JP3904278B2 - 包装袋 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の技術分野】
この発明は、電子レンジ等によって加熱又は調理の際に生ずる内圧増加があっても破裂することのない包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
袋によって包装された食品等の内容物を電子レンジで加熱又は調理を行なう際、内圧上昇のため内圧を逃がす必要がある。
【0003】
現在は、手やハサミあるいはナイフ等で袋の一部を切り、内圧の逃げ口を作成して、加熱調理を行っているが、この操作を忘れて加熱、調理すると袋が破裂してしまう危険がある。
【0004】
そのため、袋の包装袋を形成する積層シートの最内層の熱接着フィルムにスリットを設けておき、その部分にフィルムを積層するために用いる接着剤を塗付しないで貼合せ、そこを内圧の逃げ口としている袋が考案されているが、袋内外の密閉性に問題がある。
【0005】
また、袋に弁を設け、内圧上昇によって弁が開き内圧を逃がす構造の袋も考案されているが、別工程で弁を取り付けなければならず、弁自身も複雑な構造であるため、コストが高くなる問題がある。
【0006】
そこで、本発明者は、電子レンジによって加熱又は調理を行なう際に、袋内の内圧上昇によって破裂し内容物が飛散するようなことがない包装袋を提案している(特願平8−68355号)。
【0007】
この発明は、熱封緘によって形成される密封包装袋の自然開口予定熱封緘部に、この熱封緘部の熱封緘層と熱融着可能な熱接着層をそれぞれ最外層に有し、かつこれらの層間を手で剥離できる程度の接着力に調整した易剥離テープを、袋本体の内容物収納部側に突出させて熱融着し、この易剥離テープの内端から巾方向に分離部を設け、この分離部の巾を前記テープの突出部の巾以上にしたものである。
【0008】
上述のように、易剥離テープを内容物収納部の内側に突出させてあるので、包装袋の落下時等の衝撃にも十分に耐える密封性を有し、電子レンジ等の加熱による急激な内圧上昇時には、前記分離部から易剥離テープが自然開封して内圧を逃がすことができる。
【0009】
しかしながら、包装袋の運搬や展示等の取り扱い時に衝撃が加わると、易剥離テープが開封してしまうことがあり、これを防止するために、包装袋を四方シールして(二つ折りのシートで袋を形成する場合は三方シール)包装袋の周囲を密封し、その密封部の内側に前記易剥離テープを挿入しておく方法が採られる。
【0010】
ところが、比較的サイズの大きい袋の場合、内容物が膨満したときに、膨張圧が袋内面に均一に加わらず偏加圧によって易剥離テープ以外の熱封緘部が先に剥離開封され、内容物が遺漏してしまうことがある。
【0011】
【発明の課題】
そこで、この発明の課題は、易剥離テープを挿入した包装袋の自然開口予定部から確実に開封されるようにすることである。
【0012】
【課題の解決手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、熱封緘によって形成される全周が密封された包装袋の自然開口予定熱封緘部に、この熱封緘部の熱封緘層と熱融着可能な熱接着層をそれぞれ最外層に有する対向した剥離層とこれらの剥離層間に設けられた手で剥離できる程度の接着力に調整した易剥離接着層より成る易剥離テープを、袋本体の内容物収納部側に突出させて熱融着し、この易剥離テープの内端から巾方向に分離部を設け、この分離部の巾を前記テープの突出部の巾以上にし、前記易剥離テープの易剥離接着層に達しかつ袋本体の外部に通じる通気孔を設けたのである。
【0013】
このようにすると、内圧が上昇したとき、易剥離テープの易剥離接着層が完全に分離しなくても、通気孔から内圧を逃がすことができる。
【0014】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は包装袋1の正面図であり、熱封緘部2により、内容物3が密封収納されている。そして、部分Aにおいては、易剥離テープ4の熱接着層(後述)と袋本体1の熱封緘層とによって、熱封緘部2aが形成されている。従ってこの包装袋1は、周囲が全て熱封緘された所謂四方シールの袋である。これに代えて、図2に示すように、底部1aの部分で二つ折りにしたシートの両側及び上端部を熱封緘した包装袋でもよい。
【0016】
図3及び図4は、図1のI−I線に沿った熱封緘部の縦断面図である。図示のように、易剥離テープ4が、袋本体1を形成する積層シート5の間に熱融着により挿入されている。
【0017】
易剥離テープ4は、図3乃至図5に示すように、袋本体1の積層シート5と熱融着可能な剥離層41、42が易剥離接着層43により積層されたものである。剥離層41、42の基材411、421には、ポリエステル、ナイロン(商品名)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適であり、それらの単体、複合体のいずれであってもよい。また、熱接着層412、422としては袋本体1の熱封緘層52と熱融着し得る樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル共重合体、ポリアミドなどが用いられる。なお、基材411、421自体が、袋本体1の積層シート5との熱融着性を有すれば、熱接着層412、422は省略することができる。また、基材411、421と熱接着層412、422との間に印刷層、着色層などを設けておくことができる。
【0018】
前記易剥離接着層43は、樹脂層431と接着剤層432より成る。樹脂層431は、比較的接着強度の弱い、例えばビニル樹脂やウレタン樹脂、アクリル樹脂やポリアミド樹脂、シリコーン樹脂などの単体或は混合物から成り、この樹脂のパートコートによって形成されたものであって、そのパターンの一例は、図6(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、コートしない部分が例えば点状、線状、格子状などの模様を形成している。
【0019】
前記接着剤層432は、レトルト殺菌処理を施す場合には、接着強度の低下が小さい接着剤を使用することが望ましい。その様な接着剤としては、公知のポリオール成分とイソシアネート成分の反応物を生成し得る2液硬化型ウレタン系ドライラミネート用接着剤がある。勿論、他の接着剤を用いてもよいが、弱い接着力で足りる場合には、塩化ビニル、酢酸ビニル、共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、線状ポリエステル樹脂などのイージーピール性を有する樹脂を用いてもよい。
【0020】
また、基材411、421としてポリエステル共重合体、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの強接着性のあるフィルムを使用する場合は、接着剤層432を省略することができる。
【0021】
図7に示すように、前記樹脂層431と同様の樹脂層433を接着剤層432の反対側にも設けることができる。
【0022】
図8及び図9は易剥離テープ4の他の例を示したものである。図8は易剥離テープ4を合成樹脂の共押出しにより形成したものであり、剥離層41と接着層43の層間接着力、剥離層42と接着層43の層間接着力、或は接着層43の凝集力のうち、少なくとも一つが弱くなるように樹脂を選択する。
【0023】
図9は、層41、42、43を形成するフィルム単体を熱接着法により積層し、易剥離テープ4を形成したものである。図8の場合と同じく、層41と43の層間接着力、層42と43の層間接着力、或は層43の凝集力のうち、少なくとも一つが弱くなるように樹脂を選択する。また、層41と43、或は層42と43とを接着剤による接着法或は共押出し法などで積層しておき、その後、熱接着法により層42、或は層41と積層しても差し支えない。
【0024】
さらに、易剥離テープ4をあらかじめ製作せずに、材料41、42、43を準備し、製袋時に挿入、熱接着することも可能である。
【0025】
次に、前記易剥離テープ4には、図3、図4、図5、図7、図8、図9に示すように、分離部43a、即ち層42と層43が接合していない部分がテープ4の巾方向に全長にわたって形成されている。この分離部43aを形成するには、図3、図5、図7、図8のように、予め易剥離接着層43を介して層42と全面貼り合せた後、分離部43aのみをテープ4の巾方向に全長にわたって剥離する方法、或はテープ4を形成する際に分離部43aに対応する部分を圧着しない方法、図4及び図9のように、分離部43aに対応する部分のみ易剥離接着層43を設けない(除去する)方法がある。
【0026】
前記袋本体1は、図3、図4及び図10に示すように、基材51と熱封緘層52との積層シートより成る。基材51は、表面保護層511、ガスバリヤー層512、補強層513を積層したものであり、印刷層や着色層を適宜設けることができる。また、用途によってはこれに限られず、例えば、ガスバリヤー層512のないもの、或は補強層513がない構成などもあり得る。さらに、層512と513の位置がかわっていてもよい。熱封緘層52としては、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが用いられるが、これに限られず、要は、易剥離テープ4の熱接着層412、422と熱融着(強接着)可能であればよい。なお、基材51が、熱接着層412、422との熱融着性を有すれば、この層52は省略することができる。
【0027】
上記のような袋本体1の開封部に、前記テープ4を介在させたとき、図3及び図4に示すように、袋内部にテープ4が一定巾だけ突出するように配置する。このとき、図3に示すように、分離部43aの巾aは、a≧b>0となるようにしておく。このように、テープ4を袋内に突出させることによって、取り扱い中の衝撃その他による内圧がテープ介在部に加わっても、テープ4の突出部の基部B(図3)に加圧力が集中し、この部分は袋1と強く接着されているため、テープ4の易剥離接着層43が剥離を起こすことはない。
【0028】
さらに、図4に示すように、易剥離テープ4の一面と他面で突出部の巾を異ならせてもよい。図示の場合、b1 <b2 であり、分離部aとの関係は、a≧b1 であればよい。従ってa≦b2 の場合もありa>b2 の場合もある。このように突出巾を異ならせると、耐圧性、耐衝撃性がさらに向上する。
【0029】
しかしながら、電子レンジによる加熱で内圧が大きく増加する場合には、分離部43aに働く加圧力が増大し、分離部43aから易剥離接着層43が剥離を起こし、剥離層41と42が分離する。上記分離部43aの巾aを突出部の巾b又はb1 以上としかつこれらの巾a、b、b1 、b2 を適当に選択することによって、内圧増加による自然開口を容易にし、かつ耐圧性のコントロールも容易に行なうことができる。
【0030】
上記のような自然開口は、内圧が袋内部の熱封緘部にほぼ均一に作用する場合には正常に行なわれるが、例えば包装袋のサイズが比較的大きく内容物が偏在している場合などには偏加圧が生じ易剥離テープ4以外の熱封緘部が内部から剥離してしまうことがある。そこで、図1、図2及び図3に示すように、易剥離テープ4の易剥離接着層43の部分に対応し、かつこの層43と外気を連通する切り目6a、貫通孔6b、切り欠き6cなどの通気孔を設けておく。この通気孔は複数設けてもよいし、切り目6a、孔6b、切り欠き6cを混在させてもよい。通気孔の位置は、包装袋のサイズや内容物の膨脹度等を考慮に入れて適宜選択すればよい。
【0031】
以下に実施例と比較例を挙げる。
【0032】
【実施例1】
シート5(図3参照)の基材51は厚さ12μのポリエステル、熱封緘層52は厚さ60μの無延伸ポリプロピレンを用い、サイズ170mm×250mmの平袋を作成した。テープ4(図5参照)の熱接着層412、422はそれぞれ厚さ30μの無延伸ポリプロピレン、基材411、421はそれぞれ厚さ12μのポリエステル、樹脂層431はアクリル系樹脂、接着剤層432は2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて長さ170mm、巾20mmの易剥離テープを作成し、分離巾aを5mm、突出部bを2mmとして(図3参照)、図1の構造の袋を用意した。主室のサイズは130mm×195mmとし、内容物は30gのガーゼに水50gを含浸させたものを用いた。通気孔は縦横5mmの十形の切り目とし易剥離層43のほぼ中央部を貫通して1個設けた。
【0033】
【実施例2】
実施例1と同じシートを用い、同じサイズの平袋を作成した。易剥離テープも実施例1と同様であるがアクリル系樹脂層は図7のように2層(431と433)形成し、図1の構造の袋を用意し、同じ内容物を封入した。通気孔として、易剥離テープの両端部の位置に深さ3mmの円弧状切り欠きを形成した。
【0034】
【比較例1】
通気孔を形成しない実施例1と同じ袋を用意した。
【0035】
【比較例2】
通気孔を形成しない実施例2と同じ袋を用意した。
【0036】
上記実施例及び比較例の各袋を手で10秒間強く振って遺漏がないかどうかをテストしたが、いずれも内容物の遺漏は見られなかった。
【0037】
次に、600Wの電子レンジで1分間加熱したところ、実施例のものは、加熱開始から40秒で袋がふくらみ始め、50秒後に通気孔から蒸気が噴出しその後安定したふくらみ状態を保ち破裂せずに加熱できたが、比較例のものは通気孔から蒸気が噴出する前に袋側面の熱封緘部が破裂した。
【0038】
【効果】
この発明によれば、以上のように、易剥離テープを周囲を熱封緘して密封した袋の自然開口予定部に介在させ、このテープを袋の内容物収納部側に突出させ、この突出部の巾をテープの内端から巾方向に設けた分離部以下にしたので、耐圧性に優れてレトルト殺菌にも耐えると同時に流通取り扱い時の耐衝撃性も大きく、しかも電子レンジ等による加熱調理時の内圧増加に対しては、前記分離部に加圧力が作用して易剥離テープが容易に分離するため、内圧の逃げ口が自動的に形成される利点がある。
【0039】
さらに、易剥離テープの易剥離接着層に達しかつ外気に連通する通気孔を袋に設けることによって、内圧が均一に作用しない場合でも袋の他の部分が破裂するようなことはなく、内圧を逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の包装袋の一例を示す正面図
【図2】包装袋の他の例を示す正面図
【図3】図1のI−I線に沿った拡大縦断面図
【図4】図1のI−I線に沿った他の例を示す拡大縦断面図
【図5】易剥離テープの断面図
【図6】同上の樹脂層の塗布パターンを示す平面図
【図7】易剥離テープの他の例を示す断面図
【図8】易剥離テープのさらに他の例を示す断面図
【図9】易剥離テープのさらにまた他の例を示す断面図
【図10】袋を形成する積層シートの例を示す断面図
【符号の説明】
1 袋本体
1a 底部
2、2a、2b 熱封緘部
3 内容物
4 易剥離テープ
4a 切欠き
5 袋の積層シート
6a 切り目
6b 貫通孔
6c 切り欠き
a 易剥離テープの分離巾
b 易剥離テープの袋内部への突出巾
41、42 熱融着性を有する剥離層
43 易剥離接着層
411、421 基材
412、422 熱接着層
431 樹脂層
432 接着剤層
51 基材
52 熱封緘層
511 表面保護層
512 ガスバリヤー層
513 補強層
【発明の技術分野】
この発明は、電子レンジ等によって加熱又は調理の際に生ずる内圧増加があっても破裂することのない包装袋に関する。
【0002】
【従来の技術】
袋によって包装された食品等の内容物を電子レンジで加熱又は調理を行なう際、内圧上昇のため内圧を逃がす必要がある。
【0003】
現在は、手やハサミあるいはナイフ等で袋の一部を切り、内圧の逃げ口を作成して、加熱調理を行っているが、この操作を忘れて加熱、調理すると袋が破裂してしまう危険がある。
【0004】
そのため、袋の包装袋を形成する積層シートの最内層の熱接着フィルムにスリットを設けておき、その部分にフィルムを積層するために用いる接着剤を塗付しないで貼合せ、そこを内圧の逃げ口としている袋が考案されているが、袋内外の密閉性に問題がある。
【0005】
また、袋に弁を設け、内圧上昇によって弁が開き内圧を逃がす構造の袋も考案されているが、別工程で弁を取り付けなければならず、弁自身も複雑な構造であるため、コストが高くなる問題がある。
【0006】
そこで、本発明者は、電子レンジによって加熱又は調理を行なう際に、袋内の内圧上昇によって破裂し内容物が飛散するようなことがない包装袋を提案している(特願平8−68355号)。
【0007】
この発明は、熱封緘によって形成される密封包装袋の自然開口予定熱封緘部に、この熱封緘部の熱封緘層と熱融着可能な熱接着層をそれぞれ最外層に有し、かつこれらの層間を手で剥離できる程度の接着力に調整した易剥離テープを、袋本体の内容物収納部側に突出させて熱融着し、この易剥離テープの内端から巾方向に分離部を設け、この分離部の巾を前記テープの突出部の巾以上にしたものである。
【0008】
上述のように、易剥離テープを内容物収納部の内側に突出させてあるので、包装袋の落下時等の衝撃にも十分に耐える密封性を有し、電子レンジ等の加熱による急激な内圧上昇時には、前記分離部から易剥離テープが自然開封して内圧を逃がすことができる。
【0009】
しかしながら、包装袋の運搬や展示等の取り扱い時に衝撃が加わると、易剥離テープが開封してしまうことがあり、これを防止するために、包装袋を四方シールして(二つ折りのシートで袋を形成する場合は三方シール)包装袋の周囲を密封し、その密封部の内側に前記易剥離テープを挿入しておく方法が採られる。
【0010】
ところが、比較的サイズの大きい袋の場合、内容物が膨満したときに、膨張圧が袋内面に均一に加わらず偏加圧によって易剥離テープ以外の熱封緘部が先に剥離開封され、内容物が遺漏してしまうことがある。
【0011】
【発明の課題】
そこで、この発明の課題は、易剥離テープを挿入した包装袋の自然開口予定部から確実に開封されるようにすることである。
【0012】
【課題の解決手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、熱封緘によって形成される全周が密封された包装袋の自然開口予定熱封緘部に、この熱封緘部の熱封緘層と熱融着可能な熱接着層をそれぞれ最外層に有する対向した剥離層とこれらの剥離層間に設けられた手で剥離できる程度の接着力に調整した易剥離接着層より成る易剥離テープを、袋本体の内容物収納部側に突出させて熱融着し、この易剥離テープの内端から巾方向に分離部を設け、この分離部の巾を前記テープの突出部の巾以上にし、前記易剥離テープの易剥離接着層に達しかつ袋本体の外部に通じる通気孔を設けたのである。
【0013】
このようにすると、内圧が上昇したとき、易剥離テープの易剥離接着層が完全に分離しなくても、通気孔から内圧を逃がすことができる。
【0014】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は包装袋1の正面図であり、熱封緘部2により、内容物3が密封収納されている。そして、部分Aにおいては、易剥離テープ4の熱接着層(後述)と袋本体1の熱封緘層とによって、熱封緘部2aが形成されている。従ってこの包装袋1は、周囲が全て熱封緘された所謂四方シールの袋である。これに代えて、図2に示すように、底部1aの部分で二つ折りにしたシートの両側及び上端部を熱封緘した包装袋でもよい。
【0016】
図3及び図4は、図1のI−I線に沿った熱封緘部の縦断面図である。図示のように、易剥離テープ4が、袋本体1を形成する積層シート5の間に熱融着により挿入されている。
【0017】
易剥離テープ4は、図3乃至図5に示すように、袋本体1の積層シート5と熱融着可能な剥離層41、42が易剥離接着層43により積層されたものである。剥離層41、42の基材411、421には、ポリエステル、ナイロン(商品名)、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが好適であり、それらの単体、複合体のいずれであってもよい。また、熱接着層412、422としては袋本体1の熱封緘層52と熱融着し得る樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエステル共重合体、ポリアミドなどが用いられる。なお、基材411、421自体が、袋本体1の積層シート5との熱融着性を有すれば、熱接着層412、422は省略することができる。また、基材411、421と熱接着層412、422との間に印刷層、着色層などを設けておくことができる。
【0018】
前記易剥離接着層43は、樹脂層431と接着剤層432より成る。樹脂層431は、比較的接着強度の弱い、例えばビニル樹脂やウレタン樹脂、アクリル樹脂やポリアミド樹脂、シリコーン樹脂などの単体或は混合物から成り、この樹脂のパートコートによって形成されたものであって、そのパターンの一例は、図6(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、コートしない部分が例えば点状、線状、格子状などの模様を形成している。
【0019】
前記接着剤層432は、レトルト殺菌処理を施す場合には、接着強度の低下が小さい接着剤を使用することが望ましい。その様な接着剤としては、公知のポリオール成分とイソシアネート成分の反応物を生成し得る2液硬化型ウレタン系ドライラミネート用接着剤がある。勿論、他の接着剤を用いてもよいが、弱い接着力で足りる場合には、塩化ビニル、酢酸ビニル、共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、線状ポリエステル樹脂などのイージーピール性を有する樹脂を用いてもよい。
【0020】
また、基材411、421としてポリエステル共重合体、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの強接着性のあるフィルムを使用する場合は、接着剤層432を省略することができる。
【0021】
図7に示すように、前記樹脂層431と同様の樹脂層433を接着剤層432の反対側にも設けることができる。
【0022】
図8及び図9は易剥離テープ4の他の例を示したものである。図8は易剥離テープ4を合成樹脂の共押出しにより形成したものであり、剥離層41と接着層43の層間接着力、剥離層42と接着層43の層間接着力、或は接着層43の凝集力のうち、少なくとも一つが弱くなるように樹脂を選択する。
【0023】
図9は、層41、42、43を形成するフィルム単体を熱接着法により積層し、易剥離テープ4を形成したものである。図8の場合と同じく、層41と43の層間接着力、層42と43の層間接着力、或は層43の凝集力のうち、少なくとも一つが弱くなるように樹脂を選択する。また、層41と43、或は層42と43とを接着剤による接着法或は共押出し法などで積層しておき、その後、熱接着法により層42、或は層41と積層しても差し支えない。
【0024】
さらに、易剥離テープ4をあらかじめ製作せずに、材料41、42、43を準備し、製袋時に挿入、熱接着することも可能である。
【0025】
次に、前記易剥離テープ4には、図3、図4、図5、図7、図8、図9に示すように、分離部43a、即ち層42と層43が接合していない部分がテープ4の巾方向に全長にわたって形成されている。この分離部43aを形成するには、図3、図5、図7、図8のように、予め易剥離接着層43を介して層42と全面貼り合せた後、分離部43aのみをテープ4の巾方向に全長にわたって剥離する方法、或はテープ4を形成する際に分離部43aに対応する部分を圧着しない方法、図4及び図9のように、分離部43aに対応する部分のみ易剥離接着層43を設けない(除去する)方法がある。
【0026】
前記袋本体1は、図3、図4及び図10に示すように、基材51と熱封緘層52との積層シートより成る。基材51は、表面保護層511、ガスバリヤー層512、補強層513を積層したものであり、印刷層や着色層を適宜設けることができる。また、用途によってはこれに限られず、例えば、ガスバリヤー層512のないもの、或は補強層513がない構成などもあり得る。さらに、層512と513の位置がかわっていてもよい。熱封緘層52としては、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などが用いられるが、これに限られず、要は、易剥離テープ4の熱接着層412、422と熱融着(強接着)可能であればよい。なお、基材51が、熱接着層412、422との熱融着性を有すれば、この層52は省略することができる。
【0027】
上記のような袋本体1の開封部に、前記テープ4を介在させたとき、図3及び図4に示すように、袋内部にテープ4が一定巾だけ突出するように配置する。このとき、図3に示すように、分離部43aの巾aは、a≧b>0となるようにしておく。このように、テープ4を袋内に突出させることによって、取り扱い中の衝撃その他による内圧がテープ介在部に加わっても、テープ4の突出部の基部B(図3)に加圧力が集中し、この部分は袋1と強く接着されているため、テープ4の易剥離接着層43が剥離を起こすことはない。
【0028】
さらに、図4に示すように、易剥離テープ4の一面と他面で突出部の巾を異ならせてもよい。図示の場合、b1 <b2 であり、分離部aとの関係は、a≧b1 であればよい。従ってa≦b2 の場合もありa>b2 の場合もある。このように突出巾を異ならせると、耐圧性、耐衝撃性がさらに向上する。
【0029】
しかしながら、電子レンジによる加熱で内圧が大きく増加する場合には、分離部43aに働く加圧力が増大し、分離部43aから易剥離接着層43が剥離を起こし、剥離層41と42が分離する。上記分離部43aの巾aを突出部の巾b又はb1 以上としかつこれらの巾a、b、b1 、b2 を適当に選択することによって、内圧増加による自然開口を容易にし、かつ耐圧性のコントロールも容易に行なうことができる。
【0030】
上記のような自然開口は、内圧が袋内部の熱封緘部にほぼ均一に作用する場合には正常に行なわれるが、例えば包装袋のサイズが比較的大きく内容物が偏在している場合などには偏加圧が生じ易剥離テープ4以外の熱封緘部が内部から剥離してしまうことがある。そこで、図1、図2及び図3に示すように、易剥離テープ4の易剥離接着層43の部分に対応し、かつこの層43と外気を連通する切り目6a、貫通孔6b、切り欠き6cなどの通気孔を設けておく。この通気孔は複数設けてもよいし、切り目6a、孔6b、切り欠き6cを混在させてもよい。通気孔の位置は、包装袋のサイズや内容物の膨脹度等を考慮に入れて適宜選択すればよい。
【0031】
以下に実施例と比較例を挙げる。
【0032】
【実施例1】
シート5(図3参照)の基材51は厚さ12μのポリエステル、熱封緘層52は厚さ60μの無延伸ポリプロピレンを用い、サイズ170mm×250mmの平袋を作成した。テープ4(図5参照)の熱接着層412、422はそれぞれ厚さ30μの無延伸ポリプロピレン、基材411、421はそれぞれ厚さ12μのポリエステル、樹脂層431はアクリル系樹脂、接着剤層432は2液硬化型ウレタン系接着剤を用いて長さ170mm、巾20mmの易剥離テープを作成し、分離巾aを5mm、突出部bを2mmとして(図3参照)、図1の構造の袋を用意した。主室のサイズは130mm×195mmとし、内容物は30gのガーゼに水50gを含浸させたものを用いた。通気孔は縦横5mmの十形の切り目とし易剥離層43のほぼ中央部を貫通して1個設けた。
【0033】
【実施例2】
実施例1と同じシートを用い、同じサイズの平袋を作成した。易剥離テープも実施例1と同様であるがアクリル系樹脂層は図7のように2層(431と433)形成し、図1の構造の袋を用意し、同じ内容物を封入した。通気孔として、易剥離テープの両端部の位置に深さ3mmの円弧状切り欠きを形成した。
【0034】
【比較例1】
通気孔を形成しない実施例1と同じ袋を用意した。
【0035】
【比較例2】
通気孔を形成しない実施例2と同じ袋を用意した。
【0036】
上記実施例及び比較例の各袋を手で10秒間強く振って遺漏がないかどうかをテストしたが、いずれも内容物の遺漏は見られなかった。
【0037】
次に、600Wの電子レンジで1分間加熱したところ、実施例のものは、加熱開始から40秒で袋がふくらみ始め、50秒後に通気孔から蒸気が噴出しその後安定したふくらみ状態を保ち破裂せずに加熱できたが、比較例のものは通気孔から蒸気が噴出する前に袋側面の熱封緘部が破裂した。
【0038】
【効果】
この発明によれば、以上のように、易剥離テープを周囲を熱封緘して密封した袋の自然開口予定部に介在させ、このテープを袋の内容物収納部側に突出させ、この突出部の巾をテープの内端から巾方向に設けた分離部以下にしたので、耐圧性に優れてレトルト殺菌にも耐えると同時に流通取り扱い時の耐衝撃性も大きく、しかも電子レンジ等による加熱調理時の内圧増加に対しては、前記分離部に加圧力が作用して易剥離テープが容易に分離するため、内圧の逃げ口が自動的に形成される利点がある。
【0039】
さらに、易剥離テープの易剥離接着層に達しかつ外気に連通する通気孔を袋に設けることによって、内圧が均一に作用しない場合でも袋の他の部分が破裂するようなことはなく、内圧を逃がすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の包装袋の一例を示す正面図
【図2】包装袋の他の例を示す正面図
【図3】図1のI−I線に沿った拡大縦断面図
【図4】図1のI−I線に沿った他の例を示す拡大縦断面図
【図5】易剥離テープの断面図
【図6】同上の樹脂層の塗布パターンを示す平面図
【図7】易剥離テープの他の例を示す断面図
【図8】易剥離テープのさらに他の例を示す断面図
【図9】易剥離テープのさらにまた他の例を示す断面図
【図10】袋を形成する積層シートの例を示す断面図
【符号の説明】
1 袋本体
1a 底部
2、2a、2b 熱封緘部
3 内容物
4 易剥離テープ
4a 切欠き
5 袋の積層シート
6a 切り目
6b 貫通孔
6c 切り欠き
a 易剥離テープの分離巾
b 易剥離テープの袋内部への突出巾
41、42 熱融着性を有する剥離層
43 易剥離接着層
411、421 基材
412、422 熱接着層
431 樹脂層
432 接着剤層
51 基材
52 熱封緘層
511 表面保護層
512 ガスバリヤー層
513 補強層
Claims (3)
- 両最外層に袋本体の熱封緘層とそれぞれ熱融着可能な熱接着層を有する対向した剥離層と、これらの層間に設けられた易剥離接着層より成る易剥離テープを、全周が密封された袋本体の自然開口予定熱封緘部に介在させかつその熱封緘部よりも袋本体の内容物収納部側に突出させた突出部を設け、この易剥離テープの内端から巾方向に前記易剥離接着層が存在しないか又は予め剥離した分離部を設け、この分離部の巾を前記突出部の巾以上にし、前記易剥離テープの易剥離接着層に達しかつ袋本体の外部に通じる通気孔を設けた包装袋。
- 前記突出部の巾を前記易剥離テープの一面よりも他面で大きくし、前記分離部の巾を突出部の小なる巾以上にしたことを特徴とする請求項1に記載の包装袋。
- 前記通気孔が前記易剥離テープの端部に対応する位置に設けられた切り欠き、前記易剥離接着層に対応して袋本体を貫通する貫通孔又は切り目のいずれかである請求項1に記載の包装袋。
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