JP3910439B2 - マーキング方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザービームの照射により文字やマークを印字する感光材料のマーキング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特開平10−6549号公報記載のように、ウェブ状の感光材料を搬送しながらビームスポットが略円形状のレーザービームを照射して文字やマークを印字するマーキング方法が公知である。レーザービームの照射により、そのエネルギー密度及び照射時間(パルス幅)に応じたドットパターンが感光材料の表面に形成されるが、このドットパターンを縦横に適数個ずつ配列して任意の文字やマークを印字することができる。
【0003】
上記公報記載の方法では、感光材料の搬送方向と直交する走査方向に複数のレーザー発振器を並列させ、印字する文字パターンに応じてこれらのレーザー発振器を選択的にオン/オフする手法が採られ、レーザー発振器の個々によって形成されるドットパターンが均一になるように、レーザービームのエネルギー密度とレーザービームの照射パルス幅の条件設定がなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報記載のように、感光材料に照射されるレーザービームのエネルギー密度とパルス幅とを正確に制御することができれば、ドットパターンも一律になって文字パターンの視認性も向上する。しかしながら、レーザービームの1ドットあたりのパルス幅は10-5〜10-6秒オーダーで、この瞬間のレーザービームのエネルギー密度を正確に測定することは現実的にはきわめて困難である。また、レーザービームを連続発振させ、印字されたドットの大きさを目安に平均エネルギー密度を求めることは可能であるが、レーザー発振器を連続発振させたときの出力特性と立ち上がり駆動時の出力特性とは異なるため、これに基づいて上記パルス幅内でのエネルギー密度を推定しても信頼性に乏しいのが実情である。
【0005】
さらに、レーザービームの照射スポット内では、その中心に対して周縁部でのエネルギー密度が低くなっているのが通常である。したがって、レーザービームを短いパルス幅で照射したときには照射スポットよりも小さい径のドットパターンが形成され、パルス幅を長くしたときには照射スポットの周囲に伝熱が及び、照射スポットよりも大きい径のドットパターンが形成される。このため、ドットパターンの径に基づいてレーザービームのエネルギー密度を算出しても、前者では実際よりも高く、後者では低く算出されてしまうことになる。
【0006】
こうした理由から、レーザービームのパルス幅はともかく、エネルギー密度に基づいて感光材料に印字を行うときの条件設定をしても実効性に乏しい。さらに、複数のレーザー発振器を並列させて使用する場合には、その各々について条件設定が必要となるほか、感光材料の品種切り換えにも対応しなければならず、文字やマークを構成するドットパターンの均一化を図るうえであまり実用的ではない。ドットパターンがばらつくと、凹凸の少ない視認困難なドットが発生したり、逆に過度のレーザービーム照射が異物にエネルギーを与え、発光による感光層の光りカブリを発生させたりする。
【0007】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、レーザービームの照射によって形成されるドットパターン自体の形状を解析し、視認しやすいドットパターンを用いて文字やマークを印字する感光材料のマーキング方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、レーザービームを照射して感光材料を部分的に溶融して凹凸部からなるドットパターンを形成し、このドットパターンを配列して文字やマークを印字するにあたり、ドットパターン総個数の少なくとも80%のドットパターンについては、その直下のフイルムベースに形成される凹部の深さが3μm〜10μmとなるようにしたものである。また、本発明では、音響光学装置でレーザービームを走査しながら文字やマークの印字を行う構造となっており、複数のレーザー発振器について各々条件設定をする手間を要しない。ただし、音響光学装置の応答性がレーザービームから受ける熱によって変動することを考慮し、レーザービームによって音響光学装置が異常に加熱されることを防ぐような工夫がなされている。
【0009】
その一つの目安は、繰り返し印字される文字やマークの配列からなる一単位の印字パターンをマーキングする際に、一単位の印字パターンの印字に要する印字総時間に対し、レーザービームの照射時間を70%以下にすることである。さらに、一単位の印字パターンを一定の繰り返し周期でマーキングする際に、前記繰り返し周期に対し、一単位の印字パターンの印字に要する印字総時間を70%以下に抑えることも効果的である。レーザー光の波長と印字する感光材料の種類の組み合わせによっては、レーザーエネルギーがフィルム内で全て吸収されずに一部が透過する場合がある。この透過エネルギーによっては、レーザーエネルギーがフィルム内で全て吸収されずに一部が透過する場合がある。この透過エネルギーによって、感光材料の反印字面側に接触しているローラーやベルトなどに付着した塵埃が加熱・発光し、感光層に光りカブリを発生させる。この対策には、レーザービームが走査される領域は中空に感光材料を浮かせ、反印字面側のレーザービームの光軸延長上に、少なくともレーザー光を感光材料上に集光させる集光レンズの焦点距離の1倍以上固体物を存在させないことが有効である。感光材料がウエブ状で搬送しながら印字を行う場合には、感光材料の搬送方向に関し、レーザービームが走査される領域を挟む上流側と下流側に搬送ローラを設けて、レーザービームの走査領域では感光材料を中空に浮かせて感光材料の反印字面側に何も接触させず、感光材料に単位幅あたり、0.1kg/cm以上のテンションを与えることで、ウエブが厚み方向に振動してレーザー集光レンズと感光材料印字面との距離が変動してしまうことを防止して印字を行うのが有効な手段となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を用いたマーキング方法を概略的に示す。ウェブ状の感光材料2の乳剤面側に対面してプリントヘッド3が設けられている。感光材料2は矢印方向に一定速度で搬送され、この搬送に同期してプリントヘッド3の駆動が制御される。プリントヘッド3は、レーザー発振管4と音響光学装置5と集光レンズ6とを有し、感光材料2の乳剤面にレーザービーム7を照射する。
【0011】
レーザー発振管4には単一の炭酸ガスレーザー管が用いられ、一単位の印字パターンを印字する間は連続したレーザー光を射出して音響光学装置5に入射させる。音響光学装置5は偏向入力信号に応じ、レーザー光を感光材料2の搬送方向と直交する向きに偏向して所定のパルス幅のレーザー光とし、集光レンズ6に入射させる。集光レンズ6は、音響光学装置5から射出したレーザー光を感光材料2の表面上で集光するレーザービーム7として射出させる。
【0012】
感光材料2にレーザービーム7を所定のパルス幅で照射すると、感光材料2の乳剤層やフイルムベースの一部が溶融してドットパターン8が形成される。ドットパターン8は、詳しくは後述するように感光材料2の表面に凹凸部として現れる。感光材料2の搬送速度に対して十分に速い走査速度でレーザービーム7を感光材料2の搬送方向と直交する向きに断続的に走査し、それぞれの走査位置で所定のパルス幅で感光材料2にレーザービーム7を照射すると、図示のように搬送方向に直交する方向に複数個のドットパターン8を配列することができる。そして、感光材料2の搬送に同期して同様の手順を繰り返すことによってM×N個のドットパターン配列が得られるので、感光材料2の表面に文字やパターンを印字することが可能となる。
【0013】
図1に示す例では、一文字を縦6ドット横5ドットで表現するとともに、文字長L1の「FUFU」を一単位の印字パターン10とし、その印字ピッチをL、隣り合う印字パターン相互間の間隔をL2(L=L1+L2)にしてある。印字の品位及び視認性の点を考慮すると、隣接するドットパターン8が重なり合うことなく一定の間隔をおいて分離していること、乳剤層に十分な凹凸が現れていること、ドットパターン周囲にカブリが少ないことなどが挙げられる。なお、ここで言う視認性とは、感光材料2をいかなる濃度で現像したとしても、印字パターン10が反射光で的確に識別できるか否かを良否の判断基準にしている。
【0014】
ドットパターン8自体の視認性は乳剤層表面に現れる凹凸の度合い(表面粗さ)が大きいほど良好になり、そのためにはレーザービーム7のエネルギー密度を高めたりパルス幅を長くすればよい。しかし、これに伴ってドットパターン8の周囲にカブリが生じやすくなってくる。カブリには、レーザービーム7が周囲の塵埃に当たってこれを発熱させ、そのときに発生する光によるものと、フイルムベースに混在する不純物の加熱によって生じる光によるものとの2種類がある。周囲の塵埃の発光によるカブリについては、レーザービーム7の照射とともにArなどの不活性ガスを吹きつけたり、周囲を清浄な環境に維持するなどの手法で改善することが可能であるが、フイルムベース内の不純物の発光によるカブリについては、現状ではその改善が非常に困難となっている。
【0015】
レーザービーム7を細く絞って微小面積に集中させて照射する手法を採ると、乳剤層だけでなくその下層のフイルムベースも深く浸食されてしまう。このため、レーザービーム7がフイルムベース内にランダムに混在している不純物に照射される確率が高くなり、照射位置周辺の広い範囲にカブリを生じさせる結果となる。
【0016】
感光材料2にXレイフイルムを用い、その乳剤層側からレーザービーム7をそれぞれ異なった照射条件で照射したときのドットパターンの形状を図2〜図4に示す。それぞれのドットパターンの平面形状は略円形となり、各図はそれぞれの中央断面を顕微鏡観察したときの概略を表している。図2に示すドットパターン8aは、乳剤層12の表面に微細な凹凸が現れており全体的にゆるやかに窪んでいる。窪みの外径Wは90μm程度で、その全域が乳剤層12で覆われている。ドットパターン8a直下ではフイルムベース13にもゆるやかな凹部が形成され、その深さDは5μm程度である。このドットパターン8aは視認性が良好で、その周囲にカブリは生じていない。
【0017】
上記ドットパターン8aの形成時よりもレーザービーム7の照射エネルギー量を大きくしたときに得られるドットパターンを図3に示す。このドットパターン8bは、その表面が微細な凹凸をもった乳剤層12で覆われているが、乳剤層12の真下のフイルムベース13にも凹部が形成され、その深さDは10μmに達している。ドットパターン8bの外径Wは約110μmで、ドットパターン8bの周囲にもカブリの発生が確認された。
【0018】
さらにレーザービーム7の照射エネルギー量を大きくすると、図4に示すようなドットパターン形状となった。このドットパターン8cは、パターン表面の乳剤層12が消失してフイルムベース13の凹部が表面に露出している。ドットパターン全体の外径Wは140μmで、フイルムベース13に形成された凹部の径は約30μm、その深さDは30μm程度まで深くなっている。また、ドットパターン8cの周囲にもカブリの発生があった。
【0019】
上記観察結果を含め、ドットパターン8の形状とカブリの発生状況とを観察すると、視認性の良好なものは乳剤層12の表面を十分に粗しているだけでなく、フイルムベース13にも凹部が形成されている点で共通している。そして、カブリの影響が出ているものはフイルムベースに深さが10μmを越える凹部をもつものであることが判った。こうした知見から、フイルムベースに形成される凹部の深さが3μm〜10μmとなるようにドットパターン8を形成することが視認性を良好にし、かつカブリの影響を抑えるうえで有効であることが確認された。なお、視認性を良好に保つには、文字やマークを構成する全てのドットパターンについて、フイルムベースの凹部の深さを3μm〜10μmの範囲にしておくことが望ましいが、ドットパターン総個数の80%がドットパターンとして視認できれば、文字やマークを識別することが可能である。
【0020】
一般に、感光材料2の種類や品種により、乳剤層12やフイルムベース13の層構成,厚み,材質が変わり、炭酸ガスレーザー管からのレーザービーム7を照射したときにそのエネルギーが感光材料2で全て吸収されないこともある。そして、レーザービーム7の照射位置で感光材料2の裏面をサクションベルトや金属ロールで支持されている場合には、サクションベルトや金属ロールと、感光材料2の裏面との間にある微小異物にレーザービーム7が照射されると、そこで発光現象が生じてカブリを引き起こすことが懸念される。
【0021】
これに対しては、図5あるいは図6に示すように、レーザービーム7が走査される領域で感光材料2を中空に浮かせた状態にすることが効果的である。図5に示す例では、長尺帯状の感光材料2を搬送用の一対のパスロール15,16で中空で支持し、これらの間にレーザービーム7を照射するようにしてある。レーザービーム7は焦点距離fの集光レンズ6により感光材料2の表面にスポット状に照射され、レーザービーム7は音響光学装置5(図示省略)により感光材料2の搬送方向と直交して走査される。
【0022】
このような位置でレーザービーム7を照射すれば、感光材料2で吸収されなかったレーザービーム7はそのまま感光材料2を透過してしまうので、感光材料2の裏面を支持する部材の表面などに付着した微小異物の発光によるカブリを防ぐことができる。なお、図示のように感光材料2を透過したレーザービームをカーボン板などの吸収部材18で吸収する際には、吸収部材18を設置する位置としては、感光材料2から距離S(>f)だけ離すのがよい。これにより、吸収部材18の表面に微小異物が存在したとしても、エネルギー密度が低いため、発光に至ることはない。
【0023】
また、一対のパスロール15,16の間で感光材料2に印字を行う場合には、パスロール間で感光材料2が撓むとレーザービーム7の集光の度合いが変化して印字品質が低下するので、パスロール15,16間の感光材料2に対し、単位幅あたり0.1kg/cm程度以上のテンションを与えることが望ましい。
【0024】
図6はシート状にした感光材料2aに印字を行う場合の例を表す。製品サイズにカットした感光材料2aは、表面に多数のエアー吸引孔が設けられたサクションベルト20の表面に吸着保持された状態で矢印方向に搬送される。感光材料2aは、印字が予定される一方の端縁がサクションベルト20からはみ出しており、この端縁に対してレーザービーム7が走査しながら照射される。したがって、図5に示す例と同様、感光材料2aを透過したレーザービーム7によってカブリを生じさせるおそれがない。なお、感光材料2aを透過したレーザービーム7を吸収部材18で吸収する際には、同様に感光材料2aから吸収部材18までの距離Sを集光レンズ6の焦点距離fよりも長く設定しておくことが望ましい。
【0025】
一般に、炭酸ガスレーザー管からは発振波長が10.6μmのレーザー光が得られるが、より短い発振波長、例えば9.2μmの発振波長をもつレーザー光を利用すれば、感光材料表面でのエネルギー吸収が高くなる。このため、フイルムベース13まで達するレーザービームや、フイルムベース13を透過するレーザービームが減ることになり、フイルムベース内やその背後にある微小異物による発光を抑えながらも、印字の視認性を良好に維持するうえでは効果的である。
【0026】
レーザービーム7を走査するために用いられている音響光学装置5は、圧電素子に高周波信号を印加して超音波振動させたとき、圧電素子の結晶に歪みが生じて屈折率が変化することを利用してレーザービームを偏向させている。ところが、圧電素子結晶はレーザービーム7の入射により熱を発生する。そして、この熱によって応答特性が変動し、入力された高周波信号に対するレーザービームの偏向量が変化する。この変動を抑制するには圧電素子結晶の温度上昇を防ぐ必要があり、本発明では印字総時間に対するレーザー発振時間を70%以下に抑えることによって、十分な冷却時間を確保するように工夫してある。
【0027】
【実施例】
図1に示すように、単一の炭酸ガスレーザー管4から発生させたレーザー光(発振波長:10.6μm)を音響光学装置5に入射させ、音響光学装置5から射出したレーザービーム7を集光レンズ6(f=82.5mm)で集光し、感光材料2の乳剤層にドットパターン8を形成した。感光材料2には直接撮影用の医療用Xレイフイルム(富士写真フイルム製/商品名:Super HR-G 30)を用いた。レーザー管出力は100W、連続発振時に音響光学装置5から射出したレーザービーム7に基づいて測定したエネルギー量は84Wである。
【0028】
実際の印字に使用するレーザー光は、音響光学装置による偏向によって、短いパルス状になっているため、ドット印字中における実際のエネルギー密度の測定は困難である。また、レーザー管4の立ち上がり特性や音響光学装置5の偏向効率によってエネルギー密度は大きく左右されることになるが、連続発振中のエネルギー量と、これにより形成されたドットパターン8からエネルギー密度を推定すると4.18×105 W/cm2 程度となる。以上の条件のもとでパルス幅を変えながらドットパターンを順次に形成して印字を実行し、フイルムベース13に形成される凹部の深さDと、文字の視認性及びカブリの有無を確認した。その結果を表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
同一のレーザービーム照射条件のもとで、集光レンズ6の焦点距離を89mm,95mmに変えてドットパターン8を形成した結果を表2,表3に示す。集光レンズ6の焦点距離の変更に伴って推定エネルギー密度も変わり、表2では3.0×105 W/cm2 程度、表3では2.0×105 W/cm2 程度となる。
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
さらに集光レンズ6の焦点距離を127mmとし、パルス幅をより長く設定して測定した結果を表4に示す。推定エネルギー密度は7.0×104 W/cm2 程度となる。
【0034】
【表4】
【0035】
上記表1〜表4中、文字の視認性は視線の方向によらず明瞭に識別できるものを「○」、存在が確認できるものの視線の方向によっては確認しにくくなるものを「△」、一瞥では存在が確認できないものを「×」で評価してある。また、カブリに関しては、その存在が視認できないものを「○」、文字の視認性に影響を与えない程度に現れているものを「△」、文字の視認性に影響を与える程度に発現しているものを「×」で評価した。これらの結果から、フイルムベース13に形成される凹部の深さDが3μm〜10μmの範囲であるときに、文字の視認性が良好でカブリを生じさせないことが確かめられた。
【0036】
なお、印字する文字やマークの大きさあるいは字体によって使用できる集光レンズが限られたり、マーキング工程の処理サイクルによってパルス幅が制約されることもあるが、感光材料2の品種ごとに適切なドットパターン8が得られるように印字条件を変更する場合には、集光レンズ6の交換,レーザー光のパルス幅の調節など、他の照射条件に影響を及ぼさないパラメータを調整するのがよい。このようなパラメータとしては、そのほかに音響光学装置5を通過する過程でレーザービームの光量調節を行う手法があり、これは音響光学装置5に入力する高周波信号を調節することによって対応が可能である。
【0037】
図1に示すように、文字長L1の印字パターン10を一単位とし、間隔L2を保ちながら印字ピッチLで順次に印字を行ってゆく場合、印字パターン10を印字している間は連続的に発光している状態となる。音響光学装置5の過熱を防ぐためには、一単位の印字パターン10の印字終了後、次の印字パターン10の印字開始までの間に十分な冷却期間をおけばよい。そこで、感光材料2を一定の搬送速度で搬送し、印字パターン10の文字長L1を60mmで一定とし、間隔L2を変えることにより印字ピッチ(L1+L2)を変えながら印字を行って文字の視認性についてテストした。
【0038】
このテストでは、レーザー管出力を100W、連続発振状態で音響光学装置5から射出されるレーザービームのエネルギー量を84Wとし、焦点距離fが82.5mmの集光レンズを使用した。また、ドットパターン1個あたりのパルス幅を13μsにして印字を行った。その評価結果を表5に示す。
【0039】
【表5】
【0040】
表5から判るように、L1+L2で表される印字ピッチに対して印字パターン10の文字長L1が約70%を越えるようになると十分な冷却期間をとることができず、印字を継続していったときにその影響が顕著になる。したがって、音響光学装置5の応答性を良好に保ちつつ感光材料2を一定速度で搬送しながら継続的に印字を行うには、印字パターン一単位の文字長L1を印字ピッチ(L1+L2)の70%以下に抑えることが有効であることが分かる。
【0041】
なお、感光材料2の搬送速度を可変しながら印字を行う場合、特に間隔L2の搬送時には低速で感光材料2を搬送することができる場合には、上記文字長さL1は必ずしも印字ピッチの70%に抑えなくてもよい。ただし、この場合でも、L1+L2の印字ピッチ分だけ感光材料2を搬送するのに要する印字の繰り返し周期に対し、印字パターン一単位の印字に要するレーザー管の発光時間を70%以下に抑えることが必要である。
【0042】
さらに、図5に示すように一対のパスロール15,16により感光材料2を中空に浮かせた状態で印字を行う場合には、前述のようにパスロール15,16間の感光材料2に適度なテンションを付与しておくことが必要になる。このテンションの度合いと印字品質との相関を確認するためにテストを行った。先のテストと同様、レーザー管出力を100W、連続発振状態で音響光学装置5から射出されるレーザービームのエネルギー量を84Wとし、焦点距離fが82.5mmの集光レンズを使用した。また、ドットパターン1個あたりのパルス幅は13μsである。単位幅当たりのテンションを変えながら印字を行い、ドットパターン8の形状を観察した結果は表6のとおりである。
【0043】
【表6】
【0044】
以上のテストでは、感光材料2に直接撮影用の医療用Xレイフイルム(富士写真フイルム製/商品名:Super HR-G 30)を用いたが、パスロール15,16間のテンションを0.1kg/cm以上にしておけばよいことが確認された。テンションをかけすぎると感光材料2とパスロール15,16との接触面圧力が高くなりすぎ、感光材料自体の品質が劣化することが懸念されるので、最大でも0.5kg/cm程度に抑えるのが好ましい。なお、パスロール15,16間で感光材料2のテンションを一定に保つには、パスロール16の下流側に設けたサクションドラムで感光材料2を滑りなく搬送しながら、パスロール15の上流側で感光材料2の搬送に負荷を与えるようにすればよい。また上記テンションの値は、前記医療用Xレイフイルムのみならず、プラスチック製のフイルムベースに乳剤層を塗布した一般的な感光材料にも適用可能な値である。
【0045】
図6に示すようにサクションベルト20を用いたり、あるいは感光材料を表裏から挟んで搬送するサンドイッチ形式のベルトを用いる場合には、感光材料の印字側端縁をこれらのベルトからはみ出させて搬送すればよく、テンションの問題は生じない。一般に、印字は感光材料の一方の端縁から3mm程度の範囲内に行われるので、そのはみ出し量としては10mmもあれば十分である。
【0046】
上述の例では、単一のレーザー管から放出されたレーザー光を音響光学装置を利用して感光材料の搬送方向と直交する副走査方向に走査して印字を行うようにしているが、副走査方向のドット数に合わせて複数本のレーザー管を配置し、これらを選択的に発光させて印字を行うようにすれば、音響光学装置を用いずに同様の印字を行うことができる。ただし、複数本のレーザー管の各々の応答特性にはバラツキがあり、そのまま用いたのではドットパターンの大きさやフイルムベースに形成される凹部の深さが一定せず印字品質が低下する。したがって、複数本のレーザー管の個々に集光レンズを設け、対応するレーザー管の特性に応じてその焦点距離を変え、あるいはパルス幅の調節などにより所望のドットパターンが得られるようにすれば、カブリのない良好な印字を行うことが可能となる。
【0047】
【発明の効果】
以上に述べたとおり、本発明によれば、乳剤層側からレーザービームを照射してドットパターンを形成するにあたり、フイルムベースに形成される凹部の深さを3μm〜10μmの範囲にするようにしたから、カブリを発生させずに良好な視認性を確保することができる。全てのドットパターンについて前記凹部の深さがその範囲に収まっていることが望ましいが、総個数の少なくとも80%のドットパターンがこの条件を満たしていれば、文字の視認性のうえからは実用し得る。また、レーザービームを走査する音響光学装置の耐熱性や、感光材料を中空に浮かせた状態で印字を行う際のテンションについても対策を施したから、カブリを発生させずに良好なマーキングを継続的に行ってゆくことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマーキングに用いられるプリントヘッドの概略図である。
【図2】ドットパターンの一例を示す概略断面図である。
【図3】ドットパターンの他の例を示す概略断面図である。
【図4】ドットパターンのさらに別の例を示す概略断面図である。
【図5】一対のパスロール間でマーキングを行う例を示す説明図である。
【図6】サクションベルトで搬送しながらマーキングを行う例を示す説明図である。
【符号の説明】
2 感光材料
3 プリントヘッド
4 レーザー管
5 音響光学装置
6 集光レンズ
7 レーザービーム
8 ドットパターン
10 印字パターン
12 乳剤層
13 フイルムベース
15,16 パスロール
18 吸収部材
20 サクションベルト
Claims (6)
- 少なくとも片面に感光層が塗布されたフイルムに集光レンズを介してレーザービームを照射して凹凸部からなる複数のドットパターンを形成し、これらのドットパターンの配列により文字やマークを印字するマーキング方法において、
前記フイルムのレーザービームの照射領域を空中に浮かせ、反印字面側のレーザービームの光軸延長線上には、少なくとも前記集光レンズの焦点距離の1倍以上固体物が存在しない状態とし、前記ドットパターン総個数の少なくとも80%のドットパターン直下のフイルムベースに形成される凹部の深さが3μm〜10μmの範囲となるようにレーザービーム条件を設定して照射することを特徴とするマーキング方法。 - 反印字面側のレーザービームの光軸延長線上でかつ、前記フイルムから少なくとも前記集光レンズの焦点距離の1倍以上離間した位置に、レーザービームの吸収部材を配置したことを特徴とする請求項1記載のマーキング方法。
- 前記吸収部材は、カーボン板であることを特徴とする請求項2記載のマーキング方法。
- 前記フイルムの搬送方向に関し、レーザービームの照射領域を挟む上流側と下流側に搬送ローラを設け、これらの搬送ローラにより前記フイルムを一定速度で搬送しながら、前記照射領域に印字を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のマーキング方法。
- 前記搬送ローラ間の前記フイルムに単位幅あたり0.1kg/cm以上0.5kg/cm以下の範囲内のテンションを与えたことを特徴とする請求項4記載のマーキング方法。
- 前記フイルムを一定速度で搬送しながら、前記フイルムの搬送に同期してレーザービームを音響光学装置で走査することにより文字やマークの配列からなる一単位の印字パターンを一定の繰り返し周期でマーキングする際に、前記一定の繰り返し周期に対し、レーザービームの照射時間を70%以下にしたことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のマーキング方法。
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