JP3910838B2 - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料噴射手段から空燃比検出手段の間のプラントを伝達関数で表したプラントモデルのパラメータを推定しつつ設定したフィードバック制御量によって、フィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置に関関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、内燃機関においては、排気浄化や燃費向上等を目的として空燃比を目標値にフィードバック制御するのが一般的である。
かかる空燃比フィードバック制御を精度よく行う技術として、本願出願人は、先の出願(特願2001−79272号)において、スライディングモード制御により燃料噴射量のフィードバック制御量を算出する内燃機関の空燃比制御装置において、スミス法によりむだ時間補償制御を行いつつ、セルフチューニング制御によって前記スライディングモード制御の制御ゲインを算出するよう構成したものを提案した。
【0003】
かかる空燃比制御装置では、以下のようにして前記フィードバック制御量を算出する。
燃料噴射手段から空燃比検出手段までの間のプラントを伝達関数で表したプラントモデルを、燃料噴射量と実空燃比に基づいて逐次同定する。
該同定したプラントモデル(のパラメータ)を用いて、前記プラント、フィードバック制御量算出部(すなわち、スライディングモード制御部)及びむだ時間補償制御部を含むシステム全体を1つの伝達関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定時間等の点から望ましい極と一致するように前記スライディングモード制御の制御ゲインを算出する。
【0004】
そして、算出された制御ゲインを用いたスライディングモード制御により燃料噴射量のフィードバック制御量を算出することで、プラントの特性変化に精度よく対応させた空燃比制御を実行している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
一方、上記空燃比制御システムにおいても通常の空燃比フィードバック制御と同様に、部品の経時劣化等によるフィードバック制御量の基準値からのずれを学習することが望ましく、該学習を行わない場合には本来学習により補正すべき補正を前記プラントモデルの同定で吸収してしまうことになる。これは、実際の運転状態に適合したプラントモデルの同定とはいえず、運転状態変化によって同定されるプラントモデルのパラメータ値が大きく変化し、安定したフィードバック制御が行えない。
【0006】
このように、上記空燃比制御システムにおいても空燃比学習を適用することが望まれるが、従来同様の方式で適用すると、以下のような不都合を生じることが判明した。すなわち、運転状態が変化して学習値が新たな運転領域の学習値(を初期値とする学習)に切り換えられると、前記プラントモデルの同定部に入力される入力情報の中、出力側である空燃比センサによって検出される実空燃比は前記学習値を反映した値であるのに対し、入力側である燃料噴射量のフィードバック制御量は変化しないため、プラントモデルの同定が正しく行われず、同定で得られたパラメータに基づく制御ゲインが適合せず、良好な空燃比フィードバック制御性能が得られなくなる。特に、運転状態切換直後の空燃比変化が大きくなると推定される。
【0007】
このことは、学習以外の水温補正等についてもいえることで、該補正が反映されないフィードバック制御量と補正が反映された実空燃比とを入力してプラントモデルを同定(パラメータの算出)しても良好な同定を行えなかった。
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、プラントモデルの同定をできる限り正確に行って良好な空燃比フィードバック制御性能が得られるようにした内燃機関の空燃比制御装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1に係る発明は、
空燃比検出手段により排気状態から実空燃比を検出しつつ、空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、
燃料噴射量と前記実空燃比とに基づいて、燃料噴射手段と前記空燃比検出手段との間のプラントを伝達関数で表したプラントモデルを逐次同定しつつ、前記伝達関数のパラメータを算出する同定手段と、
同定したプラントモデルのパラメータに基づいて、前記燃料噴射手段のフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量算出手段と、
前記燃料噴射手段の目標空燃比に対するオフセット補正量を設定するオフセット補正量設定手段と、
前記フィードバック制御量に前記オフセット補正量を加算した値と、前記空燃比検出手段で検出された実空燃比と、を前記同定手段に入力させたことを特徴とする。
【0009】
請求項1に係る発明によると、
フィードバック制御量にオフセット補正量を加算した値、つまり、実際の燃料噴射手段の制御入力と、該制御入力に対応した制御出力としての実空燃比とを入力情報としてプラントモデルの同定(パラメータの算出)が行われるので、フィードバック制御量の設定が正確に行われ、安定かつ高精度な空燃比フィードバック制御を行える。
【0010】
また、請求項2に係る発明は、
前記オフセット補正量設定手段により設定されるオフセット補正量は、前記フィードバック制御量の基準値からの偏差を学習して得られる学習値を含んでいることを特徴とする。
請求項2に係る発明によると、
空燃比の学習値をオフセット補正量としてフィードバック制御量に加算し、パラメータ同定の入力情報とすることで、運転状態切換時の学習値切換に伴う空燃比の変動を抑制でき、安定かつ高精度な空燃比フィードバック制御を行える。
【0011】
また、請求項3に係る発明は、
前記オフセット補正量設定手段により設定されるオフセット補正量は、目標空燃比相当の基本燃料噴射量を機関運転条件に応じて補正するための各種補正値を含んでいることを特徴とする。
請求項3に係る発明によると、
水温補正など各種補正によるパラメータ同定への影響を除外でき、安定かつ高精度な空燃比フィードバック制御を行える。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、
前記フィードバック制御量算出手段は、前記推定したプラントモデルのパラメータに基づいて制御ゲインを算出し、該制御ゲインを用いてスライディングモード制御により前記燃料噴射手段のフィードバック制御量を設定することを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明によると、
パラメータに基づき算出した制御ゲインを用いてスライディングモード制御によって、フィードバック制御量を設定することにより、ロバスト性に優れた空燃比フィードバック制御を行うことができる。
また、請求項5に係る発明は、
前記フィードバック制御量算出手段は、前記プラントモデルを用いてプラントに含まれるむだ時間の影響を排除するむだ時間補償手段を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明によると、
前記制御量算出手段が、前記プラントモデルを用いてプラントに含まれるむだ時間の影響を排除するむだ時間補償手段を備えることを特徴とする。
なお、かかるむだ時間補償手段としては、プラントモデルを用いて局所フィードバックを行うスミス法がある。
【0015】
また、請求項6に係る発明は、
前記同定手段は、逐次最小二乗法を用いて前記プラントモデルのパラメータを推定することを特徴とする。
請求項9に係る発明によると、
逐次最小二乗法(RLS法)を用いることにより、プラントの状態予測(プラントモデルの同定)を精度よく、かつ、容易に行うことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態を示す機関(エンジン)のシステム図である。
図1に示すように、エンジン1の吸気通路2には、吸入空気量Qaを検出するエアフローメータ3と吸入空気量Qaを制御するスロットル弁4が設けられている。
【0017】
また、吸気通路2に設けられた燃料噴射弁5は、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユニット(C/U)6からの噴射信号により開弁駆動して燃料を噴射供給する。
各気筒には、燃焼室7内で火花点火を行う点火栓8が設けられており、吸気バルブ9を介して吸入された混合気を火花点火によって着火する。
【0018】
燃焼排気は、排気バルブ10を介して排気通路11に排出され、排気浄化装置12を介して大気中の排出される。
前記排気通路11には、排気中の酸素濃度に応じて空燃比をリニアに検出する広域型の空燃比センサ13が、前記排気浄化装置12の上流側に設けられている。
【0019】
更に、エンジン1の所定のクランク角毎にクランク角信号に出力するクランク角センサ14やエンジン1の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する水温センサ15が設けられている。
前記コントロールユニット(C/U)6は、以下のようにして前記燃料噴射弁5を制御する。
【0020】
まず、吸入空気量Qaとクランク角センサ14からの信号に基づいて検出される機関回転速度Neからストイキ(λ=1)相当の基本燃料噴射量Tp=K×Qa×Ne(Kは定数)を演算する。
次に、運転状態に応じて、空燃比をフィードバック制御するかオープンループ制御するかを判断し、フィードバック制御する場合には、前記基本燃料噴射量Tp、目標空燃比λt及び空燃比センサ13の検出信号に基づき算出した空燃比フィードバック補正係数α、空燃比学習値αL、各種係数COEFを用いて、最終的な燃料噴射量Ti=Tp×(1/λt)×(α+αL+COEF)を演算する。
【0021】
オープンループ制御の場合は、前記空燃比フィードバック補正係数αを1に固定(α=1)して、最終的な燃料噴射量Tiを演算する。
ここで、本実施形態における燃料噴射制御について説明する。
図2に示すように、本実施形態における燃料噴射制御部は、燃料噴射弁5への出力を判断する出力判断部21と、図中破線で示す空燃比フィードバック制御部22と、を含んで構成されている。
【0022】
前記出力判断部21は、運転状態に応じて空燃比フィードバック制御部22で算出されたフィードバック制御量を燃料噴射弁5に出力するか否かを判断する。フィードバック制御量を出力しないときは、フィードバック制御量としてクランプ値(オープンループ制御時は1、燃料カット時は0)を出力する。
前記空燃比フィードバック制御部22は、スライディングモード制御部(S/M制御部)221と、むだ時間補償器222と、プラントモデル同定部223と、制御ゲイン算出部224と、むだ時間算出部225と、空燃比学習部230と、各種補正値設定部231と、を含んで構成されている。
【0023】
前記S/M制御部221は、目標空燃比λtと実空燃比λtとの偏差に基づき、スライディングモード制御により、プラント(燃料噴射弁5〜空燃比センサ13間)への制御量u(t)、すなわち、燃料噴射弁5のフィードバック制御量(空燃比フィードバック補正係数α)を次式(1)のように算出する。
【0024】
【数1】
Figure 0003910838
但し、e(t)はS/M制御部221への入力(目標空燃比―実空燃比)、KPは線形項線形ゲイン、KDは線形項微分ゲイン、SPは切換関数線形ゲイン、SDは切換関数微分ゲイン、KIは適応則ゲイン、KNは非線形ゲイン、σ(t)は切換関数で、σ(t)=Spe(t)+SDΔe(t)である。
【0025】
なお、上記各制御ゲインは、後述する制御ゲイン算出部224で算出される。前記むだ時間補償器222は、スミス法によるむだ時間補償制御を実行するのものであり、局所フィードバックを行うことにより、プラントに含まれるむだ時間(すなわち、検出した空燃比の位相遅れ)の影響を補償する。
具体的には、図3に示すように、前記むだ時間補償器222は、むだ時間を含まないプラントモデル31と、むだ時間kを含むプラントモデル32と、減算部33と、を含んで構成されており、前記むだ時間要素を含まないプラントモデル31で算出される出力(空燃比)予測と、前記むだ時間を含むプラントモデル32で算出される実出力(実空燃比)予測との偏差e2を算出し、これを前記S/M制御部21の入力側に出力する。
【0026】
そして、目標空燃比λtと実空燃比λrの偏差e1から、前記むだ時間補償器222の出力e2を減算してe3を算出し、該e3を前記S/M制御部221に入力するようにしている。
なお、前記プラントモデルは、後述するプラントモデル同定部223で同定したものであり、前記むだ時間kは、後述するむだ時間算出部225で算出したものである。
【0027】
前記プラントモデル同定部223は、前記プラントを伝達関数で表したプラントモデルを、燃料噴射量(燃料噴射信号)及び実空燃比(出力)に基づきオンラインで同定する。具体的には、逐次最小二乗法(RLS法)を用いてプラントモデルのパラメータの逐次推定を行う。
前記制御ゲイン算出部224は、前記S/M制御部221の制御ゲインを、前記プラントモデル同定部223で同定したプラントモデルのパラメータを用いて算出する。
【0028】
具体的には、極配置法によるセルフチューニングコントロールを用いて、システム全体(すなわち、プラント(燃料噴射弁5〜空燃比センサ13間)+S/M制御部221+むだ時間補償器222)を閉ループ伝達関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定時間等の点から望ましい極と一致するようS/M制御部221の制御ゲインを算出する(詳細は後述する)。
【0029】
前記むだ時間算出部225は、プラントに含まれるむだ時間kを算出する。かかるむだ時間kの算出は、例えば、図4に示すように、吸入空気量Qaとむだ時間kと関係をあらかじめテーブル化しておき、検出した吸入空気量Qaに基づくテーブル検索により行う。
前記空燃比学習部226は、空燃比制御系の部品劣化やばらつき等に伴うフィードバック制御量と基準値とのずれを学習する。具体的には、空燃比フィードバック補正係数αであるフィードバック制御量u(t)の複数回のサンプリング値を加重平均等で平均化した値と、基準値(α0=1)との偏差Δαを算出し、該偏差Δαの所定割合(<1)を学習値ULとして算出し、RAMに記憶更新する。
【0030】
前記各種補正量設定部227は、水温検出値等に基づいて水温補正係数等の各種補正量UKを設定する。
そして、本発明の特徴的な構成として、前記空燃比学習部226で学習された学習値ULと、前記各種補正量設定部227で設定された各種補正量UKとを、前記S/M制御部221から出力されたフィードバック制御量u(t)’に加算し、この加算した値を制御入力u(t)[=u(t)’+UL+UK]として前記プラントモデル同定部223に入力する。
【0031】
ここで、前記制御ゲイン算出部224で行われる制御ゲインの算出について詳細に説明する。
極配置法によるセルフチューニングコントロールを用いた制御ゲイン算出は、以下のようにして行う。
まず、プラントを伝達関数で表すプラントモデルGP(z-1)を設定し、その後、S/M制御部221の伝達関数GC(z-1)及びむだ時間補償器22の伝達関数GL(z-1)を求める。
【0032】
そして、これらの伝達関数からシステム全体の閉ループ伝達関数W(z-1)を算出し、その極が設定した極となるように制御ゲインを算出する。
(A)プラントモデルの設定について
燃料噴射弁5と空燃比センサ13との間のプラントを、前記むだ時間算出部225で算出したむだ時間k(≧1)を用いて、例えば、次式(2)、(3)のように二次のARXモデルA(z-1)で表す。
【0033】
A(z-1)y(t)=z-k0u(t)+ε(t) …(2)
A(z-1)=1+a1-1+a2-2 …(3)
但し、y(t)は、プラント出力(すなわち、実空燃比)、u(t)は、プラント入力値(すなわち、燃料噴射量)、ε(t)は、不規則雑音である。
すると、プラントモデルの伝達関数GP(z-1)は、次式(4)のように表すことができる。
【0034】
P(z-1)=z-k0/A(z-1) …(4)
なお、推定パラメータベクトルθ(t)及びデータベクトルψ(t-k)は、下記(5)、(6)式のように表すことができる。
θ(t)=〔a1(t),a2(t),b0(t)〕T … (5)
ψ(t-k)=〔-y(t-1),-y(t-2)、u(t-k)〕T … (6)
(B)プラントモデルの同定(パラメータ推定)について
設定したプラントモデルは、前記プラントモデル同定部223で同定される。
【0035】
具体的には、プラントの特性は、運転状態、プラント自体の劣化度合い等のプラント特性により変化するので、式(5)に示す入力パラメータa1(t)、a2(t)および出力パラメータb0(t)を逐次推定することでプラントモデルを同定する(すなわち、オンライン同定する)。
なお、本実施形態においては、前記パラメータの推定に最小二乗法(RLS法)を用いており、実値と推定値の誤差の二乗が最も小さくなるパラメータを逐次算出している。
【0036】
具体的な演算式は、一般の重みつき逐次最小二乗法(RLS法)と同一のものであり、時間更新式:t=1、2、…、Nに対して、次式(7)〜(9)を計算することにより行う。
【0037】
【数2】
Figure 0003910838
そして、かかるパラメータ推定式(7)〜(9)を用いてパラメータa1(t)、a2(t)、b0(t)を逐次推定することで、プラントモデルを同定する。
【0038】
なお、前記忘却係数λ1、λ2は、忘却要素なしの場合には前記忘却係数λ1=λ2=1とし、忘却要素つきの場合にはλ1=0.98、λ2=1とした。
また、本実施形態においては、前記パラメータ推定値の初期値θ0を、運転状態に応じてあらかじめ設定した初期値(例えば、a1(0)=A1、a2(0)=A2、b0(0)=B1)を設定することで、収束までの時間の短縮化を図っている。
【0039】
(C)S/M制御部221の離散時間伝達関数の算出について
S/M制御部221を、以下のようにして伝達関数化する。
y(t)をプラント出力値(実空燃比λr)、ω(t)を目標値(目標空燃比λt)とし、e(t)=ω(t)−y(t)とすると、1サンプルにおけるプラント入力(すなわち、S/M制御部221からの出力)u(t)の差分Δu(t)は、次式(10)で与えられる。
【0040】
【数3】
Figure 0003910838
ここで、e(t)=ω(t)−y(t)、e(t)−e(t−1)=Δe(t)であるから、式(10)より次式(11)が得られる。
【0041】
【数4】
Figure 0003910838
但し、K(z-1)は次式(12)で表されるものであり、式(13)のように展開して各制御ゲインに基づいて算出する。
【0042】
【数5】
Figure 0003910838
従って、式(12)よりプラント入力u(t)は、次式(14)で表される。
【0043】
【数6】
Figure 0003910838
ここで、非線形項を含めないものとして取り扱うことにすると、S/M制御部221の離散時間伝達関数GC(z-1)は、次式(15)のように表すことができる。
【0044】
C(z-1) = K(z-1)/(1-z-1) …(15)
(D)前記むだ時間補償器222の離散時間伝達関数の算出について
上述したように、むだ時間補償器222は、むだ時間後の出力予測を行いつつむだ時間要素の影響を補償するスミス法を用いるので、むだ時間補償器222の離散時間伝達関数GL(z-1)は、次式(16)のように算出できる。
【0045】
Figure 0003910838
なお、z-10/A(z-1)は、前記プラントモデルを用いて表したむだ時間がない場合の出力予測であり、z-k0/A(z-1)は、同じく前記プラントモデルを用いて表したむだ時間を含む実出力予測である。
【0046】
以上のようにして算出した各伝達関数(プラントモデル、S/M制御部21、むだ時間補償器)を用いたブロック図を図5に示す。
次に、システム全体の閉ループ伝達関数化について説明する。
なお、上述したようにS/M制御部221の非線形項は含めないものとする。
(E)システム全体の閉ループ伝達関数W(z-1)の算出について
まず、前記S/M制御部221とむだ時間補償器222のフィードバックループを取り出し、目標(目標空燃比λt)から出力(フィードバック制御量)への1つの伝達関数を算出する。図5において、S/M制御部221とむだ時間補償器22とを含む局所ループの伝達関数GCL(z-1)は、式(15)、(16)より次式(17)のように算出できる。
【0047】
【数7】
Figure 0003910838
従って、プラント及び式(17)に示す局所ループを含めたシステム全体の閉ループ伝達関数W(z-1)は、次式(18)のように算出できる。
【0048】
【数8】
Figure 0003910838
以上の算出結果を示したものが図6のブロック図である。
(F)極配置法により前記S/M制御部222の制御ゲインの算出について
前記閉ループ伝達関数W(z-1)の特性多項式は、式(18)より、
(1−z-1)A(z-1) +z-10K(z-1)であり、
これを次式(19)のようにおく。
【0049】
【数9】
Figure 0003910838
このとき、応答性、行き過ぎ量、整定時間等の点から望ましい極となるようなT(z-1)を設定することで、S/M制御部221の制御ゲインを以下のようにして算出する。
【0050】
式(19)より、次式(20)が得られる。
【0051】
【数10】
Figure 0003910838
ここで、式(13)より、
K(z-1)= (KP+KI・SP+KI・SD+KD)−(KP+KI・SD+2KD)z-1+KD-2であるので、切換関数線形ゲインSP及び切換関数微分ゲインSDを1に設定し、線形項線形ゲインKP、適応則ゲインKI、線形項微分ゲインKDを可変パラメータとすれば、次式(21)によう表すことができるから、
【0052】
【数11】
Figure 0003910838
となり、次式(22)〜(24)を得る。
【0053】
【数12】
Figure 0003910838
従って、式(22)〜(24)をKP、KI、KDについて解き、a1、a2、b0を、それぞれプラントモデル同定部223で逐次推定した推定パラメータa1(t)、a2(t)、b0(t)で表すことにより、各ゲインは次式(25)〜(27)のように算出できる。
【0054】
【数13】
Figure 0003910838
なお、前記特性多項式T(z-1)=1+t1-1+t2-2としては、例えば、減衰ζ=0.7、固有角周波数ω=30としたときの二次系の連続時間システム、
G(s)=ω2 / (s2+2ζω・s+ω2)
をサンプル時間Tiで離散化したときの伝達関数の分母を用いることが考えられる。
【0055】
そして、このように算出した制御ゲインを用いて、前記S/M制御部221は、プラントへの制御量を算出する(式(13)参照)。
以上のように、パラメータを逐次推定したプラントモデルを用いてシステム全体を1つの伝達関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定時間等の点から望ましい極と一致するように、プラントへのフィードバック制御量を算出するS/M制御部221の制御ゲインを求めるので、プラントの特性変化に対応した良好な制御ゲインが算出でき、ひいては、精度のよい空燃比フィードバック制御が実行できる。
【0056】
そして、特に、本発明にかかる構成として空燃比学習値ULと各種補正量UKとを、S/M制御部221から出力されるフィードバック制御量u(t)に加算してプラントモデル同定部223に入力させるようにしたため、制御入力と制御出力とを同一条件で比較してプラントモデルの同定つまりパラメータの算出を行うことができる。この結果、実際の状態に良好に適合したパラメータを得て、高精度にフィードバック制御量を算出することができ、運転状態の変化により使用する学習値が切り換えられたり各種補正量が変化した場合でも、安定して高精度な空燃比フィードバック制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す内燃機関のシステム図。
【図2】本発明の空燃比制御を示すブロック図。
【図3】本発明で用いるむだ時間補償制御を示すブロック図。
【図4】本発明で用いるむだ時間算出用のテーブルを示す図。
【図5】本発明におけるS/M制御部221及びむだ時間補償器222を伝達関数で表したブロック図。
【図6】本発明におけるセルフチューニングコントロールを用いたスライディングモード制御による空燃比フィードバック制御全体を示すブロック図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 吸気通路
3 エアフローメータ
4 スロットル弁
5 燃料噴射弁
6 コントロールユニット(C/U)
8 点火プラグ
11 排気通路
13 A/Fセンサ
14 クランク角センサ
15 水温センサ

Claims (6)

  1. 空燃比検出手段により排気状態から実空燃比を検出しつつ、空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置であって、
    燃料噴射量と前記実空燃比とに基づいて、燃料噴射手段と前記空燃比検出手段との間のプラントを伝達関数で表したプラントモデルを逐次同定しつつ、前記伝達関数のパラメータを算出する同定手段と、
    同定したプラントモデルのパラメータに基づいて、前記燃料噴射手段のフィードバック制御量を設定するフィードバック制御量算出手段と、
    前記燃料噴射手段の目標空燃比に対するオフセット補正量を設定するオフセット補正量設定手段と、
    前記フィードバック制御量に前記オフセット補正量を加算した値と、前記空燃比検出手段で検出された実空燃比と、を前記同定手段に入力させたことを特徴とする内燃機関の空燃比制御装置。
  2. 前記オフセット補正量設定手段により設定されるオフセット補正量は、前記フィードバック制御量の基準値からの偏差を学習して得られる学習値を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 前記オフセット補正量設定手段により設定されるオフセット補正量は、目標空燃比相当の基本燃料噴射量を機関運転条件に応じて補正するための各種補正値を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 前記フィードバック制御量算出手段は、前記推定したプラントモデルのパラメータに基づいて制御ゲインを算出し、該制御ゲインを用いてスライディングモード制御により前記燃料噴射手段のフィードバック制御量を設定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 前記フィードバック制御量算出手段は、前記プラントモデルを用いてプラントに含まれるむだ時間の影響を排除するむだ時間補償手段を備えることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 前記同定手段は、逐次最小二乗法を用いて前記プラントモデルのパラメータを推定することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装置。
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