JP3899270B2 - 合成繊維の延伸仮撚加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、合成繊維未延伸マルチフィラメント糸を延伸と同時に仮撚加工する方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は合成繊維未延伸マルチフィラメント糸を非接触ヒーター式の摩擦仮撚加工機で加工する際、ヒーターガイドへのヒータータールの蓄積がなく、安定した加工性が得られる延伸仮撚加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、延伸と同時に仮撚加工(以後DTY加工と称することがある)する方法としては摩擦仮撚加工方法(以後フリクションと称することがある)が採用されてきたが、近年その加工速度は飛躍的にスピードアップされて800m/分以上で加工されるようになってきた。
【0003】
加工速度の上昇に伴って加工機のヒーター部は、接触ヒーターから非接触高温ヒーターが主流になり、熱処理効率の大幅な改善によりヒーター長の短縮が可能になってきた。また、非接触ヒーター部の温度は一般的には450℃以上と高いため、油剤やオリゴマー等は非接触ヒーター内のガイドに付着するものの、殆どの有機化合物は粉末状の灰分となって飛散し、ヒーターガイドに堆積することは殆ど無かった。
【0004】
しかし、近年、銘柄の多様化により、細繊度糸や混繊糸の仮撚加工は、加工糸の捲縮品質を調整するため、非接触ヒーター温度を450℃未満にして加工する場合が多くなってきている。このような温度条件下では、ヒーターガイドに付着した油剤の多くは熱によりタール状物質に変化し、経時と共にヒーターガイド上に堆積、固着し、該固着したタール状物質に走行糸が接触することによって毛羽や断糸を誘発するという問題が発生した。
【0005】
かかるタール状物質に起因する問題を解消する方法として、特開平7−145525号報には、ヒーターガイドの曲率半径を小さくして、走行糸がヒーターガイドに接触する面積を小さくする方法が提案されているが、ヒータータールの付着量は少なくなるものの不十分であった。また別の方法として、特開平8−120539号報には、固着したタール状物質の昇華温度以上、例えば500℃以上の温度に加熱されたヒーターで、ヒーターガイドの付着物を清掃する方法が提案されているが、ヒーター清掃の度に仮撚加工を中断しなけれならず、生産性の低下によるコストアップを招くため、工業的には採用し難い。
【0006】
ヒーターガイドへのタール状物質の堆積・固着を抑制する別の方法として、加工糸用油剤自体のタール化を防止する方法がある。従来、加工糸用油剤のタール化防止策としては、分解揮発タイプのポリエーテルを主成分とした油剤が一般的であり、該ポリエーテルとしては、例えば、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加重合したものが多く提案されている(特開昭49−31996号公報、特開昭50−155795号公報、特開昭50−155796号公報)。このようなポリエーテルを主成分とする油剤は、エステル系油剤に比べると油膜が強く毛羽が発生しにくいという利点も有するが、静電気発生防止のために併用されるアニオン性界面活性剤は少量でも加熱残分が多いため、ヒーターガイド上にタール状固着物が形成されやすいという問題は十分には解消されない。
【0007】
このアニオン活性剤に起因する問題を解消するため、ポリエーテル系油剤にアルキレンオキサイド変性シリコ−ンを添加した油剤が提案されている(特公昭63−24118号公報、特開昭60−215873号公報)。しかし、このアルキレンオキサイド変性シリコ−ンを添加した油剤は、ヒーター温度が250℃以下の接触ヒ−ター加工機の場合には、ヒータープレート上へのタール状物質の固着は抑制されるものの、非接触ヒ−ター加工機では非接触ヒーター温度は250℃を越えるので、アルキレンオキサイド変性シリコ−ンは分解し易く、ヒーターガイドへのタール状物質の固着抑制効果は不十分である。
【0008】
ヒーターガイドの温度が250℃を越えてもタール状物質の堆積が抑制できる油剤として、特開2001−64877号公報には、フッ素系ポリマーを添加した油剤が提案されている。確かにこの油剤によれば、ヒーターガイド上にタール状物質が付着し難くなるものの、一旦ガイドにタール状物質が付着し始めると、経時と共にタール状物質は堆積・固着するため、ヒーターガイドの清掃を頻繁にしなければならないという問題は未だ満足できるレベルまでには解消されていないのが実状である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術を鑑みなされたもので、その目的とするところは、合成繊維未延伸マルチフィラメント糸を非接触ヒーター加工機を用いて高速度で加工するに際し、ヒーター温度を低下させてもヒーターガイド上へのタール状物質の堆積・固着が少なく、毛羽や断糸の発生が抑制されて安定した加工性が得られる延伸仮撚加工方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、加熱残渣の少ないポリエーテルベース油剤に特定のアニオン性化合物と特定なフッ素系界面活性剤を併用すれば、非接触ヒーター温度を400℃以下にしてもヒーターガイド上にタール状物質が堆積・固着せず、毛羽や断糸の発生が極めて少なく、安定した延伸仮撚加工が可能となることを見いだし、本発明に到達した。
【0011】
かくして、本発明によれば、
「第1ヒ−ターが上段と下段からなる非接触ヒ-ター加工機を用い、該ヒーターの上段及び/又は下段のヒーター温度を250〜400℃に維持して合成繊維未延伸マルチフィラメント糸を延伸仮撚加工するに際し、該合成繊維未延伸マルチフィラメント糸に下記(A)〜(C)成分を必須成分として含有する油剤を予め付与せしめたものを用いることを特徴とする合成繊維の延伸仮撚加工方法。
(A)プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)との共重合体であって、平均分子量が1000〜10000、PO/EO共重合重量比が20/80〜80/20であるポリオキシアルキレングリコール共重合体:60〜99.5重量%
(B)下記▲1▼〜▲3▼の合計のアニオン成分(但し▲1▼及び▲2▼を必須として含有):0.5〜2.0重量%
▲1▼ 分子内に少なくとも1ケ以上のアルキル基とスルホン酸基を有するスルホネート化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩
▲2▼ 高級アルキル又はアラアルキルのポリオキシアルキレンエーテル基を含有する燐酸エステルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩
▲3▼ 二重結合を有するジカルボン酸又はその無水物に炭素数8〜18のオレフィンを付加して得られる長鎖モノオレフィン付加ジカルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩
(C)炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基を含有するパーフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩又はパーフルオロアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩0.01〜0.1重量%」
が提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明が対象とする合成繊維未延伸マルチフィラメント糸は、延伸仮撚加工できるものであれば任意であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート等のポリエステル系合成繊維、ポリ−ε−カプラミド、ポリヘキサメチレンアジパミド等のポリアミド系合成繊維、ポリメタフェニレンイソフタラミド等のアラミド系合成繊維をあげることができ、構成ポリマーの化学構造は特に限定されない。
【0013】
本発明で用いられる合成繊維未延伸マルチフィラメント糸には、予め(A)〜(C)を必須成分として含有する油剤を付与していることが大切である。ここで(A)成分であるポリオキシアルキレングリコール共重合体は、高温時の平滑性をより向上させ、毛羽や断糸の発生防止のために使用するもので、エチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)の共重合体であって、平均分子量が1000〜10000、好ましくは2000〜6000の範囲で、プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)の共重合重量比(PO/EO)が20/80〜80/20、好ましくは30/70〜70/30である、ランダムあるいはブロック型の共重合体である。勿論、このポリオキシアルキレングリコール共重合体の片末端あるいは両末端は、アルキル基などでエーテル、エステル、チオエーテル、アミノエーテル(−NR−)などの結合を介して封鎖されていてもよい。
【0014】
かかるポリオキシアルキレングリコール共重合体は、従来公知の方法でエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを共重合することにより得られるが、通常はアルキレンオキサイドと反応できるような活性水素を少なくとも1ケ以上有する化合物を用い、これにエチレンオキサイド及びプロピレンオキサイドを共重合することにより製造される。ここで活性水素を有する化合物としては、活性水素を有する基が水酸基ならば1価以上のアルコール類、カルボキシル基ならば1価以上の塩基酸類、そしてアミノ基であれば1価以上のアミノ化合物などを挙げることができる。なかでもアルコール類を用いたものはヒータータールの発生が少なくなるので好ましい。
【0015】
かかる(A)成分の平均分子量が1000未満では熱安定性に乏しく、分解揮散して平滑性が不十分となるだけでなく、摩擦仮撚具に使用されるウレタンゴムの膨潤性も悪化するので使用することは難しい。一方、平均分子量が10000を越える場合には、粘性アップにより平滑性が低下するため不適当である。またエチレンオキサイドの共重合比が80重量%を越えても、摩擦仮撚具に使用されるウレタンゴムの膨潤性が悪化し易いので使用することは難しく、逆にエチレンオキサイドの共重合比が20重量%未満の場合では、自己乳化性が低下するため、油剤を乳化するために必要な乳化剤が多くなり、仮撚加工性が低下するので好ましくない。
【0016】
さらに油剤中における(A)成分の含有量は、60〜99.5重量%、好ましくは80〜99重量%である必要があり、この範囲未満の場合には高温時の平滑性が低下し、逆にこの範囲を越える場合には、後述するアニオン成分の含有量が不十分となって本発明の目的が達成できなくなる。
【0017】
次に本発明で用いられる油剤の(B)成分は、最少量でも制電性を維持して延伸仮撚加工安定性を向上させるために使用するアニオン成分であり、下記▲1▼及び▲2▼を必須として含有し、▲1▼〜▲3▼の合計の含有量は0.5〜2.0重量%、好ましくは0.8〜1.5重量%とする必要がある。該アニオン成分の含有量が0.5重量%未満の場合には制電性が不十分となり、一方、2.0重量%を越える場合にはヒーターガイド上へのタール状物質の堆積・固着が多くなり、毛羽や断糸の発生が増加するので好ましくない。
【0018】
ここで、▲1▼のアニオン成分は、分子内に少なくとも1ケ以上のアルキル基とスルホン酸基を有するスルホネート化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩であり、例えば炭素数が8〜18のアルキル基を含有するアルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルフェノールスルホン酸、モノ又はジアルキルナフタレンスルホン酸、アルキルジフェニルエーテルスルホン酸、アルキルヒドロキシフェニルエーテルスルホン酸などのアルカリ金属塩、アミン塩、有機アミン塩を例示することができる。また炭素数が6〜14のアルキルフェノキシポリオキシアルキレンのプロピルスルホネート塩、2−ヒドロキシオプロピルスルホネート塩、スルホ酢酸エステルのスルホネート塩、さらには炭素数が8〜18のアルキル又はアルケニルポリオキシアルキレンアルキルエーテルのスルホネート塩やスルホ酢酸エステル、炭素数が8〜18のアルコキシ又はアルケノキシスルホアルキルエーテル、アルコキシ又はアルケノキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、アルキル又はアルケニルカルボキシ−2−ヒドロキシプロピルスルホネート、スルホアルキルエステル、スルホアセテートなどのアンモニウム塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩を挙げることができる。しかし何等これらに限定するものではなく、分子内に少なくとも1ケ以上のアルキル基とスルホン酸基を有するスルホネート化合物のアミン塩、有機アミン塩、アルカリ金属塩であればよいが、塩の種類としては通常アルカリ金属塩が最も好ましく、ついで有機アミン塩、アンモニウム塩の順である。
【0019】
次に▲2▼のアニオン成分は、高級アルキル又はアラアルキルのポリオキシアルキレンエーテル基を含有する燐酸エステルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩であり、例えば下記式(化1)で表されるものを例示することができる。
【0020】
【化1】
Figure 0003899270
【0021】
式中、Rは炭素数8〜18の飽和若しくは不飽和の脂肪族基又は炭素数が1〜9のアルキル置換芳香族基を示し、R’は水素原子又はメチル基を示すが、水素原子とメチル基が混在するすなわちプロピレンオキシド単位とエチレンオキシド単位の共重合体になっていてもよい。nは0〜15の正の整数、mは1又は2、Xはアンモニウム塩、有機アミン塩、Na、K、Liなどのアルカリ金属塩を示す。但し、n=0の場合にはRは炭素数が1〜9のアルキル置換芳香基ではない。
【0022】
具体的にはn=0の場合には、公知の高級アルキル基を含むアルキル燐酸部分エステルの塩を示し、オクチル、ラウリル、オレイル燐酸部分エステルのアンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが例示される。また、高級アルコールやアルキルフェノールにエチレンオキサイドあるいはプロピレンオキサイド、さらにはエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加したポリオキシアルキレンエーテルの燐酸部分エステルの塩類も例示される。これらのなかでも有効な化合物としては、高級アルコール又はアルキル基の置換された芳香族フェノール化合物にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドが付加されたポリオキシアルキレンエーテルから得られる燐酸部分エステルのナトリウム又はカリウムなどのアルカリ金属塩が好ましく、ついでこれらの有機アミン塩、アンモニウム塩の順である。
【0023】
本発明においては、アニオン成分としては上記▲1▼及び▲2▼を必須とするが、さらに併用してもよい▲3▼のアニオン成分は、二重結合を有するジカルボン酸又はその無水物に炭素数8〜18のオレフィンを付加して得られる長鎖モノオレフィン付加ジカルボン酸のアルカリ金属塩、有機アミン塩又はアンモニウム塩であり、これらのジカルボン酸の片方は、分子内に1ケ以上の水酸基を有する化合物とエステルを形成していても構わない。
【0024】
ここで二重結合を有するジカルボン酸又はその無水物としては、例えばマレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸又はこれらの酸無水物が例示されるが、なかでも無水マレイン酸が好ましい。そしてこれらのジカルボン酸又は酸無水物に付加反応させる炭素数8〜18のオレフィンとしては、例えばオクテン、イソオクテン、ノネン、ドデセン、ペンタデセン、オクタデセンなどが例示されるが、この両者を不活性ガス中で付加反応させることにより長鎖モノオレフィン付加ジカルボン酸を得ることができる。さらに該付加生成物を水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物で中和するか、アンモニア又はトリエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ラウリルアミン等のアルキルアミンなどを用いて中和させることにより▲3▼のアニオン成分を製造することができる。
【0025】
さらに上記モノオレフィン付加ジカルボン酸又はその酸無水物にヒドロキシル基を有する化合物を反応させる際には、炭素数4〜18の飽和若しくは不飽和のアルコール例えばブタノール、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコールなどを用いることができ、その他ヤシ油、牛脂を原料ソースとする天然アルコール、チーグラ法、オキソ法などによる合成アルコールなども使用できる。またヒドロキシル基を2ケ以上有する化合物としてはエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがある。また1分子内にヒドロキシル基とカルボキシル基を有する化合物、すなわちオキシカルボン酸としてはグリコール酸、乳酸、2−オキシヘキサン酸、オキシブテン酸、リシノレイン酸など、その他リンゴ酸、クエン酸、グリセリン酸、酒石酸などが挙げられる。さらにオキシ酸のアルコールとのエステル例えばリシノレイン酸メチルなども用いることができる。このようにして得られた該エステル誘導体は分子内に少なくとも1ケ以上のカルボキシル基を有し、該カルボキシル基はアルカリ金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩などに中和される。これらの中ではK塩、Na塩が好ましい。
【0026】
本発明においては、上記(B)のアニオン成分として、▲1▼と▲2▼を必須として含有させることにより、0.5〜2.0重量%といった少量のアニオン成分でも十分高速延伸仮撚加工ができるための制電性を発揮し、ヒータータールも低減できる。なお、上記▲1▼と▲2▼の併用効果を十分発現させるためには、夫々の成分を少なくとも0.2重量%、好ましくは0.3重量%含有させることが好ましい。
【0027】
次に本発明で用いられる油剤の(C)成分は、分子内に炭素数が4〜20のパーフルオロアルキル基を含有するパーフルオロアルキルスルホン酸又はパーフルオロアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩である。好ましく用いられる化合物としては、パーフルオロオクチルスルホン酸、パーフルオロノニルスルホン酸、パーフルオロオクチルベンゼンスルホン酸、パーフルオロノニルベンゼンスルホン酸、ビスパーフルオロブチルナフタレンスルホン酸などのスルホン酸のアルカリ金属塩特にナトリウム塩を例示することができる。
【0028】
油剤中における(C)成分の含有量は、0.01〜0.10重量%、好ましくは0.03〜0.1重量%の範囲である必要があり、この範囲未満の場合にはヒーター上のタール堆積抑制効果が不十分となり、一方、0.10重量%を越える場合には油剤のコストが増大するので好ましくない。
【0029】
なお、本発明で用いられる上記油剤には、上記成分の他に、本発明の目的を阻害しない範囲で、従来から使用されているエステルやエーテルエステル等の平滑剤、ノニオン性界面活性剤、酸化防止剤など任意の成分を配合してもよい。
【0030】
上記油剤を未延伸マルチフィラメントに付与する方法は特に限定されないが、通常該油剤を濃度5〜20重量%の水性エマルジョンとして付与するのが適当である。この際、付与する方法としては、オイリングローラー方式、ノズルを用いる方式等、従来採用されているいずれの方式であってもよい。
【0031】
上記油剤の未延伸マルチフィラメントへの付与量(油剤有効成分として)は、フィラメント重量を基準として0.2〜0.5重量%、好ましくは0.3〜0.4重量%の範囲にする必要がある。付与量が0.5重量%を越える場合には、未延伸マルチフィラメントの巻取り性には特に問題を生じないが、得られたフィラメントを摩擦仮撚加工する際にヒーターガイドにヒータータールが付着して安定に摩擦仮撚加工できなくなる恐れがある。一方、付与量が0.2重量%未満の場合には、フィラメントの集束性及び潤滑性が低下して製糸時における未延伸マルチフィラメントの巻取り性が低下するだけでなく、摩擦仮撚加工時の加工性も低下しやすくなる。
【0032】
本発明においては、上述の油剤が付与された未延伸マルチフィラメント糸を、第1ヒ−ターが上段と下段からなる非接触ヒーターである仮撚加工機を用い、該ヒーターの上段及び/又は下段のヒーター温度を250〜400℃に維持して延伸仮撚加工する。ここで、上段及び下段のヒーターがいずれも250℃未満の場合には十分な捲縮を付与することができなくなるので好ましくなく、一方、いずれも400℃を越える場合には本発明の油剤を用いなくともヒータータールの蓄積は少なくなる。なお、本発明では、仮撚加工方式は摩擦仮撚加工を対象としているが、その方式はディスク、ベルトのいずれによるフリクション方式であってもよい。加工速度は800m/分以上、好ましくは1000m/分以上が適当である。
【0033】
【実施例】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例における各評価項目は下記の方法で測定した。
<ヒーターガイド上のタールの発生状況>
3週間加工後のヒーター上に発生したタール量の大小を肉眼判定し、1〜5級の判定を行った。1級(不可)〜5級(良)
<加工安定性>
加工中における毛羽の発生の大小ならびに断糸率、捲縮性などから、○良好、△やや劣る、×劣るの3段階で示した。
【0034】
[実施例1]
固有粘度が0.64のポリエチレンテレフタレートを紡糸速度3100m/分で溶融紡糸し、その際、走行糸条に表1記載の組成の油剤(各成分は重量部で表示)を濃度10重量%の水系エマルジョンとして純分付着量が0.35重量%になるように付着させた。得られた伸度150%、丸断面の144デシテックス/36フィラメントの未延伸マルチフィラメント糸を、延伸同時仮撚装置(糸条入側の非接触式第1ヒータの上段ヒータHAの長さを0.3m、設定温度を550℃、熱処理時間を0.018秒とし、糸条出側の非接触式第1ヒータの下段ヒータHBの長さを0.7m、設定温度を350℃、熱処理時間を0.042秒)により、延伸倍率1.78、加工速度1000m/分で延伸仮撚加工を施し、83デシテックス/36フィラメントの延伸仮撚加工糸を得た。
【0035】
その評価結果を表1に示す。なお、表中C成分の略称CAはパーフルオロアルキル(平均炭素数9)ベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、CBはパーフルオロアルキル(平均炭素数8)スルホン酸カリウム塩を表す。
【0036】
【表1】
Figure 0003899270
【0037】
【発明の効果】
以上に詳述した本発明の加工方法によれば、非接触式で、上段及び下段からなる第1ヒーターのいずれかのヒーター温度を400℃以下にしても、ヒーターガイドへのヒータータールの蓄積がなく安定した延伸仮撚加工性が得られる。

Claims (3)

  1. 第1ヒ−ターが上段と下段からなる非接触ヒ-ター加工機を用い、該ヒーターの上段及び/又は下段のヒーター温度を250〜400℃に維持して合成繊維未延伸マルチフィラメント糸を延伸仮撚加工するに際し、該合成繊維未延伸マルチフィラメント糸に下記(A)〜(C)成分を必須成分として含有する油剤を予め付与せしめたものを用いることを特徴とする合成繊維の延伸仮撚加工方法。
    (A)プロピレンオキサイド(PO)とエチレンオキサイド(EO)との共重合体であって、平均分子量が1000〜10000、PO/EO共重合重量比が20/80〜80/20であるポリオキシアルキレングリコール共重合体:60〜99.5重量%
    (B)下記▲1▼〜▲3▼の合計のアニオン成分(但し▲1▼及び▲2▼を必須として含有):0.5〜2.0重量%
    ▲1▼ 分子内に少なくとも1ケ以上のアルキル基とスルホン酸基を有するスルホネート化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩
    ▲2▼ 高級アルキル又はアラアルキルのポリオキシアルキレンエーテル基を含有する燐酸エステルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩
    ▲3▼ 二重結合を有するジカルボン酸又はその無水物に炭素数8〜18のオレフィンを付加して得られる長鎖モノオレフィン付加ジカルボン酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩
    (C)炭素数4〜20のパーフルオロアルキル基を含有するパーフルオロアルキルスルホン酸のアルカリ金属塩又はパーフルオロアルキル芳香族スルホン酸のアルカリ金属塩0.01〜0.1重量%
  2. 該油剤の、分子内に少なくとも1ケ以上のアルキル基とスルホン酸基を有するスルホネート化合物のアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩の含有量が0.2重量%以上で、高級アルキル又はアラアルキルのポリオキシアルキレンエーテル基を含有する燐酸エステルのアルカリ金属塩、アンモニウム塩又は有機アミン塩の含有量が0.2重量%以上である請求項1記載の合成繊維の延伸仮撚加工方法。
  3. 合成繊維未延伸マルチフィラメント糸への油剤の付着量が0.2〜0.5重量%である合成繊維の延伸仮撚加工方法。
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