JP3901412B2 - 吊り下げ穴付プラスチックケース - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、化粧品、菓子類、その他の適宜物品を収納し、吊り下げ展示するのに好便な打ち抜きにより形出可能な包装用プラスチックケースに関する。
【0002】
【従来の技術】
商品を収納したプラスチックケースは、商品を保護しつつ見栄えよく展示するために、適度な強度(剛性)を有し、透明度の高いプラスチックシート、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、特にアモルファスポリエチレンテレフタレート(A−PET)などで成形されたシートによって作られており、圧空真空成形、その他のサーモフォーミング法などによってシートを収納空間を有したケース形態に成形し、打ち抜いて形出すると共に、吊り下げタイプのものはシート基板上部に吊り下げ用のフック穴を打ち抜き形成していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ケース形成過程で穴を打ち抜けば、抜きカスが落ちるので、この抜きカスを除去する手間が必要であった。また、抜きカスはプラスチックシート面に密着しやすく、収納物を収納する次工程や商品展示の店頭まで付着したままとなることもあり、或いはケース内に落ち込み、収納物と混在してしまうこともあり、さらには、成形装置や包装装置の機器の隙間に入り込んでしまうこともあった。
このため、抜きカスを取り除く工程が必要となって、コストアップにつながり、或いは製品の見栄えを悪くし、或いはまた、商品の品質を低下させることにもつながっていた。
【0004】
本発明は、上記のような問題点に着眼し、穴の抜きカスが散乱する従来のケース形成方法を改善し、抜けカスが生じないか、或いは生じてもこれが散乱することの無いようにした、打ち抜きにより形出可能な吊り下げ穴付プラスチックケースを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、PET製シートを表面板部と裏面板部を有するケース形態に打抜き、当該打抜かれたシートに形成された折曲線で前記表裏両面板部を折り重ね、重ね合わさる前記表裏両面板部のシート面内に物品を収納して包装し、ケース上部に形成された穴にフックを通してケースに包装された物品をフックに吊り下げる吊り下げ穴付きプラスチックケースにおいて、 ケース上部に形成された吊り下げ穴は、表面板部に形成された仮止め部により抜きカスが折曲可能に付着状態となった穴と、裏面板部に形成された穴形成面の上縁辺に至って開口していて横幅を前記表面板部に形成された穴の直径よりも大きく設けた連通開放部となった穴とを、表裏面板部を二つ折り重合させた状態で合致する部位に設けてなることを特徴とする。
また、本発明は、表面板部に形成された穴が、刃先が浅い凹刃部を形成したトムソン刃を用いて、僅かな肉厚を残した溝状を穴の一部に設けて形成してあることを特徴とする。
【0006】
なお、本発明により、プラスチックケースの表裏面を通過可能な穴を形成する方法であって、刃の一部が削成された打ち抜き用刃を用いてプレス加工することにより、抜きカスが付着状態となった穴を形成するようにした吊り下げ穴付プラスチックケースの形成方法が示される。
抜きカスの付着形成は、刃の一部が削成された打ち抜き用刃を用いてプレス加工することによって、抜きカスが付着状態となった穴を形成することができる。また、一部に連通開放部を有した穴の形成は、穴形成面の加工と同時に一体的に穴を打抜くことにより、切り取った穴形成面周囲の除去部分と穴の除去部分とを連続状態で打抜くことができる。
【0007】
上記構成において、抜きカス付着状態の穴によれば、穴形に打ち抜き用刃の筋が付くが、穴の開口縁の一部に切断されずに仮止め状態の部分が残り、抜きカスが散乱することがない。連通開放部を有した穴によれば、穴の除去部分は穴形成面周囲の除去部分と連続状態の除去部分となるので、抜きカスが生じない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を一実施例として示した図面によって説明する。
図1は本発明に係る包装用プラスチックケースの一例展開図、図2はこの穴部分を示すII−II線拡大断面図、図3は表裏面の穴の重合状態を示してある。
【0009】
図1に例示した包装用プラスチックケースは、前方に膨出した収納部1aを下部に形成した表面板部1と、上記収納部1aに嵌合可能な若干突出の突縁部を周設した収納背面2aを下部に形成した裏面板部2とを、折曲線3を介して二つ折り重合可能に成形し、表裏面板部の一方の側縁に折曲線3を介して糊代4を連設してある。
而して、表面板部1の中央上部に、図示しない吊り下げ杆体を挿通可能な円形の穴5を形成すると共に、図3に示すように、穴形の一部が切取り可能に若干分だけつながり残った仮止め部5aとなり、この仮止め部5aにより付着状態で穴につらなった抜きカス5bを連設し、裏面板部2中央上部であって、表裏面板部1,2を二つ折り重合させた状態で穴5と合致する部位に、図1,3に示すように、穴5よりも若干大きい穴6を形成し、この穴6は穴形成面としての裏面板部2の上縁辺に至って開口した連通開放部6aを有した穴として形成してある。
【0010】
上記円形の穴5の形状は、楕円形、逆T状のいわゆるトンボ穴形、その他の任意形状とすることができる。
連通開放部6aを有した穴6の前記穴5と対応する部分の直径乃至横幅は、穴5の直径と同じか或いは若干大きく形成するのが好ましく、連通開放部6aを有した穴6の形状は、U字状、上向きコの字状、連通開放部くびれ状、その他の上縁辺に至って開口した形状であれば任意形状とすることができる。
【0011】
穴5の仮止め部5aは、図4に例示するように、打ち抜き用トムソン刃11の刃先の一部を削成し、(A)の如く若干深い切欠き部11aを形成した刃を使用して、穴5の一部が表面板部1と連続状態で残るようにし、或いは、(B)の如く刃先に僅かに浅い凹刃部11bを形成した刃を使用して、図2に例示したような僅かな肉厚を残した溝状が穴の一部に形成できるようにするなどの構成とすることができる。
また、連通開放部6aを有した穴6は、裏面板部2を打ち抜く時に、同時にこれを打ち抜き、裏面板部周囲の除去部分と穴6の除去部分とを一体的に除去できるように形成することができる。
【0012】
図5は、吊り下げ穴付プラスチックケースの別の一例を、穴部分だけ示した図であり、(A)は展開状態の正面図、(B)は折り曲げ状態の斜視図である。
このケースは、表面板部1の上端に折曲線3を介して折返し片7を延設し、表面板部1の上部に、仮止め部により抜きカス5bを付着させた穴5を形成すると共に、折返し片7を表面板部1の裏面に折返し重合させた状態で穴5と合致する部位に穴6を形成し、連通開放部6aを連続形成したものである。
このように、上記構成はその他の形態のプラスチックケースに適宜に応用が可能である。
【0013】
図示しないが、抜きカス5bを付着させた穴5のみを用いて吊り下げ穴付プラスチックケースとすることができる。この構成によっても抜きカスを散乱させることがない。
また、連通開放部6aを形成した穴6のみを用いて吊り下げ穴付プラスチックケースとすることができる。この構成によっても抜きカスを散乱させることがない。
後者の実施例を図6,7に示してあるが、図示以外の適宜構成とすることができる。
図6は、表裏面板部1,2の上部に、同形か或いは一方が若干大きい穴6,6を形成し、いずれの穴6,6も、これよりもくびれた(吊り下げ杆体の太さ分よりも細い幅でくびれた)連通開放部6aを開口形成してある。
図7は、いずれの穴6,6も、この円形穴の直径よりも狭い幅(吊り下げ杆体の太さ分よりも狭い幅)の円弧部分をそのまま外方空間として連通開放部6aを開口形成してある。
【0014】
【発明の効果】
このようにして、本発明によれば、抜きカスは、穴形成面周囲の除去部分と連続状態の除去部分となり、或いは、穴の一部に切断されずに仮止め状態で付着して吊り下げ穴付プラスチックケースを形成できるので、抜きカスの散乱、不用意な付着を防止でき、或いは抜きカスを生じさせない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る包装用プラスチックケースの一例展開図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の表裏面板部を二つ折りして穴部分の重合状態を示す部分裏面図である。
【図4】穴に仮止め部を形成するための打ち抜き刃を示す部分正面図であり、(A)、(B)共にその一例を示してある。
【図5】穴を形成した吊り下げ穴付プラスチックケースの変形例を示してあり、(A)は部分展開図、(B)はその折返し状態の部分斜視図である。
【図6】穴の変形例を示す吊り下げ穴付プラスチックケースの部分展開図である。
【図7】穴の別の変形例を示す吊り下げ穴付プラスチックケースの部分展開図である。
【符号の説明】
1 表面板部
1a 収納部
2 裏面板部
2a 収納部
3 折曲線
4 糊代
5 穴
5a 仮止め部
5b 抜きカス
6 穴
6a 連通開放部
7 折返し片

Claims (2)

  1. PET製シートを表面板部と裏面板部を有するケース形態に打抜き、当該打抜かれたシートに形成された折曲線で前記表裏両面板部を折り重ね、重ね合わさる前記表裏両面板部のシート面内に物品を収納して包装し、ケース上部に形成された穴にフックを通してケースに包装された物品をフックに吊り下げる吊り下げ穴付プラスチックケースにおいて、
    ケース上部に形成された吊り下げ穴は、表面板部に形成された仮止め部により抜きカスが折曲可能に付着状態となった穴と、裏面板部に形成された穴形成面の上縁辺に至って開口していて横幅を前記表面板部に形成された穴の直径よりも大きく設けた連通開放部となった穴とを、表裏面板部を二つ折り重合させた状態で合致する部位に設けてなることを特徴とする吊り下げ穴付きプラスチックケース。
  2. 表面板部に形成された穴は、刃先が浅い凹刃部を形成したトムソン刃を用いて、僅かな肉厚を残した溝状を穴の一部に設けて形成してあることを特徴とする請求項1に記載の吊り下げ穴付きプラスチックケース。
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