JP3899839B2 - 電子写真感光体及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体及び画像形成装置に関するものであり、詳しくは、導電性基体、下引き層及び感光層が順次積層された電子写真感光体、並びにそれを用いた電子写真装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式は、高速且つ高品質の印字が可能であることから、複写機、レーザービームプリンター等の画像形成装置に広く用いられている。電子写真方式を用いる画像形成装置においては、光導電性材料として有機化合物を用いた有機電子写真感光体が主流となっており、その構成も、電荷発生材料と電荷輸送材料とを同一の層に含む単層型感光体から、電荷発生材料を含む層(電荷発生層)と電荷輸送材料を含む層(電荷輸送層)とを積層させて機能を分離させた積層型感光体へと変遷している。
【0003】
このような電子写真感光体における感光層の支持体としては、通常、アルミニウム等の導電性材料からなる円筒部材に鏡面研削処理を施して外周面を平滑化したものが用いられているが、近年、電子写真感光体の製造コストの低減を目的として、鏡面研削に代わる研削技術の検討が進められている。
【0004】
例えば、特開平8−328376号公報には、円筒部材の外周面にセンタレス研削処理を施す技術が開示されている。また、センタレス研削が施された円筒部材の後処理方法として、特許第2770870号公報には転圧ロールを用いてローラーバニッシング加工を施す方法、特許第2818630号公報には陽極酸化処理を施す方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、センタレス研削処理が施された導電性基体においては、削り粉の付着、焼付き、受け板(ブレード)による損傷等によって外周面に「むしれ」や酸化被膜の乱れが生じ、微少な凹凸が発生しやすくなる。そして、このような導電性基体を用いると、感光層の成膜工程において塗膜欠陥が生じたり、画像形成工程において電気特性上の特異点が発現したりする場合がある。
【0006】
また、近年、画像形成装置の帯電手段として接触帯電方式のものが広く用いられるようになってきているが、センタレス研削処理が施された導電性基体をそのまま用いた電子写真感光体を接触帯電方式の帯電手段と組み合わせて用いると、電子写真感光体と帯電手段との間に莫大な電流のリーク現象が起こりやすくなり、その結果、感光層が焼け焦げるなどして不可逆的な画像欠陥を生じてしまう。
【0007】
なお、特開平8−328376号公報、特開平7−325405号公報、特許第2770870号公報には、導電性基体と感光層との界面における光の干渉等を防止する目的で、ナイロン樹脂や有機金属化合物等からなる下引き層が導電性基体と感光層との間に配置された電子写真感光体が開示されているが、センタレス研削後の導電性基体をそのまま用いる場合には、下引き層を設けても上記の現象を防止することは非常に困難であった。
【0008】
また、特許第2770870号公報、特許第2818630号公報に記載の方法のようにセンタレス研削後に後処理を施す場合には、処理工程の増加に伴いコストが増加するため、実質的な問題の解決には至っていないのが現状である。
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、センタレス研削が施された導電性基体を後処理を施さずにそのまま用いた場合であっても、画像欠陥の発生を十分に防止することができ、安価に且つ確実に製造可能でありしかも光電特性に優れた電子写真感光体、並びにその電子写真感光体を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、導電性基体と、金属酸化物微粒子を含有する下引き層と、感光層とが順次積層された電子写真感光体において、導電性基体の表面粗度及び下引き層の膜厚がそれぞれ特定の条件を満たす場合に上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明の電子写真感光体は、センタレス研削処理が施された導電性基体と、金属酸化物微粒子を含有する下引き層と、感光層とが順次積層された電子写真感光体であって、
前記金属酸化物微粒子が、アークプラズマ方式により得られるものであり、前記導電性基体の表面粗度が1〜15μmであり、且つ前記下引き層の膜厚が前記表面粗度の2倍以上であることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の画像形成装置は、上記本発明の電子写真感光体と、
前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、
前記電子写真感光体上に静電潜像を形成するための画像入力手段と、
前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、
前記トナー像を被転写体に転写するための転写手段と、
を備えることを特徴とするものである。
【0013】
本発明においては、導電性基体の表面粗度及び下引き層の膜厚が上記の条件を満たすように制御することによって、センタレス研削が施された導電性基体を後処理を施さずにそのまま用いた場合であっても、感光層の成膜工程における塗膜欠陥や画像形成工程における電流のリーク現象が十分に防止されるので、光電特性に優れた電子写真感光体を安価に且つ確実に得ることができる。従って、本発明の電子写真感光体、並びにそれを用いた画像形成装置によって、製造コストの低減と画像品質の向上とを達成することが可能となる。
【0014】
本発明においては、前記金属酸化物微粒子が酸化亜鉛微粒子であることが好ましい。
【0016】
更に、本発明においては、前記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が100nm以下であることが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付することとする。
【0018】
図1〜5は本発明の電子写真感光体の好適な実施形態を示す模式断面図である。図1〜3に示す電子写真感光体は、電荷発生材料を含有する層(電荷発生層5)と電荷輸送材料を含有する層(電荷輸送層6)とに機能が分離された感光層3を備えるものであり、
図1に示す電子写真感光体1は、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6が順次積層された構造;
図2に示す電子写真感光体1は、導電性基体2上に下引き層4、電荷発生層5、電荷輸送層6、保護層7が順次積層された構造;
図3に示す電子写真感光体1は、導電性基体2上に下引き層4、電荷輸送層6、電荷発生層5、保護層7が順次積層された構造;
をそれぞれ有している。また、図4〜5に示す電子写真感光体は電荷発生物質と電荷輸送物質とを同一の層(単層型感光層8)に含有するものであり、
図4に示す電子写真感光体1は、導電性基体2上に下引き層4、単層型感光層8が順次積層された構造;
図5に示す電子写真感光体1は、導電性基体1上に下引き層4、単層型感光層8、保護層7が順次積層された構造、
をそれぞれ有している。
【0019】
導電性基体2の材料としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、ステンレス鋼などの金属;紙、プラスチック又はガラス上に、アルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケルークロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属や酸化インジウム・酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着又はラミネートすることによって薄膜を設けたもの;紙、プラスチック又はガラス上に、カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅などを結着樹脂に分散して塗布することによって導電処理したもの、などが挙げられる。
【0020】
かかる導電性基体2は、前述の通り、その表面粗度が1〜15μmとなるようにセンタレス研削が施されたものである。表面粗度が15μmを越えると、感光層の成膜工程における塗膜欠陥や画像形成工程における電流のリーク現象を十分に防止することができなくなる。また、表面粗度が1μm未満の場合にも、画像形成工程において干渉縞が発生して良好な画像品質を得ることができなくなる。
【0021】
なお、本発明でいう表面粗度とは、JIS B 0601−1982に規定される最大表面粗さ(Rmax[μm])をいう。すなわち、本発明においては、断面曲線から所定の部分を基準長さLだけ抜き取り、抜き取り部分の平均線に平行な2直線で抜き取り部分を挟んだときの2直線の間隔を表面粗度という。導電性基体の表面粗度を測定する際には、基準長さをL=2.5mmとし、基体の中央及び両端部で得られるRmaxの平均値が表面粗度である。
【0022】
また、本発明にかかるセンタレス研削とは、受け板(ブレード)上に配置された被研削部材を、部材の長手方向に沿って配置された研削ロールにより研削するものをいい、当該センタレス研削にはスルーフィード方式及びインフィード方式が包含される。
【0023】
図6はスルーフィード方式により導電性基体にセンタレス研削処理を施すときの状態を示す説明図である。図6において、導電性基体2はブレード11上に配置されており、導電性基体2の両側には、導電性基体2の長手方向に沿って送りロール12及び研削ロール13が配置されている。送りロール12及び研削ロール13はそれぞれ矢印A、Bの方向に回転可能であり、それらの回転速度は、通常、研削ロール13の方が送りロール12よりも大きくなるように設定される。このとき、導電性基体2は、ブレード11及び送りロール12から受ける摩擦力に制動されて、送りロール12と同一方向に回転しながら研削ロール13によって研削される。また、送りロール12の回転軸を導電性基体の中心軸に対して僅かに傾斜させることによって、導電性基体2を矢印Cの方向に搬送しながら研削することができる。
【0024】
また、図7はインフィード方式により導電性基体にセンタレス研削処理を施すときの状態を示す説明図である。図7において、導電性基体はブレード11上に配置されており、導電性基体2の両側には、導電性基体2の長手方向に沿って2つの研削ロール13、13’が配置されている。研削ロール13、13’はそれぞれ矢印D、Eの方向に回転可能であり、研削ロール13、13’の回転工程において導電性基体2が研削される。なお、研削ロール13は矢印Fの方向に移動可能であり、研削ロール13を導電性基体2から離れるように移動させることによって、導電性基体2を研削ロール13’の回転方向に搬送することができる。
【0025】
このようなセンタレス研削においては、研削ロールの回転速度(周速)、ロールのメッシュ(粗さ)等を適宜選択することによって、導電性基体の表面粗度が1〜15μmとなるように研削することができる。例えば、メッシュが#40〜#1500(より好ましくは#40〜#1000)の研削ロールを用い、その回転速度を16〜45m/s(より好ましくは26〜45m/s)とすることによって、表面粗度が上記の条件を満たす導電性基体を好適に得ることができる。
【0026】
このようにして得られる導電性基体は、後処理を施さずにそのまま用いてもよく、また、必要に応じてローラーバニッシング加工、陽極酸化、エッチング、サンドブラスト、ウェットホーニング等の処理を施して用いてもよい。
【0027】
本発明の電子写真感光体においては、上記の導電性基体上に、金属酸化物微粒子を含有し且つ導電性基体の表面粗度の2倍以上の膜厚を有する下引き層が設けられる。
【0028】
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の種類は、電子写真感光体における抵抗値や樹脂への分散性に応じて適宜選択されるものであるが、具体的には、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化スズ、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化マンガン、あるいはこれらの酸化物の2種以上の混合物又は複合酸化物が挙げられる。これらの金属酸化物の中でも、酸化亜鉛は電子写真感光体の材料としての抵抗値及び分散性の点で好ましい。
【0029】
また、酸化亜鉛に3価のアルミニウム原子をドープする等、金属酸化物を構成する金属元素の一部を他の金属元素に置換して金属酸化物の半導体性を調節し、その抵抗を制御することも可能である。
【0030】
これらの金属酸化物微粒子は従来の製造方法によって得ることができる。例えば酸化亜鉛の場合は、JIS K1410に記載されている間接法(フランス法)、直接法(アメリカ法)、湿式法等;酸化チタンは、硫酸法、塩素法、フッ酸法、塩化チタンカリウム法、四塩化チタン水溶液法等が挙げられる。また、後述するアークプラズマ法により金属酸化物微粒子を得ることもできる。
【0031】
間接法は、金属亜鉛を加熱し(通常1000℃程度)、亜鉛蒸気を熱空気によって酸化させて酸化亜鉛とし、冷却後に粒子の大きさによって分別するものである。また、直説法は、亜鉛鉱石を培焼することによって得られる酸化亜鉛を石炭等で還元し、生じた亜鉛蒸気を熱空気によって酸化させるか、又は亜鉛鉱石を硫酸で浸出して得られる鉱滓にコークス等を加え、その混合物を加熱して溶融した亜鉛を熱空気によって酸化させるものである。
【0032】
硫酸法は、鉱石と硫酸との反応による硫酸塩溶液の調製、溶液の清澄、加水分解による含水酸化チタンの沈殿、洗浄、焼成、粉砕、表面処理といった工程により酸化チタン微粒子を得るものである。また、塩素法は、鉱石の塩素化により四塩化チタン溶液を調製し、精留、燃焼により得られる酸化チタンを粉砕、後処理するものである。
【0033】
アークプラズマ法としては、直流アークプラズマ法、プラズマジェット法、高周波プラズマ法等が挙げられる。例えば、直流アークプラズマ法においては、金属原料を消費アノード電極とし、カソード電極からプラズマフレームを発生させて金属原料を加熱し蒸発させて、金属蒸気を酸化させ、冷却することによって金属酸化物微粒子が得られる。プラズマフレームを発生させるに際し、アーク放電はアルゴン等の単原子分子ガスや水素、窒素、酸素等の2原子分子ガス中で行われるが、2原子分子の熱解離により生じるプラズマは単原子分子ガス由来のプラズマ(アルゴンプラズマ等)に比べて反応性に富んでいるので、反応性アークプラズマと呼ばれる。
【0034】
本発明においては、上記製造方法の中でもアークプラズマ法により得られる金属酸化物微粒子を用いると、従来法で得られるものとは異なる形状、粒径(例えば100nm以下)、諸物性の金属酸化物微粒子が得られ、光電特性、分散性及び耐リーク性が向上するので好ましい。
【0035】
このようにして得られる金属酸化物微粒子は、必要に応じて、シランカップリング剤、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、有機アルミニウム化合物等の表面処理剤を用いて表面処理することによって、分散性等の諸物性を高めることができる。
【0036】
シランカップリング剤としては、具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N−ビス(β−ヒドロキシエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロルプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらの中でもビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシシラン)、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランが好ましく用いられる。
【0037】
有機ジルコニウム化合物としては、具体的には、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシド等が挙げられる。
【0038】
有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2−エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレート等が挙げられる。
【0039】
有機アルミニウム化合物としては、具体的には、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)等が挙げられる。
【0040】
これらの表面処理剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合物又は縮重合物を用いてもよい。中でも、ケイ素又はジルコニウムを含有する化合物を用いると、残留電位が低い、環境の変化に伴う電位変化が小さい、繰り返し使用による電位変化が少ない等の点で好ましい。
【0041】
本発明において用いられる金属酸化物微粒子の平均一次粒径は0.5μm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。このような粒径を有する金属酸化物微粒子を用いると、多数の酸化金属部粒子を介した電気伝導が起こりやすくなり、その結果、短絡的な電流の流れが十分に抑制されて、異常放電によるリーク欠陥の発生がより低減される傾向にある。
【0042】
また、本発明において用いられる金属酸化物微粒子の粉体抵抗値は102〜1011Ωcmであることが好ましく、104〜109Ωcmであることがより好ましい。
【0043】
上記の金属酸化物微粒子は、通常、結着樹脂中に分散されて下引き層を構成している。下引き層の結着樹脂としては、具体的には、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂等の高分子樹脂化合物等が挙げられる。
【0044】
下引き層における金属酸化物微粒子の含有量は、必要とされる下引き層の抵抗に応じて適宜選択されるが、下引き層中に含まれる固形分全量を基準として10〜80容量%であることが好ましく、20〜60容量%であることがより好ましい。
【0045】
下引き層には、金属酸化物微粒子、結着樹脂に加えて、光散乱剤を添加することができる。また、下引き層を成膜した後、下引き層表面を粗面化することによっても光散乱機能を付与することができる。光散乱剤としては、屈折率の異なる金属酸化物粒子(シリカ粒子、アルミナ粒子等)や有機微粒子等が用いられ、これらは粒径(好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上)によって下引き層の粗面化にも寄与し得るものである。
【0046】
下引き層の成膜方法としては、例えば、金属酸化物微粒子及び結着樹脂を含む塗工液を導電性基体上に塗布し、溶剤を蒸発させた後、乾燥させる方法が挙げられる。塗工液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等が挙げられる。また、乾燥工程における温度は好ましくは80〜170℃である。このようにして得られる下引き層の厚みは好ましくは0.1〜20μmであり、より好ましくは0.2〜10μmである。
【0047】
このようにして成膜された下引き層上に感光層が積層されて本発明の電子写真感光体が得られる。かかる感光層は図1〜3に示すような機能分離型であってもよく、図4〜5に示すような単層型であってもよい。
【0048】
先ず、機能分離型感光体を構成する層について説明する。
【0049】
本発明にかかる電荷発生層は、通常、電荷発生材料と結着樹脂とを含有するものである。本発明において用いられる電荷発生材料としては、光を吸収して高い確率で電荷担体を発生し得るものであれば特に制限はないが、具体的には、非晶質セレン、結晶性セレン、セレンーテルル合金、セレンーヒ素合金、その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニン等の各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料ではα型、β型等をはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。
【0050】
本発明において、特に優れた性能が得られる電荷発生材料として以下の化合物が挙げられる。
【0051】
CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン;
CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン;
CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5°、11.7°、15.0°、24.1°、27.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニン。
【0052】
電荷発生層に於ける結着樹脂としては、具体的には、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプのポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン−アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール等が挙げられる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0053】
電荷発生材料と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また、電荷発生層の膜厚は、通常0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmである。
【0054】
本発明にかかる電荷発生層は、電荷発生材料と結着樹脂とを所定の溶剤に分散させて得られる塗工液を所定の層(導電性基体、電荷輸送層、下引き層など)上に塗布し、乾燥させることによって好適に得ることができる。ここで、電荷発生層の形成に用いる有機溶剤としては、具体的には、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸n−ブチル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、メチレンクロライド、クロロホルム、クロルベンゼン、トルエンなどが挙げられる。これらの有機溶剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの有機溶剤に電荷発生材料と結着樹脂とを分散させる方法としては、ボールミル分散法、アトライター分散法、サンドミル分散法などが挙げられるが、この際、分散によって電荷発生材料の結晶型が変化しない条件で行うことが好ましい。また、上記の塗工液を塗布する方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などが挙げられる。
【0055】
本発明にかかる電荷輸送層は、通常、電荷輸送材料及び結着樹脂を含有するものである。ここで、本発明において用いられる電荷輸送材料としては、電荷を輸送する機能を有するものであれば特に制限されるものではないが、具体的には、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール誘導体、1,3,5−トリフェニル−ピラゾリン、1−[ピリジル−(2)]−3−(p−ジエチルアミノスチリル)−5−(p−ジエチルアミノスチリル)ピラゾリン等のピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(p−メチル)フェニルアミン、N,N−ビス(3,4−ジメチルフェニル)ビフェニル−4−アミン、ジベンジルアニリン、9,9−ジメチル−N,N−ジ(p−トリル)フルオレノン−2−アミン等の芳香族第3級アミノ化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−[1,1−ビフェニル]−4,4’−ジアミン等の芳香族第3級ジアミノ化合物、3−(4’−ジメチルアミノフェニル)−5,6−ジ−(4’−メトキシフェニル)−1,2,4−トリアジン等の1,2,4−トリアジン誘導体、4−ジエチルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、4−ジフェニルアミノベンズアルデヒド−1,1−ジフェニルヒドラゾン、[p−(ジエチルアミノ)フェニル](1−ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾン等のヒドラゾン誘導体、2−フェニル−4−スチリル−キナゾリン等のキナゾリン誘導体、6−ヒドロキシ−2,3−ジ(p−メトキシフェニル)−ベンゾフラン等のベンゾフラン誘導体、p−(2,2−ジフェニルビニル)−N,N−ジフェニルアニリン等のα−スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N−エチルカルバゾール等のカルバゾール誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体等の正孔輸送物質;
クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン等のフルオレノン化合物、2−(4−ビフェニル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2,5−ビス(4−ジエチルアミノフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール等のオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルジフェノキノン、3,5−ジメチル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物等の電子輸送物質;
上記した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体
等が挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用できる。
【0056】
本発明にかかる電荷輸送層に用いられる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体、シリコーン樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アルキッド樹脂や、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリシラン、ポリエステル系高分子電荷輸送材料などの高分子電荷輸送材料を用いることができる。これらの結着樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの結着樹脂の分子量は、感光層の膜厚や塗工液に用いる溶剤の種類によって適宜選択されるが、粘度平均分子量が3000〜30万であることが好ましく、2万〜20万であることがより好ましい。
【0057】
本発明にかかる電荷発生層においては、必要に応じて、酸化防止剤、光安定剤、熱安定剤等の添加剤を添加することもできる。
【0058】
酸化防止剤としては、具体的には、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、スチレン化フェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3’−t−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデン−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオ−ビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]−メタン、3,9−ビス[2−{3−(−3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等のフェノール系酸化防止剤;
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイミル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,3,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2、4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物等のヒンダードアミン系化合物;
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(β−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール等の有機イオウ系酸化防止剤;
トリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4−ジ−t−ブチル フェニル)−フォスフィート等の有機燐系酸化防止剤
等が挙げられる。
【0059】
有機硫黄系及び有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と呼ばれ、フェノール系又はアミン系酸化防止剤等の1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
【0060】
また、光安定剤としては、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光安定剤;
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル]ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系光安定剤;
2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンゾエート、ニッケルジブチルジチオカルバメート
等が挙げられる。
【0061】
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。本発明の感光体に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、フタル酸等が挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl、CN、NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体が特に好ましい。
【0062】
本発明にかかる電荷輸送層は、電荷輸送材料及び結着樹脂、並びに必要に応じて配合される他の材料を所定の溶剤に分散させて得られる塗工液を、所定の層(導電性基体、下引き層、電荷発生層など)上に塗布し、乾燥させることによって得ることができる。ここで、塗工液中の電荷輸送材料と結着樹脂との配合比(重量比)は10:1〜1:5が好ましい。また、塗工液に用いる溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;アセトン、2−ブタノンなどのケトン類;塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレンなどのハロンゲン化脂肪族炭化水素類;テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどの環状もしくは直鎖状のエーテル類、など有機溶剤の1種を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。さらに、塗工液の塗布方法としては、ブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法などが挙げられる。このようにして得られる電荷輸送層の厚みは好ましくは5〜50μm、より好ましくは10〜30μmである。
【0063】
他方、図4〜5に示す電子写真感光体の単層型感光層に用いる電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂としては、上記の電荷発生層及び電荷輸送層の説明において例示された電荷発生材料、電荷輸送材料及び結着樹脂が挙げられる。また、単層型感光層の成膜工程においては、電荷発生層や電荷輸送層と同様にして塗工液を調製し、その塗工液を塗布し、乾燥させることによって単層型感光層を形成することができる。ここで、電荷発生材料の含有量は、単層型感光層中の固形分全量を基準として10〜80重量%であることが好ましく、20〜50重量%であることがより好ましい。また、電荷輸送材料の含有量は、単層型感光層中の固形分全量を基準として1〜50重量%であることが好ましい。さらに、単層型感光層の厚みは5〜50μmであることが好ましく、10〜40μmであることがより好ましい。
【0064】
本発明の電子写真感光体は、図2,3,5に示すように保護層を備えることが好ましい。例えば金属酸化物を分散した半導電性保護層は、絶縁性樹脂中に半導電性微粒子を分散した層である。半導電性微粒子としては、電気抵抗が109Ω・cm以下で白色、灰色又は青白色を呈する平均粒径0.3μm以下(好ましくは0.1μm以下)の微粒子が適当であり、例えば、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化アンチモン、酸化錫、酸化チタン、酸化インジウム、酸化錫とアンチモンあるいは酸化アンチモンとの固溶体の担体またはこれらの混合物、あるいは単一粒子中にこれらの金属酸化物を混合したものや被覆したものが挙げられる。中でも、酸化錫、酸化錫とアンチモン又は酸化アンチモンとの固溶体は電気抵抗を適切に調節することが可能であり、且つ保護層を実質的に透明にすることが可能であるので、好ましく用いられる。また、分散性向上のためにこれらの粉体面上に他の金属酸化物層やシランカップリング剤などの表面コート層を形成してもよい。絶縁性樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート等の縮合樹脂や、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリビニルブチラールのようなビニル重合体等が挙げられる。
【0065】
表面保護層の膜厚は光透過率が低くならない程度、すなわち15μm以下にすることが好ましく、0.5μm〜9μmがより好ましい。
【0066】
さらに、表面の潤滑性向上のために、表面層としての電荷輸送層若しくは保護層中にテフロンのような離型性固体粒子を含有することも可能である。また、他の表面保護層の例としてポリマー成分中に電荷輸送性機能を織り込んだ高分子電荷輸送剤を用いることや、シリコーンハードコート剤等の強靭なコート剤中に低分子の電荷輸送剤を分子分散させるなどして電荷輸送機能機能をもたせた保護層も可能である。ポリマー成分中に電荷輸送機能を織り込んだ保護層の例としてシリコーンポリマー中に電荷輸送材料機能基を織り込んだ保護層が挙げられる。
【0067】
次に、本発明の画像形成装置について説明する。
【0068】
図8は本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。図6においては、本発明の電子写真感光体1が支持体14によって保持されており、電子写真感光体1は支持体14を中心として矢印の方向に所定の回転速度で回転駆動される。この回転過程において、電源(図示せず)から電圧の供給を受けた帯電部材15により、電子写真感光体1はその周面に正または負の所定電位の均一帯電を受ける。次に、露光手段(画像入力手段)16にて電子写真感光体1が光像露光を受け、電子写真感光体1の周面に露光像に対応した静電潜像が形成される。その後、現像手段17にて静電潜像にトナーを付着させてトナー像が形成され、転写手段18にて前記トナー像が被転写体Pに転写される。トナー像が転写された後の被転写体Pは像定着手段19にて像定着を受けて複写物としてプリントアウトされる。転写工程後の感光体1はクリーニング手段20にてその周面に残存したトナーの除去を受けて清浄面化されて繰り返して像形成に使用される。
【0069】
ここで、本発明にかかる帯電手段としては、例えばローラー状、ブラシ状、フィルム状又はピン電極状の導電性又は半導電性の帯電部材を用いた接触型帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン帯電器やコロトロン帯電器などの非接触型帯電器などが挙げられる。なお、従来の画像形成装置においては、帯電手段として接触型帯電機を用いた場合に接触帯電装置における電流の異常リークに相当する画質欠陥や、塗膜の濃淡むらに対応する濃度むらが発生しやすかったが、本発明の画像形成装置においては、帯電手段として接触型帯電器を用いた場合であっても、画質欠陥や濃度むらの発生を十分に防止することができ、長期にわたって十分に良好な画像品質を得ることが可能となる。
【0070】
本発明にかかる接触型帯電器としてローラー状帯電部材を備えるものを用いる場合、ローラー状帯電部材を電子写真感光体に接触させることによって、駆動手段を設けることなくローラー状帯電部材を電子写真感光体と同じ周速度で回転させることができる。また、ローラー状帯電部材に所定の駆動手段を取り付け、電子写真感光体の周速度と異なる周速度で回転させても良い。ローラー状帯電部材の芯材としては、鉄、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム、ニッケルなどの導電性を有する材料や、導電性粒子等を分散した樹脂成形品などを用いることができる。また、ローラー状帯電部材の弾性層の材料としては、EPDM、ポリブタジエン、天然ゴム、ポリイソブチレン、SBR、CR、NBR、シリコンゴム、ウレタンゴム、エピクロルヒドリンゴム、SBS、熱可塑性エラストマー、ノルボーネンゴム、フロロシリコーンゴム、エチレンオキシドゴムなどのゴム材に、カーボンブラック、亜鉛、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、クロム、チタニウムなどの金属、ZnO−Al23、SnO2−Sb23、In23−SnO2、ZnO−TiO2、MgO−Al23、FeO−TiO2、TiO2、SnO2、Sb23、In23、ZnO、MgOなどの金属酸化物、などの導電性粒子あるいは半導電性粒子を分散した材料が好ましく用いられる。さらに、ローラー状帯電部材の抵抗層及び保護層の材料としては、上記の導電性粒子あるいは半導電性粒子をアクリル樹脂、セルロース樹脂、ポリアミド樹脂、メトキシメチル化ナイロン、エトキシメチル化ナイロン、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリチオフェン樹脂、PFA、FEP、PETなどのポリオレフィン樹脂、スチレンブタジエン樹脂に分散し、その抵抗を制御したものが好ましく用いられる。なお、抵抗層及び保護層の抵抗率は、好ましくは103〜1014Ωcm、より好ましくは106〜1012Ωcm、さらに好ましくは107〜1012Ωcmである。また、抵抗層及び保護層の膜厚はそれぞれ好ましくは0.01〜1000μm、より好ましくは0.1〜500μm、さらに好ましくは0.5〜100μmである。さらに、抵抗層及び保護層には、必要に応じてヒンダードフェノール、ヒンダードアミン等の酸化防止剤、クレー、カオリン等の充填剤や、シリコーンオイル等の潤滑剤を添加することができる。これらの層を形成する手段としてはブレードコーティング法、マイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等を用いることができる。
【0071】
上記の接触型帯電器を用いて電子写真感光体を帯電させる場合、ローラー状帯電部材に電圧が印加されるが、印加電圧は直流電圧又は直流電圧に交流電圧を重畳したものが好ましい。電圧の範囲としては、直流電圧は要求される感光体帯電電位に応じて正または負の50〜2000Vであることが好ましく、100〜1500Vであることがより好ましい。他方、直流電圧に交流電圧を重畳する場合は、ピーク間電圧が400〜1800Vであることが好ましく、800〜1600Vであることがより好ましく、1200〜1600Vであることがさらに好ましい。また、重畳する交流電圧の周波数は好ましくは50〜20000Hz、より好ましくは100〜5000Hzである。
【0072】
また、露光手段としては、前記電子写真感光体表面に、半導体レーザー、LED(light emitting diode)、液晶シャッターなどの光源を所望の像様に露光できる光学系装置など;
現像手段としては、一成分系、ニ成分系などの正規または反転現像剤を用いた従来より公知の現像手段など;
転写装置としては、ベルト、ローラー、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器など、が挙げられる。
【0073】
なお、図8には示していないが、本発明の画像形成装置は中間転写手段を備えるものであってもよい。本発明にかかる中間転写手段としては、導電性基体上にゴム、エラストマー、樹脂などを含む弾性層と少なくとも1層の被服層とが積層された構造を有するものを使用することができ、その材料としては使用される材料は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素樹脂等の樹脂に対して、導電性のカーボン粒子や金属粉等を分散混合させたもの等があげられる。また、前記中間転写手段の形状としては、ローラー状、ベルト状などが挙げられる。
【0074】
さらに、本発明においては、上記本発明の電子写真感光体と、帯電手段、現像手段及びクリーニング手段からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を備える本発明のプロセスカートリッジを用いることによって、プロセスカートリッジが備える所定の手段と電子写真装置との脱着作業を効率且つ確実に行うことが可能となる。
【0075】
【実施例】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0076】
実施例1
(導電性基体のセンタレス研削)
アルミニウム合金A6063からなる外径30.15mm、肉厚1.0mm、長さ400mmの素管について以下の条件でスルーフィード方式のセンタレス研削を行い、表面粗度3μmの導電性基体を得た。
研削盤:KC400(光洋機械工業(株)社製)
研削砥石:UB220砥石(日本特殊研砥社製)
砥石回転数:1000rpm
粗研削量:0.12mm
粗研削送り速度:1.0m/min
精研削量:0.03mm
精研削送り速度:1.0m/min。
【0077】
(電子写真感光体の作製)
ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)6重量部、ブロック化イソシアネート(スミジュール3175、住友バイエルンウレタン社製)12重量部、酸化亜鉛微粒子(Nano Tec ZnO、シーアイ化成社製、平均一次粒径:30nm、アークプラズマ法により製造)41重量部、シリコーンボール(トスパーズ130、東芝シリコーン社製)1重量部、シリコーンオイル(SH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)100ppm及びメチルエチルケトン52重量部を混合してバッチ式ミルにて10時間分散処理を行い、塗工液を得た。この塗工液を浸漬塗布法にて上記の導電性基体上に塗布し、150℃で30分乾燥して膜厚20μmの下引き層を成膜した。
【0078】
次に、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4°、16.6°、25.5°、28.3°の位置に回折ピークを有する塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10部、n−ブチルアルコール300部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を成膜した。
【0079】
更に、N−N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン4重量部、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)6重量部、クロルベンゼン80重量部を混合して塗工液を調製し、その塗工液を上記の電荷発生層上に塗布し、130℃で40分乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を成膜した。
【0080】
このようにして得られた電子写真感光体について帯電電位、光減衰後の電位、残留電位を測定したところ、優れた電気特性を有することが確認された。
【0081】
また、得られた電子写真感光体を用いて図8に示す画像形成装置(帯電手段:接触帯電方式)を作製し、1万枚連続プリント試験を行った。その結果を表1に示す。実施例1においては、1万枚プリント時にリーク欠陥の発生は認められず、画像むらのない良好な画像品質が得られた。
【0082】
比較例1
下引き層の材料としてポリアミド樹脂(ラッカマイド5003、大日本インキ化学社製)を用い、下引き層の膜厚を1μmとしたこと以外は実施例1と同様にして電子写真感光体を作製した。得られた電子写真感光体においては、導電性基体を研削したときのむしれに由来する塗膜欠陥や、研削痕に対応した塗膜の濃淡むらが認められた。
【0083】
得られた電子写真感光体を用いて実施例1と同様の画像形成装置を作製し、1万枚連続プリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。得られた印刷物には、接触帯電装置における電流の異常リークに相当する画質欠陥や、塗膜の濃淡むらに対応する濃度むらが認められた。
【0084】
実施例2〜4、比較例2〜7
実施例2〜4及び比較例2〜7においては、導電性基体の表面粗度及び下引き層の膜厚を表1に示す通りとしたこと以外は実施例1と同様にして、電子写真感光体を作製した。
【0085】
得られた電子写真感光体を用いて実施例1と同様の画像形成装置を作製し、1万枚連続プリント試験を行った。その結果を表1に示す。実施例2〜4においては、いずれも1万枚プリント時にリーク欠陥の発生は認められず、画像むらのない良好な画像品質が得られた。これに対して、比較例2〜7においては、リーク欠陥や画像むらの発生が認められた。
【0086】
実施例5
(導電性基体のセンタレス研削)
【0087】
アルミニウム合金A6063からなる外径30.15mm、肉厚1.0mm、長さ400mmの素管について以下の条件でインフィード方式のセンタレス研削を行い、表面粗度6μmの導電性基体を得た。
研削盤:KC400(光洋機械工業(株)社製)
研削砥石:GC120F砥石(ノリタケ社製)
砥石回転数:1000rpm
研削量:0.15mm
送り速度:5μm/sec。
【0088】
(電子写真感光体の作製)
レゾール型フェノール樹脂(フェノライト5592、大日本インキ化学社製)30重量部、酸化チタン(真空冶金社製、平均一次粒径:30nm)52重量部、シリコーンオイル(SH29PA、東レダウコーニングシリコーン社製)0.1重量部及びメチルイソブチルケトン33重量部を混合してバッチ式ミルにて5時間分散処理を行い、塗工液を得た。この塗工液を浸漬塗布法にて上記の導電性基体上に塗布し、150℃で30分乾燥して膜厚20μmの下引き層を成膜した。
【0089】
次に、CuKα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°、28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15重量部、ブチラール樹脂(BM−1、積水化学社製)10部、n−ブチルアルコール300部からなる混合物をサンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引き層上に浸漬塗布し、乾燥して膜厚0.2μmの電荷発生層を成膜した。
【0090】
更に、ジ(3,4−ジメチルフェニル)(4−フェニルフェニル)アミン2重量部、N−N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン2重量部、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量:4万)6重量部、テトラヒドロフラン80重量部、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.2重量部を混合して塗工液を調製し、その塗工液を上記の電荷発生層上に塗布し、130℃で40分乾燥して膜厚25μmの電荷輸送層を成膜した。
【0091】
このようにして得られた電子写真感光体について帯電電位、光減衰後の電位、残留電位を測定したところ、優れた電気特性を有することが確認された。
【0092】
また、得られた電子写真感光体を用いて図8に示す画像形成装置(帯電手段:接触帯電方式)を作製し、1万枚連続プリント試験を行った。その結果を表1に示す。実施例5においては、1万枚プリント時にリーク欠陥の発生は認められず、画像むらのない良好な画像品質が得られた。
【0093】
比較例8
ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)4重量部を溶解したn−ブチルアルコール170重量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物(γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン)3重量部を混合し、攪拌し、下引き層形成用の塗布液を得た。この下引き層形成用の塗工液を、実施例5と同様にして得られた導電性基体上に塗布し、室温で5分間風乾を行った後、50℃で7分間加熱し、更に50℃で85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れ、10分間、加湿硬化促進処理を行った後、熱風乾燥機に入れて135℃で10分間乾燥を行い下引層を得た。
【0094】
次に、実施例5と同様にして電荷発生層、電荷輸送層を順次成膜し、目的の電子写真感光体を得た。得られた電子写真感光体上においては、導電性基体を研削したときのむしれに由来する塗膜欠陥や、研削痕に対応した塗膜の濃淡むらが認められた。
【0095】
得られた電子写真感光体を用いて実施例1と同様の画像形成装置を作製し、1万枚連続プリント試験を行った。得られた結果を表1に示す。得られた印刷物には、接触帯電装置における電流の異常リークに相当する画質欠陥や、塗膜の濃淡むらに対応する濃度むらが認められた。
【0096】
【表1】
Figure 0003899839
【0097】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明の電子写真感光体は、センタレス研削が施された導電性基体を後処理を施さずにそのまま用いた場合であっても、画像欠陥の発生を十分に防止することができ、安価に且つ確実に製造可能でありしかも光電特性に優れたものである。従って、本発明の電子写真感光体、並びにそれを用いた本発明の画像形成装置は、製造コストの低減と画像品質の向上とを達成する上で非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の好適な一実施形態を示す模式断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図4】本発明の電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図5】本発明の電子写真感光体の他の好適な実施形態を示す模式断面図である。
【図6】スルーフィード方式により導電性基体にセンタレス研削処理を施すときの状態を示す説明図である。
【図7】インフィード方式により導電性基体にセンタレス研削処理を施すときの状態を示す説明図である。
【図8】本発明の画像形成装置の好適な一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…電子写真感光体、2…導電性基体、3…感光層、4…下引き層、5…電荷発生層、6…電荷輸送層、7…保護層、8…単層型感光層、11…ブレード、12…送りロール、13、13’…研削ロール、14…支持体、15…帯電手段、16…画像入力手段、17…現像手段、18…転写手段、19…像定着手段、20…クリーニング手段。

Claims (4)

  1. センタレス研削処理が施された導電性基体と、金属酸化物微粒子を含有する下引き層と、感光層とが順次積層された電子写真感光体であって、
    前記金属酸化物微粒子が、アークプラズマ方式により得られるものであり、前記導電性基体の表面粗度が1〜15μmであり、且つ前記下引き層の膜厚が前記表面粗度の2倍以上であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記金属酸化物微粒子が酸化亜鉛微粒子であることを特徴とする、請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記金属酸化物微粒子の平均一次粒径が100nm以下であることを特徴とする、請求項1又は2記載の電子写真感光体。
  4. 請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体を帯電させるための帯電手段と、
    前記電子写真感光体上に静電潜像を形成するための画像入力手段と、
    前記静電潜像をトナーにより現像してトナー像を形成するための現像手段と、
    前記トナー像を被転写体に転写するための転写手段と、
    を備えることを特徴とする画像形成装置。
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