JP3907960B2 - 放射線像変換パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、輝尽性蛍光体を利用する放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、照射された放射線のエネルギーの一部を蓄積し、その後、可視光やレーザ光などの励起光の照射によって、蓄積した放射線エネルギーに応じた輝尽発光を示す輝尽性蛍光体(蓄積性蛍光体)が知られており、この輝尽性蛍光体を支持体上に積層してなる放射線像変換パネル(輝尽性蛍光体シート)を用いる放射線画像記録再生システムが広く実用に供されている。
【0003】
この放射線画像記録再生システムは、人体などの被写体を透過させた放射線を放射線像変換パネルに照射するなどしてこのパネルに被写体の放射線画像情報を蓄積記録し、その後、レーザ光などの励起光によりこのパネルを2次元的に走査してその励起光照射部分から輝尽発光光を生じさせ、この輝尽発光光を光電読取手段により読み取って上記放射線画像情報を示す画像信号を得るものである(例えば特開昭55-12429号、同55-116340号、同56-104645号等参照)。
【0004】
このシステムにおいて得られた画像信号は、観察読影に適した階調処理や周波数処理などの画像処理が施された上で、それが担持する放射線画像を診断用可視像としてフィルムに再生記録したり、あるいはCRT画像表示装置などに表示するために用いられる。なお、放射線画像情報読取り後の放射線像変換パネルに消去光を照射して、そこに残存しているエネルギーを放出させると、パネルは再度放射線画像情報を蓄積記録できる状態となって、繰り返し使用が可能になる。
【0005】
ここで、上述した放射線画像記録再生システムに用いられる放射線画像情報読取装置においては、励起光源として、放射線像変換パネルに対して線状に励起光を照射するライン光源を使用し、光電読取手段として、ライン光源により励起光が照射されたパネルの線状の部分の長さ方向(主走査方向)に沿って多数の光電変換素子が配列されたラインセンサを使用するとともに、上記ライン光源およびラインセンサとパネルの一方を他方に対して相対的に、上記線状の部分の長さ方向に略直交する方向(副走査方向)に移動する走査手段を備えた構成が提案されている( 特開昭60-111568号、同60-236354号、特開平1-101540号 等)。これらのシステムは、ライン光源とラインセンサを用いて、線状励起と線状読取りを実現しているため、輝尽発光光の読取時間の短縮や、装置のコンパクト化およびコストの低減などを図ることができる。
【0006】
このようなラインセンサを用いた放射線画像情報読取装置において、輝尽発光光は、放射線像変換パネルから散乱して発せられるため、励起光の照射位置の近傍に集光ガイドおよび集光ミラーを設け、散乱された輝尽発光光を集光ミラーにより集光ガイドに向けて反射して集光効率を高めるようにしたり、あるいはシートの各部分から発光された輝尽発光光の、ラインセンサ上における集光度を高めるために、セルフォックレンズ(登録商標)アレイやロッドレンズアレイなどの屈折率分布型レンズアレイを備えた構成も採用されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、放射線画像情報読取装置において、放射線像変換パネルは水平状態で読み取られたりあるいは垂直状態で読み取られたりするため、その読取状態によっては、パネルの自重によってパネルが撓んだり、挫屈はしないもののパネルの自重の影響で水平性が低下する場合がある。
【0008】
特に、小型化された読取装置の場合には、放射線を露光した側と反対側から放射線像変換パネルを読み取る方式をとっている場合が多く、このような装置の場合は、励起光や発光光を遮らないようにするため、パネルの支持は長手方向(副走査方向)の両サイドのみからなされているため、パネルの水平性が低下しやすい傾向にある。
【0009】
放射線像変換パネルの水平性が低下すると、パネル面に入る励起光のビームサイズが変化したり集光効率が低下して画質の低下を招く傾向にあり、特に、上記のように小型化された読取装置の場合、発光光の集光には光学レンズが用いられることが多いが、このような光学レンズはパネルの水平度低下に対する許容範囲が狭く、励起点がずれたり、集光光量が低下しやすい傾向が強くなり、画質が低下する原因となる。
【0010】
放射線像変換パネルの水平性を強化する方法としては、パネル支持体のガラスやカーボン板などを厚くすることが考えられるが、このような方法では、パネル自体が重くなるため取り扱いに不便であり、また放射線を支持体側から露光する場合、放射線吸収が顕著となって画質が低下するという問題が懸念される。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、撓みの少ない、画質の良好な放射線像変換パネルを提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の放射線像変換パネルは、第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層され、該輝尽性蛍光体層が積層された側に充填材層が接着されて設けられ、該充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層され、前記第一の剛性層および前記第二の剛性層の密度よりも前記充填材層の密度が低いことを特徴とするものである。
【0013】
剛性層とは、弾性率が1×105 (kgf/cm2 )以上である層を意味し、好ましくは2×105 〜1×108 (kgf/cm2 )であるものが好ましく、また放射線吸収が少ない材質からなるものであることがより好ましい。ここで、放射線吸収が少ない材質とは、一般的に密度が 0.1〜1.7g/cm3 程度の材質のもので、例えばAl板、ガラス、カーボン、FPFなどを好ましくあげることができる。第一の剛性層と第二の剛性層は、充填材層よりともに低い密度であれば、同じ材質からなっていても、異なる材質からなっていてもよい。
【0014】
充填材層は、第一の剛性層と第二の剛性層との間に設けられ、第一の剛性層および第二の剛性層の密度のいずれよりも低い密度を示すものである。充填材層は剛性層よりも密度が低いため、放射線吸収は低吸収となる。
【0015】
輝尽性蛍光体層が積層された側に充填材層が接着されとは、充填材層が第一の剛性層上に設けられた輝尽性蛍光体層上のみならず、輝尽性蛍光体層が設けられていない第一の剛性層上、すなわち設けられた輝尽性蛍光体層の外周部分の第一の剛性層上にも接着して設けられていることを意味する。該充填材層上に第二の剛性層が接着されとは、充填材層と第一の剛性層と第二の剛性層とが互いに接着されて一体的に形成されていることを意味する。
【0016】
本発明の放射線像変換パネルは、第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層され、該輝尽性蛍光体層が積層された側とは反対側に充填材層が接着されて設けられ、該充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層され、前記第一の剛性層および前記第二の剛性層の密度よりも前記充填材層の密度が低いことを特徴とするものである。
【0017】
第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層されとは、第一の剛性層上に直接輝尽性蛍光体層が設けられている場合の他、支持体などの別の層を介して積層されている場合も含む意味である。
【0018】
輝尽性蛍光体層が積層された側とは反対側に充填材層が接着されて設けられ、該充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層されとは、充填材層と第一の剛性層と第二の剛性層とが互いに接着されて、一体的に形成されていることを意味する。
【0019】
上記の放射線像変換パネルは、一方の側から放射線が照射され、該放射線の照射により前記輝尽性蛍光体層に蓄積された放射線画像情報が他方の側から読み取られるものであることが好ましい。
ここで、読み取るとは、励起光を照射して輝尽発光光を集光することを意味する。
【0020】
さらに、上記の放射線像変換パネルは、放射線画像情報が蓄積された放射線像変換パネルに励起光を照射し、該励起光の照射により前記放射線像変換パネルから発せられた発光光を光学レンズを介して受光手段に集光する放射線画像情報読取装置に用いられるものであることが好ましい。
【0021】
【発明の効果】
本発明の放射線像変換パネルは、第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層され、輝尽性蛍光体層が積層された側に充填材層が接着されて設けられ、充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層され、あるいは、第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層され、輝尽性蛍光体層が積層された側とは反対側に充填材層が接着されて設けられ、さらに充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層され、第一の剛性層および第二の剛性層の密度よりも充填材層の密度を低いものとしたので、軽く、撓みの少ない放射線像変換パネルとすることができる。
【0022】
すなわち、従来の放射線像変換パネルの支持体を厚くすることによっても撓みの少ないパネルを製造することはできるものの、この場合には従来の放射線像変換パネルよりもかなり重くなるため、取扱いが不便であるが、本発明の放射線像変換パネルは、剛性層よりも密度の低い充填材層を第一の剛性層と第二の剛性層とで挟む構造としたものであるため、撓みが少なくかつ取扱いに支障のない軽さのパネルとすることができる。
【0023】
また、放射線像変換パネルが自重で撓むとパネルの水平性が低下し、励起光源とパネルの距離が変わることにより励起位置が変化したり、集光効率が低下するなどして、良好な放射線画像を得ることが難しくなるが、本発明の放射線像変換パネルは、第一の剛性層と第二の剛性層との間にこれらの剛性層よりも密度の低い充填材層が接着されて一体的に設けられているため、パネル全体としての重量は軽い状態のままで撓みを少なくすることができる。従って、放射線像変換パネルの水平性を向上させることが可能となるので、良好な放射線画像を得ることができる。
【0024】
また、本発明の放射線像変換パネルは、充填材層が放射線吸収の少ない材質からなるものであるため、放射線の吸収が少なくてすみ、放射線像変換パネルの支持体を厚くしてパネルの水平性を向上させる場合に比べて、画質の低下を最小限に抑えることができる。
【0025】
特に、一方の側から放射線を照射し、他方の側から放射線の照射によりパネルの輝尽性蛍光体層に蓄積された放射線画像情報を読み取る方式が採用されることが多い小型化された放射線画像情報読取装置において、良好な放射線画像を得ることが可能となる。
【0026】
また、このような小型化された読取装置においては、放射線画像情報が蓄積された放射線像変換パネルに励起光を照射し、この励起光の照射によりパネルから発せられた発光光を光学レンズを介して受光手段に集光する方式が採用されている場合が多いが、このような読取装置では、放射線像変換パネルの水平性が低下すると、励起光源とパネルの距離の変動や光学レンズとパネルの距離の変動が大きな影響を与えて、集光が低下するなど放射線画像の画質が低下しやすい傾向にあるが、本発明の放射線像変換パネルを用いることにより、より良好な放射線画像を得ることが可能となる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1は本発明の第一の実施の形態を示す放射線像変換パネルの断面図、図2は本発明の第二の実施の形態を示す放射線像変換パネルの断面図、図3は本発明の第三の実施の形態を示す放射線像変換パネルの断面図である。
【0028】
図1に示すように、第一の実施の形態の放射線像変換パネル10は、第一の剛性層12上に気相堆積法により設けられた輝尽性蛍光体層11を有し、輝尽性蛍光体層11が設けられた第一の剛性層12と第二の剛性層13との間に充填材層14が存在してなるものである。ここで、充填材層14は、第一の剛性層12および第一の剛性層12上に設けられた輝尽性蛍光体11と第二の剛性層13との間に接着して設けられている。また、第一の剛性層12および第二の剛性層13の密度よりも充填材層14の密度は低く構成されている。なお、第一の剛性層12と第二の剛性層13とは同じ材質のものであっても、異なる材質のものであってもよい。
【0029】
また、図2に示すように、第二の実施の形態の放射線像変換パネル20は、充填材層24が第一の剛性層22と第二の剛性層23との間に挟まれた構造の上に、従来より広く知られている放射線像変換パネル、すなわち支持体25の上に輝尽性蛍光体層21が積層され、さらに輝尽性蛍光体層21の上に保護層26が設けられているものが接着されてなるものである。なお、図では、従来の放射線像変換パネルを第一の剛性層22上に接着した場合を示し、支持体25を介して輝尽性蛍光体層26が第一の剛性層上に積層されているが、第一の剛性層22上に直接、輝尽性蛍光体層26が形成されたものであってもよい。
【0030】
さらに、図3に示すように、第三の実施の形態の放射線像変換パネル30は、剛性層32上に気相堆積法により設けられた輝尽性蛍光体層31を有し、輝尽性蛍光体層31が設けられた剛性層32と剛性層33との間には充填材層34が存在し、剛性層32、34の端部には封止部37が設けられてなるものである。
【0031】
なお、図1および図3に示す放射線像変換パネルは、いずれも輝尽性蛍光体層が気相堆積法により設けられた場合を例にとって説明しているが、塗布により設けられたものであってもよい。また、図では1枚の放射線像変換パネルにそれぞれ2枚の剛性層が用いられている場合を示しているが、剛性層を3枚以上用い、それぞれの剛性層の間に充填材層を形成する構成のものであってもよい。
【0032】
図4は、放射線画像情報が蓄積された放射線像変換パネルに励起光を照射し、放射線像変換パネルから発せられた発光光を光学レンズを介して受光手段に集光する放射線画像情報読取装置の概略図である。
【0033】
放射線画像情報読取装置Aは、放射線画像情報が蓄積記録された放射線像変換パネル50を載置して矢印Y方向に搬送する走査ベルト48、線状の励起光Lをパネル50表面に対して略45度の角度で発するBLD41、BLD41から出射された線状の励起光Lを集光するコリメータレンズおよび一方向にのみビームを拡げるトーリックレンズの組合せからなるパネル50表面に線状の励起光Lを照射する光学系42、パネル50の表面に対して略直交しかつ励起光Lの進光方向に略45℃だけ傾斜する光軸を有し、励起光Lの照射によりパネル50から発せられた輝尽発光光Mをラインセンサ44を構成する各光電変換素子43の受光面に集光させる集光レンズ45、集光レンズ45に入射する輝尽発光光Mに混在する励起光Lをカットする励起光カットフィルタ46、励起光カットフィルタ46を透過した輝尽発光光Mを受光して光電変換する多数の光電変換素子43が配列されたラインセンサ44、およびラインセンサ44を構成する各光電変換素子43から出力された信号Sを読み取って、画像処理装置に出力する画像情報読取手段47とを備えた構成である。
【0034】
図5および図6は、図4に示す放射線画像情報読取装置の一部を拡大した図であるが、図5に示すように、出射された励起光Lは、放射線像変換パネル50の輝尽性蛍光体層51に照射され、照射された輝尽性蛍光体層51の一部から発せられた輝尽発光光Mは、集光レンズ45により光電変換素子43に集光される。放射線像変換パネル50の水平性が良好であれば、常にこの状態で励起光が照射され、輝尽発光光が集光される。
【0035】
しかし、放射線像変換パネル50の水平性が損なわれて撓むと、図6に示すように、励起光Lを照射するBLD41からパネル50までの距離が長くなって、本来、励起光によって励起される輝尽性蛍光体層51の位置がずれ、ずれた位置から輝尽発光光Mが発せられ、またパネル50と集光レンズ45との距離も長くなって、発せられる輝尽発光光の集光量は減ることになり、結果、得られる放射線画像の画質は悪いものとなってしまう。
【0036】
特に、装置を小型化するためには、放射線像変換パネルの一方の側から放射線を照射し、他方の側から蓄積された放射線画像情報を読み取るといったことが必要となるが、励起光や発光光を遮らないために、パネルを載置して搬送する走査ベルトは、図4に示すパネルの両サイド(矢印Y方向の両サイド)のみしか設けることができなくなるため、パネルが自重によって撓みやすくなり、上記の傾向は顕著となる。
【0037】
しかし、本発明の放射線像変換パネルは、第一の剛性層と第二の剛性層との間にこれらの剛性層よりも密度の軽い充填材層が接着されて一体的に設けられているため、パネルの水平性を向上させることができ、良好な放射線画像を得ることが可能となる。
【0038】
次に、剛性層、充填材層をさらに詳細に説明する。
本発明の放射線像変換パネルに用いられる剛性層は、弾性率が1×105 (kgf/cm2 )以上である層を意味し、2×105 〜1×108 (kgf/cm2 )である層がより好ましく、放射線吸収が少ない材質からなるものであることが好ましい。具体的にはガラス、CFRP、GFRP、あるいは放射線の吸収の比較的少ないアルミニウム、マグネシウム合金、ベリリウムなどの金属、セラミックなどの剛性の材質を板状にしたのものを用いることができる。
【0039】
たとえば、ガラスとしては、具体的にはセントラル硝子(株)製のFL0.7、FL0.85、FL1.0、日本板硝子(株)製のUFF0.40、0.50、0.55、0.70、旭硝子(株)製のRRQS40SXなどを好ましくあげることができる。
【0040】
剛性層の層厚は、設ける剛性層の数、用いる剛性材質や、剛性層間に形成される充填材層の層厚にもよるため一概には言えないが、合計層厚が 100〜10000μmであることが好ましく、1000〜5000μm であることがより好ましい。なお、設けられた剛性層は同じ層厚である必要はなく、例えば放射線を照射する側を薄く、読取側を厚くするなど、適宜変更することが可能である。
【0041】
剛性層に挟まれる充填材層は剛性層よりも密度の低いものであって、かつ放射線吸収の少ないものであり、たとえば、不織布,合成繊維や天然繊維またはこれらの織物やグラスファイバー,発泡ウレタン、発泡PET、多孔質セラミック、ミクロフィルターなどの微細な孔(空隙)を有するもの,一般的な樹脂、特に密度が 1.7以下の樹脂、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等,あるいは中空粒子(中空ポリマーなど)をバインダーに混合したものなどを用いることができる。このような充填材を用いることによって、軽くかつ放射線吸収を少ないものとすることが可能となる。
【0042】
充填材層の層厚は、設ける充填材層の数、充填材層に用いる充填材の材質や密度によっても異なるが、合計層厚が 100〜10000μmであることが好ましく、1000〜5000μmであることがより好ましい。
【0043】
充填材そのものが接着性を有しない繊維や織物などの場合には剛性層にこれを接着材などで接着させる。充填材層を2つの剛性層の間に形成する場合に用いられる接着剤としては、気密性に優れ、透湿度の低いものが好ましく、たとえば、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、シアノアクリレート系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン酢酸ビニル系樹脂、ポリオレフィン樹脂、クロロプレン系ゴム、ニトリル系ゴムなどの有機高分子系接着剤や、シリコーン系接着剤などを好ましく用いることができる。なお、充填材そのものが接着性を有するような場合、たとえば、固まると剛性層と接着し一体化するような樹脂の場合には、接着剤を用いる必要はない。
【0044】
中空ポリマーを分散させるバインダーとしては、ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、天然ゴム、フッ素ゴム、ポリイソプレン、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、シリコンゴムなどの熱可塑性エラストマーを好ましく用いることができる。
【0045】
封止部材としては、気密性に優れ、透湿度が低いものが好ましく、具体的には上述の充填材を接着するために用いられる有機高分子系接着剤や、シリコーン系接着剤などを好ましくあげることができ、耐湿性に優れるエポキシ系樹脂やシリコーン系接着剤を用いることがより好ましい。さらに、上記のような接着剤の他、低融点ガラスなどの封着用ガラスを用いてガラス融着により封着してもよい。
【0046】
放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に用いられる輝尽性蛍光体は、放射線を照射した後、励起光を照射すると輝尽発光を示す蛍光体であるが、実用的な面からは波長が400〜900nmの範囲にある励起光によって300〜500nmの波長範囲の輝尽発光を示す蛍光体であることが望ましい。本発明の放射線像変換パネルに用いられる輝尽性蛍光体は特に限定されるものではないが、たとえば、特公平7-84588号 等に記載されている、
一般式 (M1-f・Mf I)X・bMIIIX3″:cA(I)で表される輝尽性蛍光体( MIとしては、Rb,Csおよび/またはCsを含有したNa、同Kが好ましく、特にRbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属が好ましい。MIII としてはY,La,Lu,Al,GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属が好ましい。X″としては、F,ClおよびBrから選ばれる少なくとも一種のハロゲンが好ましい。MIIIX3″ の含有率を表すb値は0≦b≦10-2 の範囲から選ばれるのが好ましい。賦活剤AとしてはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Ho,Gd,Sm,TlおよびNaから選ばれる少なくとも一種の金属が好ましく、特にEu,Ce,Sm,TlおよびNaから選ばれる少なくとも一種の金属が好ましい。また、賦活剤の量を表すC値は10-6<C<0.1の範囲から選ばれる)が輝尽発光輝度の点から好ましい。
【0047】
また、さらに以下の輝尽性蛍光体も用いることができる。
【0048】
米国特許第3,859,527号明細書に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、ThO2:Er、およびLa2O2S:Eu,Sm、
特開昭55-12142号に記載されている ZnS:Cu,Pb、BaO・xAl2O3:Eu(ただし、0.8≦x≦10)、および、MIIO・xSiO2 :A(ただし、MIIはMg,Ca,Sr,Zn,Cd、またはBaであり、AはCe,Tb,Eu,Tm,Pb,Tl,BiまたはMnであり、xは0.5≦x≦2.5である)、
特開昭55-12143号に記載されている (Ba1-X-y ,MgX ,Cay )FX:aEu2+(ただし、X はClおよびBrのうちの少なくとも一種であり、xおよびyは、0<x+y≦0.6、かつxy≠0であり、aは、10-6≦a≦5×10-2である)、
特開昭55-12144号に記載されている LnOX:xA(ただし、LnはLa,Y,Gd、およびLuのうちの少なくとも一種、XはClおよびBrのうちの少なくとも一種、AはCeおよびTbのうちの少なくとも一種、そして、xは、0<x<0.1である)、
特開昭55-12145号に記載されている(Ba1-X,M2+ X)FX:yA(ただし、M2+はMg,Ca,Sr,Zn、およびCdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種、AはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,YbおよびErのうちの少なくとも一種、そしてxは0≦x≦0.6、yは0≦y≦0.2である)、
特開昭55-160078号に記載されているMIIFX・xA:yLn(ただし、MIIはBa,Ca,Sr,Mg,ZnおよびCdのうちの少なくとも一種、AはBeO,MgO,CaO,SrO,BaO,ZnO,Al2O3,Y2O3,La2O3,In2O3,SiO2,TiO2,ZrO2,GeO2,SnO2,Nb2O5,Ta2O5 およびThO2 のうちの少なくとも一種、LnはEu,Tb,Ce,Tm,Dy,Pr,Ho,Nd,Yb,Er,SmおよびGdのうちの少なくとも一種、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一種であり、xおよびyはそれぞれ 5×10-5≦x≦0.5、および0<y≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭56-116777号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aはジルコニウムおよびスカンジウムのうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ 0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭57-23673号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zB(ただし、MII はベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭57-23675号に記載されている(Ba1-X,MII X)F2・aBaX2:yEu,zA(ただし、MIIはベリリウム,マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,亜鉛およびカドミウムのうちの少なくとも一種、Xは塩素,臭素およびヨウ素のうちの少なくとも一種、Aは砒素および硅素のうちの少なくとも一種であり、a、x、y、およびzはそれぞれ0.5≦a≦1.25、0≦x≦1、10-6≦y≦2×10-1、および0<z≦5×10-1である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭58-69281号に記載されている MIIIOX:xCe(ただし、MIIIはPr,Nd,Pm,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびBiからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、XはClおよびBrのうちのいずれか一方あるいはその両方であり、xは0<x<0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭58-206678号に記載されているBa1-XMX/2LX/2FX:yEu2+(ただし、MはLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属を表わし;Lは、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Al,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属を表わし;X は、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを表わし;そして、xは10-2≦x≦0.5、yは0<y≦0.1である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-27980号に記載のBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aはテトラフルオロホウ酸化合物の焼成物であり;そして、xは10-6 ≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-47289号に記載されているBaFX・xA:yEu2+(ただし、Xは、Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、ヘキサフルオロケイ酸,ヘキサフルオロチタン酸およびヘキサフルオロジルコニウム酸の一価もしくは二価金属の塩からなるヘキサフルオロ化合物群より選ばれる少なくとも一種の化合物の焼成物であり;そして、xは10-6≦x≦0.1、yは0<y≦0.1 である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-56479号に記載されているBaFX・xNaX′:aEu2+(ただし、XおよびX′は、それぞれCl、Br、およびIのうちの少なくとも一種であり、xおよびaはそれぞれ0<x≦2、および0<a≦0.2である)の組成式で表わされる蛍光体、特開昭59-56480号に記載されているMIIFX・xNaX′:yEu2+:zA(ただし、MIIは、Ba,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;X およびX′は、それぞれCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;Aは、V,Cr,Mn,Fe,CoおよびNiより選ばれる少なくとも一種の遷移金属であり;そして、xは0<x≦2、yは0<y≦0.2、およびzは0<z≦10-2である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭59-75200号に記載されている MIIFX・aMIX′・bM′IIX″2・cMIIIX3・xA:yEu2+(ただし、MIIはBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はLi,Na,K,RbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;M′IIはBeおよびMgからなる群より選ばれる少なくとも一種の二価金属であり;MIII はAl,Ga,InおよびTlからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり;Aは金属酸化物であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′,X″および Xは、F,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そして、aは0≦a≦2、bは0≦b≦10-2、cは0≦c≦10-2、かつa+b+c≧10-6 であり;x は0<x≦0.5、yは0<y≦0.2 である)の組成式で表わされる蛍光体、
特開昭60-84381号に記載されている MII X2・aMIIX′2:xEu2+(ただし、MII はBa,Srおよび Caからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;XおよびX′はCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであって、かつ X≠X′であり;そしてaは0.1≦a≦10.0、xは0<x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
特開昭60-101173号に記載されているMIIFX・aMI X′:xEu2+(ただし、MII はBa,SrおよびCaからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ土類金属であり;MI はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;XはCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;X′はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてaおよびxはそれぞれ0≦a≦4.0および0<x≦0.2である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、MI X:xEu2+(MI は一種のアルカリ金属であり;Xは一種のハロゲンであり、xは0<x≦0.2である)の組成式で表される輝尽性蛍光体、
特開昭62-25189号に記載されているMI X:xBi( ただし、MI はRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり;X はCl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり;そしてxは0<x≦0.2の範囲の数値である)の組成式で表わされる輝尽性蛍光体、
特開平2-229882号に記載のLnOX:xCe(但し、LnはLa,Y,GdおよびLuのうちの少なくとも一つ、XはCl,BrおよびIのうちの少なくとも一つ、xは0<x≦0.2 であり、LnとXとの比率が原子比で0.500<X/Ln≦0.998であり、かつ輝尽性励起スペクトルの極大波長λが550nm<λ<700nm)で表わされるセリウム賦活希土類オキシハロゲン化物蛍光体、
などをあげることができる。
【0049】
また、上記特開昭60-84381号に記載されているMIIX2・aMIIX′2:xEu2+輝尽性蛍光体には、以下に示すような添加物がMIIX2・aMIIX′2 1モル当り以下の割合で含まれていてもよい。
【0050】
特開昭60−166379号に記載されているbMIX″(ただし、MIはRbおよびCsからなる群より選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10.0である);特開昭60-221483号に記載されているbKX″・cMgX2 ・dMIII X′3(ただし、MIII はSc,Y,La,Gdおよび Luからなる群より選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X″、X およびX′はいずれもF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてb、cおよびdはそれぞれ、0≦b≦2.0、0≦c≦2.0、0≦d≦2.0であって、かつ2×10-5≦b+c+dである);特開昭60-228592号に記載されている yB(ただし、yは2×10-4≦y≦2×10-1である);特開昭60-228593号に記載されている bA(ただし、AはSiO2 およびP2O5からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であり、そしてbは10-4 ≦b≦2×10-1 である);特開昭61−120883号に記載されているbSiO(ただし、bは0<b≦3×10-2 である);特開昭61−120885号に記載されているbSnX″2 (ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbは0<b≦10-3である);特開昭61-235486号に記載されているbCsX″・cSnX2 (ただし、X″およびX はそれぞれF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、そしてbおよびcはそれぞれ、0<b≦10.0 および10-6≦c≦2×10-2である);および特開昭61-235487号に記載されているbCsX″・yLn3+(ただし、X″はF,Cl,BrおよびIからなる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンであり、LnはSc,Y,Ce,Pr,Nd,Sm,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,YbおよびLuからなる群より選ばれる少なくとも一種の希土類元素であり、そしてbおよびyはそれぞれ、0<b≦10.0および10-6≦y≦1.8×10-1である)。
【0051】
ただし、本発明に用いられる輝尽性蛍光体は上述の蛍光体に限られるものではなく、放射線を照射したのちに励起光を照射した場合に輝尽発光を示す蛍光体であれば特に限定されるものではない。
【0052】
次に、放射線像変換パネルの製造方法を図3に示す放射線像変換パネルを例にとって説明する。
【0053】
まず剛性層の一方に輝尽性蛍光体層を形成する。輝尽性蛍光体層は、蒸着法、スパッタ法など公知の気相堆積法により、あるいは塗布により剛性層上に形成することができる。ここでは、気相堆積層により設ける場合を例にとって説明する。
【0054】
蒸着法においては、まず剛性層を蒸着装置内に設置した後、装置内を排気して10-4 Pa程度の真空度とする。次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも一つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて剛性層表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。これにより結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を形成することができる。蒸着工程を複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、蒸着工程では複数の抵抗加熱器あるいはエレクトロンビームを用いて共蒸着し、剛性層上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することもできる。
【0055】
スパッタ法においては、蒸着法と同様に剛性層をスパッタ装置内に設置した後装置内を一旦排気して10-4 Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr,Ne等の不活性ガスをスパッタ装置内に導入して10-1 Pa程度のガス圧とする。
【0056】
次に、輝尽性蛍光体をターゲットとして、スパッタリングすることにより、剛性層表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに堆積させる。スパッタ工程においても蒸着法と同様に、複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、また、それぞれ異なった輝尽性蛍光体からなる複数のターゲットを用いて、同時あるいは順次、ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法においては、必要に応じて O2,H2やハロゲン等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。
【0057】
剛性層上に蒸着あるいはスパッタにより輝尽性蛍光体層を設けたら、蛍光体層が設けられていない剛性層上(設けた輝尽性蛍光体層の外周部分)に封止部材を配置する。充填材そのものが接着性を有しないものである場合には、接着剤により充填材を接着することによって充填材層を形成し、さらにもう1枚の剛性層を充填材層の上に接着剤により接着させることにより放射線像変換パネルが製造される。
【0058】
充填材が接着性を有するものである場合には、接着剤を用いないで充填材そのものが接着性を有しない場合と同様の方法で形成することができる。また、封止部材を配置した剛性層ともう一枚の剛性層を対向させて貼り合わせ、剛性層間に形成された隙間に充填材を流し込んで固め、最後に充填材を流し込んだ箇所を封止部材で封止する方法によっても放射線像変換パネルを形成することができる。
【0059】
なお、得られる画像の鮮鋭度を向上させることを目的として、本発明の放射線像変換パネルを構成する上記充填材層は励起光を吸収し、輝尽発光光は吸収しないような着色剤によって着色されていてもよい(特公昭54-23400号参照)。
【0060】
ここでは、輝尽性蛍光体層が剛性層の一方に蒸着している場合について述べているが、図2に示す放射線像変換パネルのように剛性層間に充填材が挟まれた構造上に、従来の放射線像変換パネルを載置したものも同様の方法で形成することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
【0061】
【実施例】
(実施例1)
剛性層として700μm 厚の石英ガラス板(弾性率7×105 kgf/cm2 )を蒸着器中に設置した。次に白金ボート中にアルカリハライド輝尽性蛍光体(CsBr:0.01Eu)を入れ、蒸着器を排気して2×10-4Paの真空度とした。その後、白金ボート中の輝尽性蛍光体に電子銃から2.3kVの加速電圧の電子線を30分間照射し、30μm/分の速度で石英ガラス板上に輝尽性蛍光体を堆積させた。堆積後、電子線の照射を止め、蒸着器中を大気圧に戻し、石英ガラス板を取り出した。石英ガラス板上には太さ20μm、長さ900μm の針状の輝尽性蛍光体が密に立って堆積していた。
【0062】
次に、剛性層上の輝尽性蛍光体層が形成されていない部分に、吸湿材としてシリカゲルを封入したポリエチレン(ハイシート・ドライ 丸谷加工機(株)製、25℃、80%RHでの平衡吸湿率 3.3%)を配置した。続いて、輝尽性蛍光体層上にポリウレタン系接着剤(T-600 日本曹達(株)製)により充填材としてマイクロポリマーシート(PORPN:RIC ロジャースイノアック社製,厚さ:2000μm,密度0.5g/cm3 )を接着し、接着したマイクロポリマーシート上に、もう1枚の剛性層として、700μm 厚の石英ガラス板(弾性率 7×105 kgf/cm2)を載置しこれをポリウレタン系接着剤により接着して放射線像変換パネルを形成した。
【0063】
(実施例2)
剛性層として700μm 厚の石英ガラス板(弾性率7×105 kgf/cm2)を蒸着器中に設置した。次に白金ボート中にアルカリハライド輝尽性蛍光体(CsBr:0.01Eu)を入れ、蒸着器を排気して2×10-4Paの真空度とした。その後、白金ボート中の輝尽性蛍光体に電子銃から2.3kVの加速電圧の電子線を30分間照射し、30μm/分の速度で石英ガラス板上に輝尽性蛍光体を堆積させた。堆積後、電子線の照射を止め、蒸着器中を大気圧に戻し、石英ガラス板を取り出した。
【0064】
次に、剛性層上の輝尽性蛍光体層が設けられた側の、輝尽性蛍光体層の外周部分に外周の一辺を除いて、封入部材として石英ガラス棒をガラス融着により接着配置した。封入部材が配置された剛性層とさらに別の剛性層(1000μm 厚のカーボンFRP,弾性率5×106 kgf/cm2 )を対向させて、これをエポキシ樹脂で接着した。剛性層間にできた隙間に熱硬化性エポキシ樹脂(商品名 セメダインEP1001:セメダイン(株)社製,密度1.2g/cm3 )を流し込んで充填材層を形成した。最後に、封入部材が設けられていない一辺に、封入部材として石英ガラスをガラス融着により接着配置して放射線像変換パネルを形成した。
【0065】
上記、実施例1および実施例2のいずれの放射線像変換パネルも従来の放射線像変換パネルと殆ど変わらない重量でありながら、撓みが少ないものであった。よって、放射線像変換パネルの水平性を高く維持することが可能となり、発光光の集光効率を良好なものとすることができ、加えて放射線吸収は抑えることができるため良好な画質を維持することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態を示す放射線像変換パネルの断面図
【図2】本発明の第二の実施の形態を示す放射線像変換パネルの断面図
【図3】本発明の第三の実施の形態を示す放射線像変換パネルの断面図
【図4】放射線画像情報読取装置の概略図
【図5】励起光および集光レンズとパネルの距離が適当である場合を示した概略図
【図6】励起光および集光レンズとパネルの距離が離れている場合を示した概略図
【符号の説明】
10 放射線像変換パネル
11 輝尽性蛍光体層
12 第一の剛性層
13 第二の剛性層
14 充填材層
37 封入部材
L 励起光
M 輝尽発光光
45 光学レンズ(集光レンズ)
Claims (7)
- 第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層され、該輝尽性蛍光体層上に充填材層が接着されて設けられ、該充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層され、前記第一の剛性層および前記第二の剛性層の密度よりも前記充填材層の密度が低いことを特徴とする放射線像変換パネル。
- 第一の剛性層上に輝尽性蛍光体層が積層され、該輝尽性蛍光体層が積層された側とは反対側に充填材層が接着されて設けられ、該充填材層上に第二の剛性層が接着されて積層され、前記第一の剛性層および前記第二の剛性層の密度よりも前記充填材層の密度が低いことを特徴とする放射線像変換パネル。
- 一方の側から放射線が照射され、該放射線の照射により前記輝尽性蛍光体層に蓄積された放射線画像情報が他方の側から読み取られるものであることを特徴とする請求項1または2記載の放射線像変換パネル。
- 請求項1、2または3記載の放射線像変換パネルであって、放射線画像情報が蓄積された放射線像変換パネルに励起光を照射し、該励起光の照射により前記放射線像変換パネルから発せられた発光光を光学レンズを介して受光手段に集光する放射線画像情報読取装置に用いられるものであることを特徴とする放射線像変換パネル。
- 前記充填材層が、不織布、合成繊維、天然繊維、グラスファイバー、発泡ウレタン、発泡PET、多孔質セラミック、ミクロフィルター、樹脂および中空粒子をバインダーに混合したもの、からなる群より選ばれたものからなることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載の放射線像変換パネル。
- 前記充填材層が、密度1.7以下の樹脂からなることを特徴とする請求項5記載の放射線像変換パネル。
- 前記充填材層が、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂からなる群より選ばれたものからなることを特徴とする請求項6記載の放射線像変換パネル。
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