911105
【0045】
【化6】
Figure 0003911105
【0046】
【実施例】
以下実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、効果はもとより本発明はこれら実施例に限定されるものではない。実施例中の部は重量部を示す。
【0047】
実施例1
厚み100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記組成の単一層からなる下引き層を設けた。下引き層の乾燥膜厚は0.2μmになるように塗布乾燥した。
【0048】
<下引き層A−1>
水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-200、三洋化成工業(株)製)
【0049】
<下引き層A−2>
水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-200、三洋化成工業(株)製)と、エポキシ化合物(デナコールEX-521、長瀬産業(株)製)を上記ポリウレタンに対して、固形分で10重量%含有する。
【0050】
<下引き層A−3>
水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-200、三洋化成工業(株)製)と、ブロックイソシアネート化合物(エラストロンBN-44、第一工業製薬(株)製)を上記ポリウレタンに対して、固形分で10重量%含有する。
【0051】
<下引き層A−4>
水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-200、三洋化成工業(株)製)と、ヘキサメチロールメラミンを上記ポリウレタンに対して、固形分で10重量%含有する。
【0052】
<下引き層A−5>
水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-200、三洋化成工業(株)製)と、自己乳化性イソシアネート化合物(デュラネートWB40-80、旭化成工業製薬(株)製)を上記ポリウレタンに対して、固形分で10重量%含有する。
【0053】
<下引き層A−6>
水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-200、三洋化成工業(株)製)と、自己乳化性イソシアネート化合物(デュラネートWX-1741、旭化成工業製薬(株)製)を上記ポリウレタンに対して、固形分で10重量%含有する。
【0054】
上記のようにして作成した6種類の下引き層を有するポリエステルフィルムを使用して、水系易接着フィルムとしての性能を評価した。即ち、モデル水系塗工液としてゼラチン水溶液あるいはポリビニルアルコール水溶液を使用し、それぞれを上記下引き済みポリエステルフィルム上に乾燥膜厚が3ミクロンとなるよう塗布、乾燥後、40℃に調節した乾燥器内にて1日間加熱処理を行った後、下記のような接着性試験を行った。尚、ゼラチン水溶液中には架橋剤としてはホルマリンをゼラチンに対して2重量%添加し、乾燥温度は40℃で5分間行った。ポリビニルアルコールに対する架橋剤としてはブロックイソシアネートとして、エラストロンBN−44(第一工業製薬(株))を10重量%添加し、乾燥温度は130℃にて1分間乾燥した。
【0055】
接着性試験方法として以下の試験を行った。即ち、上記ゼラチンおよびポリビニルアルコールを塗布した面にカッターナイフを使用して1cm角の碁盤目状の傷を入れ、3規定水酸化ナトリウム水溶液中(アルカリ接着試験)およびジメチルホルムアミド(DMF)中にそれぞれ10分間浸漬した後、水を含ませた脱脂綿にて表面を強く擦ることで支持体との接着性を評価した。膜面を擦ることで表面層の剥離が生じた場合を×とし、一部剥離した場合は△とし、剥離が全く認められなかった場合を○とした。それぞれの評価結果を表1および表2に示した。表1および表2の結果よりポリエステルフィルムとの接着性においては比較試料はアルカリ水溶液中及びDMF中に於いて簡単に表面皮膜が剥離してしまったが、本発明の試料は良好な接着性を示した。
【0056】
【表1】
Figure 0003911105
【0057】
【表2】
Figure 0003911105
【0058】
実施例2
実施例1の下引き層の水分散型ポリウレタンエマルジョンを、異なる種類の水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA-310、三洋化成工業(株)製)に代える以外、実施例1と全く同様にして、下引き層B−1〜B−6を作製し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し乾燥した。次いで、実施例1と同様にゼラチン水溶液あるいはポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥した。得られた試料について、実施例1と同様に接着性を試験した。その結果、比較の下引き層B−1〜B−4を用いたサンプルは、膜剥がれがあったが、本発明の下引き層B−5及びB−6を用いたサンプルは、全く膜剥がれが無かった。
【0059】
実施例3
実施例1の下引き層の水分散型ポリウレタンエマルジョンを、塩化ビニリデンラテックス(旭化成工業(株)製のL536B、塩化ビニリデン比率90%以上、水酸基変性ラテックス)に代える以外、実施例1と全く同様にして、下引き層C−1〜C−6を作製し、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に塗布し乾燥した。次いで、実施例1と同様にゼラチン水溶液あるいはポリビニルアルコール水溶液を塗布、乾燥した。得られた試料について、実施例1と同様に接着性を試験した。その結果、比較の下引き層C−1〜C−4を用いたサンプルは、膜剥がれがあったが、本発明の下引き層C−5及びC−6を用いたサンプルは、全く膜剥がれが無かった。
【0060】
実施例4
ポリエチレンテレフタレートフィルム表面に下引き第1層として塩化ビニリデンラテックス(旭化成工業製、L536B、塩化ビニリデン比率90%以上、水酸基変性ラテックス)を乾燥膜厚みが0.1ミクロンになるよう設けた。この上に下記処方の下引き第2層を塗布した。
【0061】
<下引き第2層処方>
ゼラチン 1部
WB40−80 0.3部
水 98部
界面活性剤 1部
【0062】
上記の処方に於いて、WB40−80とは、本発明に係わる自己乳化性イソシアネート化合物の例であり、旭化成工業(株)よりデユラネートWB40−80 として入手されるものであり、溶剤により80%濃度に希釈されたものである。上記の処方で作成した水溶液をグラビア塗工によりウェット塗布量で平米当たり10g(乾燥膜厚み0.1ミクロン)になるように塗布、乾燥を行った。乾燥温度は70℃であり、乾燥時間は1分であった。これを本発明1とする。
【0063】
上記の下引き第2層に含まれるWB40−80に代えてホルマリンあるいは2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンのナトリウム塩をそれぞれ同量添加した以外は全く同様にして比較試料1および2を作成した。
【0064】
上記のようにして作成した本発明1及び比較試料1、2の水系易接着フィルムとしての性能を評価した。即ち、実施例1と同様にゼラチン水溶液およびポリビニルアルコール水溶液をそれぞれ塗布乾燥した。得られた試料について、実施例1と同様に、アルカリ接着性試験及びDMF接着性試験を実施した。それぞれの評価結果を表3および表4に示した。表3および表4の結果よりポリエステルフィルムとの接着性においては比較試料はアルカリ水溶液中及びDMF中に於いて簡単に表面皮膜が剥離してしまったが、本発明の試料は良好な接着性を示した。
【0065】
【表3】
Figure 0003911105
【0066】
【表4】
Figure 0003911105
【0067】
実施例5
ポリエチレンテレフタレートフィルム成膜時に、インラインコートにより水分散型ポリウレタンエマルジョン(パーマリンUA−310、三洋化成工業(株)製)を乾燥膜厚みが0.1ミクロンになるよう塗布、乾燥して下引き第1層を設けた。この下引き第1層の上に表5で示される下引き層第2を塗布、乾燥して水系易接着性ポリエステルフィルムを作成した。下引き第2層中に添加した化合物の量は下引き用樹脂に対して10重量%である。下引き第2層の乾燥膜厚みは約0.3ミクロンになるよう塗布した。得られた下引き済みポリエステルフィルムはさらに120℃または150℃に調節した乾燥器内で3分間熱処理を行う試料も併せて作成した。その後、6%ゼラチン水溶液に化合物として2−ヒドロキシー4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジンのナトリウム塩をゼラチンに対し2重量%添加した水溶液を平米当たり50gとなるよう塗布し、乾燥機内で40℃にて12時間乾燥した。実施例1と同様にしてアルカリ接着性評価を行い、その結果を併せて表5に示した。比較として下引き第2層の化合物として自己乳化性イソシアネート以外の化合物を用いた例も併せて示した。
【0068】
【表5】
Figure 0003911105
【0069】
表5において、WB40は自己乳化性イソシアネート化合物(デュラネートWB40−80旭化成工業(株)製)、WX1741は自己乳化性イソシアネート化合物(デュラネートWB−1741旭化成工業(株)製)、ケルコゲル(1)は大日本製薬(株)製ジェランガム、エポキシ(2)はデナコールEX−521(長瀬産業(株)製)、ブロックイソシアネート(3)はエラストロンBN−44(第一工業製薬(株)製)を表す。
【0070】
実施例6
実施例5の下引き第1層の水分散型ポリウレタンエマルジョンを塩化ビニリデンラテックス(旭化成工業製、L536B、塩化ビニリデン比率90%以上、水酸基変性ラテックス)に代える以外は、実施例5を繰り返した。その結果、実施例5と同様な結果が得られた。
【0071】
実施例7
ポリエチレンテレフタレートフィルムに、下引き層として化1で示す帯電防止性水溶性ポリマー5%水溶液に本発明の自己乳化性イソシアネート化合物としてWB40を該水溶性ポリマーに対し固形分比で10重量%となるよう添加した塗工液を乾燥膜厚みが0.8ミクロンになるように支持体上に塗布し、70℃で乾燥させた(本発明15)。比較試料14および15として、同じく化1で示す帯電防止性ポリマーにそれぞれヘキサメチロールメラミンあるいはホルマリンをWB40−80の場合と同量添加して作成した。その後、全ての試料を50℃に調整した乾燥器内で12時間加熱を行い、水系易接着性の帯電防止下引きフィルムを作成した。この表面に実施例1で示したモデル水系塗工液としてのホルマリンを含むゼラチン水溶液を乾燥膜厚が2ミクロンとなるよう塗布、乾燥し、実施例1で示したアルカリ接着性試験および表面抵抗値の測定を行った。表面抵抗値の測定は、アルカリ接着性試験後の試料についても実施した。尚、測定は三菱油化(株)製高抵抗抵抗率計ハイレスタIPを使用して測定した。表面抵抗値測定の前に、試料は20℃、30%相対湿度下で3時間調湿を行った後測定した。結果を表6に示した。
【0072】
【表6】
Figure 0003911105
【0073】
【発明の効果】
水系塗層に対する接着性の改良されたポリエステルフィルムを与える。

Claims (4)

  1. ポリエステルフィルム上に、エチレンオキサイド繰り返し単位と2個以上のイソシアネート基を有し、且つイソシアネート含有率が8〜25重量%である自己乳化性イソシアネート化合物を含有する少なくとも1層の下引き層を設けたことを特徴とする水系易接着性ポリエステルフィルム。
  2. 前記下引き層が、疎水性ラテックスまたはエマルジョンと、エチレンオキサイド繰り返し単位と2個以上のイソシアネート基を有し、且つイソシアネート含有率が8〜25重量%である自己乳化性イソシアネート化合物を含有する単一層である請求項1に記載の水系易接着性ポリエステルフィルム。
  3. 前記下引き層が2層構成であり、第1層が疎水性ラテックスまたはエマルジョンからなり、第2層が水溶性ポリマーとエチレンオキサイド繰り返し単位と2個以上のイソシアネート基を有し、且つイソシアネート含有率が8〜25重量%である自己乳化性イソシアネート化合物とを含有する請求項1に記載の水系易接着性ポリエステルフィルム。
  4. ポリエステルフィルム上に、エチレンオキサイド繰り返し単位と2個以上のイソシアネート基を有し、且つイソシアネート含有率が8〜25重量%である自己乳化性イソシアネート化合物と、帯電防止性を有する水溶性ポリマーとを含有する少なくとも1層の下引き層を設けたことを特徴とする水系易接着性ポリエステルフィルム。
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