JP2003172180A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP2003172180A
JP2003172180A JP2001367750A JP2001367750A JP2003172180A JP 2003172180 A JP2003172180 A JP 2003172180A JP 2001367750 A JP2001367750 A JP 2001367750A JP 2001367750 A JP2001367750 A JP 2001367750A JP 2003172180 A JP2003172180 A JP 2003172180A
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fuel ratio
air
control
amount
plant
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JP2001367750A
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Hajime Hosoya
肇 細谷
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】セルフチューニングにより制御ゲインを算出し
つつ、空燃比フィードバック制御を行う内燃機関の空燃
比制御装置において、精度のよい空燃比制御を実行す
る。 【解決手段】燃料噴射弁5から空燃比センサ13までの
プラントをプラントモデルで表し、プラントに含まれる
むだ時間を考慮しつつ、プラントモデルを同定する。そ
して、同定したプラントモデルのパラメータを、空燃比
学習値、各種補正値に応じて補正した補正後のパラメー
タ値を用いて、空燃比フィードバック制御量算出用の制
御ゲインを算出し、算出した制御ゲインを用いて燃料噴
射弁5のフィードバック制御量を算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の空燃比
制御装置に関し、特に、セルフチューニングにより制御
ゲインを算出しつつ、空燃比フィードバック制御を行う
内燃機関の空燃比制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、内燃機関においては、排気浄
化や燃費向上等を目的として空燃比を目標値にフィード
バック制御するのが一般的である。かかる空燃比フィー
ドバック制御を精度よく行う技術として、本願出願人
は、先の出願(特願2001−79272号)におい
て、スライディングモード制御により燃料噴射量のフィ
ードバック制御量を算出する内燃機関の空燃比制御装置
において、スミス法によりむだ時間補償制御を行いつ
つ、セルフチューニング制御によって前記スライディン
グモード制御の制御ゲインを算出するよう構成したもの
を提案した。
【0003】かかる空燃比制御装置では、以下のように
して前記フィードバック制御量を算出する。燃料噴射手
段から空燃比検出手段までの間のプラントを伝達関数で
表したプラントモデルを、燃料噴射量と実空燃比に基づ
いて逐次同定する。該同定したプラントモデル(のパラ
メータ)を用いて、前記プラント、フィードバック制御
量算出部(すなわち、スライディングモード制御部)及
びむだ時間補償制御部を含むシステム全体を1つの伝達
関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定時間等
の点から望ましい極と一致するように前記スライディン
グモード制御の制御ゲインを算出する。
【0004】そして、算出された制御ゲインを用いたス
ライディングモード制御により燃料噴射量のフィードバ
ック制御量を算出することで、プラントの特性変化に精
度よく対応させた空燃比制御を実行している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、通常の空燃
比フィードバック制御において、燃料噴射量(燃料噴射
手段への制御量)は、算出したフィードバック制御量
に、該フィードバック制御量の基準値からのずれを学習
した学習値や温度条件等に応じて設定される各種補正値
が加算されて決定される。
【0006】かかる方式を上記空燃比制御装置において
も採用することが望ましいが、この場合、以下のような
不都合が生じる。すなわち、逐次同定に用いるプラント
出力(空燃比)は、算出されたフィードバック制御量
(制御入力)のみに対応するものではなく、前記学習値
や各種補正値を含んだものとなり、フィードバック制御
量以外の要因でも変化することになる。
【0007】従って、フィードバック制御量が一定の場
合であっても、学習値の変動や各種補正値の変動により
プラント出力(空燃比)が変化してしまい、プラントモ
デルの同定精度を維持できない。この結果、正確な制御
ゲインの算出、ひいては、正確なフィードバック制御量
の算出を行えず、空燃比フィードバック制御の精度が悪
化するという問題がある。
【0008】本発明は、上記問題に鑑みなされたもの
で、同定したプラントモデルに含まれるフィードバック
制御量以外の影響を排除して、精度のよい空燃比フィー
ドバック制御を実行できる内燃機関の空燃比制御装置を
提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】そのため、請求項1に係
る発明は、実空燃比を空燃比検出手段により検出し、空
燃比を目標空燃比にフィードバック制御する内燃機関の
空燃比制御装置であって、燃料噴射量と検出した実際の
空燃比とに基づいて、燃料噴射手段から空燃比検出手段
の間のプラントを伝達関数で表したプラントモデルのパ
ラメータを推定する同定手段と、推定したプラントモデ
ルのパラメータを用いて前記燃料噴射手段のフィードバ
ック制御量を算出する制御量算出手段と、前記フィード
バック制御量を補正して、前記燃料噴射手段の最終的な
制御量を算出するためのオフセット補正量を設定する補
正量設定手段と、を含んで構成し、前記基本制御量算出
手段が、前記同定手段の推定したプラントモデルのパラ
メータを前記オフセット補正量に応じて減少補正した補
正後のパラメータに基づいて、前記フィードバック制御
量を算出することを特徴とする。
【0010】請求項2に係る発明は、前記オフセット補
正量が、前記フィードバック制御量の基準値からの偏差
を学習して得られる学習値であることを特徴とする。請
求項3に係る発明は、前記オフセット補正量が、目標空
燃比相当の基本燃料噴射量を機関運転条件に応じて補正
するための各種補正値であることを特徴とする。
【0011】請求項4に係る発明は、前記基本制御量算
出手段が、前記補正後のパラメータに基づいて制御ゲイ
ンを算出し、該制御ゲインを用いてスライディングモー
ド制御により前記燃料噴射手段のフィードバック制御量
を算出することを特徴とする。請求項5に係る発明は、
前記フィードバック制御量算出手段が、前記プラントモ
デルを用いてプラントに含まれるむだ時間の影響を排除
するむだ時間補償手段を備えることを特徴とする。
【0012】請求項6に係る発明は、前記同定手段が、
逐次最小二乗法を用いて前記プラントモデルのパラメー
タを推定することを特徴とする。
【0013】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、フィード
バック制御量とは異なる制御量(すなわち、オフセット
補正量で補正された制御量)が燃料噴射弁に入力され、
フィードバック制御量と相関しない出力(空燃比)に基
づきプラントモデルのパラメータを推定した場合であっ
ても、制御量算出手段は、同定手段が推定したパラメー
タそのものではなく、該推定パラメータを前記オフセッ
ト補正量に応じて減少補正した補正後のパラメータに基
づいてフィードバック制御量を算出する。
【0014】これにより、同定手段の推定する推定パラ
メータに反映される前記オフセット補正量の影響分を排
除して、正確なフィードバック制御量を算出できる。請
求項2に係る発明によれば、同定手段が推定する推定パ
ラメータに反映される空燃比学習値の影響分を排除し
て、正確なフィードバック制御量を算出できる。
【0015】請求項3に係る発明によれば、同定手段が
推定する推定パラメータに反映される各種補正値の影響
分を排除して、正確なフィードバック制御量を算出でき
る。請求項4に係る発明によれば、前記オフセット補正
量の影響を排除したパラメータに基づいて、正確な制御
ゲインを算出し、該制御ゲインを用いたスライディング
モード制御によりフィードバック制御量を算出するの
で、外乱の影響を抑制し、ロバスト性に優れた空燃比フ
ィードバック制御を行うことができる。
【0016】請求項5に係る発明によれば、プラントに
含まれるむだ時間要素(輸送遅れ)による影響を補償し
つつ、フィードバック制御量を精度よく算出できる。請
求項6に係る発明によれば、逐次最小二乗法(RLS
法)を用いることにより、プラントモデルのパラメータ
を精度よく、かつ、容易に推定できる。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態を示す
機関(エンジン)のシステム図である。図1に示すよう
に、エンジン1の吸気通路2には、吸入空気量Qaを検
出するエアフローメータ3と吸入空気量Qaを制御する
スロットル弁4が設けられている。
【0018】また、吸気通路2に設けられた燃料噴射弁
5は、マイクロコンピュータを内蔵したコントロールユ
ニット(C/U)6からの噴射信号により開弁駆動して
燃料を噴射供給する。各気筒には、燃焼室7内で火花点
火を行う点火栓8が設けられており、吸気バルブ9を介
して吸入された混合気を火花点火によって着火する。
【0019】燃焼排気は、排気バルブ10を介して排気
通路11に排出され、排気浄化装置12を介して大気中
の排出される。前記排気通路11には、排気中の酸素濃
度に応じて空燃比をリニアに検出する広域型の空燃比セ
ンサ13が、前記排気浄化装置12の上流側に設けられ
ている。
【0020】更に、エンジン1の所定のクランク角毎に
クランク角信号に出力するクランク角センサ14やエン
ジン1の冷却ジャケット内の冷却水温度Twを検出する
水温センサ15が設けられている。前記コントロールユ
ニット(C/U)6は、以下のようにして前記燃料噴射
弁5を制御する。
【0021】まず、吸入空気量Qaとクランク角センサ
14からの信号に基づいて検出される機関回転速度Ne
からストイキ(λ=1)相当の基本燃料噴射量Tp=K
×Qa×Ne(Kは定数)を演算する。次に、運転状態
に応じて、空燃比をフィードバック制御するかオープン
ループ制御するかを判断し、フィードバック制御する場
合には、前記基本燃料噴射量Tp、目標空燃比λt及び
空燃比センサ13の検出信号に基づき算出した空燃比フ
ィードバック補正係数α、空燃比学習値UL、各種係数
UKを用いて、最終的な燃料噴射量Ti=Tp×(1/
λt)×(α+UL+UK)を演算する。
【0022】また、オープンループ制御の場合は、前記
空燃比フィードバック補正係数αを1に固定(α=1)
して最終的な燃料噴射量Tiを算出する。そして、前記
最終的な燃料噴射量Tiに対応する噴射信号を前記燃料
噴射弁5に出力する。ここで、本実施形態における燃料
噴射制御について説明する。
【0023】図2に示すように、本実施形態における燃
料噴射制御部は、燃料噴射弁5への出力を判断する出力
判断部21と、図中破線で示す空燃比フィードバック制
御部22と、を含んで構成されている。前記出力判断部
21は、運転状態に応じて空燃比フィードバック制御部
22で算出されたフィードバック制御量(空燃比フィー
ドバック補正係数α)を燃料噴射弁5に出力するか否か
を判断する。
【0024】フィードバック制御量を出力しないとき
は、フィードバック制御量としてクランプ値(オープン
ループ制御時は1、燃料カット時は0)を出力する。前
記空燃比フィードバック制御部22は、スライディング
モード制御部(S/M制御部)221と、むだ時間補償
器222と、プラントモデル同定部223と、制御ゲイ
ン算出部224と、むだ時間算出部225と、パラメー
タ補正部226と、空燃比学習部227と、各種補正値
設定部228と、を含んで構成されている。
【0025】前記S/M制御部221は、目標空燃比λ
tと実空燃比λtとの偏差に基づき、スライディングモ
ード制御により、プラント(燃料噴射弁5〜空燃比セン
サ13間)への制御量u(t)、すなわち、燃料噴射弁
5の基本フィードバック制御量(空燃比フィードバック
補正係数α)を次式(1)のように算出する。
【0026】
【数1】
【0027】但し、e(t)は、S/M制御部221への
入力(目標空燃比―実空燃比)、K Pは線形項線形ゲイ
ン、KDは線形項微分ゲイン、SPは切換関数線形ゲイ
ン、SDは切換関数微分ゲイン、KIは適応則ゲイン、K
Nは非線形ゲイン、σ(t)は切換関数で、σ(t) = Sp
e(t)+SDe(t)である。なお、上記各制御ゲイン
は、後述する制御ゲイン算出部224で算出される。
【0028】前記むだ時間補償器222は、スミス法に
よるむだ時間補償制御を実行するのものであり、局所フ
ィードバックを行うことにより、プラントに含まれるむ
だ時間(すなわち、検出した空燃比の位相遅れ)の影響
を補償する。具体的には、図3に示すように、前記むだ
時間補償器222は、むだ時間を含まないプラントモデ
ル31と、むだ時間を含むプラントモデル32と、減算
部33と、を含んで構成されており、前記むだ時間要素
を含まないプラントモデル31で算出される出力(空燃
比)予測と、前記むだ時間を含むプラントモデル32で
算出される実出力(実空燃比)予測との偏差e2を算出
し、これを前記S/M制御部21の入力側に出力する。
【0029】そして、目標空燃比λtと実空燃比λrの
偏差e1から、前記むだ時間補償器22の出力e2を減
算してe3を算出し、該e3を前記S/M制御部221
に入力するようにしている。なお、前記プラントモデル
は、プラントモデル同定部223で同定したプラントモ
デルであり、前記むだ時間は、後述するむだ時間算出部
225で算出したものである。
【0030】前記プラントモデル同定部223は、前記
プラントを伝達関数で表したプラントモデルを、燃料噴
射量(燃料噴射信号)及び実空燃比(出力)に基づきオ
ンラインで同定する。具体的には、逐次最小二乗法(R
LS法)を用いてプラントモデルのパラメータの逐次推
定を行う。前記制御ゲイン算出部224は、後述するパ
ラメータ補正部226で補正された補正後のパラメータ
値に基づいて、前記S/M制御部221の制御ゲインを
算出する。
【0031】具体的には、極配置法によるセルフチュー
ニングコントロールを用いて、システム全体(すなわ
ち、プラント(燃料噴射弁5〜空燃比センサ13間)+
S/M制御部221+むだ時間補償器222)を閉ルー
プ伝達関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、整定
時間等の点から望ましい極と一致するようS/M制御部
221の制御ゲインを算出する(詳細は後述する)。
【0032】前記むだ時間算出部225は、プラントに
含まれるむだ時間kを算出する。かかるむだ時間kの算出
は、例えば、図4に示すように、吸入空気量Qaとむだ
時間kと関係をあらかじめテーブル化しておき、検出し
た吸入空気量Qaに基づくテーブル検索により行う。前
記パラメータ補正部226は、前記プラントモデル同定
部223で推定されたパラメータ値(推定パラメータ)
を、後述するオフセット補正値(空燃比学習値UL、各
種補正値UK)に応じて補正し、前記制御ゲイン算出部
224へ出力する。
【0033】具体的には、オフセット補正値に基づくテ
ーブル検索等によってパラメータ補正値を算出し、該パ
ラメータ補正値を用いて前記推定パラメータ値を減少補
正して制御ゲイン算出用のパラメータ値とする。なお、
かかる減少補正は、前記推定パラメータ値に対して、前
記パラメータ補正値を減算するもの、前記パラメータ値
を1未満の係数として乗算するもの、又は、前記パラメ
ータ補正値で除算するもののうちいずれの方法を用いて
もよい。
【0034】前記空燃比学習部227は、空燃比制御系
の部品劣化やばらつき等に伴うフィードバック制御量と
基準値とのずれを学習する。具体的には、算出したフィ
ードバック制御量(空燃比フィードバック補正係数α)
の複数回のサンプリング値を加重平均等により平均化し
た値と、基準値(α0=1)との偏差Δαを算出し、該
偏差Δαを学習値ULとして算出し、これを記憶・更新
する。
【0035】前記各種補正量設定部228は、水温検出
値に基づく水温補正係数等の各種補正量UKを設定す
る。ここで、前記制御ゲイン算出部224で行われる制
御ゲインの算出について詳細に説明する。極配置法によ
るセルフチューニングコントロールを用いた制御ゲイン
算出は、以下のようにして行う。
【0036】まず、プラントを伝達関数で表すプラント
モデルGP(z-1)を設定し、その後、S/M制御部2
21の伝達関数GC(z-1)及びむだ時間補償器22の
伝達関数GL(z-1)を求める。そして、これらの伝達
関数からシステム全体の閉ループ伝達関数W(z-1)を
算出し、その極が設定した極となるように制御ゲインを
算出する。
【0037】(A)プラントモデルの設定について 燃料噴射弁5と空燃比センサ13との間のプラントを、
前記むだ時間算出部225で算出したむだ時間k(≧
1)を用いて、例えば、次式(2)、(3)のように二
次のARXモデルA(z-1)で表す。 A(z-1)y(t)=z-k0u(t)+ε(t) …(1) A(z-1)=1+a1-1+a2-2 …(2) 但し、y(t)は、プラント出力(すなわち、実空燃
比)、u(t)は、プラント入力値(すなわち、燃料噴射
量)、ε(t)は、不規則雑音である。
【0038】すると、プラントモデルの伝達関数GP(z
-1)は、次式(4)のように表すことができる。 GP(z-1)=z-k0/A(z-1) …(4) なお、推定パラメータベクトルθ(t)及びデータベクト
ルψ(t-k)は、下記(5)、(6)式のように表すこ
とができる。
【0039】 θ(t)=〔a1(t),a2(t),b0(t)〕T … (5) ψ(t-k)=〔-y(t-1),-y(t-2)、u(t-k)〕T … (6) (B)プラントモデルの同定(パラメータ推定)につい
て 設定したプラントモデルは、前記プラントモデル同定部
223で同定される。具体的には、プラントの特性は、
運転状態、プラント自体の劣化度合い等のプラント特性
により変化するので、式(5)に示すパラメータa
1(t)、a2(t)、b0(t)を逐次推定することでプラン
トモデルを同定する(すなわち、オンライン同定す
る)。
【0040】なお、本実施形態においては、前記パラメ
ータの推定に最小二乗法(RLS法)を用いており、実
値と推定値の誤差の二乗が最も小さくなるパラメータを
逐次算出している。具体的な演算式は、一般の重みつき
逐次最小二乗法(RLS法)と同一のものであり、時間
更新式:t=1、2、…、Nに対して、次式(7)〜
(9)を計算することにより行う。
【0041】
【数2】
【0042】そして、かかるパラメータ推定式(7)〜
(9)を用いてパラメータa1(t)、a2(t)、b0(t)
を逐次推定することで、プラントモデルを同定する。な
お、前記忘却係数λ1、λ2は、忘却要素なしの場合には
前記忘却係数λ1=λ2=1とし、忘却要素つきの場合に
はλ1=0.98、λ2=1とした。また、本実施形態に
おいては、前記パラメータ推定値の初期値θ0を、運転
状態の応じてあらかじめ設定した初期値(例えば、a
1(0)=A1、a2(0)=A2、b0(0)=B1)を設定
することで、収束までの時間の短縮化を図っている。
【0043】(C)S/M制御部221の離散時間伝達
関数の算出について S/M制御部221を、以下のようにして伝達関数化す
る。y(t)をプラント出力値(実空燃比λr)、ω(t)
を目標値(目標空燃比λt)とし、e(t)=ω(t)−y
(t)とすると、1サンプルにおけるプラント入力(すな
わち、S/M制御部221からの出力)u(t)の差分Δ
u(t)は、次式(10)で与えられる。
【0044】
【数3】
【0045】ここで、e(t)=ω(t)−y(t)、e(t)
−e(t−1)=Δe(t)であるから、式(10)より次
式(11)が得られる。
【0046】
【数4】
【0047】但し、K(z-1)は次式(12)で表される
ものであり、式(13)のように展開して各制御ゲイン
に基づいて算出する。
【0048】
【数5】
【0049】従って、式(12)よりプラント入力u
(t)は、次式(14)で表される。
【0050】
【数6】
【0051】ここで、非線形項を含めないものとして取
り扱うことにすると、S/M制御部221の離散時間伝
達関数GC(z-1)は、次式(15)のように表すことがで
きる。 GC(z-1) = K(z-1)/(1-z-1) …(15) (D)前記むだ時間補償器222の離散時間伝達関数の
算出について 上述したように、むだ時間補償器222は、むだ時間後
の出力予測を行いつつむだ時間要素の影響を補償するス
ミス法を用いるので、むだ時間補償器222の離散時間
伝達関数GL(z-1)は、次式(16)のように算出でき
る。
【0052】 GL(z-1)=z-10/A(z-1)− z-k0/A(z-1) = (z-1−z-k)b0/A(z-1) …(16) なお、z-10/A(z-1)は、前記プラントモデルを用
いて表したむだ時間がない場合の出力予測であり、z-k
0/A(z-1)は、同じく前記プラントモデルを用いて
表したむだ時間を含む実出力予測である。
【0053】以上のようにして算出した各伝達関数(プ
ラントモデル、S/M制御部21、むだ時間補償器)を
用いたブロック図を図5に示す。次に、システム全体の
閉ループ伝達関数化について説明する。なお、上述した
ようにS/M制御部221の非線形項は含めないものと
する。 (E)システム全体の閉ループ伝達関数W(z-1)の算出
について まず、前記S/M制御部221とむだ時間補償器222
のフィードバックループを取り出し、目標(目標空燃比
λt)から出力(フィードバック制御量)への1つの伝
達関数を算出する。図5において、S/M制御部221
とむだ時間補償器22とを含む局所ループの伝達関数G
CL(z-1)は、式(15)、(16)より次式(17)の
ように算出できる。
【0054】
【数7】
【0055】従って、プラント及び式(17)に示す局
所ループを含めたシステム全体の閉ループ伝達関数W
(z-1)は、次式(18)のように算出できる。
【0056】
【数8】
【0057】以上の算出結果を示したものが図6のブロ
ック図である。 (F)極配置法による前記S/M制御部221の制御ゲ
インの算出について 前記閉ループ伝達関数W(z-1)の特性多項式は、式(1
8)より、(1−z-1)A(z-1) +z-10K(z-1)であ
り、これを次式(19)のようにおく。
【0058】
【数9】
【0059】このとき、応答性、行き過ぎ量、整定時間
等の点から望ましい極となるようなT(z-1)を設定する
ことで、S/M制御部221の制御ゲインを以下のよう
にして算出する。式(19)より、次式(20)が得ら
れる。
【0060】
【数10】
【0061】ここで、式(13)より、K(z-1)= (KP
+KI・SP+KI・SD+KD)−(KP+KI・SD+2KD)
-1+KD-2であるので、切換関数線形ゲインSP及び
切換関数微分ゲインSDを1に設定し、線形項線形ゲイ
ンKP、適応則ゲインKI、線形項微分ゲインKDを可変
パラメータとすれば、次式(21)によう表すことがで
きるから、
【0062】
【数11】
【0063】となり、次式(22)〜(24)を得る。
【0064】
【数12】
【0065】従って、式(22)〜(24)をKP
I、KDについて解いて、a1、a2、b0を用いて表す
と、各ゲインは次式(25)〜(27)のように算出で
きる。
【0066】
【数13】
【0067】ここで、上述したように、本実施形態で
は、a1、a2、b0として前記プラントモデル同定部2
23で逐次推定したパラメータa1(t)、a2(t)、b0(t)
をそのまま用いるのではなく、推定パラメータa1(t)、
2(t)、b0(t)から、前記空燃比学習値UL、各種補正
値UKに応じて設定されるパラメータ補正値Δa1、Δ
2、Δb0を減算した値を用いて前記制御ゲインを算出
する。
【0068】なお、前記パラメータ補正値Δa1、Δ
2、Δb0は、図7に示すように、あらかじめ設定した
各テーブルを検索することで設定する。従って、各制御
ゲインKP、KI、KDは、次式(28)〜(30)のよ
うにして算出される。
【0069】
【数14】
【0070】なお、前記特性多項式T(z-1)=1+t1
-1+t2-2としては、例えば、減衰ζ=0.7、固有
角周波数ω=30としたときの二次系の連続時間システ
ム、 G(s)=ω2 / (s2+2ζω・s+ω2) をサンプル時間Tiで離散化したときの伝達関数の分母
を用いることが考えられる。
【0071】そして、このように算出した制御ゲインを
用いて、前記S/M制御部221はフィードバック制御
量を算出し、このフィードバック制御量に前記空燃比学
習部227で設定された学習値UL、各種補正補正値設
定部228で設定された補正値UKを加算して最終的な
燃料噴射量Tiを算出する。以上のように、パラメータ
を逐次推定したプラントモデルを用いてシステム全体を
1つの伝達関数で表し、その極が応答性、行き過ぎ量、
整定時間等の点から望ましい極と一致するように、プラ
ントへのフィードバック制御量を算出するS/M制御部
221の制御ゲインを求めるので、プラントの特性変化
に対応した良好な制御ゲインが算出でき、ひいては、精
度のよい空燃比フィードバック制御が実行できる。
【0072】特に、本発明では、制御ゲイン算出部22
5において制御ゲインを算出する際に、前記プラントモ
デル同定部223で推定した推定パラメータ値から空燃
比学習値UL、各種補正値UKに応じた値を減じた補正
後のパラメータ値を用いるようにしたので、推定パラメ
ータに含まれる(反映される)空燃比学習値ULや各種
補正値UKの影響分を排除し、制御入力とシステム出力
とを適切に対応させたプラント状態の下で推定されるべ
きパラメータ(補正後のパラメータ値)を用いて制御ゲ
インを算出できる。
【0073】これにより、適切な制御ゲイン、フィード
バック制御量を算出でき、空燃比フィードバック制御の
精度を高く維持できる。なお、以上はスライディングモ
ード制御によりフィードバック制御量を算出するものに
ついて説明したが、これに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す内燃機関のシステム
図。
【図2】本発明の空燃比制御を示すブロック図。
【図3】本発明で用いるむだ時間補償制御を示すブロッ
ク図。
【図4】本発明で用いるむだ時間算出用のテーブルを示
す図。
【図5】本発明におけるS/M制御部221及びむだ時
間補償器222を伝達関数で表したブロック図。
【図6】本発明におけるセルフチューニングコントロー
ルを用いたスライディングモード制御による空燃比フィ
ードバック制御全体を示すブロック図。
【図7】本発明で用いるパラメータ補正値算出用のテー
ブルを示す図。
【符号の説明】
1 エンジン 2 吸気通路 3 エアフローメータ 4 スロットル弁 5 燃料噴射弁 6 コントロールユニット(C/U) 8 点火プラグ 11 排気通路 13 A/Fセンサ 14 クランク角センサ 15 水温センサ
フロントページの続き Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 DA04 DA25 EA07 EA11 EB00 EB13 EB17 EC04 FA20 FA29 FA38 3G301 JA12 MA01 MA11 NA09 ND05 ND21 ND45 NE23 PD04A PD04Z PE03Z PE08Z 5H004 GA03 GA17 GB12 HA07 HB01 HB07 JB22 KA33 KA74 KA78 MA36

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】実空燃比を空燃比検出手段により検出し、
    空燃比を目標空燃比にフィードバック制御する内燃機関
    の空燃比制御装置であって、 燃料噴射量と検出した実際の空燃比とに基づいて、燃料
    噴射手段から空燃比検出手段の間のプラントを伝達関数
    で表したプラントモデルのパラメータを推定する同定手
    段と、 推定したプラントモデルのパラメータを用いて前記燃料
    噴射手段のフィードバック制御量を算出する制御量算出
    手段と、 前記フィードバック制御量を補正して、前記燃料噴射手
    段の最終的な制御量を算出するためのオフセット補正量
    を設定する補正量設定手段と、 を含んで構成し、 前記制御量算出手段は、前記同定手段の推定したプラン
    トモデルのパラメータを前記オフセット補正量に応じて
    減少補正した補正後のパラメータに基づいて、前記フィ
    ードバック制御量を算出することを特徴とする内燃機関
    の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】前記オフセット補正量は、前記フィードバ
    ック制御量の基準値からの偏差を学習して得られる学習
    値であることを特徴とする請求項1記載の内燃機関の空
    燃比制御装置。
  3. 【請求項3】前記オフセット補正量は、目標空燃比相当
    の基本燃料噴射量を機関運転条件に応じて補正するため
    の各種補正値であることを特徴とする請求項1記載の内
    燃機関の空燃比制御装置。
  4. 【請求項4】前記基本制御量算出手段は、前記補正後の
    パラメータに基づいて制御ゲインを算出し、該制御ゲイ
    ンを用いてスライディングモード制御により前記燃料噴
    射手段のフィードバック制御量を算出することを特徴と
    する請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の内燃
    機関の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】前記フィードバック制御量算出手段は、前
    記プラントモデルを用いてプラントに含まれるむだ時間
    の影響を排除するむだ時間補償手段を備えることを特徴
    とする請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の内
    燃機関の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】前記同定手段は、逐次最小二乗法を用いて
    前記プラントモデルのパラメータを推定することを特徴
    とする請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の内
    燃機関の空燃比制御装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010229968A (ja) * 2009-03-30 2010-10-14 Daihatsu Motor Co Ltd 制御装置
JP2013102206A (ja) * 2006-02-17 2013-05-23 Cymer Inc Duv光源の能動スペクトル制御

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