JP7063576B2 - 繊維製品用の液体洗浄剤組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、液体洗浄剤組成物に関する。
近年、洗濯機の大容量化等に伴い、衣類等(被洗物)のつめこみ洗いや週末にまとめて洗濯するまとめ洗いの頻度が高くなっている。つめこみ洗いやまとめ洗いは、汚れが落ちにくい洗濯環境である。
このような洗濯環境の下、泥汚れ等の一般的な汚れに加えて、通常の洗濯方法では落ちにくい頑固な汚れに対しても優れた洗浄力を有する液体洗浄剤組成物が求められている。
特許文献1には、ノニオン界面活性剤と特定の無水マレイン酸系共重合体を組み合わせた液体洗浄剤組成物が提案されている。特許文献1の液体洗浄剤組成物は、シミ汚れに対する洗浄力と保存安定性(保存中の固化や析出の生じにくさ)の向上が図られている。
特許第5832813号公報
頑固な汚れに対しては、液体洗浄剤組成物を被洗物に直接塗布して一定時間放置し、その後通常の洗濯を行う方法(塗布洗浄)が効果的である。
一方で、塗布洗浄では、液体洗浄剤組成物中の水分や溶剤が蒸発し、被洗物上で液体洗浄剤組成物が濃縮される。その結果、通常の洗濯時に被洗物が水と接触したときに、液体洗浄剤組成物がゲル化して、十分な洗浄性が発揮されないことがある。このため、液体洗浄剤を被洗物に塗布してから洗濯するまでの放置時間は、通常5分程度である。加えて、濃縮された液体洗浄剤組成物は、保存安定性を確保しにくいという問題がある。
そこで、本発明は、塗布洗浄性及び保存安定性に優れる液体洗浄剤組成物を目的とする。
鋭意検討を重ねた結果、本発明者等は、特定の有機溶剤と、ポリカルボン酸系ポリマーとを組み合わせることで、液体洗浄剤組成物の塗布洗浄性が向上することを見出した。
即ち、本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)成分:ポリカルボン酸系ポリマー及びその塩から選択される1種以上と、(B)成分:下記一般式(b)で表される化合物と、(C)成分:界面活性剤(ただし、高級脂肪酸塩を除く。)と、を含有し、液体洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が5質量%未満である、液体洗浄剤組成物。
Figure 0007063576000001
(一般式(b)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、Rは、水素原子又はアセチル基である。)
[2]前記(C)成分が、ノニオン界面活性剤(C-1)及びアニオン界面活性剤(C-2)から選択される1種以上である、[1]に記載の液体洗浄剤組成物。
[3](D)成分:炭素数2~3の1価アルコール及び炭素数2~4の多価アルコールから選択される1種以上を、さらに含有する、[1]又は[2]に記載の液体洗浄剤組成物。
[4]前記(A)成分が、炭素数4~12の炭化水素及びアクリル酸から選択される1種以上とマレイン酸との共重合体、並びにその塩から選択される1種以上である、[1]~[3]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
[5]前記(A)成分の質量平均分子量が3000~100000である、[1]~[4]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
[6]液体洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分の含有量が1~30質量%であり、前記(C-1)成分の含有量が10~60質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
[7]前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.01~3である、[1]~[6]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
[8]前記(C-1)成分/前記(A)成分で表される質量比が5~500である、[1]~[7]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
本発明の液体洗浄剤組成物によれば、塗布洗浄性及び保存安定性に優れる。
[液体洗浄剤組成物]
本発明の液体洗浄剤組成物(以下、単に液体洗浄剤ともいう)は、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分を含有する組成物である。
<(A)成分>
(A)成分は、ポリカルボン酸系ポリマー及びその塩から選択される1種以上である。本発明の液体洗浄剤は、(A)成分を含有することで、皮脂汚れに対する塗布洗浄性が向上する。
(A)成分としては、例えば、ポリアクリル酸及びその塩、ポリマレイン酸及びその塩、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩、炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩、並びにアクリル酸-メタクリル酸共重合体及びその塩等から選択される1種以上が挙げられる。(A)成分としては、アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩から選択される1種以上、又は炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上が好ましい。
塩は、一部でも全部でもよく、塩としてはナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩やアルカノールアミン等の有機アミン塩が好ましい。
(A)成分における、炭素数4~12の炭化水素としては、マレイン酸と共重合可能なものであればよく、原料のハンドリング性の観点から炭素数10以下の炭化水素が好ましく、炭素数5~9の炭化水素がより好ましい。このような炭化水素として、例えば、二重結合をもつ不飽和鎖式炭化水素が挙げられる。
(A)成分の共重合体は、下記一般式(a1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位及び下記一般式(a2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位から選択される1種以上の繰り返し単位を有するポリマーであってもよい。
Figure 0007063576000002
一般式(a1)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数1~9のアルキル基である。一般式(a2)中、Rは水素原子又はメチル基であり、Rは水素原子又は炭素数10~30のアルキル基であり、Rは水素原子又はカルボキシル基である。ただし、一般式(a2)中、Rが水素原子のとき、Rは炭素数10~30のアルキル基であり、Rがカルボキシル基のとき、Rは水素原子である。
一般式(a1)中、Rのアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。また、環状構造を含んでもよい。Rのアルキル基の炭素数は、1~8が好ましく、1~4がより好ましい。
一般式(a1)で表されるモノマー(以下、モノマー(a1)ともいう)としては、例えば、アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル等のアクリル酸エステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸n-ブチル等のメタクリル酸エステル等が挙げられる。
モノマー(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一般式(a2)中、Rのアルキル基は、直鎖状でもよいし分岐鎖状でもよい。また、環状構造を含んでいてもよい。Rのアルキル基の炭素数は、10~25が好ましく、10~20がより好ましい。
一般式(a2)で表されるモノマー(以下、モノマー(a2)ともいう)のうち、一般式(a2)において、Rが水素原子、Rが炭素数10~30のアルキル基であるモノマー(a2)としては、例えば、アクリル酸デシル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸テトラデシル、アクリル酸ヘキサデシル、アクリル酸オクタデシル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸テトラデシル、メタクリル酸ヘキサデシル、メタクリル酸オクタデシル等が挙げられる。一般式(a2)において、Rがカルボキシル基、Rが水素原子であるモノマー(a2)としては、例えば、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。Rがカルボキシル基、Rが水素原子であるモノマー(a2)としては、マレイン酸が好ましい。
モノマー(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分は、架橋されたポリマーでもよいし、架橋されていないポリマーでもよい。
前記架橋されたポリマーとしては、例えば、架橋剤により架橋された高分子架橋体が挙げられる。前記架橋剤としては、例えば、アリルエーテル化合物が挙げられる。前記アリルエーテル化合物としては、例えば、アリルエーテル、糖のアリルエーテル、糖アルコールのアリルエーテル等が挙げられる。前記糖としては、例えば、スクロース等が挙げられる。前記糖アルコールとしては、例えば、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
(A)成分は、一般式(a1)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位及び一般式(a2)で表されるモノマーから誘導された繰り返し単位以外の繰り返し単位(他の繰り返し単位)を有していてもよい。
他の繰り返し単位としては、他のモノマーから誘導された繰り返し単位が挙げられる。
他のモノマーとしては、モノマー(a1)及びモノマー(a2)と共重合可能であれば特に限定されず、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等が挙げられる。
他のモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の質量平均分子量は、3000~100000が好ましく、5000~80000がより好ましく、5000~50000がさらに好ましい。(A)成分の質量平均分子量が上記下限値以上であると、液体洗浄剤の塗布洗浄性を向上しやすい。(A)成分の質量平均分子量が上記上限値以下であると、液体洗浄剤の保存安定性を向上しやすい。
(A)成分の質量平均分子量は、ポリエチレングリコール(PEG)を標準物質として、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により求めることができる。
(A)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、5質量%未満であり、0.1~5質量%未満が好ましく、0.1~3.5質量%がより好ましく、0.2~2質量%がさらに好ましい。(A)成分の含有量が上記下限値以上であると、液体洗浄剤の塗布洗浄性を向上しやすい。(A)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体洗浄剤の保存安定性を向上しやすい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の市販品としては、例えば、炭素数4~12の炭化水素とマレイン酸との共重合体及びその塩から選択される1種以上については、日本ゼオン(株)製のクインフロー540(ナトリウム塩)、542(ナトリウム塩)、543(アンモニウム塩)、640(ナトリウム塩);BASF社製のSokalan CP9(ナトリウム塩)(いずれも商品名)等が挙げられる。
アクリル酸-マレイン酸共重合体及びその塩から選択される1種以上については、BASF社製のSokalan CP7(ナトリウム塩)、(株)日本触媒製のアクアリックTL-400(ナトリウム塩)(いずれも商品名)等が挙げられる。
アクリル酸-マレイン酸共重合体における、アクリル酸とマレイン酸との共重合比(モル比)は、50:50~80:20が好ましく、50:50~70:30がより好ましく、55:45~65:35がさらに好ましい。アクリル酸とマレイン酸との共重合比が上記下限値以上(アクリル酸の割合が50以上)であると、液体洗浄剤中での溶解性がより高まる。アクリル酸とマレイン酸との共重合比が上記上限値以下(アクリル酸の割合が80以下)であると、液体洗浄剤の塗布洗浄性がより高まる。
<(B)成分>
(B)成分は、下記一般式(b)で表される化合物である。(B)成分は有機溶剤であり、ゲル化を抑制するとともに、塗布洗浄時の洗浄力に寄与する。
Figure 0007063576000003
一般式(b)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、Rは、水素原子又はアセチル基である。
(B)成分としては、3-メトキシブタノ-ル、3-メトキシ-3-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-3-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-3-プロピルブタノ-ル、3-メトキシ-2-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-2-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-2-プロピルブタノ-ル、3-メトキシ-1-メチルブタノ-ル、3-メトキシ-1-エチルブタノ-ル、3-メトキシ-1-プロピルブタノ-ル、3-メトキシブチルアセテート、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-3-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-2-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-2-プロピルブチルアセテート、3-メトキシ-1-メチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-エチルブチルアセテート、3-メトキシ-1-プロピルブチルアセテート等が挙げられる。
これらの中でも、3-メトキシブタノール、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-2メチルブタノール、3-メトキシ-1-メチルブタノール、3-メトキシ-3-メチルブチルアセテートが好ましく、3-メトキシ-3-メチルブタノールがより好ましい。
(B)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、1~30質量%が好ましく、1~20質量%がより好ましく、2~10質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量が上記下限値以上であると、保存安定性、塗布洗浄性により優れ、塗布洗浄の際の放置時間を長くしても液体洗浄剤のゲル化を抑制しやすい。(B)成分の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすく、使用性を向上しやすい。本明細書において、使用性とは、液体洗浄剤をボトルからキャップに注ぎ、キャップ内の液体洗浄剤を繊維製品に塗布する際の使用性を意味する。
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、(A)/(B)比ともいう)は、0.01~3が好ましく、0.01~2.5がより好ましく、0.03~2がさらに好ましい。(A)/(B)比が上記下限値以上であると、塗布洗浄性を向上しやすい。(A)/(B)比が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすい。
<(C)成分>
(C)成分は、界面活性剤(ただし、高級脂肪酸塩を除く。)である。本発明の液体洗浄剤は、(C)成分を含有することで、衣類の汚れに対する洗浄力を発揮する。
(C)成分としては、従来の液体洗浄剤に用いられる界面活性剤を用いることができる。(C)成分としては、例えば、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤等が挙げられる。(C)成分としては、洗浄力を高める観点から、ノニオン界面活性剤及びアニオン界面活性剤から選択される1種以上が好ましい。
((C-1)成分)
(C-1)成分は、ノニオン界面活性剤である。本発明の液体洗浄剤は、(C-1)成分を含有することで、塗布洗浄性に優れる。
(C-1)成分としては、例えば、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤、アルキルフェノール、高級アミン等のアルキレンオキシド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキシド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキル(又はアルケニル)アミンオキシド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキシド付加体、糖脂肪酸エステル、N-アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
本明細書において、高級アミンとは、炭素数8~22のアミンを意味する。
(C-1)成分としては、上記の中でも、適切な粘度にし、保存安定性を高める観点から、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤が好ましい。
ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤としては、例えば、下記一般式(c1)で表される化合物(以下、「化合物(c1)」ということがある)、下記一般式(c2)で表される化合物(以下、「化合物(c2)」ということがある)が挙げられる。
化合物(c1)は、脂肪酸アルキル(アルケニル)エステルである。
化合物(c2)は、アルコール型ノニオン界面活性剤である。
11-C(=O)O-[(EO)/(PO)]-(EO)-R12・・・(c1)
13-O-[(EO)/(PO)]-(EO)-H・・・(c2)
一般式(c1)中、R11は炭素数7~22の炭化水素基であり、R12は炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。tが1以上である場合、[(EO)/(PO)]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
一般式(c2)中、R13は炭素数7~22の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、vはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。wが1以上である場合、[(EO)/(PO)]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。
なお、平均繰り返し数は、ガスクロマトグラフィー等によって測定することができる。
一般式(c1)において、R11の炭化水素基の炭素数は、8~22が好ましく、9~21が好ましく、10~21がより好ましく、11~18がさらに好ましい。R11の炭化水素基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよく、不飽和結合を有していても有していなくてもよい。
12におけるアルキル基の炭素数は、1~6であり、1~3が好ましい。
12におけるアルケニル基の炭素数は、2~6であり、2~3が好ましい。
s+uは3~20が好ましく、5~18がより好ましい。s+uが上記下限値以上であると、(C-1)成分自体の原料臭気の劣化を抑制しやすい。s+uが上記上限値以下であると、HLB値を抑制でき、皮脂汚れに対する塗布洗浄性を向上しやすい。
なお、HLB値とは、界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値である。HLB値は0~20までの値をとり、0に近いほど親油性が高く、20に近いほど親水性が高い。
tは0~6の数であり、0~3が好ましい。上記上限値超では、液体洗浄剤の高温下での保存安定性が低下する傾向にある。
一般式(c2)において、R13の炭素数は10~22が好ましく、10~20がより好ましく、10~18がさらに好ましい。
13は直鎖の炭化水素基であってもよく、分岐鎖の第1級の炭化水素基及び直鎖の第2級炭化水素基から選ばれる基であってもよい。
13が直鎖の炭化水素基である場合、v+xは3~20が好ましく、5~18がより好ましく、6~18がさらに好ましく、11~18が特に好ましい。wは0~6の数であり、0~3が好ましい。
13が分岐鎖の第1級の炭化水素基及び直鎖の第2級炭化水素基から選ばれる基である場合、v+xは3~8が特に好ましく、wは0が好ましい。
エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布は特に限定されない。
付加モル数分布は、ノニオン界面活性剤を製造する際の反応方法によって変動しやすい。例えば、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ触媒を用いて、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを疎水性原料に付加させた際には、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドの付加モル数分布が比較的広い分布となる傾向にある。また、特公平6-15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、エチレンオキシドやプロピレンオキシドを疎水性原料に付加させた際には、エチレンオキシドやプロピレンオキシドの付加モル数分布が比較的狭い分布となる傾向にある。
化合物(c1)として、ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルが好ましく、特に、一般式(c1)におけるR12がメチル基であるポリオキシエチレン脂肪酸メチルエステル(以下、MEEということがある)がより好ましい。
(C-1)成分としてポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルを用いることで、液体洗浄剤を繊維製品に塗布して長時間放置したときにゲル化しにくく、液体洗浄剤の水への溶解性が高まり、洗浄力が向上する。加えて、液体洗浄剤中のアニオン界面活性剤の含有量を高めても粘度の著しい増大(ゲル化)が生じにくく、良好な流動性を有する濃縮型の液体洗浄剤を得られる。
(C-1)成分は、少なくともMEEを含むことが好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステルにおいて、エチレンオキシドの付加モル数が異なる化合物の分布(付加モル数分布)の割合を示すナロー率は、20質量%以上が好ましい。ナロー率の上限値は実質的に80質量%以下が好ましい。ナロー率は、20~60質量%がより好ましい。ナロー率が高いほど良好な洗浄力が得られるが、高すぎると低温での保存安定性が低下するおそれがあることから、ナロー率は25~40質量%がさらに好ましい。
ポリオキシエチレン脂肪酸アルキルエステル等のポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤のナロー率は、下記の数式(S)で求められる値である。
Figure 0007063576000004
式(S)において、smaxは、ポリオキシアルキレン型ノニオン界面活性剤中に最も多く存在するアルキレンオキシド付加体におけるアルキレンオキシドの付加モル数(式(c1)中のs+t+uの値)を示す。
iはアルキレンオキシドの付加モル数を示す。
Yiは、式(S)で表される成分全体の中に存在するアルキレンオキシドの付加モル数がiであるアルキレンオキシド付加体の割合(質量%)を示す。
(C-1)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、10~60質量%が好ましく、15~50質量%がより好ましく、30~45質量%がさらに好ましい。(C-1)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄性能がより優れる。また塗布洗浄性を向上しやすい。(C-1)成分の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすい。
(C-1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C-1)成分が、少なくとも化合物(c1)を含むことが好ましく、化合物(c1)と化合物(c2)を含むことがより好ましい。
化合物(c1)と化合物(c2)の合計の含有量は、(C-1)成分の総質量に対して、50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。化合物(c1)と化合物(c2)の合計の含有量が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。
化合物(c1)/化合物(c2)の質量比(以下、(c1)/(c2)比ともいう)は、3/7~(10未満)/(0超)が好ましく、4/6~(10未満)/(0超)がより好ましく、5/5~(10未満)/(0超)がさらに好ましい。(c1)/(c2)比が上記下限値以上であると、保存安定性により優れ、塗布洗浄の際の放置時間を長くしても液体洗浄剤のゲル化を抑制しやすい。
特に、化合物(c1)がMEEであり、化合物(c2)が「一般式(c2)においてR13が炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基であり、vが15、wが0、xが0である化合物(AE(15EO))」であることが好ましい。
(C-1)成分/(A)成分で表される質量比(以下、(C-1)/(A)比ともいう)は、5~500が好ましく、10~300がより好ましく、15~250がさらに好ましい。(C-1)/(A)比が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。(C-1)/(A)比が上記上限値以下であると、塗布洗浄性を向上しやすい。
(B)成分/(C-1)成分で表される質量比(以下、(B)/(C-1)比ともいう)は、0.04~1が好ましく、0.04~0.8がより好ましく、0.04~0.5がさらに好ましい。(B)/(C-1)比が上記下限値以上であると、保存安定性を向上しやすい。(B)/(C-1)比が上記上限値以下であると、洗浄性能により優れる。
((C-2)成分)
(C-2)成分は、アニオン界面活性剤(ただし、高級脂肪酸塩を除く。)である。本発明の液体洗浄剤は、(C-2)成分を含有することで、再汚染防止性を向上しやすい。
ここで、再汚染とは、洗浄中に被洗物から洗浄液中に移行した汚れが、再び被洗物に付着することをいう。
(C-2)成分としては、従来、繊維製品用等の液体洗浄剤に用いられているアニオン界面活性剤を用いることができる。例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩;α-オレフィンスルホン酸又はその塩;直鎖状又は分岐鎖状のアルキル硫酸エステル又はその塩;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩;ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸又はその塩;α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩;アルキルエーテルカルボン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンエーテルカルボン酸又はその塩、アルキルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アルケニルアミドエーテルカルボン酸又はその塩、アシルアミノカルボン酸又はその塩等のカルボン酸型アニオン界面活性剤;アルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルリン酸エステル又はその塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルリン酸エステル又はその塩、グリセリン脂肪酸エステルモノリン酸エステル又はその塩等のリン酸エステル型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
本明細書において、高級脂肪酸とは、炭素数8~22の脂肪酸を意味する。
アニオン界面活性剤の塩の形態としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;モノエタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
上記のうち、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8~16の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が好ましく、直鎖アルキル基の炭素数10~14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
アルキル基の炭素数が上記範囲内であれば、再汚染防止性により優れる。アルキル基としては、例えば、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基が挙げられる。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩としては、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法で製造してもよい。公知の合成方法としては、アルキルベンゼンを無水硫酸でスルホン化する方法が挙げられる。
α-オレフィンスルホン酸又はその塩としては、炭素数10~20のα-オレフィンスルホン酸又はその塩が好ましい。
アルキル硫酸エステル又はその塩としては、炭素数10~20のアルキル硫酸エステル又はその塩が好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩としては、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有し、平均1~10モルのエチレンオキシドを付加したアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩(すなわち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩)が好ましい。また、炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比がエチレンオキシド/プロピレンオキシド=0.1/9.9~9.9/0.1)を平均0.5~10モル付加した、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩が好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩として、炭素数10~20の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基を有し、平均1~10モル(より好ましくは平均1~5モル)のアルキレンオキシドが付加されたものがより好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩は、例えば下記一般式(c3)で表される。
14-O-[(EO)/(PO)]-SO ・・・(c3)
一般式(c3)中、R14は炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、pはEOの平均繰り返し数を表し、0以上の数であり、qはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、0<p+qである。Mは対カチオンである。
14の炭素数は、8~20であり、10~20が好ましく、12~14がより好ましい。R14としては、例えば、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基等が挙げられる。これらの中でもドデシル基が好ましい。
EOの平均繰り返し数は、0以上であり、0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。また、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、1.5以下が特に好ましい。
POの平均繰り返し数は0~3が好ましく、0がより好ましい。
としては、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン、マグネシウムイオン等のアルカリ土類金属イオン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミンから誘導されるカチオン等が挙げられる。
(EO)/(PO)において、EOとPOはランダム付加であってもよくブロック付加であってもよい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩としては、市販品を用いてもよいし、公知の合成方法で製造してもよい。公知の合成方法としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルに、無水硫酸を反応させるか、クロルスルホン酸を反応させる方法が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩としては、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有し、平均1~10モルのエチレンオキシドを付加したアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩(すなわち、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩)が好ましい。また、炭素数2~4のアルキレンオキシドのいずれか、又はエチレンオキシドとプロピレンオキシド(モル比がエチレンオキシド/プロピレンオキシド=0.1/9.9~9.9/0.1)を平均0.5~10モル付加した、炭素数8~20の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基を有するアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩が好ましい。
アルカンスルホン酸又はその塩としては、炭素数は10~20のアルカンスルホン酸又はその塩が挙げられ、炭素数14~17のアルカンスルホン酸又はその塩が好ましく、第2級アルカンスルホン酸又はその塩が特に好ましい。
α-スルホ脂肪酸エステル又はその塩としては、炭素数10~20のα-スルホ脂肪酸エステル塩が好ましい。
(C-2)成分としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸エステル又はその塩、アルカンスルホン酸又はその塩、及びα-オレフィンスルホン酸又はその塩からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。
これらの中でも、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩、及び直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩からなる群から選択される少なくとも1種がより好ましく、2種以上を併用することがさらに好ましい。
(C-2)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対して、0~50質量%が好ましく、5~40質量%がより好ましく、10~30質量%がさらに好ましい。(C-2)成分の含有量が上記下限値以上であると、再汚染防止性を向上しやすい。(C-2)成分の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすい。
(C-2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C-2)成分は、少なくともポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル又はその塩(AES)と、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸又はその塩(LAS)とを含むことが好ましい。
(C-2)成分がAESとLASとを含む場合、AES/LASで表される質量比(以下、AES/LAS比ともいう)は1/9~9/1が好ましく、2/8~8/2がより好ましく、3/7~7/3がさらに好ましい。AES/LAS比が上記下限値以上であると、酵素安定性により優れる。AES/LAS比が上記上限値以下であると、保存安定性により優れる。本明細書において、酵素安定性とは、液体洗浄剤の保存における酵素活性の低下のしにくさを意味する。
(C-2)成分の総質量に対して、AESとLASの合計の含有量が50質量%以上であることが好ましく、65質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。100質量%でもよい。AESとLASの合計の含有量が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。
(C-2)成分/(A)成分で表される質量比(以下、(C-2)/(A)比ともいう)は、0~300が好ましく、2.5~200がより好ましく、5~150がさらに好ましい。(C-2)/(A)比が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。(C-2)/(A)比が上記上限値以下であると、塗布洗浄性をより向上しやすい。
(C-2)成分/(B)成分で表される質量比(以下、(C-2)/(B)比ともいう)は、0~10が好ましく、1.5~8がより好ましく、2.5~7がさらに好ましい。(C-2)/(B)比が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。(C-2)/(B)比が上記上限値以下であると、保存安定性をより向上しやすい。
(C-1)成分と(C-2)成分の合計の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、15~80質量%が好ましく、15~75質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。(C-1)成分と(C-2)成分の合計の含有量が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。(C-1)成分と(C-2)成分の合計の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすく、すすぎ性により優れる。本明細書において、すすぎ性とは、すすぎ洗い時の泡切れの良さを意味する。
(C-1)成分/(C-2)成分で表される質量比(以下、(C-1)/(C-2)比ともいう)は、0.5~30が好ましく、0.5~20がより好ましく、0.5~10がさらに好ましい。(C-1)/(C-2)比が上記下限値以上であると、塗布洗浄性をより向上しやすい。(C-1)/(C-2)比が上記上限値以下であると、再汚染防止性をより向上しやすい。
(カチオン界面活性剤)
(C)成分は、(C-1)成分、(C-2)成分以外に他の界面活性剤を含有してもよい。他の界面活性剤としては、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、従来、衣料用等の液体洗浄剤に用いられているカチオン界面活性剤であればよく、例えば、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩;パルミテートエステルプロピルジメチルアミン、ステアレートエステルプロピルジメチルアミン等の脂肪族エステルアルキル3級アミン又はその塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド;アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩等の第4級化物等が挙げられる。
これらの中でも、長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミン又はその塩が好ましく、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド又はこれらの塩がより好ましい。
これらのカチオン界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(両性界面活性剤)
両性界面活性剤としては、従来、衣料用等の液体洗浄剤に用いられている両性界面活性剤であればよく、例えば、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン酸型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型等の両性界面活性剤が挙げられる。
これらの両性界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)成分の含有量(界面活性剤の総含有量)は、液体洗浄剤の総質量に対して、15~85質量%が好ましく、15~80質量%がより好ましく、30~65質量%がさらに好ましい。(C)成分の含有量が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。また、濃縮タイプの液体洗浄剤として商品の差別化を図ることができ、塗布洗浄性をより向上しやすい。(C)成分の含有量が上記上限値以下であると、液体洗浄剤の保存安定性を向上しやすい。また、すすぎ性により優れる。
<任意成分>
本発明の液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、(A)成分、(B)成分、(C)成分以外の任意成分を含有してもよい。
任意成分としては、例えば、高級脂肪酸又はその塩、後述する(D)成分、(D)成分以外の有機溶剤、水、キレート剤、酵素、ハイドロトロープ剤(例えば、ポリエチレングリコール、芳香族スルホン酸又はその塩等)、(A)成分以外の洗浄性ビルダー、安定化剤、アルカリ剤(例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等)、抗菌剤、シリコーン等の風合い向上剤、柔軟剤、消泡剤、再汚染防止剤(ソイルリリース剤)、防腐剤、蛍光剤、移染防止剤、パール剤、酸化防止剤、着色剤として汎用の色素又は顔料、乳濁化剤、香料、不溶粒子、pH調整剤等が挙げられる。
なお、「高級脂肪酸」とは、炭素数8~22の脂肪酸を意味する。
これら任意成分のうち、酵素を含むことにより、塗布洗浄性がさらに向上する。
((D)成分)
(D)成分は、炭素数2~3の1価アルコール及び炭素数2~4の多価アルコールから選択される少なくとも1種のアルコールである。
炭素数2~3の1価アルコールとしては、例えば、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノールが挙げられる。
炭素数2~4の多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
これらのアルコールの中でも、エタノールが好ましい。
本発明の液体洗浄剤が(D)成分を含む場合、(D)成分の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、0.5~15質量%が好ましく、0.5~10質量%がより好ましく、0.5~5質量%がさらに好ましい。(D)成分の含有量が上記下限値以上であると、保存安定性をより向上しやすい。(D)成分の含有量が上記上限値以下であると、使用性をより向上しやすい。
(D)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の液体洗浄剤が(D)成分を含む場合、(B)成分と(D)成分の合計の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、1~30質量%が好ましく、2~25質量%がより好ましく、3~20質量%がさらに好ましい。(B)成分と(D)成分の合計の含有量が上記下限値以上であると、洗浄性能により優れる。(B)成分と(D)成分の合計の含有量が上記上限値以下であると、保存安定性を向上しやすく、使用性により優れる。
本発明の液体洗浄剤が(D)成分を含む場合、(D)成分/(B)成分で表される質量比(以下、(D)/(B)比ともいう)は、0超3以下が好ましく、0超1以下がより好ましく、0超0.8以下がさらに好ましい。(D)/(B)比が上記上限値以下であると、塗布洗浄性をより向上しやすい。
(酵素)
酵素としては、例えば、プロテアーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、マンナナーゼ、セルラーゼ等が挙げられる。
プロテアーゼとしては、セリンプロテアーゼのように、分子内にセリン、ヒスチジン、及びアスパラギン酸を有するプロテアーゼが好ましい。
一般に、プロテアーゼを含有する製剤(プロテアーゼ製剤)が市販されている。液体洗浄剤を調製する際、プロテアーゼは、通常、このプロテアーゼ製剤を用いて配合される。
プロテアーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Savinase16L、Savinase Ultra 16L、Savinase Ultra 16XL、Everlase 16L TypeEX、Everlase Ultra 16L、Esperase 8L、Alcalase 2.5L、Alcalase Ultra 2.5L、Liquanase 2.5L、Liquanase Ultra 2.5L、Liquanase Ultra 2.5XL、Coronase 48L;ジェネンコア社から入手できる商品名Purafect L、Purafect OX、Properase Lなどが挙げられる。
アミラーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Termamyl 300L、Termamyl Ultra 300L、Duramyl 300L、Stainzyme 12L、Stainzyme Plus 12L;ジェネンコア社から入手できる商品名Maxamyl;天野エンザイム株式会社から入手できる商品名プルラナーゼアマノ;生化学工業株式会社から入手できる商品名DB-250などが挙げられる。
リパーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Lipex 100L、Lipolase 100Lなどが挙げられる。
セルラーゼ製剤としては、例えば、ケアザイム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、ケアザイムプレミアム4500L(商品名、ノボザイムズ社製)、エンドラーゼ5000L(商品名、ノボザイムズ社製)、セルクリーン4500T(商品名、ノボザイムズ社製)などが挙げられる。
マンナナーゼ製剤としては、例えば、ノボザイムズ社から入手できる商品名Mannaway 4L等が挙げられる。
上記酵素は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の液体洗浄剤が酵素を含む場合、酵素の含有量は酵素製剤として、液体洗浄剤の総質量に対して0.1~3質量%が好ましい。
(水)
液体洗浄剤は、水を含むことが好ましい。水の含有量は、液体洗浄剤の総質量に対し、15~80質量%が好ましく、20~70質量%がより好ましく、20~50質量%がさらに好ましい。水の含有量が上記下限値以上であると、製造時のハンドリングのしやすさ及び使用する際の水への溶解性がより優れる。水の含有量が上記上限値以下であると、洗浄性能により優れる。
なお、本発明の液体洗浄剤を構成する成分の合計量は100質量%を超えない。
[液体洗浄剤の製造方法]
本発明の液体洗浄剤は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び必要に応じて配合される成分を混合して得られる。
例えば、(B)成分以外の配合成分を水に加えて混合してpH4~10の混合液とし、前記混合液に(B)成分を添加し混合して液体洗浄剤を得ることができる。(B)成分が添加される混合液のpHが上記範囲内であると、(B)成分の分解を防止できる点で好ましい。前記混合液の温度は15~40℃が好ましい。
最終的に得られる液体洗浄剤の25℃におけるpHは5~9が好ましく、6~8がより好ましい。
本明細書におけるpHは、測定対象を25℃とし、pHメーター(製品名:HM-30G、東亜ディーケーケー株式会社製)により測定される値を意味する。
[液体洗浄剤の使用方法]
液体洗浄剤の使用方法は、例えば、液体洗浄剤を洗濯時に被洗物と一緒に水に投入する方法、液体洗浄剤を予め水に溶解して調製される洗浄剤水溶液に被洗物を浸漬する方法等が挙げられる。また、液体洗浄剤を被洗物に直接塗布して一定時間放置し、その後、通常の洗濯を行ってもよい。
前記洗浄剤水溶液中の液体洗浄剤の含有量は、特に限定されない。水に対する液体洗浄剤の添加量は、例えば、水10L当たり、2~10mLが好ましい。
<塗布洗浄の方法>
塗布洗浄の方法は、本発明の液体洗浄剤を繊維製品の汚れに塗布し、5分以上放置した後に、水と接触させて洗濯処理を行う方法である。
液体洗浄剤を繊維製品に塗布することにより、繊維製品の汚れ部分に液体洗浄剤を含浸させ、汚れと液体洗浄剤とを接触させる。
液体洗浄剤を繊維製品に塗布する際は、液体洗浄剤の濃度を保った状態で汚れと接触させることが好ましく、そのために、繊維製品を水に浸漬させることなく、汚れに液体洗浄剤を直接塗布する。塗布量は、汚れの付着部分の全体に液体洗浄剤が浸透する量以上とする。
塗布後の放置時間(以下、塗布時間ともいう)は5分~24時間が好ましく、30分~24時間がより好ましく、12~24時間がさらに好ましい。30分以上放置することにより優れた洗浄力が発揮される。洗浄力は放置時間が長いほど向上し、24時間程度で頭打ちとなる。
洗濯処理の方法は、液体洗浄剤が塗布された繊維製品を、少なくとも水と接触させて、繊維製品に付着している汚れと液体洗浄剤を水中に移行させて除去する方法であればよく、特に限定されない。通常の洗濯処理は、洗浄処理とすすぎ処理を含む。すすぎ処理は、洗浄処理後に、残留している液体洗浄剤を取り除くための処理である。すすぎ処理後は乾燥等を行い、被洗物から水分を除去する。
洗浄処理では、水と液体洗浄剤とを含む洗浄液中で、好ましくは被洗物に外力を加えて汚れを洗浄液中に移行させた後、脱水等を行って、被洗物を洗浄液から分離する。
すすぎ処理では、洗浄処理を行った後に、液体洗浄剤を含まないすすぎ水中で、好ましくは被洗物に外力を加えて、残留している液体洗浄剤をすすぎ水中に移行させた後、脱水等を行って、被洗物をすすぎ水から分離する。
洗浄処理は通常1回行う。すすぎ処理は1回でもよく、2回以上繰り返してもよい。すすぎ処理が1回ですむと、すすぎ水の使用を節約でき、洗濯時間も短縮できるため好ましい。
被洗物に外力を加える方法は、例えば、洗濯機により機械力を加える方法でもよく、もみ洗い、押し洗い、たたき洗い、つかみ洗い、つまみ洗い、または振り洗い等の手洗いによる方法でもよい。
洗濯処理(洗浄処理)の開始時に、繊維製品に接触させるのは水のみでもよく、水と液体洗浄剤とを含む洗浄液でもよい。水のみを接触させると、繊維製品に塗布された液体洗浄剤が水中に分散されて洗浄液となる。水と液体洗浄剤とを含む洗浄液を接触させると、繊維製品に塗布された液体洗浄剤が洗浄液中に分散され、洗浄液中の液体洗浄剤の濃度が増す。
洗濯処理における被洗物は、液体洗浄剤が塗布された繊維製品だけでなく、液体洗浄剤が塗布されていない他の繊維製品を含んでよい。
洗浄処理において使用される液体洗浄剤の量は、被洗物の合計質量(布量)/液体洗浄剤の合計質量の比が、10~500が好ましく、10~300がさらに好ましく、10~100がさらに好ましい。被洗物の合計質量/液体洗浄剤の合計質量の比が上記下限値以上であると、長時間塗布した際のすすぎ性に優れ、上記上限値以下であると液体洗浄剤が塗布されていない他の繊維製品の洗浄力により優れる。
洗濯処理において使用される液体洗浄剤の全部を、繊維製品の汚れへの塗布に使用してもよく、一部を繊維製品の汚れに塗布し、残りを洗濯処理時に追加してもよい。
洗浄処理において使用される水量は、洗浄処理において使用される液体洗浄剤の量の30~5000倍が好ましく、30~3500倍がより好ましく、30~3000倍がさらに好ましい。洗浄処理において使用される水量が上記下限値以上であると、すすぎ性により優れる。洗浄処理において使用される水量が上記上限値以下であると、洗浄性能により優れる。
塗布洗浄によれば、繊維製品に付着した汚れに本発明の液体洗浄剤を長時間接触させた後に洗濯処理を行うことによって優れた洗浄力が発揮される。
繊維製品としては、例えば、衣料、布巾、シーツ、カーテンなどが挙げられる。繊維製品の素材は特に限定されず、綿、絹、羊毛等の天然繊維、ポリエステル、ポリアミド等の化学繊維等のいずれでもよい。
塗布洗浄は、特に従来の洗濯方法では落ちにくい汚れに対して適用することが好ましい。例えば、インク、ファンデーション、口紅、皮脂、固体脂、食べ物こぼし(カレー、ケチャップ、ソース)、血液、黄ばみ等による汚れの除去に好適である。
以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の[使用原料]に示す通りである。
[使用原料]
<(A)成分>
A-1:炭素数5のオレフィンとマレイン酸との共重合体ナトリウム塩、日本ゼオン(株)製の商品名「クインフロー542」。
A-2:オレフィンとマレイン酸との共重合体ナトリウム塩、質量平均分子量12000、BASF社製の商品名「Sokalan CP9」。
A-3:アクリル酸とマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(アクリル酸とマレイン酸とのモル比60:40)、質量平均分子量50000、BASF社製の商品名「Sokalan CP7」。
A-4:アクリル酸とマレイン酸との共重合体ナトリウム塩(アクリル酸とマレイン酸とのモル比60:40)、質量平均分子量50000、(株)日本触媒製の商品名「アクアリックTL-400」。
A-5:ポリアクリル酸、質量平均分子量8000、BASF社製の商品名「Sokalan PA30CL」。
<(A’)成分((A)成分の比較成分)>
A’-1:ポリエチレンイミン(PEI)、質量平均分子量約750000、BASF社製、商品名「ルパゾールP」。
A’-2:エチレンジアミンテトラ酢酸塩(EDTA)、関東化学(株)製、商品名「エチレンジアミン四酢酸」。
<(B)成分>
B-1:3-メトキシ-3-メチルブタノール((株)クラレ製、商品名「ソルフィット(ファイングレード)」。一般式(b)中のRがメトキシ基、R、RおよびRがそれぞれ水素原子である化合物。)。
<(C)成分>
((C-1)成分)
C-1-1:MEE、脂肪酸メチルエステルエトキシレート(脂肪酸の炭素数12~14、EOの平均付加モル数15)、上記一般式(c1)中、R11=炭素数11のアルキル基及び炭素数13のアルキル基、R12=メチル基、s=15、t=0、u=0。下記合成方法により合成されたもの。ナロー率30%。
C-1-2:AE(15EO)、天然アルコールに15モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。上記一般式(c2)中、R13=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、v=15、w=0、x=0。下記合成方法により合成されたもの。
C-1-3:AE(7EO)、天然アルコールに7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの。上記一般式(c2)中、R13=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、v=7、w=0、x=0。下記合成方法により合成されたもの。
C-1-4:EO/POノニオン、天然アルコール(質量比で炭素数12アルコール/炭素数14アルコール=7/3)に、8モル相当のエチレンオキシド、2モル相当のプロピレンオキシド、8モル相当のエチレンオキシドを、この順にブロック付加したもの。上記一般式(c2)中、R13=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、v=8、w=2、x=8。
C-1-5:ソフタノール。炭素数12~14の第2級アルコールに、7モル相当のエチレンオキシドを付加したもの、ソフタノール70(商品名)、(株)日本触媒製。上記一般式(c2)中、R13=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、v=7、w=0、x=0。
C-1-6:ルテンゾール(C13オキソアルコールエトキシレート)。ブテンを3量化して得られるC12アルケンをオキソ法に供して得られるC13アルコールに対して、10モル相当のエチレンオキシドを付加したもの(商品名:Lutensol TO10、BASF社製)。下記一般式(I)中、m=6、n=10。
15-CH(R16)-CH-O-(CHCHO)-H・・・(I)
[式(I)中、R15はC2m+1で表され、R16はC(m-2)2(m-2)+1で表され、m=4~6であり、n=3~10である。]
このような成分を供給する原料は、例えば、ガーベット反応により得られる。ここで、ガーベット反応とは、第1級アルコールを金属ナトリウム又は金属カリウムの存在下で加熱すると、2分子縮合を起こしてβ位に分岐した第1級アルコールが生成する反応をいう。ガーベット反応により得られるアルコールは、下記一般式(II)の構造を有する。
17-CH(R18)-CH-OH・・・(II)
[式(II)中、R17はC2m+1で表され、R18はC(m-2)2(m-2)+1で表される。]
((C-2)成分)
C-2-1:AES、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(天然アルコール(P&G社製の商品名「CO-1270」)に1モル相当のEOを付加した化合物)(ライオン(株)製)。式(c3)において、R14=炭素数12のアルキル基及び炭素数14のアルキル基、p=1、q=0、M=Na。
C-2-2:LAS、炭素数10~14のアルキル基を有する直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(ライオン(株)製、商品名:ライポン(登録商標)LH-200)。
C-2-3:AEPS、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステルのモノエタノールアミン塩(1-ドデカノールに平均付加モル数1.0モルのプロピレンオキシドと、平均付加モル数2.0モルのエチレンオキシドをこの順に付加したのち、これを硫酸化したモノエタノールアミンで中和することにより製造したもの)。式(c3)において、R14=炭素数12のアルキル基、p=2、q=1、M=モノエタノールアミン。
<(D)成分>
D-1:エタノール、日本アルコール販売(株)製、商品名「特定アルコール95度合成」。
<水>
水:精製水、関東化学(株)製。
<その他の任意成分>
モノエタノールアミン:(株)日本触媒製、商品名「モノエタノールアミン」。
安息香酸ナトリウム:東亞合成(株)製、商品名「安息香酸ナトリウム」。
乳酸ナトリウム:関東化学(株)製、商品名「乳酸ナトリウム」。
MGDA:メチルグリシン2酢酸3ナトリウム、BASF社製、商品名「Trilon M Liquid」。
塩化カルシウム:関東化学(株)製、商品名「塩化カルシウム」。
ヤシ脂肪酸:日油(株)製、商品名「椰子脂肪酸」。
パラトルエンスルホン酸:協和発酵キリン(株)製、商品名「PTS酸」。
PPG4000:3価アルコールのプロピレンオキシド付加物(ポリオキシプロピレングリセリルエーテル、質量平均分子量4000、三井化学(株)製、商品名「アクトコールT-4000」。
ソイルリリースポリマー:クラリアントジャパン社製、商品名「TexCare SRN-170C」、質量平均分子量=2000~3000、pH(20℃の5質量%水溶液)=4、粘度(20℃)=300mPa・s)。TexCare SRN-170Cは、商品名:TexCare SRN-100(クラリアントジャパン社製、質量平均分子量:2000~3000)の70質量%水溶液である。
HP-20:ポリエチレンイミンのエチレンオキシド付加体、BASF社製、商品名「Sokalan HP20」。
ダイクロサン:4,4’-ジクロロ-2-ヒドロキシジフェニルエーテル(BASF社製、商品名「Tinosan HP100」)。
プロテアーゼ:ノボザイムズ社製、プロテアーゼ製剤、商品名「Alcalase2.5L」。
色素:癸巳化成(株)製、商品名「緑色3号」。
香料:特開2002-146399号公報の表11~18に記載の香料組成物A。
pH調整剤:水酸化ナトリウム、鶴見曹達(株)(現東亞合成(株))製、商品名「水酸化ナトリウム」。
<C-1-1:MEEの合成>
特開2000-144179号公報に記載の合成方法に準じて合成した。
組成が2.5MgO・Al・zHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業(株)製、商品名「キョーワード300」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して、焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒を得た。焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5N水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル280gと、ミリスチン酸メチルエステル70gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキシド1052gを導入し、撹拌しながら反応させた。
得られた反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土および珪藻土をそれぞれ5gとを添加し混合した後、触媒を濾別してMEEを得た。
<C-1-2:AE(15EO)の合成>
プロクター・アンド・ギャンブル社製のCO-1214(商品名)224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器内に仕込み、該反応容器内を窒素置換した。次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水した後、温度を160℃まで昇温した。次いで、反応液を撹拌しながら、エチレンオキシド(ガス状)760.6gを反応液中に徐々に加えた。この時、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調節しながら、エチレンオキシドを吹き込み管で加えた。エチレンオキシドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応のエチレンオキシドを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p-トルエンスルホン酸を加えて中和し、AE(15EO)を得た。
<C-1-3:AE(7EO)の合成>
エチレンオキシド(ガス状)の使用量を760.6gから355.0gに変更した以外は、AE(15EO)と同様にしてAE(7EO)を得た。
[実施例1~24、比較例1~5]
表1~6の組成に従い、(A)成分、(C)成分、(D)成分、及びその他の任意成分を水に加えて混合し、得られた混合液に(B)成分を添加して液体洗浄剤を得た。前記混合液の温度は25℃であり、(B)成分を添加する前の混合液のpHが7となるようにpH調整剤を適量添加した。
得られた液体洗浄剤について下記評価法により、塗布洗浄性、保存安定性を評価した。
結果を表1~6に示す。ただし、実施例21~24は、参考例である。
なお、表中の各成分の配合量の単位は「質量%」であり、純分換算量を示す。「バランス」は、各例の組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量(質量%)が100質量%となるように水が配合されていることを意味する。
<塗布洗浄性の評価>
各例の液体洗浄剤0.05mLを湿式人工汚垢布(5cm×5cm)10枚それぞれの中心に塗布し、その状態で12時間放置したのち、洗浄試験器に入れ、浴比30倍に合わせて、120rpm、15℃で10分間洗浄した。次に、二槽式洗濯機(三菱電機(株)製、品番:CW-C30A1-H1)に移し、1分間脱水後、水道水(15℃、3゜DH)30L中で3分間濯ぎ、1分間脱水後、風乾した。
洗浄試験器としてTerg-O-Tometer(UNITED STATES TESTING社製)を用いた。また、湿式人工汚垢布としては(財)洗濯科学協会製のものを用いた(オレイン酸28.3%、トリオレイン15.6%、コレステロールオレート12.2%、流動パラフィン2.5%、スクアレン2.5%、コレステロール1.6%、ゼラチン7.0%、泥29.8%、カーボンブラック0.5%(質量比)の組成の汚れが付着した布)。
洗浄前後の人工汚垢布(液体洗浄剤を塗布した部分)について、それぞれ反射率を日本電色工業(株)製の色差計(製品名:SE2000)で測定し、洗浄率(%)を以下の式で算出した。
Figure 0007063576000005
上記数式中、汚染布とは洗浄前の上記人工汚垢布を意味し、洗浄布とは上記人工汚垢布を洗浄した後の布を意味し、未汚垢布とは、汚れを付着させていない元の白布(原布)を意味する。また、Kは吸光係数、Sは散乱係数、Rは反射率を表す。なお、原布のRは80とした。
人工汚垢布10枚について洗浄率(%)を算出し、その平均値を用いて、下記評価基準に基づいて皮脂汚れに対する洗浄力(塗布洗浄性)を評価した。
下記評価基準において、◎及び○を合格とした。
《評価基準》
◎:洗浄率85%以上。
○:洗浄率80%以上85%未満。
△:洗浄率75%以上80%未満。
×:洗浄率75%未満。
<保存安定性の評価>
各例の液体洗浄剤30mLを、円筒ガラス瓶に取り、蓋を閉めて密閉した。この状態で-10℃の恒温槽中に放置し、1ヶ月間保存した。
その後、恒温槽より取り出し、-10℃にて液体洗浄剤の外観を目視で観察し、下記評価基準に基づいて液体洗浄剤の保存安定性を評価した。
下記評価基準において、◎及び○を合格とした。
《評価基準》
◎:ゲル化、分離、析出の何れも生じず、流動性がある。
○:分離、析出の何れも生じないが、ゲル化する。但し、室温において流動性は回復する。
×:分離、析出の少なくとも何れかが生じる。
Figure 0007063576000006
Figure 0007063576000007
Figure 0007063576000008
Figure 0007063576000009
Figure 0007063576000010
Figure 0007063576000011
表1~6に示すように、本発明を適用した実施例1~24は、塗布洗浄性及び保存安定性が「◎」又は「○」で、塗布洗浄性及び保存安定性に優れることが分かった。
一方、(A)成分を含有しない比較例1は、塗布洗浄性が「×」、(B)成分を含有しない比較例2は、塗布洗浄性が「△」で保存安定性が「×」だった。
(A)成分の含有量が5質量%以上である比較例3は、保存安定性が「×」だった。
(A)成分の代わりに(A’)成分を用いた比較例4~5は、塗布洗浄性が「×」だった。
本発明の液体洗浄剤組成物によれば、塗布洗浄性及び保存安定性に優れることが分かった。

Claims (8)

  1. (A)成分:ポリカルボン酸系ポリマー及びその塩から選択される1種以上と、
    (B)成分:下記一般式(b)で表される化合物と、
    (C)成分:界面活性剤(ただし、高級脂肪酸塩を除く。)と、を含有し、
    前記(C)成分がノニオン界面活性剤(C-1)を含有し、
    前記ノニオン界面活性剤(C-1)が、下記一般式(c1)で表される化合物(c1)及び下記一般式(c2)で表される化合物(c2)から選ばれる1種以上であり、
    液体洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(C-1)成分の含有量が30~45質量%であり、
    液体洗浄剤組成物の総質量に対して、前記(A)成分の含有量が1~4.5質量%である、繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
    Figure 0007063576000012
    (一般式(b)中、R~Rは、それぞれ独立に水素原子又は炭素数1~3のアルキル基であり、Rは、水素原子又はアセチル基である。)
    11 -C(=O)O-[(EO) /(PO) ]-(EO) -R 12 ・・・(c1)
    (一般式(c1)中、R 11 は炭素数7~22の炭化水素基であり、R 12 は炭素数1~6のアルキル基又は炭素数2~6のアルケニル基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、sはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、tはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、uはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。tが1以上である場合、[(EO)s/(PO)t]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。)
    13 -O-[(EO) /(PO) ]-(EO) -H・・・(c2)
    (一般式(c2)中、R 13 は炭素数7~22の炭化水素基であり、EOはオキシエチレン基を表し、POはオキシプロピレン基を表し、vはEOの平均繰り返し数を表し、3~20の数であり、wはPOの平均繰り返し数を表し、0~6の数であり、xはEOの平均繰り返し数を表し、0~20の数である。wが1以上である場合、[(EO)v/(PO)w]において、オキシエチレン基とオキシプロピレン基とは、ランダム重合であってもよいし、ブロック重合であってもよい。)
  2. 前記(C)成分が、アニオン界面活性剤(C-2)をさらに含有する、請求項1に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
  3. 前記(C-1)成分/前記(C-2)成分で表される質量比が0.5~30である、請求項2に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
  4. (D)成分:炭素数2~3の1価アルコール及び炭素数2~4の多価アルコールから選択される1種以上
    を、さらに含有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
  5. 前記(A)成分が、炭素数4~12の炭化水素及びアクリル酸から選択される1種以上とマレイン酸との共重合体、並びにその塩から選択される1種以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
  6. 前記(C-1)成分/前記(A)成分で表される質量比が5~45である、請求項1~5のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
  7. 前記(A)成分/前記(B)成分で表される質量比が0.01~3である、請求項1~6のいずれか一項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
  8. 前記ノニオン界面活性剤(C-1)が、前記化合物(c1)及び化合物(c2)の両方を含有し、前記化合物(c1)と前記化合物(c2)の合計10質量部に対する前記化合物(c1)の質量比が3質量部以上10質量部未満である、請求項1~7のいずれか1項に記載の繊維製品用の液体洗浄剤組成物。
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