JP2007126997A - 筒内熱発生のシミュレーション方法およびシミュレーション装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】この発明は、筒内熱発生のシミュレーション方法およびシミュレーション装置に関し、気筒内の熱発生のシミュレーションを、少ない計算負荷で、かつ精度良く行うことを目的とする。
【解決手段】 クランク角度θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを、Wiebe関数モデルに基づいて算出する。その際、Wiebe関数モデルにおける熱発生開始点と、点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbを求める。そして、熱発生開始点が点火時期から熱発生開始点ズレ量θbだけずれるようにして、熱発生率dQ/dθをWiebe関数モデルに基づいて算出する。
【選択図】図3
【解決手段】 クランク角度θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを、Wiebe関数モデルに基づいて算出する。その際、Wiebe関数モデルにおける熱発生開始点と、点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbを求める。そして、熱発生開始点が点火時期から熱発生開始点ズレ量θbだけずれるようにして、熱発生率dQ/dθをWiebe関数モデルに基づいて算出する。
【選択図】図3
Description
本発明は、火花点火内燃機関の気筒内での熱発生のシミュレーションを行う方法および装置に関する。
従来より、例えば特開2003−278591号公報に開示されるように、ドライバのアクセル操作等に基づく要求トルクに応じ、内燃機関の発生トルクをその要求トルク通りに制御しようとする、いわゆるトルクデマンド制御の試みがなされている。この公報には、MBT(Minimum spark advance for Best Torque)からの点火遅角に伴うトルクの低下を表すトルク効率という指標を、着火遅れ期間および主燃焼期間に基づいて補正するトルク制御装置が開示されている。
上述した公報に記載された技術の基本思想は、点火時期等の運転条件とトルクとの関係をより正確に把握することによって、種々の運転条件下でのトルクを推定しようとするものであり、この点で従前の思想と軌を一にするものである。このような思想の下では、運転条件とトルクとの関係を表すマップを作成するためには、様々な運転条件の下での多数のトルク実測作業を行わなければならず、内燃機関の開発に長期間を要する。
ところで、トルクは、筒内圧(燃焼圧)によって生み出される。よって、任意の運転条件の下での筒内圧を予測することできれば、トルクを実測することなしにその運転条件下でのトルクを知得することができ、開発期間の短縮が図れると期待できる。このため、近年では、筒内圧を予測する研究が活発に行われている。筒内圧は、燃焼熱により生み出される。このため、筒内圧を予測するには、筒内での熱の発生を計算機上でシミュレートする必要がある。
従来、筒内熱発生のシミュレーションを行うには、ガスの燃焼反応やシリンダ内壁への熱伝播などの極めて複雑な計算を必要としている。このため、筒内の熱発生のシミュレーションを行うことは必ずしも容易ではなかった。
そこで、少ない計算負荷で筒内の熱発生のシミュレーションを行う方法として、熱発生パターンの近似関数として知られるWiebe関数を利用することが考えられる。Wiebe関数を利用するには、Wiebe関数に含まれるいくつかのパラメータの値を内燃機関の運転条件に応じて適合させる必要がある。しかしながら、内燃機関の運転条件は、点火時期、機関回転数、空気量(負荷率)などの組み合わせにより、極めて多様である。そのような多様な運転条件の各々について、Wiebe関数を実機の熱発生データに精度良く適合させる手法は確立されていないのが現状である。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、気筒内の熱発生のシミュレーションを、少ない計算負荷で、かつ精度良く行うことができる筒内熱発生のシミュレーション方法およびシミュレーション装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、火花点火内燃機関の気筒内における熱発生のシミュレーションを行う方法であって、
クランク角度θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを算出するためのWiebe関数モデルにおける熱発生開始点と、点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbを求めるステップと、
前記熱発生開始点が点火時期から前記熱発生開始点ズレ量θbだけずれるようにして、熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づいて算出するステップと、
を備えることを特徴とする。
クランク角度θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを算出するためのWiebe関数モデルにおける熱発生開始点と、点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbを求めるステップと、
前記熱発生開始点が点火時期から前記熱発生開始点ズレ量θbだけずれるようにして、熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づいて算出するステップと、
を備えることを特徴とする。
また、第2の発明は、第1の発明において、
筒内圧を実測するステップと、
実測された筒内圧に基づいて熱発生率dQ/dθの実機データを求めるステップと、
熱発生率dQ/dθの実機データの立ち上がり点と点火時期とのズレを、前記熱発生開始点ズレ量θbとして求めるステップと、
を備えることを特徴とする。
筒内圧を実測するステップと、
実測された筒内圧に基づいて熱発生率dQ/dθの実機データを求めるステップと、
熱発生率dQ/dθの実機データの立ち上がり点と点火時期とのズレを、前記熱発生開始点ズレ量θbとして求めるステップと、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1の発明において、
筒内圧を実測するステップと、
実測された筒内圧に基づいて熱発生率dQ/dθの実機データを求めるステップと、
熱発生率dQ/dθの実機データと前記Wiebe関数モデルに基づいて算出される熱発生率dQ/dθとの誤差が最小となるように、前記熱発生開始点ズレ量θbを前記Wiebe関数モデルの他のパラメータと共に最適化することによって前記熱発生開始点ズレ量θbを求めるステップと、
を備えることを特徴とする。
筒内圧を実測するステップと、
実測された筒内圧に基づいて熱発生率dQ/dθの実機データを求めるステップと、
熱発生率dQ/dθの実機データと前記Wiebe関数モデルに基づいて算出される熱発生率dQ/dθとの誤差が最小となるように、前記熱発生開始点ズレ量θbを前記Wiebe関数モデルの他のパラメータと共に最適化することによって前記熱発生開始点ズレ量θbを求めるステップと、
を備えることを特徴とする。
また、第4の発明は、第2または第3の発明において、
複数点の運転条件の下で求めた熱発生率dQ/dθの実機データに基づいて、前記熱発生開始点ズレ量θbと運転条件との関係を把握するステップと、
前記複数点の運転条件以外の未計測運転条件の下での熱発生開始点ズレ量θbを前記関係に従って取得するステップと、
前記関係に従って取得された熱発生開始点ズレ量θbを用いて、前記未計測運転条件の下での熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づき算出するステップと、
を備えることを特徴とする。
複数点の運転条件の下で求めた熱発生率dQ/dθの実機データに基づいて、前記熱発生開始点ズレ量θbと運転条件との関係を把握するステップと、
前記複数点の運転条件以外の未計測運転条件の下での熱発生開始点ズレ量θbを前記関係に従って取得するステップと、
前記関係に従って取得された熱発生開始点ズレ量θbを用いて、前記未計測運転条件の下での熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づき算出するステップと、
を備えることを特徴とする。
また、第5の発明は、火花点火内燃機関の気筒内における熱発生のシミュレーションを行う装置であって、
クランク角θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを算出するためのWiebe関数モデルを記憶したモデル記憶手段と、
前記Wiebe関数モデルにおける熱発生開始点と点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbと、所定の運転条件との関係を記憶した関係記憶手段と、
前記関係に従って取得された熱発生開始点ズレ量θbだけ前記熱発生開始点が点火時期からずれるようにして、熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づいて算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする。
クランク角θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを算出するためのWiebe関数モデルを記憶したモデル記憶手段と、
前記Wiebe関数モデルにおける熱発生開始点と点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbと、所定の運転条件との関係を記憶した関係記憶手段と、
前記関係に従って取得された熱発生開始点ズレ量θbだけ前記熱発生開始点が点火時期からずれるようにして、熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づいて算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第6の発明は、第5の発明において、
前記所定の運転条件は、点火時期および機関回転数であることを特徴とする。
前記所定の運転条件は、点火時期および機関回転数であることを特徴とする。
第1の発明によれば、クランク角度θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθをWiebe関数モデルに基づいて算出するに際し、Wiebe関数モデルの熱発生開始点を点火時期から熱発生開始点ズレ量θbだけずらして熱発生率dQ/dθの算出を行うことができる。一般に、Wiebe関数モデルの熱発生開始点は、点火時期と必ずしも等価ではない。第1の発明によれば、このことをWiebe関数モデルによる算出結果に反映させることができる。このため、Wiebe関数モデルによる筒内熱発生のシミュレーション結果を実機データに対して精度良く適合させることができる。また、Wiebe関数は計算が簡単に行えるので、第1の発明によれば、少ない計算負荷でシミュレーションを行うことができる。
第2の発明によれば、熱発生率dQ/dθの実機データの立ち上がり点と点火時期とのズレを熱発生開始点ズレ量θbとして求めることができる。このため、第2の発明によれば、熱発生開始点ズレ量θbを実機データに基づいて容易かつ高精度に求めることができる。
第3の発明によれば、熱発生率dQ/dθの実機データとWiebe関数モデルに基づいて算出される熱発生率dQ/dθとの誤差が最小となるように、熱発生開始点ズレ量θbをWiebe関数モデルの他のパラメータと共に最適化することによって熱発生開始点ズレ量θbを求めることができる。このため、第3の発明によれば、熱発生開始点ズレ量θbを実機データに基づいて容易かつ高精度に求めることができる。
第4の発明によれば、複数点の運転条件の下で求めた熱発生率dQ/dθの実機データに基づいて、熱発生開始点ズレ量θbと運転条件との関係を把握することができる。そして、その関係に従って、未計測運転条件の下での熱発生開始点ズレ量θbを取得し、その熱発生開始点ズレ量θbを用いて、未計測運転条件の下での熱発生率dQ/dθをWiebe関数モデルに基づき算出することができる。よって、第4の発明によれば、実測点以外の運転条件下での筒内の熱発生状態をシミュレーションによって求めることができる。そのシミュレーション結果を利用すれば、未計測運転条件下での筒内圧やトルクを精度良く予測することができる。
第5の発明によれば、点火時期とWiebe関数モデルの熱発生開始点とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbと、所定の運転条件との関係に基づいて、熱発生開始点ズレ量θbを取得することができる。そして、筒内の熱発生率dQ/dθをWiebe関数モデルに基づいて算出するに際し、取得された熱発生開始点ズレ量θbだけ熱発生開始点を点火時期からずらして熱発生率dQ/dθを算出することができる。このため、筒内の熱発生を、少ない計算負荷で高精度にシミュレーションすることができる。そのシミュレーション結果によれば、内燃機関の筒内圧やトルクを精度良く予測することができ、例えばトルクデマンド制御などに好適に応用することができる。
第6の発明によれば、熱発生開始点ズレ量θbと、点火時期および機関回転数との関係に基づいて、熱発生開始点ズレ量θbを取得することができる。このため、熱発生開始点ズレ量θbを精度良く取得することができる。
実施の形態1.
[実施の形態1の構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1で用いられるシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、火花点火式の内燃機関10を備えている。内燃機関10には、クランク角を検出するクランク角センサ12が組み込まれている。クランク角センサ12は、クランク軸が所定回転角だけ回転する毎に、Hi出力とLo出力を反転させるセンサである。クランク角センサ12の出力によれば、クランク角(クランク軸の回転位置)や、機関回転数NEなどを検知することができる。また、内燃機関10には、筒内圧センサ18が組み込まれている。筒内圧センサ18によれば、筒内(燃焼室内)に生ずる圧力を検出することができる。
[実施の形態1の構成の説明]
図1は、本発明の実施の形態1で用いられるシステム構成を説明するための図である。図1に示すように、本実施形態のシステムは、火花点火式の内燃機関10を備えている。内燃機関10には、クランク角を検出するクランク角センサ12が組み込まれている。クランク角センサ12は、クランク軸が所定回転角だけ回転する毎に、Hi出力とLo出力を反転させるセンサである。クランク角センサ12の出力によれば、クランク角(クランク軸の回転位置)や、機関回転数NEなどを検知することができる。また、内燃機関10には、筒内圧センサ18が組み込まれている。筒内圧センサ18によれば、筒内(燃焼室内)に生ずる圧力を検出することができる。
内燃機関10の吸気通路19の途中には、サージタンク20が設けられている。サージタンク20には、その内部の圧力、すなわち吸気管圧力を検出する吸気圧センサ21が設置されている。吸気圧センサ21の出力によれば、内燃機関10の負荷率KL[%]などを取得することができる。
また、吸気通路19には、その内部を流通する吸入空気量GAを検出するエアフロメータ22が配置されている。エアフロメータ22の下流には、スロットル弁24が配置されている。スロットル弁24の近傍には、スロットル開度TAを検出するスロットル開度センサ26が組み付けられている。
内燃機関10の吸気ポートには、ガソリン等の燃料を噴射するための燃料噴射弁28が配設されている。なお、本発明における内燃機関は、このようなポート噴射式の内燃機関に限定されるものではなく、筒内直接噴射式の内燃機関でも良く、あるいはポート噴射と筒内噴射とを併用する内燃機関でも良い。
また、内燃機関10には、燃焼室内の混合気に点火するための点火プラグ30が設置されている。更に、内燃機関10の排気通路32には、排気ガスの空燃比を検出する空燃比センサ33が設置されている。また、排気通路32には、排気ガスを浄化するための触媒34が組み込まれている。
内燃機関10は、可変動弁機構36を備えている。可変動弁機構36によれば、吸気弁38のバルブタイミングを連続的に変化させることができる。可変動弁機構36の近傍には、吸気カム軸の回転位置を検出するカム角センサ40を備えている。カム角センサ40の出力によれば、吸気弁38のバルブタイミングの実進角量を検知することができる。以下、吸気弁38のバルブタイミングの実進角量をバルブタイミングVT[degCA]と称する。
本実施形態のシステムは、ECU(Electronic Control Unit)50を備えている。ECU50には、上述した各種のセンサからセンサ信号が供給されている。ECU50は、それらのセンサ信号に基づいて、燃料噴射弁28や、点火プラグ30、可変動弁機構36などの各種アクチュエータを制御することができる。
[実施の形態1の筒内熱発生のシミュレーション方法]
(Wiebe関数モデル)
本発明では、熱発生パターンの近似関数として知られているWiebe関数を利用したWiebe関数モデルに基づいて、筒内での燃焼による熱発生のシミュレーションを行う。本実施形態におけるWiebe関数モデルは、次式で表される。
(Wiebe関数モデル)
本発明では、熱発生パターンの近似関数として知られているWiebe関数を利用したWiebe関数モデルに基づいて、筒内での燃焼による熱発生のシミュレーションを行う。本実施形態におけるWiebe関数モデルは、次式で表される。
上記(1)中の各記号の意味は、下記の通りである。
Q[J]:発熱量
Qfuel[J]:熱入力
θ[degCA]:熱発生開始後の経過クランク角度
θp[degCA]:燃焼期間
m:形状パラメータ
k:効率
a=(−1)×ln(1−0.999)=6.908(定数)
Q[J]:発熱量
Qfuel[J]:熱入力
θ[degCA]:熱発生開始後の経過クランク角度
θp[degCA]:燃焼期間
m:形状パラメータ
k:効率
a=(−1)×ln(1−0.999)=6.908(定数)
本実施形態では、上記(1)式のWiebe関数モデルに基づいて、クランク角度θに対する発熱量Qの変化率、すなわち熱発生率dQ/dθを算出することにより、筒内の熱発生のシミュレーションを行う。
本実施形態のWiebe関数モデルで熱発生率dQ/dθを算出するに際しては、熱入力Qfuel、燃焼期間θp、形状パラメータm、および効率kの値をそれぞれ定める必要がある。
熱入力Qfuelは、筒内に供給された燃料の持つ熱量に相当する。よって、熱入力Qfuelの値は、筒内に供給された燃料量に、その燃料の低位発熱量を乗じた値に相当する。なお、低位発熱量は、真発熱量とも呼ばれる物性値である。低位発熱量とは、単位量の燃料が完全燃焼したときに発生する熱量から、燃料中に含まれる水分および燃焼によって生じる水分を蒸発させるのに必要な熱量(潜熱)を差し引いた残りの熱量を意味する。熱入力Qfuelの値は、具体的には、燃料噴射弁28からの燃料噴射量に基づいて算出することができる。あるいは、空燃比A/Fおよび筒内空気量(負荷率KL)から熱入力Qfuelを算出することもできる。
燃焼期間θpは、燃焼による熱の発生が継続する期間をクランク角度で表したものとしての物理的意味を有する。形状パラメータmは、熱発生率dQ/dθが最大値をとる位置を左右するという物理的意味を有する。効率kについては、後に詳述する。
燃焼期間θp、形状パラメータm、および効率kの値は、内燃機関10の運転条件に応じて変化する。これらの値を運転条件に応じて定める方法については後述する。
(熱発生開始点ズレ量θb)
上記(1)式においては、θ=0のときdQ/dθ=0であり、θが0より大きくなると、dQ/dθ>0となって熱が発生し始めることを表す。つまり、本実施形態のWiebe関数モデルにおいては、θは熱発生開始後の経過クランク角度を表す。よって、θ=0の点が熱発生開始点となる。従来、Wiebe関数を利用したシミュレーションにおいては、熱発生開始点(θ=0)は、点火時期に等しいとされていた。
上記(1)式においては、θ=0のときdQ/dθ=0であり、θが0より大きくなると、dQ/dθ>0となって熱が発生し始めることを表す。つまり、本実施形態のWiebe関数モデルにおいては、θは熱発生開始後の経過クランク角度を表す。よって、θ=0の点が熱発生開始点となる。従来、Wiebe関数を利用したシミュレーションにおいては、熱発生開始点(θ=0)は、点火時期に等しいとされていた。
図2は、熱発生率dQ/dθの実機データおよびWiebe関数モデルによる算出結果を示すグラフである。図2中の実線で示すのが実機データであり、破線で示すのがWiebe関数モデルによる算出結果である。図2に示すWiebe関数モデルによる算出結果は、熱発生開始点を実機データの点火時期に等しいとした場合のものである。
ここで、熱発生率dQ/dθの実機データの取得方法について説明する。まず、所定クランク角幅ごと(例えば1degCAごと)に、筒内圧センサ18により筒内圧Pを計測する。筒内圧Pと、筒内容積Vと、発熱量Qとの間には、次式のエネルギー保存則が成り立つ。
上記(2)式中、κは比熱比である。また、筒内容積Vおよびその変化率dV/dθは、クランク角θに応じて幾何学的に決定される値である。よって、所定クランク角幅ごとに計測した筒内圧Pの値を上記(2)式に代入することにより、熱発生率dQ/dθの実機データを得ることができる。
図2から判るように、Wiebe関数モデルの熱発生開始点を実際の点火時期に等しいとした場合には、Wiebe関数モデルによる算出結果は、実機データからの乖離が大きい。特に、熱発生率dQ/dθの立ち上がり点において、両者の乖離が大きい。このように、Wiebe関数モデルの熱発生開始点を実際の点火時期に等しいとした場合には、精度の良いシミュレーションを行うのは困難である。
本発明の発明者らは、上記の問題を解決するべく鋭意研究を重ねた結果、Wiebe関数モデルの熱発生開始点を実際の点火時期と異なる点とすることにより、Wiebe関数モデルの算出結果を実機データに精度良く適合させることができることを見出した。図3は、このことを説明するための模式的な図である。図3中、太い実線は熱発生率dQ/dθの実機データを表し、細い実線はWiebe関数モデルによる算出結果を表す。
図3(A)に示すように、熱発生開始点を点火時期に等しくした場合には、Wiebe関数の他のパラメータをどのように変えても、Wiebe関数モデルの算出結果を実機データに一致させることができない場合がある。このような場合、図3(B)に示すように、熱発生開始点(θ=0)を点火時期からずらした位置とすることにより、Wiebe関数モデルの算出結果におけるdQ/dθの立ち上がり位置を移動させて、実機データの立ち上がり位置に一致させることができる。以下、Wiebe関数モデルの熱発生開始点と、点火時期とのズレ量を「熱発生開始点ズレ量」と称し、符号θbで表すこととする。
図4は、熱発生開始点ズレ量θbを導入した上でWiebe関数モデルにより算出した熱発生率dQ/dθと、図2と同じ実機データとを示すグラフである。図4から判るように、熱発生開始点ズレ量θbを導入したことにより、Wiebe関数モデルの算出結果は、実機データに精度良く一致している。このように、Wiebe関数モデルに熱発生開始点ズレ量θbを導入することにより、筒内の熱発生を精度良くシミュレートすることが可能となる。
熱発生開始点ズレ量θbの値は、内燃機関10の運転条件によって異なると考えられる。よって、Wiebe関数モデルを内燃機関10に適合するためには、運転条件と熱発生開始点ズレ量θbの値との関係を把握する必要がある。そのためには、何点かの運転条件の下で実機データから熱発生開始点ズレ量θbを求める必要がある。
図5は、熱発生率dQ/dθの実機データから熱発生開始点ズレ量θbを求める方法を説明するための図である。図5中の実線は、図2および図4と同じ実機データの前半部分を拡大したものである。図5から判るように、一般に、実機データの熱発生率dQ/dθの値は、点火時期の直後は0を挟んで振動し、その後立ち上がる。本実施形態では、dQ/dθのピーク位置から点火時期方向へ戻っていったときに最初にdQ/dθ=0となる点を熱発生開始点と定める。そして、その熱発生開始点と点火時期との間のクランク角度幅を、熱発生開始点ズレ量θbとして求める。
(効率k)
次に、本実施形態のWiebe関数モデルに導入された効率kについて説明する。上記(1)式から判るように、本実施形態では、効率kなるパラメータを乗じて、熱発生率dQ/dθを算出することとしている。Wiebe関数を内燃機関10での燃焼に適用する場合には、一般に、筒内に供給された燃料が持つ熱量が熱入力Qfuelに相当すると考えられている。しかしながら、内燃機関10における実際の燃焼では、冷却損失や燃料の燃え残り等に起因して、何らかの熱損失を伴うのが普通である。すなわち、実際には、燃料が持つ熱入力Qfuelの全部が発熱量Qに変換されることはなく、その変換効率は100%ではない。本発明者らは、このことをWiebe関数モデルに反映させるべく鋭意研究を重ねた結果、効率kを導入することとした。すなわち、効率kは、燃料が持つ熱量である熱入力Qfuelが発熱量Qに変換される効率としての物理的意味を有している。よって、効率kは、0<k<1の範囲の値を示す数である。
次に、本実施形態のWiebe関数モデルに導入された効率kについて説明する。上記(1)式から判るように、本実施形態では、効率kなるパラメータを乗じて、熱発生率dQ/dθを算出することとしている。Wiebe関数を内燃機関10での燃焼に適用する場合には、一般に、筒内に供給された燃料が持つ熱量が熱入力Qfuelに相当すると考えられている。しかしながら、内燃機関10における実際の燃焼では、冷却損失や燃料の燃え残り等に起因して、何らかの熱損失を伴うのが普通である。すなわち、実際には、燃料が持つ熱入力Qfuelの全部が発熱量Qに変換されることはなく、その変換効率は100%ではない。本発明者らは、このことをWiebe関数モデルに反映させるべく鋭意研究を重ねた結果、効率kを導入することとした。すなわち、効率kは、燃料が持つ熱量である熱入力Qfuelが発熱量Qに変換される効率としての物理的意味を有している。よって、効率kは、0<k<1の範囲の値を示す数である。
図6は、効率kの定義を説明するための図である。熱発生率dQ/dθの実機データにおいて、効率kは以下のように定義される。図6中、Qfuelは、筒内に供給された燃料が持つ熱量を意味し、その値は、燃料噴射弁28からの燃料噴射量に基づいて、あるいは空燃比A/Fおよび筒内空気量に基づいて、算出することができる。一方、図6中、Qmaxは、実機データにおけるdQ/dθをθで積分した値である。すなわち、Qmaxは、実機データの熱発生率dQ/dθの曲線と、dQ/dθ=0の直線とがグラフ上で囲む面積に相当し、実際の総発熱量としての物理的意味を有する。本実施形態では、効率kは、k=Qmax/Qfuelとして定義される。
前述した図2に示すWiebe関数モデルによる算出結果は、効率kを導入せずに算出したものである。図2から判るように、効率kを導入しない場合には、Wiebe関数モデルにより算出される熱発生率dQ/dθのピーク値は、実機データのピーク値より大きくなり易い。これは、実機における熱損失が反映されないことが原因であると考えられる。
これに対し、図4に示すWiebe関数モデルによる算出結果は、効率kを導入して算出されたものである。図4から判るように、効率kを導入することにより、Wiebe関数モデルにより算出される熱発生率dQ/dθのピーク値を、実機データのピーク値にほぼ等しく揃えることができる。このように、本実施形態では、効率kを導入したことにより、筒内の熱発生を更に良い精度でシミュレートすることが可能となる。
(実機データへのWiebe関数モデルのフィッティング)
以上、熱発生開始点ズレ量θbおよび効率kを熱発生率dQ/dθの実機データから直接求める方法について説明した。本実施形態のWiebe関数モデルでは、これらの他に、燃焼期間θpおよび形状パラメータmの値を定める必要がある。燃焼期間θpおよび形状パラメータmの値は、以下に説明するフィッティングにより定めることができる。
以上、熱発生開始点ズレ量θbおよび効率kを熱発生率dQ/dθの実機データから直接求める方法について説明した。本実施形態のWiebe関数モデルでは、これらの他に、燃焼期間θpおよび形状パラメータmの値を定める必要がある。燃焼期間θpおよび形状パラメータmの値は、以下に説明するフィッティングにより定めることができる。
図7は、フィッティングの方法を説明するための図である。図7中で、実線は、熱発生率dQ/dθの実機データを示しており、破線は、Wiebe関数モデルによる算出結果を示している。この場合、Wiebe関数モデルによって熱発生率dQ/dθを算出するに際し、熱入力Qfuel、熱発生開始点ズレ量θb、および効率kとしては、前述した手法(以下、「直接的手法」と称する)により求められた値がそれぞれ入力される。そして、残りの燃焼期間θpおよび形状パラメータmに対して、実機データとWiebe関数モデルの算出結果との誤差が最小となるように、最小二乗法によりフィッティング(最適化)を行う。
具体的には、図7に示す誤差比較範囲内の各点での実機データとWiebe関数モデルによる算出結果との誤差(偏差)の二乗和が最小となるような燃焼期間θpおよび形状パラメータmの値をそれぞれ探索する。そして、その探し出された値が燃焼期間θpおよび形状パラメータmの最適化された値であると定められる。なお、上記誤差比較範囲は、燃焼期間θpに包含される所定の範囲である。
以上、熱発生開始点ズレ量θbおよび効率kを直接的手法によって求め、燃焼期間θpおよび形状パラメータmをフィッティングによって求める方法について説明したが、本発明では、これら4つのパラメータのうち、熱発生開始点ズレ量θbのみを直接的手法により求め、残りの3つをフィッティングによって求めてもよい。また、上記4つのパラメータのうち、効率kのみを直接的手法により求め、残りの3つをフィッティングによって求めてもよい。あるいは、上記4つのパラメータの全部をフィッティングによって求めることとしてもよい。
なお、熱発生開始点ズレ量θbをフィッティングで求めることとした場合には、θbが負の値をとることもあり得る。すなわち、熱発生開始点(θ=0)が点火時期よりも前に来ることもあり得る。
以上説明した方法により、熱発生率dQ/dθの実機データに対してWiebe関数モデルが精度良く適合するように、熱発生開始点ズレ量θb、効率k、燃焼期間θp、および形状パラメータmの値を求めることができる。そして、本実施形態では、点火時期SA、機関回転数NE、空燃比A/F、負荷率KL、バルブタイミングVTなどが異なる複数点の運転条件の下で、同様にして上記4つのWiebe関数モデルパラメータを求める。その結果を調査することにより、4つのWiebe関数モデルパラメータと、点火時期SA、機関回転数NE、空燃比A/F、負荷率KL、バルブタイミングVTなどの運転条件パラメータとの関係を把握することができる。
4つのWiebe関数モデルパラメータの各々の値は、点火時期SA、機関回転数NE、空燃比A/F、負荷率KL、バルブタイミングVTなどの運転条件パラメータのすべてに有意な影響を受けるものではなく、それらの運転条件パラメータのうちの一部のみに有意な影響を受けるのが普通である。本実施形態では、4つのWiebe関数モデルパラメータと、それらに有意な影響を与える運転条件パラメータとの関係は、図8乃至図12のように表すことができる。以下、各図について説明する。
図8は、熱発生開始点ズレ量θbと、点火時期SA[degBTDC]および機関回転数NEとの関係を示す図である。図8に示すように、熱発生開始点ズレ量θbは、点火時期SAが進角されるほど、リニアに大きくなる。また、熱発生開始点ズレ量θbは、機関回転数NEが高くなるほど、リニアに大きくなる。
図9は、効率kと、空燃比A/Fとの関係を示す図である。図9に示すように、効率kは、空燃比A/Fが理論空燃比より小さい領域(リッチ領域)においては、効率kは空燃比A/Fが理論空燃比に近づくほどリニアに大きくなる。そして、空燃比A/Fが理論空燃比を超える領域(リーン領域)においては、空燃比A/Fが大きくなるほど効率kはリニアに小さくなる。
図10は、効率kと、点火時期SAとの関係を示す図である。図10に示すように、効率kは、空燃比A/Fが一定の下では、点火時期SAが進角されるほどリニアに小さくなる。
図11は、燃焼期間θpと、点火時期SAおよび機関回転数NEとの関係を示す図である。図11に示すように、燃焼期間θpは、点火時期SAが進角されるほど、小さくなる。また、燃焼期間θpは、機関回転数NEが高くなるほど、大きくなる。
図12は、形状係数mと、点火時期SAとの関係を示す図である。図10に示すように、形状係数mは、点火時期SAが進角されるほどリニアに小さくなる。
本実施形態では、以上説明した図8乃至図12に示す関係を用いることにより、未計測運転条件(熱発生率dQ/dθの実機データを計測していない運転条件)の下での、4つのWiebe関数モデルパラメータをそれぞれ求めることができる。そして、それらのパラメータをWiebe関数モデルに代入して計算を行うことにより、未計測運転条件下での熱発生率dQ/dθを算出することができる。Wiebe関数モデルにより算出された熱発生率dQ/dθは、上記(2)式により、クランク角に対する筒内圧Pの履歴に換算することができる。そして、クランク角に対する筒内圧Pの履歴は、公知の演算方法により、内燃機関10のトルク(図示トルク)に換算することができる。
以上のように、本実施形態では、実測点以外の種々の運転条件下における筒内の熱発生をWiebe関数モデルによりシミュレートすることができる。そして、その結果を利用すれば、実測点以外の種々の運転条件下における内燃機関10の筒内圧Pやトルクを精度良く予測することができる。よって、内燃機関10の制御システムの開発段階において、制御ロジックの検討などを行う際、実機データの計測点数を大幅に削減することができ、開発工数・開発コストを大幅に低減することができる。
また、図8乃至図12に示すような関係は、マップや演算式の形にして、ECU50に記憶させておくことができる。そのようにすれば、内燃機関10を車両に搭載した状態で、種々の運転条件下における内燃機関10の筒内圧Pやトルクをシミュレーションにより予測することができる。そして、その予測結果を利用することにより、トルクデマンド制御や、ドライバビリティ改善制御などを行うことが可能となる。
また、本発明によれば、上記(1)式のような簡単な演算式によってシミュレーションが可能となる。つまり、従来のようにガス燃焼反応や熱伝播などの複雑な計算をする必要がなく、計算負荷が小さい。このため、開発段階において少ない作業工数で容易にシミュレーションを行うことができる。また、本発明によれば、計算機の処理能力が高くなくても済むので、処理能力に制約を受け易い車載のECU50においても、十分に筒内熱発生のシミュレーションを行うことができる。
上述した実施の形態1においては、ECU50が前記第5の発明における「モデル記憶手段」、「関係記憶手段」および「算出手段」にそれぞれ相当している。
なお、上述した図8乃至図12は、Wiebe関数モデルの各パラメータと、それらに有意な影響を与える運転条件との関係の一例であり、内燃機関10の機種によっては、図8乃至図12に示す傾向とは異なる傾向を示す場合もある。また、Wiebe関数モデルの各パラメータは、図8乃至図12に示す運転条件パラメータ以外の運転条件パラメータに対して、有意な影響を受ける場合もあり得る。その場合には、それらの関係を把握することにより、上記と同様のシミュレーションを行うことができる。
10 内燃機関
12 クランク角センサ
18 筒内圧センサ
21 吸気圧センサ
30 点火プラグ
33 空燃比センサ
34 触媒
36 可変動弁機構
40 カム角センサ
50 ECU(Electronic Control Unit)
Q 発熱量
Qfuel 熱入力
θ 熱発生開始後の経過クランク角度
θp 燃焼期間
m 形状パラメータ
k 効率
P 筒内圧
V 筒内容積
12 クランク角センサ
18 筒内圧センサ
21 吸気圧センサ
30 点火プラグ
33 空燃比センサ
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Q 発熱量
Qfuel 熱入力
θ 熱発生開始後の経過クランク角度
θp 燃焼期間
m 形状パラメータ
k 効率
P 筒内圧
V 筒内容積
Claims (6)
- 火花点火内燃機関の気筒内における熱発生のシミュレーションを行う方法であって、
クランク角度θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを算出するためのWiebe関数モデルにおける熱発生開始点と、点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbを求めるステップと、
前記熱発生開始点が点火時期から前記熱発生開始点ズレ量θbだけずれるようにして、熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づいて算出するステップと、
を備えることを特徴とする筒内熱発生のシミュレーション方法。 - 筒内圧を実測するステップと、
実測された筒内圧に基づいて熱発生率dQ/dθの実機データを求めるステップと、
熱発生率dQ/dθの実機データの立ち上がり点と点火時期とのズレを、前記熱発生開始点ズレ量θbとして求めるステップと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の筒内熱発生のシミュレーション方法。 - 筒内圧を実測するステップと、
実測された筒内圧に基づいて熱発生率dQ/dθの実機データを求めるステップと、
熱発生率dQ/dθの実機データと前記Wiebe関数モデルに基づいて算出される熱発生率dQ/dθとの誤差が最小となるように、前記熱発生開始点ズレ量θbを前記Wiebe関数モデルの他のパラメータと共に最適化することによって前記熱発生開始点ズレ量θbを求めるステップと、
を備えることを特徴とする請求項1記載の筒内熱発生のシミュレーション方法。 - 複数点の運転条件の下で求めた熱発生率dQ/dθの実機データに基づいて、前記熱発生開始点ズレ量θbと運転条件との関係を把握するステップと、
前記複数点の運転条件以外の未計測運転条件の下での熱発生開始点ズレ量θbを前記関係に従って取得するステップと、
前記関係に従って取得された熱発生開始点ズレ量θbを用いて、前記未計測運転条件の下での熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づき算出するステップと、
を備えることを特徴とする請求項2または3に記載の筒内熱発生のシミュレーション方法。 - 火花点火内燃機関の気筒内における熱発生のシミュレーションを行う装置であって、
クランク角θに対する筒内の発熱量Qの変化率である熱発生率dQ/dθを算出するためのWiebe関数モデルを記憶したモデル記憶手段と、
前記Wiebe関数モデルにおける熱発生開始点と点火時期とのズレを表す熱発生開始点ズレ量θbと、所定の運転条件との関係を記憶した関係記憶手段と、
前記関係に従って取得された熱発生開始点ズレ量θbだけ前記熱発生開始点が点火時期からずれるようにして、熱発生率dQ/dθを前記Wiebe関数モデルに基づいて算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする筒内熱発生のシミュレーション装置。 - 前記所定の運転条件は、点火時期および機関回転数であることを特徴とする請求項5記載の筒内熱発生のシミュレーション装置。
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