JP2003172181A - 内燃機関の空燃比制御装置 - Google Patents

内燃機関の空燃比制御装置

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JP2003172181A
JP2003172181A JP2001371841A JP2001371841A JP2003172181A JP 2003172181 A JP2003172181 A JP 2003172181A JP 2001371841 A JP2001371841 A JP 2001371841A JP 2001371841 A JP2001371841 A JP 2001371841A JP 2003172181 A JP2003172181 A JP 2003172181A
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JP
Japan
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fuel ratio
air
value
feedback control
control amount
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JP2001371841A
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Hidekazu Yoshizawa
秀和 吉澤
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Hitachi Unisia Automotive Ltd
Original Assignee
Hitachi Unisia Automotive Ltd
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  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)
  • Feedback Control In General (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】スライディングモード制御による空燃比フィー
ドバック制御において、目標空燃比を通過した後の実質
的な収束動作に入るまでの時間的なむだをなくす。 【解決手段】フィードバック補正係数αがその制限域の
上限若しくは下限値に保持される保持期間において、そ
の積分項KI ・Σσ(σはスライディングモード制御の
切換関数)の値の変化に制限をかける。例えば、保持期
間において、積分項の値の更新を禁止したり、あるいは
切換関数σ(=SP ・err+SD ・Δerr;err
は制御偏差)の係数SP ,SD を0に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の空燃比
制御装置に関し、詳細には、スライディングモード制御
により空燃比を運転状態に応じた最適空燃比にフィード
バック制御する技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の空燃比制御に関して、ロボッ
ト技術の分野で多用されているスライディングモード制
御を用いたフィードバック制御の開発が進められている
(特開2001−115881号公報参照)。スライデ
ィングモード制御による空燃比フィードバック制御で
は、排気通路において実際に検出された空燃比に基づい
て、空燃比を運転状態に応じた目標空燃比に収束させる
ためのフィードバック制御量が、線形項、積分項(適応
則)及び非線形項の和として算出される。そして、フィ
ードバック制御量については、これが過剰に大きな(若
しくは、小さな)値とならないように制限をかけるのが
一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ここで、フィードバッ
ク制御量が制限を受けて許容限界値に保持されている間
もなお、積分項の値が実際の空燃比に基づいて更新され
続けたとする。そうすると、その間(以下「保持期間」
という。)においても積分項の値が漸次増大(若しく
は、減少)することとなるため、目標空燃比に到達する
ときには、その値が過剰に大きく(若しくは、小さく)
なっていることが考えられる。そして、そのような場合
には、フィードバック制御量を制限状態から上下両限界
値間に復帰させ、速やかに収束動作に入りたいにも拘わ
らず、積分項がこのようにして過剰に大きな(若しく
は、小さな)値となっているために、収束が遅れてしま
うという問題がある。
【0004】 例えば、保持期間においてフィードバック
制御量が許容上限値に保持される場合を考える。このよ
うな場合に積分項の値が更新継続のために過大となる
と、目標空燃比の通過後暫くの間は、(本来であれば、
通過時点から速やかにフィードバック制御量を減少させ
たいにも拘わらず)他の線形項及び非線形項との和とし
てのフィードバック制御量が許容上限値を上回り、フィ
ードバック制御量としてこの上限値が出力されることが
想定される。
【0005】従って、本発明は、空燃比フィードバック
制御(特に、スライディングモード制御によるフィード
バック制御)において、フィードバック制御量の制限と
ともに積分項についても制限を加え、もって目標空燃比
への収束を速やかに行わせることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1に記
載の発明では、空燃比を運転状態に応じた最適空燃比に
フィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置にお
いて、(A)実際の空燃比を検出する空燃比検出手段、
(B)検出された実際の空燃比に基づいて、空燃比を上
記最適空燃比に収束させるための燃料噴射量のフィード
バック制御量を、積分項を含んで算出するフィードバッ
ク制御量算出手段、及び(C)算出されたフィードバッ
ク制御量を所定制限域内に制限する制限手段を設け、こ
の制限手段により、この制限域外のフィードバック制御
量が算出された場合に、フィードバック制御量を制限域
の上限若しくは下限値に保持するとともに、積分項の値
の変化を制限して、その値と、積分項の初期値との差の
大きさ(絶対値)の増大を抑制することとした。
【0007】請求項2に記載の発明では、積分項の値の
変化を制限する際に積分項の値の更新を禁止することと
した。請求項3に記載の発明では、フィードバック制御
量算出手段においてスライディングモード制御によりフ
ィードバック制御量を算出することとした。請求項4に
記載の発明では、制限手段において切換関数の算出値を
制限することにより積分項の値の変化を制限することと
した。
【0008】請求項5に記載の発明では、制限手段にお
いて、切換関数σが目標空燃比と検出された実際の空燃
比との差errに基づいてσ=SP ・err+SD ・Δ
errと表される場合に、係数SP 及びSD をともに0
に設定することにより積分項の値の変化を制限すること
とした。請求項6に記載の発明では、制御対象のモデル
が関数として設定され、検出された実際の空燃比を含む
所定の入力情報に基づいてこのモデルに含まれるパラメ
ータの値を算出する同定手段と、算出されたパラメータ
の値に基づいて、フィードバック制御量を算出するため
の制御ゲインを調整する制御ゲイン調整手段とを更に設
け、調整された制御ゲインを用いてフィードバック制御
量を算出することとした。
【0009】請求項7に記載の発明では、同定手段によ
りパラメータが算出された制御対象のモデルを用いて検
出された実際の空燃比に含まれる位相遅れを補償する位
相遅れ補償手段を更に設け、位相遅れが補償された空燃
比に基づいてフィードバック制御量を算出することとし
た。
【0010】
【発明の効果】請求項1に係る発明によれば、フィード
バック制御量が制限域の上限若しくは下限値に保持され
る保持期間において、積分項に対してその値と初期値と
の差の大きさの増大を抑制する制限がかけられるので、
目標空燃比を通過した後に速やかに収束動作に入ること
ができる。例えば、フィードバック制御量が許容上限値
に保持される場合を考えると、かかる保持期間において
積分項の値が過大となることを防止し、目標空燃比の通
過に伴って、線形項等他の要素との和であるフィードバ
ック制御量を制限状態から上下両限界値間に速やかに復
帰させることが可能である。
【0011】請求項2に係る発明によれば、保持期間に
おいて積分項の値の更新を禁止することにより、その間
における積分項の変化をなくし、請求項1の効果を確実
に得ることができる。請求項3に係る発明によれば、ス
ライディングモード制御によりロバスト性を向上でき
る。
【0012】請求項4に係る発明によれば、切換関数の
算出値の制限によって積分項に対する制限を簡単にかけ
ることができる。請求項5に係る発明によれば、スライ
ディングモード制御の切換関数σ(=S P ・err+S
D ・Δerr)の係数SP 及びSD をともに0に設定す
ることにより、積分項の値の更新を簡単に禁止できる。
【0013】請求項6に係る発明によれば、同定により
制御ゲインを逐次調整しながらフィードバック制御量を
算出できるので、フィードバックによる応答性能を所望
に得ることが可能である。請求項7に係る発明によれ
ば、位相遅れが補償された空燃比に基づいてフィードバ
ック制御量を算出することにより、制御システムの安定
性を向上できるとともに、高い応答性能を実現できる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して、本発明
の実施の形態について説明する。図1は、本発明の一実
施形態に係る内燃機関(以下「エンジン」という。)1
の断面構造と、エンジン1の制御装置との関係を示した
ものである。各気筒の燃焼室2に通じる吸気通路3にお
いて、導入部にエアクリーナ4が取り付けられており、
その下流にエアフローメータ5が設置されている。エア
フローメータ5からは、単位時間当たりの空気流量(以
下「吸入空気量」という。)に相当する検出信号が出力
される。さらにその下流には、アクセルペダル21と連
動するスロットル装置6が設置されており、スロットル
弁により吸気通路3の開口面積が調節される。吸気通路
3に導入された吸入空気は、エアクリーナ4、エアフロ
ーメータ5及びスロットル装置6を通過し、マニホール
ド部において各気筒に分配される。マニホールド部に
は、電子制御式燃料噴射弁(以下「インジェクタ」とい
う。)7が気筒毎に設置されている。
【0015】一方、排気通路8には、排気ガスの酸素濃
度に応じて空燃比をリニアに検出する広域型空燃比セン
サ(以下「空燃比センサ」という。)9が設置されると
ともに、その下流に、排気ガスに含まれるCO及びHC
の酸化と、NOxの還元とを行う三元触媒を担持させた
排気浄化装置10が設置されている。エンジン1には、
エアフローメータ5及び空燃比センサ9の他に、クラン
ク角センサ(この検出信号に基づいてエンジン回転数が
算出される。)11や、冷却水温度センサ12等が設置
されている。これらの検出信号は、いずれも電子制御ユ
ニット(以下「ECU」と略す。)31に入力される。
ECU31は、各種入力情報に基づいてインジェクタ7
を制御し、空燃比を運転状態に応じた最適空燃比に制御
する。
【0016】なお、符号13は点火プラグであり、燃焼
室2の上部略中央に臨ませてシリンダヘッドに設置され
ている。次に、ECU31により実行される空燃比フィ
ードバック制御について説明する。図2は、空燃比のフ
ィードバック制御系のうちECU31に係る部分の構成
を概念的に示すブロック図であり、大別すると101〜
107のブロックに分かれる。
【0017】101は、むだ時間算出部であり、吸入空
気量Qa(若しくは、これに相関するパラメータ)に対
応させたむだ時間kのテーブルが設定されている。ここ
で、むだ時間kとは、制御対象(インジェクタ7から空
燃比センサ9までの間とする。)における燃料輸送遅れ
等に起因する位相遅れのことである。本ブロック101
は、後述する同定処理(102)において正確なパラメ
ータθを算出するには、むだ時間kを排除する必要があ
るために設けられる。
【0018】102は、パラメータ同定部であり、むだ
時間k及び空燃比A/Fその他の必要な入力情報(例え
ば、燃料噴射量)に基づいて、制御対象を伝達関数で表
したプラントモデルに含まれるパラメータθを算出す
る。ここでは、パラメータθの算出に逐次最小二乗法を
用いている。本ブロック102は、燃料噴射量のフィー
ドバック補正係数αを決定するための制御ゲインKを適
応制御により算出するには、このパラメータθが必要と
なるために設けられる。
【0019】103は、制御ゲイン調整部であり、パラ
メータθに基づいて制御ゲインKを算出する。本ブロッ
ク103は、制御対象において所望の応答を得るには、
制御対象の個体差及び現状の特性に見合った制御ゲイン
Kを維持する必要があるために設けられる。104は、
位相遅れ補償部であり、ここではスミスむだ時間補償器
を構成している。パラメータθが同定されたプラントモ
デルにより、見かけ上むだ時間kのない空燃比A/Fを
算出する。本ブロック104は、高い応答性能を得るべ
く制御ゲインKを大きく設定するには、制御対象の出力
からむだ時間kを取り除く必要があるために設けられ
る。
【0020】105は、フィードバック制御量算出部で
あり、むだ時間kが除去された空燃比A/Fに基づい
て、運転状態に応じた目標空燃比tA/Fに収束させる
ためのフィードバック補正係数αを、制御ゲインKによ
り算出する。ここで、αの算出にスライディングモード
制御を用いている。106は、リミッタ処理部であり、
算出されたフィードバック補正係数αを所定制限域内に
制限し、仮にこの制限域を外れるαが算出された場合に
は、これを強制的にその上限若しくは下限値に設定す
る。これは、過剰に大きな、あるいは小さなフィードバ
ック補正係数αが設定されることにより、燃料噴射量が
多くなり過ぎて触媒等に悪影響を及ぼしたり、燃焼状態
が不安定となることを防止するためである。また、本ブ
ロックでは、フィードバック補正係数αに対して上記の
ように制限がかけられている保持期間に、その積分項の
値の変化を後述するように制限する。
【0021】107は、燃料噴射量設定部であり、次の
ようにして最終的な燃料噴射パルス幅Ti(=操作量
u)を算出する。まず、吸入空気量Qa及びエンジン回
転数Neに基づいて、式(1)により目標空燃比tA/
Fに対応する基本パルス幅Tpを算出する。なお、Cを
係数とする。そして、算出されたTpを学習補正係数L
AMDや水温補正係数η1 等の各種始動後補正係数η
(η=η1 +η2 +・・・)及び、フィードバック制御
を行う場合には、リミッタ処理部106を介したフィー
ドバック補正係数αにより補正し、式(2)により燃料
噴射パルス幅Tiを算出する。なお、Tsをバッテリ電
圧補正量とする。
【0022】 Tp=C×Qa/Ne ・・・(1) Ti=Tp×LAMD×(1+η)×α+Ts ・・・(2) なお、学習補正係数LAMDは、エンジン制御性能に相
関するパラメータによる基本空燃比(基本パルス幅Tp
により得られる空燃比)の初期設定からのズレを補償す
るために運転領域毎に記憶されているものである。この
パラメータには、インジェクタ7等の燃料噴射系部品の
製造バラツキ及び経年劣化、燃料性状、気象条件等が含
まれる。
【0023】次に、以上に述べた制御システムの構成
を、図3〜5に示すブロック図を参照して詳細に説明す
る。図3は、システム全体の構成を示しており、図4及
び5は、そのうちのフィードバック制御量算出部105
及びリミッタ処理部106の構成を示している。まず、
図3を参照すると、本システムにおいて、フィードバッ
ク補正係数αは、線形項(KP ・err+KD ・Δer
r)、積分項(KI ・Σσ)及び非線形項(KN ・(σ
/|σ|)の和として算出される。なお、errは制御
偏差であり、σはスライディングモード制御の切換関数
である。この切換関数σは、係数をSP ,SD として、
P ・err+SD ・Δerrと表される。
【0024】 これらの各項の制御ゲインKP ,KI ,K
D (但し、KN は固定値とする。)は、パラメータ同定
部102による同定結果に基づいて逐次調整された値が
設定される。スライディングモードコントローラは、目
標値ωとして目標空燃比tA/Fを、また出力値yとし
て空燃比センサ9により検出された空燃比A/Fを入力
し(但し、A/Fは、スミスむだ時間補償器を介するこ
とにより、そのむだ時間が除去されている。)を入力
し、調整された制御ゲインにより各項の値を算出する。
そして、算出された値が加算され、これに基づいて操作
量(燃料噴射量)uが算出される。
【0025】 ここで、フィードバック補正係数αの出力
に際して、リミッタ処理部106において制限がかけら
れる。線形項等各項を加算した結果としてフィードバッ
ク補正係数αが制限域を外れることとなった場合には、
αとして、その上限若しくは下限値が出力される。
に、図4及び5を参照して、保持期間における積分項
(KI ・Σσ)に対する制限について説明する。
【0026】 図4は、この制限を行うための構成の一例
を示しており、ここでは、保持期間において積分項の値
の更新が禁止される。すなわち、フィードバック補正係
数αが制限域の上限若しくは下限値に設定されたとき
に、積分項演算部に対して設けられたスイッチ部S1が
切換動作を行い、その次の制御周期における積分を禁止
する。あるいは、積分項の値をその都度記憶しておき、
フィードバック補正係数αに制限がかかったときには積
分項の値を更新前の値に戻すことにより、更新が実質的
に禁止されるようにしてもよい。いずれの場合にしろ、
フィードバック補正係数αが上下両限界値間に復帰した
ときには、積分項の値の更新が再開されるようにする。
【0027】 図5は、積分項に対する制限の他の例を示
している。フィードバック補正係数αが制限域の上限若
しくは下限値に設定されると、そのタイミングでスイッ
チ部S2に切換動作が発生し、切換関数σの係数SP
D の値をともに0に設定する。従って、次の制御周期
にはσの算出値が0となるため、積分項の値が最新の値
に保持されることになる。ここでもフィードバック補正
係数αが上下両限界値間に復帰したときにスイッチ部S
2が再度切り換わり、積分項の値の更新が再開されるこ
とは言うまでもない。
【0028】 このようにしてフィードバック補正係数α
に制限をかけるとともに、積分項に対しても制限をかけ
ることにより、目標空燃比tA/Fへの収束を早めるこ
とが可能となる。 例えば、図6に示すように、フィード
バック補正係数αが制限域の許容上限値αmaxに保持
される場合を考える。この場合に積分項の値が保持期間
(t1〜t2)においても更新され続けると、その値は
漸次増大していき、目標空燃比tA/Fに到達するころ
(時刻t2)には過剰に大きな値となっていることがあ
る(二点鎖線D参照)。このようにして積分項の値が過
大となると、tA/Fの通過に伴う収束動作に入ろうと
しても、暫くの間(t2〜t3)は線形項等他の要素と
の和であるフィードバック補正係数αの値が制限域を外
れ、許容上限値αmaxが出力されることになる(二点
鎖線B参照)。
【0029】これに対して、保持期間において以上に述
べたように積分項の値の更新を(実質的な場合を含め)
禁止することとすれば、目標空燃比tA/Fに到達した
時点(時刻t2)における積分項の値を適度な大きさに
抑えることができる(実線C参照)。従って、tA/F
を通過した時点からフィードバック補正係数αを制限域
の上下両限界値間に復帰させ、これを減少させることに
よる収束動作に移ることが可能となる(実線A参照)。
【0030】なお、ここでは、上記の効果を得るために
積分項の値の更新を禁止し、保持期間においてその値を
一定とする方法をとった。しかしながら、本発明の効果
である目標空燃比通過後の早期収束の達成のためには、
必ずしもそのようにする必要はない。フィードバック補
正係数αの制限状態を解除したいときにこれが上下両限
界値間に復帰することができるのであれば、保持期間に
おいて積分を継続させることも許容される。
【0031】最後に、図3を参照して、本システムの設
計理論について説明する。ここでは、極配置法を用い、
システム全体を閉ループ伝達関数で表し、その極が予め
決められた極と一致するように制御ゲインKを設定す
る。 (1)対象とするシステム インジェクタ7と空燃比センサ9との間を対象とし、そ
のプラントモデルを次のように2次のARXモデルとし
て表す。なお、εは外乱であり、kはむだ時間(k≧
1)である。
【0032】 A(z-1)y(t)=z-k0 u(t)+ε(t) ・・・(3.1) A(z-1)=1+a1 -1+a2 -2 ・・・(3.2) (2)逐次最小二乗法によるパラメータ算出 推定パラメータベクトルθ(t):=[a1 (t),a
2 (t),b0 (t)]T ・・・(3.3)及び; データベクトルψ(t−k):=[−y(t−1),−
y(t−2),u(t−k)]T ・・・(3.4)と
して、次の3式により構成される逐次最小二乗法を用い
る。
【0033】
【数1】 なお、忘却要素がない場合はλ1 =1及びλ2 =1と
し、忘却要素がある場合はλ1 =λ及びλ2 =1(λ=
0.98)とする。また、初期値は、Iを単位行列とし
てΓ(0)=γ・Iと設定し、γ=1000及びθ
(0)=Οとする。Οはゼロ行列である。
【0034】 (3)離散時間SMCの伝達関数化(非線
形項は、伝達関数K(z-1)に含めないものとして扱
う。) 目標値をω(t)=tA/Fとし、出力値をy(t)=
A/Fとして; e(t)=ω(t)−y(t) ・・・(3.8) とすると、1サンプルにおける操作量u(t)の差分Δ
u(t)は、次式で与えられる。
【0035】
【数2】 但し、KP を線形項線形ゲイン、KD を線形項微分ゲイ
ン、SP を切換関数線形ゲイン、SD を切換関数微分ゲ
イン、KI を積分項ゲイン、KN を非線形ゲインとす
る。
【0036】σ(t)は、切換関数であり; σ(t)=SP e(t)+SD Δe(t) ・・・(3.10) を満たす。そして、式(3.9)より式(3.11)が与
えられ、式(3.11)より、u(t)が式(3.12)で
表される。
【0037】
【数3】 但し、式(3.12)において、K(z-1)は、式(3.
9)を次のように展開して算出する。
【0038】
【数4】 (4)スミスむだ時間補償器は、むだ時間を含まない出
力予測と、実際の出力予測との差として、次式で与えら
れる。
【0039】
【数5】 (5)閉ループ伝達関数の算出(非線形項は、閉ループ
伝達関数に含めないものとして扱う。) スライディングモードコントローラとスミスむだ時間補
償器とを含む局所ループ伝達関数は、式(3.15)で与
えられ、制御対象とこの局所ループとを含む閉ループ伝
達関数W(z-1)は、式(3.16)で与えられる。
【0040】
【数6】 (6)極配置法によるゲイン算出 閉ループ伝達関数W(z-1)の特性多項式(伝達関数W
(z-1)の分母)は、式(3.16)より(1−z-1)A
(z-1)+z-10 K(z-1)であり、これを次式とお
く。
【0041】 T(z-1):=1+t1 -1+t2 -2=(1−z-1)A(z-1)+z-1 0 K(z-1 ・・・(3.17) このとき、応答性能、行過ぎ量及び整定時間等から望ま
しい極となるようなT(z-1)を設定することにより、
各制御ゲインKP ,KI ,KD は、次のように算出され
る。まず、式(3.17)より次式が与えられる。
【0042】
【数7】 さらに、式(3.13)より、K(z-1)=(KP +KI
・SP +KI ・SD +KD )−(KP +KI ・SD +2
D )z-1+KD -2であることから、切換関数線形ゲ
インSP を1と、また切換関数微分ゲインSD を1と設
定し、線形項線形ゲインKP 、積分項ゲインKI 及び線
形項微分ゲインKD を可変パラメータとすると、次式が
与えられる。
【0043】
【数8】 ここで、式(3.20)をKP ,KI ,KD について解
き、a1 ,a2 ,b0 をそれぞれ推定パラメータa
1 (t),a2 (t),b0 (t)で表すと、各制御ゲ
インは、次のように決定される。
【0044】
【数9】 なお、特性多項式T(z-1):=1+t1 -1+t2
-2は、次のように設定した。T(z-1)は、減衰率ζ=
0.7及び固有角周波数ω=30としたときの2次系の
連続時間システムG(s); G(s)=ω2 /(s2 +2ζω・s+ω2 ・・・(3.22) をサンプル時間で離散化したときの伝達関数の分母の式
を用いた。
【0045】そして、式(3.21)により決定された制
御ゲインKP ,KI ,KD を用いて次式によりフィード
バック補正係数αを算出する。 α=KI Σσ+KP ・err+KD Δerr+KN (σ/|σ|) ・・・ (4) 以降において、フィードバック補正係数α及び、場合に
応じて、積分項KI ・Σσに対して制限がかけられるの
は、既に述べた通りである。そして、このようにして算
出されたフィードバック補正係数αを用いて、上式
(1)及び(2)により燃料噴射量を設定する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るエンジンの構成図
【図2】同上実施形態に係る空燃比制御システムのフィ
ードバック系の構成を示す概念図
【図3】同上フィードバック系の構成を詳細に示すブロ
ック図
【図4】同上フィードバック系の一部(フィードバック
制御量算出部及びリミッタ処理部)の構成の一例を示す
ブロック図
【図5】フィードバック制御量算出部及びリミッタ処理
部の構成の他の例を示すブロック図
【図6】本発明による効果の説明図
【符号の説明】
1…エンジン 2…燃焼室 3…吸気通路 4…エアクリーナ 5…エアフローメータ 6…スロットル装置 7…インジェクタ 8…排気通路 9…空燃比センサ 10…排気浄化装置 11…クランク角センサ 12…水温センサ 13…点火プラグ 31…電子制御ユニット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G05B 13/00 G05B 13/00 A 13/02 13/02 D 13/04 13/04 Fターム(参考) 3G084 BA09 BA13 DA05 DA06 EB11 EB13 EB14 EB16 EC04 FA07 FA20 FA29 FA38 3G301 JA11 JA18 LB01 MA01 NA03 NA04 NA08 NA09 NC01 ND01 ND05 ND15 PA01Z PD04A PD04Z PE03Z PE08Z 5H004 GA02 GB12 HA13 HB04 KA32 KA41 KA54 KA65 KA69 KA74 KB02 KB04 KB06 KB38 KC24 KC28 KC33 KC45 KC49 KC53 LA03 LA05 LA12

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】空燃比を運転状態に応じた最適空燃比にフ
    ィードバック制御する内燃機関の空燃比制御装置であっ
    て、 実際の空燃比を検出する空燃比検出手段と、 検出された実際の空燃比に基づいて、空燃比を前記最適
    空燃比に収束させるための燃料噴射量のフィードバック
    制御量を、積分項を含んで算出するフィードバック制御
    量算出手段と、 算出されたフィードバック制御量を所定制限域内に制限
    する制限手段と、を含んで構成され、 前記制限手段は、前記制限域外のフィードバック制御量
    が算出された場合に、フィードバック制御量を前記制限
    域の上限若しくは下限値に保持するとともに、前記積分
    項の値の変化を制限して、その値と、前記積分項の初期
    値との差の大きさの増大を抑制することを特徴とする内
    燃機関の空燃比制御装置。
  2. 【請求項2】前記制限手段は、前記積分項の値の変化を
    制限する際に、その値の更新を禁止する請求項1に記載
    の内燃機関の空燃比制御装置。
  3. 【請求項3】前記フィードバック制御量算出手段は、ス
    ライディングモード制御によりフィードバック制御量を
    算出する請求項1又は2に記載の内燃機関の空燃比制御
    装置。
  4. 【請求項4】前記制限手段は、切換関数の算出値を制限
    することにより前記積分項の値の変化を制限する請求項
    3に記載の内燃機関の空燃比制御装置。
  5. 【請求項5】前記制限手段は、切換関数σが目標空燃比
    と前記検出された実際の空燃比との差errに基づいて
    σ=SP ・err+SD ・Δerrと表される場合に、
    係数SP 及びSD をともに0に設定することにより前記
    積分項の値の変化を制限する請求項4に記載の内燃機関
    の空燃比制御装置。
  6. 【請求項6】制御対象のモデルが関数として設定され、
    前記検出された実際の空燃比を含む所定の入力情報に基
    づいてこのモデルに含まれるパラメータの値を算出する
    同定手段と、 算出されたパラメータの値に基づいて、前記フィードバ
    ック制御量を算出するための制御ゲインを調整する制御
    ゲイン調整手段と、を更に含んで構成され、 前記フィードバック制御量算出手段は、調整された制御
    ゲインを用いてフィードバック制御量を算出する請求項
    1〜5のいずれか1つに記載の内燃機関の空燃比制御装
    置。
  7. 【請求項7】前記同定手段によりパラメータが算出され
    た制御対象のモデルを用いて前記検出された実際の空燃
    比に含まれる位相遅れを補償する位相遅れ補償手段を更
    に含んで構成され、 前記フィードバック制御量算出手段は、前記位相遅れ補
    償手段により補償された空燃比に基づいてフィードバッ
    ク制御量を算出する請求項6に記載の内燃機関の空燃比
    制御装置。
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