JP3898806B2 - 洗剤ビルダーおよび洗剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗浄力が高く、再汚染が生じにくい洗剤組成物およびこのような洗剤組成物を得させるビルダーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、高密度洗剤に配合される洗剤ビルダーとして、ゼオライトが主流になっている。しかし、ゼオライトは、マグネシウムイオンを除去しにくく、水に不溶でもあるため、汚れを分散させる能力が低く、これを用いた洗剤は、再汚染が生じやすく、しかも、洗浄力が低いという問題がある。
【0003】
このような問題は、アクリル酸−マレイン酸共重合体等の高分子系ビルダーを用いることによって、ある程度は解決する。
最近、洗浄力がさらに高く、再汚染しにくい洗剤ビルダーが求められているが、上記従来の洗剤ビルダーはこのような要望に十分には応えていない。
上記従来のビルダーは、洗浄力が不足しているため、高密度洗剤に配合するには、不十分なものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、洗浄力が高く、再汚染が発生しにくい洗剤組成物を得させるビルダーおよびこのビルダーを配合した洗剤組成物を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために、各種ビルダーの組み合わせが良いのではないかと着想し、高密度洗剤等に用いられる洗剤ビルダーの組み合わせについて鋭意検討した結果、特定の高分子系ビルダーを組み合わせることとすれば、洗浄力が大いに向上させることができるとともに、再汚染が生じにくくなることを発見し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明にかかる洗剤ビルダーは、下記一般式(1)で示されるグリオキシル酸構造単位を分子内に有し、数平均分子量が5万以上である重合体(A)と、下記一般式(2)で示される不飽和カルボン酸構造単位を分子内に有する重合体(B)とを含んでなる。
【0007】
【化5】
Figure 0003898806
【0008】
(但し、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種である。)
【0009】
【化6】
Figure 0003898806
【0010】
(但し、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種;R1は、水素原子およびCOOX基から選ばれた少なくとも1種;R2は、水素原子、メチル基およびCH2COOX基から選ばれた少なくとも1種である。)
前記重合体(A)および重合体(B)の合計量に対する前記重合体(A)の割合が5〜95重量%であると好ましく、20〜80重量%であるさらに好ましい。
【0011】
前記グリオキシル酸構造単位の重合体(A)中での割合が30重量%以上、および/または、前記不飽和カルボン酸構造単位の重合体(B)中での割合が50重量%以上であると、好ましい。
前記重合体(A)が、下記一般式(3)で示されるポリグリオキシル酸構造単位と、下記一般式(4)で示されるポリアルキレングリコール構造単位とを含み、数平均分子量が5万以上であるブロック共重合体であると、好ましい。
【0012】
【化7】
Figure 0003898806
【0013】
(但し、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種であり、yの平均値は10以上である。)
【0014】
【化8】
Figure 0003898806
【0015】
(但し、nは2〜4の整数、xの平均値は5以上である。)
本発明にかかる洗剤組成物は、界面活性剤と、上記洗剤ビルダーとを含んでなる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下では、まず、重合体(A)および重合体(B)を説明した後、洗剤ビルダーおよび洗剤組成物の構成について説明する。
〔重合体(A)〕
本発明で用いられる重合体(A)は、上記一般式(1)で示されるグリオキシル酸構造単位を分子内に有する重合体である。グリオキシル酸構造単位はグリオキシル酸に由来する構造単位である。重合体(A)は、上記一般式(1)で示されるグリオキシル酸構造単位を分子内に有するため、洗剤ビルダーとしての基本的な特性である、洗剤組成物の洗浄力向上に寄与し、しかも、それ自体、生分解性に優れる。重合体(A)は、後述の重合体(B)との併用により、洗浄力助長能力が一層高まり、洗剤組成物に対し再汚染を発生しにくくさせる作用を発揮する。
【0017】
上記一般式(1)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基(NH4基)から選ばれた少なくとも1種である。アルカリ金属原子としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等を挙げることができ、これらのアルカリ金属原子が1種または2種以上使用される。
グリオキシル酸構造単位の重合体(A)中での割合については、特に限定はないが、好ましくは重合体(A)全体の30重量%以上、さらに好ましくは50重量%以上である。グリオキシル酸構造単位の割合が30重量%未満であると、洗剤組成物の洗浄力が低下し、再汚染が生じ易くなるおそれがある。
【0018】
重合体(A)の数平均分子量は50,000以上であり、好ましくは50,000〜1,000,000である。重合体(A)の数平均分子量が50,000未満であると、再汚染が生じ易くなるおそれがある。他方、数平均分子量が1,000,000を超えると、粘度が高くなり、取扱いにくくなるとともに、再汚染が生じ易くなるおそれがある。
【0019】
重合体(A)は、グリオキシル酸構造単位のみからなる単独重合体であってもよく、また、グリオキシル酸構造単位と他の構造単位とを含む共重合体であってもよい。他の構造単位としては、たとえば、アルキレングリコールに由来する構造単位(アルキレングリコール構造単位)等を挙げることができる。アルキレングリコール構造単位は、相溶性が高く、液体洗剤用として好適である。
【0020】
重合体(A)の末端構造については、特に限定はないが、たとえば、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環族アルコール等に由来するアルコキシ基等からなる末端構造を挙げることができる。
重合体(A)が共重合体の場合は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよいが、好ましいものの一例として、複数のグリオキシル酸構造単位からなるポリグリオキシル酸構造単位と、複数のアルキレングリコール構造単位からなるポリアルキレングリコール構造単位を含む、以下に詳しく述べるブロック共重合体を挙げることができる。
【0021】
ここに言うブロック共重合体は、上記一般式(3)で示されるポリグリオキシル酸構造単位と、上記一般式(4)で示されるポリアルキレングリコール構造単位とを含むブロック共重合体である。
ポリグリオキシル酸構造単位は、グリオキシル酸が重合したポリグリオキシル酸に由来する構造単位である。一般式(3)中、yの平均値は10以上であり、好ましくは、15以上である。yの平均値が10未満であると、洗浄力が低下し、再汚染が生じる。Xの具体例や、その好ましいもの等は上記したものと同じである。
【0022】
ポリアルキレングリコール構造単位は、ポリアルキレングリコールに由来する構造単位である。一般式(4)中、nは2〜4の整数、xの平均値は5以上である。nは2〜4の整数であれば特に限定はなく、したがって、n=2であるポリエチレングリコール構造単位、n=3であるポリプロピレングリコール構造単位、n=4であるポリブチレングリコール構造単位のいずれでもよいが、水に対する溶解性の点からは、n=2のポリエチレングリコール構造単位が好ましい。xの平均値は5以上であり、好ましくは10以上である。xの平均値が5未満であると、相溶性が低下する。
【0023】
上記ブロック共重合体中のポリグリオキシル酸構造単位の割合と数平均分子量は重合体(A)で説明したものと同じである。
上記ブロック共重合体の各構造単位の配列は、ポリアルキレングリコール構造単位を「a」と表し、ポリグリオキシル酸構造単位を「b」と表すと、下記▲1▼〜▲4▼の配列に大別される。
【0024】
▲1▼ ab型ブロック共重合体
▲2▼ bab型ブロック共重合体
▲3▼ aba型ブロック共重合体
▲4▼ 前記▲1▼〜▲3▼を繰り返したブロック共重合体
重合体(A)は、好適には以下の方法で得られるが、これ以外の製造方法で得られたものであっても良い。
【0025】
重合体(A)は、たとえば、グリオキシル酸アルキルエステルを、アルコールおよび触媒の存在下で、アルコールを開始点として重合させた後、アルカリ性物質でケン化反応させることによって得られる。
アルコールとしては特に限定はなく、たとえば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、ドデカノール、シクロヘキサノール等の一価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等の二価アルコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール−プロピレングリコール共重合体等のポリアルキレングリコール類を挙げることができ、1種または2種以上使用される。これらのうち、ポリアルキレングリコール類を用いた場合、得られる重合体は、上記ブロック共重合体となる。
【0026】
グリオキシル酸アルキルエステルとしては、たとえば、グリオキシル酸メチル、グリオキシル酸エチル、グリオキシル酸n−プロピル、グリオキシル酸iso−プロピル、グリオキシル酸n−ブチル、グリオキシル酸iso−ブチル、グリオキシル酸sec−ブチル、グリオキシル酸tert−ブチル等を挙げることができ、1種または2種以上使用される。
【0027】
上記重合の触媒としては特に限定はないが、好ましいものとして、カチオン重合触媒、アニオン重合触媒等を挙げることができる。カチオン重合触媒としては、たとえば、三フッ化ホウ素エーテラート(BF3 ・Et2 O)、トリフルオロ酢酸、塩酸、硫酸、リン酸、五酸化リン等を挙げることができる。アニオン重合触媒としては、たとえば、ジエチル亜鉛、n−ブチルリチウム等の有機金属化合物;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ金属化合物;トリエチルアミン、N,N−ジメチルドデシルアミン等のアミン;ソジオメチルマロネートエステル;ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド等のアルカリ金属アルコキシド等を挙げることができる。グリオキシル酸アルキルエステルの重合には、一般にアニオン重合触媒を用いたほうが、重合体の数平均分子量の制御が容易であり好ましい。触媒の使用量については特に限定はなく、触媒の種類により異なるが、たとえば、アミン触媒では、グリオキシル酸アルキルエステルに対して0.001〜10重量%である。
【0028】
上記重合の反応温度は、反応条件によって異なり、用いられる触媒や溶媒の種類により適宜定められ、特に限定はないが、通常は−50〜50℃の範囲内で行われる。−50℃より低い温度であれば冷却を行うのが困難であり、50℃を超える温度では収率が低下する。
グリオキシル酸アルキルエステルの重合は、溶媒を使用した溶液重合、無溶媒系の塊状重合のいずれでもよい。なお、溶液重合は回分式、連続式のいずれの方式でも行うことができる。
【0029】
溶液重合で使用される溶媒としては、たとえば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香属炭化水素;シクロヘキサン、n−ヘキサン等の脂肪族炭化水素;塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル化合物;アセトン等のケトン化合物;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル化合物等を挙げることができる。これらのうち、トルエン、酢酸メチル、ジオキサン、アセトンから選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0030】
上記のようにして、グリオキシル酸アルキルエステルを重合させると、エステル基が主鎖にペンダントした構造の重合体が得られる。これを重合体(A)に変換するため、アルカリ性物質でケン化反応させる。
アルカリ性物質としては、たとえば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物を挙げることができる。これらのアルカリ性物質は1種または2種以上を使用することができる。アルカリ性物質の使用量については特に限定はないが、グリオキシル酸アルキルエステルに対して1.0〜2.0(モル比)であると好ましい。さらに好ましくは1.1〜1.5である。
【0031】
ケン化反応は、アルカリ性物質を含む水溶液中で、反応温度0〜100℃、さらに好ましくは20〜70℃で行う。
ケン化反応によって得られるカルボン酸のアルカリ金属塩からなる基を、さらにイオン交換法等によって、必要に応じて、カルボン酸アンモニウム塩からなる基や、カルボキシル基に容易に変換することができる。
〔重合体(B)〕
本発明で用いられる重合体(B)は、上記一般式(2)で示される不飽和カルボン酸構造単位を必須とする重合体である。不飽和カルボン酸構造単位は不飽和カルボン酸に由来する構造単位である。重合体(B)は、上記重合体(A)との併用により、洗浄力助長能力が一層高まり、洗剤組成物に対し再汚染を発生しにくくさせる作用を発揮する。
【0032】
上記一般式(2)中、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基(NH4基)から選ばれた少なくとも1種であり、その具体例および好ましいもの等は、重合体(A)について説明したのと同じである。上記一般式(3)中、R1は、水素原子およびCOOX基から選ばれた少なくとも1種あり、R2は、水素原子、メチル基およびCH2COOX基から選ばれた少なくとも1種である。
【0033】
不飽和カルボン酸構造単位としては、たとえば、下記一般式(5)で示されるマレイン酸構造単位、下記一般式(6)で示されるアクリル酸構造単位、および、下記一般式(7)で示されるメタクリル酸構造単位等を挙げることができ、これらの単位が1種のみ存在するほか、2種以上共存することもできる。
【0034】
【化9】
Figure 0003898806
【0035】
【化10】
Figure 0003898806
【0036】
【化11】
Figure 0003898806
【0037】
(但し、上記一般式(5)〜(7)で、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種である。)
不飽和カルボン酸構造単位の重合体(B)中での割合については、特に限定はないが、好ましくは重合体(B)全体の50重量%以上、さらに好ましくは、80重量%以上、最も好ましくは100重量%である。不飽和カルボン酸構造単位の割合が50重量%未満であると、洗剤組成物の洗浄力が低下し、再汚染が生じるおそれがある。
【0038】
重合体(B)の数平均分子量については、特に限定はなく、好ましくは1,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは2,000〜100,000である。重合体(B)の数平均分子量が1000未満であると、カルシウムイオン捕捉能が低下し、洗浄力が低下することがある。他方、数平均分子量が1,000,000を超えると、粘度が高くなり、取扱いにくくなるとともに、再汚染が生じるおそれがある。
【0039】
重合体(B)は、1種類の不飽和カルボン酸構造単位のみの単独重合体であってもよく、また、2種類以上の不飽和カルボン酸構造単位を含む共重合体や、不飽和カルボン酸構造単位と他の単量体構造単位とを含む共重合体であってもよい。他の単量体構造単位としては、たとえば、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ナフトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アリルアルコール、アリルアルコールのエチレンオキサイド付加物、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の他の単量体に由来する構造単位を挙げることができ、これらは1種または2種以上使用される。
【0040】
重合体(B)が共重合体の場合は、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体のいずれでもよい。
重合体(B)の製造方法については、特に限定はなく、任意の方法で製造できる。その好ましい一例として、マレイン酸、アクリル酸およびメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種の不飽和カルボン酸を、ラジカル重合開始剤の存在下で、必要に応じて上記他の単量体とともに、重合させる方法がある。さらに必要に応じて、得られた重合体のカルボキシル基を、カルボン酸のアルカリ金属塩からなる基や、イオン交換法等によってカルボン酸アンモニウム塩からなる基に変換して、重合体(B)を製造してもよい。
〔洗剤ビルダー〕
本発明にかかる洗剤ビルダーは、上記重合体(A)および重合体(B)とを含み、必要に応じて、後述のその他成分を含有する。
【0041】
洗剤ビルダー中の重合体(A)の配合割合は、重合体(A)および重合体(B)の合計量に対して、5〜95重量%が好ましく、20〜80重量%がさらに好ましい。重合体(A)の配合割合が5重量%未満であると、再汚染が生じ易くなり、生分解性も低下するおそれがある。他方、重合体(A)の配合割合が95重量%を超えると、洗浄力が低下し、再汚染が生じ易くなるおそれがある。
【0042】
本発明の洗剤ビルダーは、その他成分を含むことができる。その他成分としては、ケイ酸塩、炭酸塩、硫酸塩等のアルカリビルダー;ジグリコール酸、オキシカルボン酸塩、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、DTPA(ジエチレントリアミン六酢酸)クエン酸等のキレートビルダー;再付着防止剤;ゼオライト等のその他成分を含有してもよく、これらのその他成分は1種または2種以上を使用することができる。
【0043】
本発明の洗剤ビルダーは、界面活性剤とともに、後述の洗剤組成物に配合される成分であり、分散性およびキレート能力に優れ、洗浄力が高い。この洗剤ビルダーは、洗濯中において、洗剤組成物を含む水溶液のpHを一定に保ち、水溶液中のカルシウムイオン等を捕捉し、被洗濯物から引き剥がした汚れを水溶液中に分散させ、この汚れが被洗濯物に再付着するのを防止する働きを有している。
〔洗剤組成物〕
本発明にかかる洗剤組成物は、界面活性剤と、上記洗剤ビルダーとを含んでなる組成物である。この洗剤組成物は、最終製品である洗剤でもよく、その中間製品であってもよい。
【0044】
この洗剤組成物に用いられる界面活性剤としては、たとえば、界面活性剤は、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤等を挙げることができ、1種または2種以上使用される。
アニオン系界面活性剤としては、たとえば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテル硫酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸またはエステル塩、アルカンスルホン酸塩、飽和または不飽和脂肪酸塩、アルキルまたはアルケニルエーテルカルボン酸塩、アミノ酸型界面活性剤、N−アシルアミノ酸型界面活性剤、アルキルまたはアルケニルリン酸エステルまたはその塩等を挙げることができる。
【0045】
ノニオン系界面活性剤としては、たとえば、ポリオキシアルキレンアルキルまたはアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミドまたはそのアルキレンオキサイド付加物、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグリコキシド、脂肪酸グリセリンモノエステル、アルキルアミンオキサイド等を挙げることができる。
【0046】
カチオン系界面活性剤としては、たとえば、第4アンモニウム塩等を挙げることができる。
両性界面活性剤としては、たとえば、カルボキシル型またはスルホベタイン型両性界面活性剤等を挙げることができる。
本発明の洗剤組成物に用いられる界面活性剤の配合割合については、特に限定はないが、洗剤組成物中10〜60重量%が好ましく、15〜50重量%がさらに好ましい。界面活性剤の配合割合が10重量%未満であると、油汚れ等に対する洗浄力が低下するおそれがある。他方、60重量%を超えると、経済的に不利になるおそれがある。
【0047】
洗剤組成物に用いられる界面活性剤の配合割合については、特に限定はないが、洗剤組成物中、0.1〜60重量%が好ましく、3〜30重量%がさらに好ましい。洗剤ビルダーの配合割合が0.1重量%未満であると、洗浄力が低下し、再汚染や黄ばみが発生するおそれがある。他方、60重量%を超えると、経済的に不利になるおそれがある。
【0048】
本発明にかかる洗剤組成物は、界面活性剤および洗剤ビルダー以外に、必要に応じて、プロテアーゼ、(アルカリ)リパーゼ、(アルカリ)セルラーゼ等の酵素;蛍光剤;漂白剤;香料等のその他成分を含有してもよく、これらのその他成分は1種または2種以上を使用することができる。
洗剤組成物が酵素を含む場合、酵素としては、アルカリ洗浄液中で活性が高い、アルカリリパーゼや、アルカリセルラーゼが好ましい。また、酵素の配合割合は、洗剤組成物中0.01〜5重量%が好ましい。酵素の配合割合が0.01重量%未満であると、十分な洗剤性能を発揮できないことがある。他方、5重量%を超えると、経済性が低下するおそれがある。
【0049】
本発明にかかる洗剤組成物は、液体洗剤、粉末洗剤のいずれであっても良い。
【0050】
【実施例】
以下、本発明を実施例および比較例により具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。「部」は「重量部」を示す。
−実施例1−
ポリグリオキシル酸ナトリウム(数平均分子量100,000)10部、アクリル酸−マレイン酸共重合体(数平均分子量60,000)10部、ゼオライト20部、炭酸ナトリウム20部およびケイ酸ナトリウム10部を混合して、洗剤ビルダーを調製した。この洗剤ビルダーに、直鎖アルキル(炭素数12〜16)ベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)20部および1級アルコール(炭素数12〜16)硫酸ナトリウム(AS)10部を混ぜて、洗剤組成物とした。
【0051】
得られた洗剤組成物について、下記に示す方法で、洗浄性試験および再汚染性試験を行い、洗浄率および再汚染率を測定した。これらの結果を表1に示す。
〔洗浄性試験および再汚染性試験〕
ミリスチル酸8.3部、カレイン酸8.3部、トリステアリン8.3部、トリオレイン8.3部、ステアリン酸コレステロール1.1部、パラフィンワックス(融点48〜50℃)5.5部、スクワレン5.5部、コレステロール4.4部、カーボンブラック0.6部およびクレイ49.7部からなる人工汚垢を調製し、この人工汚垢を四塩化炭素に溶解および分散させてなる汚垢浴に、木綿布(本油化学協会指定綿布60番)を浸漬した後、この木綿布を乾燥し、10cm×10cmの布片に裁断した。これらの布片のうち反射率36〜40%の範囲のものを汚染布とし、木綿布を汚垢浴に漬けずに10cm×10cmの大きさに裁断したものを未汚染布とした。未汚染布の反射率も測定した後、以下の洗浄性試験および再汚染性試験に用いた。
洗浄性試験
洗剤組成物の濃度が0.133%になるように、25℃、4°DHの水1000mlに洗剤組成物を加えてなる洗剤液に、試験布(汚染布5枚および未汚染布5枚)を入れ、Terg−O−Tometerを用いて、100rpmの回転数で10分間洗浄した。その後、3分間すすぎを行い、試験布を脱水し、乾燥させ、その反射率を測定した。洗浄率は、下式にしたがって算出した。
【0052】
洗浄率(%)={(洗浄前の汚染布の反射率−洗浄後の汚染布の反射率)/(洗浄前の汚染布の反射率−洗浄前の未汚染布の反射率)}×100
再汚染性試験
上記洗浄性試験で、汚染布については新しいものに取り替え、未汚染布については同じものを使用して、洗浄性試験を5回行い、5回洗浄後の未汚染布の反射率を測定した。再汚染率は、下式にしたがって算出した。
【0053】
再汚染率(%)={1−(5回洗浄後の未汚染布の反射率−洗浄前の未汚染布の反射率)}×100
−実施例2〜3および比較例1〜3−
実施例1において、用いる成分を表1に示すように変更する以外は、実施例1と同様にして、洗剤ビルダーおよび洗剤組成物を得た。得られた洗剤組成物を実施例1と同様に評価した。その結果を表1に示す。
【0054】
【表1】
Figure 0003898806
【0055】
重合体(A1):ポリグリオキシル酸ナトリウム(数平均分子量100,000)
重合体(A2):グリオキシル酸−エチレングリコールブロック共重合体(数平均分子量50,000、グリオキシル酸/エチレングリコール(共重合比)=5/5)
重合体(B1):アクリル酸−マレイン酸共重合体(数平均分子量60,000)
重合体(B2):ポリアクリル酸(数平均分子量10,000)
【0056】
【発明の効果】
本発明にかかる洗剤ビルダーは、洗浄力助長能力が高く、再汚染が発生しにくくさせる。
本発明にかかる洗剤組成物は、上記洗剤ビルダーを含むため、洗浄力が高く、洗濯の際に、再汚染が生じたりすることがない。

Claims (7)

  1. 下記一般式(1)で示されるグリオキシル酸構造単位を分子内に有し、数平均分子量が5万以上である重合体(A)と、下記一般式(2)で示される不飽和カルボン酸構造単位を分子内に有する重合体(B)とを含んでなる、洗剤ビルダー。
    Figure 0003898806
    (但し、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種である。)
    Figure 0003898806
    (但し、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種;R1は、水素原子およびCOOX基から選ばれた少なくとも1種;R2は、水素原子、メチル基およびCH2COOX基から選ばれた少なくとも1種である。)
  2. 前記重合体(A)および重合体(B)の合計量に対する前記重合体(A)の割合が5〜95重量%である、請求項1に記載の洗剤ビルダー。
  3. 前記重合体(A)および重合体(B)の合計量に対する前記重合体(A)の割合が20〜80重量%である、請求項1または2に記載の洗剤ビルダー。
  4. 前記グリオキシル酸構造単位の重合体(A)中での割合が30重量%以上である、請求項1から3までのいずれかに記載の洗剤ビルダー。
  5. 前記不飽和カルボン酸構造単位の重合体(B)中での割合が50重量%以上である、請求項1から4までのいずれかに記載の洗剤ビルダー。
  6. 前記重合体(A)が、下記一般式(3)で示されるポリグリオキシル酸構造単位と、下記一般式(4)で示されるポリアルキレングリコール構造単位とを含み、数平均分子量が5万以上であるブロック共重合体である、請求項1から5までのいずれかに記載の洗剤ビルダー。
    Figure 0003898806
    (但し、Xは、水素原子、アルカリ金属原子およびアンモニウム基から選ばれた少なくとも1種であり、yの平均値は10以上である。)
    Figure 0003898806
    (但し、nは2〜4の整数、xの平均値は5以上である。)
  7. 界面活性剤と請求項1から6までのいずれかに記載の洗剤ビルダーとを含んでなる、洗剤組成物。
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