JP3900563B2 - 排ガス浄化触媒及びこれを用いた排ガス浄化フィルタ - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼルエンジンから排出される排ガス中に含まれるパティキュレート(微粒子状炭素及び未燃炭化水素)を燃焼させる排ガス浄化触媒、及びパティキュレートを捕集して燃焼させる排ガス浄化触媒を担持した排ガス浄化フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼルエンジンから排出される排ガス中に含まれるパティキュレートが環境保護や人体への影響等から段階的に規制されてきている。
【0003】
このようなパティキュレートを排ガス中から除去する方法として、ディーゼルエンジンの排気系に耐熱性セラミックからなるハニカムフィルタを配設し、このハニカムフィルタにパティキュレートを捕集して排ガス中から除去した後、パティキュレートが所定量堆積したところで、ハニカムフィルタを加熱する等してパティキュレートを燃焼し、炭酸ガスに変えて大気中に放出する方法がある。しかしながら、この方法はハニカムフィルタにおいて連続的にパティキュレートを捕集し、燃焼させることができないとともに、ハニカムフィルタの加熱手段又はハニカムフィルタに加熱された空気や排ガスを送るための送風及び加熱手段が必要となるため、排ガスを浄化する装置全体としては大がかりになり、また装置コストが高くなるという問題がある。
【0004】
そこで、ハニカムフィルタの表面にパティキュレートを燃焼させる排ガス浄化触媒を担持した排ガス浄化フィルタを用いて、ハニカムフィルタへのパティキュレートの捕集とともに、連続的にパティキュレートを燃焼させる方法がある。この方法によれば、連続的に排ガスを浄化できるとともに、触媒作用によってパティキュレートの燃焼温度を低下させることが可能となり、ハニカムフィルタを加熱するためのエネルギーを低減したり、または特別な加熱手段を用いることなくパティキュレートを燃焼できる可能性がある。また、燃焼温度の低下によって、パティキュレートの燃焼熱によりハニカムフィルタに割れや溶損が生じることを防止することができる。
【0005】
このような排ガス浄化触媒としては、従来より種々の金属酸化物や白金等の貴金属、またペロブスカイト型複合酸化物等が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の排ガス浄化触媒は、パティキュレートの燃焼熱により酸化や焼結を起こして表面積の低下等が生じ、結果的に触媒活性が低下する傾向があるとともに、排ガス中に含まれる硫黄酸化物で被毒されて、数十時間の使用で著しく触媒活性が低下するという問題を有していた。すなわち、使用初期における触媒活性は優れていても、長期間のパティキュレートの捕集燃焼に対しては耐熱性及び耐被毒性に欠けていた。
【0007】
また、耐久性を向上させようとすると初期の触媒活性の高いものが得られず、実用的には、排ガス温度程度の低温でパティキュレートを燃焼できるまでの高い触媒活性を有する排ガス浄化触媒が得られていない。
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するものであり、パティキュレートを低温で燃焼できる高い触媒活性を有し、かつ耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性に優れた排ガス浄化触媒の提供、及びこの排ガス浄化触媒が担持され、パティキュレートの燃焼効率が高く、かつ耐久性に優れた排ガス浄化フィルタの提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明の排ガス浄化触媒は、アルカリ金属のジルコン酸塩からなり、あるいは、ルビジウムのケイ酸塩,アルミン酸塩,ジルコン酸塩の内の少なくとも1以上からなる構成よりなる。
【0010】
この構成により、アルカリ金属の高い触媒活性によりパティキュレートを排ガス温度付近の低温で燃焼することが可能になるとともに、熱的に安定でかつ排ガス中の硫黄酸化物に対する反応性の低いケイ酸塩,アルミン酸塩,ジルコン酸塩であることから、パティキュレートを継続的に燃焼させる上での耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性を向上させることができる。したがって、パティキュレートを低温で燃焼できる高い触媒活性を有し、かつ耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性に優れた排ガス浄化触媒を提供することができる。
【0011】
また、本発明の排ガス浄化フィルタは、ハニカムフィルタと、ハニカムフィルタ上に担持された本発明の排ガス浄化触媒と、を有する構成よりなる。
【0012】
この構成により、触媒活性が高く、耐熱性及び耐被毒性に優れた本発明の排ガス浄化触媒を担持していることによって、他の加熱手段等を用いることなく排ガス温度付近において高い燃焼効率でパティキュレートの燃焼除去することができるとともに、パティキュレートを低温で燃焼できることからハニカムフィルタの割れや溶損が防止され、排ガス浄化フィルタの耐久性を向上させることができるという作用を有する。したがって、パティキュレートの燃焼効率が高く、かつ耐久性に優れた排ガス浄化フィルタを提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、アルカリ金属のジルコン酸塩からなることとしたものであり、アルカリ金属の高い触媒活性によりパティキュレートを排ガス温度付近の低温で燃焼することが可能になるとともに、熱的に安定でかつ排ガス中の硫黄酸化物に対する反応性の低いジルコン酸塩であることから、パティキュレートを継続的に燃焼させる上での耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性を向上させることができるという作用を有する。
【0014】
本発明の請求項2に記載の発明は、ルビジウムのケイ酸塩,アルミン酸塩,ジルコン酸塩の内の少なくとも1以上からなることを特徴とするものであり、種々のアルカリ金属の中でも、特に触媒活性の高い排ガス浄化触媒が得られるという作用を有する。また、熱的に安定でかつ排ガス中の硫黄酸化物に対する反応性の低いケイ酸塩,アルミン酸塩,ジルコン酸塩であることから、パティキュレートを継続的に燃焼させる上での耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性を向上させることができるという作用を有する。
【0015】
本発明の請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の発明において、ケイ酸塩が、A2SiO3,A2Si2O5,A2Si4O9,A4SiO4,A8SiO6(Aはルビジウム)の内の少なくとも1以上からなることとしたものであり、構造的な安定性が向上することにより、耐熱性及び耐被毒性をより高めることができるという作用を有する。
【0016】
本発明の請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、ケイ酸塩がRb2SiO3であることとしたものであり、種々のケイ酸塩の中でもより触媒活性の高く、かつ耐熱性及び耐被毒性に優れた排ガス浄化触媒が得られるという作用を有する。
【0017】
本発明の請求項5に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、ジルコン酸塩が、A2ZrO3,A2Zr2O5,A2Zr4O9,A4ZrO4,A8ZrO6(Aはアルカリ金属)の内の少なくとも1以上からなることとしたものであり、構造的な安定性が向上することにより、耐熱性及び耐被毒性をより高めることができるという作用を有する。
【0018】
本発明の請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、ジルコン酸塩がLi2ZrO3であることとしたものであり、種々のジルコン酸塩の中でもより触媒活性の高く、かつ耐熱性及び耐被毒性に優れた排ガス浄化触媒が得られるという作用を有する。
【0019】
本発明の請求項7に記載の発明は、ハニカムフィルタと、ハニカムフィルタ上に担持された請求項1乃至6のいずれかに記載の排ガス浄化触媒と、を有することとしたものであり、触媒活性が高く、耐熱性及び耐被毒性に優れた本発明の排ガス浄化触媒を担持していることによって、他の加熱手段等を用いることなく排ガス温度付近において高い燃焼効率でパティキュレートの燃焼除去することができるとともに、パティキュレートを低温で燃焼できることからハニカムフィルタの割れや溶損が防止され、排ガス浄化フィルタの耐久性を向上させることができるという作用を有する。
【0020】
ハニカムフィルタとしては、金属製、又はムライト,コージェライト,チタン酸アルミニウム等のセラミック製のものが用いられる。
【0021】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の発明において、排ガス浄化触媒の担持量が、ハニカムフィルタの重量に対して、1〜30重量%であることとしたものであり、高い燃焼効率を維持しながら、排ガスフィルタにおける排ガスの圧損の増加を防止して、エンジンへの負荷の増大を抑制することができるという作用を有する。
【0022】
排ガス浄化触媒の担持量が、3重量%よりも小さくなるにつれてパティキュレートを低温で十分に燃焼除去できなくなる傾向を生じ、また10重量%よりも大きくなるにつれて、排ガスフィルタ内での圧損が増加して、エンジンへ過大な負荷がかかる傾向を生じるため、いずれも好ましくない。また、排ガス浄化触媒の担持量が、1重量%よりも小さくと、また30重量%よりも大きくなると上記傾向が著しくなるため、特に好ましくない。
【0023】
以下に、本発明を実施例により詳細に説明する。
【0024】
【実施例】
(実施例1)
第1実施例の排ガス浄化触媒として、微粒子状のケイ酸ルビジウムRb2SiO3(添川理化学社製)を用いた。このRb2SiO3は、X線回折法による構造解析によりほぼRb2SiO3単相であることを確認した。
【0025】
第1実施例の排ガス浄化触媒について、以下のような燃焼試験、耐熱性評価試験、耐被毒性評価試験を行った。
【0026】
まず、燃焼試験の試験方法を説明する。ディーゼルエンジン(トヨタ製、3B、排気量3431cc)を回転数1500rpm,トルク21kgmの高負荷モードで作動させて、排ガス中に含まれるパティキュレートを触媒を全く担持していないコージェライト製のハニカムフィルタを用いて捕集した。ハニカムフィルタから採取したパティキュレートと第1実施例の排ガス浄化触媒を重量比1:1で混合した混合粉末10mgを熱分析装置(セイコー電子工業社製、TG/DTA320)の加熱炉内に設置し、加熱炉内に乾燥空気を50cc/minで導入しながら、昇温速度5℃/minで加熱した。この時、パティキュレートの燃焼に伴って混合粉末の重量が減少する際の減少速度が最大となったところで、パティキュレートの燃焼温度を決定した。
【0027】
次に、耐熱性評価試験の試験方法を説明する。第1実施例の排ガス浄化触媒200mgを電気炉内に設置し、200℃/hで1000℃まで昇温してから50h保持した後、200℃/hで常温まで降温する熱処理を行った。この後前述の燃焼試験を行い、熱処理後における燃焼温度を決定した。
【0028】
次に、耐被毒性評価試験の試験方法を説明する。石英ガラス管内に第1実施例の排ガス浄化触媒200mgを設置し、排ガス浄化触媒の近傍に熱電対を配設した。石英ガラス管の外周に近設された円筒状の電気炉により排ガス浄化触媒を350℃に加熱した状態で、石英ガラス管内に21vol%のO2と1000ppmのSO2を含むN2ガスを通気して50時間保持する被毒処理を行った。この後前述の燃焼試験を行い、被毒処理後における燃焼温度を決定した。
【0029】
第1実施例の排ガス浄化触媒について、燃焼試験、耐熱性評価試験、耐被毒性評価試験の各試験における燃焼温度を(表1)に示した。
【0030】
【表1】
【0031】
別に実施したパティキュレートのみの燃焼における燃焼温度が約600℃であったのに対して、(表1)に示したように、第1実施例の排ガス浄化触媒を用いた場合の燃焼温度は320℃と極めて低く、また熱処理後においても燃焼温度はほとんど変化しないことが明らかとなった。さらに、被毒処理後における燃焼温度も335℃であり、第1実施例の排ガス浄化触媒は高い触媒活性を有するとともに、耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性においても優れていることが判明した。また、本実施例の排ガス浄化触媒は、触媒活性を高めるために貴金属が添加されていた従来の排ガス浄化触媒に比べると、より低コストで高い触媒活性を得ることができる。
【0032】
尚、第1実施例として示したRb2SiO3単相からなる排ガス浄化触媒の他に、製造条件を変えてケイ酸ルビジウムを調製したところ、Rb2SiO3相を主成分としてRb2Si2O5、Rb2Si4O9、Rb4SiO4、又はRb8SiO6等が種々の割合で混在する排ガス浄化触媒が得られた。これらのついても、燃焼試験、耐熱性評価試験、耐被毒性評価試験を実施した結果、Rb2SiO3単相の場合と同程度に低い燃焼温度を有し、また熱処理や被毒処理に対しても優れた耐久性を示すことが判明した。
【0033】
(参考例1、実施例2、参考例2)
第1参考例、第2実施例および第2参考例の排ガス浄化触媒として、微粒子状のケイ酸リチウムLi2SiO3(添川理化学社製)、ジルコン酸リチウムLi2ZrO3(添川理化学社製)、アルミン酸リチウムLiAlO2(添川理化学社製)を各々用い、第1実施例と同様な方法により、燃焼試験及び耐熱性評価試験を行った。
【0034】
第1参考例、第2実施例および第2参考例の排ガス浄化触媒について、燃焼試験、耐熱性評価試験の各試験における燃焼温度を(表1)に示した。(表1)に示したように、第1参考例、第2実施例および第2参考例の排ガス浄化触媒を用いた場合の燃焼温度は、それぞれ435℃、434℃、463℃であり、またいずれの実施例の排ガス浄化触媒においても熱処理後による燃焼温度の上昇は小さかった。ディーゼルエンジンから排出される排ガス温度は一例として420〜460℃であることから、第1参考例、第2実施例および第2参考例の排ガス浄化触媒によれば排ガス温度及びその近傍においてパティキュレートを燃焼できることが判った。
【0035】
(比較例1)
ペロブスカイト型酸化物であるLaCrO3のLaの一部をLiで置換し、これを第1比較例として、第1実施例と同様な方法により燃焼試験、耐熱性評価試験、耐被毒性評価試験を行った。
【0036】
第1比較例の排ガス浄化触媒について、燃焼試験、耐熱性評価試験の各試験における燃焼温度を(表1)に示した。(表1)に示したように、第1比較例の排ガス浄化触媒は、熱処理前の燃焼温度は第3実施例の排ガス浄化触媒と同程度であったが、熱処理後や被毒処理後の燃焼温度は著しく上昇し、熱処理や被毒処理による活性の低下が極めて大きいことが判った。
【0037】
(実施例3)
本発明の排ガス浄化触媒を担持した第3実施例の排ガス浄化フィルタを以下のようにして作製した。
【0038】
ハニカムフィルタとしては、コージェライト製の円柱状で、直径及び高さが5.66インチ、セル密度が断面積の1平方インチ当たり100セルのものを使用した。このハニカムフィルタを、ケイ酸ルビジウムRb2SiO3(添川理化学社製)100gに水200gを加えて攪拌したスラリー液に浸漬した。スラリー液からハニカムフィルタを取り出した後、ハニカムフィルタのセル内に付着した余分なスラリー液を圧縮空気を吹きつけて取り除き、乾燥させてから500℃で5時間焼成することによりハニカムフィルタにケイ酸ルビジウムからなる排ガス浄化触媒を担持させた。尚、排ガス浄化触媒の担持量は、焼成後の重量でハニカムフィルタの重量に対して約8重量%であった。
【0039】
上記方法により作製した第3実施例の排ガス浄化フィルタについて、以下のような燃焼試験を行った。第3実施例の排ガス浄化フィルタの外周にインターラムを巻いた後、排ガス流入口と排ガス流出口が形成されたステンレス製の容器内に収納し、この容器をディーゼルエンジン(トヨタ製、3B型、排気量3431cc)のエキゾーストマニホールドより1mの位置に設置し、ディーゼルエンジンの排気系に接続した。この後、ディーゼルエンジンを回転数1500rpm,トルク18kgm(負荷率80%)で作動させながら、排ガス浄化フィルタで6時間パティキュレートの捕集燃焼を行い、この間に水銀圧力計を用いて排ガスフィルタの前後における差圧を測定した。
【0040】
尚、捕集燃焼の際の排ガス浄化フィルタ近傍における排ガス温度は約430℃であった。
【0041】
(実施例4)
スラリー液を付着させたハニカムフィルタを900℃で焼成したことを除いて、第3実施例と同様な方法により排ガス浄化フィルタを作製し、これを第4実施例とした。第4実施例の排ガス浄化フィルタについても、第3実施例と同様な方法により燃焼試験を行った。
【0042】
(比較例2)
第3実施例の排ガス浄化フィルタで用いたものと同じハニカムフィルタのみからなる排ガス浄化フィルタを第2比較例とし、第3実施例と同様な方法により燃焼試験を行った。但し、第2比較例の排ガス浄化フィルタについては、パティキュレートの捕集燃焼は2時間で中止した。
【0043】
(評価例1)
第3実施例、第4実施例、第2比較例の各排ガス浄化フィルタの燃焼試験における差圧の経時変化を図1を用いて説明する。
【0044】
図1は、第3実施例、第4実施例、第2比較例の各排ガス浄化フィルタの燃焼試験における差圧の経時変化を示す関係図である。図1に示したように、第3実施例及び第4実施例の排ガス浄化フィルタについては、パティキュレートの捕集開始直後から捕集燃焼の初期段階において、排ガスフィルタにパティキュレートが堆積することによる差圧上昇が認められるものの、その後は差圧がやや低下してほぼ一定値となり、初期段階で堆積したパティキュレートを含めて、排ガス浄化フィルタに捕集されたパティキュレートを排ガス温度において十分に燃焼除去できていることが明らかとなった。又、燃焼試験の前後における第3実施例及び第4実施例の排ガスフィルタの重量を測定したところ、その重量変化はほとんど認められなかったことから、捕集されたパティキュレートを排ガス温度でほぼ完全に燃焼除去できることが判明した。
【0045】
一方、第2比較例の排ガスフィルタについては、パティキュレートの捕集開始とともに継続的に差圧が上昇し、2時間を経過したところで差圧が200mmHgに達したため、これ以上の燃焼試験の継続は困難であった。
【0046】
このように本発明の排ガス浄化触媒を担持した排ガス浄化フィルタを用いれば、他の加熱手段等を用いることなく排ガス温度付近において高い燃焼効率でパティキュレートを燃焼除去することができるとともに、パティキュレートを低温で燃焼できることからハニカムフィルタの割れや溶損が防止され、排ガス浄化フィルタの耐久性を向上させることができる。
【0047】
(実施例5)
種々の割合でケイ酸ルビジウムRb2SiO3(添川理化学社製)と水を混合して攪拌したスラリー液を調整し、第4実施例の排ガス浄化フィルタに用いたものと同じハニカムフィルタから1cm角の立方体に切り出したフィルタ小片を各スラリー溶液に浸漬してから、第4実施例と同様な方法により、ケイ酸ルビジウムを種々の担持量で担持させたフィルタ小片を作製した。
【0048】
次に、各フィルタ小片を、第1実施例と同様な方法で捕集したパティキュレート60gとエチルアルコール100gの混合溶液中に浸漬させた後、取り出して乾燥し、フィルタ小片1g当たり約50mgのパティキュレートを付着させた。
【0049】
このようにしてパティキュレートを付着させた各フィルタ小片を、石英ガラス管内に設置し、フィルタ小片の近傍に熱電対を配設するとともに、石英ガラスのガス流出側に炭酸ガス濃度計を設置した。次に、石英ガラス管の外周に近設された円筒状の電気炉により、フィルタを200℃/hで昇温しながら、石英ガラス管内に21vol%のO2と1000ppmのSO2を含むN2ガスを通気し、炭酸ガス濃度計に炭酸ガス濃度の増加が認められた温度を燃焼開始温度とした。
【0050】
図2はフィルタ小片に担持したケイ酸ルビジウムの担持量と燃焼開始温度との関係図である。尚、図2においてケイ酸ルビジウムの担持量は、フィルタ小片のみの重量に対して、担持されたケイ酸ルビジウムの重量比として示している。
【0051】
図2に示したように、ケイ酸ルビジウムの担持量の増加とともに燃焼開始温度は低下したが、担持量が3重量%〜30重量%の間では燃焼開始温度がほぼ一定であることが明らかとなった。また、排ガス温度でパティキュレートを燃焼させる場合には、図2の結果からケイ酸ルビジウムの担持量として1重量%以上が好ましいことが判明した。一方、排ガス浄化フィルタでは担持量が多くなりすぎると、ハニカムフィルタの細孔を排ガス浄化触媒が塞いで排ガスの圧損を上昇させる。上述のように本実施例においては、ケイ酸ルビジウムの担持量が3重量%〜30重量%までは燃焼開始温度がほぼ一定であったが、他の実験結果による排ガス浄化フィルタ内における差圧の上昇を考慮すると、30重量%は担持量のほぼ上限であり、差圧の上昇がほとんど認められない担持量としては10重量%であることも判った。
【0052】
以上の結果から、排ガス浄化フィルタに担持する排ガス浄化触媒は、ハニカムフィルタの重量に対して、1〜30重量%、好ましくは3〜10重量%の重量比で担持することが望ましいことが判明した。
【0053】
【発明の効果】
以上のように本発明の排ガス浄化触媒によれば、ルビジウム等のアルカリ金属の高い触媒活性によりパティキュレートを排ガス温度付近の低温で燃焼することが可能になるとともに、熱的に安定でかつ排ガス中の硫黄酸化物に対する反応性の低いケイ酸塩,アルミン酸塩,ジルコン酸塩であることから、パティキュレートを継続的に燃焼させる上での耐熱性及び硫黄酸化物に対する耐被毒性を向上させることができるという優れた効果が得られる。
【0054】
また、本発明の排ガス浄化フィルタによれば、触媒活性が高く、耐熱性及び耐被毒性に優れた本発明の排ガス浄化触媒を担持していることによって、他の加熱手段等を用いることなく排ガス温度付近において高い燃焼効率でパティキュレートの燃焼除去することができるとともに、パティキュレートを低温で燃焼できることからハニカムフィルタの割れや溶損が防止され、排ガス浄化フィルタの耐久性を向上させることができるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第3実施例、第4実施例、第2比較例の各排ガス浄化フィルタの燃焼試験における差圧の経時変化を示す関係図
【図2】 フィルタ小片に担持したケイ酸ルビジウムの担持量と燃焼開始温度との関係図
Claims (8)
- アルカリ金属のジルコン酸塩からなることを特徴とする排ガス浄化触媒。
- ルビジウムのケイ酸塩,アルミン酸塩,ジルコン酸塩の内の少なくとも1以上からなることを特徴とする排ガス浄化触媒。
- 前記ケイ酸塩が、A2SiO3,A2Si2O5,A2Si4O9,A4SiO4,A8SiO6(Aはルビジウム)の内の少なくとも1以上からなることを特徴とする請求項2に記載の排ガス浄化触媒。
- 前記ケイ酸塩がRb2SiO3であることを特徴とする請求項3に記載の排ガス浄化触媒。
- 前記ジルコン酸塩が、A2ZrO3,A2Zr2O5,A2Zr4O9,A4ZrO4,A8ZrO6(Aはアルカリ金属)の内の少なくとも1以上からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の排ガス浄化触媒。
- 前記ジルコン酸塩が、Li2ZrO3であることを特徴とする請求項1に記載の排ガス浄化触媒。
- ハニカムフィルタと、前記ハニカムフィルタ上に担持された請求項1乃至6のいずれかに記載の排ガス浄化触媒と、を有することを特徴とする排ガス浄化フィルタ。
- 前記排ガス浄化触媒の担持量が、前記ハニカムフィルタの重量に対して、1〜30重量%であることを特徴とする請求項7に記載の排ガス浄化フィルタ。
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