JP3906544B2 - 熱硬化性樹脂組成物、接着剤シート、接着剤付き金属はく及び金属はく張積層板 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、接着剤シート、接着剤付き金属はく及び金属はく張積層板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性樹脂組成物、接着剤シート、接着剤付き金属はく及び金属はく張積層板に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器に広く用いられているプリント配線板は、金属はく張積層板に回路加工を施して得られる。この金属はく張積層板としては、織布基材に熱硬化性樹脂組成物のワニスを含浸乾燥して得られるプリプレグを金属はくとともに積層成形したものが広く用いられている。すなわち、絶縁基材層が熱硬化性樹脂組成物の硬化物と織布基材とからなる構造となっている。
最近、電子機器が小型化するのにともない、プリント配線板も薄型化し、また、配線を高密度化する必要がでてきている。
絶縁基材層の材料として織布基材を用いると、薄型化には限度がある。そこで、織布基材を用いない材料として、フィルム形成能を有する直鎖状エポキシ重合体及び熱硬化性樹脂、例えば、多官能エポキシ樹脂を必須成分とする熱硬化性樹脂樹脂組成物を用いることが提案され、実用化されている(特開平5−25368号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
プリント配線板の薄型化については、フィルム形成能を有する直鎖状エポキシ重合体及び熱硬化性樹脂を必須成分とする熱硬化性樹脂組成物を用いることで解決されたが、電子機器の小型化にともなうもう一つの課題、すなわち、プリント配線板の配線を高密度化するという課題を解決するためには、絶縁基材層の寸法安定性が良好であること、すなわち、熱膨張係数が小さいことが必要とされる。
請求項1に記載の発明は、硬化物の熱膨張係数が小さい熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
絶縁基材層が薄型化すると、絶縁信頼性が良好であること、平滑であること及び絶縁基材層形成が容易であることがさらに必要とされる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明の課題に加えて、絶縁信頼性が良好でありかつ平滑で絶縁基材層の形成が容易な熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0005】
また、絶縁基材層が薄型化すると、ワイヤボンディング時に変形してエッジショートが発生する恐れが大きくなることから、絶縁基材層自体も適度の剛性を有することが好ましいとされる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明の課題に加えて、適度の剛性を有する絶縁基材層を形成可能な熱硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物を絶縁基材層形成に便利となるようにシート状に形成してなる接着剤シートを提供することを目的とする。
また、請求項5に記載の発明は、請求項1、2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物を金属はく張積層板とするために便利となるように、接着剤付き金属はくを提供することを目的とする。
さらに、請求項6に記載の発明は、薄型で熱膨張係数が小さい絶縁基材層を有する金属はく張積層板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、重量平均分子量が70,000以上150,000未満の直鎖状エポキシ重合体、熱硬化性樹脂及び電気絶縁性ウィスカーを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物である。
ゲル浸透クロマトグラフィーにより測定され標準ポリスチレンに換算して得られる重量平均分子量(以下単に分子量とする)が70,000以上であると直鎖状エポキシ重合体はフィルム形成能を有する。直鎖状エポキシ重合体の分子量は、100,000以上であるのがより好ましい。分子量の上限は特に限定されないが、実際は150,000以上になると分子量の正確な測定が困難であり、また溶媒に溶解したときに高粘度となるため、取扱いが難しくなる傾向がある。
ここで、フィルム形成能を有するとは、例えば、溶媒に溶解した材料を流延したときに、フィルムが形成でき、形成されたフィルムが、搬送、切断及び積層などの工程中において、割れや欠落などのトラブルを生じにくいものであることを意味する。
ウィスカーは、細長い針状の単結晶であり、構造欠陥がほとんどない理想的に完全に近い結晶で、機械的強度においても理論的強度に近い材料である。ウィスカーとしては、導電性のウィスカーも知られているが、本発明においては、絶縁基材層を形成することから、電気絶縁性ウィスカーを用いる必要がある。
【0008】
このように細長い材料であることから、熱硬化性樹脂組成物を調製するときの作業性などを考慮すると、平均直径及び平均長さが適宜の範囲内であることが好ましい。
すなわち、請求項2に記載の発明は、電気絶縁性ウィスカーが、平均直径0.3〜3.0μmの範囲であり、平均長さが平均直径の10倍以上で100μm以下の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物である。
【0009】
平均直径が0.3μm未満であると樹脂への混合が難しくなると共に塗工作業性が悪くなる傾向にあり、3.0μmを超えると表面平滑性が悪くなる傾向にあり、塗工作業性を考慮すると0.5〜1.0μmの範囲がより好ましい。
平均長さが、平均直径の10倍未満であると、補強効果が十分得られない。また、平均直径の20倍以上であることがより好ましいが、ウィスカーが長すぎる場合にはワニス中への均一分散が困難になり、さらに導体回路とウィスカーとが接触する確率が高くなり、ウィスカーに沿って移動する傾向がある銅イオンのマイグレーションによる回路間短絡事故を起こしやすくなる可能性がある。このことから、100μm以下が好ましく、50μm以下が更に好ましい。
【0010】
また、高弾性率、高電気絶縁性および低熱膨張係数であることから、電気絶縁性ウィスカーとしては、ほう酸アルミニウムウィスカーを用いるのが好ましい。すなわち、請求項3に記載の発明は、電気絶縁性ウィスカーがほう酸アルミニウムウィスカーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物である。
【0011】
本発明になる熱硬化性樹脂組成物は、多層プリント配線板の構成材相互間、特に、外層用金属はくと内層材との接着剤として好ましく用いられる。多層プリント配線板の構成材相互間の接着には、通常、シート状の接着剤(例えばプリプレグ)が使用されることから、本発明の熱硬化性樹脂組成物をシート状に形成しておくのが好ましい。
すなわち、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状に形成してなる接着剤シートである。
【0012】
また、多層プリント配線板の製造工程における構成材を組み合わせる構成作業を容易にすることができることから、本発明になる熱硬化性樹脂組成物をシート状に形成するとき、あらかじめ金属はくと一体化しておくのが好ましい。
すなわち、請求項5に記載の発明は、金属はくの片面に請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を形成してなる接着剤付き金属はくである。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を絶縁基材層として含んでなる金属はく張積層板である。
ここで、絶縁基材層として含んでなるとは、例えば、多層プリント配線板の外層金属はくと、従来公知の絶縁基材層を有する内層材間の絶縁基材層が本発明になる熱硬化性樹脂組成物の硬化物である場合のように、絶縁基材層の一部が本発明になる熱硬化性樹脂組成物の硬化物である場合を含むの意味である。いうまでもなく、内層材の絶縁基材層を含めて全部の絶縁基材層が本発明になる熱硬化性樹脂組成物の硬化物であっても差し支えない。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる電気絶縁性ウィスカーとしては、前記のほう酸アルミニウムウィスカーのほか、ウォラストナイトウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、窒化けい素ウィスカー、α−アルミナウィスカーなど、セラミックウィスカーの範疇に含まれるウィスカーを使用することができる。これらは単独で使用してもよくまた2種以上併用してもよい。
絶縁基材層の強度の観点からは、弾性率が200GPa以上であるものを選択するのが好ましい。
これらのウィスカーは、市販品を使用することができ、所定の直径のウィスカーをボールミルなどの公知の装置により粉砕することにより所望の長さにして使用する。
【0015】
電気絶縁性ウィスカーは、熱硬化性樹脂組成物の5〜50体積%の範囲で配合されるのが好ましい。配合量が5体積%未満であると、例えばシート状に形成したとき強度が不足して取扱性が悪くなる傾向にあり、50体積%を超えると、加熱硬化時の流動性が不足して、内層回路の穴埋め性や回路充填性に劣る傾向があり、また平滑性や外観も悪くなる傾向がある。このことから、20〜45体積%であることがより好ましい。
【0016】
電気絶縁性ウィスカーをカップリング剤で表面処理しておくのが好ましい。これにより、樹脂成分との流れ性及び結合性を向上でき、絶縁基材層の強度及び耐熱性が向上する。カップリング剤としては、シリコン系、チタン系、アルミニウム系、ジルコニウム系、ジルコアルミニウム系、クロム系、ボロン系、リン系、アミノ酸系など、従来公知のカップリング剤を使用できる。
【0017】
本発明で用いるフィルム形成能を有する直鎖状エポキシ重合体(以下単に直鎖状エポキシ重合体という)は、例えば、二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の配合当量比をエポキシ基/フェノール水酸基=1/(0.9〜1.1)とし、触媒の存在下、沸点が130℃以上のアミド系溶媒中、反応固形分濃度5〜50重量%で、加熱して重合させることにより得られる。
【0018】
ここで用いられる二官能エポキシ樹脂は、分子内に二個のエポキシ基を持つ化合物であれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、二官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、二官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、これらのハロゲン化物これらの水素添加物などが挙げられる。これらの化合物の分子量に制限はない。また、これらの化合物を何種類か併用することができる。
【0019】
また、二官能フェノール類は、二個のフェノール性水酸基を持つ化合物であれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA又はビスフェノールF及びこれらのハロゲン化物又はアルキル置換体などが挙げられる。これらの化合物の分子量にも制限はない。二官能エポキシ樹脂と同様に、これらの化合物を、何種類かを併用して用いることができる。
【0020】
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類の配合当量比は、エポキシ基/フェノール性水酸基=1/(0.9〜1.1)とするのが好ましい。フェノール性水酸基の当量比が0.9未満であると、直鎖状に重合せず副反応により架橋して溶媒に不溶となる傾向にある。また、フェノール性水酸基の当量比が1.1を超えるとより大きいと、高分子量化が進まず、フィルム形成能が得られなくなる傾向がある。
【0021】
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール樹脂とを重合させるための触媒は、エポキシ基とフェノール性水酸基のエーテル化反応を促進させるような触媒機能を持つ化合物であれば特に制限はなく、例えばアルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、イミダゾール類、有機りん化合物、第二級アミン、第三級アミン、第四級アンモニウム塩などが挙げられる。アルカリ金属化合物の例としては、ナトリウム、リチウム又はカリウムの、水酸化物、ハロゲン化物、有機酸塩、アルコラート、フェノラート、水素化物、ほう水素化物又はアミドなどが挙げられる。これらの触媒は併用することができる。
【0022】
触媒の配合量は、二官能エポキシ樹脂1モルに対して触媒が0.0001〜0.2モル程度であのが好ましい。触媒の配合量が、0.0001モル未満であると、反応が著しく遅くなり、0.2モルを超えると副反応が多くなり直鎖状になりにくい傾向がある。
【0023】
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類との反応は、好ましくは、溶媒中で行われる。反応を促進するため60〜150℃に加熱するのが好ましい。反応温度が60℃未満であると、反応に長時間を要し、150℃を超えると副反応が多くなり直鎖状にならない傾向がある。このことから、溶媒としては、原料となる二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類を溶解するものであって、沸点が130℃以上のアミド系溶媒を用いるのが好ましい。このようなアミド系溶媒としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N,N’,N’テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、カルバミド酸エステルなどが挙げられる。これらの溶媒は併用することができる。
【0024】
二官能エポキシ樹脂と二官能フェノール類との反応は、固形分濃度を50重量%未満として行われるのが好ましい。50重量%を超えると副反応が多くなり、直鎖状になりにくい傾向がある。また、10重量%未満では、反応に長時間を要する傾向がある。このことから、固形分濃度を20〜40重量%で行うのがより好ましい。また、高濃度で重合反応を行わせるときには、反応温度を低くし、触媒量を少なくするのが好ましい。
【0025】
本発明で使用する熱硬化性樹脂としては、従来積層板用として公知の熱硬化性樹脂を使用することができる。
このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、けい素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シアン酸エステル樹脂、イソシアネート樹脂又はこれらの種々の変性樹脂類が挙げられる。こららのうち、耐熱性及び電気的な特性が良好であることからビスマレイミド−トリアジン樹脂又はエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、サリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族環状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、これらのハロゲン化物、これらの水素添加物を挙げることができる。これらは、単独でもまた2種以上を併用してもよい。
これらのうち、耐熱性が良好であることからビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂又はサリチルアルデヒドノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
【0026】
本発明での熱硬化性樹脂組成物には、直鎖状エポキシ重合体及び熱硬化性樹脂のほか、熱硬化性樹脂の硬化剤が配合される。硬化剤としては、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、ジシアンジアミド、フェノール系硬化剤などが挙げられる。フェノール系硬化剤としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ポリビニルフェノール、フェノールノボラック樹脂(ハロゲン化物又は水素化物を含む)、ビスフェノールAノボラック樹脂(ハロゲン化物又は水素化物を含む)などが挙げられる。中でも、硬化物の耐熱性が優れることから、ビスフェノールAノボラック樹脂が好ましい。
この硬化剤の配合割合は熱硬化性樹脂よって異なるが、例えば、エポキシ樹脂の場合、エポキシ樹脂100重量部に対して、ジシアンジアミドでは2〜5重量部、フェノール系硬化剤では30〜80重量部の範囲で適宜選択される。
【0027】
硬化剤のほか、必要により硬化促進剤を使用する。硬化促進剤としては、熱硬化性樹脂がエポキシ樹脂の場合、イミダゾール化合物、有機リン化合物、第3級アミン、第4級アンモニウム塩などが挙げられる。
この硬化促進剤の配合割合は、エポキシ樹脂100重量部に対して、0.01〜20重量部の範囲で適宜選択される。
【0028】
直鎖状エポキシ重合体と熱硬化性樹脂との配合の割合は、直鎖状エポキシ重合体100重量部に対して熱硬化性樹脂10〜200重量部の範囲が好ましく、30〜100重量部の範囲がより好ましい。熱硬化性樹脂が10重量部未満では、絶縁基材層としたときに耐熱性が不足する傾向にあり、熱硬化性樹脂が200重量部を超えるとシート化が困難となる傾向がある。
【0029】
本発明の熱硬化性樹脂組成物は、ワニスとして以後の工程に供される。必要に応じてカップリング剤を配合してもよい。ワニスの溶媒としては、直鎖状エポキシ重合体の合成に用いた溶媒をそのまま用いることができる。
また、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノエチルメチルエーテル、メタノール、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどを溶媒として使用することもできる。
溶媒の配合割合は、熱硬化性樹脂組成物の固形分100重量部に対して5〜200重量部の範囲が好ましく、30〜100重量部の範囲がより好ましい。5重量部未満であると塗工性が悪くなる傾向にあり、200重量部を超えると成形後の耐熱性が悪くなる傾向にある。
【0030】
シート状に形成する方法としては、例えばナイフコーター法、流延法など公知の方法によることができ、特に制限はない。シートの厚さは、30〜150μmの範囲で用途に応じて適宜選択される。シートの厚さが30μm未満であると、成形後の表面段差が大きくなる恐れがあり、また150μmを超えるとシートを平滑に形成するのが困難となる傾向にある。
金属はく、例えば銅はくの片面に、ワニスを塗布し、乾燥することにより、接着剤付き金属はくを得ることができる。また、2枚の金属はくの間に本発明になるシート状接着剤を配置し、加熱加圧することにより、金属はく張積層板を得ることができる。また、回路を形成したプリント配線板を内層材とし、これに接着剤付き金属はくを重ねて加熱加圧することにより多層プリント配線板(金属はく張積層板の1種である)を得ることができる。
また、接着剤付き金属はくにあらかじめ穴あけ加工を施すことにより、IVH(Interstitial Via Hole)を有する多層プリント配線板を製造することができる。
【0031】
【実施例】
実施例1
(直鎖状エポキシ重合体溶液の調製)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量:177.5)177.5重量部、ビスフェノールA(水酸基当量:115.5)115.5重量部、水酸化ナトリウム1.77重量部をN,N−ジメチルホルムアミド547.9重量部に溶解し、撹拌しながら、オイルバスにより温度を120℃に保持した。4時間経過後、粘度が12,800mPa・sで飽和したところで反応を終了し、直鎖状エポキシ重合体溶液を得た。溶液に含まれる直鎖状エポキシ重合体の分子量は、72,500であった。
【0032】
(電気絶縁性ウィスカーを分散させた熱硬化性樹脂溶液の調製)
ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量:210)100重量部、ビスフェノールA型ノボラック樹脂(水酸基当量:123)37重量部、テトラブロモビスフェノールA47重量部及び2−エチル−4−メチルイミダゾール0.5重量部をメチルエチルケトン100重量部に溶解し、これに、平均直径0.8μm、平均繊維長20μmのほう酸アルミニウムウィスカーを、固形分中25体積%になるように加え、均一に分散するまで撹拌した。
【0033】
(熱硬化性樹脂組成物ワニスの調製)
前記で得られた直鎖状エポキシ重合体溶液100重量部、電気絶縁性ウィスカーを分散させた熱硬化性樹脂溶液100重量部、及び、メチルエチルケトン30重量部を均一になるまで撹拌して熱硬化性樹脂組成物ワニスを調製した。
【0034】
(接着剤付き銅はくの作製)
得られた熱硬化性樹脂組成物ワニスを、厚さ18μmの銅はくに、ナイフコータにより乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、温度140℃で5分間加熱乾燥して溶媒を除去すると共に、熱硬化性樹脂組成物を半硬化させ、接着剤付き銅はくを作製した。
【0035】
(銅張積層板の作製)
得られた接着剤付き銅はくに厚さ18μmの片面粗化銅はくを、粗化面が接着剤と接するようにして重ね、温度175℃、圧力2.5MPaで60分間加熱加圧して両面の銅張積層板を作製した。
【0036】
実施例2
実施例1で得られた直鎖状エポキシ重合体溶液100重量部、電気絶縁性ウィスカーを分散させた熱硬化性樹脂溶液50重量部、及び、メチルエチルケトン30重量部を均一になるまで撹拌して熱硬化性樹脂組成物ワニスを調製した。
以下実施例1と同様にして、接着剤付き銅はくを作製し、銅張積層板を作製した。
【0037】
比較例1
(熱硬化性樹脂組成物ワニスの調製)
実施例1で得られた直鎖状エポキシ重合体溶液100重量部にフェノールノボラック樹脂(水酸基当量:105)50重量部を配合し、均一になるまで撹拌して熱硬化性樹脂組成物ワニスを調製した。
以下実施例1と同様にして、接着剤付き銅はくを作製し、銅張積層板を作製した。
【0038】
以上で得られた銅張積層板の銅はくをエッチングにより除去し、残された絶縁層について、30〜100℃の熱膨張係数を測定した。
また、銅張積層板について、銅はくの引き剥がし強さを、JIS C 6481に準拠して測定した。さらに、銅張積層板を260℃のはんだ浴に30秒浮かべた後の外観の状態を観察することによりはんだ耐熱性を調べた。これらの結果を表1に示す。表1のはんだ耐熱性の項において、良好とは外観に変化が認められないことを意味する。
【0039】
【表1】
Figure 0003906544
【0040】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明になる熱硬化性樹脂組成物は、硬化物の熱膨張係数が小さく、従って、寸法安定性に優れた絶縁基材層の形成に有益である。
また、請求項2に記載の発明になる熱硬化性樹脂組成物は、請求項1に記載の発明の効果に加えて、絶縁信頼性がより良好でありかつ平滑な絶縁基材層の形成が容易であるという効果を奏する。
また、請求項3に記載の発明になる熱硬化性樹脂組成物は、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、薄型で剛性を有する絶縁基材層を形成できるという効果を奏する。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1、2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物を絶縁基材層形成に有益な接着剤シートを提供することができる。
また、請求項5に記載の発明によれば、請求項1、2又は3に記載の熱硬化性樹脂組成物を金属はく張積層板とするために有益な接着剤付き金属はくを提供することができる。
さらに、請求項6に記載の発明によれば、薄型で熱膨張係数が小さい絶縁基材層を有する金属はく張積層板を提供することができる。

Claims (6)

  1. 重量平均分子量が70,000以上150,000未満の直鎖状エポキシ重合体、熱硬化性樹脂及び電気絶縁性ウィスカーを必須成分とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 電気絶縁性ウィスカーが、平均直径0.3〜3.0μmの範囲であり、平均長さが平均直径の10倍以上で100μm以下の範囲である請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  3. 電気絶縁性ウィスカーがほう酸アルミニウムウィスカーである請求項1又は2に記載の熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物をシート状に形成してなる接着剤シート。
  5. 金属はくの片面に請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物からなる接着剤層を形成してなる接着剤付き金属はく。
  6. 請求項1〜3のいずれかに記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物を絶縁基材層として含んでなる金属はく張積層板。
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