JP3898575B2 - GaInN層の成膜方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、Ga1-x Inx N混晶半導体層の成膜方法に関し、更に詳細には優れた光学的特性を備え、かつバンドギャップエネルギーが正確に特定できるGa1-x Inx N混晶半導体層の成膜方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
窒化物半導体であるGa1-x Inx N混晶半導体を発光層として用いることにより、360nmから660nm程度の発光波長を有する発光デバイスを実現できることが、広く知られている。
これは、これまでに行われた実験結果から算出されたGaN及びInNのバンドギャップエネルギーに基づいて算出されたGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーの幅が広いことにある。
つまり、Ga1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーEGaInN は、ボーイングパラメータを2.6eV(C.Wetzel et al., Appl.Phys.Lett. 73 (1998) 1994. )として、GaNのバンドギャップエネルギーEGaN とInNのバンドギャップエネルギーEInN の間の値を取ることに基づいている。ここで、GaNのバンドギャップエネルギーEGaN は室温で3.39eV(H.P.Maruska et al., Appl.Phys.Lett. 15 (1969)327.)であり、InNのバンドギャップエネルギーEInN は室温で1.95eV(K.Osamura et al.(Solid State Commun.11(1972) 617.)である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、In組成Xが0.2未満のGa1-x Inx N混晶半導体のエピタキシャル成長は比較的容易であるものの、X>0.2の高いIn組成を有しながら、結晶性及び光学的特性に優れたGa1-x Inx N混晶半導体を作製することは、極めて難しかった。
また、従来のInN層は単結晶層ではなく多結晶層であるために、従来使用されてきた上述のInNのバンドギャップエネルギーEInN の数値には信頼性がなく、従って高いIn組成のGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーEGaInN にも大きな不確かさがあった。
これでは、Ga1-x Inx N混晶半導体を使って所望の光学特性を有する半導体発光素子を作製することが難しい。
【0004】
そこで、X>0.2の高いIn組成を有し、かつ良好な結晶性及び優れた光学的特性を有するGa1-x Inx N混晶半導体層を成膜する方法の確立、及びGa1-x Inx N混晶半導体の正確なバンドギャップエネルギーEGaInN の算定式の確立が求められていた。
以上の事情に照らして、本発明の目的は、高いIn組成を有し、かつ良好な結晶性及び優れた光学的特性を有するGa1-x Inx N混晶半導体層を成膜する方法を提供し、更にその方法で成膜されたGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーEGaInN の算定式を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、結晶性及び光学的特性に優れたGa1-x Inx N混晶半導体層をエピタキシャル成長させる方法を確立するために、種々の実験を行った結果、MBE法によりサファイア基板上に成長温度200℃から450℃の範囲で窒素プラズマ及びIn金属の分子線ビームを照射することにより、約70nm/時間の成長速度で厚さ30nm程度のInN層を低温成長バッファ層として設けて表面の極性を窒素極性に制御する。次いで窒素プラズマ及びIn金属の分子線ビームの照射をシャッタの閉止により停止して550℃の温度でアニーリングすることにより、低温InNバッファ層の表面を原子層オーダで平坦化する。
次いで、アニール処理した低温InNバッファ層上に550℃でGa1-x Inx N混晶半導体層をMBE法により成長させることにより、本発明で規定した算出式でInx N混晶半導体のバンドギャップエピタキシャルEGaInN を特定できる良好な結晶性及び優れた光学的特性を有するGa1-x Inx N混晶半導体層を形成できることを見い出した。
【0006】
以下に、図2及び図3を参照して、本発明者が行った実験の一つを詳しく説明する。図2はInN層又はGaInN層の成膜実験のタイムチャート、及び図3(a)から(d)はInN層又はGaInN層を成膜する際の工程毎の基板断面図である。
先ず、c面サファイア基板を有機洗浄液により洗浄し、MBE装置の成長室に導入し、図2に示すように、真空中で800℃の温度でサーマルクリーニングを10分間施した。
次いで、図2に示すように、基板温度を550℃まで下げ、RFガンに流量1sccmの窒素ガスと出力300Wの高周波(周波数13.56MHz)を導入することにより窒素プラズマを生成させてサファイア基板に1時間照射して、図3(a)に示すように、サファイア基板12の基板面を窒化した。
【0007】
サファイア基板12の基板面の窒化処理後、基板温度を300℃まで降温して、Inビーム量が8×10-8 Torr 、窒素ガス流量が2sccm、RFパワーが330Wの条件で成長室内にサファイア基板12を10分間維持し、図3(b)に示すように、膜厚30nmの低温InNバッファ層14をサファイア基板12上に成長させた。尚、低温InNバッファ層の最適成長温度は200℃から450℃であり、成長速度の平均値は、約70nm/時間であった。但し、成長開始当初の成長速度は70nm/時間より大きい。
このような成長条件を用いることにより、低温InNバッファ層14の表面を窒素極性に制御することができた。窒素極性になっていることは、CAICISS(Coaxial Impact Ion Scattering Spectroscopy)で直接評価することと、低温InNバッファ層上に膜厚50nm程度のGaN層を成長させ、そのRHEEDが3×3のパターンになることとで確認している。
【0008】
次いで、窒素プラズマ及びInビームのシャッタを閉じ、図2に示すように、基板温度を20℃/分の昇温レートで550℃に上げ、その温度で3分間保持してアニール処理を施し、低温InNバッファ層14の表面を原子層オーダに平坦化した。
低温InNバッファ層14の表面が平坦化されていることは、低温InN層14からの1×1のRHEEDがより鮮明なストリーク状になることで確認している。
アニール処理後、Inと窒素プラズマとを成長室に供給して、成長レートが250nm/時間、成長温度が550℃、Inビーム量が3.2×10-7 Torr 、窒素ガス流量が2sccm、RFパワーが200Wから400Wの条件で、膜厚250nmのInN層16を低温InNバッファ層14上にエピタキシャル成長させた。成長時間は1時間であった。
【0009】
低温InNバッファ層14上に成長させたInN層16をフォトルミネッセンス法で評価したところ、図4に示すようなスペクトルを得ることが出来た。図4は横軸にエネルギー(eV)を、縦軸に光強度(任意目盛)を取ってフォトルミネッセンススペクトルを示した図である。
図4に示すグラフ(1)は、温度77Kでの光強度であり、グラフ(2)は室温での光強度である。図4に示すように、InNのバンドギャップエネルギーEInN は、T=77KでEInN =0.775eV、T=室温でEInN =0.78eVであった。
これらの数値は、これまでに報告されている室温でのInNのバンドギャップエネルギーEInN =1.95eV(K.Osamura et al.(Solid State Commun.11(1972) 617.)とは大きく異なっていることが分かった。
【0010】
次に、低温InNバッファ層14のアニール処理後、低温InNバッファ層14上にGa1-x Inx N混晶半導体層をエピタキシャル成長させる別の実験を行った。
Ga、In及び窒素プラズマを供給し、InN層のエピタキシャル成長条件と同じ条件、つまり、成長レートが250nm/時間、成長温度が550℃、Inビーム量及びGaビーム量の総和が3.0×10-7 Torr 、窒素ガス流量が2sccm、RFパワーが200Wから400Wの条件で、図3(d)に示すように、膜厚250nmでIn組成(X)が0を超え、かつ1.0未満の範囲で異なる種々のGa1-x Inx N混晶半導体層18を低温InNバッファ層14上にエピタキシャル成長させた。各Ga1-x Inx N混晶半導体層の成長時間は1時間であった。
【0011】
In組成は、図6に示すように、MBE装置でのGaビームに対するInビームのビームフラックス比を変えることにより、線形に制御することができる。図6は横軸にInビーム及びGaビームのインプットの比率InN/(InN+Ga)を取り、縦軸にIn組成を取ったグラフである。
MOCVD法では、気相比に対する固相比(In組成比)が非線形で与えられることから、In組成比制御が難しい(T.Matsuoka et al. ;J.Electron Mater. 21(1992)157.)ことと対照的であり、これが本方法の優位点である。
【0012】
成膜したGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーをフォトルミネッセンス(PL、Photoluminescence )法及びカソードルミネッセンス(CL)法によりT=77Kで測定をしたところ、図5に示すような、Ga1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーEGaInN とIn組成(X)の関係を得ることができた。
図5は横軸にIn組成を、縦軸にGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーを取って、T=77Kで測定したフォトルミネッセンススペクトル及びカソードルミネッセンススペクトルのピークエネルギーをバンドギャップエネルギーとして示した図である。
尚、このとき、PLおよびCL法で得られたスペクトルのピークエネルギーをGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーとした。
【0013】
以上の実験により、低温InNバッファ層上に成長させたGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップEGaInN
GaInN =(1−X)EGaN +XEInN −bX(1−X)
で規定されることを見い出した。
また、ボーイングパラメータbは、上式を実験値に対して最小二乗法によりフィッティングすることで、b=2.3eVと得ることができた。但し、EInN はInNのバンドギャップエネルギーであって、0.78eV、EGaN はGaNのバンドギャップエネルギーであって、3.4eVである。
【0014】
この関係式と、Ga1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーEGaInN と発光波長λ(nm) の関係、つまり
λ(nm) =1239.8/EGaInN (eV)
から、In組成(X)を変えたGa1-x Inx N混晶半導体を発光層として使うことにより、360nmから1.59μmもの長波長領域までをカバーする半導体発光素子を実現することができる。
【0015】
上述の実験では、窒素プラズマを用いて低温InNバッファ層を低成長速度で成長させることにより、低温InNバッファ層の表面極性を窒素極性に制御し、続くアニール処理により表面の平坦化を行うことにより、In組成Xが大きく、結晶性の良好なGa1-x Inx N混晶半導体、或いはInN層をエピタキシャル成長させることができた。
サファイア基板上に直接InN層又はGaInN層を成長させたとき、その極性は、通常、3族元素、例えばGa、In等の極性になり易い。表面極性が3族元素の極性を有している場合、高いIn組成のGa1-x Inx N混晶半導体層又はInN層をエピタキシャル成長させる際には、蒸気圧の高いInを多く取り込むために、低い成長温度でGa1-x Inx N混晶半導体層又はInN層を成長させることが必要になる。
この結果、Ga1-x Inx N混晶半導体又はInNの結晶性が低下する。
【0016】
本実験のように窒素プラズマを用いて低成長速度で低温InNバッファ層を成長させ、低温InNバッファ層上にGa1-x Inx N混晶半導体又はInN層を成長させ、その表面を窒素極性にすることにより、高温でのエピタキシャル成長が可能となり、In組成が高く、かつ結晶性の良好なGa1-x Inx N混晶半導体又はInNを成長させることができる。
また、低温InNバッファ層をアニール処理することにより、表面を平坦化し、続いて成長させるGa1-x Inx N混晶半導体又はInN層との界面に発生する結晶欠陥を抑制することができる。
本実験では、窒素プラズマを用いて低温バッファ層を成長させているが、その理由は、低温バッファ層が成長するような低温でも効率的に成長に寄与できる原子状の活性窒素を供給するためである。MOCVD法で使われる窒素源であるアンモニア(NH3 )は、500℃以下のような低温では、分解効率が著しく低下するために、MOCVD法を用いることができない。
【0017】
上記目的を達成するために、上述の知見に基づいて、200℃以上450℃以下の成長温度でMBE法(Molecular Beam Epitaxial Growth 、分子線エピタキシャル成長法)により窒素プラズマを使って低温InNバッファ層を基板上に成長させる工程と、
低温バッファ層の成長温度より高い基板温度で低温InNバッファ層にアニール処理を施す工程と、
MBE法によりアニール処理の温度と同じか又は高い温度で低温InNバッファ層上にGa1-x Inx N混晶半導体層をエピタキシャル成長させる工程と
を備えることを特徴としている。
【0018】
これまで、K.Osamura et al.(Solid State Commun.11(1972)617)などによって、InNの基礎物性、例えば基礎吸収端がE=1.8〜1.9eVに存在することが報告されているが、現在のようなMBE法やMOCVD法のような高い結晶成長技術が開発されていなかったために、測定したInN試料が多結晶であり、単結晶InN本来のバンドギャップエネルギーを反映した発光端を観測した例は報告されていない。
【0019】
一方、本発明方法で成膜したGa1-x Inx N混晶半導体層及びInN層は単結晶であって、従来のものに比べて結晶欠陥が少なく、高品質の結晶性を有する。
実際に、上述の実験で得たInN層では、吸収スペクトルで得られる吸収端近傍に、PL法により得られる発光端が、T=77Kのみならず室温でも観測することができる。このことは、上述の実験で得たInN層には結晶欠陥に起因した非発光中心が少ないことを意味し、光学的結晶性が向上していることが判る。
また、E=0.8eV近傍に吸収端と発光端の双方が観測できるということは、InN本来のバンドギャップエネルギーを反映した高品質の結晶が成長している証左にもなる。尚、成膜したInN層の室温での吸収スペクトルを測定し、その結果を図7に示している。
本発明方法では、低温InNバッファ層の成長速度は、低いほうが望ましく、例えば300nm/時間以下の平均速度である。
本発明方法によれば、上述の実験から判るように、In組成Xが大きく、しかも優れた光学的特性を有するGa1-x Inx N混晶半導体層を成膜することができる。
【0020】
本発明方法に従って低温InNバッファ層上に成長させたIn組成XのGa1-x Inx N混晶半導体は、バンドギャップEGaInN
GaInN =(1−X)EGaN +XEInN −bX(1−X)
で規定される。
但し、EInN はInNのバンドギャップエネルギーであって、0.78eV、EGaN はGaNのバンドギャップエネルギーであって、3.4eV、及びbはボーイングパラメータであって、2.3eVである。また、上記の式は、T=77Kにおいて測定された実験データに基づいたものである。
【0021】
低温InNバッファ層の成長工程の前に、基板上で窒素プラズマを生成させて基板の基板面を窒化する工程を備えている。これにより、良好な低温InNバッファ層を成長させることができる。
本発明方法では、基板として、サファイア基板、GaN基板、SiC基板、Si基板、GaAs基板、GaP基板、ZrB2 基板、及びMgAl2 4 基板のいずれかを使用する。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下に、添付図面を参照し、実施形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に説明する。
実施形態例
本実施形態例は本発明に係るGaInN層の成膜方法の実施形態の一例であって、図1(a)から図1(c)は、それぞれ、本実施形態例の方法に従ってGa1-x Inx N混晶半導体層を成膜する際の工程毎の基板断面図である。
本実施形態例では、基本的には、前述の実験例と同じような手順でGa1-x Inx N混晶半導体層を成膜する。即ち、先ず、図1(a)に示すような、c面サファイア基板22を有機洗浄液により洗浄し、MBE装置の成長室に導入し、真空中で800℃の温度でサーマルクリーニングを10分間施す。
次いで、基板温度を550℃まで下げ、RFガンに流量1sccmの窒素ガスと出力300Wの高周波(周波数:13.56MHz)を導入することにより窒素プラズマを生成させてサファイア基板22に1時間照射して、サファイア基板22の基板面を窒化する。
【0023】
サファイア基板22の基板面の窒化処理後、200℃以上450℃以下の温度、例えば300℃に基板温度を降温し、基板温度が300℃、Inビーム量が8×10-8 Torr 、窒素ガス流量が2sccm、RFパワーが330Wの条件でMBE装置の成長室に10分間サファイア基板を維持し、図1(b)に示すように、MBE法により窒素プラズマを使って平均成長速度70nm/時間で、膜厚30nmの低温InNバッファ層24をサファイア基板22上に成長させる。これにより、低温InNバッファ層24の表面を窒素極性にすることができる。
【0024】
次いで、基板温度を20℃/分の昇温レートで400℃以上700℃以下の温度、例えば550℃に上げ、真空中で1分間以上10分間以下、例えば3分間保持し、アニール処理を施して、低温InNバッファ層24の表面を原子層オーダに平坦化する。
アニール処理後、Ga、In及び窒素プラズマを成長室に供給して、成長レートが250nm/時間、成長温度Tが550℃、Gaビーム量とInビーム量との総和が3.0×10-7 Torr 、窒素ガス流量が2sccm、RFパワーが200Wから400Wの条件で、図1(c)に示すように、MBE法により膜厚250nmでIn組成Xが0.73のGa1-x Inx N混晶半導体層26を低温InNバッファ層24上にエピタキシャル成長させる。成長時間は1時間である。
【0025】
成長させたGa1-x Inx N混晶半導体層のバンドギャップエネルギーEGaInN は、EGaInN =(1−X)EGaN +XEInN −bX(1−X)で規定され、X=0.73であるから、
Figure 0003898575
に近いものであった。
従って、λ(nm)=1239.8/EGaInN であるから、λは1200nmとなる。
【0026】
【発明の効果】
本発明方法によれば、基板上に窒素プラズマを用いて低成長速度で低温InNバッファ層を成長させることで、その表面を窒素極性にすることができ、アニール処理を施して表面を平坦化した後、GaInN層を成長させることにより、本発明方法で特定したバンドギャップエネルギーを有する、優れた光学的特性のGaInN層を成膜することができる。
本発明方法により成膜したGaInN層を発光層に用いることにより、360nmから1.59μmまでの広い波長領域をカバーする半導体発光素子を実現することができる。
また、本発明方法によって成膜したGaInN層を電界効果トランジスタのチャネル層に用いることによりバリア層とのバンドギャップエネルギー差を大きくとることができるので、電流増幅率の高い電子デバイスを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)から図1(c)は、それぞれ、本実施形態例の方法に従ってGa1-x Inx N混晶半導体層を成膜する際の工程毎の基板断面図である。
【図2】InN層又はGaInN層の成膜実験のタイムチャートである。
【図3】図3(a)から(d)はInN層又はGaInN層を成膜する際の工程毎の基板断面図である。
【図4】横軸にエネルギー(eV)を、縦軸に光強度(任意目盛)を取ってフォトルミネッセンススペクトルを示す図である。
【図5】横軸にIn組成を、縦軸にGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップエネルギーを取って、T=77Kで測定したフォトルミネッセンススペクトル及びカソードルミネッセンススペクトルのピークエネルギーをバンドギャップエネルギーとして示した図である。
【図6】Inビーム及びGaビームのインプットの比率InN/(InN+Ga)とIn組成との関係を示すグラフである。
【図7】InNの室温での吸収スペクトルを示す。
【符号の説明】
12……サファイア基板、14……低温InNバッファ層、16……InN層、18……Ga1-x Inx N混晶半導体層、22……サファイア基板、24……低温InNバッファ層、26……Ga1-x Inx N混晶半導体層。

Claims (5)

  1. 200℃以上450℃以下の成長温度でMBE法(Molecular Beam Epitaxial Growth 、分子線エピタキシャル成長法)により窒素プラズマを使って低温InNバッファ層を基板上に成長させる工程と、
    低温バッファ層の成長温度より高い基板温度で低温InNバッファ層にアニール処理を施す工程と、
    MBE法によりアニール処理の温度と同じか又は高い温度で低温InNバッファ層上にGa1-x Inx N混晶半導体層をエピタキシャル成長させる工程と
    を備えることを特徴とするGaInN層の成膜方法。
  2. 低温InNバッファ層の成長工程の前に、基板上で窒素プラズマを生成させて基板の基板面を窒化する工程を備えていることを特徴とする請求項1に記載のGaInN層の成膜方法。
  3. 基板として、サファイア基板、GaN基板、SiC基板、Si基板、GaAs基板、GaP基板、ZrB2 基板、及びMgAl2 4 基板のいずれかを使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のGaInN層の成膜方法。
  4. アニール処理の処理温度が400℃以上700℃以下であり、アニール処理の処理時間が1分間以上10分間以下であることを特徴とする請求項1から3のうちのいずれか1項に記載のGaInN層の成膜方法。
  5. 低温InNバッファ層上に成長させたIn組成XのGa1-x Inx N混晶半導体のバンドギャップEGaInN
    GaInN =(1−X)EGaN +XEInN −bX(1−X)
    で規定されることを特徴とする請求項1から4のうちのいずれか1項に記載のGaInN層の成膜方法。
    但し、EInN はInNのバンドギャップエネルギーであって、0.78eV、EGaN はGaNのバンドギャップエネルギーであって、3.4eV、及びbはボーイングパラメータであって、2.3eVである。
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