JP3897393B2 - 高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法 - Google Patents

高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、高純度炭化珪素質の半導体処理部材の製造方法に関する。更に詳しくいえば、半導体ウェハの製造時の成膜工程で使用される反応炉内に挿入されるガス導入ノズル、炉芯管、更には炉芯管の中でも特にインナーチューブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炉芯管などの反応炉内に半導体ウェハを載置して、この反応炉内にノズルから反応ガスを導入して半導体ウェハ上に膜を形成するのに使用されているガス導入ノズルなどの半導体処理部材は、従来から高純度石英ガラスが使用されている。しかし石英ガラスは、耐熱性やフッ硝酸溶液などの洗浄溶液に対する耐蝕性が不十分であるところからその耐用寿命は短かった。そのため、石英ガラス管の代替として、反応焼結SiC(特開昭58−60543)や高純度アルミナ焼結体なども使用されているが、純度面で石英ガラスより劣りまた耐蝕性においても十分ではなかった。
【0003】
そこで、反応焼結SiC管の内外壁に高純度で耐蝕性に優れたCVDーSiC被膜(CVDにより形成されたSiC被膜をCVD−SiC被膜という。)を形成することが提案されているが、CVDーSiC被膜を所定の厚さで均一に形成することは実際には困難で、この方法では基材からの不純物の拡散やピンホールの問題とともに、CVD被膜の表面粗さが大きいという問題があった。そのため、ガス導入ノズルではノズル内壁に凹凸が生じ、それが原因でノズル内に多くのパーティクルが発生するといった問題があった。
【0004】
即ち、従来のSiC製ノズルの内壁は凹凸が多く存在しているために、導入された反応ガスがこの凹凸に当たって流れが不均一となり、その一部はウェハに到達する前に気相中で核成長して、これがパーティクルとなってウェハの成膜工程の歩留まり低下の大きな要因となっていた。
【0005】
また、炉芯管の場合にも内壁面の凹凸にガスが当たることにより内壁面付近でガスの流れが不均一となり、パーティクルが発生し問題となっていた。特に、図7に示されている反応炉の中のインーナーチューブ22のような場合には、これがウェハに近接しているために反応ガスの流れの不均一によるパーティクルの発生がウェハの性能に大きく影響し、さらにガスの流れの不均一によりウェハ上に成長させる膜の膜厚にばらつきが生じるという不具合が生じていた。
【0006】
特開昭57−17126号には黒鉛質の基材パイプに2mm以上のCVD−SiC膜を形成し、その後、基材の黒鉛質パイプを焼抜き除去して炭化珪素質プロセスチューブを製造する方法が開示されている。この方法は、カーボンパイプ内面にCVD−SiC膜を形成し、その後カーボンパイプを酸化除去する方法と、カーボンパイプの外面にCVD−SiC膜を形成し、その後カーボンパイプを酸化除去する方法の二つの方法がある。
【0007】
これらの中の前者の、カーボンパイプの内面にCVD−SiC膜を形成する方法で、CVD−SiC単一相の炉芯管やノズルを作成した場合、基材として使用するカーボンは数%の開気孔を有するポーラスな材料であるために、たとえカーボン基材表面を高精度に平坦化加工しても、CVD−SiC膜の内表面(管の内壁)は、カーボンパイプの内表面粗さに依存してCVD膜が成長して凹凸形状となり、少なくともCVD−SiC膜内表面が基材のカーボンパイプの内表面粗さよりも平滑となることはなかった。
【0008】
この状態を図示すると図5の(A)及び(B)の通りである。図5の(A)で10はカーボンパイプであり、その内面にCVD−SiC膜11を形成する。その後、これを酸化処理して外側のカーボンパイプ10を焼抜きCVD−SiC単一相の管13とする。図5の(B)は、図(A)に示すCVD−SiC単一相の管13の内壁面の一部(X)を誇張して拡大し、模式的に示したものである。この(B)図に示すように、CVD−SiC被膜は柱状或いは針状に結晶成長して出来るために、CVD−SiC膜の内表面粗さは、カーボンパイプの内表面粗さに依存し、管13の内壁面に凹凸が形成されるといった問題があった。
【0009】
また後者の方法、即ちカーボンパイプの外面にCVD−SiC膜を形成する方法は、CVD−SiC膜の内表面はカーボンパイプの外表面粗さに直接依存し、少なくともCVD−SiC膜内表面がカーボンパイプの外表面粗さよりも小さくなることはなかった。
【0010】
この状態を図示すると図6の(A)及び(B)の通りである。図6の(A)で15がカーボンパイプであり、その外表面にCVD−SiC膜16を形成する。その後、これを酸化して内側のカーボンパイプ15を焼抜きCVD−SiC単一相の管17とするものである。図6の(B)は、図(A)に示すCVD−SiC単一相の管17の内壁面の一部(Y)を誇張して拡大し、模式的に示したものである。この(B)図に示すように、カーボンとの界面(接触面)が、管内壁面となるため、カーボンの表面粗さを反映し凹部が生じる。またこれらの方法では、形成されるCVD−SiC膜がカーボンの開気孔に入り込んで密着しているため、SiC膜が厚くなると応力が働きクラックが生じてしまい良好な成形体が得られなかった。
【0011】
こうしたカーボンパイプの表面の粗さの問題を解消するために、表面が平滑で高純度な石英ガラス管の内壁又は外壁にCVD−SiC膜を形成した後、フッ化水素酸により石英ガラス管を溶解除去する方法が特開昭58−141525号に提案されている。また、耐熱基材表面にSi層を形成し、その表面にCVD−SiC層を形成した後、Si層をエッチング除去する方法が特開平4−321511号に開示されている。
【0012】
しかし、これらの方法でも石英ガラス管を基材とするものは、石英とSiCとは熱膨脹係数が大きく異なるために、現実的にはSiC膜にクラックが入って良好な成形体が得られないといった問題があった。また、Si層を用いるものは石英ほど膨脹係数に違いはないがこれもクラックが入ってしまうという同様な問題があって、いまだ内表面が十分に平滑な高純度炭化珪素質半導体部材が得られていないのが実情である。
【0013】
また、管内壁を平滑にするために研削加工を施すと、加工治具からの不純物が内壁に付着し、純度面で処理ウェハに悪影響を及ぼし、また加工中に管が割れ歩留まりが低いという問題があった。さらにガス導入ノズルの場合、ノズル径が小さい場合や複雑形状の場合は研削加工は極めて困難であった。
【0014】
また、CVD−SiC単一相の炉芯管の場合は、その厚さが厚いと炉芯管の熱容量が大きく、熱を奪ってしまい炉内の温度が上がりにくいという問題があり、熱容量を小さくして炉内の温度を効率よく昇温するために炉芯管の厚さを出来るだけ薄くすることが求められている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は、内表面が平滑でパーティクルの発生を極力少くでき、半導体ウェハの成膜処理が歩留まりよく出来るようにしクラックのない高純度炭化珪素質半導体部材を得ようとするものである。さらに、高純度炭化珪素質炉芯管については、その熱容量を小さくしようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
この発明は、カーボン基材の外表面に熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を形成し、該熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の表面にCVDによりSiC膜を形成し、次にカーボン基材と基材表面に形成した熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を酸化除去することを特徴とする高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法(請求項1)、高純度SiC焼結体基材の外表面に熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を形成し、該熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の表面にCVDによりSiC膜を形成し、次に基材表面に形成した熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を酸化除去し、熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の酸化除去で生じた隙間から高純度SiC焼結体基材を除去することを特徴とする高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法(請求項2)および熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の厚さが3〜80μmである請求項1,2いずれかに記載の高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法(請求項3)である
【0017】
本願発明によると、カーボンパイプ又はこれと同形のカーボンロッドなどの基材外表面に、予め熱分解カーボン又はガラス状カーボンの層を形成してこの基材の表面を平滑にし、その上にCVD−SiC膜の筒体を形成し、その後少なくとも熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を焼き抜きするので、得られた管内表面は極めて平滑となり、高純度で高耐蝕性とすることが出来る。
【0018】
また、この発明では内壁の研削加工を行う必要がなく、そのため内壁が平滑で高純度の複雑形状のガス導入ノズルでも容易に製造することが可能である。カーボン材はSiCと熱膨脹係数が近似しており、従来のようにCVD−SiC膜がカーボンの開気孔に入り込んで密着することもないため、クラックが発生せず良好な成形体が得られる。
【0019】
さらに、基材に高純度SiC焼結体を用いた場合にも、熱分解カーボン層やガラス状カーボン層により基材表面を平滑にでき、熱分解カーボン層やガラス状カーボン層のみを酸化除去できるので基材を再利用することができる。また、本願発明のガス導入ノズル、炉芯管は内壁面が極めて平滑であるので、パーティクルの発生が大幅に減少できる。炉芯管とした場合は、その厚さを薄くし熱容量を小さくでき炉内の温度を効率よく上げることが出来る。
【0020】
【発明の実施の態様】
まず、カーボンパイプの両端を同一素材の栓で封止する。栓で封止することにより、CVDによるSiC膜がカーボンパイプ内面に付着し、カーボンパイプを覆ってしまうことを防止できるため、パイプを酸素気流中で熱処理し焼き抜く効率が向上し好ましい。或いはこれに代わるものとしてこれと同形のカーボンロッドを用意する。
【0021】
ここに用いるカーボンパイプ又はカーボンロッドは、ガス導入ノズルを作成する場合は外径が3〜50mmが好ましい。外径が3mm未満では強度が弱くガス導入ノズルに使用できるような長尺パイプの作成が困難である。また外径が50mmを超える程大きくなるとカーボンとCVD−SiC膜との熱膨脹係数の微妙な違いが無視できなくなりクラックが生じる可能性がある。また、カーボンパイプ、カーボンロッドの断面形状は特に制限されない。
【0022】
次に、このカーボンパイプ又はカーボンロッドの外表面に、熱分解カーボンの層を形成する。熱分解カーボン層は、例えば1000℃に保持された反応管の中に上記のカーボンパイプなどを設置し、これにキャリアーガスとしてアルゴンガスと炭化水素(Cm n )ガスの混合ガスを導入して、カーボンパイプの表面に形成させる。ここに形成される熱分解カーボン層の厚さは3〜80μmが好ましい。
【0023】
通常は、熱分解カーボン層の厚さが3μm未満では熱分解カーボン層が均一に形成できずカーボンパイプ表面を十分に平滑にすることが困難である。また、80μmを超える厚さにすると熱分解カーボン層自体のわずかなうねりが積み重なって凹凸が発生してしまう。ここに形成される熱分解カーボン層は、該カーボンの特性からして基材カーボンパイプ表面と平行に層状に堆積されて形成されるので、基材カーボン表面に存在していた気孔、つまり凹状のくぼみは表面が覆われるようにして消失し表面が平滑となる。
【0024】
この状態は図2に模式的に図示されている。図2で1はカーボンパイプの一部の断面図である。2はカーボンパイプの表面に形成された熱分解カーボン層である。この図に示されるように、カーボンパイプ1の上には、熱分解カーボンが気孔3に沿った形でなく気孔3を覆うようにして形成され、カーボンパイプ1の表面に平滑な熱分解カーボン層2が形成される。
【0025】
また、熱分解カーボンの代わりにガラス状カーボンを使用しても同様にカーボンパイプの表面に、平滑なガラス状カーボン層を形成することが出来る。カーボンパイプにガラス状カーボン層を形成するには、例えば出発原料である熱硬化樹脂をカーボンパイプ表面に刷毛で塗布するとか、含浸により浸透させた後加熱硬化させ、ついで非酸化性雰囲気中で焼成するなどの一般的な方法により、カーボンパイプの表面に平滑なガラス状カーボン層が形成される。
【0026】
ガラス状カーボンの場合は図3に示すようになる。図3で5がカーボンパイプの一部の断面図である。6はカーボンパイプの表面に形成されたガラス状カーボン層である。この図に示されるように、カーボンパイプ5の上にガラス状カーボン6が気孔7の凹状のくぼみを充填してふさぐため、その表面が実質的に平滑となるような形で形成される。ここに形成される熱分解カーボン層の厚さも前記と同様に3〜80μmが好ましい。ガラス状カーボン層の厚さが3μm未満ではガラス状カーボン層の表面を均一に形成できず、カーボンパイプ表面を十分に平滑にすることが困難である。また、80μmを超える厚さにするとガラス状カーボン層自体に凹凸が発生してしまう。
【0027】
ガス導入ノズルを製造する場合、カーボンパイプ又はカーボンロッドは、真っ直ぐなものの外に必要に応じて所定の形状に加工したものでもよい。例えば、図4の(A)に示すように先端10の一部が曲折したもの、(B)に示すように基端11から3方向に分岐した枝管121 ,122 ,123 を有するもの、図4の(C)に示すように直管の両端131 ,132 が屈曲したものでもよい。さらに、図示はしてないが一端が封止されて管の側面に複数のガス放出孔を設けたものでもよい。
【0028】
即ち、カーボンパイプ又はカーボンロッドは、その端部にオス,メスのねじを切って螺合すればその接合が容易な部材であるから、上記のような複雑形状を容易に造ることが可能である。また、こうした複雑形状のカーボンパイプ又はロッドは、その後焼き抜きするので抜去には問題が生じない。
【0029】
また、従来のガス導入管の製造では内面研削の関係で直管はRaが1μm以下でかつ長さが600mm以上は困難であったが、本発明ではノズル内面を研削しないために長さに制約を受けない。したがってカーボンパイプ又はカーボンロッドの長さも大幅に長くすることが出来る。
【0030】
さらに、従来の方法によると一端が封じられたガス導入ノズルでは、研削工具が片側からしか導入できないため300mm以上の製作は困難であったが、この発明によるとこうした制約もない。
【0031】
次に、カーボンパイプ又はカーボンロッドの表面に、CVD−SiC被膜を形成する。CVD−SiC被膜の形成方法は従来の方法がそのまま適用され、例えばクロロシラン系ガス(SiHn Cl4-n )、炭化水素ガス及び水素の混合ガスを用いて1000℃以上の温度で熱処理することによって行う。
【0032】
この膜厚は特に限定されるものではないが、ガス導入ノズルでは通常200μm〜2mmが好ましい。これは経済性とともに、2mmを超えると内部応力が働き、SiC膜にクラックが発生する恐れがあるためである。また、200μm未満では部材としての強度を維持させるのに不十分である。
【0033】
炉芯管の場合は、500μm〜1mmが好ましい。CVD−SiC膜の厚さが厚いと炉芯管の熱容量が大きく熱を奪ってしまい炉内の温度が上がりにくいという問題があるため1mm以下が好ましい。1mm以下にすることにより炉芯管の熱容量を小さくでき、炉内の温度効率を上げることができる。また、500μm未満では炉芯管として強度を維持させるのに不十分である。
【0034】
CVD被膜を形成した後はパイプの両端を切断して酸素気流中でこれを熱処理し、カーボンパイプ又はカーボンロッドを焼き抜きCVD−SiC単一相の高純度炭化珪素質半導体処理用部材とする。こうして得られた高純度炭化珪素質半導体処理部材の一例が図1に示されている。
【0035】
請求項2の発明は、上記のカーボン基材の代わりに高純度SiC焼結体基材を用いたものである。この基材の外表面に熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を形成し、この熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の外表面にCVDによりSiC膜を形成するものである。ここにおける熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の形成、その外表面にCVD−SiC膜を形成する工程は上記と同じである。
【0036】
次に、SiC焼結体基材表面に形成した熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を酸化除去する。この工程も上記と同様にして行う。この熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の酸化除去によって、基材とCVD−SiC膜との間に隙間を生じることになる。この隙間を利用して内部のSiC基材を除去し、CVD−SiC単一相の高純度炭化珪素質半導体処理部材を製造する。
【0037】
この工程は図7に示されている。図7で20はSiC焼結体基材である。この基材の外表面に熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層21を形成する。さらに、この熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層21の外表面に、CVD−SiC膜22を形成する。この状態を図示すると(A)の通りである。次に、SiC焼結体基材20の表面に形成した熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層21を酸化除去して、SiC焼結体基材20とCVD−SiC膜22との間に隙間23を形成する(B)。この状態で内側のSiC焼結体基材20を引き抜いて単一相の高純度炭化珪素質半導体処理部材24を得る(C)。
【0038】
基材として高純度SiC焼結体、好ましくはSi含浸SiCなどの高純度で耐酸化特性に優れ熱分解カーボンやガラス状カーボンと熱膨脹係数が近い基材を用いることにより、熱分解カーボンやガラス状カーボンのみを酸化除去した後の基材を再利用することができる。
【0039】
【実施例】
(実施例1〜14,比較例1〜3)
まず、径10mm、長さ500mm、肉厚2mmの直管のカーボンパイプを多数準備し、その両端をパイプと同材の栓で封止した。次に、これらのカーボンパイプを3つのグループに分け、その第1のグループのカーボンパイプには、その外表面に熱分解カーボンの層を形成し、また、第2のグループのカーボンパイプには、ガラス状カーボンの層を形成した。さらに、第3のグループのカーボンパイプはそのままのパイプとした。
【0040】
熱分解カーボン層を上記のカーボンパイプ表面に形成するには、1000℃に保持された反応管の中に上記のカーボンパイプを設置し、プロパンガスとアルゴンガスの流量比が1対10の混合ガスを供給することによって形成した。熱分解カーボン層の厚さを変化させるために、処理時間は10〜300分の間で変化させた。また、ガラス状カーボンをカーボンパイプ表面に形成するには、両端封止したカーボンパイプの外表面に、フラン樹脂を刷毛で塗布した後200℃でフラン樹脂を硬化させ、ついで窒素雰囲気中で2000℃で熱処理した。また、ガラス状カーボンの厚さを変化させるために塗布回数を変化させた。
【0041】
カーボンパイプの外表面に、熱分解カーボン又はガラス状カーボンの層を形成した2種の処理カーボンパイプと無処理のカーボンパイプ外面に、厚さ約500μmのCVD−SiC膜を形成した。CVD−SiC膜の形成はSiH2 Cl2 とプロパンガスと水素ガスの流量比が3対1対10の混合ガスを用いて1300℃で熱処理することによって行った。処理して得たCVD−SiC被覆のカーボンパイプの両端を切断し、これを酸素気流中で熱処理して表面に熱分解カーボン又はガラス状カーボンの層を形成したカーボンパイプを焼き抜き、CVD−SiC単一相のガス導入ノズルとした。このサイズは径11mm、長さ500mm、肉厚0.5mmであった。
【0042】
カーボンパイプの表面に形成した熱分解カーボン又はガラス状カーボンの厚さと、得られたCVD−SiC単一相のガス導入ノズル内壁面の表面粗さ (Ra JIS B 0601-1976)の関係を接触式表面粗さ計により調べたところ表1の通りであった。
【0043】
【表1】
Figure 0003897393
【0044】
表1に示す通り、熱分解カーボン又はガラス状カーボンを予めカーボンパイプの表面に形成しておくと、これを用いて得られるCVD−SiC単一相のガスノズル内壁の表面粗さは、この前処理を行わないカーボンパイプを用いた比較例1と比べて極めて小さくなっていることが明らかである。
【0045】
さらに、熱分解カーボン又はガラス状カーボンの厚さが2μmでは、基材カーボンパイプの表面が十分に均一にならないために、カーボンパイプの凹凸がCVD−SiC膜に反映して、得られたCVD−SiC単一相のガスノズルの内表面粗さが1μmを超えている(実施例1,8)。また、熱分解カーボン又はガラス状カーボンの厚さが85μmでは、熱分解カーボン又はガラス状カーボン自体に凹凸が発生して、CVD−SiC単一相のガスノズルの内表面粗さが1μmを超えている(実施例7,14)。こうしたことで、熱分解カーボン又はガラス状カーボンの厚さは3〜80μmがより好ましいことが分かる。
【0046】
上記の表1で示す比較例1、実施例3,6,8,12のノズル内壁をダイヤモンド工具で切削し平滑にしたノズル(比較例2)、φ15×500,t=2mmの表面無処理のカーボンパイプ内面に上記実施例と同じ条件でCVD−SiC被膜を形成して焼き抜きして得たノズル(寸法は上記と同じ)(比較例3)を用いてウェハ上にSi膜を形成して、その際のパーティクルの数、ウェハの汚染を調べた。
【0047】
試験装置は、縦型のLPCVD炉を使用した。処理温度は700℃として、SiH4 とH2 の混合ガスをガス導入ノズルの内部を通過させて炉内に導入して、治具にスタックしたウェハ上にSi膜を形成させた。
【0048】
パーティクル量は、散乱光を利用したサーフスキャンにより検出した。また、ウェハの汚染量は、形成したSi膜をフッ硝酸溶液で溶解し、ICP−MSにより分析した。これらの結果を表2に示した。
【0049】
【表2】
Figure 0003897393
【0050】
表2に示すように、実施例3,6,12の本発明のガス導入ノズルを用いたものは、いずれも内壁面の粗さが1.0μm以下であるのでパーティクルの発生数が少く、Si膜中の不純物の量も微量である。
【0051】
実施例8は、内壁面の粗さはやや増加した1.3μmのガス導入ノズルを用いたもので、パーティクルの発生がやや多い。よって、Ra1μm以下がより好ましいことがわかる。また、比較例2はノズル内壁をダイヤモンド工具で研削したガス導入ノズルを用いたものである。これは内壁粗さが0.5μmで良好あるが不純物の量が多い。これは研削に際して工具の不純物がノズル内壁に付着したものと考えられる。
【0052】
比較例1及び3は、無処理のカーボンパイプを用いて作成したガス導入ノズルを用いたものであり内壁面に凹凸が生じ、内壁面の表面粗さが極めて大きいためいずれもパーティクルの発生が非常に多い。
【0053】
表2の実施例3,12、比較例2で用いたガス導入ノズルの内壁面の不純物量をグロー放電質量分析法で測定した。分析は、ノズル内壁面から深さ方向5μmの範囲で行って平均値で求めた。結果は表3の通りであった。
【0054】
【表3】
Figure 0003897393
【0055】
表3から明らかなように、比較例2のノズル内壁面の純度は0.1ppm をはるかに超えている。しかし、実施例3、実施例12のノズル内壁面についてはFe,Ni,Crがそれぞれ0.01ppm 以下であり高純度であった。
【0056】
(実施例15,比較例4)
実施例10と同様の方法で直径200mm、長さ1500mmのカーボン基材に、厚さ10μmのガラス状カーボンを形成したもの(実施例15)と、無処理のカーボンパイプ(比較例4)を準備した。これらのパイプの外表面に厚さ1mmのCVD−SiC被膜を形成し、カーボンパイプを酸素気流中で熱処理してCVD−SiC単一相のインーナーチュ−ブを得た。得られた実施例15のインナ−チ−ブの内壁面粗さはRaで0.7μmと平滑であったが、比較例4のものは内壁面粗さがRaで3.0μmであった。
【0057】
これらのインナ−チュ−ブを前述のLPCVD炉内に図8の32のようにして配置して、同様の実験を行ってウェハ上にSi膜を形成させた。その結果、比較例4ではSi膜の面内で膜厚にバラツキが見られたが、本発明のインナ−チュ−ブを用いた場合は膜厚にバラツキは見られなかった。
【0058】
(実施例16〜18)
次に、上記の実施例15と同様な方法でCVD−SiC被膜の厚さを1mm (実施例16)、1.5mm(実施例17)、2mm(実施例18)と変化させ、肉厚の異なるCVD−SiC単一相のインナーチューブを用意した。これらを図7に示す炉内に配置した。
【0059】
上記装置で、ヒータを5℃/min で昇温させ、その場合の炉内温度を熱電対で測定した。ヒータの加熱温度が700℃に達した時点から炉内の温度が700℃で一定になるまでの時間を調査した。その結果は表4に示す通りであった。
【0060】
【表4】
Figure 0003897393
【0061】
表4に示す通り、インナーチューブの厚さが薄いほど炉内中心部が均熱に達するまでの時間が短くなることが明らかである。
【0062】
【発明の効果】
以上の通り、この発明によると炉芯管やノズル内壁を高純度で平滑に出来るので、ガスの流れを均一に出来て対流などによって生成するパーティクルの発生を大きく低減することが出来るようになった。さらに、インナーチューブの場合にはウェハ上に形成される膜の膜厚にはバラツキが生じることなく均一に形成することも可能となった。
【0063】
その結果、熱処理されるウェハ表面に堆積するパーティクルも自ずから減少し膜厚のバラツキが減少するため歩留まりの向上を期待することが出来るようになった。さらに、部材自体はクラックがなく耐蝕性のあるCVD−SiC単一相で構成されているので寿命も向上し、さらに研削機械加工を行わなくとも内表面が平滑なガス導入ノズルが得られるため、デバイス製造時のコストの低減と歩留まりの向上を大いに図ることが出来、内壁面が平滑な複雑形状のガス導入ノズルも可能となる。
【0064】
炉芯管の厚さを薄くし熱容量を小さくし炉内の温度を効率よく上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例になる半導体処理部材の拡大斜視図。
【図2】この発明の一実施例の半導体処理部材において、カーボンパイプの表面に熱分解カーボンの層が形成された状態を模式的に示した部分拡大説明図。
【図3】この発明の一実施例の半導体処理部材において、カーボンパイプの表面にガラス状カーボンの層が形成された状態を模式的に示した部分拡大説明図。
【図4】この発明の一実施例になる異なったガス導入ノズルの断面図で、(A)は先端部が曲折されたもの、(B)は基端から3方向に分岐した枝管を有するもの、 (C)は直管の両端が屈曲したものである。
【図5】(A)は、カーボンパイプの内面にCVD−SiC膜を形成し、その後これを酸化処理して外側のカーボンパイプを焼抜きCVD−SiC単一相のパイプとする工程を示した説明図、(B)は図(A)に示すCVD−SiCのパイプの内壁面の一部(X)を誇張して拡大し、模式的に示したものである。
【図6】(A)は、カーボンパイプの外面にCVD−SiC膜を形成し、その後これを酸化処理して内側のカーボンパイプを焼抜きCVD−SiC単一相のパイプとする工程を示した説明図、(B)は図(A)に示すCVD−SiCのパイプの内壁面の一部(Y)を誇張して拡大し、模式的に示したものである。
【図7】図7は、この発明のSiC焼結体基材を用いた場合の工程を示した説明図、
【図8】インナーチューブを有するLPCVD炉の構成を示した説明図。
【符号の説明】
1,5……カーボンパイプ、2……熱分解カーボン層、3,7……気孔、6……ガラス状カーボン、100……ガス導入ノズル、20……SiC焼結体の基材、21……熱分解又はガラス状カーボン、22……CVD−SiC、23……隙間
30……反応炉、31……アウターチューブ、32……インナーチューブ、33……ボート、34……ヒータ、35……ウェハ、36……ボート受。

Claims (3)

  1. カーボン基材の外表面に熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を形成し、該熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の表面にCVDによりSiC膜を形成し、次にカーボン基材と基材表面に形成した熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を酸化除去することを特徴とする高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法。
  2. 高純度SiC焼結体基材の外表面に熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を形成し、該熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の表面にCVDによりSiC膜を形成し、次に基材表面に形成した熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層を酸化除去し、熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の酸化除去で生じた隙間から高純度SiC焼結体基材を除去することを特徴とする高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法。
  3. 熱分解カーボン層又はガラス状カーボン層の厚さが3〜80μmである請求項1,2いずれかに記載の高純度炭化珪素質半導体処理部材の製造方法。
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