JP3901656B2 - 電磁式燃料噴射弁 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,主として内燃機関の燃料供給系に使用される電磁式燃料噴射弁に関し,特に,弁座部材,磁性筒体及び非磁性筒体を順次結合してなる弁ハウジングと,前記磁性筒体に連設される固定コアと,前記弁座部材に収容されて開閉動作する弁体と,この弁体に連結され,前記固定コアと対置されるように前記磁性筒体及び非磁性筒体内に収容される可動コアと,前記弁体を閉弁方向に付勢する弁ばねと,前記固定コアを囲繞して配置され,励磁により前記可動コアを固定コアに吸引させて前記弁体を開弁させるコイルとを備えてなり,前記可動コアを前記磁性筒体に摺動自在に支承させ,この可動コアに縦孔を燃料通路として形成した電磁式燃料噴射弁の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる電磁式燃料噴射弁は,例えば特許文献1に開示されるように,既に知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−81356号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,可動コアを磁性筒体に摺動自在に支承させることは,弁体の姿勢を安定させる上に有効であるが,一般に可動コア及び磁性筒体を構成する磁性材料は硬度が低く,しかも可動コア及び磁性筒体の摺動面には,コイルの励磁時,磁力によるサイドスラストが発生するので,耐摩耗性に問題がある。
【0005】
そこで,特許文献1に開示されたものでは,可動コア及び磁性筒体の摺動面に,ショットピーニングやクロムメッキ処理による硬化層を形成して,それらの耐摩耗性を確保している。
【0006】
しかしながら,上記のように摺動面に硬化層を形成することは,それによる製造工程の増加を招き,その上,硬化層の精度管理を必要とするため,電磁式燃料噴射弁の製造コストの低減を困難にしている。
【0007】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,可動コア及び磁性筒体の摺動面に特別な硬化層を形成せずとも,それらに高い耐摩耗性を付与することができる安価な電磁式燃料噴射弁を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,弁座部材,磁性筒体及び非磁性筒体を順次結合してなる弁ハウジングと,前記磁性筒体に連設される固定コアと,弁部を有し,前記弁座部材に設けられているガイド孔の内周面に摺動自在に支承される環状の第1ガイド凸部が前記弁部に近接して一体に形成される弁体と,この弁体に連結され,前記固定コアと対置されると共に,前記磁性筒体及び非磁性筒体内に収容され,前記磁性筒体の内周面に摺動自在に支承される環状の第2ガイド凸部が形成される可動コアと,前記弁体及び可動コアからなる弁組立体に設けられている縦孔内に配置され,前記弁体を閉弁方向に付勢する弁ばねと,前記固定コアを囲繞して配置され,励磁により前記可動コアを固定コアに吸引させて前記弁体を開弁させるコイルとを備えてなり,前記可動コアには前記コイルの励磁により前記固定コアに吸引されて当接するストッパ要素が形成され,このストッパ要素の前記固定コアへの当接時に前記縦孔のみにおいて燃料の流通が可能とされている,電磁式燃料噴射弁において,前記可動コアに,前記縦孔と前記磁性筒体及び可動コア間の間隙とを連通させ,前記第2ガイド凸部を部分的に切除するように開口する複数の横孔を設け,この横孔の直径を前記第2ガイド凸部の軸方向幅より大きく設定したことを第1の特徴とする。
【0009】
この第1の特徴によれば,縦孔に流入した燃料を,複数本の横孔を通して可動コア及び磁性筒体のガイド凸部の摺動面,並びにその前後の可動コア及び磁性筒体間の間隙に供給して,ガイド凸部の摺動面の潤滑は勿論,可動コア及び磁性筒体の冷却を効果的に行うことができ,可動コア及び磁性筒体の耐摩耗性,並びに弁体の応答性の向上を図ることができる。
【0010】
また可動コアを横切る前記横孔は,コイルの励,消磁時,可動コアに渦電流が生ずることを抑え,渦電流に起因する可動コアの加熱を防ぐことができる。
【0011】
さらに前記縦孔及び横孔は,燃料通路の役目の他に,可動コアの贅肉を除去する役目をも果たし,可動コアの軽量化,延いては弁体の応答性の向上に寄与する。
【0012】
さらにまた,前記横孔の直径を前記第2ガイド凸部の軸方向幅より大きく設定したことにより,前記横孔を通過した燃料を,ガイド凸部の摺動面,並びにその前後の可動コア及 び磁性筒体間の間隙に同時に供給し得て,ガイド凸部の摺動面の潤滑,並びに可動コア及び磁性筒体の冷却を,より効果的に行うことができる。
【0013】
また本発明は,第1の特徴に加えて,前記ストッパ要素は,その先端部が可動コアの吸引面から突出するように形成されていることを第2の特徴とする。
【0014】
さらに本発明は,第1の特徴に加えて,前記磁性筒体及び可動コアがフェライト系の高硬度磁性材製とされており,その高硬度磁性材が,Crを10〜20wt%,Siを0.1wt%,Al及びNiの少なくとも一方を1wt%以上,残部としてフェライト系Fe,Mn,C,P,Sを含み,且つAl及びNiの合計を1.15〜6wt%とした合金であることを第の特徴とする。
【0015】
この第の特徴によれば,フェライト系の高硬度磁性材製の可動コア及び磁性筒体には,特別な耐摩耗処理を施す必要がないから,製造工数が削減され,コストの低減を図ることができる。また上記合金を加工するのみで,磁気特性が良好で,しかも硬度が200〜400Hmvと高く,耐摩耗性に優れた可動コア及び磁性筒体を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0017】
図1は本発明の第1実施例に係る内燃機関用電磁式燃料噴射弁の縦断面図,図2は図1の2部拡大図,図3は本発明の参考例を示す,図2に対応した断面図,図4は可動コア及び磁性筒体用合金におけるAl及びNiの合計含有率と硬度との関係を示す線図,図5は上記合金におけるAl及びNiの合計含有率と磁束密度及び体積抵抗との関係を示す線図である。
【0018】
先ず,図1及び図2に示す本発明の第1実施例の説明より始める。
【0019】
図1において,内燃機関用電磁式燃料噴射弁Iの弁ハウジング2は,前端に弁座8を有する円筒状の弁座部材3と,この弁座部材3の後端部に同軸に結合される磁性筒体4と,この磁性筒体4の後端に同軸に結合される非磁性筒体6とで構成される。
【0020】
弁座部材3は,その外周面から環状肩部3bを存して磁性筒体4側に突出する連結筒部3aを後端部に有し,その連結筒部3aの外周面に環状の連結溝38が形成されている。この連結筒部3aを磁性筒体4の前端部内周面に嵌合すると共に,磁性筒体4の前端面を環状肩部3bに当接させ,その後,磁性筒体4の周壁をカシメて前記連結溝38に全周に亙り食い込ませことにより,弁座部材3及び磁性筒体4は互いに同軸且つ液密に結合される。
【0021】
磁性筒体4及び非磁性筒体6は,対向端面を突き合わせて全周に亙りレーザビーム溶接することにより互いに同軸且つ液密に結合される。
【0022】
弁座部材3は,その前端面に開口する弁孔7と,この弁孔7の内端に連なる円錐状の弁座8と,この弁座8の大径部に連なる円筒状のガイド孔9とを備えている。弁座部材3の前端面には,上記弁孔7と連通する複数の燃料噴孔11を有する鋼板製のインジェクタプレート10が液密に全周溶接される。
【0023】
非磁性筒体6の内周面には,その後端側から固定コア5が液密に圧入固定される。その際,非磁性筒体6の前端部には,固定コア5と嵌合しない部分が残され,その部分から弁座部材3に至る弁ハウジング2内に弁組立体Vが収容される。
【0024】
弁組立体Vは,前記弁座8と協働して弁孔7を開閉する半球状の弁部16及びそれを支持する弁杆部17からなる弁体18と,弁杆部17に連結され,磁性筒体4から非磁性筒体6に跨がって,それらに挿入されて固定コア5に同軸で対置される可動コア12とからなっている。弁杆部17及び可動コア12は,弁杆部17に同軸に一体に形成されたストッパ要素14を可動コア12の中心部の連結孔36に嵌合させることによって連結され,その嵌合深さは,弁杆部17に一体に形成されたフランジ35を可動コア12の前端面に当接させることにより規制される。そして可動コア12及び弁体18間を強固に結合するために,可動コア12に,フランジ部35側の周縁部を覆うカシメ部12bが形成される。
【0025】
上記ストッパ要素14は,その先端部を可動コア12の吸引面12aから突出させていて,通常,弁体18の開弁ストロークに相当する間隙sを存して固定コア5の吸引面5aと対置される。またストッパ要素14の,可動コア12の吸引面12aからの突出量gは,ストッパ要素14が固定コア5に当接したとき,固定コア5及び可動コア12の両吸引面5a,12a間に画成すべき所定のエアギャップに相当し,そのエアギャップgは,コイル30を励磁状態から消磁したとき,両コア5,12間の残留磁束が速やかに消失するように設定される。上記ストッパ要素14の端面及び可動コア12の吸引面12aは,ストッパ要素14の可動コア12への嵌入後に,研削により同時に仕上げられる。こうすることにより,互いに関連する前記間隙s及びエアギャップgを精密に得ることができる。
【0026】
弁杆部17は,前記ガイド孔9より充分小径に形成されており,その外周面には,半径方向外方に突出して,前記ガイド孔9の内周面に摺動自在に支承される環状の第1ガイド凸部25aが弁部16に近接して一体に形成される。
【0027】
また可動コア12の外周面には,磁性筒体4の内周面に摺動自在に支承される環状の第2ガイド凸部25bが一体に形成される。こうして第2ガイド凸部25bの前後の可動コア12及び磁性筒体4間に間隙37が設けられる。
【0028】
弁組立体Vには,ストッパ要素14の端面から始まり半球状弁部16の中心Oを超えて行き止まりとなる縦孔19と,この縦孔19を,第1ガイド凸部25aより弁部16寄りの弁杆部17外周面に連通する第1横孔20aと,同縦孔19を,第2ガイド凸部25bの外周面に連通する第2横孔20bと,同縦孔19を,可動コア12及び第1ガイド凸部25a間の中央部の弁杆部17外周面に連通する第3横孔20cとが設けられる。その際,第1横孔20aは弁杆部17に穿設され,その本数は,縦孔19と直交する少なくとも2本とされる。また第2横孔20bは,可動コア12からストッパ要素14にかけて穿設され,その本数も,縦孔19と直交する少なくとも2本とされる。その第2横孔20bの直径dは前記第2ガイド凸部25bの軸方向幅wより大きく設定される。したがって第2横孔20bは,第2ガイド凸部25bを部分的に切除するように設けられる。
【0029】
縦孔19の途中には,固定コア5側を向いた環状のばね座24が形成される。
【0030】
固定コア5は,可動コア12の縦孔19と連通する縦孔21を有し,この縦孔21に内部が連通する燃料入口筒26が固定コア5の後端に一体に連設される。燃料入口筒26は,固定コア5の後端に連なる縮径部26aと,それに続く拡径部26bとからなっており,その縮径部26aから縦孔21に挿入又は軽圧入されるパイプ状のリテーナ23と前記ばね座24との間に可動コア12を弁体18の閉弁側に付勢する弁ばね22が縮設される。その際,リテーナ23の縦孔21への嵌合深さにより弁ばね22のセット荷重が調整され,その調整後は縮径部26aの外周壁を部分的に内方へカシメることでリテーナ23は縮径部26aに固定される。拡径部26bには燃料フィルタ27が装着される。
【0031】
前記固定コア5,可動コア12及び磁性筒体4は,何れもフェライト系の高硬度磁性材製とされ,具体的には,次の組成の合金を切削することにより構成される。
【0032】
Cr・・・10〜20wt%
Si・・・0.1wt%
Al及びNi・・・両方を含むと共に,それらの少なくとも一方が1wt%以上,且つ両方の合計が1.15〜6wt%
残部・・・フェライト系Fe,不純物のMn,C,P,S
而して,上記合金中,特にAl及びNiの合計が1.15〜6wt%であることが固定コア5,可動コア12及び磁性筒体4の耐摩耗性,磁力及び応答性の向上に大きく関与する。即ち,Al及びNiは,それらの合計含有率の略95%が析出物となり,それが固定コア5,可動コア12及び磁性筒体4の硬度,磁束密度及び体積抵抗に大きな影響を与えるのであり,硬度は耐摩耗性を得る上で大きいことが望ましく,磁束密度は磁力を強化する上で大きいことが望ましく,体積抵抗は応答性を高める上で小さいことが望ましい。
【0033】
前記合金におけるAl及びNiの合計含有率と硬度との関係を実験により調べたところ,図4の線図に示す結果を得た。また前記合金におけるAl及びNiの合計含有率と磁束密度及び体積抵抗との関係を実験により調べたところ,図5の線図に示す結果を得た。
【0034】
図4から明らかなように,Al及びNiの合計含有率が1.15〜6wt%である限り,合金の硬度は200〜400Hmvである。この範囲の硬度は,合金の切削加工後,メッキ等の特別な耐摩耗処理を施さずとも,固定コア5,可動コア12及び磁性筒体4に充分な耐摩耗性を付与するに足るものである。
【0035】
また図5から明らかなように,Al及びNiの合計含有率が6wt%を超えると,固定コア5,可動コア12及び磁性筒体4の磁束密度が低下して,充分な磁力が得られなくのみならず,体積抵抗の上昇により磁束の流れに遅れが生じ,固定コア5の応答性が低下してしまう。
【0036】
したがって,Al及びNiの合計含有率を1.15〜6wt%としたことにより,固定コア5,可動コア12及び磁性筒体4の耐摩耗性,磁力及び応答性を実用上,満足させることができる。
【0037】
尚,前記合金中のCr 10〜20wt%,Si 0.1wt%,残部 フェライト系Fe,不純物のMn,C,P,Sは,従来の磁性材に一般的に含有されるものである。
【0038】
一方,ストッパ要素14を一体に連ねた弁体18は,非磁性もしくは可動コア12より弱磁性の材料,例えばJIS SUS304材又はSUS440Cで構成される。
【0039】
再び図1において,弁ハウジング2の外周には,固定コア5及び可動コア12に対応してコイル組立体28が嵌装される。このコイル組立体28は,磁性筒体4の後端部から非磁性筒体6全体にかけてそれらの外周面に嵌合するボビン29と,これに巻装されるコイル30とからなっており,このコイル組立体28を囲繞するコイルハウジング31の前端が磁性筒体4の外周面に溶接され,その後端,固定コア5の後端部外周からフランジ状に突出するヨーク5bの外周面に溶接される。コイルハウジング31は円筒状をなし,且つ一側に軸方向に延びるスリット31aが形成されている。
【0040】
上記コイルハウジング31,コイル組立体28,固定コア5及び燃料入口筒26の前半部は,射出成形による合成樹脂製の被覆体32に埋封される。その際,,コイルハウジング31内への被覆体32の充填はスリット31aを通して行われる。また被覆体32の中間部には,前記コイル30に連なる接続端子33を備えたカプラ34が一体に連設される。
【0041】
次に,この第1実施例の作用について説明する。
【0042】
コイル30を消磁した状態では,弁ばね22の付勢力で弁組立体Vは前方に押圧され,弁体18の半球状の弁部16を弁座部材3の円錐状弁座8に着座させているので,それらの緊密な着座状態を得て,弁孔7を確実に遮断している。したがって,図示しない燃料ポンプから燃料入口筒26に圧送された燃料は,パイプ状のリテーナ23内部,弁組立体Vの縦孔19及び第1〜第3横孔20a〜20cを通して弁ハウジング2内に待機させられ,第1及び第2ガイド凸部25a,25b周りの潤滑及び冷却に供される。
【0043】
コイル30を通電により励磁すると,それにより生ずる磁束が固定コア5,コイルハウジング31,磁性筒体4及び可動コア12を順次走り,その磁力により弁組立体Vの可動コア12が弁ばね22のセット荷重に抗して固定コア5に吸引され,弁体18が弁座8から離座するので,弁孔7が開放され,弁座部材3内の高圧燃料が弁孔7を出て,燃料噴孔11からエンジンの吸気弁に向かって噴射される。
【0044】
このとき,弁組立体Vの可動コア12に嵌合固定されたストッパ要素14が固定コア5の吸引面5aに当接することにより,弁体18の開弁限界が規定され,可動コア12の吸引面12aは,エアギャップgを存して固定コア5の吸引面5aと対向し,固定コア5との直接接触が回避される。特にストッパ要素14の,可動コア12の吸引面12aからの突出量の寸法管理により,上記エアギャップgを精密且つ容易に得ることができ,ストッパ要素14が非磁性もしくは弱磁性であることゝ相俟って,コイル30の消磁時の両コア5,12間の残留磁気は速やかに消失して,弁体18の閉弁応答性を高めることができる。ストッパ要素14が固定コア5の吸引面5aに当接したときには,燃料の流通は縦孔19のみにおいて行われる。
【0045】
弁組立体Vは,その開閉動作中,第1及び第2ガイド凸部25a,25bが弁ハウジング2の内周面に摺動することにより,常に倒れのない適正な姿勢に保持されるので,燃料噴射特性の安定化を図ることができる。
【0046】
また可動コア12に形成された第2ガイド凸部25bの外周面には,第2ガイド凸部25bの軸方向幅wより大なる直径dの第2横孔20bが開口しているから,縦孔19に流入した燃料は,複数本の第2横孔20bを通して,第2ガイド凸部25bの摺動面,並びにその前後の可動コア12及び磁性筒体4間の間隙37に同時に効率良く供給され,第2ガイド凸部25bの摺動面の潤滑は勿論,可動コア12及び磁性筒体4の冷却を効果的に行うことができ,弁組立体Vの応答性及び耐摩耗性の向上を図ることができる。しかも可動コア12及び磁性筒体4は,前述のようなフェライト系の高硬度磁性材製であり,それ自体で良好な磁気特性と高い耐摩耗性を発揮し得るので,これにより弁組立体Vの応答性及び耐摩耗性の向上を一層図ることができて,燃料噴射特性を長期に亙り安定させることが可能となる。そしてフェライト系の高硬度磁性材製の可動コア12及び磁性筒体4には,特別な耐摩耗処理を施す必要がない分,製造工数が削減され,コストの低減を図ることができる。
【0047】
また可動コア12を横切る第2横孔20bは,コイル30の励,消磁時,可動コア12に渦電流が生ずることを抑え,渦電流に起因する可動コア12の加熱を防ぐことができる。
【0048】
さらに半球状の弁部16の中心を超えて,その先端面に近づくように形成された縦孔19は,第1〜第3横孔20a〜20cと共に,燃料通路の役目の他に,弁組立体Vの贅肉を除去する役目をも大いに果たし,弁組立体Vの軽量化,延いては応答性の向上に寄与する。
【0049】
次に,図3に示す本発明の参考例について説明する。
【0050】
この参考例は,磁性筒体4の内周面に,可動コア12の外周面を摺動自在に支承する環状の第2ガイド凸部25bが形成したもので,その他の構成は前実施例と同様であるので,図3中,前実施例と対応する部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0051】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。
【0052】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1及び第2の特徴によれば,弁座部材,磁性筒体及び非磁性筒体を順次結合してなる弁ハウジングと,前記磁性筒体に連設される固定コアと,弁部を有し,前記弁座部材に設けられているガイド孔の内周面に摺動自在に支承される環状の第1ガイド凸部が前記弁部に近接して一体に形成される弁体と,この弁体に連結され,前記固定コアと対置されると共に,前記磁性筒体及び非磁性筒体内に収容され,前記磁性筒体の内周面に摺動自在に支承される環状の第2ガイド凸部が形成される可動コアと,前記弁体及び可動コアからなる弁組立体に設けられている縦孔内に配置され,前記弁体を閉弁方向に付勢する弁ばねと,前記固定コアを囲繞して配置され,励磁により前記可動コアを固定コアに吸引させて前記弁体を開弁させるコイルとを備えてなり,前記可動コアには前記コイルの励磁により前記固定コアに吸引されて当接するストッパ要素が形成され,このストッパ要素の前記固定コアへの当接時に前記縦孔のみにおいて燃料の流通が可能とされている,電磁式燃料噴射弁において,前記可動コアに,前記縦孔と前記磁性筒体及び可動コア間の間隙とを連通させ,前記第2ガイド凸部を部分的に切除するように開口する複数の横孔を設け,この横孔の直径を前記第2ガイド凸部の軸方向幅より大きく設定したので,縦孔に流入した燃料を,複数本の横孔を通して可動コア及び磁性筒体のガイド凸部の摺動面,並びにその前後の可動コア及び磁性筒体間の間隙に供給して,ガイド凸部の摺動面の潤滑は勿論,可動コア及び磁性筒体の冷却を効果的に行うことができ,可動コア及び磁性筒体の耐摩耗性,並びに弁体の応答性の向上を図ることができる。また可動コアを横切る前記横孔は,コイルの励,消磁時,可動コアに渦電流が生ずることを抑え,渦電流に起因する可動コアの加熱を防ぐことができる。さらに前記縦孔及び横孔は,燃料通路の役目の他に,可動コアの贅肉を除去する役目をも果たし,可動コアの軽量化,延いては弁体の応答性の向上に寄与する。さらにまた,前記横孔の直径を前記第2ガイド凸部の軸方向幅より大きく設定したことにより,前記横孔を通過した燃料を,ガイド凸部の摺動面,並びにその前後の可動コア及び磁性筒体間の間隙に同時に供給し得て,ガイド凸部の摺動面の潤滑,並びに可動コア及び磁性筒体の冷却を,より効果的に行うことができる。
【0053】
また本発明の第の特徴によれば,第1の特徴に加えて,前記磁性筒体及び可動コアがフェライト系の高硬度磁性材製とされており,その高硬度磁性材が,Crを10〜20wt%,Siを0.1wt%,Al及びNiの少なくとも一方を1wt%以上,残部としてフェライト系Fe,Mn,C,P,Sを含み,且つAl及びNiの合計を1.15〜6wt%とした合金であるので,フェライト系の高硬度磁性材製の可動コア及び磁性筒体には,特別な耐摩耗処理を施す必要がないから,製造工数が削減され,コストの低減を図ることができる。また上記合金を加工するのみで,磁気特性が良好で,しかも硬度が200〜400Hmvと高く,耐摩耗性に優れた可動コア及び磁性筒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例に係る内燃機関用電磁式燃料噴射弁の縦断面図
【図2】 図1の2部拡大図
【図3】 本発明の参考例を示す,図2に対応した断面図
【図4】 可動コア及び磁性筒体用合金におけるAl及びNiの合計含有率と硬度との関係を示す線図
【図5】 上記合金におけるAl及びNiの合計含有率と磁束密度及び体積抵抗との関係を示す線図
【符号の説明】
I・・・・・電磁式燃料噴射弁
V・・・・・弁組立体
d・・・・・横孔(第2横孔)の直径
w・・・・・ガイド凸部(第2ガイド凸部)の軸方向幅
2・・・・・弁ハウジング
3・・・・・弁座部材
4・・・・・磁性筒体
5・・・・・固定コア
6・・・・・非磁性筒体
9・・・・・ガイド孔
12・・・・可動コア
14・・・・ストッパ要素
16・・・・弁部
18・・・・弁体
19・・・・縦孔
22・・・・弁ばね
25a・・・第1ガイド凸部
25b・・・第2ガイド凸部
30・・・・コイル
37・・・・間隙

Claims (3)

  1. 弁座部材(3),磁性筒体(4)及び非磁性筒体(6)を順次結合してなる弁ハウジング(2)と,前記磁性筒体(4)に連設される固定コア(5)と,弁部(16)を有し,前記弁座部材(3)に設けられているガイド孔(9)の内周面に摺動自在に支承される環状の第1ガイド凸部(25a)が前記弁部(16)に近接して一体に形成される弁体(18)と,この弁体(18)に連結され,前記固定コア(5)と対置されると共に,前記磁性筒体(4)及び非磁性筒体(6)内に収容され,前記磁性筒体(4)の内周面に摺動自在に支承される環状の第2ガイド凸部(25b)が形成される可動コア(12)と,前記弁体(18)及び可動コア(12)からなる弁組立体(V)に設けられている縦孔(19)内に配置され,前記弁体(18)を閉弁方向に付勢する弁ばね(22)と,前記固定コア(5)を囲繞して配置され,励磁により前記可動コア(12)を固定コア(5)に吸引させて前記弁体(18)を開弁させるコイル(30)とを備えてなり,前記可動コア(12)には前記コイル(30)の励磁により前記固定コア(5)に吸引されて当接するストッパ要素(14)が形成され,このストッパ要素(14)の前記固定コア(5)への当接時に前記縦孔(19)のみにおいて燃料の流通が可能とされている,電磁式燃料噴射弁において,
    前記可動コア(12)に,前記縦孔(19)と前記磁性筒体(4)及び可動コア(12)間の間隙(37)とを連通させ,前記第2ガイド凸部(25b)を部分的に切除するように開口する複数の横孔(20b)を設け,この横孔(20b)の直径(d)を前記第2ガイド凸部(25b)の軸方向幅(w)より大きく設定したことを特徴とする,電磁式燃料噴射弁。
  2. 請求項1記載の電磁式燃料噴射弁において,
    前記ストッパ要素(14)は,その先端部が可動コア(12)の吸引面(12a)から突出するように形成されていることを特徴とする,電磁式燃料噴射弁。
  3. 請求項1記載の電磁式燃料噴射弁において,
    前記磁性筒体(4)及び可動コア(12)がフェライト系の高硬度磁性材製とされており,その高硬度磁性材が,Crを10〜20wt%,Siを0.1wt%,Al及びNiの少なくとも一方を1wt%以上,残部としてフェライト系Fe,Mn,C,P,Sを含み,且つAl及びNiの合計を1.15〜6wt%とした合金であることを特徴とする,電磁式燃料噴射弁。
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