JP3905820B2 - 難燃性エポキシ樹脂組成物、並びにそれを含有するプリプレグ、積層板、銅張積層板およびプリント配線板 - Google Patents

難燃性エポキシ樹脂組成物、並びにそれを含有するプリプレグ、積層板、銅張積層板およびプリント配線板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハロゲンフリー化を可能とすることができる難燃性のエポキシ樹脂組成物、並びにこのエポキシ樹脂組成物にて形成されるプリプレグ、積層板及びプリント配線板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ樹脂は、耐熱性、密着性、電気特性(電気絶縁性)などの優れた性能から電気電子材料部品を中心に幅広く使用されている。
【0003】
これら電気電子材料部品のうち、電気プリント配線板用ガラスエポキシ積層板に代表される電気積層板用途においては、高い難燃性(UL−94燃焼試験でV−0)が求められており、通常は臭素化エポキシ樹脂等のハロゲン元素を含有した化合物が用いられている。例えば、電気プリント回路用エポキシ樹脂積層板では、一般に臭素化エポキシ樹脂を主原料成分としたエポキシ樹脂と、ジシアノジアミドやフェノール化合物等のエポキシ樹脂硬化剤とを配合して用いられている(特許文献1乃至3参照)。
【0004】
しかし、このようなハロゲン原子含有化合物の使用は、近年のダイオキシンに代表される環境問題の一要因となっている他、高温環境下でのハロゲン解離による電気的な長期信頼性への悪影響などから、ハロゲン系化合物の使用量低減や、ハロゲン系化合物に代替できる他の化合物を使用した難燃剤、あるいは他の難燃処方の開発が強く求められている。
【0005】
このようなハロゲン系化合物による難燃処方に代わる技術として、例えばリン酸エステル系化合物などを難燃剤として併用または代替する技術が種々検討されている(特許文献4参照)。
【0006】
しかしながら、リン酸エステル系化合物を難燃剤として使用する技術で高い難燃性(例えばUL−94燃焼試験でV−0レベル)を確保するためには、これら難燃剤を相当量添加する必要があり、そのために成形品の重要な特性である耐熱性や耐水性、酸またはアルカリに対する耐薬品性等の低下を伴うという重大な欠点があった。
【0007】
【特許文献1】
特開平5−9394号公報
【特許文献2】
特開平9−125037号公報
【特許文献3】
特開平9−283876号公報
【特許文献4】
特開平10−193516号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、難燃化の手法としてノンハロゲンによって燃焼の際に有毒ガスの発生がなく、且つ成形品に優れた耐熱性、耐水性および耐薬品性を付与すると共に難燃性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等にも優れた成形品を形成することができる難燃性エポキシ樹脂組成物、並びにこの難燃性エポキシ樹脂組成物にて形成されるプリプレグ、積層板及びプリント配線板を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る難燃性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂と反応する反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を硬化剤(B)として含有し、エポキシ樹脂と反応する反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)が、ジカルボン酸成分(p)と、グリコール成分(q)と、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)に付与される反応基を有する反応性付与成分(t)と、これらジカルボン酸成分(p)、グリコール成分(q)、反応性付与成分(t)のうち少なくともいずれかと反応して重合又は重縮合可能な反応性を有する反応性リン含有化合物(s)とを、反応性付与成分(t)の割合が字カルボン酸成分(p)と反応性付与成分(t)の合計融で1〜60モル%となるように縮合反応又は重縮合反応させたものであることを特徴とするものである。
【0014】
また請求項の発明は、請求項において、反応性付与成分(t)が、三塩基酸無水物と四塩基酸無水物のうちの少なくとも一方を含むものであることを特徴とするものである。
【0015】
また請求項の発明は、請求項1又は2において、反応性付与成分(t)が、三塩基酸無水物である無水トリメリット酸及び四塩基酸無水物である無水ピロメリット酸のうちの少なくとも一方を含むものであることを特徴とするものである。
【0016】
また請求項の発明は、請求項乃至のいずれかにおいて、反応性リン含有化合物(s)が、カルボキシル基及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種のエステル形成性官能基を有することを特徴とするものである。
【0017】
また請求項の発明は、請求項乃至のいずれかにおいて、反応性リン含有化合物(s)が、下記一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であることを特徴とするものである。
【0018】
【化4】
Figure 0003905820
【0019】
(式中、R〜Rはそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R〜Rと同一であっても、異なっていてもよい。但し、R〜R並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。)
【0020】
【化5】
Figure 0003905820
【0021】
(式中、R及びR10はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R及びR10の少なくとも一方はエステル形成性官能基を有する。)
【0022】
【化6】
Figure 0003905820
【0023】
(式中、R11〜R13はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R11〜R13の少なくともいずれかはエステル形成性官能基を有する。)
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、硬化剤(B)の一部又は全部としてノボラック樹脂を含有して成ることを特徴とするものである。
【0024】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が、150〜1000g/eqであることを特徴とするものである。
【0025】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、エポキシ樹脂(A)が、その分子構造内にハロゲン原子を含まないもののみからなることを特徴とするものである。
【0026】
請求項に係るプリプレグは、請求項1乃至のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物を基材に含浸させて成ることを特徴とするものである。
【0027】
請求項10に係る積層板は、請求項に記載のプリプレグを成形して成ることを特徴とするものである。
【0028】
また請求項11の発明は、請求項10において、一面又は両面に金属箔を積層成形して成ることを特徴とするものである。
【0029】
請求項12に係るプリント配線板は、請求項10又は11に記載の積層板の一面又は両面に導体配線を形成して成ることを特徴とするものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳述する。
【0031】
本発明に係る難燃性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を含有させることで得られるものである。また本発明に係るエポキシ樹脂組成物を調製するにあたり、ハロゲンを含有する物質は用いないものとして、ノンハロゲンの難燃性エポキシ樹脂組成物を調製するものである。
【0032】
本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、特に限定されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、2,2’,6,6’−テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビス−β−トリフルオロメチルジグリシジルビスフェノールA等のビスフェノール型エポキシ樹脂;1,6−ジグリシジルオキシナフタレン型エポキシ樹脂、1−(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)−1−(2−グリシジルオキシナフチル)メタン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)メタン、1,1−ビス(2,7−ジグリシジルオキシナフチル)−1−フェニル−メタン等のナフタレン系エポキシ樹脂;ビフェノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、レゾルシノージグリシジルエーテル等のその他の2官能型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールADノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;前記ビスフェノール型エポキシ樹脂と、ノボラック型エポキシ樹脂とを、ビスフェノールを介して共重合させたエポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノールとの重付加体のエポキシ化物に代表される環式脂肪族エポキシ樹脂;フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジルp−オキシ安息香酸、ダイマー酸グリシジルエステル、トリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジルp−アミノフェノール、テトラグリシジルm−キシリレンジアミン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ヒダントイン型エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;その他、フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−2−[4−[1,1−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−[4−[1−[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]−1−メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]−2−プロパノール、テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、テトラグリシドキシビフェニル等のエポキシ樹脂などが挙げられる。
【0033】
上記エポキシ樹脂はそれぞれ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また上記のようなエポキシ樹脂を変性したエポキシ樹脂を併用しても良い。
【0034】
これらのエポキシ樹脂の中でも、エポキシ当量が150〜1000g/eqのものが好ましい。即ち、エポキシ当量が1000g/eq以下の領域において、硬化物の架橋密度が高まり、Tg(ガラス転移点)や耐熱性、半田耐熱性などが向上し、積層板としての性能が向上する。
【0035】
また成形品に高Tg、高耐水性、耐半田性を付与することができることから、上記のエポキシ樹脂の一部又は全部としてノボラック型エポキシ樹脂を使用するのが好ましい。このようにノボラック型エポキシ樹脂を用いる場合には、その含有量はエポキシ樹脂(A)全量に対して20重量%以上が特に好ましい。ノボラック型エポキシ樹脂含有量がそれより少ないと、上記のような成形品に高Tg、高耐水性、耐半田性の付与を充分に発現させることが困難となる。
【0036】
また、本発明においては、上記エポキシ樹脂(A)と共に、シクロヘキセンオキサイド、トリシクロデセンオキサイド、シクロペンテンオキサイド等のエポキシ系反応性希釈剤を併用してもよい。
【0037】
硬化剤(B)としては、エポキシ樹脂用として通常用いられている硬化剤を適用することが可能であり、例えば、ノボラック樹脂;ジシアンジアミド、イミダゾール、BF−アミン錯体、グアニジン誘導体等の潜在性アミン系硬化剤;メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族アミン類;シクロホスファゼンオリゴマー等の窒素原子を含有する硬化剤;ポリアミド樹脂、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ピロメリット酸などの酸無水物系硬化剤等を用いることができる。また後述するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)のうち特に反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を、硬化剤(B)として配合するが、詳しくは後述する。このような硬化剤(B)は一種単独で使用し、或いは二種以上を併用することができる。
【0038】
また硬化剤(B)としては、特にその一部又は全部としてノボラック樹脂を用いることも好ましい。例えば組成物中に配合されるリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)が全て反応基を有さないリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−2)である場合に硬化剤(B)の一部又は全部としてノボラック樹脂を用い、また組成物中に硬化剤(B)として反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)が配合される場合に硬化剤としてノボラック樹脂を併用することができるものである。
【0039】
このようなノボラック樹脂としては、特に制限されるものではないが、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチルフェノール、n−プロピルフェノール、イソプロピルフェノール、n−ブチルフェノール、イソブチルフェノール、タ−シャリブチルフェノール、セカンダリブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール、n−ドデシルフェノール、イソアミルフェノール、イソオクチルフェノール、ターシャリアミノフェノール、ターシャリオクチルフェノール、ビスフェノールA等のフェノール類をホルマリン類等で架橋したノボラック樹脂が挙げられる。これらのなかでも特に耐熱性に優れる点からフェノールをホルマリンで架橋したフェノールノボラック樹脂、又はクレゾールをホルマリンで架橋したクレゾールノボラック樹脂が好ましい。
【0040】
またこのノボラック樹脂は、耐熱性と、電気積層板用途におけるクロス状基材への含浸性とのバランスの点から軟化点50〜150℃であることが好ましい。
【0041】
組成物中における硬化剤(B)の配合量は、組成物を構成する成分に応じ、プリプレグの成形性やプリプレグの硬化成形時の成形性等を考慮して適宜設定されるものであって特に制限されないが、難燃性、耐熱性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等に特に優れたエポキシ樹脂組成物を得るためには、好ましくは組成物中の全エポキシ樹脂(A)に対する化学量論上の当量比が0.6〜1.4の範囲となるように配合する。
【0042】
また本発明におけるエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を含有させることもできる。この硬化促進剤としては公知慣用のものがいずれも使用できるが、例えば、ベンジルジメチルアミン等の第3級アミン、イミダゾール、有機酸金属塩、ルイス酸、アミン錯塩等が挙げられ、一種単独で用いるほか、二種以上を併用することもできる。組成物中における硬化促進剤の配合量は、組成物を構成する成分に応じ、プリプレグの成形性やプリプレグの硬化成形時の成形性等を考慮して適宜設定されるものであって特に制限されないが、エポキシ樹脂(A)の全量に対して0.001〜10重量%の範囲となるように配合することが好ましい。
【0043】
またリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)としては、ジカルボン酸成分(p)と、グリコール成分(q)と、反応性リン含有化合物(s)とを、縮合反応又は重縮合反応させることで得られる、反応基を有さないリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−2)を用いることができる。また上記の各成分に加えて反応性付与成分(t)を縮合反応又は重縮合反応させることにより得られる、反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)も用いることができ、この場合は上記のようにリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を硬化剤(B)として用いることができる。
【0044】
上記のジカルボン酸成分(p)としては、例えば芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸等のジカルボン酸を挙げることができる。芳香族ジカルボン酸としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ジフェン酸、ナフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等、5−スルホイソフタル酸、2−スルホイソフタル酸、4−スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、4−スルホナフタレン−2,6−ジカルボン酸等のアルカリ金属塩を挙げることができ、脂肪族ジカルボン酸としては例えば直鎖、分岐及び脂環式のシュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタール酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸等を挙げることができる。
【0045】
また、ジカルボン酸成分(p)には、上記のようなジカルボン酸のほか、その無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、ジカルボン酸の誘導体であって後述するグリコール成分(q)と反応してエステルを形成するもの(ジカルボン酸のエステル形成性誘導体)も含む。
【0046】
これらの中でもテレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類、並びにコハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸類が、反応の容易性、得られる樹脂の耐候性、耐久性等の点から好適である。特に芳香族ジカルボン酸類のみを用いるか、芳香族ジカルボン酸類を主成分とするのが最適である。
【0047】
また、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の製造に用いられるグリコール成分(q)としては、例えばエチレングリコール及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ヘプタエチレングリコール、オクタエチレングリコール等のポリエチレングリコール、並びにプロピレングリコール及びジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコール等のポリプロピレングリコール、並びに1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール、4,4’−ジヒドロキシビフェノール、4,4’−メチレンジフェノール、4,4’−イソプロピリデンジフェノール、1,5−ジヒドロキシナフタリン、2,5−ジヒドロキシナフタリン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、ビスフェノールS等を挙げることができる。
【0048】
また、グリコール成分(q)には、上記のようなグルコールのほか、これらのグリコールに対応するジアセテート化合物等のように、グリコールの誘導体であって前記ジカルボン酸成分(p)と反応してエステルを形成するもの(グリコールのエステル形成性誘導体)も含む。
【0049】
これらグリコール成分(q)は1種単独で用い、或いは2種以上を併用することができる。これらの中でも特にエチレングリコール、ジエチレングリコール、並びに1,4−ブタンジオール等のブタンジオール類、並びに1,6−ヘキサンジオール等のヘキサンジオール類、並びに1,4−シクロヘキサンジメタノール類、ネオペンチルグリコール及びビスフェノールA等が反応の容易性、得られる樹脂の耐久性等の点から好適である。
【0050】
反応性付与成分(t)としては、例えば三塩基酸無水物や四塩基酸無水物等の3価以上の多価カルボン酸成分等が挙げられる。ここで、三価以上の多価カルボン酸成分である三塩基酸無水物、四塩基酸無水物等を用いて本発明のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂に反応性を付与する場合、縮合反応又は重縮合反応によるリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂の調製時に、多価カルボン酸に起因するカルボキシル基を骨格中に残存させた状態で反応を終了させ、この残存カルボキシル基を反応基として用いることができる。
【0051】
三価以上の多価カルボン酸成分としては、例えばヘミメリット酸、トリメリット酸、トリメジン酸、メロファン酸、ピロメリット酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリット酸、シクロプロパン−1,2,3−トリカルボン酸、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸、エタンテトラカルボン酸、(5−ジオキソテトラヒドロ−3−フラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸等の多価カルボン酸が挙げられ、またこれらの無水物、エステル、酸クロライド、ハロゲン化物等のように、多価カルボン酸の誘導体であってグリコール成分(q)と反応してエステルを形成するもの(多価カルボン酸のエステル形成性誘導体)も含まれる。リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の三次元架橋をできるだけ防止し、重縮合反応後においてもカルボキシル基を有効に残存させるためには、これらの中でも特に無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸を用いるのが好ましい。
【0052】
反応性付与成分(t)は、上記の3価以上の多価カルボン酸成分のうちから、1種のみを用い、或いは2種以上を併用することができる。
【0053】
また反応性付与成分(t)の使用量は、上記ジカルボン酸成分(p)及び反応性付与成分(t)の合計量中で、1〜60モル%とする。この場合、製造工程における不必要な架橋反応を排除できる重合条件下において、充分な重合度を得ることができると共に、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)に十分な反応基を付与することができる。
【0054】
反応性リン含有化合物(s)は、上記ジカルボン酸成分(p)、グリコール成分(q)、反応性付与成分(t)のうちの少なくともいずれかと反応して縮合または重縮合可能なものが用いられ、具体的にはその分子中にエステル形成性官能基を有するものを用いることが好ましい。
【0055】
上記のエステル形成性官能基とは、他のカルボキシル基又はヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成する官能基を意味するものであり、カルボキシル基及びヒドロキシル基のほか、カルボキシル基を無水物化、エステル化、酸クロライド化、ハロゲン化するなどして誘導されるものであって、他のヒドロキシル基と反応してエステル結合を形成するもの(カルボキシル基のエステル形成性誘導基)や、ヒドロキシル基をアセテート化するなどして誘導されるものであって、他のカルボキシル基と反応してエステル結合を形成するもの(ヒドロキシル基のエステル形成性誘導基)も含まれる。
【0056】
特にエステル形成性官能基が、カルボキシル基又はヒドロキシル基である場合には、製造工程において良好な反応性が得られるため好ましい。
【0057】
また、特に反応性リン含有化合物(s)が、その一分子中にエステル形成性官能基を1又は2個有するものであることが好ましく、このようにすると、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の製造工程において、不必要な架橋反応を排除するように重合条件を調整した場合にも、充分な重合度を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を得ることができる。更に、反応性リン含有化合物(s)がエステル形成性官能基を2個有する場合においては、2個のエステル形成性官能基が共にカルボキシル基であるか、ヒドロキシル基である場合により良好な結果が得られる。
【0058】
上記の反応性リン含有化合物(s)としては、反応の容易性、難燃効果等が特に優れている点から、下記一般式(I)乃至(III)で表される化合物を好適なものとして例示できる。なお、得られるリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の反応性や、このリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)から調製されるエポキシ樹脂組成物の難燃性、耐熱性等が特に優れている点から、これらの中でも特に一般式(I)で表される化合物が最適である。
【0059】
【化7】
Figure 0003905820
【0060】
(式中、R〜Rはそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R〜Rと同一であっても、異なっていてもよい。但し、R〜R並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。)
【0061】
【化8】
Figure 0003905820
【0062】
(式中、R及びR10はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R及びR10の少なくとも一方はエステル形成性官能基を有する。)
【0063】
【化9】
Figure 0003905820
【0064】
(式中、R11〜R13はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R11〜R13の少なくともいずれかはエステル形成性官能基を有する。)
上記一般式(I)〜(III)に示す化合物としては、特に一分子中にエステル形成性官能基を1個又は2個有するものが好ましい。
【0065】
ここで上記一般式(I)〜(III)における有機基とは、適宜の置換基が選ばれるものであり、特に限定されるものではないが、炭素数1〜1000の1価の有機基が好ましい。1価の有機基としては例えば、アルキル基、アルケニル基等の脂肪族炭化水素基、シクロヘキシル基等の脂環族炭化水素基、アリール基等の芳香族炭化水素基、アラルキル基等の炭化水素基、並びにカルボキシル基、アルキルオキシ基等が例示される。これらの基は、更にそのなかに官能基を含んでもよい。例えば、エステル形成性官能基(カルボキシル基、ヒドロキシル基並びにこれらから誘導されるエステル形成性誘導基)を含む置換基を有していてもよい。ただし、既述のように、一分子中に存在するエステル形成性官能基の数は1又は2個であることが好ましい。
【0066】
上記一般式(I)で表される化合物はエステル形成性官能基を好ましくは1個又は2個有するものであるが、これらは有機基であるA中に存在することが望ましい。なお、上記一般式(I)で表される化合物のうち特に好適なものは、R〜Rが水素原子であり、かつAがエステル形成性官能基としてヒドロキシル基、カルボキシル基又はこれらから誘導されるエステル形成性誘導基を1個又は2個有するものであり、この場合には、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の調整時における反応性を良好なものとし、また得られるリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の反応性や、このリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)から調製されるエポキシ樹脂組成物の難燃性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。
【0067】
一般式(I)で表される反応性リン含有化合物(s)として、最適なものとしては下記化学式(a)〜(e)で表されるものを例示できる。
【0068】
【化10】
Figure 0003905820
【0069】
(式中、R14は水素原子又は炭素数1〜6の、直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
【0070】
【化11】
Figure 0003905820
【0071】
(式中、R15及びR16は、それぞれ水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示し、R15及びR16は同一のものでも異なるものでもよい。)
【0072】
【化12】
Figure 0003905820
【0073】
【化13】
Figure 0003905820
【0074】
【化14】
Figure 0003905820
【0075】
上記一般式(II)で表される化合物のうち、特に好適なものとしては、下記化学式(f)及び(g)で表されるものを例示できる。
【0076】
【化15】
Figure 0003905820
【0077】
(式中、R17は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
【0078】
【化16】
Figure 0003905820
【0079】
(式中、R18は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
上記一般式(III)で表される化合物のうち、特に好適なものとしては、下記化学式(h)で表されるものを例示できる。
【0080】
【化17】
Figure 0003905820
【0081】
(式中、R19は水素原子、又は炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐を有するアルキル基又は脂環基を示す。)
前記、反応性リン含有化合物(s)は、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を製造する際にメタノール、エタノールなどの1価アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの2価アルコールに溶解もしくは分散させて反応系に添加するのが好ましい。
【0082】
本発明において反応性リン含有化合物(s)の使用量は、得られるリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)中における反応性リン含有化合物(s)に由来するリン原子の含有量が、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の全量に対する重量比率で300ppm以上となるように調整された量であることが好ましく、更に好ましくは500ppm以上となるようにするものである。このようにすれば、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)に対して特に優れた難燃性が付与でき、このリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)から調製されるエポキシ樹脂組成物の難燃性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。またこの反応性リン含有化合物(s)の使用量の上限は特に限定されるものではないが、上記のリン原子の含有量が200000ppm以下となる範囲で配合することが好ましく、この場合、重合性不良等の発生を防止してリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の樹脂特性が損なわれることを防止することができる。
【0083】
ここで、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を得るにあたり使用する上記の各成分は、各成分に含まれるカルボキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数と、ヒドロキシル基及びそのエステル形成性誘導基の総数とが、モル比率で1:1〜2.5の範囲となるように配合することが好ましい。
【0084】
また、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を調製する際には、分子量を調整するために、公知の多官能性化合物、例えば、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジメチロールブタン酸、3官能性カルボン酸などを適宜の量用いることも好ましい。特に反応性リン含有化合物(s)としてその官能基(エステル形成性官能基)が1個のものを用いる場合には末端停止剤として作用することがあるので、上記の多官能性化合物を適宜併用するのが好ましい。
【0085】
また、上記以外の反応成分として、例えばp−ヒドロキシ安息香酸、1価の脂肪族アルコール等を併せて用いることも可能である。
【0086】
リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)は、公知のポリエステル製造方法により得ることができる。例えばジカルボン酸とグリコールを用いる直接エステル化反応或いはジカルボン酸のエステル形成性誘導体とグリコールとのエステル交換反応を第1段反応とし、この反応生成物を重縮合させる第2段反応により製造することができる。
【0087】
なお、上記のジカルボン酸成分(p)及びグリコール成分(q)以外の成分は上記第1段反応の当初から第2段反応終了に至るまでの任意の時期に添加して反応に供することができる。
【0088】
これらの中で最も一般的な方法である、ジカルボン酸ジエステルとグリコールとのエステル交換反応を第1段反応とし、この反応生成物を重縮合させる第2段反応からなる製造方法を用いて、具体的に説明する。第1段のエステル交換反応においては、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の製造に供する全ての反応成分を最初から一括で仕込んでもよく、反応性リン含有化合物(s)等はエステル重縮合反応時に添加してもよい。一括仕込みの場合には、エステル交換反応は、例えばジカルボン酸ジエステルとグリコール化合物と反応性リン含有化合物(s)とを反応容器に加え、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で常圧条件下で、150〜250℃まで徐々に昇温加熱してエステル交換反応を行なう。
【0089】
第2段の重縮合反応は、例えば6.7hPa(5mmHg)以下の減圧下、160〜280℃の温度範囲内で行なう。このようにして、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)が得られる。なお、エステル交換反応及び重縮合反応において、任意の時期に触媒として、従来公知のチタン、アンチモン、鉛、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、マンガン、アルカリ金属化合物等を用いてもよい。
【0090】
なお、本発明のエポキシ樹脂組成物に用いる場合のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)は、数平均分子量が1000〜50000であることが好ましい。この数平均分子量が1000〜50000のとき、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)に対して特に優れた難燃性が付与でき、このリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)から調製されるエポキシ樹脂組成物の硬化物の難燃性、耐熱性等を特に優れたものとすることができる。またこのような分子量範囲では、特に反応基を付与されたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)では、エポキシ樹脂との優れた反応性が付与されて、このリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を硬化剤(B)として含有するエポキシ樹脂組成物の硬化物の耐熱性等を特に優れたものとすることができる
このようなリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)のエポキシ樹脂中の含有量は特に制限はされないが、硬化物の難燃性、耐熱性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等に特に優れたエポキシ樹脂組成物を得るためには、好ましくは組成物全量中におけるリン原子の含有量(リン単体に換算した場合のリン含有量)が重量比率で200ppm以上となるように配合することが好ましい。またこのときの配合量の上限は特に制限されないが、組成物全量中におけるリン原子の含有量が重量比率で150000ppm以下となるように配合することが好ましい。
【0091】
またリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の一部又は全部として反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を含有させる場合には、硬化剤(B)の一部又は全部として反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を含有させることとなるが、この場合硬化物の難燃性、耐熱性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等に特に優れたエポキシ樹脂組成物を得るためには、硬化剤(B)の全量中において、1重量部のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)に対しノボラック樹脂等のような他の硬化剤の含有量が0〜10重量部の範囲となるようにすることが好ましい。
【0092】
また本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記各成分に加え、更に必要に応じ、有機溶剤(D)を使用することができる。とりわけ、電気積層板用のワニスを調整する際は、前記(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を必須の成分とすることが好ましい。尚、本発明のエポキシ樹脂組成物を、塗料用途等その他の用途に使用する場合においても、勿論(A)、(B)、(C)及び(D)の各成分を併用してもよい。
【0093】
有機溶剤(D)としては、特に限定されるものではないが、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、N、N−ジメチルホルムアミド、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、メトキシプロパノール、エチルカルビトール、トルエン、シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの溶剤は1種のみを用いるほか、適宜2種又はそれ以上の混合溶剤として使用することも可能である。
【0094】
有機溶剤(D)の使用量は特に制限されるものではないが、プリプレグを作製する場合の基材への含浸性、樹脂付着性等が良好となる点から、ワニス中の固形分濃度30重量%以上、なかでも40〜70重量%となる範囲であることが好ましい。
【0095】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、さらに必要に応じて種々の添加剤、難燃剤、充填材等を適宜配合することができる。特に無機系充填材(E)を配合することが、より高い難燃性が得られる点から望ましい。
【0096】
この無機系充填材(E)としては、特に制限されるものではないが、例えばシリカ、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、チタン酸バリウム、硫酸バリウム、窒化珪素、窒化硼素などがあげられる。
【0097】
また、この無機系充填材(E)の組成物中での含有量がエポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)及び難燃剤(C)の合計100重量部に対し150重量部以下となるように無機系充填材(E)を配合することが好ましい。これより多く使用しても難燃性に与える効果は同じであり、逆にドリル加工性等の他の積層板特性が低下するおそれがある。
【0098】
また、その他に浸透剤、レベリング剤等種々の添加剤を適宜配合することが出来るが、本発明の効果を顕著なものとするためには、これらの使用はできるだけ避けた方が望ましく、使用する場合においても、組成物中5重量%以下の範囲であることが好ましい。
【0099】
以上詳述した本発明のエポキシ樹脂組成物は、既述の通り、電気積層板用途として極めて有用である。本発明のエポキシ樹脂組成物から積層板を製造する方法は特に制限されるものではないが、例えば有機溶媒(D)を用いない場合には、エポキシ樹脂組成物を構成する各成分からなる固形の組成物を加熱溶融させて、所定の樹脂量(好ましくは30〜70重量%)となる割合で基材に含浸させ、また有機溶媒(D)を用いてワニスとして調製する場合はエポキシ樹脂組成物を構成する各成分を配合してワニスを調整し、これを所定の樹脂量(好ましくは30〜70重量%)となる割合で基材に含浸してプリプレグとする。またこのプリプレグを用い、所定枚数、好ましくは1〜10枚のプリプレグを加熱プレスして積層板が得られる。
【0100】
また金属張積層板を得る場合には、所定枚数、好ましくは1〜10枚のプリプレグの一面又は両面に銅箔等の金属箔を配置し、加熱プレスして得る方法が挙げられる。
【0101】
また上記のような積層板や金属箔張積層板に対し、アディティブ法、サブトラクティブ法等により一面又は両面に導体配線を形成して、プリント配線板を得ることができる。
【0102】
ここで、プリプレグを得るための基材としては、特に限定されるものではなく、プリプレグ形成用途に使用可能な適宜のものを採用することができ、例えばガラス織布やガラス不織布等の無機繊維の織布又は不織布、アラミド樹脂織布やアラミド樹脂不織布等の有機繊維の織布又は不織布などが挙げられる。
【0103】
また、積層板形成時の加熱加圧成形の際の条件としては、特に制限されないが、例えば温度条件として120〜220℃の範囲、圧力条件として2〜10MPaの範囲、時間条件として10〜240分間が好ましく適用できる。
【0104】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記の通り電気積層板用として極めて有用であるが、硬化剤との組み合わせによって、接着剤、注型、塗料等の各種用途に使用することもでき、例えば、銅箔に接着剤として塗布し、乾燥半硬化させてビルドアップ工法用にも適用できる。
【0105】
即ち、本発明のエポキシ樹脂組成物は、耐熱性を低下させることなく、非ハロゲン系の難燃性硬化物を得られることから、封止、積層、塗料などの用途特にガラスエポキシ積層板やIC封止材用に適し、さらに金属密着性に優れるのでレジストや塗料用途にも適する被覆用エポキシ樹脂組成物を提供することが出来る。
【0106】
【実施例】
次に本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0107】
以下の合成例、実施例および比較例において「部」とは、特に示さない限り、全て重量基準である。
【0108】
また、下記合成例1乃至5のポリエステル樹脂の数平均分子量、および実施例1乃至7、比較例1乃至3の物性は、以下の試験方法により測定したものである。
【0109】
(1)数平均分子量の測定
各試料を固形分について10mg/mlとなる様にTHF溶液を調製し、各々インジェクション量100マイクロリットルにて、下記測定条件により測定した。
・GPC測定装置:昭和電工(株)製SHODEX SYSTEM 11
・カラム:SHODEX KF−800P、KF−805、KF−803及びKF−801(いずれも昭和電工(株)製)の4本直列移動相
・THF流量:1ml/分
・カラム温度:45℃
・検出器:RI
・換算:ポリスチレン
(2)難燃性
UL94燃焼性試験法に基づき試験した。
【0110】
(3)耐トラッキング性
各試料につき、UL−1410に基づき、基板表面上に電極を配置し、得られた滴定数−電圧曲線から50滴に対応する電圧を求めた。
【0111】
(4)引き剥がし強さ
JIS C 6481に基づき試験した。
【0112】
(5)耐熱性
各試料につき、銅張積層板25mm×25mmの試験片を280℃の半田浴に5〜20分間(5分刻み)浮かべ、フクレの有無を試験して次のように評価した。
◎:全くなし、○:一部あり、△:大部あり、×:全部あり。
【0113】
(6)耐湿性
各試料につき、120℃、2気圧の加圧水蒸気処理後、280℃の半田浴中に10秒間浸漬し、フクレの有無を試験して次のように評価した。
◎:全くなし、○:一部あり、△:大部あり、×:全部あり。
【0114】
<リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の合成>
〔合成例1〕
反応器に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル273.6部、ジメチルテレフタル酸31.1部、エチレングリコール136.6部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール104.0部、反応性リン含有化合物(s)(上記化学式(e)で示される反応性リン含有化合物(s))152.0部及び触媒としてシュウ酸チタンカリウム0.1部を加え、常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した。次に、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温しエステル交換反応を終了させた後、無水トリメリット酸61.5部を添加し、250℃で徐々に減圧し250℃、0.5mmHg(66.7Pa)の条件下で30分間重縮合反応を行ない、酸価58.2、数平均分子量5100のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を得た。
【0115】
〔合成例2〕
反応器に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル273.6部、ジメチルテレフタル酸46.6部、エチレングリコール223.5部、トリメチロールプロパン53.7部、反応性リン含有化合物(s)(下記化学式(i)で示される反応性リン含有化合物(s))107.0部及び触媒としてシュウ酸チタンカリウム0.1部を加え、常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した。次に、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温しエステル交換反応を終了させた後、無水トリメリット酸46.1部を添加し、250℃で徐々に減圧し250℃、0.5mmHg(66.7Pa)の条件下で30分間重縮合反応を行ない、酸価60.2、数平均分子量5900のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を得た。
【0116】
【化18】
Figure 0003905820
【0117】
〔合成例3〕
化学式(i)で表される反応性リン含有化合物(s)107.0部を下記一般式(j)で表される反応性リン含有化合物(s)111.0部に変更した他は合成例2と同様にして、酸価59.7、数平均分子量4600のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を得た。
【0118】
【化19】
Figure 0003905820
【0119】
〔合成例4〕
反応器に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル273.6部、ジメチルテレフタル酸31.1部、エチレングリコール136.6部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール104.0部、反応性リン含有化合物(s)(上記化学式(e)で示される反応性リン含有化合物(s))152.0部及び触媒としてシュウ酸チタンカリウム0.1部を加え、常圧、窒素雰囲気中で攪拌混合しながら200℃に昇温した。次に、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温しエステル交換反応を終了させた後、無水トリメリット酸15.3部を添加し、250℃で徐々に減圧し250℃、0.5mmHg(66.7Pa)の条件下で30分間重縮合反応を行ない、酸価9.7、数平均分子量5900のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を得た。
【0120】
〔合成例5〕
反応器に、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル273.6部、ジメチルテレフタル酸31.1部、エチレングリコール136.6部、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール104.0部、反応性リン含有化合物(s)(上記化学式(e)で示される反応性リン含有化合物(s))152.0部及び触媒としてシュウ酸カリウム0.1部を加え、常圧、窒素雰囲気中で撹拌混合しながら200℃に昇温した。次に、4時間かけて反応温度を260℃にまで徐々に昇温し、エステル交換反応を終了させた後、250℃で徐々に減圧し250℃、0.5mmHg(66.7Pa)の条件下で50分間重縮合反応を行い、酸価0.8、数平均分子量6800のリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−2)を得た。
【0121】
〔実施例1〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)63部、合成例1で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)81部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。
【0122】
本樹脂ワニスを、基材であるガラスクロス(旭シュエーベル(株)製、7628タイプ、厚み0.18mm)に含浸し、170℃で測定するプリプレグのゲルタイムが約120秒になるように170℃乾燥器で乾燥およびB−ステージ化し、樹脂量45重量%のエポキシ樹脂プリプレグを作製した。
【0123】
得られたプリプレグを8枚積層すると共にその外側の両面に厚み18μmの銅箔を重ね合わせ、圧力3.9MPa(40kg/cm)、温度170℃、加熱時間90分の条件で硬化させて板厚約1.6mmの積層板を作製した。
【0124】
得られた積層板について、上記測定条件で耐熱性(耐半田性)、耐湿性、引き剥がし強さを測定し、また得られた積層板から銅箔を溶解除去した後、上記測定条件で難燃性、耐トラッキング性を測定した。その結果を表1に示す。
〔実施例2〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)63部、合成例2で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)78部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0125】
〔実施例3〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)63部、合成例3で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)79部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0126】
〔実施例4〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)72部、合成例4で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)85部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0127】
〔実施例5〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)66部、合成例1で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)54部、合成例4で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)30部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0128】
参考例
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)81部、合成例5で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−2)85部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。この結果を表1に示す。
【0129】
〔実施例
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)63部、合成例1で得られたリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)81部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ100部とメチルエチルケトン110部混合溶剤に溶解し、更に無機系充填材として水酸化アルミニウム粉末(住友化学工業(株)製)160部を添加して分散し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。この結果を表1に示す。
【0130】
〔比較例1〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)72部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ60部とメチルエチルケトン70部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0131】
〔比較例2〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)72部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部、難燃剤としてリン酸エステル系「PX−200」(大八化学工業(株)製)80部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0132】
〔比較例3〕
エポキシ樹脂としてフェノールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON−770」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量189g/eq)100部、ビスフェノールA型エポキシ樹脂「EPICLON 1051」(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量470g/eq)70部、ノボラック型フェノール樹脂「PSM−4261」(群栄化学工業(株)製、水酸基当量106g/eq、軟化点80℃)72部、硬化促進剤として2−エチル−4−メチルイミダゾール0.3部を、メチルセロソルブ80部とメチルエチルケトン90部混合溶剤に溶解し、本溶液に無機系充填材として水酸化アルミニウム粉末(住友化学工業(株)製)280部を添加して分散し、エポキシ樹脂組成物(エポキシ樹脂ワニス)を調製した。本樹脂ワニスを使用し、実施例1と同様に積層板を作製し、評価した。その結果を表1に示す。
【0133】
【表1】
Figure 0003905820
【0134】
【発明の効果】
以上の説明及び表1から明らかなように、本発明のエポキシ樹脂組成物を用いた積層板は、ノンハロゲンで有毒ガス発生がなく、難燃性、耐熱性、耐湿性、耐トラッキング性等に優れたもので電子機器等に好適なものである。
【0135】
すなわち請求項1に係る難燃性エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂と反応する反応基を有するリン原子が入難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を硬化剤(B)として含有し、このリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)が、ジカルボン酸成分(p)と、グリコール成分(q)と、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)に付与される反応基を有する反応性付与成分(t)と、これらジカルボン酸成分(p)、グリコール成分(q)、反応性付与成分(t)のうち少なくともいずれかと反応して重合又は重縮合可能な反応性を有する反応性リン含有化合物(s)とを、反応性付与成分(t)の割合がジカルボン酸成分(p)と反応性付与成分(t)の合計中で1〜60モル%となるように縮合反応又は重縮合反応させたものであるので、ノンハロゲンで難燃化を達成することができて燃焼の際に有毒ガスの発生がなく、且つ成形品に優れ、更にこのエポキシ樹脂組成物の硬化物に耐熱性、耐水性および耐薬品性を付与すると共に難燃性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等にも優れたものとすることができるものである。
【0140】
また請求項の発明は、請求項において、反応性付与成分(t)が、三塩基酸無水物と四塩基酸無水物のうちの少なくとも一方を含むものであるため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂中にカルボキシル基を有効に残存させ、優れた反応性を付与することができるものである。
【0141】
また請求項の発明は、請求項1又は2において、反応性付与成分(t)が、三塩基酸無水物である無水トリメリット酸及び四塩基酸無水物である無水ピロメリット酸のうちの少なくとも一方を含むものであるため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂中にカルボキシル基を有効に残存させ、優れた反応性を付与することができるものである。
【0142】
また請求項の発明は、請求項乃至のいずれかにおいて、反応性リン含有化合物(s)が、カルボキシル基及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種のエステル形成性官能基を有するため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の製造工程において良好な反応性が得られ、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂を効率よく得ることができるものである。
【0143】
また請求項の発明は、請求項乃至のいずれかにおいて、反応性リン含有化合物(s)が、上記一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であるため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の調製時の反応性が良好でリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)の製造効率が向上し、また特に優れた難燃効果が得られるものである。
【0144】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、硬化剤(B)の一部又は全部としてノボラック樹脂を含有するため、硬化物の架橋密度が高まり、Tg(ガラス転移点)や耐熱性、半田耐熱性などが向上し、特に積層板用途としての性能が向上するものである。
【0145】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が、150〜1000g/eqであるため、硬化物の架橋密度が高まり、Tg(ガラス転移点)や耐熱性、半田耐熱性などが向上し、特に積層板用途としての性能が向上するものである。
【0146】
また請求項の発明は、請求項1乃至のいずれかにおいて、エポキシ樹脂(A)が、その分子構造内にハロゲン原子を含まないもののみからなるため、組成物をノンハロゲン化して燃焼の際の有毒ガスの発生を抑制することができるものである。
【0147】
請求項に係るプリプレグは、請求項1乃至のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物を基材に含浸させて成るため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を含有させることでノンハロゲンで難燃化を達成することができて燃焼の際に有毒ガスの発生がなく、且つ成形品に優れ、更にこのプリプレグを成形した成形品に耐熱性、耐水性および耐薬品性を付与すると共に難燃性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等にも優れたものとすることができるものである。
【0148】
請求項10に係る積層板は、請求項に記載のプリプレグを成形するため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を含有させることでノンハロゲンで難燃化を達成することができて燃焼の際に有毒ガスの発生がなく、且つ成形品に優れ、更にこの積層板に耐熱性、耐水性および耐薬品性を付与すると共に難燃性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等にも優れたものとすることができるものである。
【0149】
また請求項11の発明は、請求項10において、一面又は両面に金属箔を積層成形して成るため、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を含有させることでノンハロゲンで難燃化を達成することができて燃焼の際に有毒ガスの発生がなく、且つ成形品に優れ、更にこの積層板に耐熱性、耐水性および耐薬品性を付与すると共に難燃性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等にも優れたものとすることができるものである。
【0150】
請求項12に係るプリント配線板は、請求項10又は11に記載の積層板の一面又は両面に導体配線を形成して成るため、絶縁層中にリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C)を含有させることでノンハロゲンで難燃化を達成することができて燃焼の際に有毒ガスの発生がなく、且つ成形品に優れ、更にこのプリント配線板に耐熱性、耐水性および耐薬品性を付与すると共に難燃性、耐半田性、耐湿性、耐トラッキング性等にも優れたものとすることができるものである。

Claims (12)

  1. エポキシ樹脂(A)および硬化剤(B)を必須成分とするエポキシ樹脂組成物において、エポキシ樹脂と反応する反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)を硬化剤(B)として含有し、エポキシ樹脂と反応する反応基を有するリン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)が、ジカルボン酸成分(p)と、グリコール成分(q)と、リン原子含有難燃性ポリエステル樹脂(C−1)に付与される反応基を有する反応性付与成分(t)と、これらジカルボン酸成分(p)、グリコール成分(q)、反応性付与成分(t)のうち少なくともいずれかと反応して重合又は重縮合可能な反応性を有する反応性リン含有化合物(s)とを、反応性付与成分(t)の割合がジカルボン酸成分(p)と反応性付与成分(t)の合計中で1〜60モル%となるように縮合反応又は重縮合反応させたものであることを特徴とする難燃性エポキシ樹脂組成物。
  2. 反応性付与成分(t)が、三塩基酸無水物と四塩基酸無水物のうちの少なくとも一方を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  3. 反応性付与成分(t)が、三塩基酸無水物である無水トリメリット酸及び四塩基酸無水物である無水ピロメリット酸のうちの少なくとも一方を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  4. 反応性リン含有化合物(s)が、カルボキシル基及びヒドロキシル基から選ばれる少なくとも1種のエステル形成性官能基を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  5. 反応性リン含有化合物(s)が、下記一般式(I)、(II)及び(III)で表される化合物の群から選ばれる、少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0003905820
    (式中、R 〜R はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。また、Aは水素原子又は有機基を示し、R 〜R と同一であっても、異なっていてもよい。但し、R 〜R 並びにAのうちの少なくとも一つはエステル形成性官能基を有する。)
    Figure 0003905820
    (式中、R 及びR 10 はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R 及びR 10 の少なくとも一方はエステル形成性官能基を有する。)
    Figure 0003905820
    (式中、R 11 〜R 13 はそれぞれ水素原子又は有機基を示し、それぞれ同一であっても、異なるものであってもよい。ただし、R 11 〜R 13 の少なくともいずれかはエステル形成性官能基を有する。)
  6. 硬化剤(B)としてノボラック樹脂を含有して成ることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  7. エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が、150〜1000g/eqであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  8. エポキシ樹脂(A)が、その分子構造内にハロゲン原子を含まないもののみからなることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の難燃性エポキシ樹脂組成物を基材に含浸させて成ることを特徴とするプリプレグ
  10. 請求項9に記載のプリプレグを成形して成ることを特徴とする積層板
  11. 一面又は両面に金属箔を積層成形して成ることを特徴とする請求項10に記載の積層板
  12. 請求項10又は11に記載の積層板の一面又は両面に導体配線を形成して成ることを特徴とするプリント配線板
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