JP3907747B2 - 油浸紙ソリッドケーブルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、油浸紙ソリッドケーブルの製造方法に関し、特に油浸プラスチックラミネート紙ソリッドケーブルの絶縁油含浸方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
油浸紙ソリッドケーブルは、構造が簡単で長距離に適し、また給油設備が不要であることから、直流海底ケーブルとして数多くの実績を有している。
【0003】
油浸紙ソリッドケーブルは、高粘度の絶縁油を含浸するもので、普通クラフト紙絶縁が知られている。また、最近、低損失プラスチックフィルム、例えばポリプロピレンの溶融押出し層を中間層として2枚のクラフト紙を一体化した積層絶縁体のテープを導体上に巻付けて絶縁体層とした油浸紙ソリッドケーブルが提案されている。
【0004】
油浸紙ソリッドケーブルのように、高粘度の絶縁油を含浸するケーブルでは乾燥を完了したケーブルコアはそのまま乾燥タンク(釜)中で、乾燥終了後早い時間に高粘度絶縁油を含浸し、その後加圧する方法が使用されている。1例として図5に示すように、巻枠またはパン(大きな皿)に巻かれたケーブルコアは、乾燥釜に投入され、加熱と同時に真空引される。加熱には乾燥釜壁の蒸気加熱と、ケーブル導体への通電加熱とが併用される。加熱温度は、絶縁紙の劣化を考慮して、通常100〜120℃である。真空度は、温度100〜120℃の場合10-1〜10-2mmHg が必要である。乾燥終了と判定された時点で釜の真空度をそのままで、十分脱気された絶縁油を真空中で注入して含浸を開始する。加圧含浸したのち常温付近まで冷却し、乾燥釜から取出して次工程に送られる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述の含浸方法では、プラスチックラミネート紙の場合、高温で含浸することになるので、プラスチックラミネート紙は膨潤し、油流抵抗が大きくなる。油流抵抗が大きいとヒートサイクル負荷遮断時にケーブルが負圧又はボイド発生の一因となる。即ち、図6の概念図に示すように、導体1000mm2 ,ポリプロピレンラミネート紙の絶縁厚25mmのソリッドケーブルの場合であるが、負荷1500Aを遮断した時、ケーブル絶縁層の導体側油圧は、油流抵抗が大きい(Z>1012g・s cm-2)と負圧となり、油流抵抗が小さい(Z<1011g・scm-2)と負圧にはならないことを示している。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するため、油浸紙ソリッドケーブルの製造方法において、プラスチックラミネート紙を導体上に巻付けて絶縁体層を形成し、加熱・乾燥し、高粘度絶縁油を含浸させるに当たり、乾燥終了時の乾燥容器の真空度を保持したままケーブル温度を降温し、所定温度に降下した時点で前記高粘度絶縁油の含浸を開始し、順々に昇圧して加圧含浸することを特徴とする。
【0007】
そうしてまた、前記の加圧ステップを2〜10時間毎に0.1〜0.5kg/cm2 とすることを特徴とする。
【0008】
更に、前記所定温度を該ケーブル使用最高温度とすることを特徴とする。
【0009】
上記の方法によれば、例えば海底ソリッドケーブルでは60℃で高粘度絶縁油を含浸するので、プラスチックラミネート紙の膨脹率が小さい(図2参照)ので油流抵抗は大きくならない。従って、負荷遮断時にケーブル絶縁層が負圧又はボイドが発生する可能性がない。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。先ず、本発明に係わる油浸紙ソリッドケーブルの製造工程のフローを図3に示す。図の工程において特に本発明に係わる工程は紙巻−乾燥−浸油の工程であり、これらの工程について順に説明する。紙巻機でより線導体の周りに、例えば、ポリプロピレンフィルムとクラフト紙を積層して一体化した厚さ125μの複合絶縁紙のテープを所定厚さに巻付けて絶縁層を形成する。なお絶縁層の最内層と最外層にはカーボン紙、金属化紙などを巻付けて遮蔽層を設けている。
【0011】
次に乾燥工程であるが、絶縁紙は通常6〜8%の水分を含んでおり、一方、電気的性能上からケーブル絶縁層の水分は0.1%以下であることが要求されることから、ケーブルの乾燥が必要とされる。乾燥は真空加熱によって行なわれ、図4に示すように、パン(大きな皿)3に巻かれたケーブルコア1は、乾燥釜(図示せず)に投入され、加熱と同時に真空引される。乾燥には乾燥釜の壁からの蒸気加熱と、ケーブルコア1の導体への通電加熱とが併用される。加熱温度及び真空度は図1に示すように、ケーブル温度Tc が110℃で真空度は−760mmHg で実施される。なお、図4の絶縁油5は、乾燥工程では未だパン3内には注入されていない。
【0012】
図1において、乾燥完了の判定は、所定の真空度(実例では−760mmHg )に到達したら一定間隔で一定時間真空引を止め、乾燥釜の真空度低下を読み、その値が規格値以内に入った点をもって終了とする。乾燥時間は、絶縁厚さ、ケーブル量、温度、排気系の能力等によるが、おおよそ10〜20日程度である。
【0013】
次に浸油工程に入るが、上記の乾燥完了の判定後、その真空度を保持したまま降温して所定の温度、例えば海底ソリッドケーブルでは60℃に降下した時点で、十分脱気された高粘度の絶縁油をパン内に注入し、含浸を開始する。含浸油圧の加圧ステップを2〜10時間毎に0.2〜0.3kg/cm2 とし、最終加圧3〜6kg/cm2 (図1では3kg/cm2 )を5時間以上保持して、含浸を開始してから約4〜8日間加圧含浸を続ける。加圧含浸を続けている時間中、ケーブル温度は、図1では降温を続けているが、含浸開始時のケーブル温度、例えば海底ソリッドケーブルでは60℃を保持するようにしてもよい。加圧含浸したのち常温付近まで冷却し、乾燥釜から取出して次工程である鉛被に送られる。
【0014】
上述したように、ケーブル温度が50℃〜70℃で含浸するのでプラスチックラミネート紙の膨潤率が小さい。この温度と膨潤率との関係を図2に示す。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法による油浸紙ソリッドケーブルは、プラスチックラミネート紙の膨潤率が小さいので油流抵抗は大きくならない。従って、負荷遮断時の絶縁層に負圧現象が起きないことから、ケーブルの耐電圧安定性が秀れている。
【0016】
また、プラスチックラミネート紙の膨潤率が小さいのでケーブルが固くならず機械特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の油浸紙ソリッドケーブル製造方法に係る乾燥、油浸工程におけるケーブル温度、乾燥釜の真空度、含浸油圧等の関係を示すグラフである。
【図2】本発明の製造方法による効果を説明するためのプラスチックラミネート紙の膨潤率と含浸温度との関係を示すグラフである。
【図3】本発明に係る油浸紙ソリッドケーブルの製造工程を示す工程図である。
【図4】本発明の製造方法において乾燥釜に投入されるソリッドケーブルを収容したパンを示す説明図である。
【図5】従来の油浸紙ソリッドケーブル製造方法の乾燥、油浸工程におけるケーブル温度、乾燥釜の真空度、含浸油圧等の関係を示すグラフである。
【図6】従来の製造方法による油浸紙ソリッドケーブルの負荷遮断時の導体側絶縁層油圧が負圧となる現象を説明する概念説明図である。
【符号の説明】
1 ケーブルコア
3 パン
5 絶縁油
Claims (3)
- プラスチックラミネート紙を導体上に巻付けて絶縁体層を形成し、加熱・乾燥し、高粘度絶縁油を含浸させるに当たり、乾燥終了時の乾燥容器の真空度を保持したままケーブル温度を降温し、所定温度に降下した時点で前記高粘度絶縁油の含浸を開始し、順々に昇圧して加圧含浸することを特徴とする油浸紙ソリッドケーブルの製造方法。
- 高粘度絶縁油の加圧含浸の加圧ステップを2〜10時間毎に0.1〜0.5kg/cm2 とすることを特徴とする請求項1記載の油浸紙ソリッドケーブルの製造方法。
- 乾燥完了後ケーブル温度を降温して高粘度絶縁油の含浸する温度を該ケーブル使用最高温度とすることを特徴とする請求項1記載の油浸紙ソリッドケーブルの製造方法。
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JP15845696A JP3907747B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | 油浸紙ソリッドケーブルの製造方法 |
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JP15845696A JP3907747B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | 油浸紙ソリッドケーブルの製造方法 |
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JPH1012067A JPH1012067A (ja) | 1998-01-16 |
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JP15845696A Expired - Fee Related JP3907747B2 (ja) | 1996-06-19 | 1996-06-19 | 油浸紙ソリッドケーブルの製造方法 |
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JP (1) | JP3907747B2 (ja) |
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1996
- 1996-06-19 JP JP15845696A patent/JP3907747B2/ja not_active Expired - Fee Related
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