JP3908541B2 - デジタル放送信号送出システム - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば遠隔送信局のデジタル圧縮音声素材を受信し、自局の音声素材と切替え再圧縮して送信するデジタル放送信号送出システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、デジタルテレビジョン放送のシステムでは、音声信号に対してAAC符号化のような音声信号圧縮が使用される。これはアナログベースバンド音声を例えば48KHzのサンプリング周波数でサンプリングし、2048サンプル毎にフレーミングを行いフレーム単位でMDCT変換(Modified Discrete Cosine Transform)、量子化符号化などの手法により音声圧縮する方式である。
【0003】
一般に、DCT変換、量子化符号化などでは、人間の聴覚にとって重要度の高い情報を残し、重要度の低い情報は削減されるが、エンコード、デコードを繰り返すと音声品質が徐々に劣化する。ただし、エンコード、デコードが同一のフレーム構成で行なわれる場合は、同一のフレーム構成で行われない場合に比べて劣化が少ないことが知られている。
【0004】
ところで、局間番組伝送を行うデジタルテレビジョン放送システムにおいて、受信局では遠隔送信局からのデジタル放送信号(デジタル圧縮音声素材)を受信し、自局の音声素材、例えばアナウンスやチャイム音などを付加するといった編集・加工を行う。このため、デジタル圧縮音声素材を一旦デコードして元の非圧縮音声に戻し、編集・加工を行ったあとに再エンコードを行うことになる。(一方、圧縮音声素材をそのまま切替えるいわゆるスプライス方式もあるが、編集・加工が行えないことや再送信に伴う制御コードの差替えなどが何れにせよ必要なため、前述したデコード/再エンコード方式が用いられることは多い。)
この場合、再エンコードにおいては、通常、受信局独自のローカルの信号源とする音声サンプリングクロックで再サンプリング及びフレーミングされて圧縮が行われる。
一方、デコード/再エンコード方式による切替えでは、通常、エンコーダに対して受信局に設けられた同期信号発生器から出力される同期信号によって音声フレームを同期させるため、遠隔局からの音声信号がデコード前と比べて音声フレーム内の音声サンプリングデータの構成、すなわちフレーム位相が異なってしまう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように従来のデジタルテレビジョン放送システムでは、遠隔送信局から受信したデジタル音声素材に対しては、一旦、デコードして再エンコードする信号処理をしているが、再エンコードにおいて受信局独自の音声サンプリングクロックで再サンプリング及びフレーミングし、受信局の同期信号発生器から出力される同期信号によりフレームを同期させているため、デコードとエンコードが同一のフレーム構成で行われず、デジタル音声素材の劣化を招いていた。
【0006】
本発明は前記のような事情を考慮してなされたもので、送信局からのデジタル圧縮音声素材の品質を劣化させることなく、デコード/再エンコードの処理を施して送出することが可能なデジタル放送信号送出システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1の信号源をもとにしたフレーム同期情報によりサンプリング、フレーミングされたフレーム構造の第1の信号を送信局から受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記第1の信号から前記第1の信号源をもとにしたフレーム同期情報を抽出する抽出手段と、前記第1の信号をデコードするデコード手段と、前記デコード手段によってデコードされた信号に対して、前記抽出手段によって抽出されたフレーム同期情報を付加するフレーム同期付加手段と、前記フレーム同期情報が付加された前記デコード手段によりデコードされた信号と、第2の信号の何れかを選択する切り替え制御手段と、第2の信号源をもとにした同期信号を発生する同期発生手段と、前記切り替え制御手段によってデコードされた信号が選択されている場合に同信号からフレーム同期情報を抽出し、前記フレーム同期情報をもとにデコードされた信号をエンコードし、前記切り替え制御手段によって前記第2の信号が選択されている場合に前記同期発生手段により発生される前記同期信号をもとに前記第2の信号をエンコードするエンコード手段とを具備したことを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本実施形態に係わるデジタル放送信号送出システムの構成を示すブロック図である。本実施形態におけるデジタル放送信号送出システムは、例えばデジタルテレビジョン放送システムにおける受信局に設けられるもので、遠隔送信局からデジタル放送の番組信号を受信し、受信局で制作したローカル番組信号による編集・加工をした後に再エンコードをして送出するものである。本実施形態では、送信局から受信する番組信号に含まれる圧縮(エンコード)された映像信号と音声信号のうち、特に音声信号(デジタル圧縮音声素材)を劣化させることのない信号処理を実現する。
【0009】
図1は本実施形態に係わるデジタル放送信号送出システムのシステム構成を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態におけるデジタル放送信号送出システムは、デコーディングシステム10,11、エンコーディングシステム12,13、現用・予備切替装置14、APC(自動番組切替制御装置)15、ローカル/Net切替制御器16、音声フレームリセット制御器17、及びローカル映像同期発生器18が設けられている。
【0010】
デコーディングシステム10及びエンコーディングシステム12は現用系の構成部分であり、デコーディングシステム11及びエンコーディングシステム13は予備系の構成部分である。現用・予備切替装置14は、現用予備切替信号による指示に応じて現用系と予備系の何れかの信号を選択して出力する。通常は現用系が使用され、現用系において障害などが発生した場合に予備系が使用される。現用系が障害から復旧された場合には、予備系から現用系に切替えられる。
【0011】
デコーディングシステム10,11は、受信局独自の映像信号(以下、ローカル映像信号)と音声信号(以下、ローカル音声信号)、及び遠隔送信局からの圧縮された番組信号(以下、Net圧縮映像音声信号)を入力して所定の処理を加えて出力する。なお、Net圧縮映像音声信号は、遠隔送信局からの信号に限らず、受信局に固有の同期信号源と異なる同期信号源をもとに圧縮された一般の信号であっても良い。
【0012】
デコーディングシステム10には、Net圧縮映像音声信号に含まれる映像信号をデコードする映像デコーダ(映像DEC)20、映像デコーダ20によりデコードされたNet映像信号(映像フレーム)をローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期信号に同期させて受信局の映像同期に同期結合させる映像フレーム同期器(映像FS)21、Net圧縮映像音声信号に含まれるNet音声信号をデコードする音声デコーダ(音声DEC)22、Net音声同期再生装置24によりNet音声信号から抽出された音声フレームの同期情報(Net音声フレーム同期)をデコードされた音声信号(Net音声サンプリング信号)に付加するフレーム同期付加器23、音声デコーダ22によってデコードされる前のNet音声信号から受信局に固有の同期信号源と異なる同期信号源をもとにした音声フレームの同期情報を抽出するNet音声同期再生装置24、ローカル/Net切替制御器16からのローカル/Net切替信号に応じてエンコーディングシステム12(映像エンコーダ30)への出力を、デコードされたNet映像信号(N)とローカル映像信号(L)の何れかに切り替える切替スイッチS1a、ローカル/Net切替制御器16からのローカル/Net切替信号に応じてエンコーディングシステム12(音声エンコーダ31)への出力を、デコードされたNet音声信号(N)とローカル音声信号(L)の何れかに切り替える切替スイッチS1bが設けられている。なお、予備系のデコーディングシステム11については、デコーディングシステム10と同様の構成を持つものとして詳細な説明を省略する。
【0013】
エンコーディングシステム12,13は、デコーディングシステム10,11においてそれぞれ所定の処理が加えられた番組信号(映像信号、音声信号)をエンコードし、映像信号と音声信号を多重化して出力する。
【0014】
エンコーディングシステム12には、デコーディングシステム10から出力された映像信号をローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期信号をもとにエンコード(圧縮)する映像エンコーダ30、デコーディングシステム10から出力された音声信号をローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期信号をもとにエンコード(圧縮)する音声エンコーダ31、映像エンコーダ30と音声エンコーダ31から出力されたエンコードされた信号を多重化して出力するマルチプレクサ32が設けられている。エンコーディングシステム13には、映像エンコーダ40、音声エンコーダ41、マルチプレクサ42が設けられており、それぞれエンコーディングシステム12の映像エンコーダ30、音声エンコーダ31、マルチプレクサ32と同様の機能を持つものとして詳細な説明を省略する。なお、音声エンコーダ31,41の詳細については後述する(図2)。
【0015】
APC(自動番組切替制御装置)15は、番組編成データに基づいて番組切り替えのための制御をするもので、ローカル/Net切替制御器16に対するローカル/Net切替信号の出力制御、音声フレームリセット制御器17に対する音声フレームリセット制御信号の出力制御などを実行する。APC15は、ローカル音声信号からデコードされた音声信号(Net音声サンプリング信号)に出力を切り替える時、例えば番組切り替え時の音声が無音の状態あるいは番組制作上切替が想定される一定期間の無音状態(レベルゼロ)の時に、音声フレームリセット制御器17から音声フレームリセット制御信号を出力させることで、音声エンコーダ31,41の通常動作を一時停止させ、フレーム同期の再設定が可能な状態となるように制御する。
【0016】
ローカル/Net切替制御器16は、APC15の制御のもとで、切替スイッチS1a,S1b(及び図示せぬデコーディングシステム11中の切り替えスイッチ)、音声エンコーダ31,41に対して、Net圧縮映像音声信号(Net映像信号及びNet音声信号)とローカル信号(映像、音声)の何れかに切り替える制御信号を出力する。
【0017】
音声フレームリセット制御器17は、APC15の制御のもとで、音声エンコーダ31,41に対して、音声フレームのフレーム同期の再設定が可能な状態になるよう制御する出力制御信号(音声フレームリセット制御信号)を出力する。
【0018】
ローカル映像同期発生器18は、所定の結合関係を有したローカル映像同期信号、音声サンプリングクロック、及び音声フレーム同期信号を、各映像エンコーダ30,40、及び音声エンコーダ31,41に供給する。音声サンプリングクロックは、映像同期信号に結合した形で生成されて供給される。
【0019】
次に、図1中に示す音声エンコーダ31の詳細について説明する。図2は、音声エンコーダ31の回路構成を示すブロック図である。なお、音声エンコーダ41も音声エンコーダ31と同一の構成を有するものとして詳細な説明を省略する。
図2に示すように、音声エンコーダ31には、Net音声フレーム同期抽出回路60、Net音声サンプリングクロック分離回路61、音声圧縮回路62、サンプリングクロック抽出回路63、切替スイッチS2,S3が設けられている。
【0020】
Net音声フレーム同期抽出回路60は、音声フレームの同期情報(Net音声フレーム同期)が付加されたNet音声サンプリング信号からNet音声フレーム同期を抽出して出力する。
Net音声サンプリングクロック分離回路61は、音声フレームの同期情報(Net音声フレーム同期)が付加されたNet音声サンプリング信号から、Netサンプリングクロックを分離して出力する。
【0021】
音声圧縮回路62は、Net音声信号あるいはローカル音声信号を圧縮(エンコード)して圧縮音声出力信号として出力するもので、Net音声信号に対する圧縮をする場合にはNet音声フレーム同期抽出回路60から供給される音声フレーム同期、Net音声サンプリングクロック分離回路61から供給されるNetサンプリングクロックをもとにして実行し、ローカル音声信号に対する圧縮をする場合にはローカル映像同期発生器18から供給されるローカル音声フレーム同期、サンプリングクロック抽出回路63から供給されるローカルサンプリングクロックをもとにして実行する。音声圧縮回路62は、音声フレームリセット制御器17から音声フレームリセット制御信号が供給されることで、音声フレームのフレーム同期の再設定を行う。
【0022】
サンプリングクロック抽出回路63は、ローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期からローカル信号に対するサブクロックを抽出して、切替スイッチS3を通じて音声圧縮回路62に供給する。
【0023】
切替スイッチS2は、ローカル/Net切替制御器16からの制御信号に応じて、Net音声フレーム同期抽出回路60から出力されるNet音声フレーム同期(N)とローカル音声フレーム同期(L)の何れかに切り替える。
【0024】
切替スイッチS3は、ローカル/Net切替制御器16からの制御信号に応じて、切替スイッチS2と連動して、Net音声サンプリングクロック分離回路61から供給されるNetサンプリングクロック(N)と、サンプリングクロック抽出回路63から供給されるローカルサンプリングクロック(L)の何れかに切り替える。
【0025】
次に、本実施形態におけるデジタル放送信号送出システムの動作について説明する。
ここでは、現用系(デコーディングシステム10、エンコーディングシステム12)において、ローカル番組信号から遠隔送信局からのNet圧縮映像音声信号に切り替えて出力する場合について説明する。特に、ローカル音声信号によるローカル音声からNet圧縮映像音声信号によるNet音声への切り替えについて説明する。図3には、ローカル音声からNet音声への切り替えのタイミングを示している。
【0026】
この場合、APC15は、ローカル/Net切替制御器16によってローカル/Net切替信号を出力させて、切替スイッチS1a,S1bをローカル映像及びローカル音声が、それぞれ映像エンコーダ30、音声エンコーダ31に出力されるように切り替えさせている(N→L)。
【0027】
映像エンコーダ30、切替スイッチS1aを介して入力されるローカル映像信号に対して、ローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期信号をもとにエンコード(圧縮)を実行する。
【0028】
また、音声エンコーダ31は、切替スイッチS1bを介して入力されるローカル音声信号に対して、ローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期信号をもとにエンコード(圧縮)を実行する。この時、音声エンコーダ31では、図2に示すように、切替スイッチS2がローカル音声フレーム同期(L)側、切替スイッチS3がローカルサンプリングクロック(L)側に切り替えられている。サンプリングクロック抽出回路63は、ローカル映像同期発生器18から入力されたローカル音声同期信号からローカルサンプリングクロックを抽出して、切替スイッチS3を介して音声圧縮回路62に供給している。音声圧縮回路62は、サンプリングクロック抽出回路63から供給されるローカルサンプリングクロックをもとにローカル音声信号に対する圧縮を実行して圧縮音声出力信号を出力する。
【0029】
ここで、以上のローカル番組信号を出力する動作状態からNet圧縮映像音声信号を出力する状態に切り替える。
【0030】
遠隔送信局から伝送されるNet圧縮映像音声信号は、受信局(ローカル局)とは周波数源が異なる同期が用いられている。従って、ローカル番組信号からの切替えにおいては、映像に対して切替え時ショックが生じない様に、映像フレーム同期器21(FS(Frame Synchronizer))を用いてローカル映像同期発生器18から供給されるローカル映像同期に同期結合させる。
【0031】
一方、音声信号に対しては、音声が無音の状態で、あるいは番組制作上切替が想定される一定期間を無音状態(レベルゼロ)を設け、この無音期間内に切替え操作を行う。
【0032】
音声エンコーダ31は、通常の動作中において、外部からのサンプリングクロックやフレーム同期信号に予期しない不連続が生じた場合、音声圧縮回路62に動作異常が発生し、これが放送受信器における不快音の発生や不必要な再起動などの悪影響を及ぼすことがある。これを避けるため音声エンコーダ31の動作状態を無音期間中に一時停止させ、フレーム同期の再設定が可能な状態になるよう制御することで切替え時の音声ショックを回避する。
【0033】
まず、APC15は、例えば番組切り替えの無音状態となるタイミングに合わせて(図3(b)(d))、音声フレームリセット制御器17に対して、音声フレームリセット制御信号を出力させる(図3(f))。音声エンコーダ31の音声圧縮回路62は、音声フレームリセット制御信号を入力して、それまでの圧縮処理動作を停止する。
【0034】
次に、APC15は、ローカル/Net切替制御器16によってローカル/Net切替信号を出力させて、切替スイッチS1bをNet音声信号が映像エンコーダ30、音声エンコーダ31に出力されるように切り替えさせている(L→N)。また、音声エンコーダ31の切替スイッチS2をL→Nに切り替えて、Net音声フレーム同期抽出回路60によって抽出されるNet音声フレーム同期が音声圧縮回路62に入力されるようにしてフレーム同期を切替え、また切替スイッチS3をL→Nに切り替えて、サンプリングクロック抽出回路63によって抽出されるサンプリングクロックが音声圧縮回路62に入力されるように切り替える。なお、デコーディングシステム10の切替スイッチS1aに対する切り替え(映像信号の切替え)は、映像のブランキング内のタイミングで切替えを行うものとする。
【0035】
APC15は、音声信号の切り替え及び同期切り替えが終了した後に、音声フレームリセット制御器17の出力制御信号を解除状態にして、音声エンコーダ31(音声圧縮回路62)を通常のエンコード動作が可能な動作状態に復旧させる(図3(f))。
【0036】
一方、音声デコーダ22は、Net圧縮映像音声信号に含まれる音声信号をデコードしてフレーム同期付加器23に出力する(図3(a))。また、Net音声同期再生装置24は、音声デコーダ22によってデコードされたNet音声サンプリング信号から、受信局に固有の同期信号源と異なる同期信号源をもとにした音声フレーム同期情報(Net音声フレーム同期、Net音声サンプリングクロック)を抽出してフレーム同期付加器23に出力する。フレーム同期付加器23は、Net音声同期再生装置24により抽出された音声フレーム同期情報を、デコードされたNet音声サンプリング信号のうちのフレーム先頭毎に付加して出力する。この音声フレーム同期情報が付加されたNet音声サンプリング信号は、切替スイッチS1bを経由して音声エンコーダ31に供給される。
【0037】
なお、音声フレーム同期情報のフレームに対する付加位置として、例えば図4に示すようなAES(Audio Engineering Society)/EBU(European Broadcasting Union)音声信号の予備ビット領域を使用することができる。
【0038】
音声エンコーダ31では、Net音声サンプリング信号を入力すると、Net音声フレーム同期抽出回路60によってNet音声フレーム同期を抽出して、切替スイッチS2を介して音声圧縮回路62に供給する。また、Net音声サンプリングクロック分離回路61によってNetサンプリングクロックを分離して、切替スイッチS3を介して音声圧縮回路62に供給する。
【0039】
音声圧縮回路62は、Net音声サンプリング信号に対して、Net音声フレーム同期、Netサンプリングクロックをもとに圧縮を実行して圧縮音声出力信号を出力する(図3(e))。
【0040】
このようにして、ローカル音声からNet音声への切り替えをする際に、音声エンコーダ31におけるエンコード(圧縮)に用いるサンプリングクロック及びフレーム同期の切替えを行うが、通常のエンコード動作を一時停止させているため放送受信器での動作異常は発生しない。
【0041】
また、Net音声に対するエンコードは、ローカル映像同期発生器18から供給されるローカル音声フレーム同期、ローカル映像同期(ローカルサンプリングクロック)によらず、Net音声信号から抽出したNet音声フレーム同期、Netサンプリングクロックにより実行されるので、デコードとエンコードが同一のフレーム構成で行われることになり、デジタル圧縮音声素材の品質を劣化させないですむ。
【0042】
最近では放送スタジオ(受信局のデジタル放送信号送出システム)において音声信号は、映像信号のブランキング期間に多重するいわゆるエンベディッド音声の形式で伝送される場合が増えてきている。これは音声信号の伝送ケーブルやスイッチャを簡素化することできるためである。ただし、この場合、音声信号の多重や分離を円滑に行うため、映像フレーム周期に同期した音声サンプリングクロックを8008サンプル/5映像フレームとする条件(音声サンプリングクロックが8008サンプル数周期毎に映像信号の5フレームと位相が合致する)を守る必要がある。このような関係から、音声サンプリングクロックは、同じ放送スタジオの映像同期信号(ローカル映像同期)に結合した形で生成される。本実施形態におけるデジタル放送信号送出システムでは、ローカル映像同期発生器18から前述した結合関係を有したローカル映像同期信号、音声サンプリングクロック、及び音声フレーム同期信号を出力して音声エンコーダ31に供給している。このような理由によって、音声サンプリングクロックは、映像同期信号と結合して運用するローカル音声のみを対象した通常の運用条件となっている。
【0043】
しかし、Net圧縮映像音声信号に対して、映像信号に対しては映像フレーム同期器21によってローカル同期に結合するが、音声信号に対してはネット(遠隔送信局)の音声サンプリングクロック及びフレーム同期を維持し、ローカル同期との結合関係を持たせない。このために、音声同期の切替えを行うが、音声エンコーダ31のようにサンプリングクロックと音声フレーム同期をローカルからネットに切替えることにより実現する。
【0044】
なお、前述した説明では、ローカル音声からネット音声へ切替える場合を例にして説明しているが、ネット音声からローカル音声に切り替える場合についても、前述と逆の制御を実行することで実現することができる。
【0045】
また、本実施形態におけるデジタル放送信号送出システムでは、現用系と予備系とを設けることによって、現用系に障害の発生した場合であっても、予備系に切り替えて動作させることで、障害によるシステムの停止を回避することができる。また、現用系に発生した障害が解消された場合には、予備系から現用系に切り替えて動作させることで元の状態に復旧させることができる。この現用系と予備系との動作の切り替えの際に、現用系と予備系の出力信号内容が同一内容、同位相であることが、スムースな切替えのために必要である。
【0046】
このため本実施形態では、現用系(エンコーディングシステム12)と予備系(エンコーディングシステム13)の音声エンコーダ31,41のそれぞれに対して、外部のローカル映像同期発生器18により発生されたフレーム同期で動作させている。これにより、出力信号内容を同一内容、同位相とすることができるので、現用系と予備系との間でスムースな切替えが可能となる。
【0047】
なお、前述した説明では、Net音声同期再生装置24によって音声フレーム同期情報を抽出し、フレーム同期付加器23においてNet音声サンプリング信号に付加(多重)することで、エンコーディングシステム12に音声フレーム同期情報を供給するものとして説明しているが、Net音声同期再生装置24によって抽出された音声フレーム同期情報を供給するための別の線路と切替スイッチS1bと連動して切り替えられるスイッチとを設け、この線路とスイッチを経由してエンコーディングシステム12(音声エンコーダ31)に音声フレーム同期情報を供給することも可能である。この場合、フレーム同期付加器23が不要となる。
【0048】
また、本願発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、前記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0049】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、デコード前の信号からフレーム同期情報を抽出し、このフレーム同期情報をもとに再エンコードをするので、送信局からのデジタル圧縮音声素材の品質を劣化させることなく、デコード/再エンコードの処理を施して送出することが可能となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係わるデジタル放送信号送出システムの構成を示すブロック図。
【図2】音声エンコーダ31の回路構成を示すブロック図。
【図3】ローカル音声からNet音声への切り替えのタイミングを示す図。
【図4】音声フレーム同期情報のフレームに対する付加位置を示すAES/EBU音声信号のフォーマットを示す図。
【符号の説明】
10,11…デコーディングシステム
12,13…エンコーディングシステム
14…現用・予備切替装置
15…APC15(自動番組切替制御装置)
16…ローカル/Net切替制御器
17…音声フレームリセット制御器
18…ローカル映像同期発生器
20…映像デコーダ
21…映像フレーム同期器
22…音声デコーダ
23…フレーム同期付加器
24…Net音声同期再生装置
30,40…映像エンコーダ
31,41…音声エンコーダ
32,42…マルチプレクサ
60…Net音声フレーム同期抽出回路
61…Net音声サンプリングクロック分離回路
62…音声圧縮回路
63…サンプリングクロック抽出回路
S1a,S1b,S2,S3…切替スイッチ
Claims (4)
- 第1の信号源をもとにしたフレーム同期情報によりサンプリング、フレーミングされたフレーム構造の第1の信号を送信局から受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記第1の信号から前記第1の信号源をもとにしたフレーム同期情報を抽出する抽出手段と、
前記第1の信号をデコードするデコード手段と、
前記デコード手段によってデコードされた信号に対して、前記抽出手段によって抽出されたフレーム同期情報を付加するフレーム同期付加手段と、
前記フレーム同期情報が付加された前記デコード手段によりデコードされた信号と、第2の信号の何れかを選択する切り替え制御手段と、
第2の信号源をもとにした同期信号を発生する同期発生手段と、
前記切り替え制御手段によってデコードされた信号が選択されている場合には同信号からフレーム同期情報を抽出し、前記フレーム同期情報をもとにデコードされた信号をエンコードし、前記切り替え制御手段によって前記第2の信号が選択されている場合には前記同期発生手段により発生される前記同期信号をもとに前記第2の信号をエンコードするエンコード手段とを具備したことを特徴とするデジタル放送信号送出システム。 - 前記切り替え制御手段による切り替えを行う際に、前記エンコード手段を前記フレーム同期情報によりフレーム同期を再設定可能な状態にリセットするリセット制御手段を具備し、前記エンコード手段は、前記リセット制御手段によってリセットされた後、前記フレーム同期情報によりフレーム同期を再設定することを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号送出システム。
- 前記第1の信号が音声信号であって、この音声信号の無音期間に前記切り替え制御手段による切り替えを行うことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号送出システム。
- 前記抽出手段と前記エンコード手段とをそれぞれ有する現用系と予備系とを設け、前記切り替え制御手段は、前記第1の信号をデコードした信号と前記第2の信号とを選択的に送出させる切り替え制御を、前記現用系と前記予備系のそれぞれに対して行うことを特徴とする請求項1記載のデジタル放送信号送出システム。
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JP2003209712A (ja) | 2003-07-25 |
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