JP3900617B2 - 発光素子及び発光素子用の保護材料 - Google Patents

発光素子及び発光素子用の保護材料 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発光素子及び発光素子用の保護材料に関し、特に発光素子の劣化を防ぐことができるものに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電極間に有機エレクトロルミネッセンス(EL)薄膜を電極で挟み込み、これらの電極間に電圧を印加して有機EL薄膜にキャリアを注入することで発光を得る有機EL素子が知られている。この有機EL素子は、一般に、ガラス等で構成された基板上に、透明電極で構成されたアノード電極、有機EL層、さらに低仕事関数金属電極で構成されたカソード電極が順次形成されてなるものである。
【0003】
この有機EL素子の形成プロセスにおいて、パーティクル(小さなゴミ、塵、不要物などをいう。以下、同じ)が存在すると、特に有機EL層を形成する直前のアノード電極上に存在すると、その上に製膜する有機EL層とアノード電極との界面にパーティクルが存在したままとなる。このような状態で完成した有機EL素子のアノード電極とカソード電極との間に電圧を印加すると、電極間がショートしてパーティクルが存在した部分のカソード電極及び有機EL層が欠損してピンホールが生じる。また、蒸着によって有機EL層を製膜するときに、アノード電極上に存在するパーティクルの部分に有機EL層が製膜できずに、小さなピンホールが形成されることがある。このままカソード電極を形成した場合には、アノード電極とカソード電極との間に電圧を印加すると、当該ピンホール部分がショートし、カソード電極にピンホールが生じる。そして、このようにして生じたピンホールから酸素(O2)や水(H2O)が侵入して、活性なカソード電極が酸化する。カソード電極は、酸化すると有機EL層に電子の注入が困難となり、この酸化した部分は有機EL層に所定の電圧を印加しても発光しない部分(以下、ダークスポットという)となってしまう。しかも、ダークスポットは、侵入するO2びH2Oによって時間の経過と共に大きくなる。このダークスポットの成長により、有機EL素子が発光する光の光量は、時間の経過と共に小さくなるという問題があった。
【0004】
つまり、有機EL素子を製品化するに当たっては、このダークスポットの成長をいかに抑えるかが重要な課題となっていた。
カソード電極が外気に触れないようにO2及びH2Oの侵入による酸化の進行を抑制し、有機EL素子の製品寿命を長くするために、従来次のような方法が用いられていた。
【0005】
図11〜図13は、従来例の有機EL素子7〜9の構造を示す断面図である。
これらの有機EL素子7〜9は、いずれも透明な基板10上に、透明電極からなるアノード電極11、正孔輸送層12aと電子輸送性発光層12bとからなる有機EL層12、及び低仕事関数金属電極からなるカソード電極13が順次積層されてなるものである。そして、カソード電極13を外気から遮断するために、図11の有機EL素子7では、第2基板75を基板10に対向して設け、基板10と第2基板75との間をシール材76によって封止していた。また、図12の有機EL素子8では、基板10上に形成されたアノード電極11、有機EL層12及びカソード電極13を有機系樹脂からなる封止層85で被覆して封止していた。また、図13の有機EL素子9では、基板10上に形成されたアノード電極11、有機EL層12及びカソード電極13を、GeO、MoO3、GeS、SnS、LiF等の金属酸化物、金属フッ化物あるいは金属硫化物からなるからなる封止層95で被覆して封止していた。
【0006】
しかしながら、上記従来例の有機EL素子7〜9には、次のような問題があった。
図11に示した有機EL素子7は、2枚の基板が必要となるため、全体の構成が厚くなり、コスト高となっていた。また、外気の遮断性は、シール材76のガス透過性に依存するが、シール材76は、ガス透過性が完全ではなく、十分に外気を遮断することができなかった。このため、シール材76を介してO2及びH2Oが侵入し、カソード電極13が酸化してダークスポットが発生、成長していた。
【0007】
図12に示した有機EL素子8では、封止層85に用いられている有機系樹脂の外気遮断性が十分でなかった。このため、封止層85を介してO2及びH2Oが侵入し、カソード電極13が酸化してダークスポットが発生、成長していた。
図13に示した有機EL素子9でも、封止層95に用いられているGeO、MoO3、GeS、SnS、LiFは、その粒径が比較的大きく、この粒子の隙間からO2及びH2Oが侵入してしまった。これにより、カソード電極13が酸化してダークスポットが発生、成長していた。
【0008】
すなわち、従来より用いられていた方法では、いずれの場合もO2及びH2Oの侵入によるカソード電極13の酸化を十分に抑制することができなかった。このため、従来の有機EL素子7〜9では、ダークスポットの発生、成長を十分に抑え込むことができず、製品寿命を長くすることができなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消するためになされたものであり、いわゆるダークスポットの成長による劣化を防ぎ、製品寿命の長い発光素子及び発光素子用のガラス材料を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の第の観点にかかる発光素子用の保護材料は、
3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物の分子間の隙間に、1種類以上の単体、酸化物、硫化物のいずれかから選択される充填材が混在される、
ことを特徴とする。
【0026】
上記発光素子用の保護材料は、
前記3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物が、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、リン、ヒ素のうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物であり、
前記充填材が、アルミニウム、亜鉛、ベリリウムのうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物である、
ものとすることができる。
【0027】
上記発光素子用の保護材料は、また、
前記3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物が、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、リン、ヒ素のうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物であり、
前記充填材が、スカンジウム、ランタン、イットリウム、スズ、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、セリウムのうちの何れか1種類以上の単体、酸化物または硫化物である、
ものとしてもよい。
【0028】
上記発光素子用の保護材料は、また、
前記3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物が、アルミニウム、亜鉛、ベリリウムのうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物であり、
前記充填材が、スカンジウム、ランタン、イットリウム、スズ、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、セリウムのうちの何れか1種類以上の単体、酸化物または硫化物である、
ものとしてもよい。
また、発光素子において、上記発光素子用の保護材料で保護されるようにするようにしてもよい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0030】
[第1の実施の形態]
図1は、この実施の形態の有機EL素子1の構造を示す断面図である。この有機EL素子1は、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いられる全面発光型のものである。
図1に示すように、有機EL素子1は、基板10上に順次積層して形成されたアノード電極11と、有機EL層12と、カソード電極13と、保護層14とから構成されている。
【0031】
基板10は、絶縁性を有し、可視光に対して十分な透過性を有する透明のガラスまたはプラスチックなどによって構成されている。
アノード電極11は、可視光に対して十分な透過性を有し、後述する正孔輸送層12aに十分に正孔を注入することができるITO(Indium Tin Oxide)、ZnO−In23化合物あるいはSnO2などの透明電極から構成される。
【0032】
有機EL層12は、アノード電極11の側に形成された正孔輸送層12aと、カソード電極13の側に形成された電子輸送性発光層12bとの2層構造によって構成されている。
正孔輸送層12aは、化1に示すα−NPDから構成される。
【化1】
Figure 0003900617
【0033】
電子輸送性発光層12bは、化2に示すBebq2から構成される。
【化2】
Figure 0003900617
【0034】
有機EL層12は、アノード電極11とカソード電極13との間に電圧を印加し、電極間の有機EL層12内に電流が流れて正孔と電子とが再結合することによって励起されたエネルギーを電子輸送性発光層12bが吸収することによって発光する。有機EL層12は、電子輸送性発光層12bとしてBebq2を用いていることにより、アノード電極11を介して基板10側に緑色の光を発するものである。
【0035】
カソード電極13は、電子輸送性発光層12bに十分電子を注入することができるMg、Mg:In合金あるいはMg:Ag合金などの低仕事関数の金属電極から構成される。カソード電極13の層厚は、保護層14を形成するときにスパッタリングによるダメージから有機EL層13を保護するために、3000(Å)以上に形成することが望ましい。
【0036】
保護層14は、特殊な構造のガラスからなるものであり、以下の(1)〜(3)の何れかの構成を有するものである。なお、以下の(1)〜(3)において、ガラス形成材料は、酸素原子との間の単結合エネルギーが370(kJ/mol)以上(好ましくは400(kJ/mol))であるSi、B、Ge、P、Asから選択される元素の酸化物からなる。SiとOとの単結合エネルギーは、443(kJ/mol)であり、B、 Ge、P及びAsの各々とOとの単結合エネルギーはそれぞれ、372、443及び464(kJ/mol)である。ガラス形成材料は、単独でアモルファス構造をとることができる。
【0037】
ガラス修飾材料は、酸素原子との単結合エネルギーが260(kJ/mol)未満であるSc、La、Y、Sn、Ba、Ca、Sr、Mg、Li、Na、K、Rb、Cs、Ceから選択される元素の酸化物またはこれらの原子の単体からなる。Sc、La、Y、Sn、Ba、Ca、Sr、Mg、Li、Na、K、Rb及びCsの各々とOとの単結合エネルギーはそれぞれ、251、242、209、192、138、134、134155、151、84、54、50及び、42(kJ/mol)である。
【0038】
中間材料は、酸素原子との単結合エネルギーが260(kJ/mol)以上、370(kJ/mol)未満であるAl、Zn、Beから選択される元素の酸化物からなる。Al、Zn及びBeの各々とOとの単結合エネルギーはそれぞれ、334、301及び263(kJ/mol)である。中間材料は、単独でアモルファス構造をとることができる。なお、これらの材料は、酸化物の代わりに硫化物を用いてもよい。
【0039】
(1)ガラス形成材料をホスト、ガラス修飾材料をゲストとするもの。
保護層14の材料全体を100(mol%)としたとき、5〜30(mol%)のガラス修飾材料をガラス形成材料にドープすると、ガラス形成材料のみで構成されたガラスの網目の一部が切断される。そして、図2(A)に示すように、ガラス修飾材料の原子が、網目の切断によって形成されたガラス形成材料の原子の隙間に入り込む。これによって、ガラス形成材料のみで構成されたガラスよりも密な構造のガラスとなる。
【0040】
(2)ガラス形成材料をホスト、中間材料をゲストとするもの。
保護層14の材料全体を100(mol%)としたとき、5〜30(mol%)の中間材料をガラス形成材料にドープすると、ガラス形成材料のみで構成されたガラスの網目の一部が切断される。そして、図2(B)に示すように、中間材料の原子が、網目の切断によって形成されたガラス形成材料の原子の隙間に入り込むと共に、その一部はガラス形成材料と結合する。これによって、ガラス形成材料のみで構成されたガラスよりも密な構造のガラスとなる。
【0041】
(3)中間材料をホスト、ガラス修飾材料をゲストとするもの。
保護層14の材料全体を100(mol%)としたとき、5〜30(mol%)のガラス修飾材料を中間材料にドープすると、中間材料の結合の網目の一部が切断される。そして、図2(C)に示すように、ガラス修飾材料の原子が、網目の切断によって形成された中間材料の原子の隙間に入り込むと共に、その一部が中間材料と結合する。これによって、ガラス形成材料のみで構成されたガラスよりも密な構造のガラスとなる。
【0042】
保護層14は、このように原子が密となった構造のガラスで構成されていることによって、O2及びH2Oの侵入を阻止することができる。また、保護層14は、絶縁性を有し、アノード電極11とカソード電極13との間に電圧を印加しても、これらの電極間をショートさせることがない。なお、保護層14の層厚は、3000(Å)以上であることを好適とする。
【0043】
なお、図示しないが、アノード電極11及びカソード電極13には、有機EL素子1の発光/非発光に応じて所定の電圧を印加するための端子がそれぞれ設けられている。これらの端子は、保護層14の外側に引き出され、それぞれ所定の駆動回路に接続されている。
【0044】
以下、有機EL素子1の製造プロセスについて説明する。
まず、基板10上にスパッタ法でITO、ZnO−In23化合物あるいはSnO2などの透明電極材料を堆積させる。そして、堆積させた透明電極材料のうちの不要部分、すなわちアノード電極11となる部分以外の部分をフォトリソグラフィー法により取り除く。これにより、アノード電極11が形成される。
【0045】
次に、アノード電極11の大きさ以下の窓を設けたメタルマスクを所定の位置に合わせ、正孔輸送層材料であるα−NPDと電子輸送性発光層材料であるBebq2とをメタルマスクの窓からアノード電極11の上に順次真空蒸着する。これにより、正孔輸送層12aと電子輸送性発光層12bとからなる有機EL層12が形成される。
【0046】
次に、有機EL層12の大きさ以下の窓を設けたメタルマスクを所定の位置に合わせ、Mg、Mg:In合金あるいはMg:Ag合金などの低仕事関数の金属をメタルマスクの窓から有機EL層12の上に真空蒸着する。これにより、カソード電極13が形成される。
【0047】
以上の工程によって、アノード電極11、有機EL層12及びカソード電極13が形成された基板10(以下、発光側基板という)を低温成膜が可能なスパッタ装置のチャンバーに固定する。そして、メタルマスクを所定の位置に合わせ、保護層14を構成する材料の比率に応じた所定の割合でガラス形成材料、ガラス修飾材料及び/または中間材料をAr雰囲気下において発光側基板にスパッタリングする。なお、この工程でのスパッタリングは、例えば、対向ターゲットスパッタ、マグネトロンスパッタ、イオンビームスパッタあるいはECRスパッタによって行うことができる。ただし、いずれの方法によっても発光側基板の表面の温度は、100℃以下の低温とする。
なお、保護層14の形成は、イオンビーム、イオンプレーティング等の蒸着法によっても行うことができる。
【0048】
以下、有機EL素子1におけるダークスポットの発生例と、保護層14がダークスポットの成長を抑止する作用について、図3を参照して説明する。
上記のプロセスにおいて有機EL層12を形成する前に、アノード電極11の上にパーティクルが存在したとする。このような場合、上記のプロセスを経ると、図3(A)に示すように、有機EL層12にパーティクルPが存在したままの有機EL素子1が形成される。
【0049】
図3(A)に示した有機EL素子1のアノード電極11とカソード電極13との間に、有機EL層12を発光させるべく所定の電圧を印加すると、その電界の強さによってアノード電極11とカソード電極13との間がショートする。このときのエネルギーによって、図3(B)に示すように、ショートした部分すなわちパーティクルが存在した部分の有機EL層12及びカソード電極13が欠損してピンホールPHを生じる。また、蒸着によって有機EL層12を製膜するときに、アノード電極11上に存在するパーティクルの部分に有機EL層12が製膜できずに、小さなピンホールが形成されることがある。このままカソード電極13を形成した場合にも、アノード電極11とカソード電極13との間に電圧を印加すると、当該ピンホール部分がショートし、図3(B)に示すとおりに、カソード電極13にピンホールが生じる。
【0050】
ここで、保護層14がなかった場合を考える。
有機EL素子に保護層14がない場合には、図3(C’)に示すように、ピンホールPHの部分からカソード電極13の内部に外気中に存在するO2及びH2Oが侵入する。カソード電極13は、ピンホールPHの部分から侵入してきたO2及びH2Oによって、図中黒く塗りつぶしたように有機EL層12との界面までが酸化する。こうしてカソード電極13の有機EL層12との界面が酸化すると、アノード電極11とカソード電極13との間に電圧を印加しても、有機EL層12の電子輸送性発光層12aに電子が十分に注入されなくなる。これによって、有機EL層12が発光しない部分であるダークスポットDSが生じ、このダークスポットの大きさは、カソード電極13の酸化の進行に伴って、時間と共に成長する。
【0051】
一方、この実施の形態の有機EL素子1のように保護層14を設けている場合は、図3(C)に示すように、保護層14を構成するガラス材料が密な構造となっているため、O2及びH2Oの分子が透過できるような隙間がほとんどなく、O2及びH2Oの侵入が阻止される。このため、外気中に存在するO2及びH2Oがカソード電極13のピンホールPHへの侵入が阻止され、時間の経過によってもカソード電極13の酸化があまり進行しない。このため、ダークスポットDSの成長が抑止される。
【0052】
以上説明したように、この実施の形態の有機EL素子1では、カソード電極13を被覆する保護層14が構成原子が密な特殊な構造のガラスによって構成されている。この保護層14は、原子が密な状態となっていることにより、外部からO2及びH2Oがカソード電極13に侵入することを阻止することができる。このため、この実施の形態の有機EL素子1では、カソード電極13の酸化を抑制することができ、ダークスポットの成長による劣化を防ぐことができる。従って、この実施の形態の有機EL素子1は、従来の有機EL素子に比べて、製品寿命が長くなる。
【0053】
また、有機EL素子1の製造プロセスにおいて、保護層14は低温でガラス形成材料、ガラス修飾材料及び/または中間材料をスパッタリングすることによって形成しているので、熱に弱い有機EL層12の発光輝度その他の特性に影響を及ぼすことがない。
【0054】
[第2の実施の形態]
図4は、この実施の形態の有機EL素子2の構造を示す断面図である。この有機EL素子2も、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いられる全面発光型のものである。
図4に示すように、有機EL素子2は、基板10上に順次積層して形成されたアノード電極11と、有機EL層12と、カソード電極13と、保護層14と、第2保護層25とから構成されている。
【0055】
有機EL素子2において、基板10、アノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14の構成は、第1の実施の形態の有機EL素子1の対応するものと実質的に同一である。
なお、アノード電極11及びカソード電極13には、第1の実施の形態の有機EL素子1と同様に、有機EL素子1の発光/非発光に応じて所定の電圧を印加するための端子がそれぞれ設けられている。これらの端子は、第2保護層25の外側に引き出され、それぞれ所定の駆動回路に接続されている。
【0056】
第2保護層25は、AlやCr等の金属単体、合金、または複数種の可視光に対して高い反射性を示す金属を積層して構成される。第2保護層25は、上記の第1の実施の形態の有機EL素子1の上に、AlやCr等の金属をスパッタ法あるいは真空蒸着法によって製膜することによって形成される。
【0057】
この実施の形態の有機EL素子2は、保護層14に何らかの欠陥があっても、その欠陥を第2保護層25で被覆することができる。また、第2保護層25自体がO2やH2Oの侵入を抑止する効果がある。このため、保護層14の欠陥部分からO2やH2Oがカソード電極13に侵入することを防ぐことができる。このため、この実施の形態の有機EL素子2によれば、第1の実施の形態の有機EL素子1と同等かそれ以上の効果を得ることができる。そして、有機EL素子2が発光した光のうち、それぞれの部材10、11、12での界面での反射により基板10側に出射せずに保護層14側に出射された光が、第2保護層25により反射されて基板10側に出射するので、より高い輝度での表示が可能となる。
【0058】
[第3の実施の形態]
図5は、この実施の形態の有機EL素子3の構造を示す断面図である。この有機EL素子3も、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いられる全面発光型のものである。
図5に示すように、有機EL素子2は、基板10上に順次積層して形成されたアノード電極11と、有機EL層12と、カソード電極13と、保護層14と、封止層35とから構成されている。
【0059】
有機EL素子3において、基板10、アノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14の構成は、第1の実施の形態の有機EL素子1の対応するものと実質的に同一である。
なお、アノード電極11及びカソード電極13には、第1の実施の形態の有機EL素子1と同様に、有機EL素子3の発光/非発光に応じて所定の電圧を印加するための端子がそれぞれ設けられている。これらの端子は、封止層35の外側に引き出され、それぞれ所定の駆動回路に接続されている。
【0060】
封止層35は、有機系のUV硬化樹脂や熱硬化樹脂によって構成されている。封止層35は、第1の実施の形態の有機EL素子1の上に溶解された樹脂を流し込み、金型によって所定の形に整形することによって形成される。
【0061】
この実施の形態の有機EL素子3は、保護層14に何らかの欠陥があっても、その欠陥を封止層35で被覆することができる。また、封止層35自体がO2やH2Oの侵入を抑止する効果がある。このため、保護層14の欠陥部分からO2やH2Oがカソード電極13に侵入することを防ぐことができる。このため、この実施の形態の有機EL素子3によれば、第1の実施の形態の有機EL素子1と同等かそれ以上の効果を得ることができる。
【0062】
[第4の実施の形態]
図6は、この実施の形態の有機EL素子4の構造を示す断面図である。この有機EL素子4も、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いられる全面発光型のものである。
図6に示すように、有機EL素子4は、基板10上に順次積層して形成されたアノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14と、基板10に対向して設けられた第2基板45と、基板10と第2基板45との間を封止するシール材46とから構成されている。
【0063】
有機EL素子6において、基板10、アノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14の構成は、第1の実施の形態の有機EL素子1の対応するものと実質的に同一である。
なお、アノード電極11及びカソード電極13には、第1の実施の形態の有機EL素子1と同様に、有機EL素子4の発光/非発光に応じて所定の電圧を印加するための端子がそれぞれ設けられている。これらの端子は、シール材46の外側に引き出され、それぞれ所定の駆動回路に接続されている。
【0064】
第2基板45は、ガラス、プラスチックまたはフィルムによって構成される。
シール材46は、UV硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂あるいは熱硬化性樹脂によって構成され、基板10と第2基板45とを減圧下で接着する。従って、基板10、45及びシール材46で囲まれた空間47はO2やH2Oが極めて希薄な状態であり、さらに、シール材46は、基板10及び第2基板45に密着するので、外部からO2やH2Oが侵入してくるのをかなりの程度で防ぐことができる。なお、空間47にシリコンオイルを封入してもよい。
【0065】
この実施の形態の有機EL素子4では、基板10と第2基板45とをシール材46によって封止することによって、外部からO2やH2Oが侵入することをかなりの程度で防ぐことができる。さらに、保護層14によってO2やH2Oがカソード電極13に侵入することを防ぐことができる。このため、この実施の形態の有機EL素子4によれば、第1の実施の形態の有機EL素子1と同等かそれ以上の効果を得ることができる。
【0066】
[第5の実施の形態]
図7は、この実施の形態の有機EL素子5の構造を示す断面図である。この有機EL素子5も、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いられる全面発光型のものである。
図7に示すように、有機EL素子5は、基板10上に順次積層して形成されたアノード電極11、有機EL層12、カソード電極13、保護層14及び接着層56と、基板10に対向し、接着層56に積層されて接着されている第2基板55とから構成されている。
【0067】
有機EL素子5において、基板10、アノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14の構成は、第1の実施の形態の有機EL素子1の対応するものと実質的に同一である。第2基板55の構成は、第4の実施の形態の有機EL素子4の第2基板45の構成と実質的に同一である。
なお、アノード電極11及びカソード電極13には、第1の実施の形態の有機EL素子1と同様に、有機EL素子5の発光/非発光に応じて所定の電圧を印加するための端子がそれぞれ設けられている。これらの端子は、接着層56の外側に引き出され、それぞれ所定の駆動回路に接続されている。
【0068】
接着層56は、低吸湿性の光硬化接着剤、エポキシ系接着剤などによって構成される。接着層56として、低吸湿性のものを用いることによって、湿気(H2O)の侵入をかなりの程度で防ぐことができる。また、第2基板25によって上部からのO2やH2Oの侵入をかなりの程度で防ぐことができる。
【0069】
この実施の形態の有機EL素子5では、保護層14及び接着層56の厚さが薄いことから、接着層56と第2基板55とによってO2やH2Oの侵入をかなりの程度で防ぐことができる。さらに、保護層14によってO2やH2Oがカソード電極13に侵入することを防ぐことができる。このため、この実施の形態の有機EL素子5によれば、第1の実施の形態の有機EL素子1と同等かそれ以上の効果を得ることができる。
【0070】
[第6の実施の形態]
図8は、この実施の形態の有機EL素子6の構造を示す断面図である。この有機EL素子6も、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いられる全面発光型のものである。
図8に示すように、有機EL素子6は、基板10上に順次積層して形成されたアノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14と、基板10側を開口部とし、基板10に対向して設けられた缶型基板65と、基板10と缶型基板65との間を封止するシール材66と、シール材66によって封止された基板10と缶型基板65との間の空間部に充填されたオイル67とから構成されている。
【0071】
有機EL素子2において、基板10、アノード電極11、有機EL層12、カソード電極13及び保護層14の構成は、第1の実施の形態の有機EL素子1の対応するものと実質的に同一である。
なお、アノード電極11及びカソード電極13には、第1の実施の形態の有機EL素子1と同様に、有機EL素子6の発光/非発光に応じて所定の電圧を印加するための端子がそれぞれ設けられている。これらの端子は、シール材66の外側に引き出され、それぞれ所定の駆動回路に接続されている。
【0072】
缶型基板65は、ガラスまたはプラスチックによって構成され、基板10側の一底面を開口したものである。
シール材66は、UV硬化性のアクリル系樹脂、エポキシ系樹脂あるいは熱硬化性樹脂によって構成され、基板10と缶型基板65とを接着する。シール材66は、基板10及び缶型基板65に密着し、外部からO2やH2Oが侵入してくるのをかなりの程度で防ぐことができる。
オイル67は、シリコンオイルやトートシール等の絶縁性を有するオイルによって構成される。オイル67は、疎水性を有する。
【0073】
この実施の形態の有機EL素子6では、基板10と缶型基板65とをシール材66によって封止することによって、外部からO2やH2Oが侵入することをかなりの程度で防ぐことができる。また、オイル67によって外部からのH2Oの侵入を防ぐことができる。さらに、保護層14によってO2やH2Oがカソード電極13に侵入することを防ぐことができる。このため、この実施の形態の有機EL素子6によれば、第1の実施の形態の有機EL素子1と同等かそれ以上の効果を得ることができる。
【0074】
[実施の形態の変形]
本発明は、上記の第1〜第6の実施の形態で示したものに限られず、様々な変形が可能である。
以下、上記の実施の形態の変形例について、説明する。
【0075】
上記の第3の実施の形態では、封止層35は、有機系透明樹脂によって構成されていたが、金属酸化物、金属フッ化物あるいは金属硫化物から構成したものであってもよい。また、封止層35は、保護層14を被覆して形成していたが、第2の実施の形態の有機EL素子2において保護層14の上に形成された第2保護層25の上に被覆して形成してもよい。
【0076】
上記の第4〜第6の実施の形態では、第1の実施の形態の有機EL素子1の構成に第2基板45、55や缶型基板65などの構成を加えていた。しかしながら、第2、第3の実施の形態の有機EL素子2、3の構成や、上記した第2保護層の上に封止層を形成した有機EL素子の構成に加えて、第2基板や缶型基板などの構成を加えてもよい。
【0077】
上記の第1〜第6の実施の形態では、透明電極によって構成されたアノード電極11は基板10の側に、カソード電極13は有機EL層12を挟んで、基板10の反対側に形成されていた。そして、有機EL層12が発光した光は、基板10の側から外部に放出されていた。しかしながら、例えば、カソード電極を基板側に、アノード電極を有機EL層を挟んで基板の反対側に形成した有機EL素子にも適用することができる。もっとも、この場合は、基板の反対側に形成されるアノード電極、保護層、第2保護層、封止層、接着層、第2基板、缶型基板、あるいはオイルは、有機EL層で発光した光を十分に透過することができる材料で構成しなければならない。
【0078】
上記の第1〜第6の実施の形態では、有機EL層12は、α−NPDからなる正孔輸送層12aとBebq2からなる電子輸送性発光層12bの2層構造で形成されており、緑色の光を発するものであった。これに対し、有機EL層12は、正孔輸送性発光層と電子輸送層との2層構造、あるいは正孔輸送層、発光層及び電子輸送層の3層構造で形成してもよい。また、これらの各層に使用する有機EL材料を選択することによって、緑色以外の任意の波長成分の光を発する有機EL素子を構成することもできる。さらには、本発明は、無機EL材料などの他の発光材料を発光層として用いた発光素子にも適用することができる。
【0079】
上記の第1〜第6の実施の形態では、保護層14に、(1)ガラス形成材料にガラス修飾材料をドープしたもの、(2)ガラス形成材料に中間材料をドープしたもの、(3)中間材料にガラス修飾材料をドープしたもの、の何れかの構造のガラスを適用していた。しかしながら、これら(1)〜(3)の構造のガラスは、基板10、第2基板45、55あるいは缶型基板65に適用してもよい。これにより、基板10、第2基板45、55あるいは缶型基板65を介して外部からO2及びH2Oがカソード電極13へ侵入することも防ぐことができる。
【0080】
上記の第1〜第6の実施の形態では、ページャや携帯電話などの表示部のバックライトとして用いる全面発光型の有機EL素子に本発明を適用した場合について説明した。しかしながら、本発明は、画像をセグメント表示する発光素子や、単純マトリクス方式やアクティブマトリクス方式で画像をドットマトリクス表示する発光素子にも適用することができる。
【0081】
【実施例】
本発明の効果を確認するため、次のような実験を行った。
[実施例1]
この実施例においては、図1に示した構成で、次のような条件を有する有機EL素子(1)〜(4)を用意した。
【0082】
アノード電極11は、有機EL素子(1)〜(4)とも、2000(Å)の層厚のITOによって構成した。有機EL層12は、有機EL素子(1)〜(4)とも、500(Å)の層厚のBebq2からなる正孔輸送層12aと、500(Å)の層厚のα−NPDからなる電子輸送性発光層12bとの2層構造によって構成した。カソード電極13は、有機EL素子(1)〜(4)とも、5000(Å)の層厚のMg:In合金によって構成した。
【0083】
保護層14は、有機EL素子(1)では、形成しなかった。すなわち、有機EL素子(1)において保護層14の層厚は、0(Å)とした。有機EL素子(2)〜(4)のいずれにおいても、保護層14には、図2(C)に示すような構造の、ZnSをホストとし、20(mol%)のCeOx(Ce、CeO、CeO2が混在したもの)をゲストとしてドープしたZnS−CeOxを使用した。CeOxは、斜線が付された円で示すように、3次元綱目状構造のZnsの隙間に物理的に混在している。ただし、保護層14の層厚は、有機EL素子(2)では1000(Å)、有機EL素子(3)では4000(Å)、有機EL素子(4)では10000(Å)とした。
【0084】
これらの有機EL素子(1)〜(4)を気温80℃、湿度90%の環境条件下に放置した。そして、時間の経過によって有機EL素子(1)〜(4)のそれぞれにおいてダークスポットがどのように成長するかを観察した。
【0085】
有機EL素子(1)〜(4)における時間の経過によるダークスポットの個数の変化を表1に示す。
【表1】
Figure 0003900617
【0086】
また、有機EL素子(1)〜(4)における時間の経過によるダークスポットの面積比率の変化を表2に示す。また、このダークスポットの面積比率の変化を図9にグラフで表す。
【表2】
Figure 0003900617
【0087】
また、有機EL素子(1)〜(4)における時間の経過によるダークスポットの最大直径の変化を表3に示す。また、このダークスポットの最大直径の変化を図10にグラフで表す。
【表3】
Figure 0003900617
【0088】
なお、これらの実験結果において、初期状態(0時間)におけるダークスポットの数、面積比率及び最大直径は、有機EL素子の製造上の問題に起因する。
以下、上記の実験結果に基づいて、本発明の効果がいかに得られたかを考察する。
【0089】
上記の表及びグラフで示すように、有機EL素子(1)及び(2)では、ダークスポットの数は144時間後にほぼ半減するものの、面積比率は30%を超え、また、最大直径も0.25mm以上となる。ここで、ダークスポットの数の減少は、ダークスポットの成長によって2以上のダークスポットが繋がって1つのダークスポットを生じるためであると思われる。
【0090】
保護層14を設けていない有機EL素子(1)は、O2あるいはH2Oのカソード電極13への侵入を阻止できないため、上記結果が示すように、ダークスポットの成長を抑止できない。上記結果は、有機EL素子(2)でもダークスポットの成長を十分に抑止できないことを示している。言い換えれば、保護層14があっても、その層厚が1000(Å)程度ではO2あるいはH2Oのカソード電極13への侵入を阻止できないことを示している。
【0091】
有機EL素子(3)では、ダークスポットの数は時間によってほとんど変化なく、144時間後でも面積比率は12%台に、最大直径は0.18mmに止まる。
この結果から、保護層14の層厚を4000(Å)とすれば、ダークスポットの成長が抑止される、すなわち、保護層14がO2あるいはH2Oのカソード電極13への侵入をかなりの部分で阻止していることがわかる。保護層14は、これと同時にダークスポットの発生もある程度抑止する効果があることがわかる。
【0092】
有機EL素子(4)では、ダークスポットの数は時間の経過と共に微増している。しかしながら、144時間後のダークスポットの面積比率は2.8%に、最大直径は0.16mmに止まる。また、288時間後でもダークスポットの面積比率は5.2%に、最大直径は0.22mmに止まる。
この結果は、保護層14の層厚を10000(Å)とすれば、ダークスポットの成長がよりいっそう抑止される、すなわち、保護層14は、その層厚が厚ければ厚いほど、O2あるいはH2Oのカソード電極13への侵入を阻止できることがわかる。
【0093】
以上の結果から、ある程度の層厚以上のZnS−CeOxからなる保護層14を設けることによって、カソード電極13へのO2あるいはH2Oの侵入を阻止することができ、ダークスポットの成長を抑止することができる。しかも、保護層14の層厚が厚くなればなるほどその効果が大きくなり、本発明の効果が生じていることがわかる。保護層14は、これと同時にダークスポットの発生もある程度抑止する効果があることがわかる。すなわち、保護層14は、Znsの3次元綱目状構造の隙間にCeOxが埋まるように混在している極めて緻密な分子構造により、O2あるいはH2Oの侵入を抑止できるものであることが確認された。
【0094】
[実施例2]
この実施例においては、図1に示した構成で、次のような条件を有する有機EL素子(5)、(6)を用意した。
有機EL素子(5)、(6)共に、アノード電極11、有機EL層12、カソード電極13の構成は、実施例1の有機EL素子(1)〜(4)と同一とした。
【0095】
保護層14は、有機EL素子(6)では、図2(A)に示すような構造の、SiO2をホストとし、20(mol%)のCeOx(Ce、CeO、CeO2が混在したもの)をゲストとしてドープしたSiO2−CeOxを使用した。CeOxは、斜線が付された円で示すように、3次元綱目状構造のSiO2の隙間に物理的に混在している。この場合の保護層14の層厚は、3200(Å)とした。有機EL素子(5)では、上記実施の形態で示した構造を有しない純物質を保護層14として設けた。この場合の保護層14の層厚は、4000(Å)とした。
【0096】
これらの有機EL素子(5)、(6)を気温80℃、湿度90%の環境条件下に放置した。そして、時間の経過によって有機EL素子(5)、(6)のそれぞれにおいてダークスポットがどのように成長するかを観察した。
【0097】
有機EL素子(5)、(6)における時間の経過によるダークスポットの面積比率の変化を表4に示す。
【表4】
Figure 0003900617
【0098】
以下、上記の実験結果に基づいて、本発明の効果がいかに得られたかを考察する。
上記の表に示すように、保護層14がSiO2の純物質からなる有機EL素子(5)では、24時間が経過するとダークスポットの面積比率が6.58(%)に達している。これに対し、保護層14にCeOxをゲストとしてドープした有機EL素子(6)では、144時間を経過してもダークスポットの面積比率は4.71(%)にしかすぎなかった。
【0099】
この結果から、保護層14においてSiO2にCeOxをドープすることによって、ダークスポットの成長が抑制されることがわかる。これは、SiO2にCeOxをドープすることによって、カソード電極13へのO2あるいはH2Oの侵入が阻止されるためであると思われる。以上のように、この実験結果によって本発明の効果が生じていることがわかる。すなわち、保護層14は、SiO2の3次元綱目状構造の隙間にCeOxが埋まるように混在している極めて緻密な分子構造により、O2あるいはH2Oの侵入を抑止できるものであることが確認された。
【0100】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の発光素子では、保護層を設けたことによって酸素及び水が外部から金属電極に侵入することを防ぐことができる。このため、金属電極の酸化を抑止することができ、ダークスポットの成長による発光素子の劣化を防ぐことができる。このため、本発明では、製品寿命の長い発光素子を提供することができる。
【0101】
また、本発明の発光素子用の保護材料を使用して発光素子を形成した場合、ガラスを構成する分子の隙間から酸素及び水が侵入することを防ぐことができる。このため、発光素子に使用されている金属電極の酸化を抑止することができ、ダークスポットの成長による発光素子の劣化を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図2】(A)〜(C)は、図1の有機EL素子に使用される保護層の材料の構造を示す図である。
【図3】図1の有機EL素子におけるダークスポットの発生例と、その成長の抑止について説明する図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図6】本発明の第4の実施の形態の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図7】本発明の第5の実施の形態の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第6の実施の形態の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図9】本発明の実施例1のダークスポットの面積比率の経過時間による変化を示すグラフである。
【図10】本発明の実施例1のダークスポットの最大直径の経過時間による変化を示すグラフである。
【図11】従来例の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図12】従来例の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【図13】従来例の有機EL素子の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1〜6・・・有機EL素子、10・・・基板、11・・・アノード電極、12・・・有機EL層、12a・・・正孔輸送層、12b・・・電子輸送性発光層、13・・・カソード電極、14・・・保護層、25・・・第2保護層、35・・・封止層、45・・・第2基板、46・・・シー材、55・・・第2基板、56・・・接着層、65・・・缶型基板、66・・・シール材、67・・・オイル

Claims (5)

  1. 3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物の分子間の隙間に、1種類以上の単体、酸化物、硫化物のいずれかから選択される充填材が混在される、
    ことを特徴とする発光素子用の保護材料。
  2. 前記3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物は、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、リン、ヒ素のうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物であり、前記充填材は、アルミニウム、亜鉛、ベリリウムのうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物である、
    ことを特徴とする請求項に記載の発光素子用の保護材料。
  3. 前記3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物は、ケイ素、ホウ素、ゲルマニウム、リン、ヒ素のうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物であり、
    前記充填材は、スカンジウム、ランタン、イットリウム、スズ、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、セリウムのうちの何れか1種類以上の単体、酸化物または硫化物である、
    ことを特徴とする請求項に記載の発光素子用の保護材料。
  4. 前記3次元綱目状構造の酸化物或いは硫化物は、アルミニウム、亜鉛、ベリリウムのうちの何れか1種類以上の酸化物または硫化物であり、
    前記充填材は、スカンジウム、ランタン、イットリウム、スズ、バリウム、カルシウム、ストロンチウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、セリウムのうちの何れか1種類以上の単体、酸化物または硫化物である、
    ことを特徴とする請求項に記載の発光素子用の保護材料。
  5. 請求項1記載の発光素子用の保護材料で保護されることを特徴とする発光素子。
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