JP3901816B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真技術を用いた画像形成装置に関し、一層詳細には熱定着方式を採用している画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真技術を用いて画像形成を行う画像形成装置には、熱定着を行う定着装置を備えているものがある。このタイプの定着装置は、高温に加熱された加熱ローラに対して加圧ローラで用紙を加圧し、転写されたトナーを加熱融解して定着を行う。
【0003】
このような定着装置は、高温に加熱された加熱ローラを含むために安全対策上の観点から、また機構の精度を保持する観点からもユニット化が行われている。
【0004】
しかし、画像形成装置内を用紙が搬送される際、給紙部から用紙の送り出しのタイミングが遅れた場合、搬送中に用紙がスリップしたり、引っ掛かったりして詰まることがある(所謂、ジャム)。この場合、詰まった用紙を装置内から除去するためにユニット化された定着装置内に手を入れる必要がでてくる。
【0005】
そこで、作業者が簡単かつ安全に詰まった用紙を除去できるように、以下のような提案が従来からなされている。
【0006】
特開平5−289564号公報には、開閉自在な排紙カバーと連動し、加熱ローラと加圧ローラのニップを解除するための機構および部品を備えている定着装置が開示されている。
【0007】
また、特開昭59−13247号公報および特開平2−173686号公報には、定着装置の一部が蓋になっており、開閉自在な本体外装カバーの閉動作により連動して定着装置の蓋を閉じる機構が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特開平5−289564号公報に開示された定着装置では、加熱ローラと加圧ローラのニップを解除するために新たな機構、部品を備える必要があり、コストの増大につながる。
【0009】
また、特開昭59−13247号公報および特開平2−173686号公報に開示された定着装置では、詰まった紙を除去するのに本体外装カバーを開いた後に定着装置の蓋を開くという煩雑な段階を踏まないといけないという問題があった。また、本体外装カバーと定着装置の蓋を連動させる機構のために、部品点数が増大するという問題があった。
【0010】
本発明は係る事実を考慮して、部品点数を増大させることなく、簡単かつ安全に詰まった用紙を除去できる画像形成装置を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明では、装置本体内部で用紙を搬送することにより画像形成部において前記用紙にトナー像を転写し、定着部において前記トナー像を前記用紙に定着させ、排紙トレイへ排出する画像形成装置であって、前記定着部から前記排紙トレイにかけて形成された用紙搬送路の一部を構成するガイド部材と、装置本体に対して開閉自在に構成され、前記ガイド部材を支持するカバー部材と、を有し、前記ガイド部材は、前記定着部から上方に向けて搬送される前記用紙のための用紙搬送路の一部を構成し、前記カバー部材とは別部材の耐熱性部材であって、前記カバー部材に対して弾性部材を介して変位可能に支持されるとともに、前記ガイド部材には係合部が設けられ、前記係合部を前記装置本体に設けられた被係合部に係合することにより、前記ガイド部材が前記装置本体に位置決めされることを特徴とする。
【0012】
したがって、詰まった紙を除去する際に、カバー部材を開くとガイド部材も一体的に移動するので、用紙搬送路が外部に露出され、詰まった用紙を簡単に除去できる。また、用紙搬送路を構成するガイド部材とカバー部材を一体的に開閉する構成としたため、両部材を連動させる部品などが不要となり部品点数を減らすことができるとともに、ガイド部材の閉め忘れも防げる。さらに、カバー部材とガイド部材とを材質の異なる部材で構成することにより、定着部に近いガイド部材のみを耐熱性部材で形成することができる。
【0014】
また、カバー部材を閉じた時に、カバー部材が装置本体の所定位置に納まらなくとも、ガイド部材の係合部が弾性部材に付勢されて装置本体の被係合部に係合することで、用紙搬送路を構成するガイド部材が装置本体に正確に位置決めされるので、用紙が正確に案内されて搬送され、紙詰まりの発生を防ぐことができる。
【0015】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記定着部から前記排紙トレイまでの用紙搬送路の途中に一対のローラ対が設けられており、このローラ対の一方のローラを他方のローラに対して接近・離間自在に構成したことを特徴とする。
【0016】
これにより、ローラ対の一方のローラを他方のローラから離間させることにより、ローラ対の隙間から手を入れて定着部の間に詰まった用紙を除去できる。また、他の作業を行う場合にはローラ対を接近させておくので、作業者が不用意に加熱されている定着部に接触することを防げる。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2項記載の発明において、前記排紙トレイに用紙を排出する排紙ローラを備え、前記ガイド部材の下面には、前記排紙ローラに前記用紙を案内する複数のフィンが平行に配置されていることを特徴とする。
これにより、ガイド部材の下面に平行に配置されている複数のフィンによって排紙ローラに向かって用紙が正確に案内され、排紙ローラから排紙トレイに排出される。
請求項4記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記ガイド部材の上面に設けられた第1凸部と、前記カバーの下面に設けられた第2凸部と、を備え、前記弾性部材が前記両凸部間に挿入位置決めされていることを特徴とする。
このように構成されることにより、カバー部材を閉塞する際に両凸部間に挿入位置決めされた弾性部材が変形し、ガイド部材が装置本体と当接する衝撃が緩和される。また、カバー部材を閉塞する際、弾性部材の変形によってカバー部材に対してガイド部材を調整可能である。したがって、取り付け誤差がある場合にもカバー部材の係合部が装置本体の被係合部と確実に係合し、カバー部材を装置本体に対して位置決めできる。
請求項5記載の発明では、請求項1記載の発明において、前記係合部は前記ガイド部材に設けられた第3凸部であり、前記被係合部は前記装置本体に設けられた凹部であることを特徴とする。
カバー部材の閉塞時にガイド部材に設けられた第3凸部が装置本体に設けられた凹部に進入することによって、装置本体に対してガイド部材が精度良く位置決めされる。特に、ガイド部材が弾性部材によって付勢されているため、取り付け誤差がある場合でも第3凸部が凹部に確実に進入し、ガイド部材を位置決めできる。
【0017】
【発明の実施の形態】
本実施形態に係る画像形成装置を図1〜図7を参照して説明する。
【0018】
先ず、図1を参照して画像形成装置10を概略説明し、その後に要部であるポップアップカバー54およびガイド部材60について詳細に説明する。
【0019】
画像形成装置10は、図1に示すように、筐体12の内部に挿入された用紙トレイ16に積層された用紙14がピックアップローラ18で取り出され、レジストローラ対20で用紙端部が揃えられた後、画像形成部22に搬送される。
【0020】
画像形成部22には、トナーカートリッジ24に支持された感光体ドラム26と、感光体ドラム26に対向する位置に転写ローラ28が備えられている。感光体ドラム26の外周側には、帯電器30、画像記録部32および現像装置34が配設されている。
【0021】
帯電器30は、感光体ドラム26の外周面を帯電させる。画像記録部32は、入力された画像データに基づいて光ビームを感光体ドラム26の外周面に照射する。これにより、感光体ドラム26の外周面に画像データに対応した静電潜像が形成される。また、現像装置34は、感光体ドラム26の外周面に形成された静電潜像を現像し、トナー像を形成させる。
【0022】
転写ローラ28と感光体ドラム26が対向配置される位置まで搬送された用紙14は、転写ローラ28によって感光体ドラム26に押圧され、感光体ドラム26の外周面に形成されたトナー像が転写される。
【0023】
トナー像が転写された用紙14は、定着装置36に搬送される。定着装置36では、定着部である対向配置された加熱ローラ38と加圧ローラ40によって、用紙14にトナー像が定着される。
【0024】
トナー像が定着された用紙14は、一対のデカーラーローラ42a、42b、排紙ローラ対44によってフェイスダウントレイ46に案内される。
【0025】
このように画像形成が行われる画像形成装置10は、図3に示すように、筐体12の側面に設けられたヒンジ52によって回動自在に構成されたポップアップカバー54を筐体12の上面に配設している。
【0026】
ポップアップカバー54は、爪部材56を筐体12の図示しない孔部に挿入することにより筐体12に係着され、押圧することによって係着状態が解除される構成となっている。
【0027】
ポップアップカバー54は、下側にガイド部材60がネジ66によって係止されている。これは、ガイド部材60の孔部64a〜64cに挿入されたネジ66がポップアップカバー54の下面に形成されたボス68に螺入されている(図4、図5参照)ため、ネジ66のネジ山66aによってガイド部材60がポップアップカバー54に支持される。
【0028】
ガイド部材60の下面には、用紙14を排紙ローラ対44に正確に案内するフィン62が所定の間隔をおいて平行に多数配設されている(図2参照)。
【0029】
ガイド部材60の上面の両端部近傍(図4破線部参照)には、図5に示すように、円柱形の凸部70が立設され、ポップアップカバー54の下面に立設された円柱形の凸部72との間にスプリング74が挿入位置決めされている。したがって、ポップアップカバー54が筐体12に対して閉じられた場合に、スプリング74がガイド部材60の緩衝および微調整を行う。
【0030】
さらに、ガイド部材60の両端部には、図4、図6に示すように、位置決め用の凸部76a、78a、76b、78bが設けられている。ガイド部材60の凸部76a、78aが筐体12の側面上部に設けられた凹部80a、82aに挿入され、凸部76b、78bが筐体12の側面上部に設けられた凹部80b、82bに挿入されることにより、筐体12に対してガイド部材60が位置決めされる。
【0031】
一方、筐体12の内部に配設された定着装置36では、一方のデカーラーローラ42bが支持部材84に回動自在に軸支されている。この支持部材84は、ピン部材86によって図示しないフレームに対して回動自在に支持されており、加圧ローラ40を支持する支持部材87に当接することにより、デカーラーローラ42bをデカーラーローラ42aに対向する位置に配設する。ピン部材86にはトーションスプリング88が装着されているため、支持部材84を常時支持部材87側に常時付勢している。ピン部材86を中心にして支持部材84を手動で回動させた場合には、筐体12に支持部材84が当接する位置まで回動する(図6二点鎖線部参照)。この場合、デカーラーローラ42a、42bの間には、人の指が挿入できる位の隙間が形成される。
【0032】
このように構成される画像形成装置10では、定着装置36内の搬送路で用紙14のジャムが発生した場合、以下のようにして用紙14を除去する。
【0033】
先ず、ポップアップカバー54のフェイスダウントレイ46を押圧することにより、爪部材56の係着状態を解除する。そこで、ポップアップカバー54をヒンジ52を中心にして回動させる(図7→図6)。これにより、ポップアップカバー54と共にガイド部材60も回動するため、開口部90から定着装置36の内部が露出する(図2、図6参照)。すなわち、定着装置36のデカーラーローラ対42a、42bの下流側搬送路における上側ガイドであるフィン62も取り除かれるので、前記搬送路が露出して詰まった用紙14を容易に取り除くことができる。
【0034】
なお、用紙14が加熱ローラ38と加圧ローラ40の間に詰まっている場合には、デカーラーローラ42bを支持する支持部材84をピン部材86を中心にして筐体12の側面に当接する位置まで回動させる(図6二点鎖線部参照)。これにより、デカーラーローラ42bがデカーラーローラ42aの対向する位置から移動させられ、デカーラーローラ42a、42b間には人の指が進入できる程の隙間ができる。この隙間から指を進入させ、加熱ローラ38、加圧ローラ40の間に詰まっている用紙14を取り出す。支持部材84に加えていた力を除くと、トーションスプリング88の弾性力により支持部材84が反時計回りに回動する。これにより、デカーラーローラ42bがデカーラーローラ42aに対向する位置に戻る。
【0035】
このようにしてジャムした用紙14を取り除いた後で、ポップアップカバー54をヒンジ52を中心にして回動させて閉じる。ポップアップカバー54は爪部材56を筐体12の図示しない孔部に挿入することにより、筐体12に係着される。
【0036】
この際、ガイド部材60の端部に設けられた凸部76a、78aが筐体12の凹部80a、82aに挿入され、凸部76b、78bが凹部80b、82bに挿入されることにより位置決めされる。ここで、ガイド部材60はポップアップカバー54にたいしてネジ山66aで支持され、スプリング74によって付勢あるいは緩衝されているため、ヒンジ52のガタつき等により多少のずれがあっても調整して正確に位置決めすることができる。例えば、凹部80bに対して凸部76bが当接しない場合であっても、スプリング74によってガイド部材60が付勢されているため、凸部76bが凹部80bに進入して当接する。したがって、ガイド部材60の筐体12に対する位置決めが正確に行われる。
【0037】
すなわち、搬送路に対してフィン62が正確に位置決めされ、用紙14がフィン62によって正確に排紙ローラ対44に搬送される。フィン62の位置ずれによって排紙ローラ対44のところで用紙14が詰まること等を確実に防止する。
【0038】
このように、本実施形態の画像形成装置10では、定着装置36の蓋としてガイド部材60を用い、ポップアップカバー54と一体的に開閉する構成としたため、搬送路が簡単に露出して詰まった用紙14を容易に取り出すことができる。
【0039】
また、ガイド部材60とポップアップカバー54は別部材なので、高熱の加熱ローラ38の近傍に配設されるガイド部材60のみを耐熱性の別部材で形成することができ、製造コストの削減につながる。
【0040】
さらに、ガイド部材60をポップアップカバー54に対して調整可能に取り付け、ガイド部材60の凸部76a、76b、78a、78bを筐体12の凹部80a、80b、82a、82bに挿入させることにより筐体12に対してガイド部材60を正確に位置決めできる。したがって、ガイド部材60のフィン62が正確な位置に配設され、用紙14を排紙ローラ対44に正確に搬送することができる。
【0041】
【発明の効果】
請求項1に係る本発明は上記構成としたので、カバー部材を開けるだけでガイド部材を一緒に開閉することができ、簡便である。
【0042】
また、ガイド部材を装置本体に正確に位置決めできる。さらに、カバー部材のガタつき等によって装置本体に対するガイド部材の位置が正確な位置とずれても、弾性部材により前記位置ずれを調整して正確な位置に位置決めできる。
【0043】
請求項2に係る本発明は請求項1の発明において上記構成としたので、必要なときだけデカーラーローラを離間させて指を挿入してジャムした用紙を取り除くことができ、通常は加熱ローラに接触させない構成とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本形態に係る画像形成装置のポップアップカバーの開状態を示す斜視図である。
【図3】本形態に係る画像形成装置の分解斜視図である。
【図4】本形態に係るガイド部材の下側平面図である。
【図5】本形態に係るポップアップカバーとガイド部材の係合状態説明図である。
【図6】本形態に係る画像形成装置のポップアップカバーの開状態を示す一部断面図である。
【図7】本形態に係る画像形成装置のポップアップカバーの閉状態を示す一部断面図である。
【符号の説明】
10 画像形成装置
12 筐体(装置本体)
14 用紙
22 画像形成部
36 定着装置
38 加熱ローラ(定着部)
40 加圧ローラ(定着部)
44 フェイスダウントレイ(排紙トレイ)
54 ポップアップカバー(カバー部材)
60 ガイド部材
Claims (5)
- 装置本体内部で用紙を搬送することにより画像形成部において前記用紙にトナー像を転写し、定着部において前記トナー像を前記用紙に定着させ、排紙トレイへ排出する画像形成装置であって、
前記定着部から前記排紙トレイにかけて形成された用紙搬送路の一部を構成するガイド部材と、
装置本体に対して開閉自在に構成され、前記ガイド部材を支持するカバー部材と、
を有し、
前記ガイド部材は、前記定着部から上方に向けて搬送される前記用紙のための用紙搬送路の一部を構成し、前記カバー部材とは別部材の耐熱性部材であって、前記カバー部材に対して弾性部材を介して変位可能に支持されるとともに、前記ガイド部材には係合部が設けられ、前記係合部を前記装置本体に設けられた被係合部に係合することにより、前記ガイド部材が前記装置本体に位置決めされることを特徴とする画像形成装置。 - 前記定着部から前記排紙トレイまでの用紙搬送路の途中に一対のローラ対が設けられており、このローラ対の一方のローラを他方のローラに対して接近・離間自在に構成したことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記排紙トレイに用紙を排出する排紙ローラを備え、
前記ガイド部材の下面には、前記排紙ローラに前記用紙を案内する複数のフィンが平行に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成装置。 - 前記ガイド部材の上面に設けられた第1凸部と、
前記カバーの下面に設けられた第2凸部と、
を備え、前記弾性部材が前記両凸部間に挿入位置決めされていることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。 - 前記係合部は前記ガイド部材に設けられた第3凸部であり、前記被係合部は前記装置本体に設けられた凹部であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
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