JP3900688B2 - シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物およびシーラントフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる、シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物、およびこの組成物からなるシーラント層がオレフィン基材層に積層されたシーラントフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒートシール包装用フィルムとして結晶性ポリプロピレンフィルムが広く利用されている。結晶性ポリプロピレンフィルムは剛性、耐熱性などに優れているが、ヒートシール温度が高いため、通常シーラント層を積層してヒートシール性の改良が行われている。
【0003】
例えば、ポリプロピレンフィルムにエチレン・α−オレフィンランダム共重合体からなるシーラント層を積層して低温ヒートシール性を改良した積層フィルムが使用されている。しかし、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体を積層した積層フィルムを用いた場合、低温ヒートシール性は向上するものの、耐ブロッキング性が悪くなるという問題点がある。
【0004】
このような問題点を解決するため、シーラント層として直鎖状低密度ポリエチレンにエチレン・α−オレフィンランダム共重合体を配合したポリエチレン樹脂組成物を用いることも行われている。しかし、このようなポリエチレン樹脂組成物を用いた場合、耐ブロッキング性は向上するものの、十分な低温シール性を得ることができないという問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、上記従来の問題点を解決するため、十分な低温ヒートシール性を有し、かつ、ヒートシール強度、製膜性、耐ブロッキング性、透明性および外観性に優れた、シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物、ならびにこの組成物からなるシーラント層が積層されたシーラントフィルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は次のシーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物およびシーラントフィルムである。
(1) (A)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が0.900g/cm3以上0.940g/cm3以下の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10minの範囲にある直鎖状低密度ポリエチレン65〜35重量%、
(B)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体45〜15重量%、および
(C)1−ブテンと炭素数2〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンは除く)とのランダム共重合体であって、1−ブテン含有量が50〜99モル%、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/10minの範囲にあるブテン・α−オレフィンランダム共重合体5〜40重量%
を含む、シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物。
(2) 上記(1)記載のシーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物からなるシーラント層が、オレフィン基材層に積層されてなるシーラントフィルム。
【0007】
本発明で用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が0.900g/cm3以上0.940g/cm3以下、好ましくは0.905〜0.935g/cm3、より好ましくは0.910〜0.930g/cm3の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したMFRが0.01〜100g/10min、好ましくは0.1〜50g/10min、より好ましくは1〜10g/10minの範囲にある直鎖状低密度ポリエチレンである。
【0008】
本発明で用いる直鎖状低密度ポリエチレン(A)中のエチレン含有量は90 〜99モル%、好ましくは95〜98モル%が望ましい。
【0009】
エチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン等の炭素数3〜20のα−オレフィンなどが例示できる。
【0010】
直鎖状低密度ポリエチレン(A)の具体的なものとしては、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体などがあげられるが、好ましくは、エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体である。このような直鎖状低密度ポリエチレン(A)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0011】
直鎖状低密度ポリエチレン(A)は、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒などの公知の触媒の存在下に、モノマーを気相法、バルク法、スラリー法などの公知の重合法により重合させることにより製造することができる。
【0012】
本発明で使用するエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、エチレンと炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満、好ましくは0.860〜0.895g/cm3、より好ましくは0.870〜0.890g/cm3の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したMFRが0.1〜50g/10min、好ましくは0.1〜20g/10minの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体である。
【0013】
本発明で用いるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)中のエチレン含有量は60〜95モル%、好ましくは70〜90モル%が望ましい。
【0014】
エチレンと共重合する炭素数3〜20のα−オレフィンとしては、前記直鎖状低密度ポリエチレン(A)で例示したものと同じものがあげられる。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)の具体的なものとしては、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・1−ブテンランダム共重合体、エチレン・1−ヘキセンランダム共重合体、エチレン・1−オクテンランダム共重合体などがあげられる。このようなエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0015】
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)は、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒などの公知の触媒の存在下に、モノマーを気相法、バルク法、スラリー法などの公知の重合法により重合させることにより製造することができる。
【0016】
本発明で使用するブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、1−ブテンと炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜8のα−オレフィン(ただし、1−ブテンは除く)とのランダム共重合体であって、1−ブテン含有量が50〜99モル%、好ましくは70〜99モル%、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したMFRが0.1〜20g/10min、好ましくは0.5〜10g/10minの範囲にあるブテン・α−オレフィンランダム共重合体である。
【0017】
1−ブテンと共重合する炭素数2〜20のα−オレフィンとしては、エチレンあるいは前記直鎖状低密度ポリエチレン(A)で例示した炭素数3〜20のα―オレフィンと同じもの(但し、1−ブテンを除く)があげられる。
ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)の具体的なものとしては、1−ブテン・エチレンランダム共重合体、1−ブテン・プロピレンランダム共重合体、1−ブテン・1−ヘキセンランダム共重合体、1−ブテン・1−オクテンランダム共重合体などがあげられる。このようなブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は1種単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。
【0018】
ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)は、チーグラー・ナッタ系触媒、メタロセン系触媒などの公知の触媒の存在下に、モノマーを気相法、バルク法、スラリー法などの公知の重合法により重合させることにより製造することができる。
【0019】
本発明の樹脂組成物の各成分の含有割合は、直鎖状低密度ポリエチレン(A)が65〜35重量%、好ましくは60〜40重量%であり、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体(B)が45〜15重量%、好ましくは40〜20重量%であり、ブテン・α−オレフィンランダム共重合体(C)が5〜40重量%、好ましくは10〜35重量%である。
【0020】
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、他の樹脂、粘着付与剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を必要に応じて配合することができる。
【0021】
本発明の樹脂組成物は公知の方法により製造することができ、例えば(A)〜(C)成分、および必要に応じて配合する添加剤を押出機、ニーダーなどを用いて溶融混練するなどの方法により製造することができる。
【0022】
本発明の樹脂組成物からなるフィルムはポリプロピレンフィルムに比べて低温でヒートシールすることができ、しかもエチレン・α−オレフィンランダム共重合体フィルムに比べて耐ブロッキング性にも優れているほか、ヒートシール強固性、透明性、外観性(グロス)などにも優れている。このため、本発明の樹脂組成物はシーラントフィルムのシーラント層用原料として用いられる。
【0023】
本発明のシーラントフィルムは、前記シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物からなるシーラント層が、ポリオレフィン樹脂またはポリオレフィン樹脂を主成分とするポリオレフィン樹脂組成物からなるオレフィン基材層に積層されてなる積層フィルムである。積層形態としては、シーラント層/オレフィン基材層の2層構造、シーラント層/オレフィン基材層/シーラント層の3層構造などがあげられるが、これに限定されない。シーラント層とオレフィン基材層との間に接着剤層を設けることもできるが、本発明のシーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物はポリオレフィン樹脂との接着性が良好であるので、通常接着剤層は不要である。
【0024】
シーラント層の膜厚は3〜50μm、好ましくは5〜25μm、オレフィン基材層の膜厚は15〜70μm、好ましくは20〜50μmであるのが望ましい。シーラント層が複数ある場合は、各シーラント層を上記膜厚とするのが好ましい。また本発明のシーラントフィルム全体の膜厚は20〜100μm、好ましくは25〜70μmであるのが望ましい。
【0025】
オレフィン基材層を構成するポリオレフィン樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと5モル%以下のエチレンまたは炭素数4〜8のα−オレフィンとのランダムまたはブロック共重合体等のポリプロピレン樹脂;その他のポリオレフィン樹脂などがあげられる。
【0026】
またオレフィン基材層を構成するポリオレフィン樹脂組成物としては、上記ポリオレフィン樹脂に他の樹脂、粘着付与剤、耐候安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を配合した組成物などがあげられる。
【0027】
本発明のシーラントフィルムは前記シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物およびオレフィン基材層用の原料を用いて、公知の方法、例えばインフレーション成形、空冷二段インフレーション成形、Tダイフィルム成形、押し出しラミネート成形法等によって各層を積層することにより製造することができる。本発明の樹脂組成物は製膜性に優れているので、これらの成形法により効率良く容易に製造することができる。
【0028】
本発明のシーラントフィルムは前記シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物からなるシーラント層を有しているので、低温で強固にヒートシールすることができる。このため本発明のシーラントフィルムはヒートシール包装用フィルムとして好適に使用することができる。この場合、耐ブロッキング性に優れているので取扱いが容易であるほか、透明性および外観性にも優れている。
【0029】
【発明の効果】
本発明のシーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物は、直鎖状低密度ポリエチレンに特定のエチレン・α−オレフィンランダム共重合体およびブテン・α−オレフィンランダム共重合体を特定量配合しているので、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、製膜性、耐ブロッキング性、透明性および外観性に優れている。
また本発明のシーラントフィルムは上記樹脂組成物からなるシーラント層を有しているので、低温ヒートシール性、ヒートシール強度、耐ブロッキング性、透明性および外観性に優れている。
【0030】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施例について説明する。
実施例1〜4
表1に示す組成100重量部に次の添加剤を加えてシーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物を調製した。
添加剤:滑剤(エルカ酸アミド)0.12重量部
アンチブロッキング剤(シリカ)0.10重量部
この組成物および下記基材層用樹脂を用いて、下記フィルム構成のシーラントフィルムを調製した。
基材層用樹脂:プロピレン単独重合体(ホモPP)、MFR(230℃、2.16Kg荷重)=6.5g/10min
フィルム構成:基材層/シーラント層=40/20μm
このシーラントフィルムについて各種物性を測定した。結果を表1に示す。
【0031】
比較例1〜2
シーラント層の樹脂組成として表1の比較例に示す組成を用いた以外は実施例1〜4と同様に行った。結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
表1の注
*1 直鎖状低密度ポリエチレン(エチレン・4−メチル−1−ペンテンランダム共重合体):密度(ASTM D1505)=922kg/m3、MFR(190℃、2.16kg荷重、ASTM D1238)=2.1g/10分、
*2 エチレン・1−ブテンランダム共重合体:ブテン含量=11モル%、密度(ASTM D1505)=885kg/m3、MFR(190℃、2.16kg荷重、ASTM D1238)=3.6g/10分
*3 1−ブテン・エチレンランダム共重合体:エチレン含量=5モル%、MFR(190℃、2.16kg荷重、ASTM D1238)=4.0g/10分
*4 1−ブテン・プロピレンランダム共重合体:プロピレン含量=28モル%、MFR(190℃、2.16kg荷重、ASTM D1238)=4.0g/10分
*5 ヘイズ:ASTM D1003
*6 グロス:ASTM D523(測定角度20度)
*7 静摩擦係数:ASTM D1894
*8 動摩擦係数:ASTM D1894
*9 ブロッキング力:ASTM D1893
*10 ヒートシール強度:ヒートシール条件および強度測定条件は次の通りである。すなわち、フィルムのヒートシール面同士を重ね合せ、70℃、75℃、80℃、90℃および100℃の各温度で、0.2MPaの圧力で1秒間、シールバーの幅5mmでヒートシールした後、放冷した。次いで、各温度でヒートシールされたフィルムからそれぞれ15mm幅の試験片を切り取り、各試験片について、クロスヘッドスピード200mm/分でヒートシール部を剥離した際の剥離強度を測定した。
Claims (2)
- (A)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体であって、密度が0.900g/cm3以上0.940g/cm3以下の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.01〜100g/10minの範囲にある直鎖状低密度ポリエチレン65〜35重量%、
(B)エチレンと炭素数3〜20のα−オレフィンとのランダム共重合体であって、密度が0.850g/cm3以上0.900g/cm3未満の範囲にあり、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minの範囲にあるエチレン・α−オレフィンランダム共重合体45〜15重量%、および
(C)1−ブテンと炭素数2〜20のα−オレフィン(ただし、1−ブテンは除く)とのランダム共重合体であって、1−ブテン含有量が50〜99モル%、190℃、2.16kg荷重の条件で測定したメルトフローレート(MFR)が0.1〜20g/10minの範囲にあるブテン・α−オレフィンランダム共重合体5〜40重量%
を含む、シーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物。 - 請求項1記載のシーラントフィルムのシーラント層用樹脂組成物からなるシーラント層が、オレフィン基材層に積層されてなるシーラントフィルム。
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