JP2003172179A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

Info

Publication number
JP2003172179A
JP2003172179A JP2001367749A JP2001367749A JP2003172179A JP 2003172179 A JP2003172179 A JP 2003172179A JP 2001367749 A JP2001367749 A JP 2001367749A JP 2001367749 A JP2001367749 A JP 2001367749A JP 2003172179 A JP2003172179 A JP 2003172179A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
air
fuel ratio
fuel
control
plant
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2001367749A
Other languages
English (en)
Inventor
Hajime Hosoya
肇 細谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Hitachi Unisia Automotive Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hitachi Unisia Automotive Ltd filed Critical Hitachi Unisia Automotive Ltd
Priority to JP2001367749A priority Critical patent/JP2003172179A/ja
Publication of JP2003172179A publication Critical patent/JP2003172179A/ja
Abandoned legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】セルフチューニングにより制御ゲインを算出し
つつ、空燃比フィードバック制御を行う内燃機関の空燃
比制御装置において、精度のよい空燃比制御を実行す
る。 【解決手段】燃料噴射弁5から空燃比センサ13までの
プラントをプラントモデルで表し、プラントに含まれる
むだ時間を考慮しつつ、プラントモデルを同定し、該同
定モデルを用いて空燃比フィードバック制御量算出用の
制御ゲインを算出する。そして、算出した制御ゲインを
用いて燃料噴射弁5のフィードバック制御量を算出する
が、燃料カットが開始されたときは、前記プラントモデ
ルの同定を停止し、燃料カット終了後、むだ時間経過後
に停止したプラントモデルの同定を再開する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の空燃比
制御装置に関し、特に、セルフチューニングにより制御
ゲインを算出しつつ、空燃比フィードバック制御を行う
内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、内燃機関においては、排気浄
化や燃費向上等を目的として空燃比を目標値にフィード
バック制御するのが一般的である。かかる空燃比フィー
ドバック制御を精度よく行う技術として、本願出願人
は、先の出願(特願2001−79272号)におい
て、スライディングモード制御により燃料噴射量のフィ
ードバック制御量を算出する内燃機関の空燃比制御装置
において、スミス法によりむだ時間補償制御を行いつ
つ、セルフチューニング制御によって前記スライディン
グモード制御の制御ゲインを算出するよう構成したもの
を提案した。
【0003】かかる空燃比制御装置では、以下のように
して前記フィードバック制御量を算出する。燃料噴射手
段から空燃比検出手段までの間のプラントを伝達関数で
表したプラントモデルを、燃料噴射量と実空燃比に基づ
いて逐次同定する。該同定したプラントモデル(のパラ
メータ)を用いて、前記プラント、フィードバック制御
量算出部(すなわち、スライディングモード制御部)及
びむだ時間補償制御部を含むシステム全体を1つの伝達
関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定時間等
の点から望ましい極と一致するように前記スライディン
グモード制御の制御ゲインを算出する。
【0004】そして、算出された制御ゲインを用いたス
ライディングモード制御により燃料噴射量のフィードバ
ック制御量を算出することで、プラントの特性変化に精
度よく対応させた空燃比制御を実行している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、燃料カット時
は、前記フィードバック制御量を用いた燃料噴射が行わ
れないため、制御入力に対応する出力(空燃比)が得ら
れず前記逐次同定が正確に行われない。また、燃料カッ
ト終了直後、すなわち、燃料噴射が再開直後において
も、燃料カットによるプラントの状態変化や排気輸送遅
れ等により、制御入力に対応する空燃比を直ちに検出で
きない。
【0006】従って、燃料カット中のみならず、燃料カ
ット終了直後においても、前記逐次同定が正確に行われ
ず、この結果、前記制御ゲイン、フィードバック制御量
の算出精度の悪化、ひいては、排気エミッションが悪化
するという問題がある。本発明は、上記問題に鑑みなさ
れたものであって、プラントモデルを精度よく同定する
ことにより、燃料噴射量のフィードバック制御量を適切
に算出でき、もって空燃比フィードバック制御を精度よ
く実行できる内燃機関の空燃比制御装置を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのため、請求項1に係
る発明は、実空燃比を空燃比検出手段により検出し、空
燃比を目標空燃比にフィードバック制御する内燃機関の
空燃比制御装置であって、燃料噴射量と検出した実空燃
比とに基づいて、燃料噴射手段から空燃比検出手段の間
のプラントを表したプラントモデルのパラメータを推定
する同定手段と、推定したプラントモデルのパラメータ
を用いて、燃料噴射量のフィードバック制御量を算出す
るための制御ゲインを算出する制御ゲイン算出手段と、
算出された制御ゲインを用いて前記フィードバック制御
量を算出する制御量算出手段と、機関の運転状態が燃料
カット時であるか否かを判定する判定手段と、燃料カッ
トの終了直後において、燃料噴射から噴射した燃料に対
応する排気空燃比を前記空燃比検出手段が検出するまで
の遅れ時間を推定する遅れ時間推定手段と、を含んで構
成し、前記同定手段が、燃料カットの開始に伴って前記
プラントモデルのパラメータ推定を停止し、燃料カット
終了後は、前記遅れ時間の経過を待ってから前記プラン
トモデルのパラメータ推定を再開することを特徴とする
請求項2に係る発明は、前記判定手段が、燃料カット要
求信号又は前記燃料噴射手段の駆動信号に基づいて燃料
カットの開始又は終了を判定することを特徴とする。
【0008】請求項3に係る発明は、前記遅れ時間推定
手段が、吸入空気量に基づいて前記遅れ時間を推定する
ことを特徴とする。請求項4に係る発明は、前記制御量
算出手段は、前記プラントモデルを用いてプラントに含
まれるむだ時間の影響を排除するむだ時間補償手段を備
えることを特徴とする。
【0009】請求項5に係る発明は、前記制御量算出手
段が、スライディングモード制御により前記フィードバ
ック制御量を算出することを特徴とする。請求項6に係
る発明は、前記同定手段は、逐次最小二乗法を用いて前
記プラントモデルのパラメータを推定することを特徴と
する。
【0010】請求項7に係る発明は、前記制御ゲイン算
出手段は、前記プラント及び制御量算出手段を含むシス
テム全体を伝達関数で表し、該システム全体の伝達関数
が設定された特性を有するように前記制御量算出手段の
制御ゲインを算出することを特徴とする。
【0011】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、燃料カッ
ト時は、前記同定手段によるプラントモデルのパラメー
タ推定を停止すると共に、燃料カット終了後においても
適切に推定された遅れ時間の経過を待ってから、プラン
トモデルのパラメータ推定を再開するようにしたので、
相関しないプラント入出力に基づく、誤ったパラメータ
推定(プラントモデルの同定)を防止して、高精度な空
燃比制御を実行できる。
【0012】請求項2に係る発明によれば、燃料カット
の開始時期及び終了時期を正確に判定でき、パラメータ
推定の停止と再開を容易、かつ、正確に行える。請求項
3に係る発明によれば、輸送遅れや壁流の状態を考慮し
て、燃料カット終了後の遅れ時間を容易に推定できる。
【0013】請求項4に係る発明によれば、プラントに
含まれるむだ時間要素による影響を補償しつつ、フィー
ドバック制御量を精度よく算出できる。この結果、制御
の立ち上がりの鈍化、オーバーシュートを防止して良好
な制御を確保できる。請求項5に係る発明によれば、ス
ライディングモード制御により燃料噴射量のフィードバ
ック制御量を算出するので、外乱の影響を抑制しつつ、
ロバスト性に優れた空燃比フィードバック制御を行うこ
とができる。
【0014】請求項6に係る発明によれば、逐次最小二
乗法(RLS法)を用いることにより、プラントの状態
予測(プラントモデルの同定)を精度よく、かつ、容易
に行うことができる。請求項7に係る発明によれば、プ
ラントの特性変動に伴ってフィードバック制御量の算出
に用いる最適制御ゲインが変動した場合であっても、適
切な制御ゲインを算出できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す
機関(エンジン)のシステム図である。図1に示すよう
に、エンジン1の吸気通路2には、吸入空気量Qaを検
出するエアフローメータ3と吸入空気量Qaを制御する
スロットル弁4が設けられている。
【0016】また、吸気通路2に設けられた燃料噴射弁
5は、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユ
ニット(C/U)6からの噴射信号により開弁駆動して
燃料を噴射供給する。各気筒には、燃焼室7内で火花点
火を行う点火栓8が設けられており、吸気バルブ9を介
して吸入された混合気を火花点火によって着火する。
【0017】燃焼排気は、排気バルブ10を介して排気
通路11に排出され、排気浄化装置12を介して大気中
の排出される。前記排気通路11には、排気中の酸素濃
度に応じて空燃比をリニアに検出する広域型の空燃比セ
ンサ13が、前記排気浄化装置12の上流側に設けられ
ている。
【0018】更に、エンジン1の所定のクランク角毎に
クランク角信号に出力するクランク角センサ14やエン
ジン1の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する
水温センサ15が設けられている。前記コントロールユ
ニット(C/U)6は、以下のようにして前記燃料噴射
弁5を制御する。
【0019】まず、吸入空気量Qaとクランク角センサ
14からの信号に基づいて検出される機関回転速度Ne
からストイキ(λ=1)相当の基本燃料噴射量Tp=K
×Qa×Ne(Kは定数)を演算する。前記基本燃料噴
射量Tp、目標空燃比λt及び空燃比センサ13の検出
信号に基づき算出した空燃比フィードバック補正係数α
を用いて、最終的な燃料噴射量Ti=Tp×(1/λ
t)×αを演算する。
【0020】そして、基本的には、前記最終的な燃料噴
射量Tiに対応する噴射信号を前記燃料噴射弁5に出力
することになるが、運転状態に応じて燃料噴射を停止す
る燃料カットを実行するときは、前記空燃比フィードバ
ック補正係数αが0に設定され、前記燃料噴射弁5には
前記噴射信号が出力されないことになる。ここで、本実
施形態における燃料噴射制御について説明する。
【0021】図2に示すように、本実施形態における燃
料噴射制御部は、機関の運転状態が燃料カット時である
か否かを判定する燃料カット(F/C)判定部21と、
図中破線で示す空燃比フィードバック制御部22と、を
含んで構成されている。前記F/C判定部21は、車速
やスロットル弁開度TVO等の機関の運転状態に基づい
て、燃料噴射を停止する燃料カットを実行するか否かを
判定する。
【0022】例えば、減速時であって、所定回転速度以
下の領域においては、燃料カットを実行すると判定し、
燃料カットフラグを設定した後(0→1)、燃料噴射を
停止する(この結果、算出されたフィードバック制御量
に基づく燃料噴射制御が行われないことになる)。そし
て、燃料カットを終了するときは、設定した燃料カット
フラグを解除し(1→0)、前記フィードバック制御量
に基づく燃料噴射制御が再開される。
【0023】前記空燃比フィードバック制御部22は、
図に示すように、スライディングモード制御部(S/M
制御部)221と、むだ時間補償器222と、プラント
モデル同定部223と、制御ゲイン算出部224と、む
だ時間算出部225と、を含んで構成されている。前記
S/M制御部221は、目標空燃比λtと実空燃比λt
との偏差に基づき、スライディングモード制御により、
前記空燃比フィードバック補正係数αを算出し、プラン
ト(燃料噴射弁5〜空燃比センサ13間)への制御量u
(t)、すなわち、燃料噴射弁5のフィードバック制御
量を次式(1)のように算出する。
【0024】
【数1】
【0025】但し、e(t)は、S/M制御部221への
入力(目標空燃比―実空燃比)、K Pは線形項線形ゲイ
ン、KDは線形項微分ゲイン、SPは切換関数線形ゲイ
ン、SDは切換関数微分ゲイン、KIは適応則ゲイン、K
Nは非線形ゲイン、σ(t)は切換関数で、σ(t) = Sp
e(t)+SDe(t)である。なお、上記各制御ゲイン
は、後述する制御ゲイン算出部224で算出される。
【0026】前記むだ時間補償器222は、スミス法に
よるむだ時間補償制御を実行するのものであり、局所フ
ィードバックを行うことにより、プラントに含まれるむ
だ時間(すなわち、検出した空燃比の位相遅れ)の影響
を補償する。具体的には、図3に示すように、前記むだ
時間補償器222は、むだ時間を含まないプラントモデ
ル31と、むだ時間を含むプラントモデル32と、減算
部33と、を含んで構成されており、前記むだ時間要素
を含まないプラントモデル31で算出される出力(空燃
比)予測と、前記むだ時間を含むプラントモデル32で
算出される実出力(実空燃比)予測との偏差e2を算出
し、これを前記S/M制御部21の入力側に出力する。
【0027】そして、目標空燃比λtと実空燃比λrの
偏差e1から、前記むだ時間補償器22の出力e2を減
算してe3を算出し、該e3を前記S/M制御部221
に入力するようにしている。なお、前記プラントモデル
は、後述するプラントモデル同定部223で同定したも
のであり、前記むだ時間は、後述するむだ時間算出部2
25で算出したものである。
【0028】前記プラントモデル同定部223は、前記
プラントを伝達関数で表したプラントモデルを、前記燃
料噴射量(燃料噴射信号)及び実空燃比(出力)に基づ
きオンラインで同定する。具体的には、逐次最小二乗法
(RLS法)を用いてプラントモデルのパラメータの逐
次推定を行う。前記制御ゲイン算出部224は、前記S
/M制御部221の制御ゲインを、前記プラントモデル
同定部223で同定したプラントモデルのパラメータ
(推定パラメータ)を用いて算出する。
【0029】具体的には、極配置法によるセルフチュー
ニングコントロールを用いて、システム全体(すなわ
ち、プラント(燃料噴射弁5〜空燃比センサ13間)+
S/M制御部221+むだ時間補償器222)を閉ルー
プ伝達関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定
時間等の点から望ましい極と一致するようS/M制御部
221の制御ゲインを算出する(詳細は後述する)。
【0030】前記むだ時間算出部225は、プラントの
むだ時間k(以下、通常のむだ時間という)を算出す
る。具体的には、燃料噴射弁5から噴射された燃料が燃
焼室7内で燃焼し、その燃焼排気の空燃比を前記空燃比
センサ13が検出するまでの時間(遅れ時間)を算出す
るものである。
【0031】なお、本実施形態においては、前記むだ時
間を、燃料噴射が行われているときのむだ時間(以下、
通常時のむだ時間という)kと、燃料カット直後のむだ
時間(以下、F/C後のむだ時間という)k2と、をそ
れぞれ別々に算出するようにしている。これは、前記通
常時のむだ時間は、輸送遅れのみを考慮すれば足りるの
に対して、燃料カット直後は、壁流がなくなっているた
め、輸送遅れに加えて、壁流の影響が通常時と同様にな
るまでの時間についても考慮しないと、同一プラント状
態からの出力(空燃比)とならず、同定精度が悪化する
からである。
【0032】具体的には、図4(A)、(B)に示すよ
うに、通常時のむだ時間k算出用のテーブルTkと、F
/C後のむだ時間k2算出用のテーブルTk2と、を備
えるようにし、吸入空気量Qaに基づいてそれぞれのテ
ーブルを検索することにより算出する。また、むだ時間
算出用のテーブルを1つとし、これに所定の係数を用い
て算出することで、前記2つのむだ時間k、k2を算出
するようにしてもよい。
【0033】なお、図に示すように、前記F/C後のむ
だ時間k2の方が、通常のむだ時間kよりも大きな値と
なる。以上のようにして算出した通常時のむだ時間k
が、前記むだ時間補償器222及びプラントモデル同定
部223で用いられるプラントのむだ時間である。ま
た、前記F/C後のむだ時間k2が、後述するように、
燃料カットに伴って停止したプラントモデルのパラメー
タ推定を、燃料カット終了後に再開する際に用いる待機
時間である。すなわち、燃料カットにより停止したパラ
メータ推定は、前記燃料カット終了後、前記F/C後の
むだ時間k2経過後に再開される。
【0034】ここで、前記制御ゲイン算出部224で行
われる制御ゲインの算出について詳細に説明する。極配
置法によるセルフチューニングコントロールを用いた制
御ゲインの算出は、以下のようにして行う。まず、プラ
ントを伝達関数で表すプラントモデルGP(z-1)を設
定し、その後、S/M制御部221の伝達関数GC(z
-1)及びむだ時間補償器22の伝達関数GL(z-1)を
求める。
【0035】そして、これらの伝達関数からシステム全
体の閉ループ伝達関数W(z-1)を算出し、その極が設
定した極となるように制御ゲインを算出する。 (A)プラントモデルの設定について 燃料噴射弁5と空燃比センサ13との間のプラントを、
前記むだ時間算出部225で算出したむだ時間k(≧
1)を用いて、例えば、次式(2)、(3)のように二
次のARXモデルA(z-1)で表す。
【0036】 A(z-1)y(t)=z-k0u(t)+ε(t) …(1) A(z-1)=1+a1-1+a2-2 …(2) 但し、y(t)は、プラント出力(すなわち、実空燃
比)、u(t)は、プラント入力値(すなわち、燃料噴射
量)、ε(t)は、不規則雑音である。すると、プラント
モデルの伝達関数GP(z-1)は、次式(4)のように表
すことができる。
【0037】GP(z-1)=z-k0/A(z-1) …(4) なお、推定パラメータベクトルθ(t)及びデータベクト
ルψ(t-k)は、下記(5)、(6)式のように表すこ
とができる。 θ(t)=〔a1(t),a2(t),b0(t)〕T … (5) ψ(t-k)=〔-y(t-1),-y(t-2)、u(t-k)〕T … (6) (B)プラントモデルの同定(パラメータ推定)につい
て 設定したプラントモデルは、前記プラントモデル同定部
223で同定される。
【0038】具体的には、プラントの特性は、運転状
態、プラント自体の劣化度合い等のプラント特性により
変化するので、式(5)に示すパラメータa1(t)、a2
(t)、b0(t)を逐次推定することでプラントモデルを
同定する(すなわち、オンライン同定する)。なお、本
実施形態においては、前記パラメータの推定に最小二乗
法(RLS法)を用いており、実値と推定値の誤差の二
乗が最も小さくなるパラメータを逐次算出している。
【0039】具体的な演算式は、一般の重みつき逐次最
小二乗法(RLS法)と同一のものであり、時間更新
式:t=1、2、…、Nに対して、次式(7)〜(9)
を計算することにより行う。
【0040】
【数2】
【0041】そして、かかるパラメータ推定式(7)〜
(9)を用いてパラメータa1(t)、a2(t)、b0(t)
を逐次推定することで、プラントモデルを同定する。な
お、前記忘却係数λ1、λ2は、忘却要素なしの場合には
前記忘却係数λ1=λ2=1とし、忘却要素つきの場合に
はλ1=0.98、λ2=1とした。また、本実施形態に
おいては、前記パラメータ推定値の初期値θ0を、運転
状態の応じてあらかじめ設定した初期値(例えば、a
1(0)=A1、a2(0)=A2、b0(0)=B1)を設定
することで、収束までの時間の短縮化を図っている。
【0042】但し、燃料カットが実行されたときは、燃
料カット開始と同時にプラントモデルの同定(パラメー
タ推定)を停止するようにする。すなわち、フィードバ
ック制御時においては、前記S/M制御部221で算出
したフィードバック制御量によって燃料噴射制御を行っ
ていたが、燃料カット時は、燃料噴射が停止されるた
め、検出する空燃比は制御入力に対応するものでないた
め、フィードバック制御時とは全く異なるプラントの状
態予測(プラントモデルの同定)が行われることにな
る。
【0043】これでは、前記フィードバック制御量を算
出するためにプラントの状態予測を行う意味がなく、従
って、正しい同定結果が得られない(プラントモデルの
同定精度が悪化する)。かかる同定精度(パラメータ推
定精度)の悪化を防止するため、プラントモデルの同定
を停止するのである。この場合、燃料カットが開始され
たか否かは、前記F/C判定部21の設定する燃料カッ
トフラグを確認することで判定する。
【0044】そして、燃料カットが実行されているあい
だは、前記プラントモデルの同定が停止される。なお、
燃料カットを終了するときは、前記F/C判定部21で
燃料カットフラグが解除されて、前記フィードバック制
御量による燃料噴射制御が再開されることになるが、プ
ラントモデルの同定は、燃料カット終了から前記F/C
後のむだ時間k2の経過を待ってから再開するようにす
る。
【0045】これは、前記むだ時間算出部225におい
ても説明したように、輸送遅れだけでなく、壁流等のプ
ラント内の状態をも考慮することで、プラントの状態予
測のばらつきを防止するためである。この結果、一定の
プラント状態からの出力(空燃比)によりプラントモデ
ルの同定を行うことができ、同定精度を高く維持でき
る。
【0046】ここで、プラントモデルの同定再開時に
は、同定停止直前に推定されたパラメータを記憶してお
き、これをそのまま用いてもよいが、前記運転状態に応
じてあらかじめ設定したパラメータ初期値(A1、A
2、B1)を用いるようにしてもよい。 (C)S/M制御部221の離散時間伝達関数の算出に
ついて 前記S/M制御部221を、以下のようにして伝達関数
化する。
【0047】y(t)をプラント出力値(実空燃比λ
r)、ω(t)を目標値(目標空燃比λt)とし、e(t)
=ω(t)−y(t)とすると、1サンプルにおけるプラン
ト入力(すなわち、S/M制御部221からの出力)u
(t)の差分Δu(t)は、次式(10)で与えられる。
【0048】
【数3】
【0049】ここで、e(t)=ω(t)−y(t)、e(t)
−e(t−1)=Δe(t)であるから、式(10)より次
式(11)が得られる。
【0050】
【数4】
【0051】但し、K(z-1)は次式(12)で表される
ものであり、式(13)のように展開して各制御ゲイン
に基づいて算出する。
【0052】
【数5】
【0053】従って、式(12)よりプラント入力u
(t)は、次式(14)で表される。
【0054】
【数6】
【0055】ここで、非線形項を含めないものとして取
り扱うことにすると、S/M制御部221の離散時間伝
達関数GC(z-1)は、次式(15)のように表すことがで
きる。 GC(z-1) = K(z-1)/(1-z-1) …(15) (D)前記むだ時間補償器222の離散時間伝達関数の
算出について 上述したように、むだ時間補償器222は、むだ時間後
の出力予測を行いつつむだ時間要素の影響を補償するス
ミス法を用いるので、むだ時間補償器222の離散時間
伝達関数GL(z-1)は、次式(16)のように算出でき
る。
【0056】 GL(z-1)=z-10/A(z-1)− z-k0/A(z-1) = (z-1−z-k)b0/A(z-1) …(16) なお、z-10/A(z-1)は、前記プラントモデルを用
いて表したむだ時間がない場合の出力予測であり、z-k
0/A(z-1)は、同じく前記プラントモデルを用いて
表したむだ時間を含む実出力予測である。
【0057】以上のようにして算出した各伝達関数(プ
ラントモデル、S/M制御部21、むだ時間補償器)を
用いたブロック図を図5に示す。次に、システム全体の
閉ループ伝達関数化について説明する。なお、上述した
ようにS/M制御部221の非線形項は含めないものと
する。 (E)システム全体の閉ループ伝達関数W(z-1)の算出
について まず、前記S/M制御部221とむだ時間補償器222
のフィードバックループを取り出し、目標(目標空燃比
λt)から出力(フィードバック制御量)への1つの伝
達関数を算出する。図5において、S/M制御部221
とむだ時間補償器22とを含む局所ループの伝達関数G
CL(z-1)は、式(15)、(16)より次式(17)の
ように算出できる。
【0058】
【数7】
【0059】従って、プラント及び式(17)に示す局
所ループを含めたシステム全体の閉ループ伝達関数W
(z-1)は、次式(18)のように算出できる。
【0060】
【数8】
【0061】以上の算出結果を示したものが図6のブロ
ック図である。 (F)極配置法による前記S/M制御部221の制御ゲ
インの算出について 前記閉ループ伝達関数W(z-1)の特性多項式は、式(1
8)より、(1−z-1)A(z-1) +z-10K(z-1)であ
り、これを次式(19)のようにおく。
【0062】
【数9】
【0063】このとき、応答性、行き過ぎ量、整定時間
等の点から望ましい極となるようなT(z-1)を設定する
ことで、S/M制御部221の制御ゲインを以下のよう
にして算出する。式(19)より、次式(20)が得ら
れる。
【0064】
【数10】
【0065】ここで、式(13)より、K(z-1)= (KP
+KI・SP+KI・SD+KD)−(KP+KI・SD+2KD)
-1+KD-2であるので、切換関数線形ゲインSP及び
切換関数微分ゲインSDを1に設定し、線形項線形ゲイ
ンKP、適応則ゲインKI、線形項微分ゲインKDを可変
パラメータとすれば、次式(21)によう表すことがで
きるから、
【0066】
【数11】
【0067】となり、次式(22)〜(24)を得る。
【0068】
【数12】
【0069】従って、式(22)〜(24)をKP
I、KDについて解き、a1、a2、b0を、それぞれプ
ラントモデル同定部223で逐次推定した推定パラメー
タa1(t)、a2(t)、b0(t)で表すことにより、各ゲイン
は次式(25)〜(27)のように算出できる。
【0070】
【数13】
【0071】なお、前記特性多項式T(z-1)=1+t1
-1+t2-2としては、例えば、減衰ζ=0.7、固有
角周波数ω=30としたときの二次系の連続時間システ
ム、 G(s)=ω2 / (s2+2ζω・s+ω2) をサンプル時間Tiで離散化したときの伝達関数の分母
を用いることが考えられる。
【0072】そして、このように算出した制御ゲインを
用いて、前記S/M制御部221は、プラントへの制御
量を算出する(式(13)参照)。以上のように、パラ
メータを逐次推定したプラントモデルを用いてシステム
全体を1つの伝達関数で表し、その極が応答性、行き過
ぎ量、整定時間等の点から望ましい極と一致するよう
に、プラントへのフィードバック制御量を算出するS/
M制御部221の制御ゲインを求めるので、プラントの
特性変化に対応した良好な制御ゲインが算出でき、ひい
ては、精度のよい空燃比フィードバック制御が実行でき
る。
【0073】また、上述したように、燃料カット時にお
いては、前記プラントモデル同定部223によるパラメ
ータの推定を停止して、誤った結果の算出を防止すると
共に、燃料カット終了後は、前記F/C後のむだ時間k
2の経過を待って、パラメータの推定を再開するように
したので、同定精度を高く維持できる。この結果、プラ
ントの特性変化に対応した良好な制御ゲインが算出で
き、ひいては、精度のよい空燃比フィードバック制御が
実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す内燃機関のシステム
図。
【図2】本発明の空燃比制御を示すブロック図。
【図3】本発明で用いるむだ時間補償制御を示すブロッ
ク図。
【図4】本発明で用いるむだ時間算出用のテーブルT
k、Tk2を示す図。
【図5】本発明におけるS/M制御部221及びむだ時
間補償器222を伝達関数で表したブロック図。
【図6】本発明におけるセルフチューニングコントロー
ルを用いたスライディングモード制御による空燃比フィ
ードバック制御全体を示すブロック図。
【符号の説明】
1 エンジン 2 吸気通路 3 エアフローメータ 4 スロットル弁 5 燃料噴射弁 6 コントロールユニット(C/U) 8 点火プラグ 11 排気通路 13 A/Fセンサ 14 クランク角センサ 15 水温センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 DA04 DA08 DA25 EA07 EB00 EB13 EC04 FA20 FA26 FA38 3G301 JA07 JA12 KA16 KA26 MA01 MA24 NC02 ND05 ND45 NE23 PA01Z PD04A PD04Z PE08Z 5H004 GA03 GA17 GB12 HA07 HB01 HB07 JB22 KA33 KA74 KA78 MA36

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実空燃比を空燃比検出手段により検出し、
    空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する内燃機関
    の空燃比制御装置であって、 燃料噴射量と検出した実空燃比とに基づいて、燃料噴射
    手段から空燃比検出手段の間のプラントを表したプラン
    トモデルのパラメータを推定する同定手段と、 推定したプラントモデルのパラメータを用いて、燃料噴
    射量のフィードバック制御量を算出するための制御ゲイ
    ンを算出する制御ゲイン算出手段と、 算出された制御ゲインを用いて前記フィードバック制御
    量を算出する制御量算出手段と、 機関の運転状態が燃料カット時であるか否かを判定する
    判定手段と、 燃料カットの終了直後において、燃料噴射から噴射した
    燃料に対応する排気空燃比を前記空燃比検出手段が検出
    するまでの遅れ時間を推定する遅れ時間推定手段と、を
    含んで構成し、 前記同定手段は、燃料カットの開始に伴って前記プラン
    トモデルのパラメータ推定を停止し、燃料カット終了後
    は、前記遅れ時間の経過を待ってから前記プラントモデ
    ルのパラメータ推定を再開することを特徴とする内燃機
    関の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】前記判定手段は、燃料カット要求信号又は
    前記燃料噴射手段の駆動信号に基づいて燃料カットの開
    始又は終了を判定することを特徴とする請求項1記載の
    内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】前記遅れ時間推定手段は、吸入空気量に基
    づいて前記遅れ時間を推定することを特徴とする請求項
    1又は請求項2記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】前記制御量算出手段は、前記プラントモデ
    ルを用いてプラントに含まれるむだ時間の影響を排除す
    るむだ時間補償手段を備えることを特徴とする請求項1
    から請求項3のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比
    制御装置。
  5. 【請求項5】前記制御量算出手段は、スライディングモ
    ード制御により前記フィードバック制御量を算出するこ
    とを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1つに
    記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】前記同定手段は、逐次最小二乗法を用いて
    前記プラントモデルのパラメータを推定することを特徴
    とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の内
    燃機関の空燃比制御装置。
  7. 【請求項7】前記制御ゲイン算出手段は、前記プラント
    及び制御量算出手段を含むシステム全体を伝達関数で表
    し、該システム全体の伝達関数が設定された特性を有す
    るように前記制御量算出手段の制御ゲインを算出するこ
    とを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか1つに
    記載の内燃機関の空燃比制御装置。
JP2001367749A 2001-11-30 2001-11-30 内燃機関の空燃比制御装置 Abandoned JP2003172179A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001367749A JP2003172179A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 内燃機関の空燃比制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001367749A JP2003172179A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 内燃機関の空燃比制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003172179A true JP2003172179A (ja) 2003-06-20

Family

ID=19177452

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001367749A Abandoned JP2003172179A (ja) 2001-11-30 2001-11-30 内燃機関の空燃比制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003172179A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102124201A (zh) * 2008-08-26 2011-07-13 丰田自动车株式会社 内燃机的控制装置
US7991539B2 (en) 2007-05-21 2011-08-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Engine controller

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7991539B2 (en) 2007-05-21 2011-08-02 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Engine controller
CN102124201A (zh) * 2008-08-26 2011-07-13 丰田自动车株式会社 内燃机的控制装置
CN102124201B (zh) * 2008-08-26 2014-02-12 丰田自动车株式会社 内燃机的控制装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4315179B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
US6785601B2 (en) Air-fuel ratio control apparatus of internal combustion engine and method thereof
JP2002349325A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
US20030101975A1 (en) Air-fuel ratio control apparatus of internal combustion engine and method thereof
JP4174821B2 (ja) 車両用制御装置
JP2002318604A (ja) 制御装置
JP2003050604A (ja) プラントの制御装置及び内燃機関の空燃比制御装置
JP3961275B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3910838B2 (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003172179A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003172184A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2004068602A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003172180A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP3355287B2 (ja) 内燃機関の燃料噴射制御装置
JP2002276434A (ja) 制御装置
JP2003184612A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003172182A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2004019477A (ja) 内燃機関の回転数制御方法
JP2003201893A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003172181A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003172178A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JPH07301140A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2004011610A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2003201894A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置
JP2004036397A (ja) 内燃機関の空燃比制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Effective date: 20040817

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

A711 Notification of change in applicant

Effective date: 20041217

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

A762 Written abandonment of application

Effective date: 20051028

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762