JP3829628B2 - 電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置 - Google Patents

電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置に関し、より詳細には画質欠陥が少なく、繰り返し特性が安定した電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真装置は、高速でかつ高品質の印字が得られるため、複写機およびレーザービームプリンター等に広く利用されている。電子写真装置が備える感光体としては、有機の光導電性材料を用いた有機感光体が主流となっており、感光体の構成も電荷移動型錯体構造や電荷発生材料を結着樹脂中に分散した機能分離型の感光体へと変遷し性能が向上している。
【0003】
ところで、近年、感光体を帯電させるための帯電装置として、コロトロン帯電装置による非接触方式の帯電装置に替わって、オゾン発生が少なく環境問題の観点で優れている接触帯電装置が盛んに用いられるようになってきている。しかし、接触帯電装置を用いた場合、感光体に加わるトータルの電流量が多くなるため、感光体の劣化が激しくなり、感光層の摩耗がコロトロンの場合に比べて数倍以上多くなるという問題がある。
【0004】
かかる問題に鑑み、感光体の寿命向上を図るべく、強度の高い表面を有する感光体の研究が盛んになされている。例えば、感光層の上に強度の高い保護層を設けて、感光体自体の強度を向上させることが行われる。しかしながら、単に高分子材料成分にのみに依存して保護層を形成していたのでは、感光体自体の強度の向上に限界があった。すなわち、熱可塑性の高分子成分のみで形成される保護層では、接触帯電時の過大な電流によりポリマーの主鎖は切断されてしまい、コロトロンに対して強靭な耐摩耗特性を有するような材料であっても、接触帯電装置を用いたシステムにおいては、従来の材料に比べて何ら効果を示さないことが通例であった。
【0005】
そこで、樹脂中に導電性フィラーを混合した保護層を設けて、感光体自体の強度の向上を図ることが行われる(特開平10−312139号公報など)。架橋型の高分子中に導電性粒子を分散したフィラー分散型の保護層においては、架橋された高分子の劣化は少なく、また劣化を生じてもフィラー材料の硬度により塗膜としての強度が保たれるため、接触帯電装置を用いても強靭な耐摩耗性を維持することが可能である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、単なる導電性粒子を分散した保護層を有する上記従来の感光体では、接触帯電装置を用いた場合に、接触帯電装置と感光体表面との間で直接的な導電路を形成し易くなり、局所的な過剰電流を生じて異常放電により感光体中でリーク現象が起きて画質の低下を招くことがあった。特に、導電性粒子の分散むらがある場合には、粒子の凝集部分に電場が集中してリークの引き金となる場合が多かった。
【0007】
そこで本発明は、耐摩耗性の向上を図ると共に、耐リーク性の向上を図って画質の低下を抑制することが可能な電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者は、上記目的を達成するため、従来の電子写真感光体について、特に保護層に含有される金属酸化物微粒子に着目して鋭意検討を行った。
【0009】
従来の電子写真感光体では、例えば酸化亜鉛、酸化チタンなどの保護層に含まれる金属酸化物微粒子としては、以下のようにして製造されたものを使用している。すなわち、酸化亜鉛は、JIS K1410に記載されているように、大別して間接法(フランス法)、または直接法(アメリカ法)により製造されたものが従来より用いられている。間接法(フランス法)は、金属亜鉛を1000℃に加熱し、亜鉛の蒸気を熱空気によって酸化する。そして、生成した酸化亜鉛を送風機において空気冷却機を通じて冷却し、粒子の大きさによって分別する。直接法(アメリカ法)は、亜鉛鉱石を培焼することによって得られる酸化亜鉛を石炭などで還元し、生じた亜鉛の蒸気を熱空気によって酸化するか、又は、亜鉛鉱石を硫酸で浸出した鉱宰にコークスなどを加えたものを電気炉で亜鉛を溶かして熱空気によって酸化する。これを間接法と同様に処理する。この他、亜鉛の塩酸溶液をアルカリ溶液で沈殿させてできた塩基性炭酸亜鉛を培焼する湿式製法もある。
【0010】
また酸化チタンは、通常工業生産に使用されている製法として、硫酸法、または塩素法により製造されたものが従来より用いられている。硫酸法は、基本工程として鉱石を硫酸と反応させ硫酸塩溶液を作り、溶液の清澄、加水分解による含水酸化チタンの沈殿、含水酸化チタンの洗浄、焼成、粉砕・表面処理する工程よりなる。また塩素法は、鉱石の塩素化により四塩化チタン液を作製し、その後精留、酸素による燃焼を行い酸化チタンにして粉砕・後処理を加える。この他、酸化チタンの製法として、弗酸法、塩化チタンカリウム法、四塩化チタン水溶液法などがある。
【0011】
しかしながら、上記した方法により生成される従来の金属酸化物微粒子は、粒径が0.2〜0.4μm程度であり、粒径が極めて大きく、またバインダ樹脂への分散が十分でないことを見出した。そして、このことが短絡的な電流の流れを作り、異常放電によるリーク欠陥を生じさせる一因であると推測された。
【0012】
これに対し、プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子は、平均粒径が従来のものよりも小さく、また粒形が比較的揃った晶癖の微粒子であり、バインダ樹脂への分散性が極めて良好であることが分かった。そして、この金属酸化物微粒子をバインダ樹脂に添加して保護層を形成することで、リーク欠陥などの問題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明に係る電子写真感光体は、(1)導電性基材と、(2)導電性基材上に設けられた感光層と、(3)感光層上に設けられており、プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子をバインダ樹脂中に含む保護層と、を備えることを特徴とする。
【0014】
この電子写真感光体の保護層は、バインダ樹脂中にプラズマ法により生成された金属酸化物微粒子を含んでいる。この金属酸化物微粒子は分散性に優れるため、凝集によるリーク回路が形成されにくい。またこの金属酸化物微粒子は、従来のものよりも粒径が小さいため、電荷が流れるためには多くの金属酸化物微粒子を導電路として通過する必要がある。その結果、短絡的な電流の流れを抑制して、過剰なリーク電流の発生を抑制することができる。
【0015】
また本発明に係る電子写真感光体では、金属酸化物微粒子の平均粒径は100nm以下であることを特徴としてもよい。このように、プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子は、平均粒径を100nm以下とすることができ、各金属酸化物微粒子の間にバインダ樹脂を多く存在させることができる。
【0016】
また本発明に係る電子写真感光体では、金属酸化物微粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化錫の少なくともいずれかを含むと好ましい。保護層は、耐リーク性を得るために適切な抵抗値にすると好ましく、抵抗値を108〜1014Ω・cmとすると好適である。抵抗値が低すぎると電荷の沿面流れにより画像ぼけや解像度の低下を生じる傾向にあり、抵抗値が高すぎると残留電位の上昇を引き起こす傾向にある。保護層の抵抗値は、金属酸化物微粒子の粉体抵抗と、それに応じてバインダ樹脂中への添加量を制御することにより調整することができる。このことから、金属酸化物微粒子の粉体抵抗値は102〜1011Ω・cmとすると好適であり、104〜1010Ω・cmとするとより好適である。よって、上記のように金属酸化物微粒子として酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化錫の少なくともいずれかを含むことで、保護層の抵抗値を上記範囲内に容易に設定することができる。
【0017】
また本発明に係る電子写真感光体において、保護層は、感光層としての機能をも有することを特徴としてもよい。
また本発明に係る電子写真感光体において、保護層のビッカース硬度を30以上とすると好ましい。このようにすれば、接触帯電時の電流リークの一因となる外部からの異物の貫入が抑制されると共に、耐摩耗性も向上されて感光体の耐久性が高くなる。
【0018】
また本発明に係る電子写真感光体において、保護層の膜厚は0.1μm〜20μmとすると好ましい。保護層の膜厚が0.1μmより薄いときは、外部から導電性の異物が貫入し易くなり、耐リーク性が低下する傾向にある。一方、膜厚が20μmよりも厚いときは成膜が困難となり、また残留電荷の増加による画質低下を生じやすくなる。
【0019】
本発明に係る電子写真装置は、(1)上記したいずれかの構成の電子写真感光体と、(2)電子写真感光体上に帯電を行うための接触帯電装置と、を備えることを特徴とする。
【0020】
接触帯電装置は、非接触型の帯電装置よりもオゾンの発生を抑制することができる。ところが、接触型の帯電装置を用いた場合は、非接触型の帯電装置よりも高い電圧が感光体に接触し直接印加されるため、導電性の異物が電子写真感光体に貫入したときにリーク電流が発生しやすくなる。しかし、この電子写真装置は上記した本発明に係る感光体を備えているため、リーク電流の発生が抑制されている。このため、オゾンの発生を抑制しつつ、リーク電流による画質欠陥がほとんど無い画像を形成することができる。
【0021】
本発明に係る電子写真感光体の製造方法は、(1)導電性基材を準備する工程と、(2)導電性基材上に感光層を形成する工程と、(3)プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子を含む樹脂を用いて、感光層上に保護層を形成する工程と、を含むことを特徴とする。
【0022】
この電子写真感光体の製造方法では、プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子を含む樹脂を用いて保護層を形成している。プラズマ法により生成される金属酸化物微粒子は分散性に優れるため、凝集によるリーク回路が形成されにくい。またこの金属酸化物微粒子は、従来のものよりも粒径が小さいため、電荷が流れるためには多くの金属酸化物微粒子を導電路として通過する必要がある。その結果、この方法により製造される電子写真感光体では、短絡的な電流の流れを抑制して、過剰なリーク電流の発生を抑制することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明に係る電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置の好適な実施形態について説明する。尚、図面において同一の要素には同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
【0024】
図1は、本実施形態に係る複写機(電子写真装置)1を示す概略構成図である。また図2は、本実施形態に係る感光体ドラム(電子写真感光体)28の構造を示す斜視図である。また図3は、本実施形態に係る感光体ドラム28の積層構造を模式的に示す部分断面図である。
【0025】
図1に示すように、複写機1は、主に複写機本体14と、この複写機本体14の上面に設置されたプラテンガラス16を開閉自在に覆う自動原稿搬送装置18と、から構成されている。
【0026】
複写機本体14は、自動原稿搬送装置18を開いてプラテンガラス16上に載置された固定原稿の画像を読み取り、電気的な画像信号に変換する原稿読取部20と、この原稿読取部20から受信した画像信号に基づいて用紙に可視像を形成する画像形成部22と、この画像形成部22に対して用紙を供給する複数の給紙トレイ34とを有している。
【0027】
原稿読取部20は、内部に収容するCCDによって原稿のカラー画像情報をR(赤色),G(緑色),B(青色)のアナログ信号として読み取った後、当該信号に基づいて、K(黒色),Y(イエロー),M(マゼンダ),およびC(シアン)のカラー画像データを生成する。
【0028】
画像形成部22は、主に原稿読取部20からのカラー画像データに基づいて変調されたレーザビームを出力する露光装置24と、帯電装置26により帯電された後に前記レーザビームにより露光される感光体ドラム28と、この露光により感光体ドラム28上に形成された静電潜像をトナー像に現像するロータリー式の現像装置30と、感光体ドラム28上に形成されたトナー像が一次転写位置T1にて一次転写される無端の中間転写ベルト32を含む中間転写体ユニット40と、中間転写ベルト32に一次転写されたトナー像を給紙トレイ34から供給された用紙に二次転写位置T2にて二次転写する二次転写ユニット50と、用紙に二次転写された未定着トナー像を当該用紙に定着させる定着装置39とを有している。
【0029】
画像形成部22の露光装置24としては、半導体レーザー光、LED光、液晶シャッター光等の光源を、所望の像様に露光できる光学系等が特に制限されることなく用いられる。光源の波長も感光体ドラムの分光感度に適したものであれば、可視光、赤外光を問わない。
【0030】
帯電装置26としては、本実施形態では導電性または半導電性のローラ、ブラシ、フィルム、ゴム、ブレード等を用いた接触型帯電装置が用いられる。もちろん、非接触型の帯電装置も用ることができる。また、帯電装置26には、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加すると好ましい。感光体ドラム28が負帯電極性の場合は、帯電装置26によって通常−300〜−1000Vに帯電される。また、帯電部材として、イオン導電性、電子伝導性など適当な抵抗が得られるあらゆる材質のものを用いることができる。
【0031】
現像装置30は、回転軸30o周囲に装着されたK,Y,M,Cの4色の現像器30K,30Y,30M,30Cを有しており、回転軸30oの回転に伴って各4色の現像器30K,30Y,30M,30Cが順次感光体ドラム28に対向するように構成されている。各現像器30K,30Y,30M,30Cは、感光体ドラム28に形成された静電潜像をK,Y,M,Cの各色のトナー像に現像する。また、トナー剤として、磁性若しくは非磁性の一成分系現像剤又は二成分系現像剤を用いることができる。さらに、現像装置30は、正規現像タイプ又は反転現像タイプの何れでもよい。
【0032】
現像装置30による現像工程をより具体的に説明すると、以下の通りである。まず、4つの現像器の内の現像器30Kにより、ブラックトナーによる現像が行われる。次に、現像装置30が回転し、現像器30Yが感光体ドラム28に対向する位置に移動する。そしてこの現像器30Yにより、イエロートナーによる現像が行われる。次に、現像装置30が回転し、現像器30Mが感光体ドラム28に対向する位置に移動する。そしてこの現像器30Mにより、マゼンタトナーによる現像が行われる。次に、現像装置30が回転し、現像器30Cが感光体ドラム28に対向する位置に移動する。そしてこの現像器30Cにより、シアントナーによる現像が行われる。この結果、4色のトナーによる重畳転写が行われ、目的のカラー画像に対応した合成カラートナー像が感光体ドラム28上に形成される。
【0033】
なお、以上の4色での現像は1色ごとに独立して行われ、該1色についての現像が行われている間は他の色による現像は行われていないので、該1色についての現像は他の色の現像器の影響を受けることはない。具体的には、目的の画像の第1の色成分像(例えばブラック成分像)に対応した静電潜像がまず形成される。次いで、現像器30Kによりその静電潜像がブラックトナーで現像される。この時、他の現像器30Y,30M,30Cは、オフ状態になっているので感光体ドラム28には作用せず、ブラックトナーによる現像像は他の現像器30Y,30M,30Cの影響を受けない。
【0034】
感光体ドラム28は、図2に示すように、円筒形状の導電性基材71と、導電性基材71上に形成された下引層72と、下引層72上に形成された感光層73と、感光層73上に形成された保護層76とを備えている。そして、感光層73は電荷発生層74と電荷輸送層75とを有している。
【0035】
この感光体ドラム28は、以下のように製造することができる。
【0036】
まず、導電性基材71を準備する。導電性基材71としては、アルミニウム、銅、鉄、ステンレス、亜鉛、ニッケルなどの金属ドラムを用いることができる。或いは、シート、紙、プラスチック、ガラスなどの上にアルミニウム、銅、金、銀、白金、パラジウム、チタン、ニッケルークロム、ステンレス鋼、銅−インジウム等の金属を蒸着したドラムや、酸化インジウム・酸化錫などの導電性金属化合物を蒸着したドラムを用いることができる。或いは、シート、紙、プラスチック、ガラスなどの上に金属箔をラミネートしたドラムや、カーボンブラック、酸化インジウム、酸化錫−酸化アンチモン粉、金属粉、沃化銅等を結着樹脂に分散したものを塗布して導電処理したドラムを用いることができる。
【0037】
ここで、導電性基材71の形状はドラム状に限られず、シート状、プレート状としてもよい。なお、導電性基材71を金属パイプとした場合、表面は素管のままであってもよいし、事前に鏡面切削、エッチング、陽極酸化、粗切削、センタレス研削、サンドブラスト、ウエットホーニングなどの処理を施してもよい。
【0038】
次に、図2及び図3に示すように、導電性基材71の上に下引層72を形成する。この下引き層72は、感光層73を塗布する際の濡れ性の改善や、ブロッキング性の強化を図る機能を有する。
【0039】
下引層72は、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などの高分子樹脂化合物のほかに、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウム、マンガン、シリコン原子などを含有する有機金属化合物などによって形成することができる。これらの化合物は、単独にあるいは複数の化合物の混合物あるいは重縮合物として用いることができる。中でも、ジルコニウム、もしくはシリコンを含有する有機金属化合物は、残留電位が低く環境による電位変化が少なく、また繰り返し使用による電位の変化が少ないなど性能上優れている。
【0040】
シリコン化合物としては、例えばビニルトリメトキシシラン、γ-メタクリルオキシプロピル-トリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルメトキシシラン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-クロルプロピルトリメトキシシランなどが挙げられる。これらのなかでも特に好ましく用いられるシリコン化合物としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシシラン)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリメトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
【0041】
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセト酢酸エチル、ジルコニウムトリエタノールアミン、アセチルアセトネートジルコニウムブトキシド、アセト酢酸エチルジルコニウムブトキシド、ジルコニウムアセテート、ジルコニウムオキサレート、ジルコニウムラクテート、ジルコニウムホスホネート、オクタン酸ジルコニウム、ナフテン酸ジルコニウム、ラウリン酸ジルコニウム、ステアリン酸ジルコニウム、イソステアリン酸ジルコニウム、メタクリレートジルコニウムブトキシド、ステアレートジルコニウムブトキシド、イソステアレートジルコニウムブトキシドなどが挙げられる。
【0042】
有機チタン化合物としては、テトライソプロピルチタネート、テトラノルマルブチルチタネート、ブチルチタネートダイマー、テトラ(2-エチルヘキシル)チタネート、チタンアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンラクテートアンモニウム塩、チタンラクテート、チタンラクテートエチルエステル、チタントリエタノールアミネート、ポリヒドロキシチタンステアレートなどが挙げられる。
【0043】
有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムイソプロピレート、モノブトキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムブチレート、ジエチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)などが挙げられる。
【0044】
下引き層72は、上層の濡れ性改善の他に、電気的なブロキング層の役割も果たすが、膜厚が大きすぎる場合には電気的な障壁が強くなりすぎて、減感や繰り返しによる電位の上昇を引き起こす。したがって、下引層72を形成する場合には、0.1〜3μmの膜厚範囲に設定すると好ましい。尚、下引き層72は必ずしも設ける必要はない。
【0045】
次に、下引き層72の上に感光層73を形成する。感光層73の形成では、まず下引き層72の上に電荷発生層74を形成する。電荷発生層74は、電荷発生物質を真空蒸着により形成するか、有機溶剤及び結着樹脂とともに分散し塗布することにより形成される。
【0046】
電荷発生物質としては、非晶質セレン、結晶性セレン、セレン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、その他のセレン化合物及びセレン合金、酸化亜鉛、酸化チタン等の無機系光導電体、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、銅フタロシアニン、錫フタロシアニン、ガリウムフタロシアニンなどの各種フタロシアニン顔料、スクエアリウム系、アントアントロン系、ペリレン系、アゾ系、アントラキノン系、ピレン系、ピリリウム塩、チアピリリウム塩等の各種有機顔料及び染料が用いられる。また、これらの有機顔料は一般に数種の結晶型を有しており、特にフタロシアニン顔料ではα型、β型などをはじめとしてさまざまな結晶型が知られているが、目的にあった感度その他の特性が得られる顔料であるならば、これらのいずれの結晶型でも用いることができる。
【0047】
本実施形態において、特に優れた性能が得られる電荷発生材料として以下の化合物が挙げられる。
【0048】
(1)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.4°,16.6°,25.5°,28.3°の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるクロルガリウムフタロシアニン。
【0049】
(2)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5゜,9.9゜,12.5゜,16.3゜,18.6゜,25.1゜,28.1゜の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるヒドロキシガリウムフタロシアニン。
【0050】
(3)電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも9.5゜,11.7゜,15.0゜,24.1゜,27.3゜の位置に回折ピークを有する結晶型に代表されるチタニルフタロシアニン。
【0051】
電荷発生層74に於ける結着樹脂としては、ビスフェノールAタイプあるいはビスフェノールZタイプのポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン-ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニリデン-アクリルニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコン-アルキド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、スチレン-アルキッド樹脂、ポリ-N-ビニルカルバゾールなどが挙げられる。
【0052】
これらの結着樹脂は、単独あるいは2種以上混合して用いることが可能である。電荷発生材料と結着樹脂との配合比(重量比)は、10:1〜1:10の範囲が望ましい。また、電荷発生層74の厚みは、一般には0.01〜5μm、好ましくは0.05〜2.0μmの範囲に設定される。
【0053】
電荷発生材料を樹脂中に分散させる方法としては、ロールミル、ボールミル、振動ボールミル、アトライター、ダイノーミル、サンドミル、コロイドミルなどの方法を用いることができる。
【0054】
次に、電荷発生層74の上に電荷輸送層75を形成する。電荷輸送層75に用いられる電荷輸送物質としては、2,5-ビス(p-ジエチルアミノフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールなどのオキサジアゾール誘導体、1,3,5-トリフェニル-ピラゾリン、1-[ピリジル-(2)]-3-(p-ジエチルアミノスチリル)-5-(p-ジエチルアミノスチリル)ピラゾリンなどのピラゾリン誘導体、トリフェニルアミン、トリ(P-メチル)フェニルアミン、N,N-ビス(3,4-ジメチルフェニル)ビフェニル-4-アミン、ジベンジルアニリン、9,9-ジメチル-N,N-ジ(p-トリル)フルオレノン-2-アミンなどの芳香族第3級アミノ化合物、N,N‘-ジフェニル-N,N‘-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1-ビフェニル]-4,4‘-ジアミンなどの芳香族第3級ジアミノ化合物、3-(4‘ジメチルアミノフェニル)-5,6-ジ-(4‘-メトキシフェニル)-1,2,4-トリアジンなどの1,2,4-トリアジン誘導体、4-ジエチルアミノベンズアルデヒド-1,1-ジフェニルヒドラゾン、4-ジフェニルアミノベンズアルデヒド-1,1-ジフェニルヒドラゾン、[p-(ジエチルアミノ)フェニル](1-ナフチル)フェニルヒドラゾン、1−ピレンジフェニルヒドラゾン、9−エチル−3−[(2メチル−1−インドリニルイミノ)メチル]カルバゾール、4−(2−メチル−1−インドリニルイミノメチル)トリフェニルアミン、9−メチル−3−カルバゾールジフェニルヒドラゾン、1,1−ジ−(4,4’−メトキシフェニル)アクリルアルデヒドジフェニルヒドラゾンなどのヒドラゾン誘導体、2-フェニル-4-スチリル-キナゾリンなどのキナゾリン誘導体、6-ヒドロキシ-2,3-ジ(p-メトキシフェニル)-ベンゾフランなどのベンゾフラン誘導体、p-(2,2-ジフェニルビニル)-N,N-ジフェニルアニリンなどのα-スチルベン誘導体、エナミン誘導体、N-エチルカルバゾールなどのカルバゾール誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾールおよびその誘導体などの正孔輸送物質が挙げられる。或いは、クロラニル、ブロモアニル、アントラキノン等のキノン系化合物、テトラシアノキノジメタン系化合物、2,4,7-トリニトロフルオレノン、2,4,5,7-テトラニトロ-9-フルオレノン等のフルオレノン化合物、2-(4-ビフェニル)-5-(4-t-ブチルフェニル)-1,3,4-オキサジアゾールや2,5-ビス(4-ナフチル)-1,3,4-オキサジアゾール、2,5-ビス(4-ジエチルアミノフェニル)1,3,4オキサジアゾールなどのオキサジアゾール系化合物、キサントン系化合物、チオフェン化合物、3,3',5,5'テトラ-t-ブチルジフェノキノン、3,5−ジメチル-3',5'−ジ−t−ブチル-4,4'−ジフェノキノン等のジフェノキノン化合物などの電子輸送物質が挙げられる。或いは、以上に示した化合物からなる基を主鎖又は側鎖に有する重合体などが挙げられる。これらの電荷輸送材料は、1種又は2種以上を組み合せて使用することができる。
【0055】
本実施形態に係る感光体ドラム28のような積層型の感光体では、電荷輸送材料の電荷輸送極性により感光体の帯電極性が異なる。正孔輸送物質を用いた場合には感光体は負帯電で用いられ、電子輸送物質を用いた場合には正帯電で用いられる。両者を混合した場合には両帯電極性の感光体とすることが可能である。
【0056】
電荷輸送層75に用いられる結着樹脂には任意のものを用いることができるが、特に電荷輸送材料と相溶性を有し適当な強度を有することが望ましい。
【0057】
バインダー樹脂としては、ビスフェノールAやビスフェノールZ,ビスフェノールC,ビスフェノールTPなどからなる各種のポリカーボネート樹脂やその共重合体、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンアルキッド樹脂、フェノールーホルムアルデヒド樹脂、スチレン−アクリル共重合体樹脂、アチレン−アルキッド樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は単独あるいは2種以上の混合物として使用することができる。
【0058】
本実施形態で用いられる重合体の分子量は、感光層73の膜厚や溶剤などの成膜条件によって適宜選択されるが、通常は粘度平均分子量で3000〜30万、より好ましくは2万〜20万の範囲が適当である。
【0059】
電荷輸送層75は、上記した電荷輸送物質及び結着樹脂とを適当な溶媒に溶解させた溶液を塗布し、乾燥することによって形成することができる。電荷輸送層75の形成に使用される溶媒としては、ベンゼン、トルエン、クロルベンゼン等の芳香族炭化水素系、アセトン、2-ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルム、塩化エチレン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチルエーテル等の環状あるいは直鎖状エーテル、あるいはこれらの混合溶剤などが挙げられる。
【0060】
また、塗布液には塗膜の平滑性向上のためのレベリング剤としてシリコーンオイルを微量添加することもできる。
【0061】
電荷輸送材料と上記結着樹脂との配合比は10:1〜1:5が好ましい。また電荷輸送層75の膜厚は一般に5〜50μm、好ましくは10〜40μmの範囲に設定される。
【0062】
塗工は、感光体の形状や用途に応じて浸漬塗布法、リング塗布法、スプレー塗布法、ビード塗布法、ブレード塗布法、ローラー塗布法などの塗布法を用いて行うことが出来る。乾燥は、室温での指触乾燥の後に加熱乾燥するのが好ましい。加熱乾燥は、30℃〜200℃の温度で5分〜2時間の範囲の時間で行うことが好ましい。
【0063】
尚、本実施形態では、感光層73を電荷発生層74と電荷輸送層75との2層構造としているが、感光層73は単層であってもよい。また、電荷発生層74と電荷輸送層75との積層順序は反対であってもよい。
【0064】
さらに、複写機1中で発生するオゾンや酸化性ガス、あるいは光・熱による感光体ドラム28の劣化を防止する目的で、感光層73中に酸化防止剤・光安定剤・熱安定剤などの添加剤を添加することができる。
【0065】
たとえば、酸化防止剤としてはヒンダードフェノール、ヒンダードアミン、パラフェニレンジアミン、アリールアルカン、ハイドロキノン、スピロクロマン、スピロインダノン及びそれらの誘導体、有機硫黄化合物、有機燐化合物などが挙げられる。
【0066】
酸化防止剤の具体的な化合物として、フェノール系酸化防止剤では2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル フェノール、スチレン化フェノール、n-オクタデシル-3-(3',5'-ジ-t-ブチル 4'-ヒドロキシフェニル)-プロピオネート、2,2'-メチレン-ビス-(4-メチル-6-t-ブチル フェノール)、2-t-ブチル-6-(3'-t-ブチル-5'-メチル-2'-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル アクリレート、4,4'-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチル-フェノール)、4,4'-チオ-ビス-(3-メチル 6-t-ブチル フェノール)、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル ベンジル)イソシアヌレート、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシ-フェニル)プロピオネート]-メタン、3,9-ビス[2-[3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチル フェニル)プロピオニルオキシ]-1,1-ジメチル エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンなどが挙げられる。ヒンダードアミン系化合物ではビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート、1-[2-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-4-[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、8-ベンジル-7,7,9,9-テトラメチル-3-オクチル-1,3,8-トリアザスピロ[4,5]ウンデカン-2,4-ジオン、4-ベンゾイルオキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[[6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイミル][(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン[(2,3,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ]]、2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)、N,N'-ビス(3-アミノプロピル)エチレンジアミン-2,4-ビス[N-ブチル-N-(1,2,2,6,6,-ペンタメチル-4ピペリジル)アミノ]-6-クロロ-1,3,5-トリアジン縮合物などが挙げられる。有機イオウ系酸化防止剤としてジラウリル-3,3'-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3'-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3'-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトール-テトラキス-(β-ラウリル-チオプロピオネート)、ジトリデシル-3,3'-チオジプロピオネート、2-メルカプト ベンズイミダゾールなどが挙げられる。有機燐系酸化防止剤としてトリスノニルフェニル フォスフィート、トリフェニル フォスフィート、トリス(2,4-ジ-t-ブチル フェニル)-フォスフィートなどが挙げられる。
【0067】
有機硫黄系および有機燐系酸化防止剤は2次酸化防止剤と言われ、フェノール系あるいはアミン系などの1次酸化防止剤と併用することにより相乗効果を得ることができる。
【0068】
光安定剤としては、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ジチオカルバメート系、テトラメチルピペリジン系などの誘導体が挙げられる。
【0069】
ベンゾフェノン系光安定剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシ ベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-オクトキシ ベンゾフェノン、2,2'-ジ-ヒドロキシ-4-メトキシ ベンゾフェノンなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系系光安定剤としては、2-(-2'-ヒドロキシ-5'メチル フェニル-)-ベンゾトリアゾール、2-[2'-ヒドロキシ-3'-(3'',4'',5'',6''-テトラ-ヒドロフタルイミド-メチル)-5'-メチルフェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(-2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル 5'-メチルフェニル-)-5-クロロ ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル 5'-メチルフェニル-)-5-クロロ ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-3',5'-t-ブチルフェニル-)-ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチル フェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ 3',5'-ジ-t-アミル フェニル-)-ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。その他の化合物として2,4,ジ-t-ブチルフェニル 3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシベンゾエート、ニッケル ジブチル-ジチオカルバメートなどが挙げられる。
【0070】
また感度の向上、残留電位の低減、繰り返し使用時の疲労低減等を目的として、少なくとも1種の電子受容性物質を含有せしめることができる。本実施形態に係る感光体ドラム28に使用可能な電子受容性物質としては、例えば無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロム無水マレイン酸、無水フタル酸、テトラブロム無水フタル酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、o-ジニトロベンゼン、m-ジニトロベンゼン、クロラニル、ジニトロアントラキノン、トリニトロフルオレノン、ピクリン酸、o-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、フタル酸などが挙げられる。これらのうち、フルオレノン系、キノン系や、Cl,CN,NO2等の電子吸引性置換基を有するベンゼン誘導体を特に好適に用いることができる。
【0071】
次に、感光層73の上に保護層76を形成する。保護層76は、図2及び図3に示すように、複数の金属酸化物微粒子76aを含有するバインダ樹脂76bを感光層73の上に塗布して形成される。
【0072】
金属酸化物微粒子76aとしては、プラズマ法により生成した金属酸化物微粒子が用いられる。プラズマ法により金属酸化物微粒子76aを生成する方法としては、直流プラズマアーク法、高周波プラズマ法、プラズマジェット法などの方法が挙げられる。
【0073】
直流プラズマアーク法では、金属原料を消費アノード電極とする。そして、カソード電極からプラズマフレームを発生させる。そして、アノード側の金属原料を加熱、蒸発させ、金属原料の蒸気を酸化、冷却することにより、金属酸化物微粒子を得ることができる。
【0074】
高周波プラズマ法では、大気圧力のもとでガスを高周波誘導放電によって加熱したときに発生する熱プラズマを利用する。このうちプラズマ蒸発法では、不活性ガスプラズマ中心に固体粒子を注入し、プラズマ中を通過する間に蒸発させ、この高温蒸気を急冷凝縮することにより超微粒子を生成することができる。
【0075】
金属原料としては、チタン、亜鉛、錫、アルミニウム、セリウム、イットリウム、珪素、ジルコニウム、鉄、マグネシウム、銅、マンガンなどの材料が挙げられる。その結果、それらの酸化物を得ることができる。また、これらの金属の混合物もしくは化合物から、複合金属酸化物を得ることもできる。
【0076】
金属酸化物の金属元素に一部に異なる金属元素を混入し、金属酸化物の半導体特性を調節することも可能である。たとえば、2価の酸化亜鉛に対して3価の金属であるアルミニウムを微量にドープして抵抗をコントロールすることが例として挙げられる。
【0077】
プラズマ法は、不活性ガスのアルゴン、および2原子分子ガスである水素や窒素、酸素雰囲気中でアーク放電すると、アルゴンプラズマ、水素プラズマなどが得られるが、とくに2原子分子ガスが熱解離して生じた水素(窒素、酸素)プラズマは分子状ガスに比べてきわめて反応性に富んでいるので、不活性ガスのプラズマと区別して反応性アークプラズマとも呼ばれている。このうち酸素プラズマ法は金属酸化物微粒子を製造する方法として効果的である。
【0078】
プラズマ法で得られる金属酸化物微粒子は、平均粒径が100nm以下である。ここでいう平均粒径とは平均1次粒径を意味する。これに対し、上記した従来の方法により生成された金属酸化物微粒子は、0.2〜0.4μm程度の粒径のものが通例であり、本実施形態において用いられる金属酸化物超微粒子76aと比べれば1桁程度の粒径の違いがある。金属酸化物微粒子の粒径が大きい場合には、保護層76での電荷の伝導路が少数の粒子によって形成されるのに対して、本実施形態に係る複写機1では小粒径の金属酸化物微粒子76aを用いることにより数多くの粒子を介した電気伝導となり、各粒子の間には十分な樹脂が存在することで短絡的な電流の流れが抑制され、異常放電によるリーク欠陥の発生が少なくなる。
【0079】
また、プラズマ法で得られる金属酸化物微粒子は、従来の製法からは得られにくい粒形が比較的揃った晶癖の微粒子であって分散性が高い。
【0080】
ここで、本実施形態において使用可能な金属酸化物微粒子76aとしては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、酸化ケイ素、酸化鉄、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化銅、酸化マンガンなどが挙げられるが、特に酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化錫の少なくともいずれかを含むと好ましい。保護層76は、耐リーク性を得るために適切な抵抗値にすると好ましく、抵抗値を108〜1014Ω・cmとすると好適である。抵抗値が低すぎると電荷の沿面流れにより画像ぼけや解像度の低下を生じる傾向にあり、抵抗値が高すぎると残留電位の上昇を引き起こす傾向にある。保護層76の抵抗値は、金属酸化物微粒子76aの粉体抵抗と、それに応じてバインダ樹脂中76bへの添加量を制御することにより調整することができる。このことから、金属酸化物微粒子76aの粉体抵抗値は102〜1011Ω・cmとすると好適であり、104〜1010Ω・cmとするとより好適である。よって、上記のように金属酸化物微粒子76aとして酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化錫の少なくともいずれかを含むことで、保護層76の抵抗値を上記範囲内に容易に設定することができる。
【0081】
また、これらの金属酸化物微粒子76aは、必要に応じて分散性等の諸特性を一層改善するために、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤などの有機化合物で表面処理を施してもよい。
【0082】
バインダー樹脂76bとしては、ポリビニルブチラールなどのアセタール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、カゼイン、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ゼラチン、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸樹脂、シリコーン樹脂、シリコーン-アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂などが用いられる。なお、外部から感光体28に貫入する導電性異物を保護層76で阻止するために、ある程度以上の高い硬度を有する樹脂を用いると好ましい。
【0083】
上記したバインダ樹脂76bに上記した金属酸化物微粒子76aを分散させ、これを用いて感光層73上に成膜を行うことで保護層76が形成される。このとき、金属酸化物微粒子76aはバインダ樹脂76b中によく分散されている。
【0084】
ここで、金属酸化物微粒子76aは、保護層76の固形分中に10〜60体積%、好ましくは20〜50体積%が含有されると好ましい。このようにすれば、適当な塗膜抵抗を有する保護層76が得られる。
【0085】
また、表面の潤滑性を向上させるため、保護層76の表面にテフロンのような離型性固体粒子を含有させてもよい。
【0086】
本実施形態に係る感光体28では、保護層76が含有する金属酸化物微粒子76aの粒径が100μm以下であるため、透明性に富み、厚みを増しても透過率の低下が少ないため、感度の減少が少ない。そのため、耐摩耗性が高いのに加えて、厚膜化が可能であるため、感光体28の寿命をより一層長くすることが可能である。
【0087】
このようにして、本実施形態に係る複写機1が備える感光体ドラム28が形成される。
【0088】
次に、複写機1が備える中間転写体ユニット40について説明する。中間転写体ユニット40の中間転写ベルト32は、一次転写位置T1に配置された一次転写ロール36、内側二次転写ロール(バイアスロール)46、及び駆動ロール38等によって張架されており、図示しない駆動機構により感光体ドラム28と略同速度で駆動ロール38を介して図中の矢印方向へ回転する。
【0089】
一次転写ロール36としては、感光体ドラム28上のトナー像を中間転写ベルト32に転写する機能を有している限りとくに制限はなく、例えばベルト、ローラー、フィルム、ゴムブレード等を用いた接触型転写帯電器、コロナ放電を利用したスコロトロン転写帯電器やコロトロン転写帯電器等の公知の転写帯電器を用いることができる。これらの中でも、転写帯電補償能力に優れる点では接触型転写帯電器が望ましい。
【0090】
尚、本実施形態においては、一次転写ロール36の他、剥離帯電器等を併用することもできる。また、一次転写の際に、一次転写ロール36から感光体ドラム28に付与される転写電流には、通常直流電流が使用されるが、本実施形態においては更に交流を重畳させて使用してもよい。一次転写ロール36における設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、たとえば、一次転写電流としては100〜400μA、一次転写電圧としては500〜200Vを設定値とすることができる。
【0091】
中間転写体ユニット40の中間転写ベルト32は、一般的には多層構造であり、例えば、導電性支持体上に、少なくともゴム、エラストマー、樹脂等から形成される弾性層と、少なくとも1層の被覆層とを設けてなる構造とすることができる。また、中間転写体の形状は特に限定されず、目的に応じてベルト状やローラ形状等としてもよい。本実施形態においては、これらの中でも、画像の重ねあわせ時の色ズレ、繰り返し使用による耐久性、他のサブシステムの配置の自由度の取り易さ等の点で、無端ベルト形状を採用している。
【0092】
中間転写ベルト32の表層の材料としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂等に対して、導電性のカーボン粒子や金属粉等を分散混合させたものが好適に用いられる。これらの中でも、ポリイミド系樹脂にカーボン粒子を分散させたものを好適に用いることができる。
【0093】
中間転写ベルト32の表面抵抗値としては、例えば、108〜1016Ω・cmであることが好ましい。この表面抵抗値が、108Ω・cm未満であると画像に滲みや太りが生じ、1016Ω・cmを超えると画像の飛び散りの発生や中間転写体シートの除電の必要性が発生し、何れの場合も好ましくない。また、中間転写ベルト32の厚みとしては、例えば50〜200μm程度が好ましい。
【0094】
二次転写ユニット50は、二次転写位置T2に配置された外側二次転写ロール48を具備している。この外側二次転写ロール48は、中間転写ベルト32を間に挟んで内側二次転写ロール46と対向しており、二次転写を行う際は内側二次転写ロール46側に加圧される。そして、内側二次転写ロール46にトナーと逆極性のバイアス電圧が印加されると、中間転写ベルト32上のトナー像が用紙に二次転写される。
【0095】
外側二次転写ロール48として、上述の機能を有している限り特に制限はなく、例えば、一次転写ロールとして例示した接触型転写帯電器、スコロトロン転写帯電器、コロトロン転写帯電器などが用いられる。これらの中でも、一次転写ロール36と同様に接触型転写帯電器が好ましい。また、二次転写の際に、外側二次転写ロール48から中間転写ベルト32に付与される転写電流には、通常直流帯電が使用されるが、本実施形態においては更に交流電流を重畳させて使用しても良い。外側二次転写ロール48における設定条件としては、帯電すべき画像領域幅、転写帯電器の形状、開口幅、プロセススピード(周速)等により異なり一概に規定することはできないが、例えば、二次転写電流としては+100〜+400μA、1次転写電圧としては+2000〜+5000Vを設定値とすることができる。
【0096】
トナー像を二次転写された用紙は、定着装置39によって当該トナー像を定着された後、排出ロール52より複写機本体14の外部へ排出される。以上が、本実施形態の複写機1の構成である。
【0097】
次に、本実施形態の感光体ドラム28、感光体ドラム28の製造方法、及び複写機1の作用効果を説明する。
【0098】
複写機1によって用紙に画像を形成するプロセス中に、接触方式の帯電装置26により感光体28に加わるトータルの電流量が多くなると、従来の感光体を備えた複写機では、感光層にリーク電流が流れて画質低下を来していた。これに対し、本実施形態に係る複写機1の感光体ドラム28は、プラズマ方式により生成された金属酸化物微粒子76aを含有するバインダ樹脂76bを用いて保護層76を形成しているため、金属酸化物微粒子76aはバインダ樹脂76b中に均一に分散して凝集によるリーク回路が形成されにくい。また、金属酸化物微粒子76aは平均粒径が100nm以下と径が小さなものとされ、電荷が流れるためには多くの金属酸化物微粒子76aを伝導路として通過する必要がある。このため、本実施形態では、耐摩耗性の向上を図りつつ、短絡的な電流の流れを抑制して過剰なリーク電流の発生を抑制し、画質の低下を抑制することが可能となる。
【0099】
また、帯電装置26に、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を印加することで、直流電圧のみを印加する場合と比較して最大電圧が高くなり、感光体ドラム28の帯電効率が高まる。通常、感光体ドラム28に印加される電圧が高くなるとリーク電流が発生し易くなるが、本実施形態では上記のように保護層76によってリーク電流を抑制することができる。
【0100】
なお、上記した本実施形態において、保護層76は感光層としての機能を有してもよい。例えば、上記した実施形態では感光層73を電荷発生層74と電荷輸送層75との2層構造のものについて詳述したが、この場合、保護層76は電荷輸送機能を有してもよい。電荷輸送機能を有する保護層76のバインダ樹脂76bの例として、ポリマー成分中に電荷輸送性機能を織り込んだ高分子電荷輸送剤を用いたり、シリコーンハードコート剤等の強靭なコート剤中に低分子の電荷輸送剤を分子分散させるなどして電荷輸送機能機能をもたせた樹脂を用いたりすることができる。ポリマー成分中に電荷輸送機能を織り込んだ保護層76の例として、シリコーンポリマー中に電荷輸送材料機能基を織り込んだものが挙げられる。
【0101】
また、感光層73が単層構造である場合には、保護層76はこの単層構造の感光層を構成する樹脂をバインダ樹脂76bとして使用することで、感光層としての機能を有していてもよい。
【0102】
以下、実施例、比較例により本発明に係る電子写真感光体及び電子写真装置を更に具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
【0103】
【実施例】
[実施例1]
(感光体ドラムの作製)
実施例1では、直径84mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材を導電性基材とし、これに以下の組成の下引層を形成した。
【0104】
4重量部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)を溶解したn−ブチルアルコール170重量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン)3重量部を混合し、攪拌し、下引層用の塗布液を得た。この下引層用の塗布液を導電性基材の上に塗布し、室温で5分間風乾を行った。次に、50℃で7分間昇温を行い、50℃で85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れ、10分間、加湿硬化促進処理を行った後、熱風乾燥機に入れて135℃で10分間乾燥を行った。以上により、導電性基材上に下引層を形成した。
【0105】
次に、電荷発生物質としてのCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)が少なくとも7.4°,16.6°,25.5°,28.3°の位置に回折ピークを有する塩化ガリウムフタロシアニン15重量部、結着樹脂としての塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂(VMCH、日本ユニカー社製)10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0106】
さらにN,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-メチルフェニル)-[1、1']ビフェニル-4,4'-ジアミン 4重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート樹脂(分子量4万)6重量部とをクロルベンゼン80重量部に加えて溶解した塗布液を電荷発生層上に塗布し、130℃、40分の乾燥を行うことにより膜厚30μmの電荷輸送層を形成した。
【0107】
さらに、プラズマ法で形成された酸化亜鉛微粒子(平均粒径30nm)としてシーアイ化成社NanoTek ZnO (平均粒径 30nm)を40重量部と、ポリウレタン樹脂 (関西ペイント社製 レタン4000 クリアベース)を60重量部と、1,2,2-トリクロルエタンを600重量部と、塩化メチレンを300重量部とを含む分散液を作製し、電荷輸送層上にスプレー塗布にて5μmの保護層を得た。
【0108】
この感光体の電気特性を、帯電装置、露光装置を有する電気特性試験機で測定し、帯電電位、光減衰後の電位および残留電位を調べた。その結果、表1に示す良好な電気特性が得られた。
【0109】
またこの感光体を、接触帯電装置、中間転写装置を有する富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Print C620に搭載し、プリント画質を調べたところ、良好な画質が得られた。なお、感光体の帯電電位は−650Vに設定した。
【0110】
この感光体を用いて連続1万枚のプリントテストを行ったが、リーク欠陥や画像濃度の低下がない優れた維持性を示した。
【0111】
[比較例1〜4]
(感光体の作製)
比較例1〜4では、実施例1の感光体において、金属酸化物微粒子としての酸化亜鉛を表1に示す材料に変更した他は、実施例1と同じ方法で感光体を作製し、実施例1と同じ方法にて評価を行った。その結果を表1に同様に示す。比較例1〜4では、残留電位が高く十分なコントラスト電位や画像濃度が得られなかった。
【0112】
【表1】
Figure 0003829628
【0113】
[比較例5]
(感光体の作製)
比較例5では、実施例1の感光体において、金属酸化物微粒子を表2に示す材料に変更した他は、実施例1と同じ方法で感光体を作製し、実施例1と同じ方法にて評価を行った。その結果を表2に同様に示す。比較例5では、残留電位は高くはならなかったが、沿面伝導が大きく、画像濃度が低く、解像度も低い画質しか得られなかった。
【0114】
【表2】
Figure 0003829628
【0115】
[実施例2]
(感光体ドラムの作製)
実施例2では、直径80mm、長さ340mm、肉厚1mmのアルミニウム基材を導電性基材とし、これに以下の組成の下引層を形成した。
4重量部のポリビニルブチラール樹脂(エスレックBM−S、積水化学社製)を溶解したn−ブチルアルコール170重量部、有機ジルコニウム化合物(アセチルアセトンジルコニウムブチレート)30重量部及び有機シラン化合物の混合物(γ−アミノプロピルトリエトキシシシラン)3重量部を混合し、攪拌し、下引層用の塗布液を得た。この下引層用の塗布液を導電性基材の上に塗布し、室温で5分間風乾を行った。次に、50℃で7分間、導電性基材の昇温を行い、50℃で85%RH(露点47℃)の恒温恒湿槽中に入れ、10分間、加湿硬化促進処理を行った後、熱風乾燥機に入れて135℃で10分間乾燥を行った。以上により、導電性基材上に下引層を形成した。
次に、電荷発生材料としてCukα線を用いたX線回折スペクトルのブラッグ角度(2θ±0.2°)において、少なくとも7.5°,9.9°,12.5°,16.3°,18.6°, 25.1°,28.1°の位置に回折ピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニン15重量部、結着樹脂としてのブチラール樹脂(BM-1、積水化学社製)10重量部、n−ブチルアルコール300重量部からなる混合物を、サンドミルにて4時間分散した。得られた分散液を電荷発生層用の塗布液として、これを下引層上に浸漬塗布し、乾燥して、厚みが0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0116】
次に、ジ(3,4-ジメチルフェニル)(4-フェニルフェニル)アミン2重量部と、N,N’-ジフェニル-N,N’-ビス(3-メチルフェニル)-[1,1’-ビフェニル]-4,4’-ジアミン2重量部と、ビスフェノールZポリカーボネート(分子量4万)6重量部とを、それぞれテトラヒドロフラン80重量部、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチル フェノール0.2重量部を加えて溶解した。この液を電荷発生層上に塗布し、120℃で40分の乾燥を行うことにより膜厚25μmの電荷輸送層を形成した。
【0117】
さらに、プラズマ法で形成された導電性粒子酸化チタン(NanoTek TiO2) 12重量部と、上記した電荷輸送材料4重量部と、ブロック型イソシアネート(スミジュールBL3175、住友バイエルンウレタン社製)11重量部とを、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBH−S,積水化学社製)8重量部をn-ブチルアルコール200重量部に溶解した液に混ぜ、サンドミルにて12時間分散した。得られた分散液を用いて浸漬塗布を行い、150℃で1時間の乾燥硬化処理を施し、上記電荷輸送層の上に6μmの保護層を形成し、4層からなる電子写真感光体を作製した。なお、この保護層塗布液の液粘度は、1ヶ月の経時でも大きな変化はなく安定であった。
【0118】
この感光体の電気特性を、帯電装置、露光装置を有する電気特性試験機で測定し、帯電電位、光減衰後の電位および残留電位を調べた。その結果、表3に示す良好な電気特性が得られた。
【0119】
この感光体を、接触帯電装置、中間転写装置を有する富士ゼロックス社製フルカラープリンターDocu Print C620に搭載しプリント画質を調べたところ、良好な画質が得られた。
【0120】
[比較例6〜7]
比較例6〜7では、保護層に含有される金属酸化物微粒子を以下の材料に変更した以外は、実施例2と同じ構成の感光体を形成し、実施例2と同様の評価を行った。その結果を表3に同様に示す。比較例6〜7では、残留電位が高く十分なコントラスト電位や画像濃度が得られなかった。
【0121】
【表3】
Figure 0003829628
【0122】
【発明の効果】
本発明によれば、耐摩耗性の向上を図ると共に、耐リーク性の向上を図って画質の低下を抑制することが可能な電子写真感光体、電子写真感光体の製造方法、及び電子写真装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る画像形成装置(複写機)の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態に係る感光体ドラムの構成を示す斜視図である。
【図3】本実施形態に係る感光体ドラムの部分断面図である。
【符号の説明】
1…複写機(電子写真装置)、20…原稿読取部、22…画像形成部、24…露光装置、26…帯電装置、28…感光体ドラム(電子写真感光体)、30K,30Y,30M,30C…現像器、30…現像装置、32…中間転写ベルト、34…給紙トレイ、36…一次転写ロール、39…定着装置、40…中間転写体ユニット、46…内側二次転写ロール、48…外側二次転写ロール、50…二次転写ユニット、52…排出ロール、71…導電性基材、72…下引層、73…感光層、74…電荷発生層、75…電荷輸送層、76a…金属酸化物微粒子、76b…バインダ樹脂、76…保護層。

Claims (6)

  1. 導電性基材と、
    前記導電性基材上に設けられた感光層と、
    前記感光層上に設けられており、プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子をバインダ樹脂中に含む保護層と、
    を備えることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記金属酸化物微粒子の平均粒径は100nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 前記金属酸化物微粒子は、酸化亜鉛、酸化チタン、及び酸化錫の少なくともいずれかを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記保護層は感光層としての機能をも有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真感光体と、
    前記電子写真感光体上に帯電を行うための接触帯電装置と、
    を備えることを特徴とする電子写真装置。
  6. 導電性基材を準備する工程と、
    前記導電性基材上に感光層を形成する工程と、
    プラズマ法により生成された金属酸化物微粒子を含む樹脂を用いて、前記感光層上に保護層を形成する工程と、
    を含むことを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
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