JP3899162B2 - 軸状部材の高周波無酸化焼入方法及びその装置 - Google Patents

軸状部材の高周波無酸化焼入方法及びその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ねじ軸等の如き軸状部材の表面を無酸化状態で焼入するための高周波無酸化焼入方法及びその装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来において高周波無酸化焼入を行なうに際しては、次のような方法を採用している。すなわち、開放された下端部分が冷却槽の冷却液中に浸積されている容器、或いは、冷却槽が内部に配置された密閉容器を用いると共に、この容器の内部を不活性ガス或いは還元性ガスを充満した状態とし、この状態の下で前記容器内に配設された高周波誘導加熱コイルにてワーク(軸状部材)を下降移動させながら加熱し、しかる後に冷却槽の冷却液中に浸積し、冷却液中に設けた冷却ジャケットから冷却液をワークに噴射させることにより焼入を行っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の高周波無酸化焼入方法及びこの方法を実施する装置にあっては、次のような問題点がある。まず、冷却槽を密閉容器内に収容するようにした場合には、大きな容積の密閉容器を用いる必要があるため、密閉容器内へ充満させるガスの量も必然的に多くなり、容器内に残存する酸素(焼入処理の弊害となる空気)を容器外に排出するのに時間を要するという問題点がある。また、特に軸長が長い軸状部材をワークとする場合には、このワークの全体を収容し得る大きな密閉容器若しくは冷却槽が必要となり、装置が大型化してしまう不具合がある。
【0004】
本発明は、このような問題点の鑑みてなされたものであって、その目的は、理想的な高周波無酸化焼入を施すことができ、しかも大きな容積の容器を必要とすることがないような軸状部材の高周波無酸化焼入方法及びその装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、本発明に係る高周波無酸化焼入方法では、軸状部材を下降移動させつつ加熱した後に冷却して前記軸状部材の表面に焼入処理を施す高周波移動焼入方法において、高周波誘導加熱コイルにて前記軸状部材の表面を移動加熱する際に、前記高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって所要の圧力及び流量の不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射すると共に、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記軸状部材のガス噴射箇所の上方のハウジング内に充満させた後にガス充満状態を維持しながらこの充満したガスを前記ハウジングから排気する一方、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入を施すようにしている。
【0006】
また、本発明に係る高周波無酸化焼入方法では、前記ガスの噴射圧力より前記冷却液の噴射圧力を大きく設定している。
【0007】
また、本発明に係る高周波無酸化焼入装置では、軸状部材を下降移動させつつ加熱した後に冷却して前記軸状部材の表面に焼入処理を施す高周波移動焼入装置において、前記軸状部材の表面を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイルと、この高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置に配設されかつ不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射するガス噴射環と、このガス噴射環の下部位置に配設された冷却液噴射環と、前記ガス噴射環の上部位置に配設されたハウジングと、このハウジングに設けられたガス排出手段とをそれぞれ具備し、前記高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって前記ガス噴射環から不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスを噴射し、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記ハウジング内に充満させてこの充満したガスを前記ガス排出手段を介して前記ハウジングの外部へ排出し、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を前記高周波誘導加熱コイルにて移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入するようにしている。
【0008】
また、本発明に係る高周波無酸化焼入装置では、軸状部材を下降移動させつつ加熱した後に冷却して前記軸状部材の表面に焼入処理を施す高周波移動焼入装置において、ガス噴射孔及び冷却液噴射孔を有する管状部材から構成された高周波誘導加熱コイルと、この高周波誘導加熱コイルの上部位置に配設されたハウジングと、このハウジングに設けられたガス排出手段とをそれぞれ具備し、前記高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって前記高周波誘導加熱コイルのガス噴射孔から不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射し、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記ハウジング内に充満させてこの充満したガスを前記ガス排出手段を介して前記ハウジングの外部へ排出し、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を前記高周波誘導加熱コイルにて移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入するようにしている。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施態様について図1及び図2を参照して説明する。なお、図1及び図2にそれぞれ示す高周波無酸化焼入装置は、ねじ軸とナットとが硬球を介して作動する機械部品であるボールねじのねじ軸1の移動焼入に適用した例である。
【0010】
図1は、本発明の第1実施形態に係る高周波無酸化焼入装置1を示すものであって、この装置1はねじ軸(ワーク)2の表面を高周波無酸化移動焼入するための装置1である。図1に示すように、本例の高周波無酸化焼入装置1は、ねじ軸2の表面のねじ溝2aを高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイル3と、この高周波誘導加熱コイル3の加熱部3aを取り囲む高さ位置に配設されたガス噴射環4と、このガス噴射環4の上部位置に配設されたハウジング5と、前記ガス噴射環4の下部位置に配設された冷却液噴射環6とをそれぞれ具備している。
【0011】
ワークとしてのねじ軸2は、その軸端面に形成されたセンター孔(図示せず)を介して図外のワーク移動機構の上下センターに載置固定されるようになっている。そして、この上下センターは、図外のワーク回転機構及びワーク昇降機構に接続されている。
【0012】
また、高周波誘導加熱コイル3は、内部に冷却水が通される水冷式銅管にて構成されており、ねじ軸2のねじ溝2aの表面を加熱すべくねじ軸2の軸線方向に沿って被加熱面と所要の間隙をもつように鞍型半開放の形状に成形された加熱部3aと、この加熱部3aに高周波電源7から高周波電流を供給するためのリード部3bとをそれぞれ備えている。そして、この高周波誘導加熱コイル3を取り囲むように円筒状のガス噴射環4が配置されている。なお、図1に示すように、このガス噴射環4の内周面には多数のガス噴射孔8が形成され、その外周面にはガス導入管9が接続されている。しかして、図外のガス供給部からガス導入管9を介してガス噴射環4内に不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスが供給され、高周波誘導加熱コイル3を取り囲む高さ位置において、ガス噴射環4のガス噴射孔8から所要圧力,流量の不活性ガス,還元性ガス或いはそれらの混合ガスがねじ軸2の移動加熱面(表面)に噴射され、これによりねじ軸2の加熱表面の酸化を防ぐように構成されている。
【0013】
また、移動加熱表面を移動冷却するための冷却液噴射環6は、内周面に多数の冷却液噴射孔10が形成され、外周面に冷却液導入管11が接続されている。かくして、図外の冷却水供給部から冷却液導入管11を介して冷却液噴射環6内に供給され、移動加熱されたねじ軸2の表面に高周波誘導加熱コイル3の下方位置(図1参照)において冷却液噴射環6の冷却液噴射孔10から所要の圧力,流量の冷却液が移動加熱表面に所要の下向き角度をもって噴射されるようになっている。なお、本例においては、移動加熱されたねじ軸2の表面上に噴射される冷却液に噴射ガスが巻き込まれるのを防止するために、ガスの噴射圧力より冷却液の噴射圧力を大きく設定するようにしている。
【0014】
一方、ハウジング5は、ガス噴射環4のガス噴射孔8から噴射されたガスをガス噴射環4の上方部分に充満させておくための枠体から成り、その上壁の中央箇所にはねじ軸2の直径よりも僅かに大きな直径を有するねじ軸挿通用開口12が設けられている。さらに、前記ハウジング5にはガス排出管13(ガス排気手段)が連結されており(図1参照)、このガス排出管13には排出ガス流量調整弁14及び電磁弁15が直列接続されている。しかして、排出ガス流量調整弁14の機能により、ハウジング5内に導入されて充満された充満ガス16のガス量、及び、前記ねじ軸挿通用開口12とねじ軸2との間の隙間から排出されるガス量に応じた量のガスが、前記排出ガス流量調整弁14を介してハウジング5の外部へ排出されるように構成されている。従って、ガス噴射環4の上方のハウジング5内にガスが常に充満した状態(ガス充満状態)の下でガスが排出されると共に、ガス噴射環4のガス噴射孔8から噴射されたガスがねじ軸2に沿って上方(図1の矢印α方向)に流れ続けるようになっている。
【0015】
このような構成の高周波無酸化焼入装置1を用いてボールねじのねじ軸2を高周波無酸化焼入する場合には、その手順は下記の如く行われる。
【0016】
(1) まず、図外のワーク移動機構の上下センターにより、ねじ軸2の上下端面に開口されたセンター穴を介してねじ軸2が位置決めされて固定支持される。
(2) 次いで、図外のワーク昇降機構によりねじ軸2が図1において矢印A方向に下降移動され、このねじ軸2が所定の焼入開始位置すなわち高周波誘導加熱コイル3に対応する高さ位置で停止される。
(3) この状態の下で、電磁弁15が閉じられ、これに応じてガス排出管13と外気との間の連通が遮断される。これに伴い、ガス導入管9から導入された所要の圧力(正圧),流量の不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスが、高周波誘導加熱コイル3を取り囲む高さ位置において、ねじ軸2に向かってガス噴射環4のガス噴射孔8から噴射され(図1参照)、ハウジング5内の空気が前記ねじ軸挿通用開口12とねじ軸2との間の隙間を通って外部へ排出されると共に、ハウジング5内に噴射ガスが充満された状態となる。
(4) この後、冷却液噴射環6より所要の圧力,流量の冷却液が高周波誘導加熱コイル3の下方位置(図1参照)において噴射されると共に、ガス導入管9から導入された所要の圧力(正圧),流量の不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスが、高周波誘導加熱コイル3を取り囲む高さ位置(図1参照)において、ねじ軸2に向かってガス噴射環4のガス噴射孔8から噴射され続ける
(5) 次いで、所要時間に亘ってガスを噴射した後に電磁弁15が開かれ、これに応じてガス排出管13が外気に連通される。そして、ねじ軸2へのガスの噴出によるねじ軸2の上部のハウジング5内におけるガス充満と、このガス充満の後におけるガス排出管13を通してのガス排気とが同時にかつ連続的に行われてガスが軸状部材の表面に沿って上方に流れる。
(6) このような状態の下で、ねじ軸2が図外のワーク回転機構によりその軸線を中心に図1において矢印B方向に回転駆動されると共に、図外のワーク昇降機構により所要の移動速度で下降移動され、高周波電源7から高周波誘導加熱コイル3に所要周波数の高周波電流が供給されてねじ軸2の被加熱面(ねじ溝2a部分の表面)の移動加熱が開始される。
(7) 次いで、所要の焼入温度まで加熱されたねじ軸2の被焼入部分が、冷却液噴射環6のガス噴射孔10から噴射されている冷却液中に突入され、焼入冷却が開始される。
(8) ねじ軸2の所定範囲の焼入が完了されるのに応じて、高周波誘導加熱コイル3への通電、ガス噴射環6からのガスの噴射、及び、冷却液噴射環6からの冷却液の噴射が停止されると共に、ねじ軸2の下降移動及び回転駆動が停止される。
(9) しかる後に、ねじ軸2は所定位置まで上昇移動され、その位置においてねじ軸2が前記ワーク移動機構の上下センター間より取り外され、焼入完了品として次工程に送られる。
【0017】
このような高周波無酸化焼入装置1を用いた高周波無酸化焼入方法によれば、高周波誘導加熱コイル3に対応する箇所において、すなわち、ねじ軸2が高周波誘導加熱コイル3にて移動加熱が開始される箇所において、所要の圧力及び流量の不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスをねじ軸2の表面(被焼入面)に噴射するようにしているので、この噴射ガスの噴射によってねじ軸2の移動加熱表面近傍の酸素(空気)はハウジング5及びガス排出管13を順次介して外部へ排出され、ねじ軸2の被加熱面は移動加熱中に前記ガスと常時接触しているため無酸化状態を保ちつつ焼入が施されることとなる。また、ハウジング5内の充満ガス16は継続的に排気状態となっているので、後続のねじ軸2の焼入に際してハウジング5内の空気(酸素)抜き作業は必要がなく、従って作業能率良く焼入を行なうことができる。
【0018】
しかも、本例の場合には、ねじ軸2の加熱面に噴射されたガスはねじ軸2の表面に沿って上下方向(図1において矢印α及びβで示す方向)に流れ、上方に流れたガスは、ハウジング5内に充満されて加熱前のねじ軸2の表面に常時接触した状態となる。従って、この充満ガス16(図1参照)の存在により、ねじ軸2の下降に伴い前記充満ガス16がねじ軸2の表面に連れ添ってこれを覆うため、ハウジング5の下部においてガス噴射がなされた場合、この箇所において噴射ガスに紛れて空気(酸素)が入り込んでねじ軸2の加熱面に接触するようなことは回避され、その結果、移動冷却により焼入されたねじ軸2の表面は無酸化状態に仕上がることとなる。
【0019】
さらに、ガスの噴射圧力より冷却液の噴射圧力を大きく設定するようにしているので、冷却液への噴射ガスの巻き込まれるのが防止され、冷却むらひいては焼入むらの発生が防止され、均一な焼入パターンを得ることができる。従って、本例によれば、理想的な無酸化状態の下で極めて良好な焼入を施すことができる。
【0020】
以下に、本発明に係る具体的な実施例を示す。
Figure 0003899162
上記加工条件にて上記加工手順にしたがって移動焼入加工することにより、焼入表面は無酸化状態で焼入された。
【0021】
また、図2は本発明の第2実施形態に係る高周波無酸化焼入装置18を示すものであって、本例の装置18は、円筒状外周面を有する軸状部材19の表面を焼入処理するためのものである。図2に示すように、本例においては、高周波誘導加熱コイル3を構成する銅管にガス噴射孔20及び冷却液噴射孔21をそれぞれ設けるようにしている。この場合には、図2に示すように、ガス噴射孔20を高周波誘導加熱コイル3に対応する高さ位置に設け、冷却液噴射孔21は高周波誘導加熱コイル3の下方位置に設ける。また、高周波誘導加熱コイル3にガス通路22及び冷却液通路23を設けると共に、ガス通路22に噴射ガスを導入するガス導入管24及び冷却液通路23に冷却液を供給する冷却液導入管25を前記コイル3に接続するようにしている。しかして、本例においてはガス導入管24及びガス通路23を順次通って供給されるガスがガス噴射孔20からねじ軸2の移動加熱開始面に噴射される一方、冷却液導入管25及び冷却液通路23を順次通って供給される冷却液が冷却液噴射孔21からねじ軸2の移動加熱面に向けて噴射されるように構成されている。
【0022】
このような構成の高周波用度加熱コイル3を備えた高周波無酸化焼入装置を用いて焼入を施すようにした場合には、既述の場合と同様に無酸化焼入を行なうことができることに加えて次のような利点がある。すなわち、高周波用度加熱コイル3がガス噴射環4及び冷却液噴射環6を兼ねた機能を有することとなるため、ガス噴射環4及び冷却液噴射環6を省略でき、ひいては装置の備品点数の削減を図り得ると共に、装置の簡素化並びにコストダウンを図ることが可能となる。
【0023】
【発明の効果】
以上の如く、本発明の係る軸状部材の高周波無酸化焼入方法は、高周波誘導加熱コイルにて前記軸状部材の表面を移動加熱する際に、高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって所要の圧力及び流量の不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射すると共に、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記軸状部材のガス噴射箇所の上方のハウジング内に充満させた後にガス充満状態を維持しながらこの充満したガスを前記ハウジングから排気する一方、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入を施すようにしたものであるから、本発明によれば、軸状部材に直接的に噴射されるガス及びこのガス噴射箇所の上部に充満されたガスの存在、並びに、軸状部材の被加熱部の表面上を流れるガスの存在により、移動加熱すべき軸状部材の表面(被加熱面)への空気の巻き込み、ひいてはこの表面に酸素(空気)が接触するのを極めて効果的に防止することができ、従って軸状部材を理想的な無酸素状態の下で焼入することが可能となる。
【0024】
また、本発明によれば、前記ガスの噴射圧力より前記冷却液の噴射圧力を大きく設定するようにしているので、軸状部材の加熱表面に噴射された冷却液に前記ガスが巻き込まれて焼入パターンにむらを生じるような不具合の発生を回避することができ、良好な冷却効率にて均一な焼入パターンを得ることが可能となる。
【0025】
また、本発明の係る軸状部材の高周波無酸化焼入装置によれば、軸状部材の表面を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイルと、この高周波誘導加熱コイルの近傍位置に配設されかつ不活性ガス又は還元性ガス、或いは不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射するガス噴射環と、このガス噴射環の下部近傍位置に配設された冷却液噴射環と、前記ガス噴射環上部近傍位置に配設されたハウジングと、このハウジングに設けられたガス排出手段とをそれぞれ設けるだけの簡単な構成のもので済む上に、冷却液噴射環の下方は開放(何らの部材も配置しない開放口)にすることが可能であり、軸長が長い軸状部材であっても大型の容器等を用いることなく軸状部材の高周波無酸化焼入を容易に行なうことができる。
【0026】
また、本発明の係る軸状部材の高周波無酸化焼入装置は、ガス噴射孔及び冷却液噴射孔を有する管状部材から構成された高周波誘導加熱コイルと、この高周波誘導加熱コイルの上部位置に配設されたハウジングと、このハウジングに設けられたガス排出手段とをそれぞれ設けるようにしたものであるから、軸状部材の形状や寸法,焼入仕様に応じて上述の如くガス噴射孔及び冷却液噴射孔を有する高周波誘導加熱コイルすなわちガス噴射孔及び冷却液噴射孔が一体化された一体型コイルを用いることにより、ガス噴射環及び冷却液噴射環を別個に設ける必要がなくなり、装置の部品点数の削減による構造のより一層の簡素化並びにコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高周波無酸化焼入装置の第1の実施形態を示すものであって、加熱コイル,ガス噴射環,冷却液噴射環がそれぞれ別体として配設されるタイプの高周波無酸化焼入装置の構成を示す断面図である。
【図2】本発明に係る高周波無酸化焼入装置の第2の実施形態を示すものであって、高周波誘導加熱コイルにガス噴射環及び冷却液噴射環をそれぞれ設けたタイプの高周波無酸化焼入装置の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1,18 高周波無酸化焼入装置
2 軸状部材(ワーク)
3 高周波誘導加熱コイル
4 ガス噴射環
5 ハウジング
6 冷却液噴射環
7 高周波電源
8,20 ガス噴射孔
10,21 冷却液噴射孔
13 ガス排出管(ガス排気手段)
16 充満ガス
19 軸状部材
22 ガス通路
23 冷却液通

Claims (4)

  1. 軸状部材を下降移動させつつ加熱した後に冷却して前記軸状部材の表面に焼入処理を施す高周波移動焼入方法において、高周波誘導加熱コイルにて前記軸状部材の表面を移動加熱する際に、前記高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって所要の圧力及び流量の不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射すると共に、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記軸状部材のガス噴射箇所の上方のハウジング内に充満させた後にガス充満状態を維持しながらこの充満したガスを前記ハウジングから排気する一方、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入を施すようにしたことを特徴とする軸状部材の高周波無酸化焼入方法。
  2. 前記ガスの噴射圧力より前記冷却液の噴射圧力を大きく設定したことを特徴とする請求項1に記載の軸状部材の高周波無酸化焼入方法。
  3. 軸状部材を下降移動させつつ加熱した後に冷却して前記軸状部材の表面に焼入処理を施す高周波移動焼入装置において、前記軸状部材の表面を高周波誘導加熱する高周波誘導加熱コイルと、この高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置に配設されかつ不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射するガス噴射環と、このガス噴射環の下部位置に配設された冷却液噴射環と、前記ガス噴射環の上部位置に配設されたハウジングと、このハウジングに設けられたガス排出手段とをそれぞれ具備し、前記高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって前記ガス噴射環から不活性ガス、還元性ガス又はこれらの混合ガスを噴射し、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記ハウジング内に充満させてこの充満したガスを前記ガス排出手段を介して前記ハウジングの外部へ排出し、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を前記高周波誘導加熱コイルにて移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入するようにしたことを特徴とする軸状部材の高周波無酸化焼入装置。
  4. 軸状部材を下降移動させつつ加熱した後に冷却して前記軸状部材の表面に焼入処理を施す高周波移動焼入装置において、ガス噴射孔及び冷却液噴射孔を有する管状部材から構成された高周波誘導加熱コイルと、この高周波誘導加熱コイルの上部位置に配設されたハウジングと、このハウジングに設けられたガス排出手段とをそれぞれ具備し、前記高周波誘導加熱コイルを取り囲む高さ位置において、移動加熱を行なうべき軸状部材の表面に向かって前記高周波誘導加熱コイルのガス噴射孔から不活性ガス、又は還元性ガス、或いは不活性ガス及び還元性ガスの混合ガスを噴射し、噴射されて加熱前の軸状部材の表面に沿って上方に流れるガスを前記加熱前の軸状部材の表面に常時接触させると共に前記ハウジング内に充満させてこの充満したガスを前記ガス排出手段を介して前記ハウジングの外部へ排出し、前記軸状部材の下降に伴い前記軸状部材の表面に連れ添ってくる前記ガスにて前記軸状部材の表面を覆った状態の下で前記軸状部材の表面を前記高周波誘導加熱コイルにて移動加熱し、移動加熱された前記軸状部材の表面に冷却液を前記高周波誘導加熱コイルの下方位置において噴射して冷却し、これにより前記軸状部材の表面を無酸素状態の下で焼入するようにしたことを特徴とする軸状部材の高周波無酸化焼入装置。
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